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小沢氏側 証拠に基づかない意見の一部を冒頭陳述から削除するよう求める異議申立書を東京地裁に提出

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陸山会事件:小沢元代表側が異議申立書を東京地裁に提出
 資金管理団体「陸山会」の土地購入を巡り、政治資金規正法違反(虚偽記載)で強制起訴された民主党元代表、小沢一郎被告(69)の弁護側は12日、「検察官役の指定弁護士の冒頭陳述に証拠に基づかない意見や評価が含まれており、裁判官に予断を与える」として、一部を削除するよう求める異議申立書を東京地裁(大善文男裁判長)に提出した。
 指定弁護士は初公判(6日)の際の冒頭陳述で、陸山会の土地購入のために元代表が提供した手持ち資金4億円の由来について「東京地検特捜部の聴取に対する説明も一貫性、合理性を欠き、今に至っても明確に説明していない」と指摘した。
 元代表の供述調書は公判前整理手続きで証拠請求されておらず、弁護側は「証拠に基づかない意見、評価だ」とした。
 指定弁護士は「削除の必要はなく、書面で反論する」としている。【和田武士】
毎日新聞2011年10月12日19時15分(最終更新10月12日20時35分)
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小沢一郎「抹殺裁判」わが国はいつからこんなに恐ろしい国になったんだ/4億円の「出所」は解決済み2011-10-08 | 政治/検察/メディア/小沢一郎
 4億円の「出所」は解決済み メディアは「逃げるな!」の大合唱だが…
日刊ゲンダイ2011年10月8日
<「二転三転の説明」批判もお門違い>
 「(土地購入の)原資は私のお金だ。詳しいことは、私の知らないことまでぜーんぶ調べた検察に聞いて!」――尿管結石の苦痛に耐えての会見でイライラが募ったのか。小沢の憮然とした態度に大マスコミは猛反発だ。土地購入のために用立てた4億円の出どころについて、「逃げずに『真実』を語れ」「二転三転の説明はおかしい」と叩きまくっている。だが、小沢がウンザリするのはムリもない。実は4億円の「出どころ」については、とうに解明済みなのだから……。
 初公判でも検察官役の指定弁護士側は、4億円の出どころを「政治活動の中で蓄えた簿外の表に出せない資金」と決め付けていた。大マスコミも検察も指定弁護士も、この4億円にこだわるのには理由がある。「原資を明快に説明することが困難」(元秘書3人の公判の判決文)ということにしないと、なぜ収支報告書にウソの記載をしたのか、という動機がなくなる。「4億円=説明できない怪しいカネ」という構図でなければ、小沢を攻撃する材料を失ってしまうのだ。
 本当に4億円は怪しいカネなのか。真相は小沢の言う通り、「私のお金」が正解だ。
「小沢さんは父親から信託を引き継いだ遺産3億円を元本に、80年代から90年代にかけて5年満期の『ビッグ』を3回は更新していたはずです」
 この発言の主は、小沢家が父・佐重喜氏の時代から取引していた安田信託銀行(現・みずほ信託銀行)神田支店の当時の担当者。ビッグとは、半年複利の変動金利型の高利回りで、バブル期に高い人気を誇った金融商品である。
 実は週刊ポストが昨年2月にこの担当者への直接取材に成功し、小沢が98年のビッグ解約時に元利合わせて、少なくとも3億6000万円の払い戻しを受けたという証言を引き出していた。これこそが、4億円の出どころである。
 大マスコミも4億円の出どころを疑うなら、この担当者を捜して話を聞けばいい。疑惑を抱いたら、自らの足で取材し真相を解明するのが、マスコミの本来の務めだ。勝手に怪しいと決め付けたカネについて、取材対象者の説明を待つだけなんて、怠慢極まりない。
<本をただせば「私のお金」に行き着く>
 土地の購入資金を聞かれた小沢が「献金してくれた皆さまのお金」「銀行融資」「金庫で保管していた個人資産」と説明を変遷させてきたことも、大マスコミはやり玉に挙げている。だが、初公判でも登場した問題の土地の購入プロセスは複雑だ。
「まず小沢が用立てた4億円をもとに『陸山会』名義で定期預金を組み、この定期預金を担保にして、銀行から小沢が4億円の融資を受け、ただちに陸山会に転貸した。そして陸山会は、この借入金で土地を購入したのです。転貸分の借入金の返済には、陸山会が集めた献金も含まれています」(司法関係者)
 つまり土地購入の原資には、小沢が説明した「献金」も「銀行融資」も「個人資産」も含まれており、本をただせば、小沢が最後に説明した「私のお金」にたどり着く。それだけの話だ。小沢の説明は分かりにくいが、決してウソではない。
 恐らく検察は土地購入プロセスは当然として、4億円の「真の出どころ」まで知っている。大マスコミは4億円の出どころを知りたければ、一蓮托生の検察に聞けばいい。検察が口ごもるのなら、自分たちにとって都合の悪い事実だからだろう。大マスコミも4億円の出どころを真剣に調査しないのは、「怪しいカネ」でいてくれた方が、小沢攻撃にとって都合がいいためだ。
 検察と大マスコミこそ、4億円の出どころから逃げ回っている。
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この国が恐ろしいのは、総ての権力が同じ方向を向いて走り、正義より自分たちの足元ばかり気にしている点だ2011-10-03 | 政治/検察/メディア/小沢一郎
小沢一郎氏 裁判/大善文男裁判長は将来が約束されたエリート判事 登石郁郎裁判長以上に体制寄り2011-10-06 | 政治/検察/メディア/小沢一郎
小沢一郎裁判=「官僚支配に従う者」と「国民主権を打ち立てようとする者」とを見分けるリトマス紙である2011-10-10 | 政治/検察/メディア/小沢一郎
小沢一郎氏 初公判 全発言/『誰が小沢一郎を殺すのか?』2011-10-06


原発から14キロ、浪江町のエム牧場で生き続ける動物たち

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原発から14キロ、浪江町のエム牧場で生き続ける動物たち
Business Media 誠 2011年10月12日(水)11時24分配信
  9月30日。私は福島県双葉郡浪江町の「エム牧場浪江農場」を訪れた。ここに来るのは4回目だ。
 福島第一原発の20キロ圏内は4月22日から警戒区域に設定されており、法的に立ち入りが制限されている。エム牧場は原発から14キロ地点にあるため、現在、通行許可証がないと入れない。今回はエム牧場の協力を得て、自動車で入ることができた。吉沢正己農場長の運転で、私は助手席に座った。
 浪江町の津島中学校付近の国道114号線では、警戒区域に入る車両をチェックしていた。以前この検問に来た時は大阪府警が車両をチェックしていたが、この日の担当は神奈川県警だった。警察官に許可証を見せると、車両ナンバーをチェックされただけで入ることができた。
