マスメディアがなぜか「増税」に反対できない事情と弱み
J-CASTニュース2011/9/29 17:00
田中角栄と小沢の違いは「情」あるかないか
「赤ん坊が高熱を出して医者に見せようにも、トンネルがあれば三十分とかからないで行けるのに、トンネルがなくてガッポガッポと腰までつかる三メートルもの雪の中を一日かかってさ。母ちゃんの背中で赤ちゃんが死んでいたんだ。実際にあった話だ。それを聞いた角さんは声をあげて泣いていた」
これは「月刊日本」に掲載されている松田賢弥の「小沢一郎は角栄になれなかった!!」の中で、田中角栄の元後援会幹部が語っている言葉である。
昭和38年(1963年)、新潟を襲った「三八豪雪」では山間部の雪は3メートルを超え、死者は約210人におよんだ。角栄は「雪は災害だ」と言い切って渋る中央官僚に援助を認めさせた。
詰まるところ角栄と小沢の違いは、「情」があるかないかであろう。角栄の地元が岩手だったら、東日本大震災直後に飛んでいって、何よりも東北の復興が最優先だと、ブルドーザーと称された腕力と政治力でがれきの山を片付け始めたに違いない。
それに比して小沢は何もやってくれないと地元から怨嗟の声が出ている。小沢の力の源泉は永田町での強引な政治力にあった。だが、その豪腕もいよいよ風前の灯火になってきたようだ。「週刊文春」でノンフィクション・ライター森功がレポートしている。
*さしもの豪腕も落ち目と見切った登石裁判長「元秘書有罪」
9月26日(2011年)、東京地裁・登石郁朗裁判長は小沢の元秘書3人に対して有罪判決をいい渡した。問われていたのは準大手ゼネコン「西松建設」のダミー政治団体による世田谷の土地取引を巡る政治資金収支報告書の虚偽記載である。登石裁判長は水谷建設からの裏献金についてもこう断じた。
「合計一億円を小沢事務所が要求し、被告人石川と同大久保が受け取ったことは、合理的な疑いなく認められる」とし、犯行動機を「被告らはゼネコンとの癒着が公になることを恐れ、犯行におよんだ」
登石裁判長は小沢がこれまで曖昧な説明に終始していることに対しても、「四億円を用意した小沢の供述も変遷を繰り返しており…信用できない」と指摘し、「被告らは法の趣旨を踏みにじり、政治活動や政治資金に対する国民の不信を増大させた社会的影響を見過ごすことはできない。不合理な弁解を弄して責任を頑なに否認し、反省の姿勢を全く示していない」とした。
検察不信の嵐の中でこうした判決を出したのは、そうした流れを押しとどめようという政治的な意味合いが強いような気はする。また、裁判ではおなじみの「社会的な影響を見逃すことはできない」という常套句はいただけない。国民の政治不信を増大させているのは政治とカネの問題だけではないし、否認している被告が反省するわけはない。
この裁判を批判している側から、この判決が「あまりにも政治的」「検察に乗せられた司法の巻き返しだ」という声があがることも間違いない。だが、登石裁判長は永田町の勢力図や世論の動向などを十二分に考慮に入れ、こうした判決を下しても大丈夫と判断したのだろう。それは小沢一郎の政治力が確実に減じつつあるからである。
*朝日新聞、読売新聞、NHK…次々指摘される「申告漏れ」
だが短い国会なのだから、小沢の証人喚問程度で時間を費やすのは止めるべきであろう。小沢の裁判も10月に始まるのだから。いまやるべきは財務省の首領・勝栄二郎事務次官が着々と増税のための布石を打ってきて、野田総理を始め閣僚たちはその手のひらの上でいいように踊らされ、「大増税」へと舵をいっぱいに切っていることへの批判ではないか。
その手のひらには当然ながらマスメディアも乗っていて「増税必要論」を声高に叫んでいるが、そうしなければならなくなったのは国税の税務調査だったと「週刊ポスト」は「財務省の研究」の中で書いている。
「朝日新聞は09年2月に東京国税局の税務調査で京都総局のカラ出張による架空経理の計上など約5億1800万円の申告漏れを指摘され、(中略)同年5月には、読売新聞東京本社も東京国税局の税務査察で推定2億7000万円の申告漏れを指摘されている。その前には日テレ、フジテレビ、NHKも申告漏れを指摘された」
読売新聞はその後、丹呉泰健・前財務事務次官を社外監査役に迎え、朝日新聞も「増税礼賛」の論調を強めていった。
「週刊新潮」は復興財源ばかりか1000兆円もの大借金を抱えた日本は増税なしにはもたないのは事実だが、その前にやるべきことがあるだろうと6点を挙げている。
「722人もいる国会議員の定数を半分にせよ!」「坊主丸儲け『宗教法人』課税なら4兆円が浮く」「72%も経費が控除される『お医者様』の優遇税制」「予備校も日本語学校も『学校法人』なら税金天国」「親方日の丸『公務員改革』『天下り禁止』は徹底されたか!」「特別会計400兆円は放置でいいのか!『財務省』」
JT株放出やたばこ税のアップだけで、あとは国民に負担を押しつけるのでは納得できるはずがない。増税に加えて、週刊文春がいうように「日本は5年以内に破綻する『第2次世界恐慌』の戦慄!」となるならば、東日本大震災の被災者はもちろんのこと、貧乏人はますます生き難くなってくるに違いない。新潮が要求しているいくつかをやり遂げたうえでの増税ならば致し方ないが、そうでなければ増税の前に解散総選挙で民意を問うべきである。
*宮内庁関係者が気が気でない「千代田と東宮」の関係
さて、先に行われた学習院初等科2泊3日の山中湖校外学習に雅子妃が同行し、そのために厳戒態勢がとられ、山梨県警数十名が動員され、雅子妃は愛子さまを含めた児童が宿泊したホテルの「インペリアルスイート」(1泊12万円)に泊まったことが大きな問題になっていると、文春と新潮が報じている。文春によれば、9月22日、怒気を含んだ記者の声が宮内庁の報道室に響き渡った。
「今回のお付き添いは、極めつけの茶番ですよ。皇室の尊厳もくそもない!」
また別のベテラン記者はこういった。
「(中略)震災から半年、国民が大増税の時代を迎えようとしているその時期に妃殿下は校外学習でインペリアルスイートに泊まられた。常識的に考えられない出費。『税金泥棒』との批判を受けるかもしれません。それを許した(皇太子)殿下はどうを考えなのですか」
毎日のように通学に付き添い、別室で授業が終わるまで待機して一緒に帰る愛子さまと妃殿下に対して、「異様な母子」という言葉まで飛び出している。戦前だったら間違いなく不敬罪だね。羽毛田信吾宮内庁長官も定例会見でこうコメントしている。
「校外学習が出来たのは良いのですが、通常の形でないのは心配している」
新潮によれば、この発言は「長官よりも、むしろ両陛下が雅子さまの姿勢に疑義をもたれているということになる」そうで、「皇后陛下が10月20日、愛子さまが12月1日、雅子さまが9日、天皇陛下が23日と、年末にかけてお誕生日が続く。そうした際に、会見等で殿下あるいは陛下が、愛子さまの教育方針を巡って互いに不信感を含んだ『お言葉』を発し合い、千代田(両陛下)と東宮(皇太子ご一家)の確執が深まるなどといったことにならないか、気が気でない」(ある宮内庁担当記者)と周囲をハラハラさせているようだ。こうした皇室問題は週刊誌の独壇場である。皇位継承問題もありこれからの皇室も波乱含みのようだ。
*批判強まる大阪・ハシズム「政治ではなく独裁支配」
これ以外の注目記事。「サンデー毎日」は山口二郎、内田樹、佐藤優らに橋下大阪府知事の独善的なやり方を批判させている。山口は9月17日に大阪市で開かれたシンポジウム「『橋下』主義(ハシズム)を斬る」でこう語っている。
「維新の会の政策に反対するやつは『改革の敵』とレッテルを貼って退ける。この危うさを何とか食い止めなければと考え、大阪にやって来ました。ハシズムとは政治ではなく、権力による支配です」
佐藤優はこう批判する。
「代表を送り出す者(大衆)と代表にされる者(政治家)の利益がズレているにもかかわらず、代表しているというイメージをつくり出すことは歴史上、珍しくない。(中略)最近では、小泉元首相がそうです。規制緩和で得をしたのは大資本でした。圧倒的に支持した一般の働く国民はどうなったのか。選挙だけの民主主義は民主主義ではない。自由のない民主主義は独裁です」
内田樹が最も懸念するのは橋下の教育への政治介入だという。
「橋下氏は、教育現場を上意下達的なシステムに変えて、教師を規格化し、点数や進学率などの数値的な成果に基づいて格付けすることを目指していますが、これは教育の破壊以外のなにものでもないと思います」
今週もタイトルが冴えたのは新潮。「光より速い『素粒子』発見でサンマが上手く焼けるか?」。思わず読んでみたが、中身はタイトルほどおもしろくはない。「13歳年下『天才騎手』の逃げ切りを許さないほしのあき」はタイトルそのままの記事。1年目に華々しい活躍をした三浦皇成騎手だが、フリーになってから乗り馬に恵まれないこともあるが、最近は普通の騎手になってしまった。結婚を機に飛躍できるか皇成!
=======================
◆陸山会事件:午後判決/勝栄二郎 法務官僚と裁判官を使って小沢一郎を抑えつけ、財務省は好き放題やった2011-09-26 | 政治/検察/メディア/小沢一郎
◆「増税」「宿舎建設」官僚のやりたい放題を許していいのか/勝栄二郎は小沢一郎を抑えつけ、好き放題やった2011-09-29 | 政治
◆小沢一郎氏「予想外の判決だ」「あんな判決はあり得ない」「検察でも認定できないのに」不快感をあらわに2011-09-28 | 政治/検察/メディア/小沢一郎
◆石川知裕議員に辞職勧告決議案「国民のレベル以上のリーダーは出ねえんだよ。衆愚の中からは衆愚しか」2011-09-29 | 政治/検察/メディア/小沢一郎
小沢一郎を落ち目と見切った登石裁判長/財務省首領 勝栄二郎が、内閣に「大増税」へと舵を切らせている
東京の政治エリート(国会議員・官僚)と歩調を合わせ始めた朝日新聞の「沖縄報道」
一転し、東京の政治エリートと歩調を合わせ始めた朝日新聞の「沖縄報道」 日米首脳会談報道を読み解く
現代ビジネス2011年09月30日(金)佐藤 優
沖縄報道に関して、全国紙で朝日新聞と毎日新聞は特別の性格を帯びている。それは、朝日新聞が沖縄タイムス、毎日新聞が琉球新報と提携し、人事交流を含め、緊密な関係を有しているからだ。かつて沖縄の本土復帰の世論を形成する上でも、朝日新聞、毎日新聞は大きな役割を果たしたとこれまで見られてきた。
それだから、両紙は沖縄の論理を全国に伝える上で特別の機能を果たしている。しかし、その状況が変化しつつある。朝日新聞の沖縄に対する視座が、明らかに東京の政治エリート(国会議員、官僚)に、無意識のうちに近づいているからだ。
筆者が接する沖縄の政治エリート、有識者、マスメディア関係者から「いったい朝日新聞は沖縄についてどう考えているのか」と尋ねられることが多くなった。それに対して筆者は、「朝日新聞は、日本のマスメディアの中で、学校時代の成績がよい偏差値エリートの集団です。それだから、同じ偏差値エリートである外務官僚との同質化現象が進んでいるのだと思います。朝日新聞の記者たちは無意識のうちに外務官僚と同じ視座を持つようになっている。無意識だから矯正がきわめて困難です。普天間問題で『最後は朝日新聞が沖縄の側に立ってくれる』という幻想を捨てる時期に来ています。沖縄の政治家も記者も、東京から自立せざるを得ない状況が日ごとに強まっている。なぜそれを沖縄が余儀なくされているか、外務官僚にも、朝日新聞の記者にもピンとこないのです」と答えている。
筆者のこの認識が、9月21日(日本時間22日)、ニューヨークで行われた日米首脳会談に関する朝日新聞の報道を読んで決定的に強まった。この首脳会談で、オバマ大統領が野田佳彦首相に対して「結果を求める時期に近づいている」と発言を行ったをめぐり深刻な問題が生じている。この問題を初めに指摘したのは、9月27日付琉球新報の以下の記事だ。
〈「普天間移設」大統領発言、疑義が浮上 首をかしげる首相
【東京】日米首脳会談で米軍普天間飛行場移設問題について、オバマ米大統領が野田佳彦首相に対し「結果を求める時期に近づいている」と発言したとされる件で、発言の事実に疑いが浮上している。野田首相は首脳会談後の記者団との懇談で発言について問われ、首をかしげて「進展を『期待する』という話はあった」と説明した。オバマ大統領の「結果を求める時期」については、米国務省のキャンベル次官補が記者団に説明していた。野田首相の認識と食い違っていることが明らかになった。
21日(日本時間22日)、首脳会談には野田、オバマ両首脳の他、玄葉光一郎外相、クリントン国務長官が参加。外務省や国務省職員ら両国事務方も同席した。会談終了後、キャンベル次官補が報道陣に、会談内容について「われわれは結果を求める時期に近づいている。それは大統領からも明確にあった」と解説した。
それを受け、日本メディアは「(オバマ大統領は)具体的な進展が得られるよう日本側の努力を強く要求した」と報道。この「結果要求」の背景としては、「普天間移設とセットである在沖米海兵隊のグアム移転の実現性にも(米議会から)厳しい視線が注がれ、現行計画が空中分解しかねない現状への米側のいら立ちを映し出した」とした。
関係者によると、野田首相は記者団に「オバマ大統領との会談で結果を求められたのか」と問われ、首をかしげた。首相は普天間問題のやりとりについて「こちらから沖縄の負担軽減を図りながら、誠心誠意説明していくという話をした。(大統領から)進展を期待しているという話はあった」と述べたという。〉
朝日新聞を含む全国紙は、普天間問題に関し、「結果を求める時期に近づいている」という発言がオバマ大統領からあったかなかったかを巡って、オンレコ扱いの内政懇で野田首相が述べたことと、米国務省のキャンベル次官補の記者に対するフリーフ(説明)に差異があることについて報じなかった。
首脳会談で、オバマ大統領が「時期が近づいている」という時限性、「結果を求める」という内容を要求したか否かという問題は、今回の首脳会談のまさに肝となる問題だ。この点ついて日米間に事実認識の差異があると、その後、深刻な外交問題を引き起こしかねない。この点について検証することが日本の国益のために重要と考える。
日米首脳会談について、読売新聞の報道を見てみよう。
〈首相は、懸案の米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)移設問題について、同県名護市辺野古に移す昨年5月の日米合意に沿って、沖縄の理解を得られるよう全力を尽くす考えを伝えた。大統領は日米合意の早期実現を強く求めた。
約35分間の会談は、大統領が最初に発言し、主に2国間の懸案について解決・進展を求める形で行われた。このうち普天間移設問題で、大統領は「結果を見いだすべき時期に近づいている。進展に期待している」と述べた。首相は「様々な懸案を一つ一つ解決していくのが野田政権の使命だ。日米合意にのっとって、沖縄の負担軽減を図りながら、沖縄の皆様の理解を頂けるよう全力を尽くしていく」と応じた。〉(9月22日読売新聞電子版)
読売新聞は、オバマ大統領の発言として「結果を見いだすべき時期に近づいている。進展に期待している」と報じている。
毎日新聞も〈首相は会談で、昨年5月の日米合意の着実な進展を図ることを強調し、首脳間の信頼関係構築を目指した。これに対し、オバマ大統領は「これからの進展に期待している」としたものの、「結果を求める時期が近い」とも述べ、日本側の努力を改めて強く促した。〉(9月22日毎日新聞電子版)と読売新聞と同様に「結果を求める時期が近い」という発言がオバマ大統領によってなされたと報道している。
ちなみに時事通信は、首脳会談の現場に居合わせたかのような臨場感あふれる報道を行っている。
〈21日行われた野田佳彦首相とオバマ大統領による初の日米首脳会談。懸案の米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)移設問題をめぐり、米側の厳しい姿勢が鮮明になった。大統領選を来年11月に控え、米国の対日圧力がさらに強まるとみられるが、日米合意に反発する沖縄の理解が得られるめどは立っていない。外交初舞台の首相は、出だしから重い課題を突き付けられた。
「結果を出す時期が近づいている」。大統領は首相との会談で、時間を惜しむかのように本題に切り込んだ。首相同行筋によると、クリントン米国務長官ら同席者が自己紹介をする間もなく、大統領は強い口調で普天間問題を進展させるよう首相に詰め寄ったという。
首相は就任以来、日米同盟を日本外交の基軸と明言してきた。外務省内には「米国は野田政権に好意的だ」(幹部)として、米側が過度な要求をしてこないと見る向きもあった。想定とは異なる米側の対応について日本政府は「初の首脳会談にしては極めて厳しい」(政府筋)と深刻に受け止めている。
大統領が「結果」を求めた背景には、米議会が普天間問題のこう着にいら立ちを強め、移設とセットである在沖縄海兵隊グアム移転費用の削減を要求していることも関係がある。〉(9月22日時事通信)
しかし、朝日新聞は、読売新聞、毎日新聞、時事通信と注意深く読むと異なった報道をしている。
〈野田佳彦首相は21日午後(日本時間22日未明)、米ニューヨークの国連本部でオバマ米大統領と初会談し、日米同盟を深化させていくことで一致した。大統領は、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設について、具体的な結果を出すよう野田首相に要求。首相は同県名護市辺野古に代替施設を建設する日米合意の早期の履行を迫られた。
会談時間は約35分間。首相は会談で、東日本大震災や東京電力福島第一原発事故をめぐる米国の支援に謝意を表明。「日米同盟が日本外交の基軸との信念は、震災をめぐる米国の多大な協力で揺るぎのない信念となった」と伝えた。大統領は「同盟関係を21世紀に適したものとして近代化していきたい」と語った。
普天間問題について、首相は「引き続き日米合意に従って協力を進めたい。沖縄の人々の理解を得るように全力を尽くしたい」と強調。大統領は「これからの進展に期待をしている」と語った。会談に同席したキャンベル米国務次官補は終了後、記者団に「両国は結果を求める時期が近づいている、と理解している。その点は大統領が非常に明確にした」と説明した。〉(9月22日asahi.com)
事実関係として、オバマ大統領が述べたのは、「これからの進展に期待をしている」という発言だけで、「両国は結果を求める時期が近づいている、と理解している。その点は大統領が非常に明確にした」という発言については、キャンベル国務次官補によるものであると2つの発言を区別している。野田首相の認識とキャンベル国務次官補の発言に、齟齬があり、それが将来問題になりうることを朝日新聞の記者は認識している。そうでなくては、このような「書き分けを」する合理的理由がない。
事実、この「書き分け」をしたので、朝日新聞は、カギ括弧つきで事実でないオバマ発言を報じるという誤報からは免れている。オバマ大統領が野田首相に対して、「結果を求める時期に近づいている」という発言の事実関係について、9月26日の衆議院予算委員会で、否定した。琉球新報の報道が詳しいので引用しておく。
〈首相「結果求める」否定 米大統領発言、衆院予算委で答弁
【東京】日米首脳会談で米軍普天間飛行場移設問題について、オバマ米大統領が野田佳彦首相に対し「結果を求める時期に近づいている」と発言したとされる件で、野田首相が26日の衆院予算委員会で発言の事実を否定した。野田首相は「大統領本人というよりも、ブリーフ(説明)をした方の個人的な思いの中で出たのではないか」と述べた。石原伸晃議員(自民)に答えた。
オバマ大統領の「結果を求める時期」については、米国務省のキャンベル次官補が記者団に説明していた。
キャンベル次官補は「日米双方とも結果を求める時期に近づいていることを理解している。その点は大統領も非常に明確にしていた」と言及。それを受け、日本側メディアが大統領発言として報道し「米の強硬姿勢が鮮明」などと解釈を付けていたが、野田首相の認識と大きく食い違っていることが浮き彫りになった。
野田首相は26日の衆院予算委員会で、首脳会談での普天間に関する議論の中身について「(危険性を)固定化することなく、負担軽減を図っていくという説明をして、沖縄の皆さんのご理解をいただくという基本姿勢を述べた」と説明。大統領の発言については「『その進展に期待する』という言い方だった」と述べ、報道された発言内容を否定した。「結果を求める時期」との発言については「ブリーフをした方の個人的な思いの中から出たのではないか」と指摘した。〉
野田首相の答弁は、質問通告を受け、外務省が答弁要領を作成した上でなされる。日米首脳会談の記録に、オバマ大統領が「結果を求める時期に近づいている」という発言は存在しないのである。しかも、米国側のブリーファー(説明者)に関して、野田首相が、国会答弁で「大統領本人というよりも、ブリーフ(説明)をした方の個人的な思いの中で出たのではないか」と述べたのも異例の事態だ。
なぜなら、首脳会談の内容を正確にマスメディアに伝えるのが説明者であるキャンベル国務次官補の役割だからだ。ここで、野田首相が「米国側の思い」ではなく「個人的な思い」と述べたことも重要である。「個人的な思い」をあたかも大統領の発言のごとく述べることは、公務員の公私混同であり、外交ゲームに不必要な混乱を持ち込むからだ。
いずれにせよ、「結果を求める時期に近づいている」という報道を行ったマスメディアは、国民に真実と異なるニュースを伝えたことになる。それについては報道を修正するのが職業的良心に照らした責務である。毎日新聞は、9月27日朝刊で、こう報じた。
〈野田首相:普天間の辺野古移設、米大統領「結果求める時期」発言否定---衆院予算委
野田佳彦首相は26日の衆院予算委員会で、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の沖縄県名護市辺野古への移設時期について「いつまでにと明示するのは困難だ」と強調し、「誠心誠意、説明しながら、(沖縄県側の)理解をなるべく早い段階で得られるようにしたい」と述べた。
ニューヨークでの日米首脳会談後、米側はオバマ大統領から「結果を求める時期が近い」と早期実現を求めたことを発表したが、首相は「(記者に)ブリーフした方の個人的な思いが出たのではないか。大統領は『その進展に期待する』という言い方だった」と否定した。石原伸晃氏(自民)への答弁。〉
毎日新聞は、この野田首相の答弁に関して、過去の自社の報道と矛盾するが、伝える責任があると考えたのであろう。これに対して、朝日新聞は野田首相の答弁にニュース性を認めていない。この感覚が、沖縄の政治エリート、有識者、マスメディア関係者には理解できないのである。そして、この人たちが朝日新聞は沖縄の気持ちを理解する努力をやめたという認識を抱き始めている。
偏差値秀才の論理からすれば、「うち(朝日新聞)は、あくまでもキャンベル国務次官補を主語として、『両国は結果を求める時期が近づいている、と理解している。その点は大統領が非常に明確にした』という発言を報じたので、誤報ではない。」ということなのであろう。しかし、それは姑息だ。
朝日新聞も、〈大統領は、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設について、具体的な結果を出すよう野田首相に要求。首相は同県名護市辺野古に代替施設を建設する日米合意の早期の履行を迫られた。〉(9月22日asahi.com)という基本認識で、紙面を構成し、解説と社説を書いたからだ。オバマ大統領が、「具体的な結果」を要求し、「早期の履行」を迫ったという事実関係が問題になっているということは、報道内容を検証しなくてはならない根源的問題だからだ。
普天間問題のハンドリングを誤ると、米海兵隊だけでなく沖縄のすべての米軍基地が住民の敵意に囲まれる。米軍基地と共に自衛隊に対する忌避反応も強まる。そして、沖縄に日本からの分離傾向が生じる。そして日本の国家統合に危機が生じる。日米首脳会談に関して、9月23日朝刊に掲載された社説に朝日新聞はこう記した。
〈いまの日米関係に突き刺さった最大のトゲは、沖縄県の米軍普天間飛行場の移設問題だ。 大統領は初顔合わせにもかかわらず、具体的な結果を明確に求めてきた。首相も日米合意の実現に「沖縄の理解を得るよう全力を尽くす」と応じた。
現行計画が一向に進まず、米国側がいらだつ事情はわかる。しかし、首相のいう「沖縄の理解」がもはや得られそうにないことは、誰の目にも明らかだ。
つい最近も、沖縄県の仲井真弘多知事が米国で講演し、きっぱりと県外移設を求めた。日米合意が強行されれば「全県的な激しい基地反対運動につながり、日米安保体制に悪影響を及ぼしかねない」と警告もした。
知事が米国社会に向けて直接発したメッセージは重い。
日米安保体制の安定的な維持のため、両国政府はともに打開策を探るしかあるまい。同盟の知恵としなやかさが試される。
野田外交は、基軸である日米同盟の確認からスタートした。そこから、多極化する国際政治での日本の立ち位置を確認しつつ、誠実かつしたたかに展開をしていくことが求められる。〉
日米安保体制を安定的に維持するためには、首脳間の信頼関係が何よりも重要だ。オバマ大統領が発言していないことを、米国国務省の官僚が「個人的な思い」からあたかも大統領の発言であるかのごとくブリーフすることを看過してよいのだろうか。沖縄がこの状況にいかに傷つき、悲しみ、憤っているか、朝日新聞の記者たちは気づいているはずである。
気づいているにもかかわらず、紙面化できないわけ(あるいは無意識のレベルにおける抑圧)が重要だ。まさに沖縄の人々が指摘する東京の政治エリートによる沖縄に対する構造的差別に朝日新聞の記者たちも絡め取られていると筆者は見ている。
==========================
◆日米関係の時限爆弾/普天間問題をめぐる認識の差異「われわれは結果を求める時期に近づいている・・・」2011-09-29 | 政治〈領土/防衛/安全保障〉
◆普天間問題をめぐる認識の差異「I can do business with him」2011-09-26 | 政治〈領土/防衛/安全保障〉
日米首脳会談で、普天間問題をめぐる深刻な認識の差異が明らかになった【佐藤優の眼光紙背】2011年09月25日10時00分
政府や東電の情報隠蔽に加担し、事故調査すら求めない大手メディア/証拠保全の声すら挙げない「捜査」
原発大国フランスで思う「空想の国」日本
Diamond online週刊・上杉隆【第194回】2011年9月30日
*パリの人々に聞いた日本の印象と、その由来
原発大国フランスにやって来た。フランスは、国のエネルギーの約80パーセントを原子力発電に依存し、周辺諸国への輸出も行っている。原発技術を含め、外貨を稼ぐ優秀な基幹産業のひとつになっている。
そのフランスで、原発事故を起こした日本はどのようにみられているのか。パリの病院を訪れたついでに印象を聞いてみた。
「今年の日本は大変だね。地震と台風が二つも同時にやってきて――」
原発事故について微妙に回答を避けたのは、パリのホテルスタッフのひとりだ。彼は、ホテルマン特有の丁寧な物腰で、困った表情を浮かべ、日本に対する哀悼の意を伝えた。
さらに質問を重ねる。すると「事故の対応に失敗したんだってね」という答えが返ってきた。ソースを尋ねると「新聞」だという。
もうひとり、病院のスタッフにメールで印象を尋ねた。
「政府と電力会社が情報を隠しているんでしょ。ひどい話ね」
これまた正しい回答だ。彼女の回答も同じくフランスのメディアが情報源だという。
今月9月、フランスは核関連施設で事故を起こした。
〈フランス南部のマルクール原子力施設にある低レベル放射性廃棄物処理・調整センターで12日午前11時45分(日本時間午後6時45分)ごろ、爆発があり、1人が死亡、4人が負傷した。仏原子力安全機関(ASN)は原因を調べる一方で、放射能漏れはないとして同日午後に収束を宣言した。
マルクールは南部の都市アビニョンから30キロ離れたガール県にあり、多くの原子力関連施設が集まっている区域。爆発があったセンターはこの中にある仏電力公社の子会社が運営する施設。フランス原子力庁によると、低レベルまたは非常に低レベルの放射性廃棄物を処理する溶融炉という。直後に火事が起きたが、すぐに鎮火したという。
ASNは朝日新聞の電話取材に「事故で負傷した4人は被曝していない。施設の内部と外部に放射性物質による汚染はない」と説明し、13日にも調査を担当する査察官を現地に派遣する考えを明らかにした。仏政府は、政権ナンバー4で原発問題に詳しいコシウスコモリゼ・エコロジー担当相を現地に派遣した。
AFP通信によると、この施設の近くでは、仏原子力大手アレバが核兵器から抽出したプルトニウムを使い、プルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料を製造している。一帯に稼働中の原発はない。
仏内務省によると、事故時に施設にいた従業員に対し、待機や避難の命令は出していないとしている。ただ、地元紙(電子版)によると、警察は施設の一帯の立ち入りを一時禁止した〉(朝日新聞電子版9月13日)
核熔融炉で爆発を起こし、複数の作業員が死傷するという大きな事故である。
*ジャーナリズムが機能したフランスの核熔融炉事故
当初、フランス政府は事故そのものについて過少発表しようとしていた節があったが、現地メディアの激しい追及などにより、すぐに事実公表に踏み切る。その後、記事の通り、フランス当局が捜査に入っている。
確かに、政府や電力会社による事故の過少発表までは日本での原発事故と同じだ。
だが、フランスと日本では決定的に違うものがある。それはジャーナリズムが機能したかどうかの大きな違いだ。
ルモンドにしろ、フィガロにしろ、原発事故に際して、フランスのメディアは権力監視という最低限の役割を機能させることに成功した。そうした動きがあったからこそ、国策として原発政策を進める政府も、即時の、事故調査、および捜査を余儀なくされたのではないか。
翻って日本はどうか。
事故から半年が経つにもかかわらず、いまだに大手メディアは、政府や東電の情報隠蔽に加担し、事故調査すら求めず、捜査も、証拠保全の声すら挙げていない。
ようやく、政治家が、事故調査委員会の設置を求めて重い腰ならぬ鈍いジャーナリズム感覚が反応したといった具合だ。
*政治家の後追いでようやく動くあまりにお粗末な日本の大手メディア
たとえば、きょうの朝日新聞の一面トップに原発事故調査についての記事が載った。
〈国会に原発事故調 喚問・招致 責任追及発展も〉
けさ、パリのホテルに置いてある国際版で朝日新聞の電子版を読んで、この記事が目に飛び込んできた。あまりに気分が悪くなり、思わずテーブルの向こうの椅子に投げてしまった。せっかくの朝食がまずくなった。記者クラブは海外でも私の気持ちを萎えさせる。
何をいまさら――。なんとお粗末なことだろう。
すでに半年以上前、自由報道協会のフリーランスや海外のジャーナリストたちが指摘していたことを、この秋になって、初めて知ったかのように書き連ねているのだ。しかも、それも政治家が動いて初めて書いている。
日本の国民はなぜメディアに騙されていることに気づかないのか。こうやって遠くのパリから改めて日本の現状を考えてみると、本当にうんざりしてしまう。
これはもはや詐欺である。日本の新聞は、購読料を徴収しながら、「偽情報」という商品を読者に売りつけてきたのだから、「詐欺罪」が成立してもおかしくない。
本来、商品であるならば、きちんとお詫びして回収すべき問題だが、なぜか日本ではメディア業界だけは「欠陥商品」を売っても罪に問われないことになっている。
そしてまた、日本人自身もそうした政府とメディアの蔓延る「虚偽の国」に生き続けることを了としてきたのだ。
もしかして国民も同罪なのかもしれない。現実を直視せず、政府やメディアの言いなりになって自己判断を行わず、「空想の国」に生きることを選択している日本人自らも同罪なのかもしれない。
*陸山会やユッケ食中毒は執拗に追及 原発利権には無視を決め込む国
同じ朝日新聞の国際版の社説で、小沢一郎衆議院議員の陸山会事件のことに触れている。(陸山会の資金「挙党」で疑惑を隠すな)
こうした視野の狭いオピニオンが、一流を自称する新聞に大きな紙面を割いて掲載されているのだ。
検察当局は、この元秘書による政治資金規正法違反にご執心のようだが、世界が注目している「巨大な犯罪」は別にある。日本社会の目の前に、半年以上にもわたって横たわっている原発事故こそが、世界の関心の的なのだ。
にもかかわらず、日本全体が原発事故、いや原子力ムラの「原発利権」については無視を決め込んでいる。
フランスで原発の印象を尋ねたフランス人はふたりとも「小沢一郎」のこと、その存在自体を知らなかった。それは当然のことだろう。
日本のひとりの老政治家の、元秘書たちによる形式的な「犯罪」よりも、世界に影響を与える原発事故の方に、世界的な関心が集まるのは当然なのだ。
パリにいながら、遠く日本のことを思うと思考が混乱してくる。原子力立国のフランスですら、核関連施設での事故が起きれば、当然に捜査は行われているのだ。一方、日本では――。
生ユッケ事件、天竜川の観光船転覆事故、全日空便の急降下トラブル、そして、小沢一郎氏の元秘書たちの政治資金規正法違反事件――。
すべて捜査が入り、マスコミは大騒ぎした。だが、その一方で、世界的な大事故を起こした東京電力への捜査はその端緒さえ、いや気配さえみせない。
あまりにバランスが悪くないか。いったい日本は大丈夫か。
あす、その日本に帰ろうと思う。
===========================
◆東京の政治エリート(国会議員・官僚)と歩調を合わせ始めた朝日新聞の「沖縄報道」2011-09-30 | 政治〈領土/防衛/安全保障〉
◆小沢一郎を落ち目と見切った登石裁判長/財務省首領 勝栄二郎が、内閣に「大増税」へと舵を切らせている2011-09-30 | 政治/検察/メディア/小沢一郎
『百年の手紙--20世紀の日本を生きた人々』-7- 遺書を記憶し届ける 最終回
『百年の手紙--20世紀の日本を生きた人々』遺書を記憶し届ける
第49回(中日新聞2011/09/30Fri.) 梯久美子 著
今月22日に亡くなった辺見じゅんさんの代表作『収容所(ラーゲリ)から来た遺書』(文春文庫)は、シベリア抑留中に亡くなったある男の遺書を、仲間たちが手分けして暗記し、家族に届けた実話である。
遺書を書いたのは山本幡男(やまもとはたお)。酷寒と飢えと重労働によって仲間が次々と死んでいく収容所で、回覧誌を作り、句会を開き、温かな人間性と不屈の意志をもって、周囲の人々に生きる力を与えつづけた。
帰国の日を待ちわびながら、抑留9年目に病死した山本。書いたものはすべて没収されるため、彼を慕う男たちは、一字一句を記憶するという方法で、長文の遺書を日本に持ち帰ったのである。
〈唯の一目でもいいから、お母さんに会って死にたかった。お母さんと一言、二言交すだけで、どれだけ私は満足したことでせう〉
〈やさしい、不運な、かあいさうなお母さん。さやうなら。どれだけお母さんに逢ひたかったことか!〉(母への遺書より)
〈妻よ!よくやった。夢にだに思はなかったくらゐ、君はこの十年間よく辛抱して闘ひつづけて来た。これはもう決して過言ではなく、殊勲甲だ。超人的な仕事だ〉
〈その君を幸福にしてやるために生まれ代わったやうな立派な夫になるために、帰国の日をどれだけ私は待ち焦がれてきたことか!一目でいい、君に会って胸一ぱいの感謝の言葉をかけたかった!〉(妻への遺書より)
(中略)
山本は子供たちにも遺書を書いていた。その一節にこうある。
〈・・・君達はどんなに辛い日があらうとも、人類の文化創造に参加し、人類の幸福を増進するといふ進歩的な思想を忘れてはならぬ。偏波で矯激な思想に迷ってはならぬ。どこまでも真面目な、人道に基づく自由、博愛、幸福、正義の道を進んで呉れ。最後に勝つものは道義であり、誠であり、まごころである〉(略)
無名の人々の人生を丁寧にすくいあげ、時代に刻印した辺見じゅんという作家の仕事を通して、私たちはそれを受け取ることができるのであある。 =終わり
==================
〈来栖の独白〉
一読した私を待っていたのは<終わり>という言葉だった。虚を衝かれたようで呆然とした。「百年の手紙」というのだから、相当長期にわたって連載されるものと思っていた。本日、最終回はまだ49回ではないか。土曜日曜は休むから、わずか2カ月ほどの連載だった。
いま一つ、がっかりしたことがある。辺見じゅんさんが先週亡くなられていた、ということだ。知らなかった。大好きな作家だった。残念で、寂しくてならない。
人は、死ぬ。生きとし生けるものは、すべて死ぬ。私も何人か、親しい人を見送ってきた。死者は皆、静かである
あぁ、早く終わりたい。この10年ほどは、そう思いながら生きてきた。
辺見じゅんさんが死去 「男たちの大和」の作家
2011年9月22日11:10西日本新聞
「男たちの大和」などで知られる作家で歌人の辺見じゅん(本名清水真弓)さんが東京都武蔵野市の自宅で死去したことが22日分かった。72歳。富山市出身。葬儀・告別式は近親者のみで行う。
近年体調を崩していたという。21日朝、自宅で倒れているのが見つかった。
角川書店創立者の角川源義氏の長女。角川春樹事務所会長兼社長の春樹氏、角川グループホールディングス会長の歴彦氏は弟。
1984年、旧日本海軍の戦艦大和の生存者、遺族を描いた「男たちの大和」で新田次郎文学賞を受賞。作品はその後映画化された。
....
