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《ちらつく原発タブー》 不信任案否決されたが、「菅降ろし」なぜ起きた

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ちらつく原発タブー 「菅降ろし」なぜ起きた
中日新聞 【特報(佐藤圭、小国智裕)2011/6/3Fri.】より抜粋 転写
*政策転換がきっかけに
 今回の「不信任案政局」を振り返ると、菅首相が原子力政策の見直しに傾斜するのと呼応するように、自民、公明両党、民主党内の反菅勢力の動きが激化していったことが分かる。
 首相は5月6日、中部電力に浜岡原発の原子炉をいったん停止するよう要請。同月18日には、電力会社の発電、送電部門の分離を検討する考えを表明した。
 さらに事故の原因を調べる政府の「事故調査・検証委員会」を設置することを5月24日に決定。翌25日には外遊先のパリで、太陽光や風力など自然エネルギーの総電力に占める割合を2010年代の早期に20%へと拡大する方針も打ち出した。(略)
*旧態依然権力の影
 実際、自民党の石原伸晃幹事長は6月2日、不信任案への賛成討論で「電力の安定供給の見通しもないまま、発送電の分離を検討」「日本の電力の3割が原発によって賄われているのに、科学的検証もないままやみくもに原発を止めた」と攻撃。菅降ろしの最大理由の一つが原発問題にあることを“告白”した。
 民主党内でも、小沢一郎元代表周辺が5月の大型連休後、不信任案可決に向けた党内の署名集めなど多数派工作をスタートさせた。5月24日には、小沢氏と、菅首相を支持してきた渡部恒三最高顧問が「合同誕生会」を開催。渡部氏は、自民党時代から地元福島で原発を推進してきた人物だ。
 日本経団連の米倉会長はこの間、首相の足を引っ張り続けた。浜岡停止要請は「思考の過程がブラックボックス」、発送電分離は「(原発事故の)賠償問題に絡んで出てきた議論で動機が不純」、自然エネルギーの拡大には「目的だけが独り歩きする」との発言を続けるという具合だ。
 金子勝慶応大教授は、福島第1原発の事故について「財界中枢の東京電力、これにベッタリの経済産業省、長年政権を担当してきた自公という旧態依然とした権力が引き起こした大惨事だ」と指摘する。
 金子氏は「不信任案政局」の背景をこう推測する。
 「管首相は人気取りかもしれないが、自公や財界がいちばん手を突っ込まれたくないところに手を突っ込んだ。自公は事故の原因が自分たちにあることが明らかになってしまうと焦った。それを小沢氏があおったのではないか」
*政権不手際に矮小化?
 戦後政治史を振り返ると、自民党と原発の関係は深い。
 1954年、当時若手衆院議員だった中曽根康弘元首相が、「原子力の平和利用」うたい、原子力開発の関連予算を初めて提出、成立させた。保守合同で自民党が誕生した55年には、原子力基本法が成立。その後の自民党の原発推進政策につながっていった。
 74年には田中角栄内閣の下で、原発などの立地を促す目的で、自治体に交付金を支出する電源三法交付金制度がつくられ、各地に原子炉を建設する原動力となる。
*今も続く蜜月関係
 自民党と電力会社の蜜月関係は今も続く。
 自民党の政治資金団体「国民政治協会」の2009年分の政治資金収支報告書を見てみると、9電力会社の会長、社長ら役員が個人献金をしている。
 東電の勝俣会長と清水正孝社長は、それぞれ30万円。東北電力の高橋宏明会長は20万円、海輪誠社長は15万円。中国電力の福田督会長と山下隆社長はそれぞれ38万円を献金している。
 会長、社長以外でも、東電では、6人の副社長全員が12〜24万円を、9人の常務のうち7人が献金していた。
・98年から昨年まで自民党参院議員を務めた加納時男氏は元東電副社長。党整調副会長などとしてエネルギー政策を担当し、原発推進の旗振り役を務めた。
 民主党の小沢元代表も、東電とは縁が深い。
 東電の社長、会長を務めた故平岩外四氏は、90年ら94年ま財界トップの旧経団連会長。90年、当時自民党幹事長だった小沢氏は、日米の草の根交流を目的として「ジョン万次郎の会」を設立したが、この際、平岩氏の大きな支援があったとされる。
 「ジョン万次郎の会」は、財団法人「ジョン万次郎ホイットフィールド記念 国際草の根交流センター」に名を変えたが、今でも小沢氏が会長で、東電の勝俣会長は顧問の1人に名を連ねている。「原発事故は神様の仕業としか説明できない」などと東電擁護の発言をしている与謝野薫経済財政相も、現在は大臣就任のため休職扱いだが、副会長に就いていた。与謝野氏は政界入り前に日本原子力発電の社員だった経歴もある。
 一方、電力会社の労働組合である電力総連は、民主党を支援している。労働組合とはいえ労使一体で、エネルギーの安定供給や地球温暖化対策などを理由に、原発推進を掲げてきた。原発で働いている組合員もいる。
 また電力総連は、連合加盟の有力労組であり、民主党の政策に大きな影響を及ぼしてきた。
 組織内議員も出していて、小林正夫参院議員は東京電力労組の出身。藤原正司参院議員は関西電力労組の出身だ。
 つまり、エネルギー政策の見直しを打ち出した菅首相は、これだけの勢力を敵に回した可能性がある。
 結局、菅首相は「死に体」となり、発送電分離や再生可能エネルギー拡大への道筋は不透明になった。
 「フクシマ」を招いた原子力政策の問題点もうやむやになってしまうのか。すべてを「菅政権の不手際」と矮小化させるシナリオが進行しているようにみえる。
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〈来栖の独白2011/06/03Fri.〉
 6月2日の菅内閣に対する不信任案は、鳩山さんによって否決、揉み消された(と私は感じた)。昨年、鳩山氏が自らの総理辞任に際し「『私も辞めます。小沢さんも退いてください』と言いいました」と語ったが、そのときと全く同じ感情が私の裡で湧きあがり、怒りを押さえるのに苦労した。
 国会の直前に俄かに会談、というのもあってはならないことだ。鳩山さんという人は、物事(この場合は「国会」)の直前に会った人(この場合は「菅首相」)の影響を最高度に受ける。この愚かで信頼性ゼロの鳩山という人物は、いい歳をして、こういったご自分の性格とか弱点に対する自覚もない。・・・そのように怒った私だったが、本日6月3日の中日新聞特報は、実に示唆に富んで、禁忌に触れることを恐れない勇敢な記事であった。小沢氏も渡部氏も原発に深く関与してきたことは知っていたが、まるで降って湧いたように行われた小沢氏と渡部氏の合同誕生会の理由が納得できた。
 ただ、附言しておきたい。菅直人という人物は、けっして反原発ではない。浜岡原発も、防波壁が完成して安全が保障されるまでの一時停止を要請したにすぎない。「防波壁を造る」とは、設備投資である。巨額の設備投資をさせた後に「廃炉」は絶対にあり得ない。つまり、設備投資もさせてより積極的に原発を推進させるという政策にほかならない。
 が、財界や政党、政治家の多くが、菅一流の言葉のマジックに迂闊にも引っかかってしまった。利潤追求という財界の性の故だろう、菅の「停止要請」を反原発宣言のように、早とちりしてしまった。いや、それとも、2〜3年の停止すらも許せなかったか。
 警戒しなくてはならない。「一定のメド」同様、菅という男は、言葉を巧に操る。確認書に具体的な何(期日・数字)も明記しないで済ませるような鳩山でなくとも、菅のマジックには多くの人がコロッと騙される。目晦ましに遭う。
 とりたてて名門の出というのでもなく市民運動をやってきただけの男が、一国の総理にまで成りあがった。たくみに政敵をつくり、それを踏み台にして成り上がる。並みの思考ではない。強運の持ち主でもあり、何ともあざとい男だ。
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アメリカの足の裏を舐めないと存続できない日本/米主導で原子力発電/発電用濃縮ウランの大半は米から輸入2011-05-30 | 地震/原発
 「目くらまし」を見抜けぬ愚民国家
田中良紹の「国会探検」2011年5月17日 18:07
 浜岡原発の停止要請は「目くらまし」だと前回書いた。ところがそれを「原子力政策の転換」と受け止める「おめでたい」論調が多いので呆れる。あのやり方はこの国の官僚が国民を支配するために使ってきた常套手段そのもので、見抜けなければ愚民と言うしかない。
 福島原発の深刻な事故は国民の反原発感情を揺さぶり、今後のエネルギー政策に大きな影響を与える事が予想された。そうした時に支配者が考える事は世論を無視して強行突破することではない。いかにも原子力政策を転換するように見せかけながら、実際には変更の幅を極力変えないようにすることである。そのため「浜岡原発」が利用された。
 官僚が「目くらまし」に使うトリックの道具は数字である。今回は「87%」という数字が使われた。「地震が起きる確立が87%」と言われると、感情でしか物事を考えない人達は「大変だ」と恐怖心が先に立つ。それでまともな思考が出来なくなる。支配する側はそれを狙っている。
 福島原発事故は地震の確率が0.1%の所で起きた。論理的に考えれば地震の確率と事故とはストレートに結びつかない。どこの原発も事故は起こる可能性がある。それをそう考えさせないために支配者は「87%」に目を向けさせ、愚民はそれに乗せられる。
 「87%」を問題にするなら、そもそもそんなところに原発を建設した事が間違いである。運転を停止しても地震が来れば放射能事故は起こる可能性があり、速やかに「廃炉」にするというのが論理的である。ところが菅総理が言った事は「安全策を講じるまでの運転停止」だった。それは「浜岡原発を継続する」と宣言したに等しい。
 なぜなら安全のために投資をしたら、投資をした後で「廃炉」という選択肢はありえないからである。防潮堤の建設などには2年ほどの時間がかかるらしいから、運転再開を決めるのは自分ではない別の人間で「俺の責任にはならない」という計算も菅総理には働いたかもしれない。
 それを本人が「歴史の評価」とか大見得を切るからチャンチャラおかしくなる。菅総理は「停止要請」によって浜岡原発の継続を宣言し、それ以外の場所にある原発事故の危険性から目をそらさせたのである。そう言われると困るから、「原子力計画をいったん白紙にする」と付け加えた。しかし「白紙」というのは「変更」ではない。自分は「白紙」にし、別の人間が極力「変更」しない形の計画にしてくれれば良いのである。
 それをニュースキャスターが「菅総理は原発の見直しに踏み込んだ」とか言っているから「おめでたい」。「何年までに原発の割合を何%減らす」とか、再生エネルギーの開発計画を発表した時に言うべき事を、論理的に考えれば考えるほど「原発を継続する」と言っている時に言うのだから始末が悪い。
 福島原発事故の教訓は「絶対の安全はない」と言うことである。どんなに想定しても想定外の事は起こる。どんなに安全対策をしても破られる事はある。だから最悪を考えて備えをしなければならない。ところが政府は「原発の安全性」を強調するあまり、不測の事態への対応をして来なかった。
 原発のメルトダウンを知りながら、住民のパニックを恐れて発表したのは事故から2ヶ月以上も経ってからである。発表していれば対応できていた事ができなかった。その被害者は周辺住民である。放射能による健康被害が現れるのは5年から10年先の事だから、これも菅政権にとっては「俺の責任ではない」と言う事になるのだろうか。
 日本が原発を54基持っているという事は、54個の核爆弾を持っているに等しい。つまり核戦争に備える思考と準備が必要なのである。敵は自然の猛威かもしれないし、テロ攻撃かもしれない。日本にミサイルで原爆を投下しなくとも、テロリストは小型スーツケースの原爆を都心で爆発させる事も出来るし、また海岸に建てられた原子力発電所を襲えば原爆投下と同様の効果が得られる。
 ところがそうした備えがない事を今回の事故は示してくれた。警視庁の放水車や消防庁の放水車が出動するのを見て私は不思議でならなかった。核戦争に備えた自衛隊の部隊はいないのかと思った。こんな事では政治は国民も国土も守る事が出来ない。いちいちアメリカを頼らなければならなくなる。
 考えてみれば日本のエネルギー自給率は4%に過ぎず、すべてはアメリカ頼みである。かつては国内の石炭に頼っていたのを1960年代に政府は無理矢理石炭産業を潰し、アメリカの石油メジャーが牛耳る中東の石油に切り替えた。ところが遠い中東の石油に頼りすぎる危険性が指摘されると、これもアメリカの主導で原子力発電を導入した。発電用濃縮ウランの大半はアメリカから輸入されている。
 普天間やTPP問題で分かるようにアメリカの足の裏を舐めないと存続できない菅政権は、原発見直しのフリは出来ても「転換」は簡単には出来ないのである。
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映画「100,000年後の安全」地下500? 核のごみ隠すオンカロ/原発から出た放射性廃棄物を10万年後まで保管2011-06-01 | 地震/原発
高レベル放射性廃棄物、危険性が消えるまでには十万年/文明転換へ覚悟と気概2011-05-09 | 地震/原発
原発の「ごみ」行き場なく/「核半島」六ヶ所村再処理工場/東通原発/大間原発/核燃料 中間貯蔵施設2011-04-28 
原発マネーに群がった政治家・学者・マスコミ/巨額の「反原発」対策費が政・官・財・学・メディア・地元に2011-05-17 | 地震/原発
原発保有国は潜在的核武装国/保有31カ国の下心/日本の原発による発電量は世界第3位2011-05-14 | 政治〈国防/安全保障/領土〉
原発保有国の語られざる本音/多くの国は本音の部分では核兵器を持ちたいと思っているようであり2011-05-10 | 政治〈国防/安全保障/領土〉

*管理人の便宜上、2つのカテゴリー「政治」「地震/原発」でエントリ


《第13回後半》陸山会事件公判 水谷建設 水谷功元会長が語る「裏ガネ渡しの流儀」

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《第13回後半》陸山会公判傍聴記 ── 水谷建設元会長が語る「裏ガネ渡しの流儀」
引き続き午後の部。
《THE JOURNAL》 編集部 西岡千史 2011年6月3日 13:03
 13時30分開廷。証人である水谷建設元会長の水谷功氏が法廷に入る。水谷元会長は大柄でスキンヘッド、黒に近いスーツにピンク色のネクタイという風貌。それにドスのきいた低い声で関西弁を話すので、見るからに親分の風格が漂っていてる。

まずは弁護人による尋問。
(──は弁護人、「」内は水谷元会長、※は筆者注)
── どのようなゼネコンに営業活動をしていたのですか
「だいたい日常の営業活動でどこが(工事の受注に)強いということがわかりますので、そこに営業することになります」
── 水谷建設が受注できる見込みはありましたか
「過去の実績がありましたので、受注をもらえると思っていました」
── スポンサーは誰が決めるのですか
「お客さん(ダムを受注したゼネコンのこと)が決めます」
※「スポンサー」とは、ゼネコンの下請け業者を取りまとめる幹事社のこと。後の証言でも出てくるが、水谷建設は胆沢ダムの工事でスポンサーになりることを目指していて、そのために小沢事務所に営業活動をしていた。
── スポンサーをとることは重要なことなのですか
「我々の中では、サブになることは難しくないです。交渉権のあるスポンサーが金額の設定をしますので、非常に責任感もあります。私ども下請け業界では雲泥の差があります」
── 具体例で言ってもらえますか
「いろいろとありますけど、メリットも多いということです」
── スポンサーになることは仕事にも影響がありますか
「スポンサーになれれば勝ちだし、なれなければ負けです。胆沢ダムでスポンサーになると実績にもなりますし、逆にスポンサーになれないと『水谷建設は力がない』ということになりますね」
■水谷建設の営業活動の実態と裏ガネの手配
※水谷元会長は、胆沢ダムの営業活動では、小沢一郎氏の元秘書である高橋嘉信氏に営業をかけていた。しかし、高橋氏は04年当時はすでに小沢事務所から離れていたため、川村元社長に大久保隆規氏に営業活動をかけるよう指示したという。
── 大久保氏へのあいさつ(営業活動)とは具体的に何をするのですか
「まあ、鹿島建設と水谷建設の間ではスポンサーでの受注の了解ができているので、横槍を入れてほしくないという話ですね」
── 川村元社長はスポンサーをとることが大事だとわかっていましたか
「当然わかっております」
※大久保氏に話題が及んだことで、突然、水谷元会長が被告人席に話しかけはじめる。
「最初に言わないといけませんが、当社のためにご迷惑をおかけしたことを深くお詫び申し上げます」
※頭を下げる水谷元会長。突然の謝罪だったので驚いたが、弁護人の質問は淡々と続く。
── 5000万円についてあなたはどう思っていますか
「まあ、大久保さんとそれなりの約束(※スポンサーになる約束のこと)ができたから、そうなんだろうということです」
── 本当にそのお金は大久保氏に渡されていますか
「それはわかりません。私が報告を受けていることと川村君の証言は違いますし、刑務所での検事の取調べの時も『なんだろうな』と思っていました」
── 川村元社長からはこの件について報告を受けていたのですか
「逐一、受けておりました」
── 川村元社長は5000万円を2回渡したと証言していますが
「2回という記憶はないですけど、1億円とは聞いております」
── 04年10月15日に石川氏に渡したとされる5000万円は誰が手配したのですか
「私が手配しました」
■水谷建設の裏ガネ渡しの流儀
※水谷建設は裏ガネ渡しについていくつかのルールを持っていた。そこを弁護士がたずねる。
── あなたはさきほど『スポンサーになることが前提』という話をされましたが、鹿島建設が胆沢ダムの工事を落札できたのは10月8日ですよね。金を渡したのは10月15日で、しかもその後に水谷建設はスポンサーから外れてますよね
「はい」
── あなたは裏ガネを渡すのは『スポンサーになるのが前提』と話しているのに、04年10月15日にはまだスポンサーになることが決まっていないし、その後、スポンサーにもなれていませんね
「川村からの報告で決まったものやと思って、了解しました」
── この段階でスポンサーになれることが決まっていなかったらどうしていましたか
「(裏ガネの)用立てはしません」
── こういうお金は話が成立してから渡すものじゃないのですか
「以前の私の場合は、(裏ガネを渡す)陳情は盆と正月で、それ以外にお願いしたいときは、ちょっと言いづらいけど・・、成功報酬として出していました。自分は親からこういうものなんだという教育を受けてましたので、そうしてました」
── あなたは裏ガネの支出については厳しかったのですか
「社員何百人が稼いできたお金を、価値のない使い方はできません」
── 川村元社長はスポンサーになれなかったとき、水谷建設で労災隠しが発覚したためだという説明をしていませんでしたか
「彼はそういう説明をしないと、(社内が)おさまりませんわな」
── 水谷建設がスポンサーになれなかったとき、あなたは川村元社長にどういう話をしたのですか
「私は川村君に『話が違うやないか』と言ったら、川村君は『名目上は(スポンサーの下請けとなる)サブですが、交渉権は水谷建設にあります』と説明があったんですが、納得がいかなかったので、『大久保さんと合意ができているのならおかしいやないか』と言いました」
── こういう簿外の裏ガネを管理していたのはだれですか
「最終的には管理部長が管理していました」
── 裏ガネの保管場所は
「(桑名市の水谷建設本社の)3階の金庫です」
── 普通の現金の保管場所は
「1階の金庫です」
── 裏ガネの支出を管理するメモはないのですか
「裏ガネは表のカネ以上に厳しく管理していました」
── たとえ裏ガネであっても、もちろんそれは会社にとっては公金ですよね
「はい」
── 管理部長が裏ガネの記録をつけていたのですか
「はい」
── 管理部長は、この法廷で国税が入ったときに処分して、それ以降は帳簿をつけていないと証言していますが
「それはちょっと考えにくいですね。年間でいうと数億というカネが動いていますので、(帳簿は)わかるようにしていました」
※補足。この管理部長は第12回公判で証人として出廷していて、弁護人の『裏ガネの帳簿がありますよね』と繰り返し質問されたが、すべて否定している。
── 脱税事件では裏ガネの帳簿が発見されていないのですが
「・・そんなことも話をしないといけませんか」
── して下さい。お願いします。
「管理部長の責任で動かしました」
── どこに動かしたのですか
「断定はできませんが、(管理部長の)お父さんのところか、社員のところだと思います。金を渡したという証拠がないと渡しは納得できなかったので、(刑務所内で事情聴取を受けたとき)なぜ、中村はそう話すのかなあと検事に話したんです。私が(脱税事件で)逮捕されたときに役員で集まったときも『あれが見つからなくてよかったです』と話していました。その前年にも裏ガネの帳簿が合わなかったときに中村に言ったら『明日、報告します』ということで翌日に本人の勘違いだったとわかったということもありました」
── 政治家に金を渡したことは
「あります」
── そういうときのルールとはどんなものですか
「北海道、東京、九州といろいろありますけど、カネは朝に持って出て、着いた時に渡すことにしていました。当日が無理な場合は、前日に持って行きます。あと、できるだけ第三者に入ってもらうようにしていました」
── 川村元社長は法廷では04年10月15日の午後に大久保の使者である石川に渡したと話しました。川村元社長は、金はその2日前の13日に東京に運んでもらって、しかも見届け人も入れずに渡したということですが
「私とは認識の差がだいぶありますので、これを言うとややこしくなりますので・・」
── というのは
「川村君が出張する前に私に連絡がありまして、出張から帰ってきた翌日に渡すと。それで14日に専務と一緒に渡すよう言ったつもりなんです」
── 川村元社長は一人で渡したと言っていますが、見届け人については
「見届け人は・・いなかったんですかね。ちょっと考えづらいんですけど」
── こういった金を渡す時の配慮は誰が指示したのですか
「川村君にしてみればはじめてのことですので、専務にも行かせたんですけど、そこが不明朗になっています」
── 川村元社長はどのように話していましたか
「私には『大久保さんに渡した』と報告を受けました」
── 川村元社長は石川氏に渡したと話していますが
「もし私であれば、渡した時に約束した人(※大久保氏のこと)に電話して、預かり証をもらっていますし、そもそも一人で行くことはないです」