 エム牧場までの道中、至るところに「I'll be back つしま」「もどるぞ つしまへ」と書かれた牧草ロールがあった。
 「本当に帰れるのか」
 吉田さんはそうつぶやいた。警戒区域に入ると、徐々に放射線量が高くなってくる。吉田さんが持っていた線量計は毎時15.47マイクロシーベルトを示していた。ただ、原発に近付けば線量が高くなる、というわけではない。より原発に近いエム牧場付近は毎時3〜7マイクロシーベルトを計測していた。エム牧場の中でも、牧草が多い場所だと毎時10マイクロシーベルト前後だった。
●牧場の牛たち
 牧場に入ると、子牛がいた。ここ数カ月以内に産まれた子牛で、正確な数は分からない。私が目で確認できたのは3頭。そのうち1頭の子牛を、大人の牛たちが私から守るように取り囲んでいる様子が印象的だった。吉沢さんは「どの子牛がどの牛の子どもなのか分からない」とこぼす。
 エム牧場には黒毛和種と日本短角種が300頭以上いるが、なぜか白黒斑の乳牛であるホルスタインが混ざっている。肉牛しかいなかったはずなのに、どうして乳牛がいるのか。
 「どこからか迷い込んで来たんですよ」と吉沢さん。「すぐに仲良くなるものですか?」と尋ねると、「仲良くなる牛もいるしね。もう柵もないので、どこかで合流して、仲良くなったんじゃないか」と答える。
●生き残った牛を殺処分するべきか
 警戒区域内でも、毎日のように餌をやりにくるのはエム牧場くらいだ。そのため、お腹を空かせた牛たちが牧場に迷い込んでくる。
 その逆もあるという。震災前は電気の通っていた柵が牧場の周囲にあったが、震災後は電気が通じていない。そのため、柵を壊して、どこかへ行ってしまった牛たちもいる。この日も、牧場から出ている牛を見ることができた。
 また、以前、牧場に訪れた時に死んでいた牛たちはすでに白骨化していた。当時、ここで死んでいた牛たちを撮影しようとすると、ほかの牛たちがやってきて、私を取り囲んだ。しかし、この日は撮影しようとしても、どの牛も見向きもしなかった。
 ちなみにエム牧場の水飲み場は、APF通信社(山路徹代表)のカメラで24時間、USTREAM中継されている。
 その水飲み場の近くにあるトラックの荷台には「希望の牧場」という文字が書かれていた。
 実は6月上旬、「希望の牧場〜ふくしま〜Project」という支援プロジェクトが立ち上がっていた。警戒区域内の牛たちは被ばくしている可能性が高いため、殺処分する方針が決まっていた。
 しかし、殺処分に同意した畜主は全体のわずか3分の1。「こうした動物たちを生かす方法はないか」を探っていたところ、「放射能災害の予防への貢献という学術研究目的なら可能ではないか」ということになった。
 「これまで国は、生き残った牛は殺処分するべきと一辺倒だった。しかし、殺処分はさせないし、研究調査することが復興にもつながる。本当にダメなのか? 可能性はないのか? やってみないと分からない。殺処分は証拠隠滅のようなもの。それをどうにか踏みとどまらせる必要がある。こんなものは世界には例がない。全頭抹殺はいけない。(訪れた国会議員も)見てくれた人は分かってくれると思う。認めてもらえるまでがんばる。牧場の周囲の人たちだって、いつかは帰りたい。そのためにはどうするのか。自分たちで除染するしかない。国や自治体は、待っていてもやってくれない。俺たちが先頭に立ってやろうということ」
 そう話す吉沢さんは震災当初、原発事故で“絶望”を味わったという。しかし、この希望の牧場〜ふくしま〜Projectによって、新たな光が見えてきた。吉沢さんは「ベコ※屋の意地」という言葉を繰り返していた。その意地で取り組んできたことで、実現に向けての動きが出てきたようだ。
※ベコ……東北地方の方言で「牛」を意味する。
 最後に吉沢さんは近くの酪農家の牛舎も案内してくれた。牛舎内には、牛の死骸が並んでいた。首輪でつながれていて、飼い主が逃げ、餌も水もなくなり、牛が餓死していく様子が想像できた。別の牛舎では、すでに内部がほかの動物によって荒らされていて、骨が無造作に散らばっていた。
●浪江町の市街地は
 浪江町の市街地へ向かうと、いまだに地震の被害がそのままだった。銀行のそばにはやせた猫がいて、ベビースターラーメンを食べていた。誰かが猫の餌として置いていったのだろう。
 また、防護服を着た住民が一時帰宅で、家に置いてある物を取りに来ていた。その自動車には、GPSの発信器が取り付けられていた。
 浪江駅前の自動販売機では、まだ電気が通じていた。以前、ここに来た時には温かい缶コーヒーを買った。今でも自販機は動いているが、ほとんどが売り切れだった。一時帰宅中の住民が駅前でいったん降りるため、ここで缶ジュースを買うのかもしれない。
 一方、駅前の新聞販売店では、震災や原発事故を伝える新聞が配られないまま放置されていた。この販売店の前にある自動販売機では、冷たい缶コーヒーが買えた。駅から少し離れているため、ここまでは住民は買いにこないのかもしれない。
●震災時のままだった請戸漁港
 浪江駅の5キロほど東にある請戸漁港では、ガレキは整理されつつあったが、いまだに漁船が散乱していた。請戸漁協の事務所や近くの小松屋旅館の残骸はそのままになっていた。
 岩手県や宮城県のほか、福島県の警戒区域外では、津波被害の区域であっても、ガレキの中から何かを探そうとする住民や復興工事をする作業員、ボランティアの姿を見かけた。しかし、請戸付近では誰ひとり会わなかった。原発災害の実態を物語っている。
 私が請戸を訪れた9月30日、政府は福島第一原発から20〜30キロ圏の緊急時避難準備区域を解除した。だが、警戒区域がどうなるのかはまだ見通しが立っていない。
[渋井哲也,Business Media 誠]

「小沢問題」が象徴するもの=司法府・国会議員の劣化/憲法の原理を知らない特捜OBたち/弾劾裁判・・・

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平野貞夫の「永田町漂流記」「日本一新運動」の原点(77)── 小沢氏の初公判での主張について  
■小沢氏の初公判での主張について
 10月6日(木)の小沢氏の初公判での主張は、日本の議会民主主義と基本的人権を踏みにじった国家権力に対する、有為な政治指導者の痛烈な警告であった。司法権がこれにどう対応するのか。わが国は暗黒の「司法ファシズム」を深めていくのか、それとも真の民主主義や、議会民主政治を確立できるのか、その瀬戸際に立たされている。これまでも繰り返し警告してきたが、おかれている状況はきわめて重要な事態を迎えているので、小沢氏の主張を中心に、憲法上の問題を整理しておく。