辺見じゅんさんが72歳で亡くなった…
2011年9月23日 10:39 春秋
辺見じゅんさんが72歳で亡くなった。現代短歌女流賞を受賞した歌人であり、ノンフィクションに自分の世界を持つ作家でもあった▼作家としての辺見さんは20世紀の日本の戦争を追った。戦場で生を終えた人々の最後の言葉を追い続けた。名もない兵士らが残した手紙などにそれを求めた。読んだ「遺書」は約1500に及ぶ▼どの戦場にいるかも知らない家族に暗号文で教えた硫黄島からの手紙があった。ガダルカナルの激闘をメモしたたばこの箱が、生き残った戦友により両親に届けられた。「戦場から来た遺書」(文春文庫)に詳しい▼何年も前に小欄で書いた話をもう一度書きたくなった。シベリア抑留中に45歳で没した山本幡男さんのことだ。家族に遺書を残した。字を書くことはスパイ行為とされていた。手紙を読んだ仲間は、4500字を十数人で分担して暗記し、帰還後に記憶を復元して届けた▼4人の子どもには「道義」を説いていた。「日本民族こそ(中略)道義の文化、人道主義を以て世界文化再建に寄与し得る唯一の民族」と。満鉄調査部にいて世界の情勢に通じていた山本さんは「正義の戦争なんてない」と家族には話していた▼文庫本のあとがきのなかで辺見さんは書いた。「戦後の日本は死者の存在の重みをどこかで忘れてしまったのではないか」。国の針路についても失念しがちな21世紀の日本人に対する辺見さんの「遺書」になった。
=2011/09/23付 西日本新聞朝刊=
=====================================
◆『百年の手紙--20世紀の日本を生きた人々』-7- 遺書を記憶し届ける 最終回2011-09-30 | 読書
◆『百年の手紙--20世紀の日本を生きた人々』-6- 忘れられた死 田村勝則少年2011-09-17 | 読書
◆『百年の手紙--20世紀の日本を生きた人々』-5- 「佐藤総理に死を以て抗議する」由比忠之進 2011-09-17 | 読書
天下国家の片隅にあって、天下国家の運命に踏みたたかれてゆく小さな人生についての関心はふかくある
◆『百年の手紙--20世紀の日本を生きた人々』-4- 警官に殺されたるらし(志賀直哉・小林多喜二)2011-08-30 | 読書
◆『百年の手紙--20世紀の日本を生きた人々』-3- 獄中の夫へ/万葉の歌に込め 宮本百合子・顕治2011-08-30 | 読書
◆『百年の手紙--20世紀の日本を生きた人々』-2- 管野すがの手紙=針で開けた無数の小さな穴が文字を形成2011-07-29 | 読書
◆『百年の手紙--20世紀の日本を生きた人々』-1- 田中正造/石川啄木/幸徳秋水2011-07-27 | 読書
事業仕分けで凍結が決まった公務員宿舎建設 野田首相「現地視察し、私が判断したい」
もめる朝霞公務員宿舎問題 野田首相「現地視察し、私が判断したい」
J−CASTニュース2011/9/30 19:25
野田佳彦首相は2011年9月30日夕、首相就任後の事実上2度目となる記者会見を開いた。答えにくそうな質問は「スルー」(無視)しつつ、批判が集まっている埼玉県朝霞市の公務員宿舎問題については、「現場へ行って、(事業の続行か中断かの)最終的な判断を私が下したい」と明言した。
野田首相はこれまで、9月2日の就任会見以来、米国での国連総会時を除けば会見に応じておらず、いわゆる「ぶら下がり取材」も拒否している。今回は、臨時国会が閉幕したことを受け、2回目の会見に臨んだ。
*宿舎問題「再度、凍結」となる可能性も浮上
野田首相は、時折ペンでメモをとりながら記者の質問に耳を傾けた。冒頭発言でも触れた朝霞宿舎問題について質問が出た際は、工事現場を自身で視察した上で、「私が判断したい」と再度強調した。
2009年の事業仕分けで「凍結」と判定された朝霞宿舎問題で、「凍結解除」の判断を10年末に下したのは財務相時代の野田氏だ。11年9月1日に建設事業が再開され、あらためて批判が集まっていた。
野田首相は、自身が凍結解除の判断をした後に東日本大震災が起き、「被災者の人たちの感情を考えるべきだ」などの指摘が出ていることを踏まえ、再考する必要があると判断したようだ。「再度、凍結」となる可能性も浮上してきた。
一方で、国民の関心は高そうだが野田首相にとっては答えにくそうな質問には、触れない場面もあった。
*国会でも会見でも「安全運転」?
ロイター通信の外国人とみられる女性記者が流ちょうな日本語で原発関連の数点の質問をまとめて行った。その中で、「(原発の再稼働など原発の是非について)国民投票を行うべきだ」いう意見があることに対して首相の見解を求めたくだりがあった。
野田首相は、「原発の新規立地は困難な状況にある」という従来の見解を繰り返しただけで、国民投票問題には全くふれなかった。
また、自民党や公明党などとの「大連立」問題についての質問にも、直接的には言及しなかった。
初の国会での答弁で、慎重な「安全運転」ぶりが指摘された野田首相は、2度目の記者会見でも安全運転ぶりを貫いたようだ。
=====================================
◆「増税」「宿舎建設」官僚のやりたい放題を許していいのか/勝栄二郎は小沢一郎を抑えつけ、好き放題やった2011-09-29 | 政治
◆小沢一郎を落ち目と見切った登石裁判長/財務省首領 勝栄二郎が、内閣に「大増税」へと舵を切らせている2011-09-30 | 政治/検察/メディア/小沢一郎
小沢一郎氏裁判 10月6日初公判 「辣腕」弁護人だが、法廷は「正義・良心・独立」の失われている所だから
小沢一郎 10・6初公判 「無罪請負人」スゴ腕弁護士の法廷戦略
日刊ゲンダイ2011年9月29日
ロス事件、村木事件も「無罪」に
<「会計学」の学者も証人に>
驚きの「有罪判決」が出た「陸山会裁判」。大新聞テレビは早速、10月6日に初公判が開かれる小沢裁判にも影響――などとあおっているが、大間違いだ。もともと、小沢裁判は「無罪」が確実視されているうえ、“無罪請負人”の最強弁護団がついているからだ。
「違法な取り調べが行われた」と、大量の供述調書が却下された「陸山会裁判」。フツーに考えれば、小沢の秘書だった3人の被告は「無罪」が確実だった。予想外の判決が下されたのは、裁判官にも問題があるが、弁護団があまりに稚拙だったという見方も根強い。元東京地検検事で名城大教授の郷原信郎氏も判決後、「政治資金規正法の解釈について弁護側がきちんと主張できていたのか」とクビをかしげていた。
「とくにヒドかったのは、石川知裕・衆院議員の弁護を担当したヤメ検の木下貴司弁護士です。普通は被告人が有利になるような証言を引き出そうとするものですが、彼はダラダラと持論をぶつけ、石川被告に向かって『答えんでもよろしい』『頭詰まってしもうたか』なんて言って勝手に締めくくるのです。石川被告はシドロモドロになり、裁判官の心証を悪くする始末でした。質問なのか、何が言いたいのかサッパリ分からない。検察側も木下弁護士が話し始めると、『また始まったよ』と苦笑する場面が目立ちました」(裁判傍聴者)
しかし、小沢裁判で弁護を担当するのは、「無罪請負人」と呼ばれる弘中惇一郎弁護士と喜田村洋一弁護士の2人だ。ともにロス疑惑銃撃事件などを担当し、検察のシナリオ捜査の矛盾を突き、次々に「無罪」を勝ち取ってきた。弘中弁護士は、村木厚子・元厚労省局長が無罪となった「郵便不正事件」も担当。前衆院議員の鈴木宗男受刑者は「1審から弘中弁護士に頼んでいたら絶対に無罪だった」と漏らしたという。
弁護団は小沢裁判をどう闘っていくのか。
「裁判の争点は『小沢と元秘書との共謀の有無』です。小沢の共謀をにおわせる証拠は、『小沢氏に報告、了承を得た』という石川供述の調書しかない。しかし、この調書は、陸山会裁判では『任意性がない』と却下されている。小沢弁護団も調書の任意性を否定するでしょう。調書が却下されたら、『無罪』はほぼ確実です。興味深いのは、弁護側の証人に会計学の学者も含まれていることです。会計上の観点から、そもそも問題とされた政治資金収支報告書には正当性があると主張する方針でしょう」(司法ジャーナリスト)
さすがに小沢裁判は奇怪な判決は出ないはずだ。
========================
〈来栖の独白2011/10/01〉
残念ながら、日刊ゲンダイさんの見立ては当たらないだろう。裁判所に「良心」も「司法の独立性」もないからだ。行政的、政治的になってしまっている。裁判官も人の子、「出世」の二文字に強く牽引される。小沢一郎氏に「味方」しても何の得にもならないと、「合理的な」判断をするだろう。
.. .. .. ..
◆『司法官僚』新藤宗幸著--裁判とは社会で周縁においやられた人々の、尊厳回復の最後の機会である2009-09-28 | 読書
『司法官僚』〔裁判所の権力者たち〕新藤宗幸著(岩波新書・819円)
---評者・梓澤和幸=弁護士(中日新聞読書欄2009/9/13Sun.)---
秩序維持へ判決に影響力
最高裁の建物の中には裁判を担当せずに司法行政に専念する裁判官が23名、その予備軍である事務総局付判事補が20余名いる。現場の裁判官も、どこか上(人事)を気にしながら仕事をしている。その空気をつくっている司法官僚の真実に迫った。実証的でしかも知的好奇心を誘う文体である。
最高裁長官、事務総長、人事局長などの人々は(法律の建前とは別に)結局申し送りという官僚システムで選ばれていく。現場と事務総局を往来するこのコースに乗るか否かは、司法試験合格後1年半の司法修習の間に決まる。頭がよく、素直で、上司に従順な人が選ばれる傾向だという。
司法官僚は全国の判決や訴訟指揮の情報を集める。それをもとに行使される人事権は全国3500名の裁判官たちに絶大な影響力をもつ。10年ごとの再任の有無、昇級、転勤を司法官僚が決める。事務総局が召集する「合同」と呼ばれる研究会も下級審の裁判内容を遠隔操作する結果を生む。労働事件や水害事件の事例が指摘される。次の指摘は本書の白眉である。「司法官僚として訓練された調査官が、最高裁判決に大きな影響力をもつとされ、しかも最高裁判事のうちの職業裁判官も司法官僚トップ経験者であるとき、(最高裁の)判決が秩序維持に力点をおくものとなるのも当然といえよう」
裁判とは社会で周縁においやられた人々の、尊厳回復の最後の機会である。必死の訴えをする人々に遭遇したとき、裁判官は全人格的判断をもって救済に当たるべきだ。しかし、人々の目にふれぬところで、裁判官の内面までゆがめ、その存在理由をあやうくしているシステムがあるのだとすれば大問題である。
政権交代とは闇を打破る時代のことであろう。本書の提言にかかる裁判所情報公開法などによって司法の実態にも光が当てられ、真の改革が着手されるべきだ。
◆「広島女児殺害事件」司法官僚によって行使される人事権は全国の裁判官たちに絶大な影響力をもつ2010-08-07 | 死刑/重刑/生命犯 問題
............
◆小沢一郎を落ち目と見切った登石裁判長/財務省首領 勝栄二郎が、内閣に「大増税」へと舵を切らせている2011-09-30 | 政治/検察/メディア/小沢一郎
◆登石郁郎裁判長の判決文(要旨) この矛盾に満ちた文章がこの国の司法の場で通用することに唖然とする2011-09-28 | 政治/検察/メディア/小沢一郎
◆陸山会・西松建設事件判決に見る危うさ 調書主義を転換、裁判官の印象・推認で黒白を決するようになった2011-09-27 | 政治/検察/メディア/小沢一郎
◆政治資金規正法を皆さん勘違い。小沢さんがいなくなることはプロの政治家がいなくなること=安田弁護士2011-01-08 | 政治/検察/メディア/小沢一郎
7/19緊急シンポジウム!! ''ニッポン''は何を守ろうとしているのか!H.22-06-08
「唯一はっきりしている条文があるんです。政治資金規正法で処罰されるのは、会計責任者だけなんです。政治家は処罰されないんです。政治家は処罰の対象から外れているんです。始めから、そういう法律なんです。そもそも法律の目的というのは、会計責任者が責任を持って会計の結果について報告する、ということが義務付けられているんです。ところが皆さん、勘違いしている。小沢さんが秘書と一蓮托生で処罰されるべきだと。これほど法律違反、法律の主旨に反することは、ないんです。つまり、どこかで法律が歪められて、トリッキー歪められて、つまり、政治資金規正法は政治家取締法なんだというふうに完全に勘違いしている。この勘違い、実は検察審査会も、まったく同じ評決をしているわけですね。小沢さんは、これだけ権力を持っている人間が、小沢さんの指示なしに物事が行われるはずがない、と。しかし法律の枠組みは、およそそんなことは無いんです。もし小沢さんが有罪になるとすればですね、責任者との共犯なんです、あくまでも。単に、知っていたとか、報告受けていたとか、そんなことでは共犯になるはずありませんね。これは、税理士さんが「これで申告しますよ」と言って「ああ、はい、どうぞ」って言ったら共犯になるか、といえば、そんなことはないわけなんです。ですからもし小沢さんが共犯になるとすれば「おい、石川、こうやれ」という形ですね。「こうやらんと許さんぞ」と、指示・命令、絶対的に服従させたと、そういう場合に初めて共犯として存在する。それを皆さん、完全に誤解している。大変な誤解(笑)。それで、皆さん、恐らくテレビなどで論評していらっしゃる。
次の問題です。政治資金規正法の中に、何を記載せよとか、どのような会計原則に則れとか、何一つ書いてないんです。ですからたとえば、ちょっとお金を借りましたとか、立て替えて貰いましたとか、或いは、今日帳簿に載せるよりは来年のほうに載せとこうか、というような話は、本当に虚偽記載になるのかどうか、或いはそれを載せなければならないのかどうか、それさえもあの法律の中には書いてないんですよ。つまり、虚偽を記載してはいかん、という話だけなんですよ。何が虚偽なのか、さえ書いていない。しかしそれを検察が勝手に解釈してですね、例えば今回の場合の、今年載せずに来年載せたということが犯罪だと、虚偽だと、やったわけです。或いはAという政治団体からお金貰った、それを実はこうだった、違う人だった、と言って、それは虚偽だというわけですね。しかしAという政治団体を通して貰ったんだから、それを記載するのは当たり前の話でして、それを虚偽といえるかどうか、それこそ大変大きな問題なわけです。ですから小沢さんの一昨年の問題、或いは今年の問題、いずれも法律の解釈を彼らがやって初めて有罪に出来るだけの話でして。ですから立法者の条文とは違うんですね。
ですからこの間(かん)も法律が守られずにどんどんどんどんきている。今回典型的なことはですね、石川さんが逮捕されました。しかしその2日後、3日後ですかね、3日後には国会が開かれるわけです。国会が開かれた場合、国会議員を逮捕するためには国会の議員の議決の承諾がないといけないわけなんです。それを抜き打ち的に、先達する形で石川さんを逮捕する。これは立法権に対する侵害じゃないですか。つまり憲法違反の事を彼ら、やっているわけです。つまり憲法に違反している行為に対する批判がどこにもない。これは、私ももう、大変びっくりしたわけです。
検察はしっかりと政治をやっている、というふうに私は理解しているんです。例えば今回、石川さんの弁護をやっていて3日目か4日目ですかね、あ、検察はこれを狙っているな、というのは大体、私も、石川さんが検察にどういうことを言われているかというのを聞いて分かるんです。
つまり検察は小沢さんを逮捕することは恐らく不可能だろうと最初から思った。しかし検察審査会で勝負をかける、ということを彼らは考えている。彼らのやり方はこうだな、と。検察審査会で起訴相当を取ることによって小沢さんの政治生命を奪う、と。そのシナリオ通りに見事に小沢さんの政治生命はなくなってしまった。ま、これが今回のシナリオでですね。小沢さんを直接起訴すれば当然全面戦争になってしまうわけでして。むしろ国民を総動員して、或いは市民という名を、怒れる11人の市民を使って小沢さんの政治生命を奪うという戦術に彼ら、でてきた。
で検察審査会も、トリック、ま、検察審査会には助言者といってですね、弁護士がその場に同席していろんな助言をするわけです。法律の解釈とかそういうものを。恐らくその助言者がとんでもない助言をしたんだろうと思うんです。どういうことかというと、政治資金規正法は政治家の犯罪、取締法なんだという解説をしたんだと思うんです。
ですからとんでもない、検察でさえ起訴しなかったものを検察審査会が起訴相当という結論をだしたんだろうと、そしてそのことを検察は最初から予想、予定していたんだろうと、そう思うわけです。
先に、情緒的な風潮の中で有罪無罪が決まっていくと、そういう話がありましたけど、私は思うんですね。弁護士は弁護士として、政治家は政治家として、メディアの人間はメディアの人間として、それぞれの人間がプロ的な精神を持ってそれぞれの職責を全面的に発揮すれば、おそらくこんな体たらくな状態にはならんだろうと思うんです。法廷でも、捜査段階から弁護士が弁護人として責任をしっかりと果たせば、恐らく情緒的な社会の動きに対してたえることが出来る、或いは十分に弁護して勝つことが出来るだろうと思うんですね。
プロ性がどんどん抜けていく、今回の政権交代でも、ま、アマチュアの集団というか、益々プロがなくなる。小沢さんがいなくなることは、プロがいなくなる、そういうことだろうな、と。崩壊の社会が来たな、と。プロが居なくなるということは、結局情緒的なものに流されるし、或いは、世間の風潮に流される、とこういう時代に益々突入したな、と思っているんです。
................................
有罪判決…控訴中の石川知裕議員、11歳下の女子アナと交際5カ月スピード婚!