弁護人の尋問は終了。続いて行われた検察官による尋問では、水谷元会長が5000万円を手配した時のことについてたずね、水谷元会長は「管理部長に『お金を◯日までに用意して、◯日の◯時までに東京に持って行きなさいと指示しました」と証言する。最後に、裁判官の尋問。
(──は裁判官、「」内は水谷元会長)
── 胆沢ダムに関しては社運をかけていたということですが
「(胆沢ダムは)日本で数えるほどしかない規模のダム工事で、これまでやってきたダム工事が終わって機械があまりますので、受注したかったということです」
── 高橋嘉信さんの所にお願いに行ったということですが
「(法廷で)余計な名前を出してしまいましたけど・・、私は何度もお願いに行きました」
── それまでは高橋さんと話をしていたのですか
「私はずっと高橋さんがやっているものと思っていましたが、あそこ(※小沢事務所のこと)が違う会社を推薦してきているという話ですので、協力会社の社長に頼んで、大久保さんに話をしに行ったということです」
── 本件で問題となっている5000万円について、専務には話をしたのですか
「お金を持って行って、できるだけ(受け渡し場所に)一緒に行ってこいという話をしたのですが」
── 電話ですか、直接ですか
「電話だと思います」
── そのとき、専務はどこにいたのですか
「静岡だと思います」
── その時に金額の話をしましたか
「言ってないと思います」
── 管理部長にはどのような話をしたのですか
「『社長から聞いていると思うけど、14日に必要だから』と話しました」
── 中村さんに金額は言いましたか
「5000万円と言いました」

 以上で第13回公判が終了。水谷功元会長は証言台から退いた後、ドアの付近で裁判官、弁護人、検察官、傍聴席に深々と頭を下げ「失礼しました」と礼をして退廷したのが印象的だった。
※一問一答は筆者の傍聴記メモを元に再構成したものです(《THE JOURNAL》編集部 西岡千史)
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《第13回前半》陸山会事件公判 水谷建設元運転手が調書内容を否定「ハラがたってます」2011-05-30 | 政治/検察/メディア/小沢一郎

WSJ(ウォール・ストリート・ジャーナル)2011/5/27 小沢一郎元民主党代表インタビュー「天命に遊ぶ」

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小沢一郎元民主党代表インタビュー:一問一答
WSJ(ウォール・ストリート・ジャーナル)2011年5月27日12:58
 小沢一郎元民主党代表はウォール・ストリート・ジャーナルとのインタビューで、福島原発事故への政府の対応は「遅く、放射能汚染に対する認識がまったくない」と批判するとともに、長年ライバル関係にある菅直人首相について「首相は一日も早く代わったほうがいい」と述べ、対決姿勢を鮮明にした。
 以下はインタビューの一問一答。
Q:東日本大震災と福島第1原発事故以降の政府の対応について、全般的にどう評価しているか。
A:もう2カ月以上、70日になる。原子炉がコントロールできない状況に置かれている。
 私は客観的な見方をする学者の先生から、この状況は燃料の熔融や炉が破損して、非常に危険な状況だということを聞いていた。非常に心配していたら、今になって、仕様がなくなってポツポツ認めている。対応が遅く、放射能汚染に対する認識が甘い、というより、まったくないといってもいいくらいの菅内閣の対応だ。
 一般自然災害への対応も、私の県も被災県の1つだが、単なる旧来の取り組みと同じだ。役所の積み上げと、査定に任せきりで、民主党が目指した国民主導・政治主導という政治の在り方とは程遠い実態になっている。私もそうだが、ほとんどの人たちが、不安と不満を募らせているというのが現状だ。やはりその最大の原因は、民主党が掲げてきた、政治家が自ら決断して政策を実行するということが行われていないためだ。決断とは、イコール責任だ。責任を取るのが嫌だとなると、誰も決断しなくなる。
Q:原発事故で事態をここまで悪くしないようにするために、政府がすべきであった決定や政策はどんなものがあったか。
A:こういう状況になると、東京電力の責任に転嫁したって意味がない。東京電力が悪い、あいつが悪い、こいつが悪いということを言っている。どうでもいいことならそれでいいが、原発の放射能汚染の問題は、ここまで来ると、東電に責任を転嫁しても意味がない。政府が先頭に立って、政府が対応の主体とならねばいかんというのが、私の議論だ。東電はもう、現実何もできないだろう。だから、日一日と悲劇に向かっている。
Q:菅首相は統合本部を数日後に設立し、東電に踏み込んだ。あれは十分ではなかったのか。
A:十分も何も、パフォーマンスはどうだっていい。そういうことを気にすべきではない。事態は分かっているのだ。何が起きているかってことは、ほぼ。東電が分かっているのだ。東電が分かっていることは、政府も分かっているのに決まっている。だから、私が言ったように、他人に責任をなすりつける話ではない。政府が主体となって対応策を、どんな対応策かは専門家を集めなければ分からない。それは衆智を集めて、こうだと決まったら政府が責任を取るからやってくれと、そういうのが政治主導だ。それがまったくみられないから、国民はいらいらして不満を募らせ、民主党はだめだとなっている。
Q:小沢氏が指揮を執っていれば、最初の段階でメルトダウンが起きて危ないということは国民に大きな声で言っていたか。
A:言うだろう。隠していたらどうしようもない。それを前提にして、対応策を考えねばならない。当面は福島の人だが、福島だけではない、このままでは。汚染はどんどん広がるだろう。だから、不安・不満がどんどん高まってきている。もうそこには住めないのだから。ちょっと行って帰ってくる分には大丈夫だが。日本の領土はあの分減ってしまった。あれは黙っていたら、どんどん広がる。東京もアウトになる。ウラン燃料が膨大な量あるのだ。チェルノブイリどころではない。あれの何百倍ものウランがあるのだ。みんなノホホンとしているが、大変な事態なのだ。それは、政府が本当のことを言わないから、皆大丈夫だと思っているのだ。私はそう思っている。
Q:なぜ、このタイミングで出てきたのか。
A:隠しようがなくなったからだろう。知らないが。政府に聞いてみるべきだ。
Q:菅首相はアドバイザーを集めて意見を聞いている。聞き方がまずいのか。
A:何を聞いているのだか知らない。集めただけではしようがない。結論を出して何かやらないと。だいたい、原発で食っている連中をいくら集めてもだめだ。皆、原発のマフィアだから。あなた方もテレビを見ていただろう。委員だの何だの学者が出てきて、ずっと今まで、大したことありません、健康には何も被害はありません、とかそんなことばかり言っていた。原子力で食っている人々だから、いくら言ったってだめなんだ。日本人もマスコミもそれが分からないのだ。日本のマスコミはどうしようもない。
Q:いろいろ聞いてやってみて、だめだったら辞めてもらうということだが、どこまでいったら辞めてもらうのか。どの辺が判断の基準になるのか。
A:どこまでということはない、何もしていないのだから。このまま、ダラダラしていたら、本当に悲劇になってしまう。海も使えなくなる。
Q:原子力エネルギーをどう考えるか。
A:しょせん、過渡的エネルギーとしてはある程度、大口電力供給のためにも仕方がない。だが、高レベルの廃棄物を処理できないからいずれ、新しいエネルギーを見出さなければいけない。そのように私は言ってきた。まさに今、こういう自然災害のなかで、原発の事故まで起きて、これを食い止めると同時に、長期的なエネルギー政策をしっかりと考える必要がある。
Q:菅政権に対する小沢氏の批判だが、今回、事態の深刻さに対して菅政権が国民に対して正直でなかったことにあるのか、それとも、もし政権が強ければ、事態の対応はもっとうまくいっていたということにあるのか。
A:政権が強い、強くないとの表現も間違いではないが、さきほどから言っているように、何か国民生活に関する問題を処理する時に、われわれは、自民党の官僚機構に任せて、おんぶに抱っこの政治はもはやだめだと言ってきた。政治家が自ら決断し、国民のための政治を実行する。今回の原子力の話だけではない。
 しかし、それは何かというと、それはイコール責任だ。決断したら決断した者の責任が生じることは当たり前だ。責任のない決断はない。そういうことを主張してきたにもかかわらず、民主党の政権が、特に菅政権が、そうでないという実態に気づき、国民の支持を失っている。政策の実行ができないのなら、総理をやっている意味がないでしょう、ということだ。
Q:問責決議案や不信任案を提出する、提出しないとの話が出ているが、国難といわれる時期、そのような政治家の動きを国民はどう受け止めているとみるか。
A:困難な時だけ仲良く、仲良くというのは日本人の発想で、だからだめなのだと考える。日本のマスコミは全部そうだ。太平の時は誰でもいいのだ。うまくいっている時は。困難、危機の時だから、それにふさわしい人を選び、ふさわしい政権を作るのだ。日本人は発想が逆だ。大陸の人は、発想がそうではない。日本人は平和ぼけしているから。まあまあ争わないで、まあまあ仲良くという話になる。仲良くしたって、何も解決できない。当たり障りのない話をしているだけだ。波風立てずに、丸く丸く。これでは、政治家など要らない。役人に任せていればいい。
Q:菅首相を降ろせというなか、強いリーダーはいるのか。
A:何人でもいる。
Q:強いリーダーの代表格というと小沢氏が思い浮かぶ。自分でやろうとの気持ちはあるのか。
A:私はもう老兵だから。老兵は消え去るのみ、とのマッカーサー元帥の言葉はご存知だろうか。消え去ろうと思っていたが、もう一仕事やらねばならないとは思っている。
Q:話題を変える。政治資金規正法違反の話は今、どういう状態で、今後、どういう方針で戦うのか。
A:どういう方針もなにもない。私は何も悪いことをしていない。これは官憲とマスコミによるものだ。旧体制の弾圧だからしようがない。調べてほしいのだが、私は何も不正な金はもらっていない。ただ、報告書の時期がずれていただけだ。こういった例は何百、何千とある。単に報告書を直して再提出するだけで済んでいた話だ、今まではずっと。なぜ、私だけが強制捜査を受けるのか。そこを全然、マスコミは考えない。
 これは民主主義にとって危機だ。政府ないし検察の気に入った者しか政治ができないということになる。ほんとに怖い。あなた方も変な記事を書いたとして逮捕されることになりかねない。そういうことなのだ。絶対にこういうことを許してはいけない。私が薄汚い金をもらっているのなら辞める。
 1年以上強制捜査して何も出てない。だからちょっと報告書の書き方を間違ったといったわけでしょう。現実政治というのは権力だからそうなるんだが。戦前もそう。それを繰り返したんじゃ、だめだ。そんな民主主義は成り立たない。それを心配している。自分はなんてことない。なんの未練もない。政治家をやめれば遊んで暮らせるからそれでいいが。日本の民主主義はこのままだと本当にまた終わりになる。外国が心配しているのはそこだ。日本は本当に民主主義国家かという心配をしている。
Q:震災に話を戻す。復興、復旧にこれからお金がかかっていく。もちろん労力も。一つは第2次予算が出るか出ないかで国会でもめている。第2次予算の緊急性と規模はどのようなものと考えるか。もう一つは、財源は増税にするのか、国債発行にするのか。そのへんはどのようにすべきか。
A:復旧に必要なことは、お金がどれくらいかかったって、やらなくてはならない。あのままでは住めなくなる。再臨界に達するかもしれない。あそこが爆発したら大変だ。爆発させないために放射能を出しっぱなしにしている。爆発するよりたちが悪い、本当のことを言うとだ。ずっと長年にわたって放射能が出るから。だから私は金の話じゃない。日本がつぶれるか、日本人が生き延びるかどうかという話だと言っている。金なんぞ印刷すればいい。その結果、国民が負担することになるが。国家が本当に放射能汚染をここで食い止めるという決意のもとに、徹底して金だろうがなんだろうがつぎ込まなくてはだめだ。国民はそのことをよく理解してほしい。国債でやれば借金だし、いずれ償還分は払わなくてはいけないが。
Q:東電の処理について役所が過去にはいろいろ決めてきた。今回、役所の言うとおりに決めてはいけないと考えるか。
A:東電のことはたいした問題ではない。一私企業がどうなろうが。それが本質ではない。ただ、例えば東電がつぶれるとする。電気の配電やら運営ができなくなる。それから5兆円の社債を出しているから、社債が暴落する。公社債市場が大変になる。それから銀行に何兆円かの借金があるから、それが返せなくなると銀行も大変だ、ということだろう。どうってことはない。要は早く原発の放射能を止めることだ。
Q:民主党が政権をとって間もない2009年10月、インタビューした際、自民党をつぶすことが目的だと言っていた。今回、発言を聞いていると、民主党政権に非常に批判的だが、自民党がむしろリーダーになった方がよいと、日本を救えると見ているのではないか。
A:私はそう見ていないが、国民がそのような状況になってきているということだ。これなら自民党の方がまだいいじゃないかという人が多いでしょう。私が描いていた図とちょっと違うのは、民主党政権がもう少し愚直に政治に取り組んでくれることを期待していた。そうすれば、国民がたとえ個別の政策が少しずつ遅れたとしても、変更したとしても絶対支持してくれると。
 そういう民主党をまず作り上げる。しかし、一方において自民党的、というのは日本的な政党だが、これも必要だと。自民党は事実上つぶれたような状況だが、新しい自民党がまた成長してくれると。そこで2大政党という絵を描いていたのだが。どうにも民主党政権自体がおかしくなって、強烈な支持者であった人たちも、ちょっともう見放した格好になっている。
 例えば、何兆円の企業のオーナーである稲盛さんとか、スズキ自動車の鈴木会長とかは、何兆円の企業でありながら、正面切って民主党を応援してくれていた人たちが、本当に一生懸命やっただけに、頭にきちゃって、こんな民主党ぶっつぶせ、もう一度やり直しだと言うくらい失望している。愚直さに欠けた民主党政権でちょっと違った。違ったときは違ったなりに考えなくなくてはならないので仕方ない。だが私の最初の理想は変わらない。日本に議会制民主主義を定着させたいという理想は全然変わっていない。
Q:いま、国会に不信任決議案が提出された場合、それを支持するか。
A:それはどうするかよく考えているところだ。
Q:菅首相はどのくらい政権に留ると考えているか。
A:彼はいつまでも留まりたい。だから困っている。それが彼の優先順位の第一だから。だからみんな困っている。
Q:先ほど「もう一仕事したいという気持ちを持っている」と言っていたが、どのようなことがしたいか。
A:いま言ったことだ。議会制民主主義を日本に定着させたいという、この理想は全然変わっていない。ところがいま、民主党も国民から見放され、自民党もかつての自民党ではなくなってきている。このままでは日本の政治はぐちゃぐちゃになる。だからそうならないように、老骨にむち打って頑張ろうかということだ。
Q:最近になって、メルトダウンが起きていたとか、原子炉に傷が付いていた、などの情報が次々と出ているが、政府は今まで知らなかったのか。
A:知っていたけれど言わなかったということだろう。だから問題だ。
Q:どういうことか。
A:知らない。政府のことだから。言うと大変になると思ったから言わなかったのだろう。大変になるというのはどういうことかというと、政府の対応が難しくなると言うことだ。だけど、わたしはそんなことで躊躇しているときではないと考えている。
Q:声が上がればご自身が前面に出られて首相になるということも考えられるのか。
A:私は、あまりにぎにぎしい立場というのは好きではない。もう気楽にしていた方がいいから、自分で好みはしないが、「天命に従う」というのはよくないけど、「天命に遊ぶ」という言葉が好きになった。天命の命ずるまま、もういらないと言われれば去るのみだ。
Q:最後に、菅総理はどのぐらい総理の座にとどまるとみているか。
A:一日でも早く代わった方がいいと思う。
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《ちらつく原発タブー》 不信任案否決されたが、「菅降ろし」なぜ起きた 2011-06-03 | 政治
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政治/検察/メディア/小沢一郎

不信任案否決 菅氏のお見事な戦略/菅総理の首は締められていく。もがけばもがくほど、きつく絞まる。

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不信任案否決!あと出し「一定のめど」と「通年国会」で年内続投を図った菅首相の“お見事”な戦略
『週刊 上杉 隆』【第177回】2011年6月3日