 第1点は、憲法14条の「法の下の平等など」の問題である。小沢氏は主張の中で、「政治資金規正法が制定されて以来、数え切れない報告間違いなどがあっても、実質的犯罪を伴わないものは、例外なく収支報告を訂正することで処理されてきた。陸山会事件が立件された後もそのような処理で済まされている。唯一、私と私の資金団体、政治団体、政党支部だけが、一昨年の3月以来、一年余りにわたり、実質犯罪を犯した証拠もないのに東京地検特捜部によって強制捜査をうけた。何故、私のケースだけが単純な虚偽記載で何の説明もなく、突然現行法の精神と原則を無視して強制捜査を受けなければならないのか。公正で厳格な法の執行とはいえない」と述べ、捜査の違憲性と不当性を指摘した。
 第2点は、憲法第11条の「基本的人権」の問題である。小沢氏は、公正で厳格な法の執行が行われていないことを指摘したうえで、「この捜査は、まさに検察という国家権力機関が政治家・小沢一郎を標的に行ったものとしか考えようがない。私を政治的・社会的に抹殺するのが目的だったと推認できるが、明確な犯罪事実と根拠が何にもなく、特定の政治家を対象に強制捜査を行ったことは、明白な国家権力の濫用であり、民主主義国家、法治国家では到底許されない暴力行為である」と述べ、カレル・ヴァン・ウォルフレン氏が論ずる「人物破壊」(キャラクター・アサシネーション)を引用して、「人物破壊とはその人物の評価を徹底的に破壊することで、表舞台から永久に抹殺する社会的暗殺、アサシネーションであり、生命を奪う殺人以上に残酷な暴力だ」と、暴力化したわが国の国家権力を糾弾している。
 第3点は、憲法前文の「国民主権」、「代表制民主主義」を具現している諸規定との問題である。小沢氏は、わが国で民主主義が崩壊している状況について、「本件で特に許せないのは、主権者たる国民から何も負託されていない検察、法務官僚が土足で議会制民主主義を踏みにじり、それを破壊し、公然と国民の主権を冒涜・侵害したことである。一昨年の衆院総選挙の直前に、証拠もないのに検察当局は捜査・逮捕権という国家権力を濫用して、私を狙って強制捜査を開始したのである。衆議院総選挙は国民が自ら主権を行使して、直接、政権を選択することのできる唯一の機会に他ならない。とりわけ、2年前の総選挙は、戦後半世紀ぶりの本格的な政権交代が十分予想された特別なものであった。そのような時に、総選挙の行方を左右しかねない、権力の行使が許されるならば、日本はもはや民主主義国家とはいえない」と述べている。これら、小沢氏の主張は現在のわが国の立法・行政・司法のかかえる問題点を鋭く指摘したものである。
 この小沢氏の主張を、巨大メディアが意図的に、悪意をもって小沢排除に利用していることが残念である。さらに悲劇的なことは、一部の良識ある国会議員しか小沢氏の主張を理解できていないことである。多くの国会議員は、現在の日本を議会民主政治の危機と考えない無感性派である。加えて問題なのは、小沢問題を政治的に利用して、自らの権勢を拡大しようとしている国会議員が多数いることだ。9月26日(月)の、陸山会事件での3人の元秘書への東京地裁判決が、憲法の基本原理を侵害していることは前回のメルマガで述べたとおりだ。こうなると司法府と立法府が結託して、新しい「日本型ファシズム」をつくり、国民生活を脅かしているといえる。
■憲法の原理を知らない特捜OBたち
 小沢氏の初公判の主張に対して、メディアを中心にさまざまな反応がある。その中で目立つのは特捜OBたちが計画的に批判していることだ。前回のメルマガでも、朝日新聞に掲載された河上元東京地検特捜部長の主張を論破しておいたが、同質の主張を8日のフジテレビで、堀田力元特捜部副部長が論じていた。
 その論旨は「検察が証拠を厳格に集め、それに基づいて裁判に持ち込むというやり方ばかりでは問題が生じるので、推認にもとづく証拠で裁判に持ち込み、裁判官が判断するというやり方が司法の新しい流れだ。小沢氏関係の捜査と裁判は、その新しい方法でやっているのだ」という趣旨であった。この論は河上氏が主張する「米国の法廷中心主義」のことである。証拠を厳格に集めるのならまだしも、証拠を改竄するという非道まで陥ったのが村木事件ではなかったか。
 排他的投機資本主義という経済分野だけでなく、司法分野まで米国の悪いやり方が導入されているとすれば大変なことである。「米国式法廷中心主義」の本質は、陪審制という市民の名による「集団リンチ」に他ならない。米国ではこれらの弊害を防ぐため、「基本的人権」を護る厳しい方策を国家権力に求めているのが新しい流れだ。
 河上・堀田氏らの頭の中には、司法試験に合格するために、憲法の言葉だけの定義を形式だけ摘み食いしているのだ。千歩、否、万歩譲って司法の新しい流れを認めるにしても、そのためにはそれに相応しい制度を整備する必要がある。裁判員制度とか、新しい検察審査会がそれだということになろうが、未だその制度が整備されておらず、権力濫用の原因になっている。これは立法府たる国会の責任でもある。
 もっと大事なことは、仮に制度が整備されていても、それに関わる人間―検事・裁判官・弁護士という、法曹関係者の実務教育ができていないことである。文化の違う制度を導入した場合、慎重な対応が必要だ。
 国民は大きな期待をもったが、旧体制は抵抗する政権交代の総選挙の直前に、こともあろうに、新政権の首相候補を狙い撃ちする捜査をやることは、例え「新しい流れ」という詭弁を弄しても、民主主義国家とはいえない。これは常識ある国民なら「推認」できる。
 それにしても河上氏の頭の中はどうかしている。9日(日)の日本テレビ「バンキシャ」で、小沢氏の初公判での主張を批判し「政治家が司法を批判すべきでない。小沢氏は憲法を知らない」など、ウォルフレン氏が指摘する「人物破壊」発言を繰り返していた。そもそも、巨大メディアが、特捜部長を務めた人物をメイン・コメンテーターに使うことすら重大な問題だ。事実上検察の代弁的広報活動をやっているのだ。小沢氏の、国会での説明責任の話など法曹人としての常識を疑う。
 それ以上に、主権者の代表たる国会議員が、彼らに何ら反論できないことが問題だ。現在の司法府の劣化をどれだけ認識しているのか。「小沢問題」はその象徴であり、これからの、国のあり方を問う重大な案件である。急がれる東北復興と福島第一原発災害への対応とともに、憲法が明記する「国権の最高機関」の自負を持たなければ、主権者である国民を代表する資格はない。
 河上氏も堀田氏も、国民の間に多くの疑問が残ったままのロッキード事件で、特捜検事として大活躍した人物だ。私もロッキード国会では衆議院議長秘書として、三木内閣・中曽根自民党・野党・検察の間で苦労させられた。それだけでなく、私の証言資料について特捜から脅された事実がある。ロッキード事件の捜査と裁判にどんな問題があったか、次回に取り上げよう。
投稿者: 平野貞夫 日時:2011年10月15日09:36
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判事の弾劾裁判要求検討=石川議員の有罪判決で−平野貞氏