産経ニュース2011.10.1 08:56
民主党の小沢一郎元代表の政治資金団体「陸山会」の土地購入などをめぐる事件で、1審・東京地裁で有罪判決を受け、控訴中の石川知裕衆院議員(38)=北海道11区、無所属=が10月3日に結婚することが9月30日、分かった。
相手はBS11(日本BS放送)の阪中香織アナウンサー(27)で、今年5月に知り合ったばかりという。石川氏は30日夜、産経新聞の取材に対し「地元の選挙区でもある帯広市に10月3日、婚姻届を提出いたします」と答えた。挙式などの予定はまだ決まっていない。
阪中アナは聖心女子大文学部出身で、BS11では硬派の報道番組を担当していた。
廃炉まで100年 チェルノブイリが教える現実--25年経った今も石棺作業/ 福島第一原発 作業員 疲労蓄積
廃炉まで100年"福島に突きつけられる覚悟 チェルノブイリが教える現実 最終回 ---彼の地は25年経った今も「石棺作業」に追われていた
現代ビジネス2011年10月01日(土)
「フクシマでは、原発作業員はどのぐらい給料をもらってるんだい?」
チェルノブイリ原発から約10km離れた作業員専用の宿舎。その食堂で、30代の作業員が興味津々の様子で聞いてきた。
「普通の建設作業員と大差ないと思う」
記者がそう答えると、目を剝いた。
「えっ!? そんなんじゃ人は集まらないだろう。俺たちの年収は、ウクライナの普通の労働者の2倍だぜ!」
作業員は自慢げにそう言った。
事故から25年経った今も、チェルノブイリ原発では、作業員や技術者、研究者が数百人単位で働いている。放射線量を監視し、老朽化した施設を補修し、廃炉作業を進めるためだ。
作業員は、明日も爆発事故を起こした4号機の補修作業があるのだという。不気味にそびえる排気塔は、福島第一原発の未来を暗示しているのか---。
本誌は8月末にウクライナ・チェルノブイリに入り、隣接するベラルーシも訪れ、放射能汚染瓦礫の実態や、農業問題を取材。前号まで2週にわたってレポートした。今回は、チェルノブイリ原発の敷地内に入り、廃炉作業にスポットを当てる。そこで見えたものは、「100年間に及ぶ覚悟が必要だ」(現地の技術者)という厳しい現実だった。
チェルノブイリ原発の半径30km圏内は立ち入り禁止区域となっていて、ぐるりとフェンスで仕切られている。中に棲息する動物が放射性物質を外に持ち出さないようにするためだ。作業員は月に12日間だけ?ゾーン?と呼ばれる30km圏内に入り、泊り込みで作業に従事する。それ以外の日は、70~80km離れたスラブチッチという町で家族とともに暮らしている。スラブチッチは、事故処理にあたる作業員たちのために新たに造られた町だ。
「ウクライナは仕事が少ない。家族を養うためにこの仕事をやっている。給料が高いし休日も多い。きれいな町に住めるので今の生活が気に入っている」
作業員の一人は屈託のない表情でそう話した。その一方で、ゾーンの中に造られた作業員専用の宿泊施設は放射線量が高い上に、男臭い。食堂、売店、研究所など設備は揃うが、一日回っても、食堂の老女と娘以外、女性の姿は見かけなかった。施設は、チェルノブイリのかつての市街地の建物を利用している。事故処理の本部基地は元は市役所だった。
チェルノブイリには今もなお、全部で4基の原発が存在する。爆発した4号機は鉛とコンクリートで覆う石棺作業中だ。コンクリの崩壊などがあり、25年経っても終わらない。隣接する1~3号機は運転停止中だが、各機の燃料プール内には燃料棒が入ったままだ。使用済み燃料の廃棄場所が見つからず、これまた25年間、冷却し続けている。つまり、何も終わっていないのである。
記者は、原発のオフィス棟から1号機の制御室に向かった。厳重なチェックがあり、ホールボディカウンターをくぐってOKが出ないと中に入れない。チェックが終わるとICタグをつけられ、専用の白い靴に履き替える。制御室は学校の教室ほどの広さで、塵ひとつ落ちていない。ただし、壁に設置されたコントロールパネルやモニターは、さすがに年季を感じさせる。
ここには4人の技術者が常駐し、交代しながら24時間態勢で燃料プールの監視をしている。燃料プールに設置されている可動式のカメラの映像が、14インチほどのモニターに映し出される。プールに沈む燃料体が見えるが、この部屋の空間線量は1マイクロシーベルトあるかないかといった程度だ。
技術者の一人はこう話した。
「1号機の燃料は二つのプールに分けて管理しています。温度は38℃前後で安定しています。核反応を起こす可能性があるので監視しているのです。専門的な資格を持たないとこの仕事はできませんが、個人的には、あまり専門的な知識は必要ないと思います」
何も起こらなければ、ただ監視するだけの退屈な仕事である。いったいいつまで監視を続けなければいけないのか聞くと、大きな課題が三つあるという。
「まず、燃料という高濃度の汚染物質を半永久的に貯蔵(ストレージ)する施設がない。二つ目は、燃料を貯蔵するために処理をする施設がない。そして三つ目は、処理を施すためのルール(法整備)がまだ整っていないことです。現在、ストレージする施設を建築中です。燃料を小分けし、それぞれを容器で覆い、穴に埋めるのです」(前出・技術者)
25年経っても、まだ廃炉の終着点が見えてこないのだ。3基がメルトダウンを起こしたとされる福島第一原発の廃炉作業は、どうなるのだろうか。
*廃炉に必要な技術がない
福島第一原発は、9月に入って1号機を建屋カバーで覆う作業が進んだ。中旬にはほぼ終了に近づき、何とか放射性物質拡散を抑えられる目途がついた。安定冷却も見えてきて東京電力には、どことなくホッとした雰囲気が窺える。9月14日には、内閣府原子力委員会の中長期措置検討専門部会が、廃炉完了までに必要な「19項目の作業課題」を確認した。その中で、燃料取り出しの前提となる、格納容器全体を水で満たす「冠水(水棺)」など5項目については、作業に必要と予想される技術開発が追いついていないことも明らかになった。
つまり、見えているようで、廃炉への道のりは見えていないのである。同部会自身、「研究開発課題が多く開発は長期間になるだろう。これまで格納容器にまで漏れ出た燃料を回収した経験はなく新規の研究開発が必要となる」
と、これまでの技術では対応できず、廃炉が実現するまでには長い期間が必要であることを認めているのだ。
福島第一原発の廃炉問題は、原子炉のほぼすべてが吹っ飛んだチェルノブイリよりも、'79年に米国でメルトダウン事故を起こしたスリーマイル島原発事故と比較したほうが分かりやすい。京都大学原子炉実験所教授・中島健氏が解説する。
「スリーマイル島では、事故後3年でようやく中にカメラを入れることができた。6年後に核燃料を取り出せるようになり、事故から11年経った'90年にやっと核燃料の取り出しが終わったのです。福島第一原発の場合はスリーマイル島より、もっと燃料が壊れ、ほとんどの部分が崩落しているでしょう。圧力容器が損傷している可能性も非常に高い。そうなると、作業的にはかなり厳しい条件です。いまだに線量が高くて、うかつに中に入れない状況が続いていますから」
炉心が高温になり圧力容器内で溶融することをメルトダウンという。そして、圧力容器を突き抜けて格納容器に溶け出すのがメルトスルー。福島第一原発では、さらに格納容器の底も溶かして建屋のコンクリート床部分にまで達するメルトアウトを起こした可能性がある。そうなると、核燃料をどうやって取り出すのか。中島教授が続ける。
「東電は廃炉までの作業イメージを発表していますが、いくつか想定が甘いと思うところがあります。まず、建屋内の燃料プールに残された使用済み燃料については、燃料の健全性がある程度維持されていることが前提になっています。しかし、大きく損傷した燃料が存在した場合の対策、処理方法を検討しておくべきです。次に、炉心の燃料の抜き取りですが、格納容器内の冠水が前提となっています。冠水を実現するためには格納容器の補修が必要になりますが、その損傷個所も特定できない状況です。最後の燃料の取り出しは、相当な技術的困難を伴います。格納容器外に燃料が流出していた場合の対応策も検討しておく必要がある」
いまだに格納容器、圧力容器内の状態が見えていないのだから、対策をたてても「絵に描いた餅」に終わる可能性が高いというのだ。中島教授はこうも言う。
「日本の技術は、決められた通りに物事を進めるのは得意です。しかし、事態が次々に変わり、臨機応変に対応しなければならなくなると、途端にダメになるところがある。その点も心配ですね」
スリーマイル島ですら、原子炉の浄化が終わったのは事故から14年後。チェルノブイリでは、25年経った今も4号機の石棺の修復作業に追われ、1~3号機に至っては燃料の廃棄場所が見つからず監視し続けるしかない状態にある。
福島第一原発の廃炉実現には、何世代にもわたる覚悟が必要なのである。
「フライデー」2011年10月7日号より
=========================
作業員「働けなくなる」 福島第一 被ばく100ミリシーベルト超99人
東京新聞2011年9月30日 朝刊
福島第一原発の事故収束作業で、一〇〇ミリシーベルトを超える被ばくをした作業員が百人に迫っている。この上限値を超えると、福島第一以外の原発では今後四年以上も働けなくなる。ずっと原発の仕事で生計を立ててきた人の生活はどうなるのか。作業員からは、「仕事ができなくなるのが一番怖い。どこで働けばいいのか」と不安を訴える声が出ている。 (片山夏子)
東京電力によると、二十九日現在、一〇〇ミリシーベルトを超えた作業員は九十九人いる。うち東電の社員が八十人で、協力会社の社員は十九人いる。四月以降、人数は増えていないが、被ばく線量の最高は、東電社員は六七八ミリシーベルトで、協力会社では二三八ミリシーベルト。
作業員の被ばく線量上限は、労働安全衛生法に基づく規則などで年間五〇ミリシーベルトかつ五年間で一〇〇ミリシーベルトと定められている。福島第一では、大量被ばくが相次ぐと予想され、今回の事故収束作業に限り年間二五〇ミリシーベルトに引き上げられた。
東電社員は一〇〇ミリシーベルトを超えると線量が低い場所で作業し、一七〇ミリシーベルトを超えると本社などで働く道を用意している。十五人が一七〇ミリシーベルトを超え、福島第一を去った。
だが、協力会社はそうはいかない。補償のこともあるため、年間二〇〜五〇ミリシーベルトと独自の基準をもうけている会社が多い。
福島第一など原発で働き、孫受け会社の代表でもある男性作業員は「原発の仕事で生活している。被ばくも怖いが、働けなくなるのが一番怖い。従業員やその家族の生活もある」と厳しい表情を見せる。従業員を雇うにも「残っている線量」を気に掛けている。
別の協力会社の代表も「五年で一〇〇ミリシーベルトだから、うちは一年で二〇ミリシーベルトまで。東日本大震災の前までは一五ミリシーベルトまでだったが、引き上げた」と言う。
これだけ重大な事故なのだから、特別の補償があってもよさそうだが、厚生労働省は、東電に被ばく線量が高い作業員の処遇などに配慮するよう求めるにとどまっている。
東電は「二五〇ミリシーベルトを超えた人は今はおらず、国が上限を一〇〇ミリシーベルトに下げたときはそれを受けて検討する。作業員への補償は今のところ特にない」と回答した。
こうした状況に、ある男性作業員は「自分たちで線量上限を設定して、仕事ができるように守るしかない。線量を浴びた作業員のその後を、国も東電も考えてほしい」と話す。
=====================
収束遠い福島第一原発 作業員 疲労の蓄積深刻
東京新聞2011年10月1日 夕刊
事故収束まで少なくとも10年はかかるとされる福島第一原発。放射能という見えない敵と闘いながら働く作業員たちの心身の疲労が深くなっている状況が、作業員らのケアに取り組んでいる東京都豊島区の巣鴨総合治療院・整骨院の沢田大筰(だいさく)総院長(32)へのインタビューで浮かび上がった。沢田さんは「3カ月前に比べ、表情は良くなったが、心身の疲労は回復しにくくなっている」と話している。
沢田さんは作業員の体の疲労を少しでも和らげたいと東京電力に申し出て、六月十四日と九月十九〜二十日の二回、福島第二原発の健康管理室で、第一と第二の両原発で働く東電社員約三十人に整体治療を施した。
六月の時は、どの作業員も背中や首のこりがひどく、筋肉がこわばって指が入っていかないほどだった。こりからくる頭痛や吐き気を訴える人が多かった。五月半ばにベッドが入ってきたものの、長い間、床に寝袋やマットレスを敷いて寝ていたためか、腰を痛めている人も多く、座骨神経痛で歩けない人もいたという。
沢田さんは、「一様に表情が暗く、変化が無いのが気になった。自身が被災者であり、同時に加害者でもあるというストレスに加え、原発の状況が少し落ち着き、将来への不安を訴える人もいた」と話す。
九月の治療では、居住環境が改善されたこともあり、筋肉の状況は良くなったものの、疲労が蓄積して回復しにくくなっていた。
幹部は、泊まり込みで二週間以上の連続勤務を繰り返しているといい、「通常は押さえると痛い場所でも、まひして痛いと感じていなかった。責任が重い人ほど症状がひどかった」という。
一回の治療では症状が改善しない状況に対応するため、沢田さんは回復や予防のための体操メニューを作って教えてきた。ただ、作業員約三千人のうち東電社員は約七百人にすぎず、ほとんどは協力会社の従業員だ。
「作業が長くかかる中で、少しでも体の状態を回復することは心身両方に大切。マッサージ師が常駐して、協力会社の作業員にも広げられれば」と指摘。自らも作業員のケアを続けていきたいとしている。
石川知裕衆院議員、地元帯広支援者らに「議員辞職して1審判決を受け入れることはない。決してくじけない」
石川議員、地元報告集会で「くじけない」
小沢一郎民主党元代表の資金管理団体の収支報告書虚偽記入事件で有罪判決を受けた石川知裕衆院議員が1日、地元の北海道帯広市で判決後初めての報告集会を開き、支援者らに「議員辞職して1審判決を受け入れることはない。決してくじけない」と語った。
会場には新党大地の浅野貴博衆院議員や支援者ら約600人が出席。石川議員は判決は不当だと強調し、「皆さんのご支援を頂き、マイク1本で街頭演説から始めたいと思う」と意気込みを話すと、会場から大きな拍手が送られた。
参加した幕別町の会社員の男性(40)は「どう考えても不当な判決だ。無罪を勝ち取ってほしい」と話した。
集会後、石川議員は記者会見し、次の選挙について「厳しい状況になるが、今日も多くの支援者に集まってもらった。不当判決だと、きちんと訴えれば戦えると確信している」と述べた。(共同)
nikkansports.com2011年10月1日12時54分
........................
石川知裕議員 独占告白「結婚します!」
日刊ゲンダイ2011年10月1日
お相手はBS放送の美人キャスター
陸山会事件の有罪判決を受け、控訴を決めた石川知裕衆院議員(38)が、結婚することが分かった。
お相手は、日本BS放送(BS11)アナウンサーの阪中香織さん(27)。聖心女子大学文学部哲学科卒のお嬢さまで、父は投資顧問会社「ソブリンアセットマネジメントジャパン」の阪中彰夫氏。「石川にはもったいないくらいの美人キャスター」だなんて永田町では言われている。
石川本人は、こう告白する。
「彼女とは、マスコミ関係者との会合で知り合いました。実は、彼女の父上も東京地検特捜部に引っ張られた経験があるそうで、初対面からその話で盛り上がり、意気投合したのです。陸山会事件の裁判で一番つらい時期を支えてくれたのが彼女。当初から、結婚を前提にお付き合いさせていただいています。頃合いを見て発表しようと考えていましたが、一部報道で交際が公になるため、これもタイミングかと思い、月曜日(3日)に入籍することにしました」
2人をよく知る後援会関係者が言う。
「先日、地元支援者の会合にも彼女が来ていたので、結婚発表が近いとは思っていました。石川さんも香織さんもお酒が好きで、明るい酒だから、一緒に飲んでいて気持ちがいい。ホントにお似合いのカップルですよ」
最悪のタイミングでの結婚かもしれないが、裏を返せば、「必ず無罪になる」という自信の表れなのだろう。
======================
◆小沢一郎氏の裁判(10月6日初公判) 「辣腕」弁護人だが、裁判所に正義も良心も独立性も失われているから2011-10-01 | 政治/検察/メディア/小沢一郎
小沢一郎 10・6初公判 「無罪請負人」スゴ腕弁護士の法廷戦略
日刊ゲンダイ2011年9月29日
ロス事件、村木事件も「無罪」に
<「会計学」の学者も証人に>
驚きの「有罪判決」が出た「陸山会裁判」。大新聞テレビは早速、10月6日に初公判が開かれる小沢裁判にも影響――などとあおっているが、大間違いだ。もともと、小沢裁判は「無罪」が確実視されているうえ、“無罪請負人”の最強弁護団がついているからだ。
「違法な取り調べが行われた」と、大量の供述調書が却下された「陸山会裁判」。フツーに考えれば、小沢の秘書だった3人の被告は「無罪」が確実だった。予想外の判決が下されたのは、裁判官にも問題があるが、弁護団があまりに稚拙だったという見方も根強い。元東京地検検事で名城大教授の郷原信郎氏も判決後、「政治資金規正法の解釈について弁護側がきちんと主張できていたのか」とクビをかしげていた。
「とくにヒドかったのは、石川知裕・衆院議員の弁護を担当したヤメ検の木下貴司弁護士です。普通は被告人が有利になるような証言を引き出そうとするものですが、彼はダラダラと持論をぶつけ、石川被告に向かって『答えんでもよろしい』『頭詰まってしもうたか』なんて言って勝手に締めくくるのです。石川被告はシドロモドロになり、裁判官の心証を悪くする始末でした。質問なのか、何が言いたいのかサッパリ分からない。検察側も木下弁護士が話し始めると、『また始まったよ』と苦笑する場面が目立ちました」(裁判傍聴者)
しかし、小沢裁判で弁護を担当するのは、「無罪請負人」と呼ばれる弘中惇一郎弁護士と喜田村洋一弁護士の2人だ。ともにロス疑惑銃撃事件などを担当し、検察のシナリオ捜査の矛盾を突き、次々に「無罪」を勝ち取ってきた。弘中弁護士は、村木厚子・元厚労省局長が無罪となった「郵便不正事件」も担当。前衆院議員の鈴木宗男受刑者は「1審から弘中弁護士に頼んでいたら絶対に無罪だった」と漏らしたという。
弁護団は小沢裁判をどう闘っていくのか。
「裁判の争点は『小沢と元秘書との共謀の有無』です。小沢の共謀をにおわせる証拠は、『小沢氏に報告、了承を得た』という石川供述の調書しかない。しかし、この調書は、陸山会裁判では『任意性がない』と却下されている。小沢弁護団も調書の任意性を否定するでしょう。調書が却下されたら、『無罪』はほぼ確実です。興味深いのは、弁護側の証人に会計学の学者も含まれていることです。会計上の観点から、そもそも問題とされた政治資金収支報告書には正当性があると主張する方針でしょう」(司法ジャーナリスト)
さすがに小沢裁判は奇怪な判決は出ないはずだ。
...
〈来栖の独白2011/10/01〉
残念ながら、日刊ゲンダイさんの見立ては当たらないだろう。裁判所に「良心」も「司法の独立性」もないからだ。行政的、政治的になってしまっている。裁判官も人の子、「出世」の二文字に強く牽引される。小沢一郎氏に「味方」しても何の得にもならないと、「合理的な」判断をするだろう。
...
有罪判決…控訴中の石川知裕議員、11歳下の女子アナと交際5カ月スピード婚!
産経ニュース2011.10.1 08:56
民主党の小沢一郎元代表の政治資金団体「陸山会」の土地購入などをめぐる事件で、1審・東京地裁で有罪判決を受け、控訴中の石川知裕衆院議員(38)=北海道11区、無所属=が10月3日に結婚することが9月30日、分かった。
相手はBS11(日本BS放送)の阪中香織アナウンサー(27)で、今年5月に知り合ったばかりという。石川氏は30日夜、産経新聞の取材に対し「地元の選挙区でもある帯広市に10月3日、婚姻届を提出いたします」と答えた。挙式などの予定はまだ決まっていない。
阪中アナは聖心女子大文学部出身で、BS11では硬派の報道番組を担当していた。
=======================
◆ “塀の中”鈴木宗男 前衆議「大地」例会盛況 佐藤優氏/松木けんこう衆議/石川知裕衆議/松山千春氏ら2011-09-19 | 政治/検察/メディア/小沢一郎
「日本の政治家として一番やってはいけないことはなんだと思いますか」「そりゃ、天皇制をいじることだ」
『悪党 小沢一郎に仕えて』
p189〜
この章は他と比べて少し難しいところもあると思うが、マックス・ウェーバーの言葉をゆっくり味わいながら小沢一郎を思い浮かべてもらいたい。
「官吏にとっては、自分の上級官庁が…自分には間違っていると思われる命令に固執する場合、それを、命令者の責任において誠実かつ正確に…執行できることが名誉である。(中略)官吏として倫理的にきわめて優れた人間は、政治家に向かない人間、とくに政治的な意味で無責任な人間であり、(中略)こうした人間が・・・指導的な地位にいていつまでも跡を絶たないという状態、これが『官僚政治』と呼ばれているものである」
普天間に当てはめると、政治的指導者が責任を持って「移設」と言えば、官僚は自己否定してまでもそれに従わないといけない。つまり、官僚は政治をするべきではないし、巻き込まれてはならない。これをウェーバーは明記しているが、小沢一郎も同じ考え方を持っている。
1969年、27歳の小沢一郎は初陣の選挙公報にこう書いた。
「このままでは日本の行く末は暗澹たるものになる。こうした弊害をなくすため、まず官僚政治を打破し、政策決定を政治家の手に取り戻さなければならない」
2009年12月、中国の習近平・国家副主席が来日した際、天皇陛下との会見が実現した。だが、外国要人との会見は「1か月前までに申し入れる」とする慣例に反していた。宮内庁の羽毛田信吾長官はそれに「天皇の政治利用にあたる」と物言いをつけた。
小沢一郎は記者会見でこう反論した。
「内閣の1部局の1役人が、内閣の方針にどうだこうだ言うなら、辞表を提出した後に言うべきだ」
ニュースでは「天皇の政治利用」が論点となったが、小沢の意図は少し違った。
羽毛田氏は厚生労働省から「派遣」された官僚である。官僚は政治家の決定に従わなければならない。それは解釈によって、あるいは政策によって変わらない。政治家の本領(エレメント)である。羽毛田発言に対して小沢がこだわった点は、そこだった。
この問題で、右翼や右翼寄りの評論家たちから「小沢は天皇制を軽んじている」とバッシングが始まったわけだが、私はこんなエピソードを覚えている。
新進党時代のる夜、小沢は東祥三さんと六本木に向かっていた。六本木は小沢があまり立ち寄らないエリアだが、東さんと飲む時はそこが多かった。東さんは公明党から新進党に合流し、離党後も自由党に入って小沢と行動を共にしてきた人物だ。
私が運転するセルシオが六本木1丁目の坂に差し掛かると、東さんは言った。
「小沢先生」
「なんだ」
「日本の政治家として一番やってはいけないことはなんだと思いますか」
「そりゃ、天皇制をいじることだ」
天皇は国家の権威を持っている。日本では権力は政治的指導者にある。アメリカでは大統領が権威と権力を兼ねる。たとえば政治指導者がスキャンダルをおこしたとしよう。アメリカは権威も権力も傷がつくだろう。しかし、日本の場合は権威には及ばない。それが日本国を維持させている政体である。であるからには、天皇制にまつわる問題はなにがなんでも原理原則を崩してはならない。だから、小沢一郎は羽毛田氏の「異例発言」を許さない、というわけだ。
「天皇制をいじろうとする人間は日本の政治をおかしくする」
「はい」
「弓削道鏡だ。知ってるか?」
私も小沢からこう聞かされたことがある。道鏡は日本版「ラスプーチン」だ。太政大臣と法王を兼務するまでにのし上がった僧侶が女帝をそそのかして自らが天皇になろうとした。「道鏡に皇位継承すべし」とするご神託のウラを取るために皇室から派遣された和気清麻呂は正反対の内容のご神託を取り付ける。歴史の授業で道鏡や和気清麻呂の名前は暗記したはずだが、小沢の話を聞いて初めて現代政治に落とし込んで理解できた。羽毛田発言が浮上した時、私は道鏡を思い出した。
そもそも小沢一郎であれ、官僚であれ、天皇の行動に触れたとたんに政治性は帯びる。「中立性・公平性」を誰が決めるかが問題になる。羽毛田発言には「中立性・公平性を政治家に判断されては困る」という官僚の集合的無意識がにじみ出ていた。
===============================================
『小沢革命政権で日本を救え』 対談:副島隆彦×佐藤優』日本文芸社刊
今の宮内庁の官僚は「天皇機関説」論者に匹敵する
佐藤 だから2009年12月の羽毛田長官の不当な会見に対しても、どこに自分の視座を置くかによって、全然異なる事件に見えるはずです。天皇を政治利用しているのは小沢幹事長か、羽毛田長官のどちらかといえば、これは明らかに羽毛田宮内庁長官の側だったのです。ところがそのように見えない人たちが少なからずいる。
副島 そうですね。あの習近平国家副主席を天皇と会見させよと要請したのは誰だったのか。このことをはっきりさせなければならない。中国人を無理やり天皇に会見させたとして、右翼たちが騒ぎました。小沢一郎の世田谷の家の周辺に押しかけ、警備の機動隊と騒乱を起こしました。それほどまでに中国寄りの小沢に対する蔑視が激しかった。事実、小沢一郎は140人の民主党新人議員たちを引き連れて中国を訪問して帰ってきたばかりでした。
小沢一郎幹事長は記者会見で、「そんな(1ヵ月)ルールなんて官僚が勝手につくったルールである」とはっきり言っていました。
つまりこの「天皇に会いたければ1ヵ月前までに宮内庁に申請を出せ」というのは法律ではないということです。(国民の)代表である国会で決議された法律ではない。官僚が勝手につくったルールである。そんなルールに内閣官房長官までが従わなければならないと、羽毛田は当然のこととして言い放ったのです。
事実はどうやら、まず、羽毛田長官のほうが平野博文官房長官に対して、天皇会見の要請を拒絶した。そのあと、再び、今度はアメリカ国務省が日本外務省に「習近平を天皇に会わせろ」と要求してきた。それを外務省は鳩山首相に直接連絡したところ、平野官房長官が再度羽毛田に「なんとかならないか」とお願いした。それでも羽毛田が首を縦に振らなかった。
そうしたら、なんと今度はヘンリー・キッシンジャー(ニクソン政権およびフォード政権期の国家安全保障問題担当大統領補佐官)を通して、子分の中曾根康弘・元首相に直接電話が行き、「習近平を天皇に会わせろ」となった。
そこで中曾根は平野官房長官に電話して「習近平を天皇に会わせろ」と圧力をかけた。困った平野官房長官が再再度、羽毛田に会見を要請したら羽毛田が怒りだして、それで12日の宮内庁長官としての暴走会見をしました。
そうしたら小沢一郎が怒りだして、「内閣の1部局にすぎない宮内庁が内閣の指図にあれこれ反対するのは、許されないことだ。もう一度反対するのなら辞表を持ってすべきだ」という趣旨のことを言ったのです。佐藤さんの言う「羽毛田長官に、天皇をお守りする尊皇のまことの心はありや」と同じ態度です。
さらに皆が驚いたのは、小沢一郎が「私が中国要人を天皇に会見させよと言ったことはない。自分はこの件に関係していない」と発言したことです。だから、本当は、圧力をかけたのは中曾根元首相だったのです。
それなのに、右翼やマスゴミや親米保守言論人(代表、中西輝政(なかにし てるまさ)京都大学教授)たちは、事実関係も調べずに、猪突猛進で、「小沢憎し」の一念で大騒ぎをしました。
小沢一郎が、天皇の生活日程に何か干渉したり、失礼なことをしたことは一切ない。ただ「天皇は喜んでお会いになるでしょう」と言っただけです。
キッシンジャーこそは、世界基準では中国寄りの政治家であり、日本のことなど本当はちっとも大事にしていない人です。
中曾根が圧力をかけた張本人だったのです。この情報はワシントンからの報道ですぐに露見しました。記者たちが、この件を中曾根に問い詰めたら、「ノーコメント」と答えた記事が証拠として残っています。
■特例会見は「ルールの枠内」中曾根元首相
中曾根康弘元首相は(12月)24日、都内の事務所で記者団と懇談し、天皇陛下と中国の習近平国家副主席との会見を実現させた政府の対応について「慎重に処理してきたと思う。あの程度の時間的ズレは(30日ルールの)原則の枠内のことなので、認めていい」と述べた。
自らが首相官邸サイドに会見の実現を要請した点については「ノーコメント」とした。 (産経新聞 2009年12月25日付)
副島 日本の旧来保守の人たちの「中国嫌い、小沢嫌い」は病膏肓に達していますから手に負えません。今でも居直って、私のこの事実解明を無視するでしょう。
民主党の幹部である山岡賢次・国会対策委員長が「官房長官と宮内庁長官が内的に話したことを勝手に公表するということは異例なことである」と、クギを刺しました。
羽毛田長官は、自分が大きな世界政治の中に投げ込まれていることも自覚せずに、「玉体(天皇の体)を取っている自分が偉い」ととんでもない思い違いをしている男です。この男はなんと小泉純一郎・元首相が取り立てた男で、元は厚生労働省の事務次官だったそうです。
佐藤 (部分略)この羽毛田信吾という官僚は、自分が言っていることが極めて政治的な発言であるということを理解していなかった。日本と中国との関係においても、政治的であるばかりか、「大きな国も小さな国も、全部フラットに扱う」と言った。それはアメリカとサダム・フセインのイラクを一緒に扱うということになるわけです。それは、逆に極めて政治的な立場です。
現実の政治というのは、力で働いています。それにもかかわらず、全部を平等に扱うのが原則だと言ったのです。それでは、小さなところに特に梃入れするという立場になってしまいます。また天皇の健康状態について、平場で云々することは、尊皇の情のかけらもない証拠です。だから、彼らは「天皇機関説」論者なのです。
そのことの是非は別において、「なんでも自分たちで構築して、使っていくことができる」、それによって官僚統制を広げていこうという、これは官僚という階級の、あるいは官僚という人種の無自覚な欲望です。
副島 (略)
*今、正しい人間と間違っている人間の逆転現象が起こっている
佐藤 このことを裏返して見ると、副島さんが日頃追及していることとつながっていくと思います。官僚階級の側がけっこう追いつめられてきているのではないでしょうか。
副島 そうです。自分たちが勝つと思って、よかれと思って、やったのです。
佐藤 政治資金問題では検察側が勝つと思ってやってきた。この「1ヵ月ルール」の問題で、羽毛田長官も勝ったと思ってやったわけです。ところが彼らはこれで、小沢一郎は自分たちに逆襲できず、青菜に塩みたいな感じで、しゅーんとしてしまうと思ったと思います。ところが小沢さんはデモクラシーの根本のところがよくわかっていますから、これを国家体制の根本に関することだということで、牙を剥いて反撃しました。それで検察も今度は震えているわけです。だらしがないと思います。
副島 そのとおり。日本国内ではメディア(マスゴミ)の力で小沢一郎がすっかり悪者になっています。平清盛や足利尊氏が天皇家、朝廷に対して横暴を働いたみたいな枠組みになっています。それをこれからひっくり返していかなければいけないと思います。
佐藤 これはマスメディアの劣化です。今、本当に正しい人間と間違っている人間が逆になるという、むちゃくちゃな話が横行しています。
副島 今の憲法体制上、天皇は「内閣の助言と承認に基づいて、国事行為を行う」(日本国憲法第三条)わけです。それに対して、宮内庁長官が自分が玉体を取っているという発想自体が、違法であり、憲法違反です。自分たちが実質的には天皇の代理権や、国家の代理意思を持っていると思い込むことです。「天皇の代わりに自分たちが判断する、天皇には判断させない」---きっとそこまで考えているのでしょうね。
佐藤 だからこれは、太平洋戦争中の陸軍の「統帥権の独立」みたいな話です。
副島 天皇の統帥権への政府からの干渉を指して、「統帥権の干犯」と彼ら軍事官僚たちが言ったわけです。官僚は「理論の筋道」を捻じ曲げるのが得意です。天皇本人のご意思はどうなるのかというと、そこはもう語らないことにするわけです。それで国家が暴走して中国侵略を行い、世界を敵に回して無謀な戦いを行い、みじめな敗戦をしました。
佐藤 天皇陛下ご自身が本心を語れないことを理由にして、しかも天皇陛下の健康問題まで出したわけです。しかもこの羽毛田長官という人は、2001年3月に起った「松尾克俊・外務省要人外国訪問支援室長の機密費流用事件」で、警察から参考人として事情聴取を受けている人物です。この事件は、機密費を扱っていた外務官僚の松尾氏が、競走馬やマンション購入など、「機密費」の横領容疑を起こし、逮捕された疑獄事件です。
いずれにせよ、官僚が意図的もしくは無意識のうちに「天皇を管理下に置く」という発想をしている問題を徹底的に追及しなければいけません。「官僚とは何か」、「国家は誰のものか?」ということを追及しなければいけません。
「国家は最終的に国民のもの」だと、みんな言います。が、どういうプロセスで国民の意思が国家に体現されるのかについてきちんと考えなくてはならない。
「官僚になるための国家試験は日本国民なら誰だって受けることができる。だから国民のものである。そうすると国民意思の代表は官僚である」、このようなインチキ議論にごまかされてはいけないということです。官僚は国家支配の道具であって国民の意思に制約されずに動く本性があります。これをどうやって押さえるかが政治家の仕事です。
*官僚が暴走して実質的に権力を握ることが、官僚制の最大の弊害
副島 これは「本人・エージェント理論ですね。エージェントとは、普通は悪い意味でスパイのような意味も含みます。
よい言葉で訳せば「代理人」です。誰が誰のエージェントであるか、代理人は本人の意思に背いた行動をとってはいけないのです。
国民の代理人(代表ともいう)は、政治家がつくる政権(政党)です。大臣たちの使用人が官僚(高級公務員)です。
ところが官僚は、「自分たちが国家の代理人」だと思い込んで勝手な動きをする。この代理人が暴走して実質的に権力を握るというのが、官僚制の一番悪い面ですね。