 内閣不信任案が否決された。一国会一度しか提出できない不信任案が否決されたことで、菅首相の当面の続投が決まった。
 だが、きのう(2日)の午前中までは、永田町はまったく違う情勢下にあった。与党・民主党内からですら、内閣不信任案に賛成する声も聞かれたのだ。
 2日朝までには、小沢グループを中心とした70名を超える議員が、不信任案に同調する意向を示していた。確かに成立は微妙だったかもしれない。だが、それは、菅政権に打撃を与えるには十分な数であった。朝日新聞もこう書いている。
〈自民、公明両党が一両日中にも衆院に提出する方針の菅政権への内閣不信任決議案に対し、民主党の小沢一郎元代表に近い50人超の衆院議員が賛成する意向を固めた。朝日新聞の取材でわかった。小沢氏系議員らは中間派議員にも同調を求める一方、党執行部は締め付けを強めている。菅直人首相も31日夜、鳩山由紀夫前首相と約2時間会談し、不信任案否決に理解を求めた〉
*衆院本会議直前。流れを変えた“あの人”
 ところが、本会議直前の代議士会で流れが変わる。不信任案可決が濃厚になりはじめた昼前、ある人物の力によって一瞬にして空気が変わった。鳩山由紀夫前首相である。
 前夜にも首相と会った鳩山前首相は、2日午前にも菅首相と会談する。そこで運命の「覚書」を交わしたのだった。
1、民主党を壊さないこと
2、自民党政権に逆戻りさせないこと
3、大震災の復興並びに被災者の救済に責任を持つこと
〈1〉復興基本法案の成立
〈2〉第2次補正予算の早期編成のめどをつけること
 これを受けて、菅首相は代議士会で一定のめどがついた段階での退陣を表明し、党内の不信任決議案への賛成の声を消滅させたのだった。
 「意味がわからないんだけど」
 代議士会の最中、国会の廊下ですれ違った鳩山側近議員の一人は明らかに狼狽していた。さらに別の議員もこう嘆いた。
 「ハシゴを外された。意味がわからない。どうしてあの人(鳩山氏)はいつもこうなんだ。もう絶対に信用できない」
 さらに小沢側近議員のひとりも筆者に電話してきて、こう語気を強めた。
 「終わりだ。完全な不信任案つぶしだろ。こんな簡単な戦略にひっかかるなんて。覚書だと。なんであの家は同じ過ちを繰り返すんだ。信じられない」
 この議員の言うとおり、確かに鳩山家には前科がある。
*歴史は繰り返す!? 鳩山家と覚書の“因縁”
 鳩山前首相の祖父、鳩山一郎首相はGHQから公職追放された際、盟友の外交官である吉田茂氏に首相の座を禅譲した。その際、二人の間にはひとつの「約束」が交わされていた。
 鳩山一郎首相が残した覚書によれば、「政界パージが解けたら、すぐに鳩山に政権を譲り渡す」とある。
 だが、吉田氏はそれを否定、首相の座から降りることを拒み続けた。最終的には鳩山首相は誕生するが、権力闘争の厳しさから浮遊したような鳩山首相は、結果、自らの政治生命を縮めることになった。
 話を戻そう。菅首相は2日午後10時過ぎから開かれた記者会見で、繰り返し、早期の辞任を否定した。ニコニコ動画の七尾功記者の一定の目処についての質問についてはこう答えている。
*「一定のめど」はいつなのか
 「まず、工程表で言いますと、ステップ2が完了して放射性物質の放出がほぼなくなり、冷温停止という状態になる。そのことが私はこの原子力事故のまさに一定のめどだとこのように思っております。ただ、期間の問題は必ずしもその時点ですべてが方向性が決まるかどうか、これはいろいろとモニタリングをしたり、 あるいは除染をしたりということも含めてですね、もう少し時間がかかる可能性は十分あると思っています」
 ステップ2完了までは6ヵ月から9ヵ月かかるとされている。だが、東京電力による作業はまったく進んでいない。むしろ、日々、状況は悪化している。
 すなわち、原子炉の冷温措置が完了するまで菅首相は辞めないということである。4つの原子炉を冷温できる時期は神のみしか知らない。つまり、事実上、辞めないということになる。
 「今回のこの大震災という状況の中で、国民の皆さんからやはり国会で必要なことは、いつでも議論できるようにしてほしいと。そういうご意見をいただいています。それに答えるとすれば、事実上の通年国会。12月のある時期までということになろうかと思います」
さらに菅首相は年末までの国会の延長を明言した。冒頭触れたように不信任案は一国会一度しか提出できない。となると、今年、菅首相を辞めさせる術はなくなったということになる。
 まったくもって見事な戦略である。スピンコントロールとしては完璧だ。
 できたら、菅首相は、こうした素晴らしい戦略を、復興や原発事故対策に使ってほしいものだ。
 いずれにしろ、菅政権は当分の間、続くことになった。
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田中良紹の「国会探検」2011年6月3日
菅政権の最期
 内閣不信任案が否決されたことで「解散・総選挙」の選択肢は消え、菅総理には自ら退陣するしか道はなくなった。しかも与野党を問わず周囲を敵に回したから末路は哀れなものになる。それが菅政権最期の姿である。
 何があっても辞めないと言う最高権力者を辞めさせる事は容易でない。辞めさせるためには国会で内閣不信任案を可決するのが常道だが、総理には「解散権」があり、国会議員全員の首を切って国民に信を問う道が残されている。
 しかし大震災からの復旧、復興が急がれている時に「政治空白」は許されない。菅総理の退陣を迫る側には万が一にも「解散・総選挙」をさせない必要があった。そのためまず野党が内閣不信任案を提出し、しかしそれを否決する中で総理が自らの首を絞めるシナリオが描かれた。
 まず野党第一党の自民党が内閣不信任案を提出できるかが問題であった。国難とも言うべき時期に政争をすれば国民の反発を買う事は必至だからである。国難は黙っていても政権側に有利になる。ところが菅政権はそれに安住し「お友達」だけで国難を乗り切ろうとした。それが政治の停滞を招いている。
 全政治勢力を結集すべき時期にそれをしない姿勢は当然ながら野党の反発を呼ぶ。しかし内閣不信任案を可決するには野党勢力の数が余りにも少なすぎる。与党の中から大量の造反が出ない限り無意味なパフォーマンスで終る。国民から非難されるだけの話になる。
 それを現実味のあるものにしたのは、ウォールストリート・ジャーナル紙のインタビューに答えた小沢一郎氏の「倒閣宣言」であった。小沢氏を支持するグループは民主党内最大勢力であるから、それが内閣不信任案に賛成すれば可決される可能性がある。
 そこで初めて内閣不信任案が現実の問題として政治の俎上に上った。これに対して菅総理の側は一方で「解散・総選挙をやる」と脅し、他方では菅総理が国会の会期延長に言及して賛成派の切り崩しを図った。それによって否決に回った議員も多く、賛成するのは小沢グループ以外にどれほどいるかが焦点となった。
 内閣不信任案が提出された夜、結集した小沢グループの数が絶妙だった。議員本人が71名、代理出席が6名と言われた。その時点では82名の造反があれば不信任案は可決されると言われていたから、あとわずかの数字である。可決されるとも読めるし、されないとも読める。そして菅総理にとっては恐怖を抱かせる数字である。
 絶対可決できる数字を集めてしまえば、本当に可決をしなければならなくなる。しかし目的は可決ではなく、菅総理に自発的な退陣を促す事である。従ってそのあたりを配慮した絶妙な数字だと私には思えた。一方、鳩山前総理や原口前総務大臣も不信任案賛成を明言し、5人の副大臣と政務官が辞表を提出したから菅政権は万事休すの状態である。
 そこで鳩山前総理が菅総理と会談し自発的退陣を促した。会談は物別れに終ったが菅総理は追い込まれた。不信任案採決当日の朝には国民新党の亀井代表も退陣を促す。再度、鳩山前総理が菅総理と会談して退陣を促し、合意書を取り交わした。この合意書がまた絶妙であった。民主党を壊さない事を真っ先に掲げ、自民党政権に戻さない事を第二に、最後に震災対応として復興基本法案の成立と第二次補正予算案の編成の目途をつけるとなっていた。
 不信任案採決直前の民主党代議士会で菅総理はついに「一定の目途がついた時点での退陣」を表明、鳩山前総理は復興基本法案の成立と第二次補正予算案の編成の目途をつけた時に菅総理は退陣すると発言した。しかしこの合意書が表に出れば自民党は断固として菅政権とは手を組めなくなる。参議院で問責決議案を出す可能性が高まる。そうなれば法案は1本も通らなくなる。総理に参議院を「解散」する権限はないから、政権はそこで立ち往生する。
 また合意書には「辞任」の文字がない事から、菅総理は鳩山前総理とは異なる解釈をしてさらなる延命を図ろうとした。これに鳩山前総理が「うそつき」と応じた。海水注入問題と同様の「言った」、「言わない」が繰り返され、菅総理の体質が国民の目にさらされる事になった。
 菅総理の「退陣表明」を聞いて小沢氏は「撃ち方やめ」を指示し、不信任案は否決され、「解散・総選挙」による「政治空白」は避けられた。今後不信任案が提出される事はないから「解散・総選挙」が行なわれる事はなくなった。しかしこの一連の出来事で菅総理の首は次第に締められていくのである。延命のためにもがけばもがくほどきつく絞まる可能性がある。
 この国では「民主主義」をまともに教えていないから、民主政治について国民の多くはとんでもない勘違いをしている。「政局はけしからん」とか「権力闘争ばかりしてなんだ」と言うが、民主主義政治とは国民を守るために権力闘争をする事を言うのである。国民に主権があると言う事は、自分たちの生活を守ってくれないと思ったら、権力者を「ころころ変える」権利があるという事である。
 しかしそれが国民に理解されていない以上、常道ではない仕掛けをして、誰が与野党一致の政治体制の構築を阻んでいるのかを、国民の目に見えるようにしていかなければならない。それが今回の不信任案の否決で始まったと私は見ている。
........................
菅内閣不信任案否決「死刑に執行猶予がついただけ」―中国
サーチナ2011/06/03(金) 09:51
 自民党などが国会に提出した菅内閣不信任案は2日、反対多数で否決された。決議直前に代議士総会を開いて党内団結による方案否決を確認した民主党だったが、菅首相の退陣時期を巡って早くも団結にほころびが生じた。中国日報は不信任案の否決について「死刑に執行猶予がついただけ」とする評論記事を掲載した。
 2日正午に行なわれた民主党代議士総会で菅首相が一定期間後の退陣を表明した。その意図について、「震災処理が一段落した後で支持率の低い菅首相に対する圧力がより一層高まるとの認識からでたもの」と論じた。
 民主党が土壇場で団結し、各派が大局を重視したというより「利益好感をした結果とみるのが妥当」分析。しかし、菅首相に近い新世代グループと鳩山・小沢両氏の派閥との関係は不透明であり、「場外取引」が功を奏したかは断定することができないと論じた。今後の補欠選挙などで連敗し、党内の亀裂がさらに深まり、ついには「平成時代に日常茶飯事となった政党の離合」という事態に至れば、菅内閣や民主党政権はこれ以上ない災難となるだろうとした。
 このようなことから、今回の「ギリギリの倒閣逃れ」は「死刑に執行猶予がついたに過ぎない」とまとめた。(編集担当:柳川俊之)

原発の全面停止を決めたドイツ 欧州全体に悪影響、得するのはフランスか

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原発の全面停止を決めたドイツ 欧州全体に悪影響、得するのはフランスか
2011.06.06(Mon)Financial Times
 フランスのニコラ・サルコジ大統領は先月、世界第5位の規模を誇る同国北部のグラブリーヌ原子力発電所を訪問中に、原子力業界に対するコミットメントを新たにし、フクシマ後の原子力の安全性に対する不安を「古臭い」「不合理な」ものと評した。
 サルコジ大統領は具体的な名前を挙げなかったが、誰のことを念頭に置いていたかは想像に難くない。
 サルコジ大統領が原子力を巡ってドイツと同国のアンゲラ・メルケル首相を攻撃するのは、決して今回が初めてではない。フランスの原子力グループ、アレバに出資したいという独シーメンスの要請を、単にドイツが原発を一時停止したという理由でサルコジ大統領が拒否した時のことを思い出すといい。
 今、メルケル首相はさらにその先まで踏む込むことを決めた。首相は先日、2022年までにすべての原発を廃棄することを突然決定したのだ。これは、国内に17基ある原発の閉鎖を延期するという、わずか9カ月前の決定を覆すものだ。今回の決定は、フランスだけでなく、他の多くの工業国でも困惑を持って迎えられた。
*多くの人を驚かせたメルケル首相の翻意
 これらすべての国にとって、メルケル首相の決定はいくつかの理由で驚くべきものだ。第1に、このような急激な態度の変化は、ポピュリスト的な政治以外に、ほとんど論理的説明がないように見える。
 第2に、このことがドイツの長期的見通しにとって何を意味するかについて、全く考察されなかったことは明らかだ。再生可能エネルギーを2倍に増やすと発表し、これでドイツは緑の革命の先頭を走ると主張するのは簡単だ。だが、実際には、そこに到達するまでの道のりは、費用がかかるうえ、リスクが多く、極めて不確かだ。
 再生可能エネルギーはまだ主流の技術を使っていない。このため専門家たちは、再生可能エネルギーに一気にシフトする取り組みは、企業のコストを押し上げるとの見方で概ね一致している。消費者も光熱費の急増に見舞われる。ドイツは緑の革命が効果を上げ始めるまで、隣国のフランスから一層多くの電力を輸入せざるを得ないからだ。
 フランスの高官らによると、ドイツは既に4月だけでフランスから電力輸入を43%増やしており、追加費用は約6000万ユーロ(8660万ドル)に上ったという。
 そのため、もしメルケル首相が、原子力に関する方向転換によって短期的な政治的利益を得ることを目論んでいるのだとすれば、首相は、そうした短期的なコストが最終的には自身や自分の党、自国にとって極めて高い代償となりかねないことに気づかされるかもしれない。
*ドイツは欧州の中でも特別だが・・・
 メルケル首相に公正を期すために言えば、ドイツは特別なケースだ。
 何しろ、同国では緑の党がとりわけ強い力を持ち、世論が原子力に熱心だったことは一度としてない。実際、熱心どころか、全く逆だ。選挙で選ばれた政治家が国民の意志に逆らってできることには明らかに限界がある。
 だが、メルケル首相は、ドイツがより持続可能で環境に優しいエネルギー政策を策定するまでの「原子力の架け橋」になるはずだったものを、あれほど素早く放棄することで自らが直面する潜在的な危険性にも注意すべきだ。
 というのも、今回の決定の結果としてドイツが直面する可能性の高い中期的な経済問題がどのようなものであれ、欧州にとっては、問題はさらに深刻で、もっと即時性を持ったものだからだ。
 経験豊富な日本の外交官で、パリの国際エネルギー機関(IEA)の事務局長を務める田中伸男氏は、ドイツの一匹狼的な政策は、欧州全体を結び付けている電力網を不安定化させかねないと警鐘を鳴らしている。「これはドイツの問題ではなく、欧州の問題だ」と田中氏は言う。
*欧州全土に大きな影響
 ドイツは、単に近隣諸国から原子力で発電された電力を輸入する羽目になるだけではない。ドイツは、従来よりはるかに多くのガス(恐らくロシアから輸入されるため、ロシア政府への依存が一段と高まる)、石炭、石油も輸入しなければならなくなる。これは必然的に、ほかのすべての国にとっても資源の価格を押し上げることになる。
 そのため、ドイツの一方的な決定は、ドイツの産業だけでなく、少なくとも米ドルに対して過大評価されている通貨ユーロから既に圧力を受けている欧州全体の競争力にも影響を及ぼす可能性がある。
 そのことはまた、共通のエネルギー政策を持たない欧州の明らかな弱点も示している。欧州諸国にこれほどの悪影響を及ぼしかねない時に、ドイツがこのような決定を一方的に下せたという事実は、またしても、欧州統合の限界を露呈している。
 事実、ドイツは過去1年間、幾度となく自国の利益を欧州全体の利益より優先させてきたように見える。
 ある意味では、ドイツは、欧州のリーダーシップの中で正当な地位を得ているにすぎない。だが、ドイツは今回のような決定によって、国内政治がドイツの欧州ビジョンと指導者としての役割に暗い影を落とすのをみすみす許しているように見える。
*フランスは次世代EPRの建設にゴーサインを出すか?
 一方、フランスにとっては、自らが表明した原子力の信念に従い、フランス北東部のペンリーで2基目の次世代EPR(欧州加圧水型)原子炉の建設にゴーサインを出すのであれば、小さな明るい材料が出てくるかもしれない。
 フランスがこのプロジェクトのための巨額の財源と政治的意志に責任を持つ覚悟があるのなら、フランスは、原子力に挑戦する準備ができていない国々に電力を輸出することで、欧州の原子力工場としての役割を増強できるかもしれないのだ。
By Paul Betts
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映画「100,000年後の安全」地下500? 核のごみ隠すオンカロ/原発から出た放射性廃棄物を10万年後まで保管2011-06-01 | 地震/原発

難解だが、「小沢一郎」の人間力/周りの人たちは小沢に惚れ込み、仕えている。彼はウソをつかない。

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菅首相にとどめを刺す寸前だった小沢一郎の「人間力」
現代ビジネス 田崎史郎
「ニュースの深層」(2011.06.06)
 民主党首脳部もわたしたちも、民主党元代表・小沢一郎のパワーを小さく見過ぎているのではなかろうか。今回の「内閣不信任案政局」を見ていて、そう思った。
 たしかに、最後は前首相・鳩山由紀夫にはしごを外されたために、内閣不信任決議案可決に至らず、首相・菅直人にとどめを刺すことはできなかった。しかし、民主党内で造反組が小沢グループを中心にして可決に必要な80人前後に積み上がってくると予測した人はどれくらいいただろうか? なぜ、小沢の意向でこれだけの衆院議員が動くのだろうか?
 小沢の動きは分かりづらい。しかし、こと政局のことに関して、彼はウソをつかない。彼の発する言葉を注意深く観察していれば、どんな行動を取るか、おおよその察しはつく。
 小沢は本気だと思ったのは、統一地方選前半戦が終了した直後の4月13日に、小沢が発表した短い「見解」だった。
「地震、津波による被災者の方々への対応は遅々として進んでいません。また、福島第1原発の初動対応の遅れをはじめ、菅直人首相自身のリーダーシップの見えないままの無責任な内閣の対応は、今後、さらなる災禍を招きかねない状況となっています」
 この見解で、小沢は菅政権が続くことが「さらなる災禍を招く」と表明した。明らかな菅政権打倒宣言である。その3日後、小沢はインターネット番組に出演し、「最近の心境としては、自分自身のことや民主党政権うんぬんのレベルではない。このままだと大変だと分かっていながら傍観しているのは、歴史の批判に堪えられない」と語った。
 この段階で、菅を支える人たちはその異常に気付き、対策を打たなければならない。小沢は、民主党結束へのこだわりを喪失し、ここで動かないことは「歴史の批判に堪えられない」とまで語ったのだから。
 しかし、鳩山が小沢に4月29日、倒閣回避を要請し、小沢が「連休中に熟慮する」と答えたことが政権側の楽観論に拍車を掛けた。
 小沢が連休中の5月5日、千葉県一宮町で地元の漁業関係者との懇談で「今までは我慢してきたが、これからは行動する」と決意表明していたにもかかわらず、だ。
 菅政権側が対策を打ち始めたのは、自民、公明両党が内閣不信任案の早期提出に向けて調整を開始した5月23日以降のことだ。それでも同25日夜、党執行部の1人に情勢を聞くと、楽観的だった。
「不信任案に賛成するのは30人以下と思っている。会派離脱申請組の16人を含めてそれぐらいだ。あと欠席組がちょぼちょぼ。読みが甘かったにしても、40人ぐらいだろう。署名はそんなにあつまっていない。署名しているのはせいぜい50人程度。このうち、署名しただけで賛成はしない、という人がいる」
*「小沢切り」に失敗した執行部
 この1週間後には造反組は執行部が想定した倍に膨れあがっていた。これを目の当たりにした自民党幹部は「小沢はすごい。何の権力も持っていないのに、首相を辞めさせる寸前にまで追い込んだのだから」と語った。
 しかし、小沢と敵対する政権側には、小沢の力をできるだけ低く見ようという思いが強い。敵の戦力を見誤ることは敗北につながる。小沢の力を過小評価することは昨年夏の民主党代表選当時と同じであり、菅らは何度も失敗しているのにまた同じ失敗を繰り返している。
 小沢の力の淵源を解説するのに、「選挙とカネ」と説明すると分かりやすいが、それで分かった気になるのは、少し違うのではないかと思う。現在の小沢は、民主党内で蚊帳の外に置かれ、選挙の面倒を見られるわけでも、金をまけるわけでもない。前回の総選挙で世話になったといっても、それは代表選での投票で十分に返している。
 政治家には、人に仕えるタイプと、ポストに仕えるタイプがいる。菅の周りにいる人たちはほとんど、その役職に就いているから菅を支えるというポストに仕えるタイプだ。これに対し、小沢の周りにいる人たちは小沢に惚れ込み、仕えている。
 その求心力をもたらしているのはおそらく小沢の「人間力」だ。菅の人間力はないに等しいが、小沢には十分にあると見なければ、この政局における議員の動きを理解することができないのではないか。
 それにうすうす気付いているからこそ、幹事長・岡田克也ら執行部側は、小沢が本会議を欠席したことを理由にして、除籍(除名)処分に踏み切ろうとした。しかし、参院議員会長・輿石東の反発に遭って失敗に終わった。言い換えると、「小沢切り」に失敗した。
 それでも、執行部側は「小沢の力は落ちていくから心配ない」と言う。そんな甘いことを言っていると、次の政局でふたたび肝を冷やすことになるのではないか。(敬称略)
*強調(太字)は、来栖
....................
〈筆者プロフィール〉
田崎史郎(たざき・しろう)
 時事通信社解説委員長。1950年、福井県生まれ。時事通信入社後、政治部エース記者として活躍するなど、30年を超える政界取材を もとにした分析には定評がある。『梶山静六 死に顔に笑みをたたえて』(講談社刊)ほか 著書多数。テレビ朝日系「報道ステーション」でもコメンテーターを務める。
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WSJ(ウォール・ストリート・ジャーナル)2011/5/27 小沢一郎元民主党代表インタビュー「天命に遊ぶ」政治/検察/メディア/小沢一郎
「誰が小沢一郎を殺すのか?」日本の人格破壊システム/政治資金規正法を皆さん勘違い2011-06-01
「小沢一郎氏記者会見」2011年3月3日自由報道協会主催 
「16人の会派離脱」好感=平野貞夫元参院議員=達増拓也岩手県知事/上杉 隆2011-02-18 | 政治/検察/メディア/小沢一郎
仲間を追及し、『総括』としてリンチ殺人、国民との契約破る狂気の菅執行部に民主議員16人が反旗=会派離脱2011-02-17 
河村たかし市長・大村秀章知事、小沢一郎氏と会談/稲盛和夫氏、民主党に愛想をつかす2011-02-08 
ニコニコニュース 小沢一郎記者会見 一問一答2011-01-28 
菅政権は早くもアメリカと官僚に膝を屈した。これでは何のための政権交代だったのか2011-01-19 
菅原文太「日本人の底力」 ゲスト小沢一郎:百術は一誠に如かず2010-12-27 
民主党大会 小沢氏演説=この理念に沿った政治をこの国が渇望しないはずがない2010-09-15 | 政治/検察/メディア/小沢一郎