 小沢一郎民主党元代表の知恵袋として知られる平野貞夫元参院議員は14日、宇都宮市内で開かれた内外情勢調査会で講演し、元代表の秘書だった石川知裕衆院議員に有罪判決を下した東京地裁の登石郁朗判事について「(罷免のための)弾劾裁判へ向け、訴追請求を現在考えている」と明らかにした。
 憲法は裁判官を含む公務員の罷免を国民固有の権利と規定。裁判官の罷免を求めるには国会に置かれた裁判官訴追委員会に訴追請求状を提出する。同委員会が罷免の訴追を決定すれば、弾劾裁判所に訴追状を提出し、裁判が開始される。罷免訴追事件は過去に8例あるが、判決が不当だとの理由で訴追されたケースはない。平野氏は講演で「関係者の意見を聞いた上で行動を起こしたい」と語った。
 元代表の資金管理団体をめぐる政治資金規正法違反事件で、登石判事が裁判長を務めた9月26日の判決では、石川議員の供述調書の大半を証拠採用しなかったものの、状況証拠から同議員と元公設第1秘書の共謀を認定。平野氏はこの点について、自身のブログの中で「『疑わしきは罰せず』という憲法原理は崩壊する」と問題視している。(時事通信2011/10/14-23:44)
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小沢一郎氏 初公判 全発言/『誰が小沢一郎を殺すのか?』2011-10-06 | 政治/検察/メディア/小沢一郎
 〈小沢元代表 初公判の全発言〉
 今、指定弁護士が話されたような事実はありません。裁判長のお許しをいただき、ただいまの指定弁護士の主張に対し、私の主張を申し上げます。
 指定弁護士の主張は、検察の不当・違法な捜査で得られた供述調書を唯一の根拠にした検察審査会の誤った判断に基づくに過ぎず、この裁判は直ちに打ち切るべきです。
 百歩譲って裁判を続けるにしても私が罪に問われる理由はまったくありません。なぜなら、本件では間違った記載をした事実はなく、政治資金規正法の言う虚偽記載には当たりませんし、ましてや私が虚偽記載について共謀したことは断じてないからです。
 また本件の捜査段階における検察の対応は、主権者である国民から何の負託も受けていない一捜査機関が、特定の意図により国家権力を乱用し、議会制民主主義を踏みにじったという意味において、日本憲政史上の一大汚点として後世に残るものであります。以下にその理由を申し上げます。
 そもそも政治資金規正法は、収支報告書に間違いがあったり、不適切な記載があった場合、みずから発見したものであれ、マスコミ、他党など第三者から指摘されたものであれ、その政治団体の会計責任者が総務省あるいは都道府県選管に自主申告して収支報告書を訂正することが大原則であります。
 贈収賄、脱税、横領など実質的犯罪を伴わないものについて、検察や警察が報告の間違いや不適切な記載を理由に捜査すると、議会制民主主義を担保する自由な政治活動を阻害する可能性があり、ひいては国民の主権を侵害するおそれがある。
 だからこそ政治資金規正法が制定されて以来、何百件、何千件と数え切れないほどの報告間違いや不適切な記載があっても実質的犯罪を伴わないものは検察の言う単純な虚偽記載も含めて例外なく、すべて収支報告書を訂正することで処理されてきました。陸山会の事件が立件されたあとも、今もそのような処理で済まされています。
 それにも関わらず唯一私と私の資金管理団体、政治団体、政党支部だけがおととし3月以来1年余りにわたり、実質的犯罪を犯したという証拠は何もないのに東京地検特捜部によって強制捜査を受けたのであります。もちろん、私は収賄、脱税、背任、横領などの実質的犯罪はまったく行っていません。
 なぜ私のケースだけが単純な虚偽記載の疑いで何の説明もなく、突然現行法の精神と原則を無視して強制捜査を受けなければならないのか。これではとうてい公正で厳正な法の執行とは言えません。したがってこの事例においては、少なくとも実質的犯罪はないと判明した時点で捜査を終結すべきだったと思います。
 それなのに、おととし春の西松事件による強制捜査、昨年初めの陸山会事件による強制捜査など、延々と捜査を続けたのは、明らかに常軌を逸しています。
 この捜査はまさに検察という国家権力機関が政治家・小沢一郎個人を標的に行ったものとしか考えようがありません。私を政治的・社会的に抹殺するのが目的だったと推認できますが、明確な犯罪事実、その根拠が何もないにもかかわらず、特定の政治家を対象に強制捜査を行ったことは、明白な国家権力の乱用であり、民主主義国家、法治国家では到底許されない暴力行為であります。
 オランダ人ジャーナリスト、カレル・ヴァン・ウォルフレン氏は、近著「誰が小沢一郎を殺すのか?」で「小沢一郎に対する強力かつ長期的なキャラクター・アサシネーション、『人物破壊』は、政治的に類を見ない」と言っています。「人物破壊」とは、その人物の評価を徹底的に破壊することで、表舞台から永久に抹殺する社会的暗殺であり、生命を奪う殺人以上に残虐な暴力だと思います。
 それ以上に、本件で特に許せないのは、国民から何も負託されていない検察・法務官僚が土足で議会制民主主義を踏みにじり、それを破壊し、公然と国民の主権を冒とく、侵害したことであります。
 おととしの総選挙の直前に、証拠もないのに検察当局は捜査・逮捕権という国家権力を乱用して、私を狙って強制捜査を開始したのであります。
 衆議院総選挙は、国民がみずから主権を行使して、直接、政権を選択することのできる唯一の機会にほかなりません。とりわけ、2年前の総選挙は、各種世論調査でも戦後半世紀ぶりの本格的な政権交代が十分に予想された特別なものでありました。そのようなときに、総選挙の行方を左右しかねない権力の行使が許されるとするならば、日本はもはや民主主義国家とは言えません。
 議会制民主主義とは、主権者である国民に選ばれた代表者たる政治家が自由な意思により、その良心と良識に基づいて、国民の負託に応え、国民に奉仕する政治であります。国家権力介入を恐れて、常に官憲の鼻息をうかがわなければならない政治は、もはや民主主義ではありません。
 日本は戦前、行政官僚、軍部官僚検察・警察官僚が結託し、財界、マスコミを巻き込んで、国家権力を乱用し、政党政治を破壊しました。その結果は、無謀な戦争への突入と悲惨な敗戦という悲劇でした。昭和史の教訓を忘れて今のような権力の乱用を許すならば、日本は必ず同様の過ちを繰り返すに違いありません。
 東日本大震災からの復興はいまだに本格化できず、東京電力福島第一原子力発電所の事故は安全な収束への目途すら立たず、加えて欧米の金融・財政危機による世界恐慌の恐れが目前に迫ってきている時に、これ以上政治の混迷が深まれば、国民の不安と不満が遠からず爆発して偏狭なナショナリズムやテロリズムが台頭し、社会の混乱は一層深まり、日本の将来は暗たんたるものになってしまいます。そうした悲劇を回避するためには、まず国家権力の乱用を止め、政党政治への国民の信頼を取り戻し、真の民主主義、議会制民主主義を確立する以外に方法はありません。まだ間に合う、私はそう思います。