佐藤 そのとおりです。依頼人から通知書を受け取った弁護士が暴走して、依頼人(通知人)の意思と違うことを行っているということと、まったく一緒です。
こういう難しい場面での、「知の力」というか、教養の力、学問の力が必要になってきます。学問の力がないと、昨年末の「羽毛田発言問題」では、小沢一郎のほうがおかしくみえるのです。
学問の力があると、習近平国家副主席に対し、日本側がどのような対処をすべきかの問題だったということがわかります。国家副主席をそこまで厚遇する必要があるのかどうか、確かに一つ議論としては残ります。
結論から言えば、今の日中の力関係を見たら、私は習近平という人物は重要だと思います。だから、内閣のあの判断は間違っていなかったと思います。
そこをブラックボックスに入れるとしても、この羽毛田長官の言動は、次元が食い違うところでのおかしな行動でした。
副島 習近平国家副主席は、2年後には国家主席、および共産党総書記になるのですから、お披露目でした。国際社会におけるお披露目だったのです。
日本はドイツに次いで重要な国だと中国は考えたのです。それ故、国家元首が会わなければならなかった。
中国の次の国家元首になる人物のお披露目だったと考えるべきです。中国側はそれを暗に仄めかせていたのです。まず習近平国家副主席はヨーロッパに行き、メルケル独首相に会いました。
佐藤 確かにそういう挨拶のために日本に来たわけです。挨拶に来る人間が、「挨拶したい」と言うのですから、挨拶を受けるのは当たり前ではないでしょうか。
これが宮中晩餐会を開けと要求したのでしたら話が違います。晩餐会を開くには、準備や通知など、何ヵ月も時間が必要です。
だからあのとき、中国側が要請したことはそれほど乱暴な話ではなかったのです。
つまり手続きを踏んでいないのは、どちらか。また、言ってよいことと悪いことの線を破ったのはどちらかということです。
考えようによっては、あのとき2・26事件のような事態が、血が流れない形で本当に起きたのかもしれません。つまり、羽毛田長官は、高齢ではあっても、発想は青年将校的なのです。
==================================
◆陸山会事件:午後判決/勝栄二郎 法務官僚と裁判官を使って小沢一郎を抑えつけ、財務省は好き放題やった2011-09-26 | 政治/検察/メディア/小沢一郎
陸山会事件:小沢氏元秘書3人、午後に判決 東京地裁
小沢一郎・民主党元代表の資金管理団体「陸山会」の土地購入を巡り、政治資金規正法違反(虚偽記載)に問われた衆院議員、石川知裕被告(38)ら元秘書3人の判決が26日午後、東京地裁(登石郁朗裁判長)で言い渡される。無罪を主張する被告と検察が全面対決する構図の中、地裁は論告求刑の直前に、取り調べに問題があったとして捜査段階の供述調書を却下。検察側に厳しい判決が出ることも予想され、10月6日に始まる小沢元代表の公判にも大きな影響を与える可能性がある。(後段略)
毎日新聞 2011年9月26日 10時28分(最終更新 9月26日 10時29分)
・「チャーチル/復権・・・」裁判闘争を終えた時、小沢一郎はどんな言葉を国民に語りかけるか。2011-09-24 | 政治/検察/メディア/小沢一郎
『悪党 小沢一郎に仕えて』? . . . 本文を読む
・小沢一郎が語った「原発/国家のリーダー(衆愚の中からは衆愚しか)/マスコミは日本人の悪いところの典型」2011-09-19
『悪党 小沢一郎に仕えて』 ? . . . 本文を読む
・石川知裕議員ら、小沢一郎氏元秘書の「陸山会事件」26日判決?/全員無罪なら小沢氏は即座に復権だが2011-09-22
・石川知裕議員ら、小沢一郎氏元秘書の「陸山会事件」26日判決 ?/ 関わった検事はみんな消えてしまった2011-09-21
敗色濃厚の検察 . . . 本文を読む
・陸山会事件判決を前に/微罪(期ズレ)認定や執行猶予付では、メディアが「小沢一郎有罪」と騒ぐだけだ2011-09-22 | 政治/検察/メディア/小沢一郎
ここにおいて、小沢一郎氏の政治生命は断たれる。これこそが、検察の描いたストーリー。検察の狙った果実だ。 . . . 本文を読む
・小沢一郎氏裁判 初公判10.6.被告人質問2012.1.10〜11.判決2012.04中旬/残ったのは石川議員の記載ミスだけ2011-09-19 | 政治/検察/メディア/小沢一郎
・副島隆彦の学問道場
野田佳彦が首相に決まったが、これは勝栄二郎の財務省が操(あやつ)る傀儡(かいらい)政権である。 副島隆彦 2011.8.30
副島隆彦です。 今日は 2011年8月30日 午前4時です。
昨日、野田佳彦(のだよしひこ)が、昨日29日に民主党の代表選挙に勝ち、今日30日、衆議院での首班指名の投票で新首相に就任する。
昨日の 代表選の 結果を見ていて、私が考えたことは、勝栄二郎(かつえいじろう)財務次官(官僚のトップ)と、岡田克也幹事長がふたりで深く仕組んだな、ということだった。
日本財務省は増税路線である。復興途中にある日本国の厳しい現状を知りながら、それでもなおアメリカ様に貢ぐ資金を作り出すために、日本国民に 復興税やら消費税の値上げやらの 増税を強制しようとする。 苛斂誅求(かれんちゅうきゅう)そのものだ。
苛政(かせい、重税のこと)は虎よりも猛(たけ)し、のとおりだ。
財務省が深く仕組んだな。今回の、たった一週間の日程で慌ただしく決めて実行した民主党代表選による首相の首の挿(す)げ替え劇だった。誰もこのシナリオの裏の仕掛けを語ろうとしない。 岡田幹事長が日程の決定には権限を持っている。野田佳彦は、この勝栄二郎・事務次官のことを「勝さん、勝さん」と呼び、自分の上司であるかのように仕え、そして育てられてきた。私は、この事実を10年前( 加藤紘一が失脚した「加藤の乱」の時)からずっと知っていた。
日本の財務省のドンは15年前からずっと、武藤敏郎(むとうとしろう)と坂篤郎(さかあつお)の3人である。この3人が、アメリカの威光と意向を受けながら、ずっと日本管理の最高権力を握り、今に至る。 この大きな一点の事実を軽視して、ここを日本政治の中心と見ないで、他のことにすり替えたら、すべては嘘の話になる。
国家のお金の全体の 動かし方のすべてを実質で握る者(たち)が、そのまま国家の最高権力者である。だから、今の日本の最高権力者はこの勝栄二郎(かつえいじろう)である。早ばやと3年目の事務次官居座りを自分で決めた。
小沢一郎の勢力が鳩山由紀夫の派閥を足して(これが半分に割れているようだ)、ようやく177人の民主党国会議員であった。本当は、これ以外に、今年初めに菅直人への反抗を示して除名された16人の比例区選出議員たちと、6月2日の菅直人への内閣不信任案(自民党が提出した)に同調の雰囲気で投票欠席をした、小沢一郎ら9人が、党員資格停止で、代表選での投票を阻止されているので、この25票を合わせると、202票である。
これに対して野田佳彦は215票を取った。前回の昨年9月の代表選挙では、菅直人が206票で、小沢一郎が200票だった。 この伯仲は、よく吟味され、計算されていた。 鹿野道彦(かのみちひこ)と 馬渕澄夫(まぶちすみお)の 計70票が決戦投票で野田に回るように綿密に周到に計算されていたことが分かる。
馬渕の海江田への投票をNHKが直前で撹乱した。NHKはここまで謀略集団にまで転落している。私たちが強く支持する 小沢一郎の考えの中心は、官僚・メディア・財界の、アメリカの手先3者連合に対して、何があっても今の民主党体制を守って、自分が育てて当選させた306人のうちの若い衆議院議員たちに、一日でも多く政治家経験を積ませて、年収3千万円弱の歳費を貰(もら)わせ続けることだ。だからあと2年間はこのまま民主党政権を続けさせて、解散・総選挙をさせないことだ。若い政治家たちにどうせ穢い現実政治のあれこれの処理の仕方を身につけさせることが大事である。
不断の不屈の小沢革命の実行で、最後に残されている果実(フルーツ)は、この多くの未だ未熟の、経験の少ない若い政治家たちに厳しい実地での経験を積ませることだ。だから、自分が政治家(国会議員)として生き残るために小沢一郎から離れて、態度を翻して、きたない政治資金を裏からもらうことまでしても、それも実際に一人の政治家が育ってゆくうえでの 不可避の過程だ、と考えなければ済まない。
一体、日本の歴代政治家で、200人もの若い政治家を、弟子として育て、そして実際に国会に議員として送った者がいるか。他の大物政治家たちは、自分のことだけで精一杯だ。たったのひとりの子分も、弟子も育てられないで、自分の保身だけに窮窮してそして引退していったではないか。
人をたくさん育てたことが(たとえ粗製濫造であろうとも) 小沢一郎の最大の功績であり、小沢一郎の偉さだ。このことを指摘する者が今もほとんどいない。小沢国民革命は、人材の育成の点に本当の眼目がある。だからたとえ一回、一回の闘いで敗れても、民族独立への堅い志(こころざし)を同じくする人間たちが勢力として残る限り、不屈に日本国民の闘いはこれからもずっと続くのである。
自民党政権時代は、新首相になる者からの ご祝儀は、賛成議員にひとり一億円と決まっていた。それは外国経由で派閥ごとに配られて、これには警察も裁判所も手を出さないことに不文律として決まっていた。 小沢一郎はこの日本国の悪習、悪弊を破壊した。今も根絶しようとしている。だから小沢は嫌われる。
今の小沢派の政治家たちは、だから汚れていない。貧乏に耐えながら生きている。おそらく財務官僚の側に寝返った者たちは、今回、ひとり5千万円ずつを貰(もら)ったはずである。 金(かね)で票は買えるのだ。人間は本当に金(かね)で動く。そのことを勝栄二郎たち財務官僚はよくよく知っている。
アメリカの次の大統領は、ジョゼフ・バイデンで決まりだ。現在の副大統領のバイデンが、この8月19日に、中国の次の国家主席(大統領のこと)となる習近平(しゅうきんぺい、シーチンピン)と二人で親密に、 G2(ジー・ツー。Group2 アメリカと中国の二大国)で「私たち二人で、これからの世界を動かして行こうぜ」と 言った。
このときに、バイデンが次の米大統領だというお披露目(ひろめ)が世界に向かってなされたのである。
おそらく来年の3月には、バラク・オバマは、“オバマ・ショック”と後世、呼ばれるであろう、ニクソン・ショック(ドル・ショック。1971年8月15日)の41年目の再来である、「米ドルは、もう金(きん)との兌換(だかん)は出来ません。しません」の 宣言をして、体調不良か何かを理由に辞任してゆくだろう。
そして次の大統領選挙は、11月の本選挙に向けて、バイデンが、おそらくヒラリーをランニング・メイトの副大統領候補にして当選し、そしてその次に・・・・となるだろう。
バイデンという肝の座った、何ものにも動じない、どんな借金地獄のアメリカ経済・財政のボロボロの現状にもめげないで対処しようとする人間が、一切の綺麗事(きれいごと)を言わず、「オレがやる」と言って、外交だけでなく(長年、米上院の外交委員長をやった。通勤電車で出身のデラウエア州から通った)労働組合の幹部上がりの泥くさい政治家だ。
外交だけでなく金融・財政の危機への対処も自分がやる、と言っている。
バイデンは、 CFR(シー・エフ・アール、米外交問題評議会)派である。だから、ネオコン派と近い、手荒な、属国群への謀略政治も辞さない、リチャード・アーミテージやマイケル・グリーンに「犯罪者的な外交手法は、やめよ」と言っている。だから、アーミテージとグリーンが育てた愚か者の前原誠司では、アメリカとしても承認することはないのだ。
前原は、昨年2010年9月7日の、尖閣諸島沖での、日本の海上保安庁の船4隻で、中国漁船の1隻を挟み撃ちにして拿捕(だほ)した事件を、外相として行って、それで今も前原には中国が激怒している。日中の外交協定(秘密条約)で、「境界不確定海域では、それぞれの国の漁船はそれぞれの海上警察が取り締まる」としてあったのを、アーミテージらの指令で、日中を険悪にするために、前原の権限でやらせた。
だから中国は前原の首相成りは絶対に呑まないし、許さない。このことでアメリカに激しく抗議する。 日本の首相を誰にするかの実質的な決定権は、今もアメリカ帝国にある。だから、中国の顔を窺わないでは、アメリカは世界管理、世界運営は出来なくなっているので、アメリカは中国の言い分を聞かざるをえない。だから前原の線ははじめから無かったのだ。
習近平も 温家宝もバイデンに、激しく「アメリカの財政と金融をきちんとしろ」と迫ったようだ。バイデンは、" Chinese are aggressive . " 「中国人はキツイことを言う」と辟易(へきえき)したようだ。
バイデンにしてみれば、日本の財務省が、バカの野田を操って、これからも「円高阻止の介入」をやらせて、何度でも、これからも一回当たり3兆円(200億ドル)分ぐらいずつ、ボロボロの米国債を買い続けてくれるなら、こんなに嬉しいことはない。
習近平の属する上海閥(幇、パン)=太子党(タイヅータン)=石油党の勢力も米国債をまだ買い続けることで、アメリカを支えると約束してくれた。このことがバイデンの最大の外交業績だ。 そのために中国に行ったのだ。バイデンは、泥くさい現実政治家だから、「お金のことがなによりも大事。累積した(50兆ドルぐらいある。4千兆円)アメリカの国家の借金の問題こそは一番大事」と分かっている。
日本は、こうやって今年も来年も、大きく崩れ始めたアメリカ帝国の「地獄への道連れ経済」を強いられる。それでも、私たち不屈に抵抗し民族の自立を目指し、愛国のこころざしを変えない日本国民が、頑強に小沢一郎が率いる政治勢力(政治家200人)を支持して、闘い続ける限り、日本の未来は明るい。
日本の政治を無権限なのに壟断(ろうだん)する、勝栄二郎らの愚劣なる日本官僚たちは、やがてやって来る2013年7月の参議院選挙で、私たちが勝って、本当に、たくさんの法律をどんどん変えて、長く続いた律令体制からの官僚支配政治を廃止して、官僚たちを、本当に、ただの事務公務員にたたき落とす。各省の 事務次官や局長級 を廃止して 若い30台の政治経験の少ない政治家たちに、それらの仕事をさせる。それが国民の代表たちによる正しい政治だ。小沢一郎が言う「官僚主導から政治主導へ」だ。ついでに「国の大掃除をする。きたないものすべて掃除するのだ」の大方針に私たち国民が忠実に従うべきときである。
この 日本国家の一番大事な国家体制の改革の大事業を、私たちはたったひとつの 「公務員制度改革」の名の法律群の改正だけで、実行できるのである。これにはアメリカの口を挟(はさ)ませることもなく、私たち日本国民の堅い意思と決断だけで出来る。だから各省の官僚どもが束になって、必死になってこの動きに抵抗しているのである。
だが、このことはすでに日程に登っていて、2009年8月30日の選挙で勝った時の、あのマニフェスト(国民との約束)に明言してあるのだから、かならず実現できる。公務員制度改革(官僚制度の解体)以外の 他の福祉のことや、税金のこと、復興のこと、外交・軍事(安全保障ともいいう)などのことは、外国との交渉であり、たくさんのお金がかかることだから、やがて出来る小沢革命政権をもってしてもなかなか大変であり、簡単には実現できることではない。だが官僚制度の解体・消滅だけは、本当にできる。お金はかからないどころか、多額の国家資金がこれで救い出される。
官僚たちを「おそろしい大蛇からただのヘビ」に変えて、正体を暴いて、脱魔術化(だつまじゅつか。disenchantment ディスエンチャントメント。私たちが罹っている魔法、呪縛から解放されること)して、彼らを卑小にしてしまうことは、必ず出来る。
これから一年間、もともと能力のない野田佳彦首相 を頓珍漢(とんちんかん)風に操って、その様子が丸見えになって失笑を買い、私たちから嘲笑、冷笑 されるであろう勝栄二郎よ、まあ、頑張りたまえ。私たちは、こうやって国民政治の実質を簒奪する黒子である お前たち官僚の姿を徹底的に炙り出し、冷酷に冷ややかに見つめる、ということをする。 小沢一郎を執拗に違法に攻撃している法務省官僚と裁判官たちを含めた司法官僚たちの悪あがきも度を越している。司法・法務官僚たちを使って、小沢一郎を抑えつけることをやったので、それで財務官僚たちの方が好き放題にやれたということである。 副島隆彦拝
*勝栄二郎
1975年に大蔵省(現財務省)に入り、予算編成を担当する主計畑を主に歩んだ。93年に発足した細川政権では官房長官秘書官を務めた。東大卒。75年大蔵省。官房長を経て09年7月から主計局長。10年7月から財務省事務次官。61歳。埼玉県出身。 *強調(太字・着色)は来栖
財務省の天皇 勝栄二郎事務次官と香川俊介官房長には逆らえない/野田政権は直勝内閣/メディア工作部隊
朝日、読売を国税狙い撃ち「財務省には逆らえない」と幹部談
NEWS ポストセブン 10月2日(日)7時5分配信
財務省の強さ――それは国家の予算を握っていることだけでなく、情報収集力と組織の結束の強さこそ、官僚主導政治を根付かせてきた秘密だろう。財務官僚たちの影響下にあるのは民主党政権だけではない。彼らは政・官・司・財・報に幅広く支配の手を伸ばしている。
政権交代をはさんだこの数年、財務省が最も力を入れてきたのが「第4の権力」であるメディアへの工作だった。
財務省が本格的に増税に向けたメディア工作をスタートさせたのは、「消費税増税なしで財政再建できるとは考えられないし、安心できる社会保障制度も成り立たない」と消費税増税路線を鮮明にした福田康夫首相の頃とされ、世論工作の司令塔を長く務めてきたのが「財務省の天皇」の異名を持つ事務方トップの勝栄二郎・事務次官の直系とされる香川俊介・官房長だ。
若手官僚を中心に組織された100人規模の政界工作部隊は、香川氏の指令ひとつでメディア工作部隊にも変身する。それをバックアップするメディア対策専門部隊もある。
東京・竹橋の大手新聞社の本社に近いエスニック料理店は、財務官僚がベテラン記者や編集幹部、評論家などと勉強会を開く際によく使う店の一つだ。常連というベテラン記者の話である。
「飲食費はワリカン。財務官僚の守備範囲は財政政策だけではない。バックグラウンド・ブリーフィングといって、例えば『エリート教育について取材したいと考えている』といえば、調査課などから関連資料やデータを一式取り寄せた上で、霞が関での議論や問題点を非常にわかりやすく説明してくれる。ブレーンストーミングですね」
それを自分でやるのが記者の本来の仕事のはずで、昔は、資料一式役所が用意した記事は「もらい記事」と呼ばれて恥とされた。だが、政策が嫌いな政治部記者や、不勉強で専門知識がない経済部記者は、財務官僚のサービスを有り難がって役所に頼りきりになる。
メディア工作部隊の幹部には、キャリア官僚ながら玄人はだしの「手品」を演じる課長クラスや「腹話術」を得意芸とする審議官クラスもいて、記者たちを絡め取る。そして会合のたびに記者たちに、「野田さんはああ見えて政策にはかなり詳しいね」とささやくことで、大メディアに「政策通の政治家」と報じさせる。これぞ正真正銘の腹話術だ。
だが、大メディアが増税必要論を一斉に報じるようになったのは、個々の記者への工作だけが理由ではない。財務省の報道機関工作の有力な武器となったのが、国税の税務調査である。
朝日新聞は2009年2月に東京国税局の税務調査で京都総局のカラ出張による架空経費の計上など約5億1800万円の申告漏れを指摘され、東京、大阪、西部、名古屋の4本社編集局長と京都総局長を処分した。同年5月には、読売新聞東京本社も東京国税局の税務査察で推定2億7000万円の申告漏れを指摘されている。その前には日テレ、フジテレビ、NHKも申告漏れを指摘された。
時系列でいえば、税務調査の後、読売は丹呉泰健・前財務事務次官を社外監査役に迎え、朝日も「増税礼賛」の論調を強めていく。
有力紙の論説委員は、「メディアは常に税務当局に狙われている。経営上も財務省に逆らえない」と本音を明かす。※週刊ポスト2011年10月7日号
.......................
<片山虎之助氏>野田政権は「直勝内閣」 財務省主導を批判
毎日新聞 9月29日(木)20時3分配信
「野田内閣は『直勝内閣』と言われている」。29日の参院予算委員会で、たちあがれ日本の片山虎之助氏が、「財務省主導」との指摘を受けがちな野田佳彦首相の政治姿勢を皮肉った。
「勝」とは財務省の勝栄二郎事務次官。82年に田中角栄元首相の強い影響下で誕生した中曽根内閣が「直角内閣」と呼ばれたことをもじったものだ。片山氏は「人事も増税も財務省、事務次官主導だ」と首相を批判した。
これに対し野田首相は「国民に負担をお願いする場面はあると思うが、特定の省の特定の誰かに洗脳されたわけではない」と反論。増税は自らの問題意識であるとの認識を強調した。【笈田直樹】
=======================
◆陸山会事件:午後判決/勝栄二郎 法務官僚と裁判官を使って小沢一郎を抑えつけ、財務省は好き放題やった2011-09-26 | 政治/検察/メディア/小沢一郎
◆小沢一郎を落ち目と見切った登石裁判長/財務省首領 勝栄二郎が、内閣に「大増税」へと舵を切らせている2011-09-30 | 政治/検察/メディア/小沢一郎
マスメディアがなぜか「増税」に反対できない事情と弱み J-CASTニュース2011/9/29 17:00
小沢一郎氏、元秘書3人の判決について「裁判官が推測で有罪。政権交代のスケープゴートにされた」
関連;陸山会事件:午後判決/勝栄二郎 法務官僚と裁判官を使って小沢一郎を抑えつけ、財務省は好き放題やった2011-09-26
◆特捜検察の預言/政治家あるいはエリート官僚のどちらが日本国家を支配するかの権力闘争2010-07-02
.........................................................................
小沢元代表:「証拠なく有罪考えられぬ」ネット番組で批判
民主党の小沢一郎元代表は2日、インターネット番組に出演し、元秘書の石川知裕衆院議員ら元秘書3人が政治資金規正法違反事件で有罪判決を受けたことについて「何の証拠もないのに、裁判官が独断で推測に基づいて有罪を決めてしまうのは民主主義国家では考えられない。本当にびっくりした」と強く批判した。
9月26日の有罪判決後、小沢元代表が公の場で発言するのは初めて。元代表は「既得権益を持ち続けてきた人にとっては、(自分が)最大の狙いだった。政権交代のスケープゴートにされた」と述べ、判決を不服とする姿勢を示した。
判決が水谷建設からの裏献金を認定したことについては「不正な金銭の授受があったということを推測で前提にして、有罪だと決めたので二重にびっくりした」と批判。「最も国民の生命、財産、人権を守らなくてはいけない裁判所までが、そういうことになってしまっている。非常に心配だ」とも述べた。【葛西大博】毎日新聞 2011年10月2日 21時03分(最終更新 10月2日 21時18分)
===================
◆陸山会・西松建設事件判決に見る危うさ 調書主義を転換、裁判官の印象・推認で黒白を決するようになった2011-09-27 | 政治/検察/メディア/小沢一郎
〈来栖の独白2011/09/28Tue.〉
司法は、危ういところに差し掛かっている。換言するなら、われわれ市民が、危うい領域に踏み込んだ。
昨日の判決文を読んでみて感じたことは、裁判所は従来の調書主義・証拠主義を転換し、裁判官の「印象」「推認」で黒白を決するようになったな、ということだ。
6月、地裁は被告らの供述調書の検察側証拠請求を大幅に斥けた。大阪地裁特捜部の証拠改竄事件で、供述調書の信用性が揺らぎ、取り調べのあり方に問題が投げかけられたからだ。
取り調べに誘導や脅しは、勿論あってはならない。「全面」可視化は必要だ。
しかし、こうなってみると---検察官の挙証責任(推定無罪)を放棄されてみると---、被疑者の声(事件発覚直後)を聞く貴重な場も失われたことに、私は気づく。
勝田事件の場合だが、彼は人間味ある山崎刑事ら捜査官に心を許し、事件は無論のこと、自己の生い立ちから身辺のこと、心の機微まですべてを聞いてもらおうと望んだ。「僕は、ほかにも人を殺しています」と取り乱して叫ぶ勝田の心を、最初は思いもかけない告白に驚きながらも優しく慰撫してくれたのは刑事たちだった。
ほかの事件においても、そういった、刑事と被疑者の、(こういってはへんに聞こえるかもしれないが)人間的な交わりの場があったのではないか。そういうところから、被疑者は自己の罪に気づいてもゆくのだろう。
そのような捜査当局なら、昨日の東京地裁判決を読めば、「やってられない」と感じるのではないだろうか。
裁判所は、調書主義を捨てた。裁判員裁判とも相まって、これからは法廷が益々「印象(感情)」「憶測」の支配する場となっていくだろう。私たちは、まず身だしなみにも気をつけなくてはいけない♪ 「怪しい」と思われて身柄を引っ張られたら最後、言い訳は通用しない。すべて「感情」が支配するのだから。そして、裁判所のポチであるメディアは、裁判所の言うとおりに書く。
==============
◆登石郁郎裁判長の判決文(要旨) この矛盾に満ちた文章がこの国の司法の場で通用することに唖然とする2011-09-28
根拠なく推測と矛盾だらけの陸山会判決 2011年09月27日(火)永田町異聞
いま、東京地裁、登石郁郎裁判長の判決文要旨を読んでいる。この矛盾に満ちた文章が、この国の司法の場で通用することに唖然とするばかりだ。たとえば、陸山会事件に関するこの記述。
◇04年分収支報告書に「借入先・小沢一郎 4億円、備考・04年10月29日」との記載がある。・・・石川被告は4億円を複数の口座に分散させた後、陸山会の口座に集約しているが、4億円を目立たないようにする工作とみるのが自然だ◇
それが自然だろうか。であるなら、なぜ04年収支報告書に「4億円を小沢氏から借りた」ことを記載するのだろうか。
こういうくだりもある。「これらの事実を総合的に検討すると、石川被告は4億円の収入や、これを原資とした土地取得費用の支出が04年分収支報告書に載ることを回避しようとする強い意志を持って種々の隠ぺい工作をしたことが強く推認される」
不可解な文章ではないか。これに対しても同じ疑問をぶつけたい。ではなぜ、04年収支報告書に小沢氏からの4億円借り入れを記載したのだろうかと。
約3億5000万円の土地代金を支払ったとについても、記載していないわけではない。土地の登記が完了した翌年1月7日に支払ったことが次年度報告書で明らかにされている。
記載したことを無視し、記載しなかったことだけで考えれば、検察の言うような片手落ちの理屈になり、そのストーリーにそって作文した東京地裁の判決文になる。
この事件はつまるところ、記載の仕方がどうあるべきかという、きわめて事務的なルールの問題だ。
そのような案件で強制捜査にまでおよんだことを正当化するために、検察は、小沢氏が陸山会に貸した4億円のなかに裏金が含まれているという、勝手な解釈を論拠の柱に据えた。
判決文要旨にはこうある。「水谷建設社長は胆沢ダム建設工事の受注に絡み、大久保被告の要求に応じて、04年10月に5千万円を石川被告に、05年4月に同額を大久保被告に手渡したと証言したが、ほかの関係者証言や客観的証拠と符合し、信用できる。一切受け取っていないという両被告の供述は信用できない」
それほど東京地裁が水谷建設社長の証言を信用できると断定しているのに、なぜ検察は、1億円の贈収賄事件として立件しなかったのであろうか。当然、確信を持てないから立件できなかったのである。
だいいち、どこの政治家が、ゼネコンから裏金をもらって、そのカネを公的文書に残る表の取引に使うなんて馬鹿なことをするだろうか。裏のものは裏で使うのが自然だ。
東京地裁は、村木冤罪事件で供述調書のほとんどが証拠不採用になった流れを受けて、陸山会事件でも多くの調書の信用性を否定したが、この判決文を見る限り、それは検察ストーリーをそっくり受け入れたという印象を薄める下準備と考えざるを得ない。
法廷での証言などを重視したように見せかけてはいるが、判決文を素直に読めば、その判定になんら根拠や証拠があるわけでもなく、あるのはただ裁判官の「推認」のみであることがわかる。
ここに筆者は、日本の司法の崩壊現象を強く感じる。できることなら「無罪判決」は避けたいという、裁判官の心理がこれほど白日のもとにさらされては、裁判所への国民の信頼は地に堕ちるだろう。
「検事から控訴されない裁判官が高く評価される」という人事上の不文律が従来からこの国の司法界をゆがめてきた。
そういえば、ジャーナリスト、岩上安身氏のインタビューに、元大阪高裁判事、生田暉雄弁護士は、三権分立とは言いながら実態として検察など行政権力に盾突きにくい裁判官の心理状況を次のように語っていた。
「現在、行政権力が肥大化し、議会権力は付け足し、裁判はもっと付け足しになっている。第一、予算規模が違う。法務官僚は検察官が多く、検察権力が幅を利かしている。徳島地裁時代に私はかなり無罪判決を出したが、先輩に『あまり無罪を出すと出世に差し支えるよ』と言われた。無罪を出すということは行政権力に否定的な考えの持ち主とみられる。最高裁自体が行政権力に弱い。予算を握られているからだ。裁判官独立の原則があり、他の権力の介入を許さないタテマエだが、結局は給料や人事で操られている」
検察のみならず、裁判所までが推測や印象にもとずく恣意的な判断をしていることを自ら明らかにしたのが今回の判決といえるだろう。
新 恭 (ツイッターアカウント:aratakyo) *強調(太字・着色)は来栖
====================
◆“検察の正義”に委ねていいのか? 検察を支配する「悪魔」2010-03-11 | 政治/検察/メディア/小沢一郎
“検察の正義”に委ねていいのか? 元検事、元司法記者が語る、小沢捜査の裏側
(Business Media 誠 - 03月11日 10:33)
民主党の小沢一郎幹事長をめぐる政治資金規正法違反事件では、各メディアが小沢氏に関する疑惑を報じる中、検察は小沢氏の秘書ら3人を起訴し、小沢氏自身は不起訴とする方針を固めた。検察はなぜ小沢氏への捜査を行い、なぜ不起訴という結論に至ったのか。また、多くのメディアが検察と一体化したかのような報道を行った背景には何があったのか。
共同通信社で司法記者を担当した魚住昭氏と東京地検などで検事を務めた郷原信郎氏は3月8日、東京・有楽町の日本外国特派員協会で記者会見し、検察の“小沢捜査”の背景を語った。【堀内彰宏】
●なぜ小沢捜査は行われたのか
魚住 今の日本は大きな問題を抱えています。それは検察庁という行政機関が巨大な力を持ちすぎて、誰もそれを統御できないということです。その上、検察は組織が腐敗し、かつ捜査能力が極端に低下しています。検察の暴走、腐敗、能力低下の3つが同時進行しているのです。それを如実に示したのが小沢幹事長をめぐる一連の捜査でした。
2009年3月、西松建設関連の政治団体から2100万円の偽装献金を受け取った疑いで、小沢氏の秘書(大久保隆規氏)が政治資金規正法違反の疑いで逮捕されました。これは従来の常識では考えられない出来事でした。過去の摘発例を見ると1億円を超える裏献金を受け取った政治家が立件されたケースはありますが、政治資金収支報告書に記載されているオモテの金で、額が2100万円に過ぎないのに立件するというのは異常なことです。
しかも衆議院選挙を目前にした時期に、検察は従来の立件のハードルをガクンと下げて、野党第1党の党首側近を逮捕しました。当然ながら、「この捜査は不当な政治介入だ」と世論の強い批判を浴びました。一部では、「当時の麻生政権の要請を受けて行われた国策捜査だ」という意見もありましたが、私はそうは思いません。検察はその時々の政権の意のままに動くような組織ではありません。特捜部の検事たちはいつの時代もそうですが、多少無理をしてでも政治家がらみの事件をやって手柄をあげ、マスコミの脚光を浴びて出世の足がかりにしたいのです。
問題は「特捜部の暴走を検察の上層部がなぜ止めなかったか」ということです。私は上層部の判断の背景には「小沢政権ができることに対する忌避感があったのではないか」と疑っています。
小沢氏はもともと検察と仲が良くありません。しかも彼は脱官僚、つまり検察を中軸とする中央官僚機構の解体・再編を目指すと公言している政治家です。「そんな人が首相になったら困る」という上層部の思惑が微妙に作用したのではないか。そうとでも考えなければ理解できない異常な捜査でした。
2009年末から表面化した陸山会の土地購入をめぐる事件は、西松建設の事件で世論の批判を浴びた検察がその失地回復のために行った捜査でした。つまり、検察のやったことを正当化し、「小沢は金に汚い悪質な政治家だ」ということを証明するために行われたものです。
この第2ラウンドの捜査でも検察は敗北しました。大物政治家を2度も被疑者として調べながら、起訴できないというのは、検察にとって戦後最大級の失態です。捜査が失敗した理由は明白です。「小沢氏の当時秘書だった石川知裕衆議院議員に5000万円の闇献金を渡した」という水谷建設(水谷功元会長)側の怪しげな証言を信じ込んだからです。
まんじゅうに例えると、アンコに当たる部分が5000万円の闇献金で、皮に当たる部分が4億円の土地購入の不記載です。皮の部分の4億円の不記載は、煎じ詰めると「土地の購入時期を2〜3カ月ずらして政治資金収支報告書に書いた」という形式犯に過ぎません。5000万円の闇献金がその土地購入費にあてられたというアンコが立証されなければ、スカスカの皮だけのまんじゅうになって食べられたものではありません。
ところが、検察が信じた水谷建設側の供述はうそ話だった。アンコが腐っていたんです。石川議員が否認を貫き通せたのは、まったく身に覚えがない事実だったからです。あらかじめ決めたターゲットを摘発する、つまり「小沢を狙い撃ちする」という捜査の常道に反することをしたから検察は失敗したのです。今回の事件だけでなく、10年あまり前から検察は同じような不純な捜査を繰り返すようになっており、検察の劣化・暴走が目立つようになりました。
●検察の劣化・暴走が目立つようになったワケ
なぜ検察はそうなってしまったのか?