「菅政権は去年の参院選以後、王道を歩まず、邪道に邪道を重ねた」達増拓也 岩手県知事

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菅首相退陣で復興連合政権の樹立を!
日本一新の会 達増拓也(岩手県知事)
 ついに菅首相が退陣することになった。
 やはり、参院選で大敗し、民意による不信任を受けた首相が、自ら作ってしまった「ねじれ国会」を切り盛りして政権を運営するということが、無理だったのだ。
 宇野宗佑首相、橋本龍太郎首相は、参院選大敗で「ねじれ国会」を作ってしまった際に、すぐに退陣した。その後にそれぞれ自公民路線、自自連立ができて、自衛隊のカンボジアPKO派遣や日本経済の景気回復という難局に取り組んだ。一方、安倍晋三首相はすぐに退陣をせず、政権は行き詰って、後になって結局退陣することになった。
 参議院の多数に支えられずに、政権を運営することは、まず無理なのだ。まして、選挙で参議院の多数を失った首相が、そのまま首相に居座ろうとすることは、どだい無理なのだ。退陣こそ王道だ。
 菅政権は去年の参院選以後、王道を歩まず、邪道に邪道を重ねた。もともと自民党の主張だった消費税引き上げを内閣の目玉政策にした。TPP参加という、大向こうのウケをねらうような新政策を突然ぶち上げた。党の代表選挙で次点となった有力者である小沢一郎氏を排斥し、マスコミ論調や自民党などの一部に媚を売ろうとした。
 これらの邪道路線は、去年の参院選の民意に反するだけではなく、「生活が第一」マニフェストで政権交代を実現させた一昨年の衆院選の民意をも裏切るものだった。民意に反したことに加えて、一方で自民党などを愚弄して不信と怒りを買い、もう一方で政権交代の盟友を虐げてきた。この邪道路線が、大震災後の対策にも深刻な影を落とし、内閣不信任案の可決やむなしという状況をもたらし、菅首相退陣という当然の結果になったのだ。
 ついては、一日も早く、衆参両院の過半数に支えられた、強力な内閣を作って欲しい。復興連合政権の樹立である。そして、被災者支援、復旧・復興を力強く進めて欲しい。原発事故の収束も、もちろんだ。
 ここで、民主党には猛省を求めたい。去年秋の代表選挙で菅首相の続投を決め、邪道路線にお墨付きを与えたことは、民主党全体の罪である。邪道路線に対して抵抗する民主党内有志が存在し、その粘り強い運動が今回の内閣不信任案可決やむなしから菅首相退陣への流れを作ったということは評価できる。しかし、邪道路線が国の政策をぐちゃぐちゃにし、そして大災害への対応を鈍らせた罪は、極めて重い。その罪は下野に値するほどだ。
 菅首相の次の総理大臣を当然民主党から出せるとは、思うべきではない。邪道路線を推進してきた菅内閣の閣僚や党幹部が、復興連合政権の首相になるべきではない。自民党やその他の党から総理大臣を出す方が、筋が通る局面である。
 なお、民主党の「生活が第一」マニフェストは、一昨年の衆院選で圧倒的な国民の支持を受けたのであり、その全面的放棄を自民党などが求めるのは、自重すべきだ。被災者支援や復旧・復興を進めるにあたり、「生活が第一」という理念はますます重要である。他方、大震災という緊急事態において、マニフェストに掲げた政策の内容を修正したり、優先順位を変えることは、当然必要である。超党派で、国民本位の議論をして、復興連合政権の基本政策を決めて欲しい。
 最後になるが、内閣不信任案に賛成した松木、横粂両議員を民主党が処分するのは、おかしい。菅首相本人が退陣すると言うのだから、首相の退陣を求める内閣不信任案に賛成するのは、首相の意に沿う。菅首相が退陣を決断した時点で、民主党の幹事長なり国対委員長なりが、自民党などに内閣不信任案の撤回を求めるべきであった。どうせ首相は辞めるのだから。そうすれば採決をする必要はなかった。意味のない採決であった。
 内閣不信任案を提出し、賛成した自民党などともこれから連携しようというのだから、松木、横粂両議員を罰するのは本当におかしい。邪道である。
 一日も早く邪道に決別し、政治の王道を歩み、被災者支援と復旧・復興、そして原発事故の収束を力強く進めていただきたい。
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■日本一新の会事務局からのお知らせ
 皆さんにご愛読いただき、そのコメント数も少なくなかった平野論説、そして地方行政の現場からの発言であった達増論説は、いずれも「メルマガ・日本一新」からの転載でした。
 この1年、全号がTHE JOURNALに転載された「メルマガ・日本一新」はさまざまな階層の方に読まれている様子が事務局や平野代表の元に届いていますが、諸般の事情により以後は随時転載となります。
 継続して全号のご購読をご希望の方は、 http://www.nipponissin.com/regist/mail.cgi からの仮登録、または問合せ窓口、 info@nipponissin.com までご一報をお願い申し上げます。
《THE JOURNAL》編集部 2011年6月6日18:14
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*強調(太字)は、来栖
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「小沢一郎」の人間力/周りの人たちは小沢に惚れ込み、仕えている。彼はウソをつかない。2011-06-06 
WSJ(ウォール・ストリート・ジャーナル)2011/5/27 小沢一郎元民主党代表インタビュー「天命に遊ぶ」2011-06-03 | 政治/検察/メディア/小沢一郎 
日本で人気がある排除の論理=何かに反対することで自分を売り込む<アンチ左、アンチ右、反小沢>2010-10-12 | 政治/検察/メディア/小沢一郎
「16人の会派離脱」好感=平野貞夫元参院議員=達増拓也岩手県知事/上杉 隆2011-02-18 | 政治/検察/メディア/小沢一郎

原発:停止拡大

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原発:停止拡大 代替火力負担2兆円 各社、燃料調達に躍起 電力料金転嫁の可能性も
 東京電力福島第1原発事故を契機とする「原発不信」の広がりは、全国的な電力供給不安と2兆円規模のコスト増に波及するおそれが出てきた。住民の安全を預かる立地自治体は一段の安全対策が示されないと停止中の原発の運転再開を容認できず、電力各社は原発停止に伴う代替火力の燃料調達やコスト削減に懸命だ。国の対応が遅れて運転停止が長期化すれば供給不安やコスト増によるツケが電力料金転嫁など利用者に回る懸念がある。
 「なんとか原油を回してもらえないか」。菅直人首相の浜岡原発停止要請以降、九州電力の担当者は火力発電用の原油や液化天然ガス(LNG)調達に向け、石油元売り会社などとの交渉を重ねてきた。
 九電の夏の供給計画は、定期検査中の玄海原発(佐賀県玄海町)2、3号機と川内原発(鹿児島県薩摩川内市)1号機の運転再開が前提だったが、地元自治体が「福島第1原発の地震による被害の有無や、浜岡原発だけ停止したことの説明が必要」(佐賀県の古川康知事)などとして、再開に「待った」をかけた。
 代替火力の燃料不足で、一時は夏のピーク需要1669万キロワットに対し449万キロワットの不足が危ぶまれた。先週末に調達のめどがついたものの、1日10億円規模のコスト増がのしかかる。浜岡原発を停止した中部電力も、三田敏雄会長自ら5月に2度、中東カタールを訪問しLNGを確保したが、コスト増は年間2500億円に上る。
 ただ、「経営努力をせずに電気代に転嫁するのは理解を得られない」(電気事業連合会幹部)として、各社とも当面、火力燃料の調達増に伴う値上げは見送る方針だ。燃料の契約期間を長期化して価格を割り引いてもらったり、設備の修繕工法を工夫して工期を短縮化するなどの経費削減を進め、「それでも吸収できなければ内部留保を取り崩す」(中部電幹部)。一方で「原発停止が長期化すれば、利用者に(値上げを)お願いするかもしれない」との声も漏れる。
 発電量の半分を原発頼みの関西電力は、火力発電の設備そのものが足りず、「コストをかけて燃料を調達したからといって、電力を確保できるわけではない」(幹部)のが悩みだ。このため九州電力などに燃料を提供する代わりに、電力を融通してもらう手法も検討している。【太田圭介、丸山進、横山三加子】
 ◇原発再開に自治体難色 安全確保、国の姿勢に不信
 立地自治体が原発の運転再開に難色を示す背景には、菅首相が中部電力浜岡原発だけを停止させた判断への不信感がある。政府は大地震の発生確率が突出する浜岡だけ切り離し、他の原発の運転を継続する方針だが、活断層や老朽化などの課題に直面する立地自治体は「地元の原発の安全担保にはならない」と懐疑的だ。
 首相が浜岡停止を要請した根拠は「30年以内にマグニチュード8程度の東海地震の発生確率が87%」との分析だ。しかし、島根原発の地元松江市の小川真原子力安全対策課長は「福島第1原発は0%だった。確率論だけでは区別できない」と指摘する。島根原発周辺で活断層が確認されたのは1号機運転開始から20年以上後だった。
 従来の知見だけで安全と言い切るにはリスクが大きい。松浦正敬・松江市長は「(政府に)きちんと説明してもらわないと市民は不安。(定期検査中の1号機再開は)判断を下せる状況にない」と言い切る。東電柏崎刈羽原発では、新潟県中越沖地震で想定を超える揺れを観測した。柏崎市の会田洋市長は「福島事故の原因を究明し、国が安全対策を出す必要がある」と指摘する。
 商業炉13基が立地する福井県では、日本原子力発電敦賀1号機と関電美浜1号機が運転開始から40年を超え、老朽化した原子炉の安全確保が課題だ。西川一誠知事は「定期検査中の原発の安全が喫緊の課題だ」と強調。福島原発事故の検証をもとに、各原発の問題に応じた新たな安全対策を講じることが先決と訴える。
 法的には運転再開に地元同意は必要ないが、プルサーマルや増設などの課題を抱える電力大手は自治体の意向に従わざるを得ない。事故収束が政府・東電のシナリオ通り進むか見通せず、対策取りまとめには時間がかかりそうだ。【日野創、宮地佳那子、安藤大介】
毎日新聞 2011年6月7日 東京朝刊
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《ちらつく原発タブー》 不信任案否決されたが、「菅降ろし」なぜ起きた2011-06-03 | 地震/原発
原発の「ごみ」行き場なく/「核半島」六ヶ所村再処理工場/東通原発/大間原発/核燃料 中間貯蔵施設2011-04-28
映画「100,000年後の安全」地下500? 核のごみ隠すオンカロ/原発から出た放射性廃棄物を10万年後まで保管2011-06-01 | 地震/原発
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〈来栖の独白〉
 記事とは無関係の私事で恐縮だが、当エントリは新しいパソコンになって初投稿である。試投稿とも云えて、かなりの緊張感を覚えながら作成した。2011/06/08Wed.21:44


「小沢待望論」再燃 ヤフー、WSJ日本版「次の首相」調査で、トップ

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「小沢待望論」再燃
日刊ゲンダイ2011年6月8日
「次の首相」ヤフー調査で1位
●若造では不安だらけ
 菅首相が不気味なぐらい地位に執着する政局で、小沢元代表に対する期待が高まっている。
 例えばヤフーが実施している「次の首相にふさわしいと思う政治家」の調査。小沢は26%の得票率でトップに立っている。ウォール・ストリート・ジャーナル日本版のネット投票では、現在75%の支持を集めダントツだ。サンデー毎日が今週号(6月19日号)でやっていた脳科学者・茂木健一郎氏とお笑いコンビ・サンドウィッチマンの対談でも「あの人(小沢)ほど東北を知っている人はいない」と首相待望論を展開していた。政治評論家の有馬晴海氏が言う。
 「小沢さんは国民に支持されていないし、人気があるのは永田町だけ。そんな解説をする人もいますが、現実は、まったく違います。大手マスコミの調査でも、小沢さんは必ず上位にランクインする。政治とカネの問題など、いろんなマイナス要素について質問された後でも、“小沢”と答える人が多いのです。周りがクールビズでもスーツを着込み、ネクタイすら外さない。こだわりや信念はハンパではないし、リーダーシップも十分。政界がどん詰まりになればなるほど、政界一の剛腕に期待する声が高まるのは当然です」
 大手マスコミは、前原前外相や枝野官房長官の名前を出して煽っている。しかし、偽メールにだまされたり、バカのひとつ覚えのように「直ちに問題はない」と繰り返したりする若造に、いったい、何ができるのか。冷静に考えれば、不安だらけだ。
 「小沢嫌いの大マスコミは、不信任案の採決で欠席したことを批判し、“小沢も落ちたものだ”と嫌みたっぷりです。小沢外しの大連立構想をうれしそうに報じている。でも、この政局で菅を追い込んだのは小沢さんです。造反はせいぜい20人と予想された中、投票前夜に70人を集め、執行部を慌てさせた。ポスト菅騒動は高みの見物。グループの議員と会合を重ね、結束を維持しながら、次の一手のタイミングを見計らっています」(民主党関係者)
 不毛な政治空白をなくすには、小沢しかいない。まともな国民も、そう感じているのだ。
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「小沢一郎」の人間力/周りの人たちは小沢に惚れ込み、仕えている。彼はウソをつかない。2011-06-06 | 政治/検察/メディア/小沢一郎
WSJ(ウォール・ストリート・ジャーナル)2011/5/27 小沢一郎元民主党代表インタビュー「天命に遊ぶ」2011-06-03 | 政治/検察/メディア/小沢一郎
「誰が小沢一郎を殺すのか?」日本の人格破壊システム/政治資金規正法を皆さん勘違い2011-06-01 | 政治/検察/メディア/小沢一郎
「菅政権は去年の参院選以後、王道を歩まず、邪道に邪道を重ねた」達増拓也 岩手県知事2011-06-06 | 政治
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〈来栖の独白〉
 ウォール・ストリート・ジャーナル日本版のネット投票では、私も小沢さんに1票を投じた。しかし、いま総理になるのは、あまりにリスクが高い。

週刊文春 森功氏による「小沢有罪の3点セットが揃った!」の記事中、森ゆうこ氏に関し事実とは異なる内容

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森ゆうこ氏が週刊文春の記事に反論!
 『週刊文春』6月2日号に掲載されたノンフィクションライターの森功氏による記事「"小沢有罪"の3点セットが揃った!」のなかで、民主党の森ゆうこ参院議員に関する記述が事実と異なるとして問題となっている。記事中には森ゆうこ氏の写真とともに「裁判長に注意された森ゆうこ議員」というキャプションがつけられていて、御一行を引き連れて裁判を傍聴していたかのような記述もあるが、森ゆうこ氏によると「そういった事実はまったくない」として週刊文春に強く抗議したという。この件について森ゆうこ氏からコメントが届いたので、以下に掲載する。
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森ゆうこ氏(民主党参院議員)
 週刊文春6月2日号に森功氏が執筆した「"小沢有罪"の3点セットが揃った!」で私に関して下記のとおりの記述がありますが、事実とは異なるため、週刊文春に抗議しました。
 4月27日の第10回公判。水谷建設元社長の川村の証人出廷だ。裏金を渡した張本人だけあって、小沢陣営も気が気でなかったに違いない。この日は永田町の小沢ガールズまで法廷に駆けつけていた。
  アハハ・・・・・・。ふだんは静かな法定内に、下品な笑い声が響く。誰かと思えば、森ゆうこ参議院議員とその御一行だ。川村の証言を揶揄するかのような態度に、裁判長から、「静かにして」と、たしなめられる一幕まであった。ただし、公判は順調に進んだ。
  ここに書かれている内容のすべては捏造であり、事実ではありません。
 第一に、私が4月27日の第10回公判で行われた川村氏の証言を傍聴したという事実はありません。傍聴したのは石川知裕議員の女性秘書が証言を行った第9回公判で、それは4月22日の午後に行われたものです。
 第9回公判を傍聴したのは、私自身が検察官適格審査会の委員であり、昨今問題となっている検察の取り調べの実態について、女性秘書の証言を聞きにいくためでした。ましてや「御一行」を引き連れて行ったという事実もありません。そのほか、この記事では私の写真に「裁判長に注意された森ゆうこ議員」というキャプションまでつけて掲載していますが、第10回はもちろんのこと、第9回公判でも裁判長が「静かにして」と私に注意したという事実もありません。
 政治家という公的な仕事に関わる者として、政治活動がメディアから批判されることは覚悟しています。しかし、この記事に掲載されている内容はまったくの捏造であり、絶対に看過できないため週刊文春に強く抗議しました。
 ところが、週刊文春は第10回公判に私が傍聴していないことは認めたものの、第9回公判で裁判長から注意されたことや「御一行」という記述については訂正していません。
 「御一行」という表現は、おそらく、公判の空き時間に傍聴者の方々が私に話しかけてきたものを、森功氏が勝手に勘違いして記事にしたものと思われます。事実は、私自身はその方々とお会いするのは初めてで、陸山会事件における検察の捜査に疑問を持っていたために、私に話しかけてきたのです。そういう一般市民の方を、あたかも国会議員の指示によって傍聴していたかのように連想させる「御一行」という記述は、とうてい許せるものではありません。
 また、「御一行」の事実は私が否定していて、傍聴者にも事実関係を確認すればすぐに間違いであるとわかることです。しかし、それすらしていないということは、週刊文春は記事を掲載するにあたって事実関係を重視せず、仮に間違えても再確認しないことの証左です。このようなスタンスで記事を掲載している以上、この記事全体に信憑性があるはずもありません。
 そもそも、石川知裕議員をはじめ小沢一郎議員の元秘書が3人も逮捕された陸山会事件は、いったい何の事件だったのでしょうか。そこがあいまいなまま、「小沢一郎は金に汚い」というイメージだけで捜査が行われ、しかも報道機関がそれに追随し、今回のような記事が氾濫しています。国民はこの事件について間違ったイメージをすり込まれていて、その結果、検察審査会の議決にも影響を与え、小沢一郎議員が強制起訴されるという恐ろしいことになっています。
 こういう記事が出ることは、政治家の自由な活動を不当な悪意で抹殺することで、日本の民主主義にとって重大な危機です。
 一方、悪意ある記事を流すメディアがあるなかで、検察問題や原子力事故の問題では、当局が隠そうとしていても、市井の人々や研究者などが独自に調査をし、その結果をインターネットで発信していることが支持を受けています。これらの動きは大きな希望だと思いますので、私は、こういった方たちとともに行動していきたいと考えています。
 私は、今回の悪意ある記事に影響されることなく、今後も検察の取り調べの正当性や検察審査会の問題について、徹底追及していくつもりです。
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ロッキード事件に酷似 陸山会事件公判 (川村尚)証人が具体的に述べれば述べるほど低下するリアリティ2011-04-28 | 政治/検察/メディア/小沢一郎