 裁判長はじめ裁判官の皆様の見識あるご判断をお願い申し上げ私の陳述を終えます。ありがとうございました。
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小沢一郎裁判=「官僚支配に従う者」と「国民主権を打ち立てようとする者」とを見分けるリトマス紙である2011-10-10 | 政治/検察/メディア/小沢一郎
 リトマス試験紙
田中良紹の「国会探検」日時:2011年10月9日

 小沢裁判は、明治以来の官僚支配に従う者と、日本に国民主権を打ち立てようとする者とを見分けるリトマス試験紙である。裁判の結果とは別に、誰が官僚の手先で民主主義を破壊する者かがあぶり出される
 初公判での小沢一郎氏の陳述は、私がこれまで書いてきた事と軌を一にするものであった。私が書いてきたのは以下の事である。事件は政権交代を見据えてその推進力である小沢氏の政治的排除を狙ったものである。しかし十分な材料がないため捜査は無理を重ねた。目的は有罪にする事ではなく小沢氏の排除であるから、メディアを使って無知な大衆を扇動する必要がある。大衆に迎合する愚かな政治家が小沢排除の声を挙げれば目的は達する。
 民主主義国家における検察は、国民の代表である国会議員の捜査には慎重の上にも慎重を期さなければならない。それが国民主権の国の常識である。国家機密を他国に売り渡すような政治家や、一部の利益のために国民に不利益を与えた政治家は摘発されなければならないが、その場合でも国民が主権を行使する選挙の前や、政治的バランスを欠いた捜査をやってはならない。民主主義の捜査機関にはそれが課せられる。
 ところが一昨年、小沢氏の秘書が突然逮捕された「西松建設事件」は、政権交代がかかる総選挙直前の強制捜査であった。しかも政治資金収支報告書の記載ミスと言えるのかどうか分からないような容疑での逮捕である。これで逮捕できるならほとんどの国会議員が摘発の対象になる。そんな権限を民主主義国家が捜査機関に与えて良い筈がない。
 しかも捜査のやり方が極めて異常であった。かつて私が東京地検特捜部を取材したロッキード事件も奇怪な事件で、事件の本筋とは言えない田中角栄氏が逮捕され、国民は「総理大臣の犯罪」と思い込まされたが、それでも当時は手順を踏んだ捜査が行なわれた。ところが今回は国会議員に関わる事件であるのに検察首脳会議を開かず、「若手検事の暴走」という前代未聞の形での着手である。
 それほどの異常な捜査を新聞もテレビも追及する側に回らず擁護する側に回った。平均給与が全産業を上回るほど利益追求に走った新聞とテレビは、国税や検察がその気になれば、脱税などの犯罪で摘発される可能性があり、財務省や検察を批判する事など恐ろしくて出来ないからだろう。
 そして案の定、愚かな政治家が「政治的道義的責任」などと騒ぎ出し、国民生活のために議論しなければならない国会の審議時間を削るような事を言い出した。「国会で国民に説明責任を果たせ」と言うのである。そんな馬鹿な事を言う政治家が世界中にいるだろうか。「説明責任(アカウンタビリティ)」とは会計用語であり、国民から預った税金の使い道について「官僚には説明する責任がある」という意味である。
 前にも書いたが、アメリカのクリントン大統領には「ホワイトウォーター疑惑」と呼ばれるスキャンダルがあった。アーカンソー州知事時代に不動産業者に便宜を図って違法な献金を受けた疑惑である。事件が発覚した後に自殺者も出た。特別検察官が選ばれて捜査が開始された。しかしクリントン大統領に「議会で国民に説明しろ」などという声は上がらない。議会が喚問したのは検察官である。議会は行政府をチェックするところであるからそれが当たり前だ。説明責任があるのは政治家ではなく検察官僚なのである。それが日本では逆転している。
 日本の捜査機関は国会に呼ばれてもろくに答弁しない。「捜査中につきお答えできない」で終わる。サリン事件が起きた時、日本の警察は国会でそう言って答弁を拒否したが、同じ頃にアメリカ議会ではFBI、CIAが議会に喚問され、アメリカ国内でのオウム真理教の活動について捜査内容を証言させられた。そのビデオテープを自民党議員に見せたら「うらやましい」と言った。日本の国会は行政府に舐められているのである。
 「ホワイトウォーター疑惑」に関わったとされるヒラリー夫人は大陪審に喚問されて証言した。しかし議会には喚問されない。司法が追及している時に、議会が同じ事をやる意味はないし、議会にはそんな暇もない。ところがこの国では不思議な事が続いてきた。何かと言えば「国会で証人喚問しろ」と言うのである。それがどれほど意味のないバカバカしいパフォーマンスであるかを、政治家はイヤというほど見てきた筈だ。
 ところが今回も野党の党首クラスが揃いも揃って「証人喚問」などと騒いでいる。全く学習効果のない哀れな連中である。ロッキード事件以来続けられてきた「政治とカネ」のスキャンダル追及ほど民主主義政治の足を引っ張ってきたものはない。国民の税金の使い道を徹底して議論しなければならない予算委員会で、日本の政治は肝心要の事をやらずに政治家のスキャンダル追及に力を入れてきた。大衆に気に入られたいためである。
 下衆(げす)な大衆は権力者の凋落を見るのが何より楽しい。それが自らの生活を貶める事になるとは思わずに「やれ、やれ」となる。直接民主制であった古代ギリシアでは有能な政治家ほど大衆から妬まれて追放された。偉大な哲学者ソクラテスは愚かな大衆から死刑判決を受けた。ギリシアの民主主義は長く続かなかった。民主主義は厄介なもので、大衆が政治や裁判を直接左右すると民主主義は潰れるのである。それが歴史の教訓である。
 明治以来の官僚支配の背景にも官僚勢力とメディアによる大衆の扇動があった。政党政治家の原敬が暗殺され、反軍演説をした斉藤隆夫が衆議院から追放され、田中角栄が「闇将軍」となった背景にもそうした事情がある。
 小沢陳述はそうした過去にも触れつつ、検察権力の横暴と議会制民主主義の危機を訴えた。しかしそれに対するメディアの反論は、「検察が不起訴としたのに検察を批判するのは筋が違う。起訴したのは検察審査会だ」とか、「4億円の出所を言わないのはおかしい」という瑣末なものである。
 すべての問題の発端を作ったのは検察で、目的は小沢氏の政治的排除にあるのだから、そもそも不起訴にして大衆の扇動を狙っていた。従って乗せられた方ではなく乗せた方を批判するのは当然である。また自分の財布の中身をいちいち説明しなければならない社会とはどういう社会なのか。それが違法だと言うなら、言う方が違法性を証明しなければならない。それが民主主義社会のルールである。「政治家は公人だから」と言ってあらゆる責めを負わせるのは、国民主権を嫌う官僚の昔からのやり口である。
 ともかく初公判後の記者会見で小沢氏は検察とメディアに対し闘争宣言を行なった。潰れるか潰されるかの戦いを宣したのである。検察もメディアも引けないだろうが、不起訴処分にした検察は既に一歩後ろに退いており、前面に立つのは司法とメディアである。