重要なポイントだけを挙げると、1つは検察の裏金問題です。検察は少なくとも1999年まで、年間5億円前後の裏金を組織的に作り、幹部の交際費、遊興費にあててきました。検察はその事実を全面否認したばかりか、2002年にはその裏金作りを内部告発していた三井環という中堅幹部を口封じのために逮捕しました。これは恐ろしい権力犯罪ですが、日本の主要なメディアはきちんと批判しませんでした。検察が最も大事な情報源であるため、その検察の機嫌を損ねて情報がもらえなくなるのを恐れたからです。
これを別の角度から見ると、検察は主要なメディアに対する影響力を保ち、自らの恥部を覆い隠すためにも常に大事件をやり続けなければならない。そういう自転車操業的な体質を身に付けてしまったと言えます。この裏金問題は、検察組織のモラルハザードを深刻化させました。上層部が「自己保身のために何をやってもいいのだ」というお手本を示したのですから当然でしょう。
2つ目の理由は、今も触れた主要な新聞・テレビメディアと検察の癒着関係です。検察の暴走をチェックすべきメディアがその役割をほとんど果たしていません。
3つ目の理由は、裁判所と検察の癒着です。日本では起訴された案件の99%近くが有罪になります。起訴事実を否認して無実を主張すると、1年も2年も身柄を拘束されます。検察の言い分を裁判官がほとんど認めるので、裁判所は検察の暴走をチェックする役割を果たしていません。
つまり、検察をメディアと裁判所が強力にサポートする体制ができあがっているのです。だから検察の力は巨大なのです。法律の上でも検察の幹部人事は国会の承認が必要ではありません。選挙による民意のコントロールも利きません。
一方、日本の政党勢力の方はどうでしょうか。政権与党の民主党は大雑把に言うと、新自由主義者と社会民主主義者、つまり小さな政府論者と大きな政府論者の寄り合い所帯です。そのため、とても壊れやすく、政策の方向性を決めるのが難しい。国民新党や社民党と連立を組んでいるのでなおさらです。
それでも民主党を軸にした連立政権がとりあえず機能しているのは、小沢という求心軸があるからです。彼が内政においては「反小泉構造改革」、つまり社会民主主義的な所得の再分配、それに「脱官僚」、つまり従来の官僚主導政治の改革、外交においては「対米自立路線」、この3つの基本政策を打ち出すことで、民主党左派や社民党、国民新党の支持を取り付け、民主党内の新自由主義者たち、反小沢勢力をおさえこんできました。
ところが、今回の事件で小沢幹事長は自らの金権体質を国民に批判され、深手を負いました。長崎県知事選の敗北(2月21日)も重なって、彼の求心力はかなり弱まったと思います。
●検察中心の刑事司法の仕組み
郷原 私の西松建設事件と陸山会事件についての見方も、今、魚住さんが話したこととほとんど変わりません。検察の能力が極端に低下し、そういう言ってみれば最低レベルの事件しかできなくなっているのに、まったくマスコミなどから批判されないまま、それがまかり通っているというのが現在の状況です。
魚住さんは司法記者として検察を外から見てこられた人ですが、私は23年間検事として仕事をして、検察の中にいました。それだけに今の検察の状況については、驚きというか「絶望を感じるほど問題だ」と思っています。そこで、私の方からは「なぜ検察がこういう状況になってしまったのか」「日本の検察には組織としてどういう特徴があるのか」ということをお話ししたいと思います。
日本の検察は、刑事司法に関して全面的な権限を与えられているところに特徴があります。すべての刑事事件について、検察官は起訴や控訴をする処分権限を持っています。そして、検察官は「犯罪事実が認められる場合でも、あえて起訴をしない」という訴追を猶予する権限も持っています。この2つによって検察は、刑事司法に関して絶対的な権限を持っています。
このような検察中心の刑事司法の仕組みは、殺人や強盗、薬事犯のようなアウトローによる犯罪、社会の周辺部分と言いましょうか、あまり社会生活や経済活動などに影響を及ぼさないような犯罪現象を前提として構築されたと考えていいと思います。
殺人や強盗、薬事犯のような犯罪であれば、「反道徳的」「非倫理的」という社会の評価はもう定着している、あらかじめ決まっているわけですから、検察官は価値判断をする必要がありません。とにかく証拠があれば、起訴をすればいい。その証拠が不十分であれば裁判所が無罪にする、それだけのことです。
ところが、例えばライブドア事件、村上ファンド事件のような経済分野の犯罪現象、今回問題になっているような政治資金規正法違反などの犯罪。こういった違法行為は、案件数としては限りない数、世の中に存在しています。その中からどの事件を選んで処罰の対象にするのかということに関しては、処罰する側、摘発する側の価値判断が求められています。
ですから、そういう社会的、経済的、政治的に大きな影響を及ぼす事件については、検察官はそういう犯罪に対してどういう基準で悪質性や重大性を判断し、どういったものを摘発の対象にしていくのかについて明確な基準をあらかじめ示す、最低限検察の内部では明確にしておく必要があります。
ところがそういった基準が明確にされないまま、一般の殺人や強盗のような事件と同じように、「犯罪がある限り、それを処罰するのは当たり前だ。検察は何をやってもいい」という考え方で、全面的に検察のアクションが容認されてしまうという、そこに最大の問題があります。
●政治資金規正法は何のためにあるのか?
先ほど魚住さんが言われたように、西松建設事件までは1億円以上の裏献金事件、献金自体が隠されたような事件が、政治家の政治資金規制法違反による摘発の対象にされていた。ところが西松建設事件では、それよりもまったくレベルの低い、悪質重大とは到底思えないようなことを摘発の対象にしました。しかも、それが政治的に非常に大きな影響を生じさせました。
陸山会の事件で最終的に検察が起訴した事実というのは、先ほど魚住さんが言った、不動産の取得時期のズレの問題、それとその不動産の取得の際に小沢氏が一時的に立て替えたお金の流れが収支報告書に記載されていなかったという、極めて形式的な問題でしかありません。
政治資金規正法というのは、政治の世界のルールを定める法律です。それが「どのような趣旨・目的で定められているのか」ということを明確にし、「どのようなことを国民に対して開示することが求めているのか」ということをしっかり理解すれば、「どのような行為が悪質重大であるか」「どのような行為が軽微なものか」ということの判断は可能なはずです。
このように日本の社会、そして国民が政治や経済、社会に関する重要な価値判断の部分まで“検察の正義”というところに全面的に委ねてしまっている。魚住さんが先ほど言われたように、これが日本の社会に危機的な状況が発生している根本的な原因になっています。
まず今、必要なことは日本人全体がこの検察の正義というマインドコントロールから脱することです。人が集まってできている組織なので、そこでは必ず間違いが起きる可能性があります。そして、とりわけ検察の場合は、一度判断したことを後で訂正することが難しいわけです。大きな影響を生じさせてしまうと、「それが間違いだった」ということを後で言いにくい。その分、一度犯した間違いがもっと大きな間違いになってしまう可能性があります。そういう検察の間違いが社会にとって致命的な間違いにならないように、検察にも一定の説明責任、そしてその判断の根拠に関する資料の開示責任というものを常にきちんと負わせていく必要があります。
ところが先ほど言いましたように、日本の刑事司法というのは、殺人や強盗のような価値判断不要な伝統的な犯罪を前提に作られています。検察官にはほとんどと言っていいほど、説明責任も、そして資料については透明性も求められていないわけです。
そういう検察に対しては、マスメディアと政治とが権力バランスをうまく保っていくことが不可欠だと私は思います。ところが先ほど魚住さんが言われたように、日本のマスメディアは基本的に検察と一心同体の関係であり、検察に対する批判的な報道や検察のアクションを疑うということをまったくしません。「それはなぜか」というと、検察が“いい”事件をやることが基本的にマスメディアにとって利益になることだからです。利益共同体のような存在です。
そして、日本では歴史的に、「政治は検察の正義に対して介入してはならない」とされてきました。「検察が判断する通りに事件をやることが正義であり、それに政治的に介入すること自体が悪だ」という風にされてきました。ですから、政治は検察に対するチェック機能をほとんど果たしてきませんでした。
自民党中心の政権がずっと続いていた時代には、そのこと自体はあまり問題ありませんでした。なぜかというと、検察も政治的に大きな影響を及ぼさないように自制的に権限行使をしてきたからです。しかし現在の日本は、国民の主体的な選択によって政権が選択され、それがまだ不安定な状況です。こういう状況において検察は、「検察の権限が政治的に不当な影響を及ぼすことについての危機感というものを、もっと強く持つ必要があるのではないか」と思います。
●検察とメディアが一心同体となる理由
会見後に行われた質疑応答では、検察と政治の関係や検察とマスメディアの関係などについての質問が投げかけられた。
――小沢氏に対する捜査はまだ続けられると思いますか?
郷原 「まだやりたい」という意欲は検察に残っていると思います。しかし、さすがに小沢関連事件の摘発を2回試みて、両方とも大失敗に終わって、3回も試みるということは検察の常識としては考えられません。そこまでいくと、もう常識を超えた異次元の世界になってしまう。ちょっと私は想像したくありません。
――検察が政治に与える影響についてどのように考えていますか?
郷原 私が最近思うのは、民主党政権側が検察に対して非常に萎縮しているような感じを受けます。官邸サイドもそうですし、党サイドもそうなんです。ここまで検察のアクションがでたらめで、しかも大きな政治的影響が生じているわけですから、「どこが間違っているのか」ということを堂々と言って、検察を批判してもいいはずなのですが、それがまったくできない。
それは1つには、マスメディアが戦前の統帥権干犯※のように、検察に対する介入を徹底的に批判するということが原因だと思います。もう1つは、ここまで検察によるアクションのレベルが落ちてくると、みんな胸に手を当てて考えてみると、「自分もやられるかもしれない」と思い始めます。それがベースになって、「検察が怖い」と思う原因になっているのではないでしょうか。これはある意味で恐ろしい現象じゃないかと思います。
※統帥権干犯……1930年にロンドン海軍軍縮条約に調印した浜口雄幸内閣に対して、「統帥権の独立を犯すもの」として野党や軍部などが反発した事件のこと。以後、政府が軍部に介入しにくくなり、政党政治が弱まるきっかけとなった。
――報道にたずさわる人間と検察とがクローズドな形でコミュニケーションをとっていることについてどう考えますか?
魚住 記者クラブについて申し上げます。記者クラブ自体が特殊なのですが、検察庁を担当している司法記者クラブというのはさらに特殊な記者クラブです。どこが特殊かというと、検察庁という行政機関の方が記者クラブより圧倒的に力を持っていて、検察庁の気に入らないことをしたら出入り禁止になるという規則があります。それから、テレビカメラが入れません。司法記者クラブの力が検察庁より圧倒的に弱いがために、そういう特殊な慣行がいまだに続けられている。
なぜ圧倒的に弱いかというと、検察庁がものすごく貴重な情報を持っているからです。「自分の会社だけでもその情報をもらいたい」という気持ちがあって、1つにまとまれないんですね。これは逆に言うと「検察庁の分割統治が成功している」ということです。
郷原 本当の問題は今、司法記者クラブに所属している記者の問題ではないと思うんですね。むしろ、司法記者クラブ出身のもっと上の遊軍と言われる人たちにあると思います。そういう人たちは検察幹部や法務省幹部と個人的なつながりを持っていて、むしろそういったところが(司法記者クラブ所属の記者より)貴重な情報をつかんできます。
その人脈は彼らにとって財産です。「自分が貴重なつながりを持っている相手が常に正義であって、正しい」という前提が維持されると、その情報源が生きてくるわけですね。ですから、もしその前提が崩れてしまうと、長年にわたって築き上げてきた記者としての財産が失われてしまいます。そのため、検察と司法記者クラブ系メディアの一心同体的な関係ができあがる、というところに最大の問題があると思っています。
――先ほど魚住さんは10年前くらいから検察の劣化・暴走が目立つようになったとお話しされましたが、その具体的な例を教えてください。
魚住 いちいち挙げていったらキリがないのですが、例えば1997年前後に行われた不良債権の処理に絡む捜査ですね。最終的に最高裁で無罪になった、日本長期信用銀行の特別背任事件が特徴的です。要するに長銀の経営破たんの責任者を処罰することが時効でできなかったので、経営破たんの後始末に入った人を逮捕して、スケープゴートとして国民の前に差し出したというような事件でした。
郷原 2009年9月に出した『検察の正義』という本の中で詳しく書いていますが、私は2000年前後以降、特捜検察がやった事件でまともな事件は1つもないと思います。やればやるほど、どんどんやることのレベルが落ちている。それが実情だと思います。
普通なら、企業であればいいものを作らなければどんどん売れなくなる、どんどん組織が衰退していくんですね。ところが検察の場合は、その商品が消費者に評価されるのではなくて、ほとんどマスメディアを通じてしか評価されません。そのため、悪質性や重大性という面ではレベルの低いものしか摘発できないわけですが、それをマスメディアが評価してしまう。評価されると、「この程度でもいい」という話になって、やることがもっと落ちていく。それが能力低下を招いていった1つの負のスパイラルなのかなと考えています。
――日本には検察の捜査に対して、民主的な手段で介入できるようなシステムはありますか?
郷原 日本の法律では検察庁法14条で法務大臣の指揮権として、そのことに関する規定があります。これは検察の権限行使に対する唯一の民主的コントロールを定めた規定です。
ですから、今、考えるべきことは「法務大臣の指揮権をいかに適切に行使するシステムを作るか」ということです。検察の権限行使を政治的に利用するような方向で、法務大臣の指揮権を不当に使うというようなことは確かに問題です。しかし、「検察の権限行使が本当に正しいのかどうか」ということを専門的な見地、第3者的な見地からチェックできるようなシステムを作ることが今、日本にとって非常に重要なのではないかと思います。
===============
◆ロッキード事件以来のでっち上げ/西松建設事件 当時の官房副長官は「疑惑は自民党には及ばない」と断言2011-09-28
小沢排除は三権協調して行われた/【陸山会事件】検察リーク 「裁判所が不採用にした調書の内容まで報道された」
◆小沢一郎を落ち目と見切った登石裁判長/財務省首領 勝栄二郎が、内閣に「大増税」へと舵を切らせている2011-09-30 | 政治/検察/メディア/小沢一郎
マスメディアがなぜか「増税」に反対できない事情と弱み J-CASTニュース2011/9/29 17:00
◆財務省の天皇 勝栄二郎事務次官と香川俊介官房長には逆らえない/野田政権は直勝内閣/メディア工作部隊2011-10-02 | 政治/検察/メディア/小沢一郎
==========
◆特捜検察と小沢一郎/誰が日本国家を支配するか/拡大する検察権力2010-07-02
【佐藤優の眼光紙背】第63回 特捜検察と小沢一郎
提供:眼光紙背 2009年11月24日11時00分
特捜検察と小沢一郎民主党幹事長の間で、面白いゲームが展開されている。テーマは、「誰が日本国家を支配するか」ということだ。
特捜検察は、資格試験(国家公務員試験、司法試験)などの資格試験に合格した官僚が国家を支配すべきと考えている。明治憲法下の「天皇の官吏」という発想の延長線上の権力観を検察官僚は(恐らく無自覚的に)もっている。
これに対して、小沢氏は、国民の選挙によって選ばれた政治家が国家を支配すべきと考えている。その意味で、小沢氏は、現行憲法の民主主義をより徹底することを考えている。民主主義は最終的に数の多い者の意思が採択される。そうなると8月30日の衆議院議員選挙(総選挙)で圧勝した民主党に権力の実体があるいうことになる。
特捜検察は「きれいな社会」をつくることが自らの使命と考えている。特捜検察から見るならば、元公設第一秘書が政治資金規正法違反容疑で逮捕、起訴されている小沢氏に権力が集中することが、職業的良心として許せない。国家の主人は官僚だと考える検察官僚にとって、民主主義的手続きによって選ばれた政治家であっても、官僚が定めたゲームのルールに反する者はすべて権力の簒奪者である。簒奪者から、権力を取り返すことは正義の闘いだ。こういう発想は昔からある。1936年に二・二六事件を起こした陸軍青年将校たちも、財閥、政党政治家たちが簒奪している権力を取り戻そうと、真面目に考え、命がけで行動した。筆者は、特捜検察を21世紀の青年将校と見ている。検察官僚は、主観的には実に真面目に日本の将来を考えている(そこに少しだけ、出世への野心が含まれている)。
筆者の見立てでは、現在、検察は2つの突破口を考えている。一つは鳩山由紀夫総理の「故人献金」問題だ。もう一つは、小沢氏に関する事件だ。小沢氏に関する事件は、是非とも「サンズイ」(贈収賄などの汚職事件)を考えているのだと思う。
ここに大きな川がある。疑惑情報を流すことで、世論を刺激し、川の水量が上がってくる。いずれ、両岸のどちらかの堤が決壊する。堤が決壊した側の村は洪水で全滅する。現在、「鳩山堤」と「小沢堤」がある。「故人献金」問題で、「鳩山堤」が決壊するかと思ったが、思ったよりも頑強で壊れない。そこで、今度は「小沢堤」の決壊を狙う。そこで、石川知裕衆議院議員(民主党、北海道11区)絡みの疑惑報道が最近たくさん出ているのだと思う。石川氏は、小沢氏の秘書をつとめていた。8月の総選挙では、自民党の中川昭一元財務省(故人)を破って当選した民主党の星である。この人物を叩き潰すことができれば、民主党に与える打撃も大きい。
司法記者は、「検察が『石川は階段だ』と言っています」と筆者に伝えてくる。要するに石川氏という階段を通じて、小沢幹事長にからむ事件をつくっていくという思惑なのだろう。これは筆者にとってとても懐かしいメロディだ。もう7年半前のことだが、2002年6月に鈴木宗男衆議院議員が逮捕される過程において、「外務省のラスプーチン」こと筆者が「階段」として位置づけられていたからだ。
マルクスは、「歴史は繰り返される。一度目は悲劇として。二度目は喜劇として」(『ルイ・ボナパルトの18日』)と述べている。当面は、石川知裕氏を巡る状況が、今後も政局の流れを決めるポイントになると思う。(009年11月23日脱稿)
◆『小沢革命政権で日本を救え』このまま「霞が関」が勝利すると、日本はファシズム国家になる
◆特集「死刑100年と裁判員制度」
拡大する検察権力
岩井 安田さん、今の件についてはどうですか。
安田 お聞きして、なるほどなとすごく納得していたんですけど、戦後の歴史を見ると、ロッキード事件、そしてこれに続く金丸事件で、政府あるいは国会が検察に全く刃向かうことができなくなってしまった。その結果、日本の国家権力で一番強いのが検察になってしまったと思います。そして、その内実は、徹底した保守主義なんですね。
僕なんかは、検察官に将来なっていく人たちと司法研修所で一緒だったわけですけど、そういう人たちの多くは政治的なんですね。検察官という職業に対して、政治的な意味づけをしている。腐敗した政治や行きすぎた経済を正さなければならない。それができるのは自分たちだけだという感覚を持っている人がわりあい多くて、もっと言ってしまえば、実に小児的であったんです。
たとえば、ある特捜部長は、就任の際、検察は額に汗をかく人たちのために働かなければならないという趣旨の発言をするんですね。青年将校なのか、風紀委員なのか、実に幼いんです。
こういう青年将校的な発想しか持ち合わせない寄せ集めが、今の検察の実態ではないかと思うんです。
しかもそれがすごく大きな権力を持っているものですから、これは警察と一体となって行っているのですが、対処療法的に次々と治安立法を作り上げていく、たとえばオウム以降、破防法がだめだったら即、団体規制法を作る。あるいはサリン防止法を作る。あるいはその後に少年法を変えていく、内閣に犯罪防止閣僚会議というようなものを作って、刑罰を1、5倍に重刑化して、刑法全体の底上げをやるわけですね。
彼らは、社会の実態をほとんど知らない、犯罪の原因も知らない、あるいは相対的な価値観や複眼的な視点もない、というのが正しいんでしょうけど、どんどん風紀委員的に対応するんですね。
朝霞公務員宿舎・原発発言・・・財務官僚の言いなり。信念も哲学もない、無節操な野田総理
こういう男は絶対信用できない 野田首相の性根は薄汚れている
日刊ゲンダイ2011年10月3日
<一事が万事、朝霞公務員宿舎建設問題の二転三転が暴露した余りに卑しい打算の生き方>
就任から1カ月、平身低頭・ドジョウ首相のバケの皮が、どんどんはがれている。民主党内部からも批判が高まっている「朝霞・国家公務員宿舎」(埼玉県朝霞市)の建設問題で、突然、建設計画の見直し、凍結を示唆する発言をブチ上げたのだ。
建設費105億円の朝霞公務員宿舎は、政権交代後、事業仕分けで「必要性に問題がある」として凍結されたもの。ところが昨年12月、財務相だった野田が「必要」として凍結を解除し、首相就任直前の9月1日に着工された。
この問題を先月26日の衆院予算委員会で追及された野田は、「全体的な宿舎事情を含めて判断した。変更するつもりはない」と強弁してみせた。
ところが、その舌の根も乾かぬうちに、態度を一変させたのである。
「先月30日、官邸で行った記者会見でこの問題に触れ、『真摯に批判を受け止め、近々、現場に行き考えをまとめ、最終的な判断をしたい』と言い出したのです。自民党などや党の反対に加え、党内の政策調査会などの会合でも反対論が相次いだため、世論対策上も、これはマズイと判断したのでしょう」(政界関係者)
3日現地を視察した首相は「自分の中の腹を固めたつもりなので、戻ったら安住財務相に指示したい」と、「建設凍結」の方針を明らかにした。「公務員優遇」批判の高まりの前に、国会での答弁をあっさり覆す。建設を強行すれば世論の袋叩きにあい、与野党協議にも響く。「凍結」すれば、逆に国民受けし、支持率も上がると踏んだのだろう。これが一国のリーダーの取る行動か。この男には誇りも信念も品格もない。実にさもしい根性の持ち主だ。
「野田の変節は朝霞の公務員宿舎の一件だけではない。原発もそうです。所信表明演説で『中長期的には、原発への依存度を限りなく引き下げていく、という方向性を目指すべき』と明言しました。それなのに、国連演説ではその点に触れず、逆に『原発の安全性を世界最高水準に高めていく』とアピールした。会議の大勢が原発容認だったことから、引き下げを口にできなかった。国内と海外で言葉を使い分けているのです」(前出の関係者)
一事が万事、この調子なのである。己の保身と打算を最優先し、場当たりで言うことやることに一貫性がない。とてもじゃないが、こんな男は信用できない。政治評論家の本澤二郎氏が言う。
「財務官僚の言いなりでやってきた野田さんには、政治家としての信念も哲学もない。無節操なのです。それが朝霞問題や原発発言で露呈しました。今後、党内でも反対論が強いTPP問題でも同じようなパターンになるのではないか。こんなリーダーでは、国内はもちろん、国際社会からも信用されない。一国の総理としての適格性が問われますね」
はっきり言って総理失格である。
「内閣の先頭に立ち、(略)正心誠意、行動します」――。野田の所信表明がうつろに響く。
=======================
◆事業仕分けで凍結が決まった公務員宿舎建設 野田首相「現地視察し、私が判断したい」2011-09-30 | 政治
◆財務省の天皇 勝栄二郎事務次官と香川俊介官房長には逆らえない/野田政権は直勝内閣/メディア工作部隊2011-10-02 | 政治
財務官僚たちの影響下にあるのは民主党政権だけではない。彼らは政・官・司・財・報に幅広く支配の手を伸ばしている
◆「増税」「宿舎建設」官僚のやりたい放題を許していいのか/勝栄二郎は小沢一郎を抑えつけ、好き放題やった2011-09-29 | 政治
◆小沢一郎を落ち目と見切った登石裁判長/財務省首領 勝栄二郎が、内閣に「大増税」へと舵を切らせている2011-09-30 | 政治/検察/メディア/小沢一郎
この国が恐ろしいのは、総ての権力が同じ方向を向いて走り、正義より自分たちの足元ばかり気にしている点だ
小沢「抹殺裁判」わが国はいつからこんなに恐ろしい国になったんだ
【これでいいのか暗黒ニッポン】秘書3人の「とんでもない有罪判決」に誰もが口をつぐんだ
ならば、小沢一郎を贈収賄で逮捕したらどうか。秘書3人に対する東京地裁判断によれば、小沢はゼネコン談合の元締めで、見返りに1億円の闇献金を受け取った重罪人だ。しかし、判事も検察も、「アイツは大悪人」と吠え立てる新聞・テレビや野党でさえも、そうはいわない。「法と証拠」に基づく公正な裁判だと誰も信じていないからだ。目的は「小沢の政界退場」のみ。日本は恐ろしい国になった。
*裁判長は「検事の身内」
小沢一郎・民主党元代表の元秘書3人の判決内容は1週間も前から司法記者クラブにリークされていた。
「全員有罪で禁固刑が出される。判決文は相当長いものになる」
という内容で、もちろん政界にも広く伝えられていた。日本の司法が、いかに政治勢力、行政権力、報道権力と癒着し、最初から出来レースで進められているかを示す“証拠”だ。
情報通り、9月29日、登石郁郎裁判長は3時間以上にわたって判決文を読み上げ、石川知裕被告以下3人全員に執行猶予付きの禁固刑を下した(3人はただちに控訴)。
「異例の法廷」だった。検察が提出した証拠のうち、石川被告らの調書11通を「不正な取り調べが行われた」と認定して不採用にしており、一時は「無罪判決確実」とみられた。なにしろ、もともと物証のほとんどない裁判で、検察の頼りは、脅しや不正によって作り上げた調書ばかりだったのだから当然である。村木事件で証拠のFDをを改竄して冤罪事件を起した前田恒彦元検事が取り調べを担当し、石川知裕は別の検事が不正な取り調べを行った模様を録音していた。
この奇怪な判決文を書いた裁判長の経歴に、ヒントがあるかもしれない。
登石裁判長は93年から3年間、法務省刑事局付検事として勤務した経験を持つ。裁判所と法務・検察の人事交流(判検交流)は毎年、数十人規模で行われており、かねてから「99・9%有罪」という日本の「検察負け知らず裁判」の温床だと批判されてきた。
そうした声も意識したのだろう。裁判官が法務省に出向する場合、ほとんどが民事局で、刑事局は少ない。法廷で顔を合わす検事と隣の席で仕事をするのは、いかにも癒着に見える。が、登石氏はその数少ない1人だった。その“貴重な人材”が検察の威信をかけた裁判うを担当し、現場の検事からは「これで勝った」と喝采が出たのは偶然なのか。
結果を見て思えば、登石裁判長は最初から判決を決めていたのではないか。だからこそ証拠不採用で「検察に対しても厳しい姿勢」を演出し、癒着との批判をかわそうと考えたなら筋は通る。
判決のおかしさは、「小沢は大悪人」と呼ぶマスコミや野党、そして検察にもよくわかっている。だから、はっきりと「談合の見返りに裏献金を受け取った」と認定されているのもかかわらず、これを「贈収賄事件」という者が出てこない。
新聞の論調も判決直後は威勢がよかったが、その後は「野党が証人喚問を要求」などと、ずいぶん及び腰である。
「さすがに判決文を読んで、社内やクラブ内でも、これはヤバイんじゃないかという声が多かった。報道も慎重にしている」
民法司法クラブ記者は声を潜めて語る。そう思うなら、「慎重に小沢批判」ではなく、堂々と裁判所批判」をすればいいが、そんな度胸はどこにもない。
*「同じ罪状」は枚挙に暇なし
裁判とは、「法と証拠」に基づいて進められるべきものだ。それをしないのは独裁政権か、民主主義以前の社会である。日本はどちらだったのだろうか。
「法」の観点から、専門家は判決に強い疑義を提起している。
小林節慶応大学法学部教授(憲法)は刑事裁判の原則に反すると指摘する。
「判決は憲法31条に基づく『推定無罪』の原則をないがしろにしている。今回は逆に、『疑わしい』ことを理由に有罪判決が出ている」
判決文には「推認される」「〜と見るのが自然」など、裁判官の心証だけで重要な争点が事実と認定されている箇所が非常に多い。
落合洋司弁護士は、その推定のずさんさに、元検察官らしい視点で大きな危険を見出す。
「裁判官が石川、池田両被告の調書11通を不採用にしたことで、3被告の共謀を示す証拠と証言が何もなくなった。ところが、判決は『会計責任者だから知っていたはず』『強い関心を持っていたはず』といった程度の推論を重ねて共謀を認定している。『合理的で疑い得ない立証』は不十分です。こういった手法が採用されれば、冤罪が生み出される危険が懸念されます」
次々と発覚する冤罪事件の共通する原因は、検察の「自白調書主義」と裁判官の「検察絶対ドグマ」だった。それが全く改められなかったのだから、検察関係者たちが「画期的判決」と膝を打ったのも道理だ。
法律論でいうなら、もうひとつ完全に無視されたのが「法の下の平等」だ。
公判では、陸山会の土地購入が正しく報告されていたかという容疑(これ自体が形式犯罪でしかないが)とともに、西松建設からのダミー献金事件も併せて審理された。
ここでも検察側の立証は完全に腰砕けになり、検察自身が証人に立てた西松建設元部長が、「政治団体はダミーではなく実体があった」と証言した。ところが判決は、「政治団体としての実体はなかった」とし、違法献金だったと認定した。
では百歩譲ってそれが正しいとしよう。
問題の西松建設の政治団体からは、小沢氏以外にも自民党の森喜朗・元首相、二階俊博・元経済産業相、尾身幸次・元財務相、民主党の山岡賢次・国家公安委員長、国民新党の自見庄三郎・金融相をはじめ多くの政治家が献金やパーティ券購入を受けている。当然、彼らも小沢氏と並んで違法献金を立件されなければならないはずだ。
ところが検察は、森氏や尾身氏ら自民党実力者には捜査さえ行なわず、二階氏については会計責任者を事情聴取しただけで不起訴にした。
それに、このケースのような企業や業界が作る政治団体は、どこも同じような運営をしている。これがダミーというなら、恐らく政治家の9割以上が違法献金を受けていることになる。
また、陸山会(小沢氏の政治資金管理団体)が違法だと断じられた政治団体による不動産取得についても、町村信孝・元官房長官は政治資金で不動産を購入し、堂々と政治資金収支報告書に記載していた。しかも町村氏の場合、買った不動産は後に自宅として格安で買い取ったのである。さらに、みんなの党の江田憲司・幹事長はじめ、素知らぬ顔で小沢批判を繰り返す政治家のなかに、20人以上の「不動産購入者」がいる。
今回、大問題のように論じられている収支報告書への「期ずれ記載」や「不記載」に至っては、まさに枚挙に暇がない。2011年の政治資金収支報告書の修正は現在までに約500件にも達している。すべて会計責任者を禁固刑にすべきだ。
そもそも、小沢氏が問われた個人的な運転資金の貸付など、どの政治家も報告書に記載していない。小沢氏だけが正直に書き、それが「書き方が違う」と断罪されているのである。
*「4億円の原資」真相証言
「証拠」の面では、判決はもっとデタラメだ。
登石裁判長は、水谷建設から小沢氏側への1億円闇献金を認定した。
ダム建設工事に参入するため、当時の社長が04年10月5日、石川被告にホテルの喫茶店で5000万円を渡し、さらに05年4月19日に、大久保被告に5000万円を渡したという。
そう推定された根拠は、当時の社長が「渡した」と証言したことと、当日の喫茶店の領収書があっただけ。一方で、元社長の運転手の業務日誌にはホテルに行った記録はなく、社長から報告を受けていた同社の元会長も、「会社から裏金が出たことは事実だが、渡されたとは確認していない」と証言し、元社長による横領の疑いを強く匂わせた。
例によって裁判長は、元社長の証言と領収書を「信用できる」、受け取りを否定する被告らの証言は「信用できない」として、あっさり裏金を認定した。
よく考えてもらいたい。表ざたにできない違法な献金を、社長が1人で紙袋に入れて持っていき、政治家本人もいない、しかも衆人環視の喫茶店で、秘書に「はい、どうぞ」と渡すことなど考えられるだろうか。
「裏献金を渡す場合、渡すほうも受け取るほうも、カネが行方不明になることを1番恐れる。あとから、“そんなカネは知らん”となっても誰も真相解明できないからだ。だから受け渡しの際には双方とも複数の幹部が同席して秘密を共有し、相互監視する。密室でやることはいうまでもない」
自民党のベテラン秘書はそう解説する。この通りの場面がバレた珍しいケースが、自民党を揺るがした日歯連事件だった。
ところで、そもそも検察は、土地購入に充てられたとされる「4億円」の原資に闇献金が含まれていたかどうか立証していない。それなのに地裁が無理に闇献金を認定した理由は、この4億円を「原資を明確に説明することが困難」(判決文)としないと、なぜ収支報告書に記載しなければならないか、という動機が説明できなくなるからだ。
それにしても、不記載とされたのは「4億円」を借り直したり、返済したりした1部のやり取りだけで、現に報告書には「小澤一郎借入金 4億円」と記載されている。検察や裁判所の見解によれば、小沢氏の事務所では、表に出せないカネを報告書に堂々と記載するのだという。どう繕っても無理筋の解釈なのだ。
本誌は検察もマスコミも明らかにできなかった4億円の原資について、10年2月12日号で明らかにした。小沢氏の父・佐重喜氏の代から取引していた旧安田信託銀行(現・みずほ信託銀行)神田支店の当時の担当者への直接取材に成功し、小沢氏が父から相続した個人資金を「ビッグ」という貸付信託で運用し、解約時には元利合わせて少なくとも3億6000万円の払い戻しを受けていたという証言を得た。しかも、当時の貸付信託では利息分の記録が残らず、検察が「4億円の原資が足りない」と考えたのは、利息を見落としていたからだろう、というプロならではの指摘もあった。
*小沢の罪状は国家反逆罪か
今回の事件が小沢事務所ぐるみの贈収賄であるなら、ただちに小沢氏本人を含めて容疑者を逮捕すべきだ。それこそが政治浄化につながる。が、第1章でも触れたように、新聞・テレビもこれが本当に贈収賄だとは思っていない。「ゼネコン裏金 認定」(朝日)などと報じながら、なぜか政治資金規正法違反より重大な公共事業をめぐる贈収賄事件を独自に検証しようとしないのがその証拠だ。
わかりやすいのがTBSである。同局は検察が小沢氏への事情聴取に乗り出した昨年1月、「ウラ金献金疑惑、居合わせた人物が核心証言」と銘打って、水谷建設元社長が石川被告に5000万円を手渡した場に同席したという人物の証言を“スクープ”した。ところがその後、この証言は2度と放映されていない。以前、本誌が「放映しないのか」と問い質した際も、「何ともいえない」と尻込みした。つまり、ガセネタだという自覚があるのだろう。
今回、思いがけず裁判所がそれを追認してくれたのだから、今こそTBSは封印した“スクープ”をまた出せばいい。今度はお墨付きがあるのだから、「これが真相だ」と押し切れるかもしれない。が、そうはしようとしない。
ここに、この事件の最もどす黒い裏がある。
つまり、マスコミ、政界、そしていまやそれらを完全に掌握してコントロールする霞が関の巨大権力の目的は、政治浄化でもなければ犯罪の立件でもない。「小沢の政界退場」さえ実現できれば、あとはどうでもいいのである。
新聞や野党の言葉をよく見ればわかる。「小沢は議員辞職せよ」とはいっても、「贈収賄で逮捕せよ」とは決して言わない。小沢氏が、それら既存権力に20年にわたって嫌われ続けてきた経緯と理由は、ここで述べる紙数はない。が、小沢氏を支持する国民も、そうでない国民も、同氏がマスコミ、既存政党、官僚から恐れられ、嫌われていることは否定しないだろう。
かのロッキード事件での「コーチャン証言」をご記憶だろうか。検察は、田中角栄元首相に賄賂を渡したとされたロッキード社元会長のコーチャン氏に、免責と引き替えに調書を取る「嘱託尋問調書」という超法規的手段を用い、田中氏を有罪に導いた。さすがに最高裁は同調書には証拠能力がないとしたが、田中氏は公判の長期化で復権の機会がないまま死去し、公訴棄却された。
一方、後に発覚したグラマン事件では、米国証券取引委員会が岸信介元首相、福田赳夫元首相らに賄賂が渡されたことを告発したが、日本の検察は政界捜査を断念した。
官僚出身で親米派だった岸、福田氏らは当時の「国家権力」にとって重要な人物であり、一方で「叩き上げ」「列島改造」の田中氏は時のエスタブリッシュメントにとっては目障りで、アメリカからも脅威とみられて警戒されていた。
裁判は「法と証拠」に基づくものだとすでに述べたが、その根拠にあるべき最も重要なものは「正義」である。国家権力が法を曲げて個人に牙をむくことは、あってはならないが起こりうることだ。しかし、先進国家では誰かが「正義」を奉じてそれを暴き、止めようとするものである。
この国が恐ろしいのは、すべての権力が同じ方向を向いて走り、正義より自分たちの足元ばかり気にしている点だ。これは一政治家に対する好悪、一事件の真偽を超えた問題である。
恐らく、このような裁判がまかり通り、誰も「おかしい」と口を開かなくなれば、小沢氏自身も「有罪確定」とみて間違いない。その罪状は何だろう。「国家反逆罪」だといわれればわかりやすいが、そんな気の利いた言葉は、荒涼とした今の権力からは出てこない。
その法廷で裁かれるのは、この国の「正義」なのかもしれない。
※週刊ポスト2011年10月14日号
===============================
◆ロッキード事件に酷似 陸山会事件公判 (川村尚)証人が具体的に述べれば述べるほど低下するリアリティ2011-04-28
〈来栖の独白2011/04/28〉
陸山会事件の公判。水谷建設前社長・川村尚氏の供述に耳を傾けるほどに、ロッキード事件が重なってしまう。
現金受け渡しの場面などは、まったく酷似している。陸山会事件のそれは全日空ホテル(現ANAインターコンチネンタルホテル)であり、ロッキード事件はホテルオークラであった。「陸山会」は水谷建設前社長川村氏が渡し、「ロッキード」は丸紅の伊藤宏専務が渡した(という)。陸山会は「5000万円を宅急便の袋に入れて折りたたみ、それをひと回り大きい紙袋」に入れ「床をスライドさせるような形で渡し」、ロッキードは「1億2500万円入りの段ボール箱」。どちらも証人がことさら具体的に述べれば述べるほど、意図に反してリアリティは低下し、胡散臭さが漂ってしまう。これで、弁護側証人水谷建設元会長水谷功氏なんかが出てきた日には、この法廷はどうなるんだろう♪
ロッキード事件で成功した検察。裁判所まで同じでは困る。
....