君が代起立斉唱義務付け条例:大阪府議会/政党政治が崩れる〜透けるポピュリズム

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君が代起立斉唱義務付け条例:大阪府議会で成立 教員に義務付け−−全国初
 大阪府内の公立学校教職員に君が代の起立斉唱を義務付ける全国初の条例が3日、府議会本会議で成立した。橋下徹知事が率いる首長政党「大阪維新の会」府議団が提出。公明、自民、民主、共産は反対したが、過半数を占める維新や、みんなの党などによる賛成多数で可決された。橋下知事は、不起立を繰り返す教職員の懲戒免職を盛り込んだ処分基準を定める条例案を9月府議会に提出する方針を示している。
 条例は「我が国と郷土を愛する意識の高揚」「服務規律の厳格化」などを目的に掲げ、府立と政令市を含む市町村立の小中高校、特別支援学校の教職員を対象としている。
 「学校の行事において行われる国歌の斉唱にあっては起立により斉唱を行うものとする」と明記し、府施設での国旗の常時掲揚も義務付けた。罰則規定はない。
 討論で、維新は「模範となるべき教職員が繰り返し職務命令違反する行為が子供に与える影響は計り知れない」と必要性を強調。これに対し、公明は「条例よりも職務命令など管理監督を徹底すればすむ」、自民、民主も「条例化の必要はない」などと反論した。自民が提出した国旗の常時掲揚だけを義務付ける条例案は否決された。【高山祐、堀文彦、佐藤慶】毎日新聞 2011年6月4日 東京朝刊
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君が代条例案 自治の土台が揺らぐ
 行き過ぎた対応としか思えない。
 大阪府の橋下徹知事が代表を務める「大阪維新の会」の府議団が、君が代の斉唱時に教員に起立、斉唱を義務付ける条例案を提出した。大阪府は今後、違反した教員の処分基準を定める方針も示している。
 知事は「国旗国歌を否定するなら、公務員を辞めればいい」「職務命令に関しての思想信条の自由は認められない」と繰り返し主張している。何が目的なのか、これでは説明が足りない。
 憲法は思想良心の自由を保障し、教育基本法は教育への不当な支配を禁じている。国旗国歌法が成立したのは1999年。当時の政府が「内心に立ち入ってまで強制するという趣旨ではない」と明言したことを踏まえれば、条例化は適当とは言えない。知事と府議団に再検討を求める。(信濃毎日新聞5月27日)
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君が代訴訟 少数者の「心」も大事に
中日新聞 社説 2011年5月31日
 君が代斉唱時の起立命令は憲法に反しないと、最高裁が断じた。大阪府では起立・斉唱を義務化する条例案が提出されたばかりだ。国旗・国歌については、おおらかに考えてもいいのではないか。
 不起立を貫く教員は、東京ではいまや少数者である。昨年度の卒業式で処分を受けたのは、六人にすぎない。二〇〇三年度の処分者数は約百八十人で年々、激減した。〇三年に都教育委員会が出した「起立・斉唱」の通達が、いかに効力を発揮しているか歴然である。
 処分をめぐり数々の訴訟が起きた。〇四年に卒業式で起立せず、戒告処分を受けた元教諭のケースもその一つだ。不起立は「戦争の歴史を学ぶ在日朝鮮人、中国人の生徒に対し、教師としての良心が許さない」という意思だった。
 別の裁判の一審判決では「日の丸・君が代が軍国主義思想の精神的な支柱だったことは歴史的事実」と書かれたこともある。
 憲法一九条が保障した「思想・良心の自由」に抵触するかどうかが最大のポイントだった。最高裁は、校長が命じた起立・斉唱の行為を「慣例上の儀礼的な所作」という性質があり、「歴史観や世界観それ自体を否定するものではない」と合憲判断に導いた。
 懸念されるのは、大阪府の橋下徹知事率いる地域政党が、君が代の起立・斉唱を義務付ける全国初の条例案を提出したことだ。秋には複数回の違反で懲戒免職となる条例案の成立もめざしている。
 「公務員に(不起立の)自由なんてない」「三回違反すれば免職とするルールとすればいい」などと橋下知事は発言している。
 教員をクビにしてまで、君が代を押しつけることに、どんな深い意味があるのか。一九九九年の国旗国歌法が成立した際には、当時の小渕恵三首相は、わざわざ「新たに義務を課すものではない」と談話を発表した。野中広務官房長官も「むしろ静かに理解されていく環境が大切だ」と述べていた。少数者の思いを理解する寛容さがほしい。
 サッカーの国際試合やオリンピックなどで、大勢の国民が日の丸を振りつつ、君が代を口ずさむのは、決して誰かに強制されたものではないはずだ。
 判決の補足意見では「自発的な敬愛の対象となるような環境を整えることが重要」との一文があった。自然な方がいい。「歌え、歌え」と強制される君が代は、ややもすると「裏声」になる。
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君が代起立命令は合憲=最高裁/「思想・良心の自由を間接的に制約する面がある、との指摘は重い」橋下知事2011-05-30 | 政治
橋下徹大阪府知事 国歌起立条例案 これが民主主義だ2011-05-19 | 政治
「君が代起立」条例案 橋下・大阪府知事、不起立教員「辞めてもらう」2011-05-18 | 政治
大阪府立校など、国歌「起立義務付け」へ ルールを守らない教員は、処分も2011-05-15 | 政治
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〈来栖の独白〉
 本件に関しては、信濃毎日新聞も云う“憲法は思想良心の自由を保障し、教育基本法は教育への不当な支配を禁じている。国旗国歌法が成立したのは1999年。当時の政府が「内心に立ち入ってまで強制するという趣旨ではない」と明言したことを踏まえれば、条例化は適当とは言えない。”に尽くされているだろう。中日新聞の“判決の補足意見では「自発的な敬愛の対象となるような環境を整えることが重要」との一文があった。自然な方がいい。「歌え、歌え」と強制される君が代は、ややもすると「裏声」になる。”も、穏当だ。
 憂慮するのは、知事率いる地域政党が議会で多数を占め、いかなる理不尽、暴力的な案件であっても知事の思惑通りに成立するという事態だ。
 ところで、見過ごされてはならない重大なことがある。国際社会のなかの日本は、どうあるべきか、という問題だ。国防・安全保障のことだ。いずれ稿を改めたいと思っている。いまは、金美齢著『戦後日本人の忘れもの』から、わずかに引用しておきたい
p55〜
 もしそれを言うなら、世界で罪を犯していない「民族精神」など皆無だろう。中世北欧伝説(サガ)の英雄たちは、海上からヨーロッパ各地に侵入し、掠奪・征服をほしいままにするバイキングだった。
 スペインが誇る「探検家精神」にあふれた船長たちは、南米を侵略し、インカ文明を見ごと潰してしまった。「ジョンブル気質」横溢のイギリス将軍たちは、世界最大の植民地帝国を築いた。アメリカ人の「開拓者精神(フロンティア・スピリッツ)」はインディアンを殺し、ドイツ人の「ゲルマン魂」はユダヤ人を殺し、そして今日、中国人の「中華民族主義」は、チベット、ウィーグル地方、モンゴルなどに対する厚かましい植民地支配を正当化して恥じるところがない。
 このように、どの国も似たりよったりのあまり褒められない歴史を持っているわけだが、自国の歴史や民族に対する自虐的な捉え方において、日本人はいささか特別である。おそらく世界でもこのような国は絶無だろう。
 大体において、世界に類例のないような考え方というものは、押しなべて不健全だと私は思っているが、日本では一般にこのような自虐意識が正義であり、良心的であるとされている。
 日本人だけがなぜと、私はよく考える。日本人の国民性や歴史的条件などに部分的な解釈を見出すことも可能だが、最大の要因は、やはり日本が戦争に負けたことにある、と私は睨んでいる。
 もっとも、日本が戦争に勝っていたら「日本精神」がどうなっていたかと想像すると、このほうがもっとぞっとすることではあるが・・・。
 じつは、私が「日本精神」と呼ばれるものを嫌いな訳は、まさにそのあたりにある。そこには偏狭な、奇矯な、不寛容な空気が張りつめている。神がかった、バランスを欠いた、非合理的な精神状態が色濃く表出されている。
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11年度 中国国防予算案、前年度比12・7%増の約7兆5千億円/尖閣諸島:中国空軍2機が接近 空自が緊急発進2011-03-05 | 政治〈国防/安全保障/領土
中国、沖縄を「琉球自治区」に…世界へアピール2011-03-03 | 政治〈国防/安全保障/領土〉
「中国の『激変の日』に備えよ」 中国の異質性 『尖閣戦争 米中はさみ撃ちにあった日本』2011-03-03 | 政治〈国防/安全保障/領土〉
北方領土、ロシア側の呼び方「南千島」に / ロシア軍、北方領土にミサイルまで配備するか2011-03-02 | 政治〈国防/安全保障/領土 
鳩山氏の「方便」「抑止力」発言/憲法の前文、9条によって、尖閣は守れるか2011-02-16 | 政治〈国防/安全保障/領土〉
わずか数時間で日本は中国に占領されるぞ2011-02-04
中国の漁業監視船、再び尖閣へ 中国は国内法で尖閣諸島や西沙・南沙諸島を中国領土だと主張2011-01-28
新防衛大綱;「動的防衛力」へ/田母神俊雄著『田母神国軍』2010-12-17
自分の国は自分で守る決意/境外を保護するのは法律、正義、自由ではない。国際法も国力の強弱に依存2011-01-12
経済発展によるカネで軍拡を続ける中国 2010年度の国防予算は日本円で6兆292億円2011-01-10
一触即発の中国・朝鮮半島情勢。米・韓・中、そして北朝鮮とどう渡り合えばいいのか2011-01-12 田母神俊雄著『田母神国軍 たったこれだけで日本は普通の国になる』(産経新聞出版)
 p169〜
 我が国が核武装を目指す場合、国内的な合意を取ることが相当に難しいし、また核武装国はこれを邪魔しようとするでしょう。(略)
 日本の核アレルギーは相当なもので、核をアメリカに落とされたことも忘れてしまっているほどですが、1番の問題は、国民も政治家も核兵器がどういう兵器なのか、わかっていないということです。核兵器は先制攻撃に利用するものだと思われていますが、国際社会では「核兵器は防御の兵器」というのが常識です。
 核兵器はその破壊力があまりにも強大であるために、核戦争に勝者はいません。核で先制攻撃したところで必ず報復されますから、これもまた負けに等しい。
 ですから核は、「やれるならやってみろ、だけどやったら報復するぞ」と思わせておいて、実際は誰も使いはしないし、使わせもしないという“防御的”な兵器なのです。
 また、核兵器は、これまでの通常兵器のように戦力の均衡というものを必要としません。通常兵器の場合は、相手国が100で自国が1というほどの戦力差をつけられていれば、たとえ1を持っていようとも何の抑止にもなりません。しかし、核の場合は、アメリカやロシアがそれを何千発保有していようが、インドや北朝鮮が数発持つだけで十分に抑止力になります。
 日本の場合は、核武装について議論をするだけでも、核抑止力は向上します。外交交渉力も向上するのです。それだけでも、国際社会の中で日本の発言力は高まります。しかし、「核武装はしません」と公言した途端に、世界中から相手にされなくなるのです。(略)
 アメリカもロシアも、自分たち以外の国に核武装をさせたくないのが本音です。NPTという枠組みで世界的に核軍縮を呼びかけていますが、あれはタテマエでしかありません。アメリカもロシアも「核を廃絶する方向に行くよ」と単なるジェスチャーをしているの過ぎないのです。
 「私たちも核廃絶に向けて努力するのだから、いまから核武装しようとは考えないでください」ということで、本音は、「皆さんが核武装を考えなければ、私たち核保有国の優位は永遠に続きます」と言っているわけです。
 そんな核保有国の意図もわからずに、日本の首相はそれにまともに乗っかってしまう。2009年9月、ニューヨークの国連本部で開かれた核軍縮・核不拡散に関する安全保障理事会の会合で、鳩山由紀夫首相(当時)は非核三原則を堅持すると改めて宣言しました。
 鳩山さん本人は心の底から、そうすれば世界から尊敬されると思っているのだから重症です。当然ながら、世界中の国が、「馬鹿な首相もいるな」と思ったはずです。誰も言わないけれど、世界中の失笑を買ったのは明らかです。
 あの場では、「日本は唯一の被爆国だからこそ、二度と核攻撃されないためにも核武装する権利がある」と言うべきでした。鳩山氏、ひいては日本の政治家は、「国際政治を動かしているのが核兵器だ」ということを全く理解していないのだから、呆れるばかりです。

光市母子殺害事件 毎日新聞社の勝訴確定=実名本の著者(増田美智子さん)側の上告を棄却

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山口・光の母子殺害:実名本訴訟 毎日新聞社の勝訴確定
 山口県光市の母子殺害事件で、被告の元少年(30)=差し戻し控訴審で死刑、上告中=の実名を記した本の著者、増田美智子さん(30)ら2人が「社説で名誉を傷付けられた」として、毎日新聞社に賠償を求めた訴訟の上告審で、最高裁第3小法廷(岡部喜代子裁判長)は7日付で、著者側の上告を棄却する決定を出した。本社の勝訴とした2審判決(10年12月)が確定した。
 増田さんらは「(取材した)当事者に知らせることなく出版しようとした」などの社説の記述は事実に反すると提訴。1審の東京地裁判決(10年6月)と東京高裁判決はいずれも前提事実に誤りはないと認定。「社会的に議論のある問題を取り上げ、出版倫理の観点から問題提起している」と社説の公益性を認めた。
 ◇毎日新聞社社長室広報担当の話
 当社の主張が十分に認められた決定と受け止めています。
毎日新聞 2011年6月9日 東京朝刊
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光市母子殺害事件実名表記本「利益優先」「増刷行為=決定を待つのが出版倫理ではないか」2009-11-12 | 光市母子殺害事件
社説:光事件実名本 妥当な決定ではあるが
 少年事件における出版・表現の自由はどこまで認められるのか。99年に起きた山口県光市の母子殺害事件をめぐり、当時18歳だった被告の元少年(28)を実名表記したルポルタージュ本につい、広島地裁が元少年側の出版差し止めの仮処分申し立てを却下する決定をした。
 内容の一部に元少年に対するプライバシーの侵害行為はあるが、出版によって回復困難な損害を受けるとまでは認められない、というのが理由だ。検閲につながりかねない出版物の差し止めは、プライバシー侵害による損害の程度が極めて大きい場合に限定すべきだという従来の司法判断の延長線上の結論であり、妥当といえるのではないか。
 元少年は昨年4月、広島高裁の差し戻し控訴審で死刑を言い渡され、上告中だ。今、全国で最も注目される少年事件の被告といっていい。本は元少年の実名(名字)から「■■君を殺して何になる」というタイトルが付けられている。書名自体が、少年時の罪で起訴された者の実名表記を禁じる少年法に違反するため、出版界に波紋を呼び、先月7日の発売時の書店の対応も分かれた。
 著者はフリーのライターで、死刑判決以後、元少年と文通や面会を重ねたという。本は、そのやりとりや手紙の引用、元少年の父親や友人ら関係者への取材内容を中心に構成している。題名どおり元少年の死刑判決に懐疑的な内容だが、少年側の弁護団は反発した。原稿を事前に確認させる約束が守られず、内容も元少年の人格権を侵害すると主張した。
 決定は、事前に原稿を見せる約束があったとはいえないと判断し、差し止め請求は退けた。だが、今回の出版については、表現の自由が守られたと楽観できないのも事実だ。
 決定が「事前確認行為なく書籍を出版したことの是非はともかく」と結論に注釈を付けたように、当事者に知らせることなく出版しようとした行為は、いかにも不意打ち的だ。また、元少年側が先月5日に仮処分を申し立てた後、初版が売り切れると2万部増刷した行為も適切だろうか。決定を待つのがせめてもの出版倫理ではないか。
 なぜ実名を書かねばならなかったのか。著者は「少年の実像を知ってもらうのには欠かせない」と説明するが、十分な説得力があるだろうか。これまでの経緯をみると、利益優先との批判はやむを得ない側面もある。
 決定は、元少年から著者への手紙や、中学時代の顔写真を掲載した点について、プライバシーを侵害すると認定した。今回の出版については、既に損害賠償を求める訴えが別に起こされている。そちらで十分な審理を尽くしてほしい。毎日新聞 2009年11月11日 東京朝刊

光母子殺害実名本「安易に一線越えた」作家ら疑問の声も2009-10-14 | 光市母子殺害事件
「実名出版を了解した」 悒・トスカ・サウダーデ(サウダージ)・恨・愁・・・2009-10-12 | 光市母子殺害事件  
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「核のゴミ捨て場」に予定されていた東北の被災地 双葉町・浪江町・釜石・陸前高田

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スクープレポート 報告書を入手! あらかじめ見捨てられていた東北の被災地
「核のゴミ捨て場」に予定されていた双葉町・浪江町・釜石・陸前高田

2011年06月09日(木)週刊現代
 面倒なこと、危ないことはみんな東北に押し付ける。それがこの国の方針らしい。核のゴミ捨て場ももちろん東北だ。そのための調査まですでに隠れてやっていた。
*無害になるまで数万年
 今春公開された「100000年後の安全」という映画が、話題を呼んでいる。原子力発電の過程で生じる、人体に有害で処分が困難な高レベル放射性廃棄物を、地中500mに埋める「地層処分」をテーマにした映画だ。
 舞台となっているのは、フィンランドのオルキルオトという僻地。'01年にフィンランド政府が「核のゴミ捨て場」として選んだのがこの地で、映画では「放射性廃棄物を管理するには、地層処分しかない」という意見と「放射性廃棄物が無害になるには数万年かかる。そのときまで安全だとなぜ言えるのか」という主張が登場。フィンランドをはじめ欧米諸国で、地層処分が深刻な問題となっていることが取り上げられている。
 ここ「原発大国」日本でも、核のゴミをどう処分するかという議論が長年続いている。現状ではやはり「地中深くに保管するしかない」ということで、政府は2030年頃に、地層処分を開始するという目標を掲げている。しかしその処分地の選定に携わる原子力発電環境整備機構(通称NUMO)によると、「現在のところ、候補地に名乗りを上げている自治体はない」状態だという。
 NUMOの説明では、処分施設の建設地の選定には自治体の自発的な応募が必要で、その後、3段階にわたる調査を行った後に、ようやく地層処分が開始される。つまり、自治体の応募がなければその調査もできないということだ。
 しかし、有害で何百世代先にも影響を及ぼす放射性廃棄物をやすやすと受け入れ、「核のゴミ捨て場」になろうとする自治体などあろうはずもない。現在NUMOは候補地の募集を進めるべく、年間数十億円を投じてPR活動を行ってきたが、福島第一原発の事故があったため、今後さらに選定作業が難航するのは間違いない。
 ところが、である。地層処分を推進する機関が、自治体や住民の許可を得ることなく、極秘裡に地層処分に関する調査を進めていたのである。
 本誌は、'05年3月30日に、特殊法人・核燃料サイクル開発機構(核燃機構)が作成した報告書を入手した。この資料は、処分地の選定を進めていた動力炉・核燃料開発事業団(動燃)が行ってきた、地層処分に関する調査結果をまとめたもの。
 「プルトニウム入りの水を飲んでも大丈夫!」というPRビデオを作り、世界から非難を浴びた動燃は、'80年代より全国500ヵ所以上から地層処分を行う『適正地』を探す調査を水面下で進めてきた。これを見ると、北は北海道から南は鹿児島まで、全国88ヵ所の地域が放射性廃棄物の「処分地として適正」であると報告されている。詳しくは後述するが、その4分の1以上が東北と今回の被災地に集中している。
  問題は、この調査が自治体に何の説明もないまま行われて、勝手に「地層処分を行うのにふさわしいのはこの地域」という報告書が作成されていたことである。
  地層処分は、その安全性についてもいまだに議論が分かれている。地層処分を推進する機関は、「地中深くに放射性廃棄物を埋めることで、放射性物質が簡単に漏れ出すことはない。地層処分は長年にわたって安全かつ確実に廃棄物を管理する方法である」と謳っているが、原発の安全神話よろしく、地層処分の安全性についても「安全とはいえない」と疑問を呈する声も少なくない。原子力資料情報室の伴英幸共同代表は、こう指摘する。
「頑丈な容器に廃棄物を詰めて地中深くに埋めるのですが、問題は500mの地中に埋めても、いずれ放射性物質が漏れ出すのは間違いないということです。それが何年後なのかはわかりませんが、現在の技術で、数万年後までそれを封じ込めることが可能かどうかは非常に疑わしいのです」
*大地震でも安全と言えるか
  勝手に処分場を決めれば大変な反発が予想されるので、政府も推進機関も表向きは「住民・自治体の理解なく、調査は進めない」と言い続けてきた。にもかかわらず、裏ではなんの説明もなしに調査を進めてきたわけだ。その背景を、伴氏はこう説明する。
 「政府は2030年頃から地層処分を行うというスケジュールを組んでいますので、このスケジュールありきで物事を運んできたのでしょう。地層処分に関する調査を行うには自治体の承認が必要ですが、自治体が立候補するのを待っていたらとても'30年頃の開始には間に合わない。だから、立候補する自治体を待つ一方で、独自に『地層処分を行うのにふさわしい地域』を調査していたということです」
  現在地層処分地の選定を進めるNUMOは、「動燃の調査結果は、あくまでもただの調査であって、実際の処分場の選定とは関係ない」(広報部)と釈明するが、伴氏は「利用しようと思えば、いかようにもデータを利用できる」と断ずる。
 さらにこの報告資料を丹念に見ていくと、あることに気がつく。福島県の浪江町、双葉町などの福島第一原発周辺自治体をはじめとして、岩手県釜石市、大船渡市、宮古市など、今回の大地震で深刻な被害を受けた東北の自治体の名前がずらずらと並んでいるのだ。
 その数、福島、岩手、秋田、青森、宮城、山形の東北六県で合わせて25ヵ所。これだけでも他の地方と比べて突出しているが(次いで九州地方が16ヵ所)、茨城と北海道を含めれば、41ヵ所と、4割以上が茨城以北の地域で占められるのだ。結果論とはいえ、あれだけの大地震が起こった地域が、「地層処分の適正地」と報告されていたのだ。一体どんな調査が行われたのか。
 *機動隊が投じられた
 NUMOのホームページを見ると、「地震については、一般的に深い地層では地上に比べてはるかに揺れが小さいことが分かって」いるため、地震が起きても問題はないと主張するが、「実際に大地震が起きたときにどんな影響が起こるかはわからない」(伴氏)のである。もしもこれらの地域で地層処分が進められ、その最中に大地震が起きていたら、大惨事につながっていたのではないか。そのことを想像すると、ゾッとする。
 東北には21基の原発(休止・閉鎖中、建設・計画中のものも含む)があるが、これは他の地方と比べても遥かに多い。さらに青森には六ヶ所再処理工場があるなど、東北には核に関連する施設が集中している。
 そこに加えて、20ヵ所を超える「適正地」である。原発事故に苦しんでいる東北地方の人々がこの報告書を見れば、「東北はあらかじめ『核のゴミ捨て場』の予定地として、見捨てられていたのか」と強く思うのではないだろうか。
「報告書を見ると、東北や北海道の地域が目立つが、これらの地域が?核のゴミ?の処分場のターゲットにされてきた感は否めない」
 こう語るのは、旭川大学学長の山内亮史氏だ。
「『処分場』に選定されると、多額の補助金が自治体に落ちてきます。ですから、過疎が進む地域ほど、補助金をぶら下げれば誘いに乗ってくると思っているのでしょう。原発もそうやって作られてきましたが、『核と過疎』は密接に結びついているのです」
 山内氏は、'80年代初頭から北海道の幌延町周辺で進められてきた、地層処分に関する調査・研究に真っ向から反対してきた人物だ。山内氏の話から、国や推進機関がどれだけ強引なやり方で「核のゴミ捨て場」を擦り付けようとしてきたかが、よくわかる。
「'80年代初頭、ちょうど地層処分に関する議論が盛んになったころ、時の科学技術庁長官だった故・中川一郎衆議院議員が幌延町を訪ねてきて、『この町はこれから人口が増えるということはないし、新しい産業が出てくることもない。多額の補助金が地元におりるから、廃棄物処分に関する施設の誘致に名乗りを上げてはどうだ』と話をしたのです。
 この話は一気に広がり、周辺7町村の大半の住民がこれに反対しました。ところが'85年のある日の真夜中に、動燃が地質を調べるためのボーリング作業を突然開始したのです。これに反対する住民たちを排除するための機動隊まで配備され、逮捕者も出たほどです」
 住民の理解を得るのとはほど遠いやり方で、調査が進められることになった。結局、幌延町には深地層研究センターが建設され、現在では最先端の地層処分研究を行う町となっている。
「幌延町は原発による発電を必要としていないのに、核のゴミは引き受けてくれ、という。理不尽な話です。これは北海道の話ですが、東北地方にも同じように強引な手段で調査が行われたところがあるはずです」
  山内氏が言うように、'06年11月には、日本原子力研究開発機構が岩手県の遠野市で、市には通知せずに地層処分の研究のためにボーリング調査を行っていたことが発覚した。これを知った本田敏秋・遠野市長は調査を即時中止するよう要請した。そのときの様子を、本田市長が語る。
 「当初は地質を調べる一般的な調査だと聞いていましたが、ボーリングを使った本格的な調査を行っていたので、おかしいと思ったら、地層処分に関する調査を行っていた。このままでは『日本のふるさと』である遠野が放射性廃棄物処分の候補地になし崩し的に決まってしまうおそれがあったので、即時中止を求めました」
  遠野市を中心に、地域誌「パハヤチニカ」を発行する千葉和氏も、この話を聞いて怒りに震えたという。
 「子々孫々に影響を及ぼす放射性廃棄物の最終処分場をここ遠野につくるなど、言語道断です。地震大国日本で、『地層処分は何万年も先まで安全である』と言われても、信じることはできない」(千葉氏)
 *東北には「上から目線」
 「東北地方は歴史的に、東京などへの食料や水資源の供給源としての役割を担ってきました。現在では六ヶ所村をはじめ、エネルギーの供給と、そのゴミの処分も担っています」
  前出・本田市長がこう言うように、この国はいつも東北地方に負担を強いてきた。しかし、水・食料・電気の供給源として、そして「核のゴミ捨て場」として東北を利用してきたというのに、いざ大災害に見舞われたときには、なんとその対応が遅いことか。
 「政府は被災自治体に対して、『復興会議の結論が出るまで、復旧作業は待ってくれ』と言っているようだ。これは東北を積極的に見殺しにするという暴挙といってもよい」
  藤井聡・京都大学大学院教授がこう憤るように、5月20日、仙台市で開かれた東北市長会の総会では、国の被災地支援策に対する、市長たちの不満が爆発した。陸前高田市の戸羽太市長は、防災服姿で「国のいろんな規制が、復興の妨げになっている。こちらから問題点を訴えなければ、国は動かないのか」と訴えた。
  おそらくこれは、被災地の全首長、全住民の心の叫びだろう。仮設住宅の設置を進めようにも、建設用地の確保ができない。がれきの撤去も、自治体レベルでは手に負えないためなかなか進まない。これらは、国が手を打てば、簡単に解決することなのだ。
  東北文化研究センター所長で、東北大学名誉教授の入間田宣夫氏はこう語る。
 「東北を抜きにして、いまの日本は成り立たなかったはずだ。それを政府はしっかりと認識して、復興に尽力してほしい。東北地域の文化や伝統も考えずに、『新しい住宅はすべて山の上に作ろう』など、なぜ中央はいつも上から目線なのか」
  この「上から目線」がどれだけの苦労を東北の人々に強いてきたか。いまこそ問い直すべきだ。
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映画「100,000年後の安全」地下500? 核のごみ隠すオンカロ/原発から出た放射性廃棄物を10万年後まで保管2011-06-01 | 地震/原発
原発の「ごみ」行き場なく/「核半島」六ヶ所村再処理工場/東通原発/大間原発/核燃料 中間貯蔵施設