 行政権力の手先だと世界から見られている日本の司法とメディアがこの戦いにどう対抗するのか。小沢氏を潰そうとすればするほど、民主主義の敵に見えてくるのではないかと私には思える。
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『誰が小沢一郎を殺すのか?』〈カレル・ヴァン・ウォルフレン著〉
p47〜
 歴史が示すように、日本では政党政治は発展しなかった。しかも1世紀以上を経たいまなお、それはこの国にとって大きな問題であり続けている。だからこそ民主党は与党となっても悪戦苦闘を続けているのだ。政党政治が発展しなかったからこそ、軍事官僚が、当時の日本の10倍にも達する産業基盤を有する国アメリカを相手に戦争をはじめても、それに対して日本はなんら対処することができなかったのだ。
p48〜
 小沢氏をはじめとする改革派政治家たちはみな、彼らにこそ国家を運営する権利があり、義務があると信じている。官僚が国に滅私奉公する善なる存在であるなどと、彼らはもちろん考えてはいない。我々が一歩退いてみるとき、小沢氏のような政治家をつぶそうとするメカニズムは、近代国家の道を歩みはじめたばかりの当時の日本で、すでに機能していたことがわかる。つまり日本の近代化が推し進められるのとときを同じくして、政治家に対する陰謀も進行していったということだ。そして小沢氏こそ、この百数十年もの長きにわたり、連綿と続けられてきた陰謀の犠牲者にほかならないのである。
p50〜
 そして体制の現状維持を危うくする存在であると睨んだ人物に対して、その政治生命を抹殺しようと、日本の検察と大新聞が徒党を組んで展開するキャンペーンもまた、画策者なき陰謀にほかならない。検察や編集者たちがそれにかかわるのは、日本の秩序を維持することこそみずからの使命だと固く信じているからである。そして政治秩序の維持とは旧来の方式を守ることにほかならない。そんな彼らにとって、従来のやり方、慣習を変えようとすることはなんであれ許しがたい行為なのである。この種の画策者なき陰謀で効果を発揮するツールこそがスキャンダルである。そして検察や編集者たちは、そのような人物があらわれたと見るや、まるで自動装置が作動しているのではないかと思えるほどに、予想に少しも違(たが)わない反応を見せる。
p60〜
 欧米諸国を参考とした大日本帝国憲法もほかの法律も、専制的な権力から国民を守ることを想定したものではなかった。つまり日本の当局は欧米の法律を参考にしはしても、その「精神」を真似ることはなかったというわけだ。そして今日、もちろん不当なあつかいから国民を守るべきだという理念はあり、それが過去数十年で強められてきてはいても、現実には、それはいまなおきわめて曖昧模糊とした感情の領域に押しとどめられている。そのため大抵の日本人はいまだに、法律というのは単に政府が人々の行動を抑制するための手段なのだ、と見なしている。これに関して忘れてはならない事実がある。東京大学法学部というのは、日本の政治システムの最上部を占める高官を輩出することで知られているわけだが、その教授陣はいまだに法律を官僚が統治に利用する手段にすぎないととらえている。そして彼らはそうした視点に立って、学生に教え続けているのである。要するに、時代が変わったとはいえ、法律は権力エリートが用いるツールであるとする見方は、日本では以前とまったく変わっていないということなのだ。
 また日本の官僚たちの間では、自分の目的を達成するために、法律のなかから適切なものを選び出すという習慣が長いこと続いてきた。そして自分たちの計画が法律の文言に抵触しかねない場合は、実に巧に新しい解釈を考え出す。このように日本では、法律というのは当局にとって、あくまでも秩序を維持するためのツールでしかない。そのため、国民みずからが与えられているはずの権利を政治システムの上層部に対して主張する目的で、法律を利用するよう奨励されているなどということは決してないのである。
p64〜
 1960年代と70年代に日本の政治、そして権力構造について研究していた時期、私はそのようなやり方が繰り返し行われていることに気づいた。だからこそ日本の政治・経済について初めて執筆した著書〔『日本/権力構造の謎』〕のなかで、「法を支配下におく」という1章を設けたのだ。
 私はそのなかで、権力者の独り歩きを可能にするような方法で、日本では法律は支配するのではなく、支配されているのであって、この国の権力システムにおいて、法律は政治に関して許容すべきこととそうでないことを決定づける基準にはなっていない、と説いた。すなわち独り歩きをする日本の権力システムに対して、異議を唱え、改革を加えようとする者を阻止するような仕組みがある、ということだ。本書のテーマに当てはめて解説するならば、小沢氏のような野心的な政治家、あるいは彼のように改革を志す政治家が将来何人あらわれようと、現体制はあくまでそれを拒むというわけだ。
 いま、小沢氏の政治生命を抹殺しようと盛んにキャンペーンが繰り広げられているのも、これによって説明がつく。
p65〜
 99・9%という「無謬」
 中立的な権威としての法律を日本の政治システムから遠ざけておくやり方はそのほかにもいくつかある。法律が非公式な政治システムに対して、なんら影響をおよぼすことが許されないとしたら、ではなにがシステムをつかさどっているのか?。それは暗黙の了解事項、つまり不文律であり、記憶のなかで受け継がれる古い習慣だ。裁判官もまた体制に大きく依存している。最高裁事務総局に気に入られるような判決を下さなければ、地方に左遷されかねないことを、彼らは考えないわけにはいかない。戦前、戦後を通じて日本の裁判官たちは、法務省のトップクラスの検察官を恐れてきた。これが99・9%という人間の検察の有罪判決率を可能にした理由の一つである。
 つまり、みずから裁判にかけたケースで99・9%の勝利をおさめるに日本の検察は、事実上、裁判官の役割を果たしているということになる。つまり、日本ではわずか0・1%、あるいはそれ以下に相当するケースを除いては、法廷に裁判官がいようといまいと、その結果に大した違いはないということだ。
p68〜
 しかし日本に関してもうひとつ気づいたことがある。それは社会秩序を傷つけかねないどんなものをも未然に防ぐという検察の任務が、政治システムにおいても重視されているという事実だ。当然、そのためにはシステムの現状を維持することが必要となる。問題は、現状をわずかでも変える可能性があると見れば、どんな人間であっても既存の体制に対する脅威と見なしてしまうことである。そのような姿勢は当然のことながら、小沢氏のみならず、日本という国家そのものにとっても望ましいものではない。なぜならば多くの日本人は長い間、権力システムの改革が必要だと考えてきたからだ。後述するが、自民党と日本の秩序をつかさどる人々との間には、一種、暗黙の了解のようなものがあり、それが50年にわたって保たれてきたのだろう。そして自民党が政権の座を追われたいま、単に自民党とは行動の仕方が違うという理由で、体制側は民主党を、小沢氏という個人とともに、脅威を与える存在と見ているのだ。