『検察を支配する「悪魔」』田原総一朗+田中森一(元特捜検事・弁護士)
第三章 絶対有罪が作られる場所
p80〜 ロッキード事件の金銭授受は不自然---田原
ここからは、ロッキード事件の話をしたい。
ロッキード事件で田中角栄は、トライスター機を日本が購入するにあたって、ロッキード社から4回にわたって、丸紅を通じて計5億円の賄賂を受けと取ったとして、1983年10月に受託収賄罪で懲役四年、追徴金5億円の判決を受けましたね。
この4回あったとされる現金の受け渡し場所からしても、常識から考えておかしい。1回目は1973年8月10日午後2時20分頃で、丸紅の伊藤宏専務が松岡克浩の運転する車に乗り、英国大使館裏の道路で、田中の秘書、榎本敏夫に1億円入りの段ボール箱を渡した。2回目は同年10月12日午後2時30分頃、自宅に近い公衆電話ボックス前で、榎本に1億5000万円入りの段ボール箱を。3回目は翌年の1月21日午後4時30分頃、1億2500万円入りの段ボール箱がホテルオークラの駐車場で、伊藤から榎本に渡された。そして、同年3月1日午前8時頃、伊藤の自宅を訪れた榎本が、1億2500万円が入った段ボール箱を受け取ったとされている。
最後の伊藤の自宅での受け渡しはともかく、他の3回は、誰が見ても大金の受け渡し場所としては不自然です。とくに3回目のホテルオークラは、検察のでっちあげ虚構としか思えない。
伊藤の運転手だった松岡にインタビューしたところ、検察によって3回も受け渡し場所を変更させられたと言う。もともと松岡は、受け渡しに対して記憶はまったくなかったのですが、検事から伊藤の調書を見せられ、そんなこともあったかもしれないと、曖昧なまま検察の指示に従った。
検事が、最初、3回目の授受の場所として指定してきたのは、ホテルオークラの正面玄関です。松岡は検事の命令に添って、正面玄関前に止まっている2台の車の図を描いた。
でも考えてみれば、こんなところで1億2500万円入りの段ボール箱の積み下ろしなどするわけがない。正面玄関には、制服を着たボーイもいれば、客の出入りも激しい。おまけに、車寄せに2台車を止めて段ボール箱を運び込んだら、嫌でも人の目につく。
検察も実際にホテルオークラに行ってみて、それに気が付いたんでしょう。体調を崩して大蔵病院に入院していた松岡の元に検察事務官が訪ねてきて、「ホテルオークラの玄関前には、右側と左側に駐車場がある。あなたが言っていた場所は左側だ」と訂正を求めた。
それでも、まだ不自然だと考えたのでしょう。しばらくしたら、また検察事務官がやってきて、今度は5階の正面玄関ではなく、1階の入り口の駐車場に変えさせられたと言います。
それだけならまだしも、おかしなことに、伊藤が描いた受け渡し場所も変更されていた。最初の検事調書では、伊藤も松岡とほぼ同じ絵を描いている。松岡の調書が5階の正面玄関から1階の宴会場前の駐車場に変更後、伊藤の検事調書も同様に変わっていた。
打ち合わせもまったくなく、両者が授受の場所を間違え、後で揃って同じ場所に訂正するなんてことが、あり得るわけがない。検事が強引に変えさせたと判断するしかありません。百歩譲って、そのような偶然が起りえたとしても、この日の受け渡し場所の状況を考えると、検事のでっち上げとしか考えられない。
この日、ホテルオークラの宴会場では、法務大臣や衆議院議長などを歴任した前尾繁三郎を激励する会が開かれていて、調書の授受の時刻には、数多くの政財界人、マスコミの人間がいたと思われる。顔見知りに会いかねない場所に、伊藤や田中の秘書、榎本が出かけていってカネをやり取りするのは、あまりにも不自然です。
しかも、この日の東京は記録的な大雪。調書が事実だとすれば、伊藤と田中の秘書が雪の降りしきる屋外駐車場で、30分以上立ち話をしていたことになる。しかし、誰の口からも、雪という言葉が一切出ていません。
万事がこんな調子で、榎本にインタビューしても、4回目の授受は検察がつくりあげたストーリーだと明言していました。
もっとも、丸紅から5億円受け取ったことに関して彼は否定しなかった。伊藤の自宅で、5億円を受け取ったと。それは、あくまでも丸紅からの政治献金、田中角栄が総理に就任した祝い金だと。だから、伊藤は、せいぜい罪に問われても、政治資金規正法だと踏んだ。そして、検察から責め立てられ、受けとったのは事実だから、場所はどこでも五十歩百歩と考えるようになり、検察のでたらめにも応じたのだと答えた。
つまり、検察は政治資金規正法ではなく、何があっても罪の重い受託収賄罪で田中角栄を起訴したかった。そのためにも、無理やりにでも授受の場所を仕立てる必要があったというわけでしょう。
p83〜 法務省に事前に送られる筋書き---田中
ロッキード事件のカネの受け渡し場所は、普通に考えておかしい。またそれを認めた裁判所も裁判所ですよ。ロッキード事件以来、ある意味、検察の正義はいびつになってしまった。
政界をバックにした大きな事件に発展しそうな場合、最初に、検察によってストーリーがつくられる。被疑者を調べずに周りだけ調べて、後は推測で筋を立てる。この時点では、ほとんど真実は把握できていないので、単なる推測に過ぎない。
でも、初めに組み立てた推測による筋書きが、検察の正義になってしまうのです。なぜ、そんなおかしなことになるかと言えば、政界や官界に波及する可能性がある事件の捜査については、法務省の刑事課長から刑事局長に、場合によっては、内閣の法務大臣にまであげて了解をもらわなければ着手できない決まりになっているからです。とくに特捜で扱う事件は、そのほとんどが国会の質問事項になるため、事前に法務省にその筋書きを送る。
いったん上にあげて、了承してもらったストーリー展開が狂ったら、どうなりますか?検察の組織自体が否定されますよ。事件を内偵していた特捜の検事がクビになるだけでなく、検察に対する国民の信頼もなくなる。
本当は長い目で見たら、途中で間違っていましたと認めるほうが国民の信頼につながる。それは理屈として特捜もわかっているけれど、検察という組織の保身のためには、ごり押しせざるを得ないのが現実です。
特捜の部長や上層部がなんぼ偉いといっても、一番事件の真相を知っているのは被疑者ですよ。その言い分をぜんぜん聞かず、ストーリーをどんどん組み立てる。確かに外部に秘密がまれたり、いろいろあるから、その方法が一番いいのかもしれないが、だったら途中で修正しなければいけない。
ところが、大きい事件はまず軌道修正しない。いや大きい事件になるほど修正できない。だから、特捜に捕まった人はみんな、後で検察のストーリー通りになり、冤罪をきせられたと不服を洩らす。僕を筆頭として、リクルート事件の江副浩正、KSD事件の村上正邦、鈴木宗男議員と連座した
外務省の佐藤優、村上ファンドの村上世彰(よしあき)、ライブドア事件の堀江貴文・・・全員、不満たらたらで検察のやり方を非難している。
これを特捜が謙虚に反省すればいいのですが、特捜はそんなことはまったく頭にない。「あのバカども、何を言っていやがるんだ」という驕りがあり、最初にストーリーありきの捜査法は一向に改善されません。
p85〜 尋問せずに事実関係に勝手に手を入れる---田中
とくに東京の特捜では、まずストーリーありきの捜査しかしない。被害者を加害者に仕立て上げてしまった平和相銀事件がいい例ですよ。
東京に来て驚いたのは、調書ひとつをとっても、上が介入する。調書作成段階で、副部長や主任の手が入ることも多く、筋書きと大幅に異なったり、筋書きを否定するような供述があると、ボツにされる。だから、検事たちも、尋問をするときから、検察の上層部が描いた筋書きに添う供述を、テクニックを弄して取っていく。
僕も手練手管を弄して自分の描いた筋書きに被疑者を誘導することはありましたよ。しかし、それは、あくまでも現場で捜査に携わっている人間だから許されることだと思う。捜査をしている現場の検事は、こりゃあ違うなと感じれば、軌道修正する。被疑者のナマの声を聞いて判断するので、自分の想定したストーリーが明らかに事実と違えば、それ以上はごり押しできない。人間、誰しも良心がありますから。
しかし東京では、尋問もしていない上役が事実関係に手を入れる。彼らは被疑者と接していないので容赦ない。被疑者が、これは検事の作文だよとよく非難しますが、故のないことではないと思った。恐ろしいと思いましたよ。冤罪をでっち上げることにもなりかねないので。
だから、僕は東京のやり方には従わなかった。大阪流で押し通した。上がなんぼ「俺の言う通りに直せ」といっても、「実際に尋問もしていない人の言うことなんか聞けるか」で、はねのけた。
p86〜 大物検事も認めた稚拙なつくりごと---田原
4回目の授受の場所を特定したのは誰か---ロッキード事件に関わった東京地検特捜部のある検事にこの質問をしたところ、彼は匿名を条件に「誰にも話したことはないが」と前置きして、次のように当時の心境を語っていた。
「ストーリーは検事が作ったのではなく、精神的にも肉体的にも追いつめられた被告の誰かが・・・カネを受け取ったことは自供するけれども・・・あとでお前はなぜ喋ったんだといわれたときのエクスキューズとして、日時と場所は嘘を言ったのじゃないか。
そして、それに検事が乗ってしまったのじゃないか、と思ったことはある。田中、榎本弁護団が、それで攻めてきたら危ないと、ものすごく怖かった」
この元検事の証言を、事件が発覚したときに渡米し、資料の入手やロッキード社のコーチャン、クラッターの嘱託尋問実現に奔走した堀田力元検事にぶつけると、「受け渡しはもともと不自然で子どもっぽいというか、素人っぽいというか。恐らく大金の授受などしたことがない人たちが考えたとしか思えない」と語っていました。
堀田さんは取り調べには直接タッチしていない。だからこそ言える、正直な感想なんでしょうけれど、どう考えても、あの受け渡し場所は稚拙なつくりごとだと認めていましたよ。
p88〜 検事は良心を捨てぬと出世せず---田中
検事なら誰だって田原さんが指摘したことは、わかっている。その通りですよ。田原さんがお書きになったロッキード事件やリクルート事件の不自然さは、担当検事だって捜査の段階から認識している。
ところが引くに引けない。引いたら検察庁を辞めなければいけなくなるから。だから、たとえ明白なでっち上げだと思われる“事実”についてマスコミが検察に質しても、それは違うと言う。検事ひとりひとりは事実とは異なるかもしれないと思っていても、検察という組織の一員としては、そう言わざるを得ないんですよね。上になればなるほど、本当のことは言えない。そういう意味では、法務省大臣官房長まで務めた堀田さんの発言は非常に重い。
特捜に来るまでは、検察の正義と検察官の正義の間にある矛盾に遭遇することは、ほとんどありません。地検の場合、扱うのは警察がつくっている事件だからです。警察の事件は、国の威信をかけてやる事件なんてまずない。いわゆる国策捜査は、みんな東京の特捜か大阪の特捜の担当です。
特捜に入って初めて検察の正義と検察官の正義は違うとひしひしと感じる。僕も東京地検特捜部に配属されて、特捜の怖さをつくづく知りました。
検察の正義はつくられた正義で、本当の正義ではない。リクルート事件然り、他の事件然り。検察は大義名分を立て、組織として押し通すだけです。
それは、ややもすれば、検察官の正義と相入れません。現場の検事は、最初は良心があるので事実を曲げてまで検察の筋書きに忠実であろうとする自分に良心の呵責を覚える。
しかし、波風を立てて検察の批判をする検事はほとんどいない。というのも、特捜に配属される検事はエリート。将来を嘱望されている。しかも、特捜にいるのは、2年、3年という短期間。その間辛抱すれば、次のポストに移って偉くなれる。
そこの切り替えですよ。良心を捨てて、我慢して出世するか。人としての正義に従い、人生を棒に振るか。たいていの検事は前者を選ぶ。2年、3年のことだから我慢できないことはないので。ただそれができないと僕のように嫌気がさして、辞めていくはめになるのです。
===============================
◆小沢一郎氏裁判 10月6日初公判 「辣腕」弁護人だが、法廷は「正義・良心・独立」の失われている所だから2011-10-01 | 政治/検察/メディア/小沢一郎
◆小沢一郎を落ち目と見切った登石裁判長/財務省首領 勝栄二郎が、内閣に「大増税」へと舵を切らせている2011-09-30
マスメディアがなぜか「増税」に反対できない事情と弱み
◆ロッキード事件以来のでっち上げ/西松建設事件 当時の官房副長官は「疑惑は自民党には及ばない」と断言2011-09-28
◆陸山会事件:午後判決/勝栄二郎 法務官僚と裁判官を使って小沢一郎を抑えつけ、財務省は好き放題やった2011-09-26
===============================
◆朝霞公務員宿舎・原発発言・・・財務官僚の言いなり。信念も哲学もない、無節操な野田総理2011-10-03 | 政治
◆野田首相「腹固めた」朝霞宿舎の建設凍結 批判受け方針転換
産経ニュース2011.10.3 11:26
野田佳彦首相は3日午前、埼玉県朝霞市の国家公務員宿舎の建設現場を視察した。すでに首相は建設凍結の方針を固めており、視察後、記者団に「腹は決めた。帰って安住淳財務相に指示する」と表明した。
朝霞宿舎は米軍基地跡地に13階建て2棟の計850戸を建設する計画で、建設費は105億円。平成21年11月の事業仕分けで建設は「凍結」とされたが、首相が財務相時代の昨年末に着工を指示し、9月1日から工事が始まっていた。
ところが、政府が東日本大震災に伴う復興増税で国民に負担を求める一方で、公務員宿舎の建設を続行することに批判が噴出。財務省は埼玉県内の公務員宿舎1千戸分を廃止、売却して朝霞宿舎に集約することで10億〜20億円程度を復興財源に回せると反論し、蓮舫行政刷新担当相らも建設を了解していたが、批判の高まりを受けて首相は方針転換を余儀なくされた形だ。
=========================
◆“検察の正義”に委ねていいのか? 検察を支配する「悪魔」2010-03-11 | 政治/検察/メディア/小沢一郎
◆検察を支配する「悪魔」 田原総一朗+田中森一(元特捜検事・弁護士)
東京地裁 登石郁郎裁判長/憲法原理を崩壊させた陸山会事件の判決
平野貞夫の「永田町漂流記」
「日本一新運動」の原点(75)─憲法原理を崩壊させた陸山会事件の判決
東京地裁の登石郁郎裁判長は9月26日(月)、小沢一郎氏の資金管理団体「陸山会」をめぐる政治資金規正法違反事件で、虚偽記載罪に問われた元秘書3人に対して、それぞれ有罪の判決を言い渡した。
問題は有罪とした理由である。検察が背景事情として説明した「水谷建設からの裏金1億円」について、証拠に基づく実証がまったくなく、状況証拠に推定に推定を重ねて、事実として認定したのである。
これは、憲法の原理を崩壊させる重大な問題であり、恐らくわが国裁判史上これほど司法権の機能を逸脱し、かつ破廉恥な判決は始めてであろう。さらに、劣化した検察の主張に上乗せするような論理で、政治に干渉した判決であり、司法ファッショの時代が全開となったことを証明するものである。これを許容するなら、議会民主政治をわが国で機能させることは末代まで不可能となる。以下にその論拠を述べたい。
(1)判決が、政治資金規正法違反で有罪とした根拠は「水谷建設からの裏金」を事実だと裁判官が認定したことである。検察はこの裏金を実証するため、巨額な経費と、検察の総力をあげて約二年もの年月をかけて徹底した捜査を行った結果、起訴できなかった問題である。図らずも検察は面目を保ったが、虚偽記載の背景説明として、水谷建設関係者を検察に有利になるよう追いつめ、裁判で証言させたのである。勿論、元秘書らは裏金を否定し、水谷建設の関係者の中にも、裏金の引き渡しを否定する証言をした人物もいる。こういった矛盾のある「裏金」を、実在のものと東京地裁が推定するというならともかく、個人的信条をもとに推定で「認定」するというなら、それを検察に実証させるべく、起訴のやり直しを命ずるべきである。虚偽記載でだけで有罪とすることに論理的限界があり、「裏金」を事実と認定することで有罪の判決を誘導したと思われる。言い替えれば、むりやりにでも「裏金」を認定しなければ有罪の判決ができなかったのである。
司法の生命は「法と証拠」によって判断することである。この判決はこれをまったく無視し、検察は疑いをもったが、起訴したくてもできなかった「裏金」を、東京地裁の裁判官が検察に代わって起訴したことと同じことになる。一億円もの裏金となれば、所得税法上の問題もある。さらに、政治がらみとなれば、公職にある者等の「斡旋利得処罰法」など、重罪の法令がある。
「法と証拠」論からいえば、3人の元秘書は無罪であるべきだ。虚偽記載罪に限定すれば違法性はない。裁判官が敢えて有罪にこだわるなら、当該事件の公訴を棄却して「裏金」の実証をすべく、検察に再捜査を命ずるのが健全な司法の在り方である。
(2)裁判所が、検察でさえ起訴できなかった問題を、根拠なしに状況説明だけで有罪にすることになれば、「疑わしきは罰せず」という憲法原理は崩壊する。今回の判決は「疑わしきは罰すべし」という判例となる。
となると、人類がこれまで営々と築き上げた基本的人権はどうなるだろうか。憲法第37条は「すべて刑事事件においては、被告人は、公平な裁判所の迅速な公開裁判を受ける権利を有する」と規定している。近代国家の普遍的原理を冒涜した裁判は公平とは言えない。また、憲法第31条の「何人も、法律の定める手続によらなければ、その生命若しくは自由を奪われ、又はその他の刑罰を科せられない」と規定する、罪刑法定主義に違反する可能性がある。
さらに重大な問題は、この判決すなわち実証性のない状況証拠だけを根拠にして、政治案件について有罪としたことである。恐らくわが国の裁判史上初めてのことと思われる。これは司法権が議会民主政治を支配することとなる由々しき問題である。証拠や実証のないことを、裁判官が推定を重ねて個人的価値観をもって認定し、検察が起訴しなくても有罪とすることになれば、健全な議会民主政治は成り立たない。
今回の場合、石川衆議院議員がその対象となったが、石川議員を選んだ有権者の国民主権はどうなるのか。また、代表制民主主義による石川議員の国会議員としての諸権利を奪うことになる、きわめて重大な問題のある判決である。
■「司法ファシズム」という暗黒国家
陸山会問題について、私が承知している経過を振り返ってみると、日本は「司法ファシズム」という暗黒国家になったといえる。
平成21年3月1日、私は千葉県知事選挙の関係で、当時の法務大臣・森英介氏に会った。同席していた堂本知事に森法相が話した内容が、今もって頭から消えない。「平成になって、日本の政治を混乱させ破壊したのは民主党代表の小沢一郎ですよ。悪い政治家で、それを手伝ったのが平野さんですよ」という趣旨の話。
小沢さんへの、明らかに悪意のある言い方に何かあるなと気になった。思えばこれが陸山会事件の始まりであった。2日後の3月3日、西松事件に絡めて大久保秘書の逮捕となった。一週間後、私は小沢代表に会い「政権交代を阻止するため、貴方は麻生自民党政権から狙われている。これは日本の民主主義のあり方の問題だ。議会民主政治を守るために国民運動を起こしたい」と進言した。
小沢代表は「僕はそんなに偉くないよ。法に反することは何もやっていない。特捜がどんな出方をするか様子をみよう」ということだった。大久保秘書逮捕は小沢代表の退陣で効果がうすくなり、次に狙われたのが、石井一副代表の「郵政不正事件」だった。村木厚子厚労省局長の逮捕、起訴がデッチあげということが判明し、特捜の廃止論まで出る始末で、検察の信用は失墜していった。
それでも民主党への政権交代は実現した。国家権力の守旧派が必死になったのは、「小沢改革の阻止」であった。「小沢排除」が民主党権力内でも行われ、特捜が目をつけたのが、水谷建設の裏金話を政治資金の虚偽記載と結びつけて犯罪をデッチあげることだった。検察は総力を挙げて小沢氏本人を起訴しようとしたが、犯罪事実を立証できるはずはなかった。次の策として、3人の元秘書の「法と証拠」を無視した起訴であった。
守旧派権力が「小沢排除」の最後の手段に使ったのが、検察審査会であった。市民団体に名を隠した問題集団が、守旧派権力と共謀して、違法な手続を重ねて小沢氏本人を強制起訴した。10月6日から公判が始まる。その直前に憲法原理を崩壊させる判決が行われたのである。
私は、7月末『小沢一郎完全無罪』(講談社α文庫)を刊行し、その文庫本まえがきで、「小沢問題に見る国家機能のメルトダウン」という文章を掲載した。その中で、わが国の政治的社会状況を「新しいファシズム」と定義しておいた。平成21年3月から始まった国家権力の「小沢排除」は、政権交代を阻止するため麻生自民党政権から仕掛けが始まっている。社会心理的暴力装置となった巨大メディアを活用して、政治権力と検察権力が推し進めたものである、という趣旨である。
その「新しいファシズム」に、司法権=裁判所は組み入れられていないと私は推測していたがこれが甘かった。東京地裁の陸山会事件判決は、裁判官が検察とは関係なく風評だけで有罪の判決ができる道を開くことを可能にした。「新しいファシズム」の正体は「司法ファシズム」ということが判明した。憲法原理を守るべき裁判所が暴力装置となって民主主義を崩壊させている。これは恐ろしいことである。(国会議員よ目を覚ませ!)