IMF、報告書発表「中国が今後5年以内に世界一の経済大国になる」/民主主義と経済的成功の関係

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中国が世界最大の経済大国になる日
JBpress2011.06.08(Wed)Financial Times

 中国が世界最大の経済大国になった時、一体どんな感じがするのだろうか。我々は遠からず、それを知ることになるかもしれない。国際通貨基金(IMF)は数週間前、中国が今後5年以内に世界一になるという報告書を発表した。
*2010年代には首位逆転
 中国経済の規模が2016年までに米国経済を上回るという予測は、両国通貨の国内購買力を調整したものだ。IMFのデータの解釈は、中国経済の規模を人為的に膨らませる怪しい動きだと見る向きもある。
 だが、実際の為替レートを使っても、米国が首位の座を奪われる日が大幅に先送りされるわけではない。昨年のクリスマス直前に出された英エコノミスト誌の試算は、中国が2019年に世界一の経済大国になると予想していた。
 中国の首位浮上は、超大国であることが何を意味するのかという概念を変える。世界は米国の世紀を通じて、世界最大の経済大国は明らかに世界一豊かな国でもあるという考えに慣れた。世界最大の経済大国には世界一裕福な人々が暮らしていた。
 中国が経済的な超大国として台頭するに従い、国家の豊かさと個人の豊かさの関連性が絶たれつつある。
 中国は西側世界より豊かであると同時に貧しくもある。中国は3兆ドル相当の外貨準備を持っている。それなのに現在の為替レートで測った場合、平均的な米国人は平均的な中国人と比べ、ざっと10倍裕福なのだ。
*中国が世界一の経済国になっても米国の政治的優位は当分続く
 米国社会の相対的な豊かさは、中国が世界最大の経済大国になったその日に世界最強国になるわけではない理由の1つだ。世界が米国のことを「唯一の超大国」と見なす癖からも、米国の政治的優位は経済的優位より長続きする可能性が高い。
 米国は様々な国際機関で確立した地位を得ている。国連、IMF、世界銀行がすべて米国に本部を置いており、また、北大西洋条約機構(NATO)が米国を中心に構築されていることは重要だ。
 米軍は世界的な勢力と技術の高度化において中国が到底及ばない優位性を誇る。米国はソフトパワーの面でも先を行っている。中国には今のところ、米国のハリウッドやシリコンバレー、あるいは「アメリカンドリーム」に相当するものが存在しない。
 一方で、経済的な力と政治的な力は同一ではないとはいえ、2つはやはり密接に関係している。中国が豊かになるにつれ、その影響力が高まっていくからだ。
*豊かになるに従い高まる影響力
 筆者は最近サンパウロを訪れた際、ブラジルの上級外交官がにべもなく、遠く離れた中国は最大の貿易相手国として、今やブラジルにとって米国よりも重要な存在だと話すのを耳にした。ブラジルのジルマ・ルセフ新大統領の就任後初の本格的な外遊先は、ワシントンではなく北京だった。
 また、中国の貿易と投資はアフリカおよび中東全土における同国の影響力も大幅に増大させた。
 中国の経済力が引き起こす政治的な問題は、中国の近隣諸国で最も痛烈に感じられるだろう。
 日本、韓国、オーストラリアは現在、自国の経済的利益と戦略的利益が別々の方向を指している状況に置かれている。これら3カ国はすべて、最も重要な経済関係が対中関係である一方、最も重要な軍事関係は米国と結んでいるのだ。
 もし中国が(過去1年間にその兆候を示してきたように)過度に影響力を振るおうとしたら、米国と同盟関係にあるアジア諸国は当面、対米関係を一層密にするかもしれない。だが時間とともに、高まる中国の経済力はどんどん重みを増していく。
*民主主義と経済的成功の関係が試される
 台頭する漢字文化圏にどう適応していくかという議論がアジア全域で活発になされている。シンガポールの外務省事務次官を務めたキショール・マブバニ氏は、アジア人は「1000年後に中国がまだアジアにいることを知っているが、100年後に米国がまだここにいるかどうかは分からない」と語っている。
 中国の力は、米国や欧州連合(EU)、日本で積み上がる恐ろしい公的債務に対する懸念と相まって、民主主義と経済的成功の関係に関する西側の概念に疑問を投げかける。
 19世紀の終わりにかけて米国が世界最大の経済大国になって以来、世界で最も力のある経済大国は常に民主主義国だった。だが、もし中国が今後10年間、一党支配国家であり続けたら、それも変わる。権威主義が流行すれば、「自由は功を奏する」という自信に満ちた西側のスローガンは再び試されることになる。
 しかし、ある段階で中国自身が危機に見舞われる可能性が高い。中国の経済と政治体制はこの先、大変な変遷を迎える。
 中国経済は永遠に年間8〜10%のペースで成長し続けることはできない。中国は恐ろしい人口問題、環境問題にも直面する。中国の権威主義も、現代社会では次第に特異に見えるようになった。中国共産党がアラブの民衆蜂起に対してパニックめいた反応を見せたのは、その証拠だ。
 だが、中国における民主制度の出現は、詰まるところ国家の統一を脅かす。チベットやウイグルで民族主義運動が高まるからだ。
*中国は奇妙な超大国になる
 中国が実際に経済的、政治的な危機に陥った時には、中国に対する西側の見解は突然変わるだろう。過去30年間の「中国の奇跡」は幻想だったと主張する人も出てくるだろう。だが、そうした見方も間違っている。
 中国の将来を巡る議論は、無意味に二極化される危険がある。一方の陣営は、中国は世界の台頭する超大国だと主張する。もう一方の陣営は、中国は本質的に不安定な国であり、経済危機、政治危機に陥る恐れがあると主張する。
 実はどちらの考え方も正しい。中国は奇妙な超大国になるのだ。
By Gideon Rachman
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中国、原子炉新規稼働へ/原発を持つ国は、何かの際に短時間で原爆を作ることができる/原発保有国の本音2011-05-11 | 中国
ニッポンを買い漁っていた成金たちの大混乱2011-04-23 | 中国
「BRICS」を政治利用する中国2011-04-23 | 国際
中国の戦略的意図は米軍を沖縄から追い出し、この地域の軍事的主導権を握ること2011-04-01 | 政治〈国防/安全保障/領土〉
自分の国は自分で守る決意/境外を保護するのは法律、正義、自由ではない。国際法も国力の強弱に依存2011-01-12
一触即発の中国・朝鮮半島情勢。米・韓・中、そして北朝鮮とどう渡り合えばいいのか2011-01-12
経済発展によるカネで軍拡を続ける中国 2010年度の国防予算は日本円で6兆292億円2011-01-10
「中国の『激変の日』に備えよ」 中国の異質性 『尖閣戦争 米中はさみ撃ちにあった日本』2011-03-03 | 政治〈国防/安全保障/領土〉

「原発誘致の方程式」大間町/電源三法交付金は約67億円/入る固定資産税は15年度から16年間で440億円

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<新日本 原発 紀行> 青森・大間
2011年6月11日中日新聞【特報】
 5日投開票の青森県知事選では、原子力施設の建設を進めてきた現職の三村伸吾氏が3選を果たした。本州最北端の大間町では電源開発(Jパワー、東京)が大間原発を建設中だが、東日本大震災以来、中断している。津軽海峡を挟んだ対岸には北海道函館市などがある。安全性は大丈夫なのか。海峡を越えた住民たちも、不安なまなざしで見詰めている。(篠ケ瀬祐司)

*対岸に不安飛び火
 3月11日夜、「あさこはうす」にいた小笠原厚子さん(56)は、ラジオニュースで福島第1原発の異常を知った。
 「これは恐ろしいことになると直感した。原発は事故を起こしたら最悪までいってしまうと言い続けてきたがきたが、とうとう来てしまった」。鳥肌が立つ思いだった。
 「あさこはうす」は大間原発の敷地内にあるログハウス。用地買収に応じなかった母親の故熊谷あさ子さんと一緒に、2005年に建てた。炉心予定地から300?ほどしか離れていない。あさ子さんが所有していた土地の広さは約1?ある。小笠原さんは月の半分を函館市に隣接する北斗市の自宅で過ごし、残りはここに来て、畑を耕す。
*岡田氏 工事再開 前のめり
 08年に始まった大間原発の建設工事は、東日本大震災後に電源や資機材確保が難しくなったことや、安全強化対策づくりなどを理由に中断中。Jパワーは「本体工事の再開時期は未定」(広報室)という。
 ところが、民主党の岡田克也幹事長は工事再開に前のめりだ。
 岡田氏は先月12日の会見で「あと2年くらいで動かす想定でかなり出来上がっている。ほぼ完成に近づいたものをいきなり全部止めてしまうのは適切ではない」と言及。
 直後に大間原発を視察した際も「既にある原発を利用しないと日本の電力を賄えないのは厳然たる事実だ」と強調した。
 Jパワーが公表する工事の進捗率は37・6?。冬でも作業ができるようにもうけられたほろの中で、格納容器や建屋を造っている最中だ。原子炉や核燃料はまだ運び込まれていない。
 「福島原発のひどい状況を見た上で、なお原発を造る気なんでしょうか。信じられない。『ほぼ完成』どころか半分もできていない。核施設ではなく、“カラ施設”なのに」
 小笠原さんは、原発ありきのエネルギー政策から抜けられない岡田氏への失望を隠さない。
 「視察するなら『あさこはうす』や大間町を見てほしかった。経済的な問題もあるのだろうけれど、大間原発近くに人の命があることを直接見てもらいたい」
 エネルギー政策を転換できないのは岡田氏だけではない。
 青森県知事選でも、自民、公明推薦の三村知事と、民主、国民新推薦の新人山内崇元県議の2候補は原発の安全確保は訴えても、「脱原発」には踏み込まなかった。唯一、唱えたのが共産党の公認候補だった。
 「完全な安全なんてない。原発依存から抜けるのは最初はしんどくても、やろうという気持ちがあれば何とかなるんじゃないでしょうか」。小笠原さんは為政者へのいら立ちを募らせた。

*函館で差し止め訴訟 市民団体
 過疎の自治体が巨額な交付金で原発を誘致し、やがて原発マネー抜きには立ちゆかなくなる。「原発誘致の方程式」は大間町でも同じだ。
 同町によると、昨年度までに使った原発関連の電源三法交付金は約67億円。原発の運転開始後は、5年間で72億円を見込む。
 運転開始は14年11月の予定。町に入る固定資産税は、15年度から16年間で440億円に上る。同町は大間港と北海道函館港を結ぶフェリーの後継船を、約27億円かけて建造する。建設費の返済財源は、この固定資産税をあてにしている。
 だが、運転開始は計画から2年数か月ずれ、固定資産税などの税収も遅れる。このため町と町議会は先月、Jパワーに財政支援を求めた。
 そのフェリーに乗って函館港に向かった。「今日は眼科さ行ぐ日だ」など、乗客は函館市内の病院の話で盛り上がる。運行時間1時間40分。函館が大間の生活圏であることを実感する。
 函館市内では今月3日、市民団体「大間原発訴訟の会」の竹田とし子代表(62)を講師にした研修会が開かれた。同会は10年、原発をめぐりJパワーと国に工事差し止めと損害賠償を求める訴えを函館地裁に起こした。
 函館は大間原発から約30?圏。研修会を主催した渡島地域男女平等参画推進協議会は「大間と函館を隔てる津軽海峡は真っ平ら。大間で事故が起これば、函館市民も影響を受ける」(高橋松恵会長)と、大間原発をテーマに選んだ。

*「MOX燃料 安全に疑問」
 大間原発は、使用済み核燃料を加工したプルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料のみでの運転を目指している。
 Jパワー側はMOX燃料について「海外で30年以上前から使用され、国内でも『ふげん発電所』(廃炉中)で772体の使用実績がある」(広報室)と説明するが、竹田さんは「すべてMOX燃料というのは世界でどこもやったことがない」などと安全性に疑問を投げかけた。
 質疑は事故発生時の道南地域への影響が中心。漁師の女性が「大間原発でつくる電力は函館市民に必要なのか。海水温が一度上がってもバフンウニは死ぬし、コンブもだめになる。何かあれば地元が大変な思いをする」と訴えると、会場から拍手がわいた。
 「訴訟の会」は今、第2次原告団を募集している。これまで約50人の応募のうち、約40人は道南地域の住民。ここの住民にとって、大間原発は他人事ではない。
 福島の事故を目の当たりにし、県境を越えた「地元」意識が広がっている。富山県の石井隆一知事は先月の会見で、運転停止中の北陸電力志賀原発について、石川県に近い富山県の自治体や住民の理解が得られなければ、運転再開は難しいとの考えを明らかにした。〈来栖 注. 北陸電力(株)志賀原子力発電所=石川県羽咋郡志賀町赤住1〉
 大間原発建設差し止め訴訟の原告代理人、森越清彦弁護士=函館市=は「行政手続き上、他の自治体が原発建設にかかわるのは難しい。2回目のヒアリングには函館市民も参加できたが、(建設の方針が)変わったわけではない」と、もどかしさを感じている。それでも「函館市を中心に30数万人が暮らす地域から30?ほどに原発を造るのは異例。原発のあり方については地域自治体全体で判断すべきだ」と、今後も付近に活断層が存在する可能性や、フルMOX運転の問題点などを訴え続けていく考えだ。
  *強調(太字等)は来栖
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反原発デモ

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中日春秋
2011年6月12日
 よくいえば自由奔放。悪くいえば無秩序。数千人の参加者が東京・新宿の繁華街を練り歩いた反原発デモは、数百人もの警察官が物々しく取り囲む中、アンプとスピーカーを積んだサウンドカーが大音量で演奏して先導するお祭りのような騒ぎだった▼東京や名古屋をはじめ、全国各地できのう、反原発を訴えるデモがあった。労組が前面に出る従来型だけでなく、ネットを通じて自然に集まった若者たちが、思い思いに声を上げるスタイルに新しい時代の風を感じた▼事故を防げなかった電力会社と政府に対する怒りと不信、生活を奪われ苦しむ人たちへの深い同情、二度と事故を起こさないという決意。参加者の胸にはさまざまな思いが去来していただろう▼「なぜ日本ではデモも起きないのだろう」。海外からは不思議がられたが、デモに参加する人はもっと増えるだろう。多少の不便はあっても原発に頼らずに暮らしたいという考えは、世代を超えて根を下ろし始めているからだ▼イタリアではきょうから、全廃された原発再開の是非を問う国民投票が実施される。3・11以降、原発の是非が正式に問われるのは世界で初めて。原発反対派が優勢らしいが、有効投票率50%に届くかどうかは微妙のようだ▼外国の政策を左右する日本の影響力は本来、誇れることだが、先例のない危機が原因であることがやり切れない。
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電力会社の利権を奪えば脱原発できる! ニッポンの自家発電はすでに原発60基分