オレ竜、球団初の連覇! 球団社長の敗戦ガッツポーズで一丸に/ G渡辺会長「落合虎なら強くなる」

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オレ竜、球団初の連覇!球団社長の敗戦ガッツポーズで一丸に
 球団史上初のセ・リーグ連覇を果たし、宙を舞う落合監督(撮影・出月俊成)
 「横浜3-3中日」(18日、横浜)
 中日が横浜と引き分け、球団史上初となる2連覇で9度目の優勝を決めた。首位ヤクルトに一時は最大10ゲーム差をつけられていたが、シーズン終盤になって故障者が復活するなど戦力が整い、大逆転に成功した。今季限りでの退団が決まっている落合博満監督(57)にとっては、指揮を執って8年目で4度目のリーグ制覇となった。
 オレ流指揮官が舞った。無数の手に突き上げられ、万感の思いがこみ上げた胴上げ。涙が止まらない。球団史上最大となる10ゲーム差を逆転した奇跡の退任V。監督就任8年目で4度目のリーグ制覇。球団史上初のリーグ連覇で有終の美を飾った。
 前半戦終了時点で、首位・ヤクルトと8差。ただ、落合監督は動じなかった。「ちょうど72試合を終わって8ゲーム差だろ。後半に同じ試合数残ってるんだ。だから8ゲームは追い付けるだろ」。単純な数式。指揮官の動揺は、倍以上になって伝染する。泰然自若の姿勢を貫いた。
 連覇の原動力となった事件がある。ナゴヤドームで行われた9月6日の巨人戦。3対5で敗れた試合後の関係者通路。坂井球団社長が、なんとガッツポーズを繰り出した。複数の球団関係者がその光景を目にし、すぐさまチーム内に広まった。
 「ウチがひとつにまとまったのは、あのガッツポーズからだよ」と落合監督。アンチ落合の急先鋒。敗北=落合の汚点。喜ぶ心情は理解できる。だが、球団社長という立場にあるまじき禁断のポーズは、フロント不信を招くと同時に、選手の反骨心を呼んだ。
 ある主力選手が言う。「あり得ないっす。監督のことを嫌いなのは構わない。人間ですから。ただ、試合をやってるのは、僕たち選手なんですよ。ガッツポーズなんて考えられない。選手をバカにしてるのと一緒ですよ」。荒ぶる心。ぶつける場所のない怒り。すべてを戦場でパワーに変えた。
 ファンサービスが足りない。野球がつまらない。監督就任後から、外野の声に自問自答を重ねてきた。「いろいろ言われることには慣れてる。ただ、オレは現場を預かる最高責任者として、何ができるかを考えたら、勝つことしかないんだ。勝って気持ちよく家に帰ってもらう。それが一番のファンサービスだろ」。何を言われようと、オレ流を貫いた。
 志半ばでドラゴンズのユニホームを脱ぐ。契約社会。終わりと言われればそれまで。野球界に生き続けてきた男として、その図式に異論はない。9月22日の電撃解任発表。「確かに契約書には、契約が切れる1カ月前までに来年の契約について話し合うとはあるけど、発表するとまでは書いてないんだ」。現場の空気を無視し、選手感情にも配慮せず、待ったをかけた白井オーナーを押し切ってまで、自らのクビ切りに執着した球団フロントへの恨みは尽きない。
 ただ、野球人・落合博満の歩む道を自らで汚しはしない。「みんなが絶対に優勝するんだとやってきたんだ。オレも最後まで全力を尽くすよ」。唯一、成し遂げていない公約。リーグ優勝&日本一の完全制覇。誰にも文句を言わせない金字塔を残し、オレ流指揮官は竜を去る。
[デイリースポーツ2011年10月19日7:18]
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G渡辺会長推薦…落合虎なら強くなる!
 “落合阪神”なら強くなる‐。巨人・渡辺恒雄球団会長(85)が14日、都内のホテルで会食後、阪神の次期監督候補に浮上した中日・落合博満監督(57)に太鼓判を押した。今季限りで所属球団を退任する同監督を「名監督」と大絶賛。宿命のライバル、猛虎再建にはうってつけの指揮官だとの持論を展開した。
 オレ流監督なら猛虎を再建できる‐。阪神は今季、CS進出を逃した場合、真弓監督を解任する方針。後任候補に浮上しているのが外部招へいの場合、今季限りで所属球団を退任する中日・落合博満監督、日本ハム・梨田昌孝監督で、内部昇格の場合は和田豊打撃コーチやOBで評論家の平田勝男氏だ。
 渡辺球団会長は、虎の次期監督候補に浮上した落合監督についてズバリ、「いいじゃないか」と断言した。さらに「阪神を強くできますか?」の報道陣の質問に「と思うよ」と明言した。
 理由は、シンプルだ。「あれは名監督だから」。今季限りで所属球団を退任する落合監督だが、「落合君は必ず、どっかから(監督就任要請が)くると。どっかの球団は必ず落合君を取るよ」。その手腕を高く評価した球団が、招へいに動くと大胆に予想した。
 高評価は具体的だ。「何も動かない、愛嬌(あいきょう)ないっていうけど、監督に愛嬌は必要としない」と寡黙な指揮官を肯定。さらに「度胸と判断力があれば。ジーッと座って表情、変えない。これ監督の必須の要件だね」と、落合監督が指揮官の理想像であるように力説した。
 巨人の球団会長としても当然“注目”していたようだ。今季が3年契約の最終年となる巨人・原監督は来季続投が決定的。「巨人は原君がいるから落合君、取れないけど、誰もいなかったら落合君、取るよ。原君がいるから落合君、取らないけどね」と衝撃的ともいえる発言が飛び出した。
 いずれにせよ、ここまで熱っぽく語る背景には伝統の一戦を盛り上げたい、との思いもありそうだ。すでに阪神の坂井信也オーナーと極秘会談していたことを明かしているが、「坂井さんともこの話をしたんだけど、やっぱり巨人と阪神で頑張ろうと。そうじゃなかったらプロ野球がね、ドンドン、ドンドン、人気が落ちる一方だよ」。さらに「やっぱり巨人、阪神が頑張ってどっちかがいつも優勝に絡む、という状況じゃなかったらダメだよ」と熱望した。
 伝統の一戦を盛り上げるため‐。“落合阪神”が起爆剤になるとにらんでいる。
(デイリースポーツ2011年10月15日)
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〈来栖の独白〉
 連覇、優勝、おめでとう。落合さん、ありがとう。感動とプロの野球をありがとう。傑出した知将。何があっても〈よいときも悪いときも〉表情を変えなかった。真の指揮官。ありがとう。
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落合博満監督 退任/落合さん・小沢一郎さんがいなくなることは、プロの仕事師がいなくなること2011-09-23  野球・・・など