3人の元秘書への、憲法原理を崩壊させる破廉恥な判決にもかかわらず、野党は石川知裕議員に対して議員辞職勧告決議案を提出した。自民党の谷垣総裁、公明党の山口代表、社民党の福島党首は、それぞれ司法試験に合格した弁護士である。この人たちが、従来の政治家に対する判決と同じレベルで考えて、議員辞職勧告決議案を提出する不見識さに、生涯を国会とともに過ごした私には暗澹たる思いである。
彼らは、憲法原理をまったく知らないようだ。否、なまじ憲法原理を知ることで、司法試験に合格できないのが日本の法曹界の実態のようだ。判決を出した裁判官と同じレベルといえる。「司法ファシズム」に入り込み、それを推進しているのが国会であるとすれば、日本の国家統治はきわめて危険なところにあるといえる。
今回の判決を、議会民主政治の危機と感じない国会議員こそ辞職すべきである。明日は我が身と思うことができないなら、胸の議員バッジは返却すべきである。小沢氏の証人喚問論など、公判中の事案を調査できないという、国会の基本ルールを知らない愚か者としかいえない。
議会民主政治が「司法ファッショ」で叩きつぶされようとしていることに、敢然として立ち向かうのが国民の代表者たる者の責任ではないか。
劣化した検察や裁判所の尻馬に乗って、自分のことしか頭になく、党利党略に終始した政治が、昭和の初期に日本を最大の不幸に陥れた歴史を思い出してもらいたい。加えて、私たちの国が様々な危機に瀕している今こそ、国会議員の使命を果たすべきである。
=================================
◆この国が恐ろしいのは、総ての権力が同じ方向を向いて走り、正義より自分たちの足元ばかり気にしている点だ2011-10-03 | 政治/検察/メディア/小沢一郎
小沢「抹殺裁判」 『誰が小沢一郎を殺すのか?』
◆小沢一郎氏、元秘書3人の判決について「裁判官が推測で有罪。政権交代のスケープゴートにされた」2011-10-02 | 政治/検察/メディア/小沢一郎
◆陸山会事件:午後判決/勝栄二郎 法務官僚と裁判官を使って小沢一郎を抑えつけ、財務省は好き放題やった2011-09-26
◆特捜検察の預言/政治家あるいはエリート官僚のどちらが日本国家を支配するかの権力闘争2010-07-02
◆前原誠司外相辞任と『誰が小沢一郎を殺すのか?』〈カレル・ヴァン・ウォルフレン著〉2011-03-07 | 政治/検察/メディア/小沢一郎
◆仙谷氏の政敵、小沢一郎が屠られた経緯「検察は政権と取引をした」三井環元検事2010-10-29 | 政治/検察/メディア/小沢一郎
=======================
フラッシュバック:小沢氏、再び法廷に
WSJ Japan Real Time2011/10/3 16:48.
政治資金規正法違反(虚偽記載)罪で強制起訴された小沢一郎・民主党元代表の初公判が6日、東京地裁で開かれるが、同氏が師と仰いだ田中角栄元首相の裁判が改めて思い出される。田中元首相は国防関連最大手、米ロッキードからの収賄罪に問われた。
政治資金規正法違反罪で強制起訴された小沢一郎・民主党元代表の初公判が6日、東京地裁で開かれる当時まだ若かった小沢氏は、1977〜83年にわたった191回の公判全てに出席した。審理の結果、田中元首相には有罪判決が下った。田中派議員のなかでも、毎回公判に出席したのは小沢氏1人だけだった。
小沢氏は毎回終了までとどまり、田中元首相と目が合うのを待って深くお辞儀をしたと伝えられる。
政治ジャーナリスト渡辺乾介氏が執筆した1992年の本のなかで、小沢氏は心情的にそうした、と述べたと引用されている。この本の出版に当たり、小沢氏は渡辺氏と長時間にわたり会談したという。「あの人〜ひとつの小沢一郎論〜」と題するこの本の中で、小沢氏は私の面倒を見てくれた政権の座にある人物が1日中、椅子に座らされて、1人でいるのは耐えられなかった、と語ったと記されている。
政治資金規正法違反の嫌疑について、小沢氏は自身の不正行為を否定している。田中元首相も収賄罪で不正行為を働いたことを否定し、有罪判決を受けた後も陰の実力者の地位に君臨した。
小沢氏はその後何年にもわたって田中元首相を擁護し、不当に罰せられたと指摘した。小沢氏は2006年に出版された別の本のインタビューで、田中のオヤジが完璧だと言っているのではない、と語ったという。田中さんだけじゃなく、国民も政治家も官僚もみなやっていたことだと述べ、田中元首相はスケープゴートにされたと言及した。
小沢氏は自身の裁判でも同様の弁護を行っている。田中元首相の裁判の最中でさえ、小沢氏は法廷に立つことを予想していたかのようだ。小沢氏は、政治家として裁判で同じ立場に置かれたら、どうすべきかと考えていたと、1992年の本の出版に際しての渡辺氏とのインタビューで語っていた。自分だったらどうするかと、公判の間、ずっとそういったことを考えていた、と語っていた。
記者:Jacob M. Schlesinger
--------------------
〈来栖の独白〉
>毎回公判に出席したのは小沢氏1人だけだった。
>小沢氏は毎回終了までとどまり、田中元首相と目が合うのを待って深くお辞儀をした
もう、私は、泣いてしまう。ここに「人間」がいる。温かな、尋常な、正気の人間がいる。
いつの頃からか、私は、心鬱々とするとき、きまって小沢さんを思うようになった。「この世」からこれほどまでに(完膚なきまでに)破壊され貶められ誤解の坩堝に叩き込まれて、なお微笑んでいる小沢さんを思う。
この人を、どうか、力ある人は、そろそろ擁護、弁護してあげてほしい。法曹は法曹の立場から、ジャーナリストはジャーナリズムから、正論をこの世に示すことで、擁護してほしい。掃いて捨てるほどいる「名誉教授」の肩書の識者の皆さん、正論を張ってください。
「水谷建設からの5千万円は受け取っていません。こんな濡れ衣を着せられては死んでも死にきれません」
有罪判決を受けた石川知裕衆議にインタビュー
北方ジャーナル2011年10月03日
政治資金規正法違反(虚偽記載)の罪で東京地検特捜部から起訴され、9月26日に東京地裁から有罪判決(禁固2年・執行猶予3年)を言い渡された石川知裕衆議(38)が10月1日、帯広市内で開かれた支援者集会に出席。無実を強く訴えるともに、今後も衆議として政治活動を続けることを表明した。集会後、帯広市内の事務所で本誌の単独インタビューに応じた石川衆議は、赤裸々に現在の心境を語った──。
“十勝晴れ”の土曜日。午前11時から「ベルクラシック帯広」で始まった「石川ともひろ裁判報告集会」。ここに集まった600人あまりの支援者の前で石川衆議は「水谷建設からの5千万は受け取っていません。裁判所が認定している事実は全く無い。こんな濡れ衣を着せられては死んでも死にきれません」と述べ、直ちに控訴したことを報告。今後もあくまで衆議として政治活動を続けながら裁判を闘っていくことを宣言した。
会の冒頭、挨拶に立ったのは新党大地・代表代行の浅野貴博衆議、そして地元選出の民主党・池本柳次道議、地元の弁護士ら。石川衆議の闘争宣言が大きな拍手で承認された後、記者会見が開かれ、当日、報じられたばかりの婚約話が話題になる一幕もあった。
支援者を見送る
午後のインタビューで、石川衆議は婚約相手とのなれ初めにも触れた。お相手は阪中香織(27)さんという女性で、BS11の放送記者兼アナウンサー。聞けば阪中さんの父上が東京地検特捜部による冤罪被害者という縁があるとのこと。あれやこれやの詳細は次号でご確認していただくとして、今回の事件に関する石川衆議の説明は簡潔そのものだった。ちなみに自著「悪党 小沢一郎に仕えて」は、5万部を超えるベストセラーで、すでに10刷を数えているという。 (く)
===============================
◆「日本の政治家として一番やってはいけないことはなんだと思いますか」「そりゃ、天皇制をいじることだ」2011-10-01 | 政治/検察/メディア/小沢一郎
『悪党 小沢一郎に仕えて』 ?
◆「チャーチル/復権・・・」裁判闘争を終えた時、小沢一郎はどんな言葉を国民に語りかけるか。2011-09-24 | 政治/検察/メディア/小沢一郎
『悪党 小沢一郎に仕えて』? . . . 本文を読む
◆小沢一郎が語った「原発/国家のリーダー(衆愚の中からは衆愚しか)/マスコミは日本人の悪いところの典型」2011-09-19
『悪党 小沢一郎に仕えて』 ?
◆小沢氏が「平成の悪党」になる決意を固めれば、官僚に対する決戦が始まる2010-05-31 | 政治/検察/メディア/小沢一郎
【佐藤優の眼光紙背】小沢一郎が『平成の悪党』になる日
2010年05月31日10時00分 / 提供:眼光紙背 BLOGOS
佐藤優の眼光紙背:第74回
近日中に民主党の小沢一郎幹事長が「平成の悪党」になるような予感がする。ここで筆者が言う「悪党」とは、犯罪者という意味でない。南北朝時代の南朝の忠臣・楠木正成が「悪党」と呼ばれたことを念頭に置いている。手元にある『岩波古語辞典』(1974年版)で「悪党」を引くと、<中世、荘園領主や幕府の権力支配に反抗する地頭・名主などに率いられた集団。>(13頁)と説明されている。「悪党」とは、既成権力に対抗する強い武士の集団のことだ。
南北朝時代、日本国家は南朝と北朝の2つに分裂した。足利尊氏によって代表される武士(軍事官僚)による北朝が、京都に偽王朝を置いていた。これに対して後醍醐天皇によって開始された建武の中興(国家の建て直し)を断固支持する集団は、奈良の吉野に南朝(吉野朝)を置いた。武士では新田義貞が、後醍醐天皇側について戦ったが、足利尊氏によって打ち負かされた。そこで、悪党の楠木正成が登場し、大暴れする。
5月28日、鳩山由紀夫総理は、沖縄の米普天間飛行場の移設先を名護市・辺野古周辺とすることを明記した閣議了解を行った。それに先立ち、日本の外務大臣、防衛大臣、米国の国務長官、国防長官による日米安全保障協議会の共同発表が行われた。鳩山総理は、移設先について「最低でも(沖縄)県外」としていた約束を反故にした。
沖縄のマグマがこれに対して爆発している。このマグマは、これまでと質が異なる。産経新聞の宮本雅史那覇支局長の以下の記事が状況の深刻さを鋭く指摘している。・・・・・
◆『悪党 小沢一郎に仕えて』マスメディアと東京地検特捜部/石川知裕氏×佐藤優氏 緊急対談〈1〉2011-07-30 | 政治/検察/メディア/小沢一郎
◆『悪党 小沢一郎に仕えて』マスメディアと東京地検特捜部/石川知裕氏×佐藤優氏 緊急対談〈2〉
日本を語ろう フツーの市民vs小沢一郎/最も国民の生命、財産、人権を守るべき裁判所/民主主義国家/
録画日時 : 2011/10/04 12:24 JST日本を語ろう フツーの市民vs小沢一郎
■今回の判決について
小沢;
この間の判決は大変びっくりしました。というのは、独裁国家でとにかく気に入らんヤツはみんな有罪にしちゃえという社会なら別ですが、「法と証拠」、いわゆる民主主義国家で何の証拠もないのに裁判官が独断で、その推測に基づいて有罪を決めてしまうというのは、ちょっと民主主義国家では考えられない結果だったものですから、ほんとにびっくりしております。
今度の私と私の政治団体に対する最初の捜査から、なんか僕が不正なカネを貰っているに違いないという前提で捜査が、しかも強制捜査が突然始められたわけですね。
中味は結局1年以上かかって調べても、そういう問題はなかったという検察の結果で、そうすると残ったのは何かというと政治資金収支報告書の書き方の話なんですね、ここに書けばよかった、こう書けばよかったと、いう類の話で、そういうことは、ずっと何百件、何千件と、事務的間違いですから、仮に間違いだったとしても、いっぱいあって、大概それは修正報告で全部許されて、許されてというか当たり前なんですけれどもそこの中に他の犯罪が絡んでいれば別ですけれども、収支報告の書き方の問題なんかは、そもそもそういう強制捜査とか、検察の捜査になじまない、いわば指導して修正すればいいわけですから。
そういう結果だったから結局は、検察も起訴するには至らなかったということだと思うんですけれども今度の裁判は、結局、それを不正な金銭の授受があったんだということを推測で前提にしてしまって、それで、有罪だと、こういうふうに決めちゃったものですから、なんていいますか、二重にですね、びっくりしました。
私自身が何としてもこの国を変えなくちゃいけないと、まあ、日本人自身の意識も含めて今までのままではダメだと、国民の生活を長年にわたって、将来にわたって安定させ、守っていくためには変えなくちゃいかん、というのを強烈に思ってますので僕自身。
ということは、旧来の今までの体制を変えるということになるますね、制度とかいろんな仕組みとか行政であれ、何であれ。
それは今までの体制の中で、既得権を持っていた方々にとってはものすごく、ある意味で恐怖といいますか、あいつだけは許せない、あいつだけは国政の先頭に立たせてはいかんとという意識が働くんじゃないでしょうか。
ですから、民主党に所属してますから、そして民主党内閣ですから、今は民主党うんぬんということになりますが、民主党というよりたぶん、僕自身だろうと思います、その彼等の狙いは。
僕個人云々というよりも、こういうような民主主義国家と言われている、あるいは自負している国で、社会でこういうような事が起きると、こういう裁判が行われているということが非常に心配ですね、行われたということが。
ですから、誰かがあれをおとしいれてやろうと思ったら、あいつはこうこう、こういうことしたと、いうとその一方的な意見だけで、じゃあ、判決が、裁判が左右されちゃうのかということになったら、本当にもう暗黒社会になっちゃいますね。
ですから、その意味で僕自身どうのこうのではなくて日本の社会、最も国民の生命、財産、人権を守らなければいけない裁判所までが、そういうようなことになってしまっている、まあ、劣化っていうんですかね、なんか、そういうふうになっちゃっているっていうのが非常に心配ですね。
■民主主義国家とは
小沢;
民主主義ということの実態はそれぞれの国や地域において、必ずしも同じではない。どこから始まったのか。ギリシャからという人もいれば、ゲルマンの森という人もいるし、イギリスという人もいる。
日本は日本人の歴史や風土にあった民主主義国家であればいいと思う。そういうことを勘案した上でも、日本は本当の民主主義国家になってない。日本人自身が認識しなければならない。
結局はお上信仰が残っている。何かあると政府が悪い、あれが悪いと、そういうこともあるが、それに全部負わせている。一人ひとりが自立した個人であることが前提。日本人はどうしても歴史的に豊かに過ごしてきたから余り波風を立てないで、丸く丸くと。自己主張を軽くして満場一致でやればいいという考え方が強い。
「和を以て・・・」というが結果は誰も責任をとらない。誰が決めたか分からない、なんとかくみんなで決めて、それがうまくいかなかったら、誰も責任を取らない。そういうような風土というか風潮が日本社会にはある。しっかりと自らの判断や責任を大事にする相手の判断も大事にすること。そういう意識改革をしていかないと、民主主義が根付かない。
特に戦後日本がアメリカにいろいろな意味でおんぶにだっこだった。そのほうが楽、気楽でいい。特に戦後芽生えてしまい、何かあったらカネを出せばいいと。
それはアメリカからも軽蔑される。独立した国家だと認められない。日本の特質・・・そうした経緯で歪んでしまった。
戦後も敗戦のどん底で全てアメリカの技術や経済をもらって、市場も開放してもらってある意味しょうがなかった。
今はアメリカ自体がおかしくなっている。世界全体が安定した時代ではない。
今の生活を享受しながらしかも平和にやっていこうというならば、自分自身が努力し、意志をもっていかないと、安定した平和を維持できなくなる。
小沢;
議論しなくても日本は平和で豊かに暮らしてきた。古代もはるかに大陸よりも豊かだった。みんな平和に愉しく豊かに暮らしてきた。自己主張するなという風土ができあがった。
今はそういう時代ではなくなった。
日本人はどうしても意見をガンガン言い合うと感情的になって喧嘩になる。ですから日本の社会は、多数決というものは絶対しない。会社でもどこでも、多数決というのは、しない。政治でも組合でもしない。執行部に一任してくださいとなる。一致しなかったら、ずっと議論をやるわけにはいかない。
ここを直さなければならない。
ぼくは日米交渉を3回した。アメリカの指導者が日本を信用しないのは意見を言わないから。「前向きに検討する」といわれOKだと思ったらNOだったと驚いている。
日米同盟というが、アメリカは日本を信用していない。大事な決断を日本はしない。何かあるとアメリカに聞きに行く。
■メディアとネット
小沢;
またテレビ新聞のことを批判すると、あれなんですけど(笑)。ネットもそのままを流してくれる。テレビ新聞で何をしゃべってもその通り伝えない。こういったけど実はこうだと、全部偏向した報道したものになる。国民のみなさんに真意が伝わらない。正確に伝えて、良いか悪いかは国民のみなさんが判断してくれればいい。
■民主主義の手だて
小沢;
官が全てを治めていたからでしょうね。官主導で中央集権で、全ての権力が官僚機構に集まってますから。どうしてもその人たちのやり易いように解釈するし面倒くさいことはなるべくさけたい。
それを解決する一つは地方分権で、身近な問題は地方に任せる。
そう言うと、「地方にカネも権力も任せたら酷いことになるんじゃないか」といわれるが、それは傲慢すぎる。仮におかしな問題が出たら、地方のほうが住民からのチェックが効く。国家だとわからない、霞が関で何をしているか。だからチェック機能が働く。
国は外交や防衛に専念する。天下国家のことを議論する。君らは青春を犠牲にして一所懸命勉強して官僚になった。なんでそんなチマチマしていることをしているんだと。もっと天下国家のことをやればずいぶんよくなる。
■陸山会裁判の判決は法治国家の終焉 日本は独裁国家 証拠も確たる証言もないところで裁判官が推測で有罪だと、あるいは天の声があったと、ゼネコンからの1億円の闇献金があってそれを受取ったと。単に三人の証言なんですよ。西松建設事件は東京地検特捜部が1年以上かけて100人以上の検事をおそらく税金を30億円以上使ってるんですね。それで徹底的にゼネコンを強制捜査して叩いたんだけど何も出てこない、立件できなかった。立件できないことを別の裁判で、それが訴因でもないことなのに、1億円をあったと勝手に認めた。
■東日本大震災 原発
小沢;
それぞれ内閣の総理以下、役所も一所懸命やっていると思いますが、こういう今までないような災害ですから。
私も災害県岩手県の出身の一人ですが、内閣が先頭に立ってあらゆる手段を講じて復興しなければならないのは当たり前ですが、自然災害、これはもっと復興のためにやれとか金をつぎ込めということはありますが、幸い生き残ったものがお互い力を合わせて、街づくりをする、自分たちの生活を立ち上げるというのが十分可能だが、原発の問題だけは一般の人がどうしようかと思っても出来ない話ですし、このままだと前から言っているが、これを放置していれば日本の復興とか再建とかはありえない。
仰るとおり溶融して解けたものが下に落ちてますし、大量の燃料があるわけです。水で冷やして一所懸命冷やしてを爆発を止められたとしても、燃料がそのままのこっている。地中で、地下水にいったり海水にいったり、空気中にもウランがあるんですから出てるんです。
菅さんの時から言っているが、みんな東電の責任ばかり、第一義的には東電なんですよ。「悪いんだ。悪いんだ」と言っても何も解決しない話なんです。ですから国家的な深刻なはなしですから政府が表に立てと。
今の仕組みは東電が前に立って、お金なり何なりを政府が東電に対して支援するかたちになっている。そうじゃないと、まずは原発そのものを知恵を集めて封じ込める。
これは何兆かかろうが何十兆かかろうがやんなくちゃならないんですよ。それも政府が直接、前面に出てやると。
近所の人は、いずれ帰れると政府もいっているが、帰れないんですよ、ほんと近い人は。そうすると、新しい生活を始めなきゃならないわけですよ。ところが帰れるようなことを言うものだから、新しい生活を違う場所でやろうという気持ちにならない。なんとなく、帰れるだろう、帰れるだろうということになって、結局は不安定なまんま。仰るように、棄民、置き去りにされ、捨て去られたようなかたちでいっぱい多くの人がいるということですから、やっぱり本当に当分は、ここは住めないと、住めないと、
そこにおった人たちに対しては、キチンと生活の安定、これからの生活を支援するために政府が全部やりますよ、ということを生活面でやらなければならない。
あるいは生産、農林水産、いろいろありますけれども、そういう一般生活の面でも、ぼくは政府が、これいっぺんにはできないですよ。これ莫大な金額を要しますからね。
しかし、現実に今生活がこれじゃあおくっていけないという人が出てきちゃってわけですから、そういう人たちに対する生活の支援というのは、当面、政府がやっていくというのは必要だと思います。
何よりもだけどこの原発をね、まあいろんな知恵を出せば、封じ込めることが可能だというふうに聞いております。ですから、これはやっぱり国家が、内閣がそのトップは総理大臣が、やっぱり決断してね、やるべきだと私は思いますね。
さっき言いましたようにね、日本には最終の決断する人がいないんですよ。その立場にある人でさえ、最終決断をしないわけですね、なるべくしないようにしている。
だから自分で責任を問われるのがどうだこうだとか、そんなことを心配している状況ではもうない、というふうに私は思いますので、野田総理には蛮勇をふるってでも、大いなる決断をしてもらって
是非、積極的な、それこそ、今の問題だけではなくて将来にわたってずっと影響があることですから、是非、やってもらいたいと思っています。
■小沢さんがもし即時全基停止して廃炉といえば、ある意味、日本に革命が起きるんじゃないか
小沢;
僕は原子力というのは過渡的なエネルギーだということを最初から言い続けてきたんですが、若干、私も含めまして日本人が、原子力は安全で安く発電できるという、その神話に安住し過ぎたきらいがあるんじゃないかなと、そう思っています。ですから、こういうことを契機にですね、ほんとにエネルギー政策を考えなくてはいけない。
過渡的エネルギーだという以上は、いつか止める話になりますが、今、全部・・・、正確に試算してみないと、国民みなさん、特に生産活動や何かに障害が生じなければ、原子力やる必要はないと思います。
ただ、国民みなさんも電気の消費やいろんな意味で利便を享受しているわけですね。だから、原子力は嫌だけど、電気はいっぱい使いたいとか、いう話になっちゃうとそれは不可能な話になりますから、そういう意味でお互いが生活をちゃんと考えた上でどこまでどうやれるのかとはっきりわかりさえすれば、私は可能なことだと思っています。
まあ、いずれにしても、ドイツは11年後に止めるということを決めました。ただドイツの場合は、ものすごく品質のいい石炭や、その他いっぱいありますからね。ドイツのように日本もいけるかどうかはわかりませんけれども、やっぱり自然なクリーンエネルギーの開発を少し怠ってきたという、ツケがですね、出たんじゃないかと思いまして、できれば、だから原発というのは精査してみて、国民みなさんが「よし、それでいこうや」という合意さえできれば、止めていいと思いますね。
情報を国民皆さんに開示してこなかったというのは事実だと思います。
爆発の直後からいわゆる国の原子力に密接に関わっているひとは別として、専門の客観的な学者の方々は、もうあれで完全に炉もメルトダウンしているし燃料もそうなっているに違いないと、いうことを最初っから言ってましたね3月の時点から。だけど「そんなことない、そんなことない」と言い続けて、三ヵ月後ですかね、やっぱりメルトダウンして今度はメルとスルーしていると。これはもうほんとに、やっぱり政治家が、それなりの責任をもって、情報をきちんと出すということは、原子力は特に命に関わることですから、何としても必要だと思いますね。
ただ、さっき言ったように出して、情報によって起った責任をどうしようとか、じゃあ出すのはいいけれども、どういう対策をおまえは持っているのかと言われたらどうしようとか。そういう話になっちゃうもんですから、結局みんな事なかれの形に落ち着いちゃっている、というのが今の政治・行政の一番欠点だと思いますね。
■ビデオレターの配信して、ユーチューブに定期的に出して。小沢さんが考えていることがわからない。アメリカの茶会派のロンポールさんは75歳ですが、毎日ビデオレターを出していて世界に配信している。それを見てみんな支持している。TPPなどテーマごとに。こういった座談会も月一でやっていただけると。500人から1000人の大集会をやってほしい。
小沢;
はい、はい。考えます。
民主党政権が果たして2年前の国民の皆さんの熱狂的な支持に、今までの2年は振り返らずに、これからの2年でありますから、ここでほんとに信頼を取り戻せるような、政治をちゃんとやれるかどうか、それを国民皆さんも、また私たちもキチッと見つめていきたいと思います。
それと今もう一つ心配なのは経済なんですね、やっぱりEU、ユーロの危機は救済のあれがドイツでも可決されまして、一応、当面回避された形になってますけれども、決してそれは根本的な解決になってないんで、ぼくは、いずれ通貨危機ユーロ、それからアメリカの不景気、これは全世界的なものになる恐れがあると思ってます。
ですから、国内では一番、原発の問題を抱え、ここに通貨、金融恐慌そして世界恐慌的なものが一緒になってきたら、とてもじゃないけど、それこそまだ民主主義も十分に成長して無い日本ではヒッチャカメッチャカになっちゃう可能性があると。
そしてその時に、やはり一番、僕はこれも前から心配していることですが、国内では、政治不信、政党不信、政治がゴチャゴチャになると、必ず日本では極端な議論がおきます。これを一番してるんです。
やはり極端なナショナリズム、あるいはテロリズムが加わったり、そういう国内の日本人の心理的にものすごく不安定な状況になることが一つと。
それから、国外のことではユーロなど、経済的危機でも政治的動乱にはつながりにくいですね、欧米のあれは。ただ、中国の場合は、今ちょっと調子悪くなってきてましたね。それから自由、政治的自由を求めている運動に対してすごい弾圧を加えております。
しかし、ここでね、バブルが弾けちゃったらもう権力で弾圧したって、何したって、とてもじゃないけど止められないですよ、大衆の動きは。そうすると中国が政治的動乱になる恐れあると。
ぼくは、中国の指導者にも面と向かって言ってきてますけどね、「共産党独裁と自由経済、そして民主主義というのは両立しないと、かならず矛盾が起きるよと、コペルニクス転換をあなたがたがするなら別だけどたぶんできないだろうと。必ず共産党独裁は崩壊するよ」と、言ってるんですよ、幹部の連中に、ん、と頷いてますけども。だけどほんとに深刻な話になるんですよ、そうすると。
だからその意味で、そういうことにならないように日本が中国を助ける必要もあるし、日本が人様を助けるためには日本自身がしっかりしなければならないし、そういう、いっぺんにいろんな問題が重なってきちゃうということがあると、今の日本のなんやかやいろいろ問題を抱えていながらも、みんな一定の生活を維持してやってるわけだけども、これができなくなる恐れもあると、ということで非常に心配をしております。
■陸山会事件なんかがなければ、「小沢首相」。今も続いていた。
小沢;
ぼくもね、皆さんのご期待に添える力があるとは思っていませんが、ただ、自分がそういう立場に立ったらば自分の責任やら、責任回避あるいはなんていいますか、ポジションだけにすがりついたりという類のものだけは絶対したくないし、しないでやりたいと、その気持ちだけは持っております。
.....................
〈来栖の独白〉
小沢さんの明るさが印象に残った。小沢さんにかかれば、政権を狙う政治家も、官僚もメディアも、やんちゃをして時には手におえない、いたずらっこのようなものだ。恨んでもいないし、憎んでもいない。大した人だ。民主主義にしても、原発にしても、正論を語る。世界観は、広く深い。最後に「市民」が言っていたが、「小沢首相だったら、今現在も政権が続いていただろう」。たった一人の見識ある政治家だ。
................