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緊急レポート 電力会社の利権を奪えば「脱原発できる!」「ニッポンの自家発電」はすでに原発60基分!
現代ビジネス2011年06月12日(日)
フライデー経済の死角
 JR東日本、キリンビール、六本木ヒルズ、大阪ガス・・・全国ですでに6000万kWの電気が作られている---が、さらに企業に広まらない裏には、カラクリがあった。
「かき集めても、やっとこのぐらいという感じだ」。5月23日、中部電力(中電)本店で行われた会見で、水野明久社長(57)は厳しい表情でこう漏らした。浜岡原発停止後、7月と8月の電力供給力がピーク時の需要を5%ほど上回るものの、安定供給には到達しないと発表したのだ。恒例の電力会社による「電力が足りなくなる」というアピールである。そこで、中電が打ち出しているのが、自家発電設備を持つ管内の民間企業から余剰電力を買い取るという方針だ。
 とはいえ、中電が買い取れるのは余剰電力に過ぎない。管内最大となる60万kWの発電能力を備えた名古屋製鉄所(愛知県東海市)を持つ新日本製鐵の広報センターは次のように説明する。
「製鉄の過程で出る熱やガスを利用するもので、発電量は生産量に左右されます。発電した電気は自社工場内でも使用しますので、そのすべてを余剰電力として売電できるわけではない。そして、これまでも余剰電力を中部電力に売ってきました。ですので、それ以上の?埋蔵電力?があると思われると困るのですが」
 あまり知られていないが、発電施設を所有しているのは電力会社だけではない。 '95年の電気事業法の改正によって電力会社による独占が一部緩和され、電力供給を行う新たな企業(事業者)が生まれた。新日鐵のように余剰電力を電力会社に売る企業もある。その一方で、非常用や自社工場での消費を目的とした自家発電もある。環境エネルギー政策研究所主席研究員の松原弘直氏が解説する。
「工場の自家発電施設で最も導入されているのは、重油など化石燃料を使う発電機ですが、油の価格の上昇で、発電するよりも電力会社から買ったほうが安く、ほとんど稼動していなかったはずです」
 右のグラフは、全国の自家発電を発電の種類ごとに分けて、認可出力(注)の合計を示したものである。自家発電施設は3249ヵ所あり、うち2569ヵ所が火力発電だ。
  一目瞭然だが、火力の自家発電だけで日本の原発全54基の総認可出力を上回っている。水力などを加えれば原発60基分に相当する。そしてその多くが稼動せず、?眠っている?可能性が高いのだ。
  総務省統計局や電気事業連合会が公表した '08 年のデータによれば、日本の火力発電所の最大発電量は約1兆2266億kW/h。
  しかし、その稼働率は50%程度に過ぎず、原発で発電していた約2581億kW/hを補って余りある。それに加えて、この?埋蔵?自家発電がある。「厳しい夏になる」(水野社長)などと、電力会社は原発なしには夏を乗り切れないかのような?脅し?を繰り返すが、本誌が何度も指摘してきたとおり、電気が足りないわけではない。
  しかし、この自家発電力を有効に生かすのを阻む壁が存在する。電力会社の利権である。この利権は企業の自家発電がさらに広まるのを阻む壁にもなっている。
 「そもそも一つの電力会社が、ある地域の発電も送電も小売も独占するというのは、戦後の復興期だから必要だったシステムです。工業生産が伸び、その電気需要に応えるために必要だったわけです。しかし今の時代に、地域独占が必要でしょうか?」(自家発電設備を持つある事業者)
  日本の電気事業は、10電力会社による地域独占体制が続いているが、前述した電気事業法の改正で発電と小売の一部が自由化され、独自に発電や電力供給を行う事業者が誕生した。業態によって、「卸供給事業者(IPP)」、「特定電気事業者」、「特定規模電気事業者(PPS)」などに大別される。
  IPPは、電力会社に10年以上にわたって1000kW以上を供給する契約などを交わしている事業者のことで、大阪ガスの子会社である「泉北天然ガス発電所」などがそれに当たる。
  また、特定電気事業者は限定された区域に対し、自らの発電設備と送配電設備を用いて電力供給を行う。六本木ヒルズに電気を供給する森ビルの子会社「六本木エネルギーサービス」や、首都圏の鉄道に電気を供給するJR東日本が代表的だ。一方、PPSは、工場や病院など一般家庭以外と50kW以上の契約をして電気を供給する。オリックスや昭和シェルなどが参入している。
 「このPPSが電気をどんどん作り、市場が活発になれば電気代も安くなるはずですが、電力会社がそれを阻んでいます。PPSは自前の送電設備を持たないため、電力会社の送電網を利用するのですが、その際に『託送料』がかかり、この負担が大きいのです。電力量によって変わりますが、客が支払う電気代の約2割を、託送料として電力会社に支払わなければなりません」(前出の事業者)
 さらにこんな障壁もある。
「電力会社は自然エネルギーで作られる電気を送電網に接続することを独自に制限しているんです。『自然エネルギーは安定しない』というのがその理由です。
  例えば、東北地方では風力発電の事業者は抽選に当たらないと送電網に繋げません。広範囲で送電網を整備すれば、青森県では風が吹かなくても、秋田県で吹けば穴埋めできるのに」(別のPPS事業者)
 政府は6月中には、「エネルギー環境会議」(議長・玄葉光一郎国家戦略担当相)を設置することを決めている。その会議で最も大きな議題となるのが、電力会社の「発送電分離」だ。
 前述したような障壁をなくすために電力会社から送電部門を切り離そうという議論だ。が、実現したとしても、すぐに自由化が進むわけではなさそうだ。九州大学大学院電気システム工学部門の合田忠弘教授はこう指摘する。
「発電と送電を分離した場合、あちこちに点在する電源を有効に利用しようとすれば、多くの電気を流せるように送電網を強化する必要があります。しかし、海外の事例を見ると、送電会社はなるべく今の設備を利用して設備投資を控える傾向がある。この投資を誰がどのように行うのかが問題となるでしょう」
 また、電気メーターを設置し、各家庭に電気を配電できるのも電力会社に限られているから、欧米のように少々料金が高くても、あえて太陽光発電で作られた電気を買うような選択はできない。自家発電で作られた電気も原発で作られた電気も一緒くたにされ、その内訳もブラックボックスにされた?言い値?の電気料金を私たちは支払わされているのだ。
 ●送電分離による託送料の廃止
 ●電気メーター(配電)の自由化
 ●電気料金の内訳の可視化
 これらを実現できれば、電力不足などありえない。脱原発への道も大きく開けることとなる。あるPPS事業者が言う。「発送電分離と配電の自由化によって、『原発の電気は安くても買わない』という選択が可能になる。発送電を分離して初めて、国民が意思表示をできるのです」

ネット掲示板「匿名でも名誉棄損成立」の衝撃 静岡地裁浜松支部が業者に発信者情報開示命令

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ネット掲示板「匿名でも名誉棄損成立」の衝撃
webR25 2011.06.03
 タレントの麻木久仁子さんが、インターネット掲示板「2ちゃんねる」への書き込みを巡って、プロバイダーを相手に発信者情報の名前と住所、メールアドレスの開示を求めた訴訟で、静岡地裁浜松支部は5月26日、発信者の個人情報開示を命令。この判決に対し、ネットユーザーの間で動揺が広がっている。
 この裁判は、2ちゃんねるへの書き込みが名誉棄損にあたるとして、麻木さんが裁判所に情報開示を訴えていたもの。裁判所は、書き込みの内容が事実無根であること、ならびに名誉棄損にあたることを認め、請求通りプロバイダーに対し書き込みをした人物の個人情報の開示を求める判決を下した。
 だがネット住民の検証によると、今回問題とされた書き込みは、麻木さん本人を中傷したものではなく、麻木さんの16歳になる長女を中傷したもの。しかもその書き込みには、麻木さん本人や、長女の名前は一文字も明記されておらず、文章自体もコピペ(≒定型文)を改変したものだったという。そのため、当初誹謗中傷は断罪されるべきとしていたネット住民からも、
 「誰のこと言ってんのかすらわからねーじゃん」
 「個人を特定してないのにこれでアウトなのか」
 と、驚きの声が上がり、なかには、
 「個人特定してないんだから良い弁護士つけりゃ(編集註:訴えられても裁判で)勝てんだろ」
 「芸能人ならスルーしろ」
 と、暴論を吐く者も現れた。
 今回の静岡地裁の判決は、「個人名を書き込まなくても、名誉棄損が成立する」とと司法が判断した点で、従来より一歩踏み込んだ印象をネットユーザーたちに与えたようだ。これにより、性質の悪い中傷が少なからず存在していたネット掲示板への書き込みが、多少なりとも減ることになるか、今後の展開が注目される。
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麻木久仁子さんネット中傷 地裁浜松支部が業者に発信者情報開示命令
 中日新聞【静岡】2011年5月27日
 インターネット掲示板の書き込みで名誉を傷つけられたとして、タレントの麻木久仁子さんがプロバイダー(接続業者)の浜松ケーブルテレビに発信者情報の開示を求めた訴訟の判決が26日、静岡地裁浜松支部であった。中野琢郎裁判官は「名誉毀損は明らか」として請求通り名前と住所、メールアドレスの開示を命じた。
 訴訟は同社が積極的に争う姿勢を示さず、即日結審していた。
 判決によると、問題の書き込みは1月4日、同社を経由して掲示板「2ちゃんねる」に載った。
 判決理由で中野裁判官は「記載内容が社会的信用を低下させるのは明らかで、真実でもない」と述べ、損害賠償と謝罪広告を請求するために開示を求めた原告側の主張を全面的に認めた。
自主開示まれ 裁判所頼み
 ネット上の匿名投稿の被害者は、「権利侵害が明白」で「損害賠償請求など開示を受ける正当な理由」があれば、接続業者に発信者情報の開示を請求できる。ただ、発信者の同意なく接続業者が開示する例は少なく、加害者を知るには提訴せざるを得ないケースが大半との指摘もある。
 接続業者などの業界団体は2007年、プロバイダー責任制限法に基づく発信者情報開示の指針を策定。指針では、裁判例を引用し「権利侵害の明白性」の判断基準を示す一方、「明白性に疑義がある場合は裁判所の判断に基づく開示が原則」とくぎを刺している。
 業界に詳しい弁護士は「明白性を自主判断して開示に応じる業者もある」と話す。ただ、業界団体の関係者は「開示すれば、逆に発信者から損害賠償を求めて訴えられる恐れもある。裁判所の判断に委ねるのが無難と考えがち」と解説する。
 総務省によると、ことしで公布10年を迎えた同法について、昨年10月から有識者による作業部会で検証。裁判を受ける権利の保障や発信者情報開示の迅速化に向け、開示の要件緩和や接続業者の努力義務を求める意見も出た。しかし、表現の自由や通信の秘密を守るため「安易な開示は避けるべきだ」として、法改正が必要との結論には至らない見通しだ。

欧米と距離を置き、東へ軸足を移すドイツ / ドイツの国益と欧州の国益

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欧米と距離を置き、東へ軸足を移すドイツ
JBpress 2011.06.13(Mon) Financial Times

 筆者の記憶では、国の地理によって、その国の外交政策を知ることができると言ったのは確かナポレオンだった。全般的に言って、このルールはまだ有効だ。
 アンゲラ・メルケル首相率いるドイツの場合、意地の悪い観測筋なら、それを少し修正し、地理と並んで輸出市場も重要だと言うだろう。
 先日ワシントンを訪問したメルケル首相はバラク・オバマ大統領から大いに敬意を表された。19発の礼砲に続いて大統領自由勲章が授与され、ホワイトハウスできらびやかな晩餐会が催された。
 オバマ大統領の在任中にこれほど厚遇された欧州の指導者はほかにいない。ニコラ・サルコジ大統領のエリゼ宮殿では、腹の虫が収まらなかったに違いない。
*オバマ大統領が失いたくない欧州の大国
 慣例では、こうした行事は信頼できる同盟国に対するご褒美ということになっている。メルケル首相の場合、これほど温かい歓迎は、感謝の印というよりは期待の表れと言った方がいい。オバマ大統領は、英国との特別な関係にはまだ敬意を表しているかもしれないが、オバマ大統領が失いたくない欧州の大国はドイツなのだ。
 ホワイトハウスとドイツ首相府との関係は最近、とても友好的と言えるものではなかった。米独間では、リビアを巡る公然とした小競合いや、経済政策に関する論争、日本の福島原子力発電所の惨事を契機とする原子力エネルギーの将来を巡る見解の相違が生じた。
 メルケル首相がリビアへの軍事介入を認める国連決議を支持するのを拒んだ時、米国は、英国やフランスとともに失望した。ドイツは、安保理の投票を棄権することで、中国やインド、ブラジル、ロシアの仲間になる道を選んだ。
 ホワイトハウスの共同記者会見では、オバマ大統領はこの件をうまく言い繕った。ロバート・ゲーツ国防長官は、オバマ大統領ほど外交辞令が得意ではなく、米国の政府高官らが内々にささやいていた話を半ば公然と口にした。
 北大西洋条約機構(NATO)の理事会で、ドイツは西側の軍事同盟で自らの役割を十分に果たしていないと述べたのである。
 経済問題に関しては、世界の貿易不均衡にどう対処するかという議論で、ドイツは米国よりも中国の肩を持っている。メルケル首相の考えでは、問題は、中国の為替政策というより、米国の借り入れと支出だ。
*ユーロ圏の債務危機への対応、フクシマ後の脱原発・・・
 他のユーロ圏諸国に対するドイツの貿易黒字についても、メルケル首相はほとんど同じことを口にする。赤字国は、もっとドイツのようになるべきだというのだ。もちろん問題は、すべての国が黒字を計上するわけにはいかないということだ。
 米国政府は、ユーロ圏の債務危機に対するドイツの対応に苛立ってきた。ドイツは何とか仕事をしてきたが、辛うじてこなしているだけだ。
 オバマ大統領が2012年の大統領選の前に最も避けたいと思っているのは、ギリシャのデフォルト(債務不履行)に端を発する世界的な金融システムのメルトダウンだ。
 原発閉鎖に関しては、ドイツはもちろん自分なりの判断を下さなければならない。だが、メルケル首相のパニックは、異なる見方をしている国にとっては、状況を楽にするものではない。脱原発政策は、フランスの原子力業界が発電する電力に依存するドイツの現状と整合性を保つことも難しい。
 これらの小競合いは誇張されるきらいもある。米国とドイツは30年間にわたって、黒字国と赤字国のそれぞれの責任について議論してきている。そして確かに、米国の貿易赤字は、貯蓄よりも支出する傾向が強いことと関係がある。
*対外関係の力学に大きな変化
 ほかのところでは、ドイツは、リビアでの軍事行動を支持しない代わりに、アフガニスタンでの戦争には貢献している。ユーロ圏救済に対するためらいや、原子力産業の閉鎖に関する決定は、メルケル首相が直面する国内問題の大きさを示すものだ。
 だが、ドイツと他国との関係の力学は変化した。最近猛威を振るっている病原性大腸菌の大発生による近隣諸国の大騒ぎは、世論の風向きを示すものだ。
 スペインの農民に責任を負わせようとしたドイツ当局は間違っていた。だが、その後の反発にはそれ以上の感情が込められていた。ほかの欧州諸国の論評には、「聖人ぶった」ドイツは当然の報いを受けたのだ、という意識がうかがえた。
 以前より自己本位になっているドイツは、昔の同盟国との絆を緩めている。ドイツが戦後フランスと行った取引は、欧州統合に原動力を与えた。ドイツの本能的な汎大西洋主義は、米国の力に対するフランスの反感と釣り合いを保つ重りの役目を果たしていた。
 ドイツは今、欧州主義と汎大西洋主義という2つの錨を静かに上げているように見える。
 東西再統一から20年が経過し、メルケル首相率いるドイツは、自分なりの判断を下す傾向が強くなっている。世界的な勢力は東方にシフトしており、ドイツの名高い製造業にとっての機会も同じようにシフトした。
 中国は近い将来、フランスを抜いて、ドイツにとって最も利益の上がる輸出市場になる。インドやブラジル、ロシアもすぐ後に続いている。
 ドイツは、こうした流れに応じて地政学の羅針盤を設定し直している。そのため、ロシアの場合には、地理と輸出とを考え合わせ、ロシア政府の敏感な反応に合わせるよう計算された外交政策を定めている。
 リビアを巡る投票でドイツがBRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)諸国の側に立っているように見えた
のは恐らく偶然だろうが、それでもやはり象徴的なものに見えた。
*ドイツの国益と欧州の国益
 ドイツの外交政策がかつて利他主義によって動かされていたという考え方は、以前から虚構だった。罪の意識は一定の役割を果たしていたが、実利的な政治も働いた。欧州の統合によって、ドイツは自国の経済を建て直すことができたし、米国との同盟によって再統一の可能性を存続させることできた。
 メルケル首相の世代が過去に置き去りにしたのは、ドイツの国益が欧州と密接不可分に結び付いているという直感的な信念だ。
 先月、ヘルムート・コール元首相が珍しく公の場に姿を現した時、我々はその変化を垣間見た。ユーロ圏の危機は結束を固める機会だ、とコール氏は述べた。「たとえいくらかコストがかかるとしても、我々もギリシャと一緒に道を歩まなければならない」と。
 今のドイツは、自国の利益を欧州の利益から切り離している。それは、フランスや英国がやっていることではないのか、分別のあるドイツ人がなぜ無責任なギリシャ人を支援しなければならないのか――。今はこんな話が聞かれる。
*「身勝手な大国」
 それに対する1つの答えは、無謀なドイツの銀行は他のほとんどの銀行より失うものが大きい、というものだ。
 もっと重大な答えは、ドイツが「普通」の大国として行動することを決めれば、欧州はバラバラになる、というものだ。ドイツはとにかく独り善がりになるにはあまりにも大きく、戦略的な位置に置かれてすぎているのだ(ナポレオンが言う地理)。
 筆者のドイツ人の友人の何人かは、外国人は、ドイツが明確な国益をはっきりと口にすることに慣れていないのだと言う。そして、昔の同盟国から次第に距離を置いているのは、計算された戦略的な動きというより、メルケル首相の政治的な弱さを反映したものだと話している。
 そうかもしれない。だが、同盟国が張っているレッテルは、身勝手な大国というレッテルなのだ。
 By Philip Stephens
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IMF、報告書発表「中国が今後5年以内に世界一の経済大国になる」/民主主義と経済的成功の関係2011-06-11 | 中国
原発の全面停止を決めたドイツ 欧州全体に悪影響、得するのはフランスか2011-06-06 | 地震/原発
中国、原子炉新規稼働へ/原発を持つ国は、何かの際に短時間で原爆を作ることができる/原発保有国の本音2011-05-11 | 中国 
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「BRICS」を政治利用する中国2011-04-23 | 国際
 米国への挑戦状:世界の盟主になりたい中国 BRICS首脳会議を主催して〜中国株式会社の研究(107)
JB PRESS〔中国〕2011.04.22(Fri)宮家 邦彦
 日本中が放射線量の増減に一喜一憂していた4月13〜14日、胡錦濤総書記は海南島で第3回BRICS首脳会議を主催していた。インド、ロシア、ブラジルに加え、今回から南アフリカも参加した。「BRICs」が「BRICS」に変わったことに気づいた日本人がどれだけいただろうか。
投資銀行が考えた「BRICs」  
 共同会見に臨む(左から)インドのマンモハン・シン首相、ロシアのドミトリー・メドベージェフ大統領、中国の胡錦濤国家主席、ブラジルのジルマ・ルセフ大統領、南アフリカのジェイコブ・ズマ大統領〔AFPBB News〕
 「BRICs」という言葉が使われたのは2001年、米投資銀行大手ゴールドマン・サックスが投資家用に作成したニュースレターが最初だったと言われる。
 当時から、広大な領土と巨大な人口を持ち、急成長を続ける新興国家群の存在は関係者の間で注目されていた。
 あれから10年、今年から南アフリカが参加し、イラン高官もBRICs諸国との関係拡大を公言するようになった。
 当初は理念的に考えられ、半ば語呂合わせ的に命名されたBRICsだったが、今や国家グループとして自律的な進化を始めたかのようだ。
 ロシアとブラジルで開かれた過去2回のBRICs首脳会議のテーマは、基本的に経済問題だった。BRICs諸国が、G20と国連の役割を重視しつつ、より平等、多極的で民主的な国際社会・経済システムを目指して協力し合うという一般的な主張だったと記憶する。
 ところが、4月14日に発表された今年の首脳宣言には、微妙ながら重要な変化が見られた。昨年の共同コミュニケと読み比べれば、国連改革、リビア情勢、国際金融システム改革など、前回よりも政治的に踏み込んだ内容が随所に盛り込まれていることが分かる。
2011年BRICS首脳宣言
 今年の首脳宣言中、特に注目すべきは以下の諸点だ(括弧内の注は筆者のコメント)。
●安全保障理事会を含む国際連合の全面的改革が必要であり、中国とロシアは、インド、ブラジル、南アフリカの国際的地位・役割向上の重要性を再確認する
(注:欧米主導でつくられた現在の国連は不平等・不公平なシステムだと批判するが、インド、ブラジル、南アフリカの地位向上の重要性を唱える一方で、日本やドイツに言及しないことも同様に不平等、不公平ではないのか)
●中東・北アフリカ地域における混乱を深く憂慮し、武力行使は回避すべきである
(注:リビアなどで欧米諸国が安易に軍事介入を行っていることを批判しているようだが、BRICSとして軍事的手段に代わる解決策を提示しているわけではない)
●国際通貨基金(IMF)改革目標を早急に達成し、商品デリバティブ市場の規制を強化すべきである
(注:欧米主導の国際金融システムにおけるBRICS諸国の発言力・影響力を高めようとする主張であるが、ここでも具体的改善策は示されていない)
●安定性と確実性を伴う広範な国際準備通貨制度に基づく国際金融システムの改革・改善を支持する
(注:名指しは避けたものの、明らかに米ドル中心の現行国際通貨制度を強く批判するものだ、他方、中国の人民元の取り扱いなどの具体的解決策は提示していない)
●原子力エネルギーはBRICSにとって重要な要素であり、安全な原子力エネルギーの平和利用に関する国際協力を推進すべきである
(注:BRICSが経済成長を続けるため必要なエネルギーを確保しなければならないことは分かるが、このタイミングで敢えて原子力の重要性に言及することは実に興味深い)
「BRICS」を政治利用する中国
 以上のようなBRICS首脳会議の「政治化」を主導したのは、やはり中国であろう。中国は今回の首脳会議を大々的に宣伝しており、開催地である海南省三亜市のウェブサイトに今次首脳会議の公式サイトまで作っている。
 これに対し、欧米メディアの反応は総じて鈍いようだ。少なくとも、BRICS諸国が国際金融システムに対し挑戦し始めたといった警戒心は見られない。
 それどころか、BRICS経済が元気になることは米国にとっても有益であるといった楽観的な論調すら見られる。
 確かに中国などがこの種の主張をするのは初めてではない。その内容にも具体性がない。
 さらに、BRICS諸国と言っても一枚岩ではない。中印だけでも国境問題、貿易摩擦問題を抱えるなど、各国間の利益対立は決して小さくないからである。
 リーマン・ショック後の新たなパラダイムの中で、米国が相対的に弱体化することは避けられない。他方、BRICSを中心とする新興国側にも、米国に代わって新しい国際秩序をつくるだけの余力はなかろう。
 今のところ欧米諸国は、BRICSは「弱者同盟」に過ぎず、米国を中心とする欧米型システムを打ち破る力にはなり得ないと高を括っているのだろう。BRICS諸国側も当面は米国を中心とするグローバル経済の枠内で独自の主張を強めていくことになりそうだ。
BRICS=金磚国家
 ちなみに、第3回BRICS首脳会議は中国語で「金砖国家领导人第三次会晤」という。「金砖」とは「金磚(きんせん)」で金の延べ棒をも意味するようだ。「磚」とは煉瓦のこと、煉瓦は英語でBRICKだから、BRICS=金磚国家ということになるらしい。
 友人の中国語専門家に言わせると、これは一種の芸術なのだそうだ。未知の外来語に対し、漢字と英語の類推から、ぴったりの漢字新語を作る中国人の能力とセンスは誰も真似できないという。それはそうだろう。そんなことをするのは中国人だけなのだから。
 BRICSはBRICSなのだから、そのまま使えばいいではないか。中国語でDavidは大偉(ターウェイ)という。なぜわざわざ漢字化するのだろうか。
 趣味の問題かもしれないが、筆者には「金磚国家」など「洗練させたセンス」どころか、下手な「こじつけ」としか思えない。
 「金磚」は元々古代中国の珍しい武器の一種らしい。伝説によれば、金色をした円形敷石か瓦のようなもので、空に投げ上げると金光を発したという。
 つまり、BRICSとは、煉瓦は煉瓦でも、光り輝く煉瓦の国家群ということなのか。是非そうあってほしいものである。

福島の酪農業男性が自殺か 「原発なければ」と書き残し

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福島の酪農業男性が自殺か 「原発なければ」と書き残し
中日新聞2011年6月14日 10時31分
 福島県相馬市の50代の酪農業の男性が「原発さえなければ。仕事する気力をなくした」と書き残し、首をつった状態で死亡していたことが14日、同市や捜査関係者への取材で分かった。自殺とみられる。
 市によると、男性は11日に自宅近くの小屋の中で発見された。壁に「原発さえなければ。残った酪農家は原発に負けないで頑張ってください」などと記されていた。
 男性は福島第1原発事故後、妻の故郷であるフィリピンに妻と2人の子どもとともにいったん避難したが、単身で相馬市に戻っていた。原乳は3月に出荷制限を受けたため、男性は搾乳した分を廃棄していたという。
(共同)
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〈来栖の独白〉
 東日本大震災に伴っての悲惨で私が最も心痛むのは、「生きとし生けるもの」たちのそれである。地震・津波だけなら、困難は並み大抵ではないとしても復興に希望が見出せる。が、放射能の惨禍は、すべてを奪う。
 記事の男性の究極の悲しみと絶望を、思いやらないではいられない。私だって、同じ状況に置かれたら、おそらく同様の行動に行き着くだろう。生きてはいられない。
 人類は絶滅すべきだ。地上のすべての生きもののため、絶滅すべきだ。それしかない。このいとおしい地球、そこに安らぐすべての生きものたちに、この有機的な星をそのまま還すべきだ。
 原発で被災した作業員の皆様方。この方たちの悲惨にも、深く項垂れないわけにはいかない。ドイツもイタリアも原発に「ノー」と云った。が、日米仏は、そうは言わない。これほどの犠牲を強いても、また高レベル廃棄物の危険を10万年以上も消去できなくとも、大国の利権は原発に「ノー」と言わぬ。
 このような人類は滅亡すればよい。
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原発20?圏に家畜65万匹超、置き去りか 餓死か/牛に「ごめん」牛を解き放とうと悩んだが、近所迷惑と考え2011-04-22 | 地震/原発 
原発20キロ圏に家畜65万匹超置き去りか
< 2011年4月19日 20:41日テレ>福島第一原子力発電所の事故で避難指示区域に指定されている半径20キロの圏内に、家畜のウシ3300頭やブタ、ニワトリなど計65万匹以上が取り残されているとみられることが、福島県の調べでわかった。大半は死んでいるとみられる。
 県は、行方不明者の捜索も難航していることから対応は難しいとしている。
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牛3千頭・豚3万匹、原発20キロ圏に…餓死か
読売新聞 4月19日(火)14時33分配信
 東京電力福島第一原子力発電所の事故で、避難指示区域(原発の20キロ圏内)に牛約3000頭、豚約3万匹、鶏約60万羽が取り残されたことが19日、福島県の調べでわかった。
 避難指示から1か月以上が過ぎ、すでに多数が死んだとみられる。生き残っている家畜について、畜産農家らは「餓死を待つなんてむごい。せめて殺処分を」と訴えるが、行政側は「原発問題が収束しないと対応しようがない」と頭を抱えている。
 県によると、20キロ圏内は、ブランド牛「福島牛」の生産地や大手食品メーカーの養豚場などがあり、畜産や酪農が盛んな地帯。しかし、東日本大震災発生翌日の3月12日、同原発1号機が爆発し、避難指示が出たため、畜産農家や酪農家は即日、家畜を置いて避難を余儀なくされた。 .最終更新:4月19日(火)14時33分
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<福島第1原発>牛に「ごめん」 警戒区域化で最後の世話
(毎日新聞-04月21日 21:23)
 「一時帰宅はどこまで認められるのか」「放射線量が高いのに大丈夫なのか」。福島第1原発の20キロ圏内を22日午前0時から立ち入り禁止にするとの21日の政府発表を受け、福島県内外で避難生活を送る約7万8000人の住民に大きな波紋が広がった。一時帰宅への期待が高まる一方、やり残したことを「最後の1日」で済ませようと圏内を行き来する人の動きも目立った。原発事故の影響は圏内で暮らしていた約7万8000人の営みを翻弄(ほんろう)し続けている。
 ◇楢葉町牧場主
 同県楢葉町の蛭田(ひるた)牧場。20キロ圏外のいわき市に避難している経営者の蛭田博章さん(42)は21日、約130頭の牛たちに最後の餌を与えた。強制力のない「避難指示」の段階では、3日に1回のペースで餌やりのため牧場に入っていたが、22日午前0時以降は不可能になる。蛭田さんは「何もしてやれず、ごめん」と牛たちにわびた。
 この日、蛭田さんが干し草を積んだトラックで到着すると、エンジン音を聞いた牛舎からは一斉に鳴き声が起きた。まず飲み水を与え、次に干し草を一列に並べると牛たちは我先にと食べ始めた。与えたのは1日分。牛が飲まず食わずで生きられるのは約1カ月が限度という。
 子牛の牛舎を見ると生後3カ月の雌牛が栄養不足で死んでおり、別の1頭が絶えそうな息で横たわっていた。蛭田さんは重機で掘った穴に死んだ子牛を埋め、瀕死(ひんし)の子牛の背中をずっと、なでた。「ごめんな、ごめんな」。涙が止まらなかった。
 立ち入りが禁止される今回の事態を前に、牛舎から牛を解き放とうと何度も悩んだが、近所迷惑になると考え、思いとどまった。最後の世話を終えた蛭田さんは「一頭でも生かしてやりたかったけど、もう無理みたいです。次に来るときは野垂れ死にしている牛たちを見るのでしょう。つらいです」。それ以上、言葉が続かなかった。【袴田貴行】
 ◇検問で列
 政府による「警戒区域」の設定が発表された21日、福島第1原発の半径20キロ圏に取材で入った。主要道路は、警戒区域に切り替わる22日午前0時より前に圏内の自宅から荷物を持ち出そうとする住民の車で混雑した。
 国道6号の原発20キロ地点に設置された楢葉町の検問所も列ができていた。警察官は「今日までは立ち入りを認めているが、明日からは完全に入れなくなる」と説明し「短時間で出てください。出た後は(被ばくの有無を調べる)スクリーニング検査を受けてください」と念押ししていた。
 夕方、圏内からUターンを始めた車には、多くの家財が積まれていた。マスク姿の運転者が目立ち、防護服代わりのような雨がっぱで頭を覆った女性もいた。荷台に犬を乗せた軽トラックも通り過ぎていった。
 この日、出会った楢葉町の森田孝広さん(35)は家財道具を持ち出すためトラックを借りて「家にある7割くらいは持ち出した」という。仕事があるため妻と小1の長男、1歳の長女を東京の実家に預け、いわき市内で単身の避難生活を送る。自宅が警戒区域になることに「何も考えられない。目の前で起きることを一つ一つこなしていくだけ」とうつむいた。
 町内には今回の問題を生み出した原発の復旧に当たる前線基地「Jヴィレッジ」がある。施設内では、この日も多くの作業員が防護服に身を包み、原発に向かうワゴン車やバスに乗り込んでいた。
 スクリーニング検査を実施しているいわき市保健所によると、この日は圏内の楢葉町や富岡町にいったん戻った人を含めた検査が平常より3割増えた。持ち出した家財道具の検査ができるかの問い合わせもあり、職員らは遅い時間帯まで対応に当たっていた。【町田徳丈、石川淳一】
 ◇郡山避難女性
 福島県内外の避難所などに身を寄せる住民の関心は、今後実施されるとみられる一時帰宅に集中した。
 最も多い避難住民を受け入れている「ビッグパレットふくしま」(郡山市)には21日、菅直人首相が訪れた。
 津波で集落全体を流された富岡町のパート、佐藤恵美子さん(50)は首相に「よろしくお願いします」と声を掛けたが、本音では「早く帰らせて」と怒鳴りたかった。震災から一度も帰宅できておらず、アルバムや思い出の品も捜したい。ただ佐藤さんは「放射線で汚れたものをそのまま避難所に持ってくるわけにもいかないだろう」と、複雑な思いをのぞかせた。
 家族4人と寝泊まりする同町の会社員、遠藤和也さん(43)は今まで2回、帰宅して通帳などを持ってきたが、両親の保険証を回収できていない。一時帰宅に期待しているが「本当はみんなで戻りたいが、放射能が怖いので子供2人は連れて行けない」と話した。
 山形県米沢市の避難所に身を寄せる浪江町の会社員、金沢良行さん(48)は警戒区域設定のニュースを知り、車を飛ばして自宅に家財道具を取りに行った。国の一時帰宅の方針については「一時帰宅は乗り合いバスで移動するというが、多くの荷物が載せられない。もう少し自由にできないのか」と訴えた。
 一方、第1原発の3キロ圏内は一時帰宅の対象外に。双葉町長塚から米沢市に避難している東電協力会社員、渡部恵丞(けいすけ)さん(32)は「一時帰宅できたら衣類や日用品、3人の子供のアルバムを持ってきたかったが……。こんなことなら自己責任で戻って回収しておけばよかった」と肩を落とした。【前谷宏、荻野公一、金寿英】
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福島からの牛豚避難に壁 風評被害、東海の受け入れ先断念
中日新聞2011年4月22日 10時38分
 福島県や農林水産省は、福島第1原発事故で「計画的避難」や「屋内退避」の対象になっている地域の牛や豚を、圏外に避難させる方針だ。ただ、受け入れを表明した東海地区の酪農家が、インターネット上で中傷され、断念するケースも出始めるなど、難航も予想される。
 1カ月をめどに避難対象となる「計画的避難」区域の福島県飯舘村。黒毛和牛を育てる庄司武実さん(57)は「牛を飼っている者は不安で仕方がない。こんな状態では当たり前でしょ」と憤りをあらわにする。
 父親の後を継いで30年。「草原の草を食べて育つ。うちの牛は赤身が多くて、うまいんだ」。競りに出した子牛が、三重県や山形県で育てられ、全国でも屈指のブランド牛になる。それを誇りにしてきた。
 福島県の調査によると、今月上旬、村内の土壌からは1キログラムあたり最大2万ベクレル以上(規制値5000ベクレル)のセシウムが検出された。県は「計画的避難」区域の牛や豚の飼育数は把握していないが、原発から半径20〜30キロ圏内の「屋内退避」区域だけでも、牛1万頭、豚1万3千頭が飼育されている。
 家畜の世話をするために自宅にとどまったり、餌をやるために避難先から通う農家もいる。
 農水省は今月上旬、農協などを通じて、全国の酪農家や畜産農家に、家畜の受け入れ希望を調査した。数十の農家が「可能」と回答したという。
 東海地方のある酪農家も「被災地の助けになりたい」と、牛数十頭の受け入れを申し出た。しかし、直後にインターネット上で「放射能で汚染された牛が××県に来る」などと中傷されたことから、風評被害を恐れ、受け入れを断念した。
 庄司さんは、母牛や子牛に餌をやりながら考える。「来月予定される競りに、飯舘の牛は出せないだろう。国や東電はどう補償してくれるのか」。丹念に育ててきた雄の子牛は今、9カ月。ちょうど出荷の時期を迎えている。
宮崎牛、口蹄疫 「人間は、地上における最も兇暴な食欲をもつ生物だ」2010-05-17 | 社会
・五木寛之著『人間の運命』(東京書籍)より
 私たち人間は、地上における最も兇暴な食欲をもつ生物だ。1年間に地上で食用として殺される動物の数は、天文学的な数字だろう。
 狂牛病や鳥インフルエンザ、豚インフルエンザなどがさわがれるたびに、「天罰」という古い言葉を思いださないわけにはいかない。
 私たち人間は、おそろしく強力な文明をつくりあげた。その力でもって地上のあらゆる生命を消費しながら生きている。
 人間は他の生命あるものを殺し、食う以外に生きるすべをもたない。
 私はこれを人間の大きな「宿業」のひとつと考える。人間が過去のつみ重ねてきた行為によってせおわされる運命のことだ。
 私たちは、この数十年間に、繰り返し異様な病気の出現におどろかされてきた。
 狂牛病しかり。鳥インフルエンザしかり。そして最近は豚インフルエンザで大騒ぎしている。
 これをこそ「宿業」と言わずして何と言うべきだろうか。そのうち蟹インフルエンザが登場しても少しもおかしくないのだ。
 大豆も、トウモロコシも、野菜も、すべてそのように大量に加工処理されて人間の命を支えているのである。
 生きているものは、すべてなんらかの形で他の生命を犠牲にして生きる。そのことを生命の循環と言ってしまえば、なんとなく口当たりがいい。
 それが自然の摂理なのだ、となんとなく納得できるような気がするからだ。
 しかし、生命の循環、などという表現を現実にあてはめてみると、実際には言葉につくせないほどの凄惨なドラマがある。
 砂漠やジャングルでの、動物の殺しあいにはじまって、ことごとくが目をおおわずにはいられない厳しいドラマにみちている。
 しかし私たちは、ふだんその生命の消費を、ほとんど苦痛には感じてはいない。
 以前は料理屋などで、さかんに「活け作り」「生け作り」などというメニューがもてはやされていた。
 コイやタイなどの魚を、生きてピクピク動いたままで刺身にして出す料理である。いまでも私たちは、鉄板焼きの店などで、生きたエビや、動くアワビなどの料理を楽しむ。
 よくよく考えてみると、生命というものの実感が、自分たち人間だけの世界で尊重され、他の生命などまったく無視されていることがわかる。
 しかし、生きるということは、そういうことなのだ、と居直るならば、われわれ人類は、すべて悪のなかに生きている、と言ってもいいだろう。
 命の尊重というのは、すべての生命が平等に重く感じられてこそなのだ。人間の命だけが、特別に尊いわけではあるまい。
・五木寛之著『天命』幻冬舎文庫より
p64〜
 ある東北の大きな農場でのことです。
 かつてある少女の父親から聞いた話です。そこに行くまで、その牧場については牧歌的でロマンティックなイメージを持っていました。
 ところが実際に見てみると、牛たちは電流の通った柵で囲まれ、排泄場所も狭い区域に限られていました。水を流すためにそうしているのでしょう。決まった時刻になると、牛たちは狭い中庭にある運動場へ連れて行かれ、遊動円木のような、唐傘の骨を巨大にしたような機械の下につながれる。機械から延びた枝のようなものの先に鉄の金輪があり、それを牛の鼻に結びつける。機械のスウィッチをいれると、その唐傘が回転を始めます。牛はそれに引っ張られてぐるぐると歩き回る。機械が動いている間じゅう歩くわけです。牛の運動のためでしょうね。周りには広大な草原があるのですから自由に歩かせればいいと思うのですが、おそらく経済効率のためにそうしているのでしょう。牛は死ぬまでそれをくり返させられます。
 その父親が言うには、それを見て以来、少女はいっさい牛肉を口にしなくなってしまったそうです。牛をそうして人間が無残に扱っているという罪悪感からでしょうか。少女は、人間が生きていくために、こんなふうに生き物を虐待し、その肉を食べておいしいなどと喜んでいる。自分の抱えている罪深さにおびえたのではないかと私は思います。
 そうしたことはどこにいても体験できることでしょう。養鶏にしても、工場のように無理やり飼料を食べさせ卵をとり、使い捨てのように扱っていることはよく知られたことです。牛に骨肉粉を食べさせるのは、共食いをさせているようなものです。大量生産、経済効率のためにそこまでやるということを知ったとき、人間の欲の深さを思わずにはいられません。
 これは動物を虐げた場合だけではありません。どんなに家畜を慈しんで育てたとしても、結局はそれを人間は食べてしまう。生産者の問題ではなく、人間は誰でも本来そうして他の生きものの生命を摂取することでしか生きられないという自明の理です。
 ただ自分の罪の深さを感じるのは個性のひとつであり、それをまったく感じない人ももちろん多いのです。(中略)
 生きるために、われわれは「悪人」であらざるをえない。しかし親鸞は、たとえそうであっても、救われ、浄土へ往けると言ったのです。
 親鸞のいう「悪人」とはなんでしょうか。悪人とは、誠実な人間を踏み台にして生きてきた人間そのもです。「悪」というより、その自分の姿を恥じ、内心で「悲しんでいる人」と私はとらえています。(中略)
 我々は、いずれにしろ、どんなかたちであれ、生き延びるということは、他人を犠牲にし、その上で生きていることに変わりはありません。先ほども書いたように、単純な話、他の生命を食べることでしか、生きられないのですから。考えてみれば恐ろしいことです。
 そうした悲しさという感情がない人にとっては意味はないかもしれません。「善人」というのは「悲しい」と思ってない人です。お布施をし、立派なおこないをしていると言って胸を張っている人たちです。自信に満ちた人。自分の生きている価値になんの疑いも持たない人。自分はこれだけいいことをしているのだから、死後はかならず浄土へ往けると確信し、安心している人。
 親鸞が言っている悪人というのは、悪人であることの悲しみをこころのなかにたたえた人のことなのです。悪人として威張っている人ではありません。
 私も弟と妹を抱えて生き残っていくためには、悪人にならざるをえなかった。その人間の抱えている悲しみをわかってくれるのは、この「悪人正機」の思想しかないんじゃないかという気がしました。(中略)
 攻撃するでもなく、怒るでもなく、歎くということ。現実に対しての、深いため息が、行間にはあります。『歎異抄』を読むということは、親鸞の大きな悲しみにふれることではないでしょうか。
・五木寛之著『いまを生きるちから』(角川文庫〉より
 いま、牛や鳥や魚や、色んな形で食品に問題が起っています。それは私たち人間が、あまりにも他の生物に対して傲慢でありすぎたからだ、という意見もようやく出てきました。
 私たちは決して地球のただひとりの主人公ではない。他のすべての生物と共にこの地上に生きる存在である。その「共生」という感覚をこそ「アニミズム」という言葉で呼びなおしてみたらどうでしょうか。
...............
「牛は処分を察してか悲しい顔をする。涙を流した牛もいた」担当者ら、悲痛〜心のケアを2010-05-26 | 社会
わが子を死なせる思い。これまで豚に食わせてもらってきた。処分前に せめて最高の餌を
電気を流した。「豚は一瞬、金縛りのように硬直して、聞いたことのない悲鳴のような鳴き声を上げた」
ハイチの“マザーテレサ”須藤昭子医師(クリストロア宣教修道女会)に聞いてみたい、牛や豚のこと。
「子牛もいた。何のために生まれてきたんだろう」処分用薬剤を140頭もの牛に注射し続けた獣医師

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