◆私の面倒を見てくれた政権の座にある人物が1日中、椅子に座らされて、1人でいるのは耐えられなかった2011-10-04 | 政治/検察/メディア/小沢一郎
「霞が関の大魔王」勝栄二郎危険極まりなし/内閣に「大増税」へと舵を切らせている
あっという間に、どじょう鍋にされたノダ 「霞が関の大魔王」勝栄二郎危険極まりなし 高橋洋一×長谷川幸洋
現代ビジネス2011年10月05日(水)週刊現代
■しっかり増税、とにかく増税
長谷川 野田佳彦政権の布陣を見ると、見事な増税シフトですね。そして、この増税一直線政権のプロデューサー兼シナリオライターが財務省の勝栄二郎事務次官であることは、衆目の一致するところです。
高橋 要するに「陰の総理大臣」ということね(笑)。
長谷川 そこで今日は「勝栄二郎」を徹底的に解剖していこうと思うんですが、その前提として、野田政権の人事について触れておきたい。これはもう明らかな党重視ですね。政策決定の鍵を握る政調会長に前原誠司前外相を起用し、仙谷由人元官房長官を政調会長代行に据えた。さらに財務省OBの藤井裕久元財務相を党税調会長にした。
野田政権は政策決定の前さばき段階で党がかなり重要な役割を果たすようにしたわけですが、これは民主党の中に反増税派ないし増税慎重派がいるから。それを押さえ込んで増税を実現するために、こんな重厚な布陣になったわけですね。
高橋 通常の政策決定プロセスは、まず政府で案を作り、それを党で揉んで、それから国会へ提出する。どこにいちばん力点を置くかというと、国会のねじれがなければ、政府か党のどちらかです。
では今回はどうかというと、国会はねじれているけど、自民党はもともと増税賛成。だから、政府段階では財務省にとっての理想的な増税メニューを打ち上げておいて、党である程度レベルダウンするけれども、国会では自民党を巻き込んで、しっかり増税。こういう筋書きがもう決まっている。つまり、党レベルでの反増税圧力をどれだけ弱められるかがポイントなんです。だから布陣は党高政低。政府としては、目いっぱい高い球を投げるだけだから、財務官僚がやればすむことなんですよ。
長谷川 党重視にした分、閣僚人事は軽くなった。その代表が、財政のことをよく知らない安住淳財務相と、旧大蔵省OBの「過去官僚」古川元久国家戦略相。この2人は財務省が完璧にコントロールできる。そこで、もうひとつのポイントが勝次官による財務省人事になるわけです。
高橋 そう。内閣は軽量だけど、そこに送り込んだ財務官僚は重量級なんです。なにしろ勝さんは、官房副長官(事務)を取ろうとした。結果的に国交省の竹歳誠事務次官に落ち着きましたが、当初は前財務次官の丹呉泰健さん(読売新聞グループ本社監査役)の起用を本気で考えていた。
長谷川 丹呉副長官だと、あまりに財務省支配がミエミエだからねえ。でも、旧建設省出身の竹歳氏は、建設公共担当の主計官も経験した勝次官とはツーカーの仲で、一心同体みたいなものでしょう。
高橋 というより頭が上がらない。予算でお世話になった勝さんの意向通りに動くと思います。それから、主計局総務課長から局次長になったばかりの太田充氏を総理秘書官として官邸に送り込んだ。彼は保守本流である主計のトップランナー。正真正銘の重量級です。
もう一つ驚くのは、蓮舫行政刷新担当相の秘書官に財務省課長の中堅クラスが行っていること。本来なら課長補佐の最終段階くらいの年次が就くポストですけど、そこに'88年入省組の吉井浩氏を送り込んでいる。
長谷川 蓮舫大臣の担当する行革とか公務員制度改革は官僚にとって重要なポイントだから、しっかり押さえておきたいという狙いですね。それに彼女は民主党のスター的存在で発信力もあるし、注目度も高い。
高橋 実は勝さんが彼女の秘書官に吉井氏を送り出したのは前回の大臣時代。その後、首相補佐官に格下げされても「補佐官補」という肩書でずっと密着させてきた。勝さんは蓮舫さんの利用価値を読んで、きっちりマークしてたわけ。
長谷川 '88年組と言えば、古川国家戦略相の同期。しかも、この期には自見庄三郎金融担当相秘書官の井藤英樹氏もいる。
高橋 古川国家戦略相は閣僚兼秘書官みたいなものだから(笑)、この「同期秘書官トリオ」は強力ですよ。財務省に入省すると一般的な省庁研修のほかに、3週間ぐらい寝食を共にする省独自の長期合宿を行う。ここで同期の結束が非常に深まり、よその役所とまったく異なる人的ネットワークになるんですね。
長谷川 なかなか見事だねえ、このあたりの勝次官の人事は。
■人呼んで「パー・ペット内閣」
高橋 さらに言えば、藤村修官房長官秘書官には'89年組で主計畑のエース候補・宇波弘貴氏をつけた。初入閣で官邸のことなど右も左もわからない官房長官は、秘書官の言いなりになるしかないでしょう。それに宇波氏は、安住財務相の秘書官になった小宮義之氏の同期。ここの連携も完璧です。
長谷川 加えて、内閣府政務官に就任した民主党の大串博志代議士も入省同期の財務省OBだ。
高橋 '83年組の太田首相秘書官を筆頭に、閣僚にこれだけの数の秘書官をはり付けておけば、財務省で内閣を切り盛りできますよ。はっきり言って、大臣なんか誰でもいい。口の悪い永田町の住人が言っていましたが、「野田パペット(操り人形)内閣」ならぬ「パー・ペット内閣」と呼ばれているそうです。
長谷川 財務省に飼われる愚かな閣僚たちか(笑)。
高橋 財務省風味のどじょう鍋と言う人もいる(笑)。
長谷川 財務省の本省人事も見ておきたい。意外だったのは、「10年に一人の大物」と呼ばれた斎藤次郎元大蔵次官の娘婿である稲垣光隆氏が主計局筆頭局次長から財務総合政策研究所長へ外されたこと。ここは、局長になれなかった人の上がりポスト。彼は'80年組のエースだったのに・・・・・・。
高橋 これも勝さんの深謀遠慮だと思います。斎藤さんは現在、日本郵政社長。今後、郵政株売却が増税額圧縮の材料として浮上する可能性がある。その際に、斎藤大先輩に遠慮なく増税路線を貫くには、娘婿が邪魔になるという計算でしょう。つまり、いくら優秀でも省益にそぐわなければ斬り捨てるという冷徹な判断をした。
長谷川 なるほど。その一方で、同期の佐藤慎一氏を官邸の内閣審議官から呼び戻して省内司令塔の総括審議官に据えた。主税局の主要課長を歴任した税制のトップランナーをこのポジションに起用した意図は明白ですね。
高橋 それに、省内トップエリートの登竜門である文書課長だった星野次彦氏を主税局審議官にしたし、主計の花形である公共担当主計官をしていた井上裕之氏を主税局税制一課長に起用した。これらの人事は完璧な増税シフトですよ。もうまるで、増税大魔王(笑)。
■マスコミの懐柔も得意です
長谷川 さて、その大魔王の経歴を見ると、'95年から'96年にかけて為替資金課長を務めていますね。ところが、実際は為替資金とは無関係の仕事をしていた。当時、橋本龍太郎政権の行政改革で大蔵省については財政と金融の分離が叫ばれていて、実は大蔵省抵抗部隊の裏司令塔が勝課長だった。「あの人は手ごわかった」と当時、官邸で行革を担当していた人物から聞いています。
ちなみに為替資金課長になる前に内閣官房長官秘書官をやり、為替資金課長のあと主計局の企画担当主計官や文書課長といった、ど真ん中のエリート街道を歩んでいる。財務省の文書課長というのは、書類を扱うわけじゃなくて、要するに国会担当。予算委員会では必ず部屋の隅にいて、大臣にこういうメモを入れろとか、こう答弁させろとか、そういう指示を出す司令官ですね。
高橋 勝栄二郎という人は人心掌握がうまいんです。私の役人時代のことですが、5年も後輩で直接の部下でもない私のところに突然電話をかけてくる。ボソボソした声で「すまないけど、今度の日曜日に会えないかな」とか「ちょっと君の力を借りたくてね」とか言うわけですよ。で、指定された都内のホテルへ出向いていくと、省内の若手が何人か集まって自由闊達に議論していて、勝さんがじっと聞いている。そしてしばらくすると、その時の議論が省の政策として打ち出されたりする。若手にとっては、これが嬉しい。
長谷川 腰が低くて、他人に対して居丈高な姿勢をまったく見せないでしょう。私も安倍晋三政権時代に政府税制調査会の委員をしていて、舞台裏の会合で何度も勝さんに会いましたが、彼は総括審議官で超多忙な頃だったのに、絶対に遅刻しなかった。そして末席に座って、誰に対しても丁重に接する。
高橋 彼はしゃべり言葉が丁寧で、ゆっくりしているんですね。それで政治家やマスコミの記者にウケがいい。それと、こう言ってはアレですが、頭がキレすぎない(笑)。
長谷川 なかにはマスコミに居丈高になる官僚もいるけど、勝さんはまったく正反対。女性記者との会合も積極的にセットしていたみたいですよ。
高橋 ただね、言葉遣いが丁寧なのは、彼がドイツ育ちの帰国子女で、日本語が少し不自由だからなんです。発音も少しヘンで、電話でボソボソと「勝です」と言われると、「カツドン」に聞こえる(笑)。逆に書き言葉は、勉強して覚えたおかげか、妙に格調高い。
結局、日本語が得意じゃないから、あまりしゃべらない。ときどきしか話さないから、自然と言葉に重みが出る。そういうタイプですね。
長谷川 先ほどから見てきたように、人事もうまい。
高橋 そう。論功行賞も考えていて、日曜日の会合などに出たら、ご褒美があるんですよ。上の人のお供で海外に同行することなんです。次官OBや天下ったエライ人はヒマでよく海外に行く。その際に必ずお付きの者をつけるんですが、勝さんは日曜日に呼び出した若手をうまくセットするんです。海外出張のお供で2週間も一緒にいれば、そのOBの覚えがめでたくなる。それは出世にも少なからず影響するから、結構なご褒美なんですね。出張同行の指名を受けた側も、ああ、これは勝さんのご褒美だなと分かります。こういうやり方が非常に心憎い。
長谷川 それで省内に勝ファンが増えていくわけか。
ところで、内閣も省内も完璧なまでの増税シフトを構築した勝さんには、「剛腕・斎藤次郎の再来」という評価もある。剛腕・勝栄二郎は果たして、このまま増税路線を突っ走るのかどうか。
高橋 野田総理の代表質問への答弁に、その答えがありますよ。野党から「消費税増税の前に国民の信を問うべし」と問われ、総理は「実施の前に信を問います」と答えている。国民もマスコミも、納得しているようですけど、これは間違いなく財務省が仕掛けた罠です。
「増税前に信を問う」というのは、普通は増税の是非を総選挙で問うという意味ですよね。ところが「実施の前」だと、増税法案が成立して増税を行う前に選挙をするという意味になる。つまり、いま予定されている通りに来年の通常国会には消費税増税法案を出して可決成立させる。その後のしかるべき時期に信を問うことになるけど、そこで与党が勝とうが負けようが、法案が通っている以上、消費税は粛々と引き上げることになる。これが勝財務省のシナリオです。
■今度のジローはしたたかすぎ
長谷川 実施前に凍結法案を出して、増税を止める手もあるけど。
高橋 無理、無理。実施直前に総選挙を設定すれば、凍結法案を出す余裕はない。そういうスケジュール管理は、財務省のお手のものです。そのために優秀な人材を秘書官に送り出しているわけだし。それに、「ここで凍結すれば、経済が大混乱します」と政治家を脅すことだって平気でやる。
長谷川 確かに、橋本政権で消費税率を3%から5%に上げたときも、景気悪化が懸念されたのに、スケジュール通りに実施された。
高橋 そう、その挙げ句にデフレが深刻化して、税収まで減っていった。バカじゃないのって話。
長谷川 ただ、剛腕・斎藤次郎は細川護熙政権のときに、与党最大の実力者だった小沢一郎氏(当時・新進党幹事長)と組んで国民福祉税構想を打ち出して、頓挫した。しかも、その後の政権交代で与党に復帰した自民党に睨まれ、長く天下り先にも恵まれなかった。「二匹目のジロウ」も、やりすぎると同じ轍を踏む危険があるんじゃないの?
高橋 斎藤さんの場合は剛腕ゆえに根回しをあまりしなかった。そのため、ときの官房長官(武村正義氏)から「待った」をかけられたんです。つまり、総理の女房役である官房長官にすら声をかけていなかった。そして、その官房長官秘書官だったのが、若き日の勝栄二郎ですよ。
長谷川 なるほど。斎藤大先輩の失敗を間近で見ていたからこそ、官邸にも省内にも人材を張り巡らせ、用意周到に増税への布石を打っている。勝栄二郎は、「配慮の行き届いた斎藤次郎」ということか。
高橋 もう一つ忘れてはならないのが、メディアを使った国民の洗脳です。
長谷川 財務官僚にすり寄る「ポチ記者」問題ね。財務省が政府を実質的に動かしていることは、ちょっと深く取材をすればわかる。財務官僚を敵に回せばネタが取れなくなるから、記者たちは自ら官僚にすり寄っていくんです。その結果、新聞紙面には連日のように、所得税、法人税、相続税に環境税とあらゆる増税ネタが報じられることになる。財務省は「高めのつりダマ」を投げて、新聞記事になれば御の字。そのうちに国民はだんだんマヒしてきて、増税やむなしの空気ができあがる。これがいま起こっている現実ですよ。
高橋 人間って、与えられた情報でしかモノを考えられませんからね。本当は増税だけじゃなく、税外収入の道もあるのに、そっちには目がいかなくなる。まさに洗脳です。
長谷川 それがメディアを使った財務省の大衆戦略ですよ。そして、そんな財務省を動かしているのが、勝栄二郎である、と。
高橋 やっぱり霞が関の大魔王だ。
「週刊現代」2011年10月7日号より
<プロフィール>
たかはし・よういち/1955年生まれ。'80年旧大蔵省入省。内閣参事官時代に「霞が関埋蔵金」を暴露し、脚光を浴びる。'10年より嘉悦大学教授。『この経済政策が日本を殺す』『官愚の国』など著書多数
はせがわ・ゆきひろ/1953年生まれ。東京新聞論説副主幹。財政制度等審議会臨時委員、政府税制調査会委員などを歴任。官僚が政治を操る実態を描いた『日本国の正体』で'09年度山本七平賞を受賞
===================================
◆事業仕分けで凍結が決まった公務員宿舎建設 野田首相「現地視察し、私が判断したい」2011-09-30 | 政治
◆財務省の天皇 勝栄二郎事務次官と香川俊介官房長には逆らえない/野田政権は直勝内閣/メディア工作部隊2011-10-02 | 政治
財務官僚たちの影響下にあるのは民主党政権だけではない。彼らは政・官・司・財・報に幅広く支配の手を伸ばしている
◆「増税」「宿舎建設」官僚のやりたい放題を許していいのか/勝栄二郎は小沢一郎を抑えつけ、好き放題やった2011-09-29 | 政治
◆小沢一郎を落ち目と見切った登石裁判長/財務省首領 勝栄二郎が、内閣に「大増税」へと舵を切らせている2011-09-30 | 政治/検察/メディア/小沢一郎
米国と中国、どちらを選ぶか アジア諸国を悩ませる厄介な選択
米国と中国、どちらを選ぶか アジア諸国を悩ませる厄介な選択
JBpress2011.10.05(水)(2011年10月4日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
新世紀を定義づける地政学的なドラマは、恐らく、中国と米国が軍事力と影響力を競い合う戦いだろう。この新たな争いは既に、両大国にはさまれたアジア諸国に厄介な選択を迫りつつある。
米国連邦議会上院では3日、中国から輸入される製品に関税を課すことを容認する法案が可決されると見られていた。
仮に、米国の保護主義の勢いがこれでしばらく止まるとしても、米国内に漂う対決ムードは中国の隣人たちにジレンマを突きつける。
*経済的な利益と戦略的な利益のズレ
日本やインド、オーストラリア、韓国、そして大半の東南アジア諸国にとって、中国は今や最大の貿易相手国だ。ところが、これらの国々はまだ、軍事面で最も重要な関係を米国と結んでいる。経済的な利益と戦略的な利益が互いに異なる方向を指しているこの状況を、各国は果たしていつまで続けられるだろうか?
人民日報に先週掲載された社説から判断する限り、そう長くは続けられないだろう。中国共産党の機関紙である同紙は、「米国の軍事力という助力と中国とのバランスが取れている限り何でも好きなことができると思っている特定の国々」に狙いを定めていたからだ。
この記事は恐らく、掲載の前日に日本とフィリピンが発表した声明に触発されたものだ。両国はこの中で海洋分野における2国間協力の強化を約束し、中国が南シナ海の広い範囲で領有権を主張していることへの異議をほのめかしていた。
しかし、中国の警告はベトナムやインド、韓国、オーストラリア、あるいは台湾などに向けられる可能性も同じくらいあった。これらの国々は皆、ここ1年間で米国との軍事的なつながりを強めているからだ。
もちろん、これは皮肉な話である。隣人たちが大慌てで米国の軍事力に頼ろうとしているのは、この人民日報の記事が体現しているように、中国が武力をちらつかせて威嚇してくるためにほかならないからだ。
中国はつい最近まで、高度な待機戦術を取っているように見えた。強まる経済力を背景に、近隣諸国を中国の勢力圏内に否応なしに引き込んでしまおうという戦術だ。ところが今では強く出過ぎて、反中国陣営をつくり出すリスクを冒してしまっている。中国は各国のそうした動きを恐れ、反発している。
中国にとっては、もっと辛抱強い政策の方が理にかなっているだろう。2020年までには世界最大の経済大国になる可能性が高いからだ。
*世界最大の経済大国になる中国の強み
米国は世界最大の軍事大国の地位を維持しており、中国自身の裏庭である太平洋でも卓越した軍事力を誇る。しかし、政治力と軍事力は経済力と同じ道をたどるのが普通であるため、米国は太平洋における覇権を最終的には維持できなくなるかもしれない。
前述の人民日報の記事もその点にそれとなく触れており、次のように警告している。「中国の経済発展という高速鉄道の切符を返上したいと思っている国はない」
米国政府は歳出の40%を借り入れで賄っており、中国は米国債を最も多く購入している国だ。つまり中国は、米国が太平洋で軍事的優位性を維持する資金を間接的に供給していることになる。
この地域の米国の同盟国は、米国との結びつきを強化する方向に動いている間にも、資金面の問題ゆえに米国が太平洋での軍事力縮小に追い込まれるのではないかと心配している。
またそれと同時に、中国は軍事力を増強している。米国の政策立案者の間からは、太平洋における米国の軍事的優位性の礎である空軍基地や空母を直接脅かす新型ミサイルを、中国が開発しているとの指摘も出ている。
中国の近隣諸国も、中国が軍事力を強化していることと、それを誇示するつもりもあることを懸念している。島の領有権を巡るベトナムや日本との対立はここ数年激しさを増しており、公海で衝突した後に外交の舞台で激しくやり合う事態になっている。
インドでも、中国がインド領内の一部に対する領有権の主張を強めているとの声が上がっている。韓国も、中国と北朝鮮との関係に神経をとがらせている。
このような中国の行動については、国家主義者の勢力と軍が北京中央政府の内部で影響力を強めているからだという陰鬱な解釈がある。比較的若い世代が権力を握るようになっているが、彼らは学校で、中国が外国からひどい扱いを受けたのは弱い国だったからだと教わっている。
また中国経済と米国経済の勢いがまさに対照的なものになっていることも中国の自信を深め、その強気な姿勢に拍車をかけている、というわけだ。
一方、もっと優しい解釈もある。中国は今や世界中に経済権益を持ち、それをさらに拡大させているため、軍事費を増やしたり自らの利益をこれまで以上に強硬に主張したりすることはほぼ避けられない。また、需要が旺盛な中国経済は輸入エネルギーに依存しており、海上交通路の封鎖には弱い。
空母や潜水艦の建造、エネルギー資源が豊富な南シナ海での領有権主張なども、近隣諸国が恐れているこの地域での優位性確保を強硬に目指したものではなく、中国政府の賢明な予防策のように思えないこともない、という解釈だ。
しかし、この比較的優しい解釈をもってしても、不安が完全に解消されるとは言えない。この解釈は、中国と米国が互いの行動やほかの国との同盟関係を脅威だと受け止めがちになっていくこと、そして攻撃されているという相手の感覚を強めてしまうやり方で対応していく可能性も高いことを示唆しているからだ。
*真珠湾の教訓
20世紀の歴史を学んだ人なら、この大国の行動パターンを見てピンとくるかもしれない。
もっとも、こうした緊張関係があるにもかかわらず、太平洋をまたいだ外交上の交流は継続されている。来月にはハワイでアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議が開催される。バラク・オバマ大統領は自らの出身地で、中国を含むこの地域の主要国の指導者たちをもてなすことになるだろう。
せっかくハワイに集まるのだから、彼らを真珠湾の見学に招待し、太平洋における戦略の誤算がどんな危険をもたらすかを思い出してもらってはどうだろうか。
By Gideon Rachman
.............................................
◆日本を語ろう フツーの市民vs小沢一郎/最も国民の生命、財産、人権を守るべき裁判所/民主主義国家/2011-10-05 | 政治/検察/メディア/小沢一郎
(部分抜粋) それから、国外のことではユーロなど、経済的危機でも政治的動乱にはつながりにくいですね、欧米のあれは。ただ、中国の場合は、今ちょっと調子悪くなってきてましたね。それから自由、政治的自由を求めている運動に対してすごい弾圧を加えております。
しかし、ここでね、バブルが弾けちゃったらもう権力で弾圧したって、何したって、とてもじゃないけど止められないですよ、大衆の動きは。そうすると中国が政治的動乱になる恐れあると。
僕は、中国の指導者にも面と向かって言ってきてますけどね、「共産党独裁と自由経済、そして民主主義というのは両立しないと、かならず矛盾が起きるよと、コペルニクス転換をあなたがたがするなら別だけど、多分できないだろうと。必ず共産党独裁は崩壊するよ」と、言ってるんですよ、幹部の連中に、ウン、と頷いてますけども。だけど本当に深刻な話になるんですよ、そうすると。
だからその意味で、そういうことにならないように日本が中国を助ける必要もあるし、日本が他人様を助けるためには日本自身がしっかりしなければならないし、そういう、いっぺんにいろんな問題が重なってきちゃうということがあると、今の日本の何やかや色いろ問題を抱えていながらも、みんな一定の生活を維持してやってるわけだけども、これができなくなる恐れもあると、ということで非常に心配をしております。
...............................................
◆IMF、報告書発表「中国が今後5年以内に世界一の経済大国になる」/民主主義と経済的成功の関係2011-06-11 | 国際/中国
◆「BRICS」を政治利用する中国2011-04-23 | 国際
小沢一郎氏の初公判が6日に開かれる/石川知裕議員と阪中香織さん「裁判含め共に歩む」
関連;日本を語ろう フツーの市民vs小沢一郎/最も国民の生命、財産、人権を守るべき裁判所/民主主義国家/2011-10-05
---------------------------------------
ともひろ日記 | 石川ともひろ ウェブサイト
不撓不屈 何があっても頑張ります。これからもどうぞよろしくお願いします。
2011年10月4日 火曜日 1:32 PM
小沢一郎初公判
小沢一郎氏の初公判が2日後の6日に開かれる。
現在進行形で政局に影響力を維持している政治家が法廷の場に立つのは田中角栄以来ではないか。
内外から注目が集まっている。私の元にも取材依頼が殺到しており日程を調整するのが一苦労である。
検察審査会が強制起訴力を有してから政治家を起訴するのも初めての裁判である。少し前に山崎拓氏が検察審査会から2度目の不起訴不当を受けたが当時は強制起訴権を有していなかったので起訴とはならなかった。制度変更により小沢氏は刑事被告人となったのである。
我々の調書が不採用となったが判決は推認により有罪となった。小沢裁判にどのような影響を与えるのかは私自身、全く予想できない。
しかし全体の空気が恐ろしい。「小沢が知らないはずがない」という空気である。
私自身も資金管理団体や政治団体を持っているので収支報告書を提出しなければならないがほとんどというか全て秘書任せである。但し、収入の面においては自分自身でお願いをしなければいけないので努力している。
大きな支出が決まったら決定はするが後の事務手続きは任せてある。
市民目線とはどういう目線であろうか。
冷静にそれぞれの立場になって判断してほしいものである。
==========================
小沢氏、初公判前に「がんばる」無罪に自信
産経ニュース2011.10.5 19:15
民主党の小沢一郎元代表は5日、政治資金規正法違反事件の初公判を6日に控え、衆院議員会館の自室で愛知県の大村秀章知事や側近議員らと相次いで面会した。
側近議員らによると、小沢氏は裁判について「がんばる!」と決意を語ったほか、「裁判は大丈夫ですか」と心配して尋ねた若手議員には「大丈夫さ!」と即答したという。
判決確定まで「党員資格停止中」の小沢氏だが、政治活動の継続には重ねて意欲を見せ、「日本の形を変えなければならない」などと熱っぽく持論を展開し、「無罪獲得」への自信をのぞかせた。
====================
石川議員と婚約者「裁判含め共に歩む」
十勝毎日新聞社ニュース2011年10月02日 14時52分
後援会関係者に正式に結婚を報告し、取材に応じる石川議員と阪中さん
石川知裕衆院議員の後援会「石川ともひろと新しい風の会」(藤浦義弘会長)の拡大役員会が2日午前11時から、帯広市内のとかちプラザで開かれた。石川議員は「まだまだ厳しい時代が続くが、みなさまに支えてほしい」と呼び掛けた。会場には石川議員の婚約者の阪中香織さん(27)も姿を見せ、あいさつした。
会員ら約60人が参加。藤浦会長が政治資金規正法違反事件での有罪判決に対して「21世紀の民主主義国家でこのような不当裁判が行われるのは恐ろしいこと」と改めて批判。年内に各町村後援会で報告会を開くなど、組織強化を図ることを決めた。
終了後、石川議員は結婚について「厳しい時期に来てもらったことに素直に喜んでいる。支えてくれる人がいるのは心強い」、阪中さんは「裁判のことも含めて共に歩んでいくと決意した。気を引き締めていきたい」と語った。
婚姻届は5日に帯広市役所に提出する予定。
--------------------------------------
◆「霞が関の大魔王」勝栄二郎危険極まりなし/内閣に「大増税」へと舵を切らせている 2011-10-05 | 政治
◆「増税」「宿舎建設」官僚のやりたい放題を許していいのか/勝栄二郎は小沢一郎を抑えつけ、好き放題やった2011-09-29 | 政治
◆小沢一郎を落ち目と見切った登石裁判長/財務省首領 勝栄二郎が、内閣に「大増税」へと舵を切らせている2011-09-30 | 政治/検察/メディア/小沢一郎
小沢一郎氏初公判「検察官の違法な捜査で得られた供述を唯一の証拠としており、直ちに打ち切るべきだ」
陸山会事件:小沢元代表初公判 「虚偽記載ない」無罪主張
2011年10月6日 10時44分 更新:10時47分毎日新聞 ニュースセレクト
資金管理団体「陸山会」の土地購入を巡り、政治資金規正法違反(虚偽記載)で強制起訴された民主党元代表、小沢一郎被告(69)の初公判が6日、東京地裁(大善文男裁判長)で始まった。小沢元代表は起訴内容について「(検察官役の)指定弁護士が話されたような(虚偽記載に関与した)事実はありません」と否認し、無罪を主張。その後の意見陳述で、検察の捜査を「国家権力の乱用だ」と批判した。
元代表が陸山会に提供し、土地購入に充てた4億円を政治資金収支報告書に記載しなかったなどとして、9月26日に有罪判決を受けた同会元事務担当者の衆院議員、石川知裕被告(38)ら元秘書3人=全員が控訴中=と、元代表の間で共謀があったかが最大の争点。
検察官役の指定弁護士は、元代表の関与を認めた石川被告の捜査段階の供述調書などを基に「『4億円は表に出せない金』と考えた石川被告が銀行融資で土地を購入したように装うことなどを元代表に報告し、了解を得た」と、共謀の存在を立証する方針だ。
弁護側はこうした報告や了承の存在を否定。4億円提供は「石川議員に預けたもので陸山会への貸し付けには当たらず、収支報告書への記載は不要」として、虚偽記載の成立そのものを争う。
公判では元秘書や検事ら9人の証人尋問がある。来年1月に被告人質問、3月に結審の予定。
起訴状によると、元代表は元秘書3人と共謀し、陸山会が04年10月に元代表から借り入れた4億円で土地を買ったのに、04年分政治資金収支報告書に記載しなかったなどとされる。【和田武士】
............................
小沢元代表、無罪を主張=虚偽記載「事実ない」−陸山会事件で初公判・東京地裁
資金管理団体「陸山会」の土地取引をめぐり、収支報告書に虚偽記載をしたとして、政治資金規正法違反罪に問われた民主党元代表小沢一郎被告(69)の初公判が6日、東京地裁(大善文男裁判長)で開かれた。小沢被告は罪状認否で「(検察官役の)指定弁護士が述べたような事実はありません」とし、虚偽記載を全面否認した。国民から選ばれた検察審査会が強制起訴を決めた事件で初めて開かれる裁判は、全面対決の構図となった。
罪状認否に続く意見陳述で、小沢被告は「検察官の違法な捜査で得られた供述を唯一の証拠としており、直ちに打ち切るべきだ」と主張。「証拠もないのに特定の政治家を狙ったことは、国家権力の乱用で、法治国家では許されない」と捜査を批判した。
弁護側も意見陳述し、「虚偽記載はなく、元秘書との相談や、指示もなかった」と無罪を主張した。
公判では、石川知裕衆院議員(38)=一審有罪、控訴=ら元秘書3人との共謀が最大の争点となる。虚偽記載が成立するかどうかや、起訴が適法かどうかも争われる。
指定弁護士側は冒頭陳述で、小沢被告と元秘書の関係について、「重要な問題は全て小沢被告の指示に従い、独断で事を運ぶことはなかった」と指摘した。(時事通信2011/10/06-11:25) *強調(太字・着色)は来栖
============================
「陸山会事件」判決 記者生命をかけても私が言いたいこと
週刊現代2011年10月08日号 「ジャーナリストの目」魚住 昭
石川知裕著『悪党―小沢一郎に仕えて』(朝日新聞出版刊)が売れている。発売直後で9刷5万部だからベストセラーだ。
誰も知らなかった小沢一郎の実像が絶妙の距離感で描かれているから売れるのも当然だろう。数多の小沢本(大抵はヨイショ本か、暴露本だ)が皆駄作に思えてしまうほど良質な作品だ。
石川さんは陸山会事件で政治資金規正法違反の罪に問われている。この原稿が読者の目に触れるころには東京地裁の判決が言い渡されているだろう。(筆者注・この原稿は判決数日前に書きました)
判決内容がどうあれ、私は陸山会事件の取材者として伝えておきたい事実がある。この事件は「小沢潰し」のため仕組まれたものだ。断罪されるべきは検察の不当で低劣な捜査だ。
私がそう言い切る理由は以下の通りだ。もともと陸山会事件の本丸は水谷建設のヤミ献金だった。04年10月、岩手・胆沢ダム下請け工事受注の謝礼として水谷建設が小沢側に5千万円を渡したという疑惑である。
特捜部の調べに水谷建設の元社長は「六本木の全日空ホテルのロビーで石川秘書(当時)に5千万円入りの紙袋を渡した」と供述した。これが事実なら悪質犯罪だ。小沢本人も逮捕できると特捜部は色めき立った。
だが、このヤミ献金容疑は証拠が希薄すぎた。まず、元社長の供述を裏付ける現金授受の目撃者がいなかった。当日、元社長を全日空ホテルに運んだという水谷建設の運転手の供述も曖昧だった。さらには石川さんが受け取ったはずの5千万円の行方も特定できなかった。
18年前のゼネコン汚職で特捜部は自民党の梶山静六・元幹事長を逮捕しようとしたことがある。ゼネコン幹部が「1千万円を渡した」と供述したからだ。だが強制捜査は直前になって中止された。ゼネコン幹部がそのカネを自分の懐に入れていたことが判明したためだ。この例でわかるように業者の供述を裏付ける証拠もなしに現職代議士の石川さんを逮捕できなかった。
となると残る手段は別件逮捕しかない。そこで浮上したのが不動産購入をめぐる政治資金収支報告書の“虚偽記載”だ。ヤミ献金に比べるとカスみたいな「形式犯」だが、購入時期のズレや、小沢氏個人からの借入金の不記載といった外形的事実の立証は容易だった。これを入り口に石川さんらを逮捕し、ヤミ献金受領を自白させて小沢氏の逮捕に漕ぎ着ける―それが特捜部の描いたシナリオだった。
しかし石川さんは昨年1月15日に逮捕されてからヤミ献金受け取りを否認し続けた。
彼の獄中日記には「アリバイを証明して断固戦う」(1月20日)「副部長から水谷についても立証できると言われた。本当にとんでもないことだ。検察は事件を作るといわれているが、本当だ」(1月27日)「副部長は小沢事務所が何千万円もゼネコンからもらったと思い込んでいる。何を言っても無理だ」(2月1日)と調べの模様が克明に記されている。
結局石川さんの「自白」を得られず、特捜部は本丸のヤミ献金立件と小沢氏の起訴を断念せざるを得なかった。戦後検察史でも例のない大失態だった。
そのうえ裁判では水谷建設が胆沢ダムの下請けでメリットのあるスポンサー(幹事社)をとるのに失敗していて、小沢事務所に謝礼を払う理由がなかったことが分かった。水谷建設の元会長も「裏金を渡すとき必ず『見届人』を同席させて相手方への現金交付を確認させるのがウチのルールだが、それをしていないのが解せない」と元社長の私的流用を示唆した。
私の記者生命をかけて言うが、石川さんは嘘をついていない。5千万円のヤミ献金は検察が作り上げた幻だ。たとえ判決が有罪でも石川さんには政治家を続けてほしい。泥にまみれても不条理と闘い続ければ、共感の輪は大きく広がっていく。真実より強いものはないということがきっと証明されるはずだ。
==========================
◆日本を語ろう フツーの市民vs小沢一郎/最も国民の生命、財産、人権を守るべき裁判所/民主主義国家/2011-10-05 | 政治/検察/メディア/小沢一郎
◆私の面倒を見てくれた政権の座にある人物が1日中、椅子に座らされて、1人でいるのは耐えられなかった2011-10-04 | 政治/検察/メディア/小沢一郎
◆『誰が小沢一郎を殺すのか?』の著者カレル・ヴァン・ウォルフレン氏と小沢一郎氏が対談〈全文書き起こし〉2011-07-30 | 政治/検察/メディア/小沢一郎