落合監督退任報道に中日ファンは怒り心頭/高度な理論の落合野球/高木次期監督はしばらく黙ってろ!2011-10-06
楽天・山崎が退団/中日・平田は6年目で初の2けたHR〜落合さんが丹精した果実。たわわに実った。2011-10-10

「人権侵害救済法案」に反対する議員連盟「真の人権擁護のあり方を考える会」(仮称)発足へ

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民主党に人権救済機関法案反対議連 月内発足へ
産経ニュース2011.10.5 01:30
 政府・民主党が来年の通常国会に提出を目指す「人権侵害救済法案」に反対する民主党議員が今月下旬に議員連盟「真の人権擁護のあり方を考える会」(仮称)を発足させることが4日、分かった。この法案には自民党にも反対論が根強く、民主党反対派と連動する可能性もある。
 議連は、鷲尾英一郎、長尾敬両衆院議員らが中堅・若手を中心に参加を呼びかけている。鷲尾氏らは法案が言論弾圧を生む可能性を指摘した上で「これまで党執行部は党内の反対意見や批判に耳を傾けなかった」と語っており、法制化に際しより慎重な検討作業を進めるよう求めていく構え。
 鷲尾氏は「北朝鮮による日本人拉致問題を取り上げ、真に守らなければならない人権問題について検討したい」と語っており、超党派の拉致議連などとの連携を示唆。自民党の反対派にも賛同を呼びかけ、将来は超党派議連に発展させたい考えだ。
 政府は今年8月、江田五月法相(当時)が法務省政務三役名で、人権侵害の被害者救済を図る新たな人権機関設置の基本方針を発表。民主党の「人権侵害救済機関検討プロジェクトチーム(PT)」もこの方針を了承した。
 基本方針では、独立性の高い「人権委員会」が法務省の外局として設置され、人権侵害の有無を調査し、勧告などを出す権限を付与される。
 だが、人権侵害の定義が曖昧な上、委員会の権限が強大であり憲法21条(表現・出版の自由)に抵触し、公共の利益が侵害される危険性が指摘される。
 都道府県の地方法務局などが窓口となり人権擁護委員を委嘱するが、「地方参政権を有する者」から選ぶことになっており、永住外国人に地方参政権が付与されれば外国人も有資格者となる。

6割で重要証拠発見=「信頼関係で自白」7割

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6割で重要証拠発見=「信頼関係で自白」7割−取り調べ実態調査・警察庁
 殺人などの凶悪事件で、容疑者の取り調べの結果、死体や凶器などの重要な証拠を発見したのは6割に上ることが20日、警察庁のまとめで分かった。事件捜査で、取り調べが重要な役割を果たしている実態が浮き彫りになった。
 取り調べをめぐっては、民主党の議員連盟や日弁連が、全過程の録音・録画(可視化)を主張。これに対し同庁は、容疑者との信頼関係が築けず、自白が得にくくなるなどとして慎重な姿勢を示している。
 同庁は、殺人や強盗事件を調べる全国の捜査本部が昨年中に解決した56事件、容疑者86人の取り調べ状況などを取調官を対象に調査した。
 調査では、32事件(57.1%)で取り調べが重要証拠の発見につながったと回答。内訳(複数回答)は、凶器が26件、被害品が10件、死体が5件などで、いずれも取り調べをしなければ発見されなかったとみられる。
 容疑者のうち自白した57人について、そのきっかけも複数回答で調査。「取調官との信頼関係」が最多の68.4%で、次いで説得や追及など「取り調べの技術」が50.9%、「罪の意識」が47.4%だった。(時事通信2011/10/20-10:11)
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陸山会・西松建設事件判決に見る危うさ 調書主義を転換、裁判官の印象・推認で黒白を決するようになった2011-09-27 | 政治/検察/メディア/小沢一郎

逆転無罪判決 裁判員制度にまた課題/大分県竹田市で母親殺害に問われた統合失調症の男性被告

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逆転無罪判決 裁判員制度にまた課題が
2011年10月20日 11:00 社説
 心神喪失とは、精神の病などで、事の善悪を判断し、それに基づいて行動することが全くできない状態を指す。この能力が著しく低下したのが心神耗弱だ。
 日本の刑法では、被告が心神喪失なら責任能力がないとみなされ、刑事責任は問われない。心神耗弱の場合は刑が軽減される。刑事裁判では精神科医の鑑定を参考に、裁判所が判断している。
 ただ、裁判官でも見極めは難しい。一般市民の裁判員なら、なおさらだろう。この問題点が、控訴審での「逆転無罪」という形で浮き彫りとなった。
 大分県竹田市で母親を殺害したとして殺人罪に問われた統合失調症の男性被告(51)に対し、福岡高裁が「責任能力を認めた一審判決は誤り」と指摘し、逆転無罪を言い渡した。最高検によると、控訴審が裁判員裁判の有罪判決を破棄し、全面無罪としたのは初めてだ。
 一審の大分地裁でも被告の責任能力が最大の争点だった。弁護側は「心神喪失状態だった」と無罪を主張したが、判決は「善悪を理解する能力を失っていたとはいえない」として、犯行当時は心神耗弱状態だったと認定し懲役3年、保護観察付き執行猶予5年を言い渡した。
 これに対し控訴審判決は、被告が急に犯行を思い立ったことや約1時間もしつこく攻撃を繰り返した異様さなどを挙げ「真面目で思いやりのある以前の人格と異なり」「当時は重度の統合失調症による心神喪失状態だった」と認定した。
 最高裁司法研究所は裁判員裁判実施前に「控訴審は裁判員の判断をできる限り尊重する必要がある」と求めたが、一審に事実認定などで誤りがあるなら上級審で是正するのは当然のことである。
 問題は、一審の大分地裁の裁判員裁判で審理が十分尽くされたかどうかだ。あらためて検証する必要があろう。
 一審は今年1月25日から2月2日まで審理されたが、事件を話し合う評議は実質2日間とみられている。証拠には一般市民には難解な精神鑑定書も含まれていた。専門家から「日程が十分だったか疑問が残る」との声が上がっている。
 被告を裁くとなれば「理解できない」では済まされない。一歩間違えば無罪の人を有罪にする恐れがあるからだ。
 今回、控訴審は裁判官だけで初公判から判決まで約1カ月かけている。判決は多角的に責任能力を吟味したことがうかがわれる。裁判のプロでも、これぐらいの慎重さが要るということだろう。
 責任能力の有無を争う裁判では、専門用語を分かりやすく説明し、十分な審理時間を確保することは欠かせない。
 心神喪失が疑われる事件は裁判員裁判の対象から外すべきだ−という意見がある。今回の事態に照らすと、検討すべき課題だろう。市民感覚を生かすという裁判員裁判の趣旨とは別次元の話だ。
 来年は裁判員法が「施行3年後」と定めた制度の見直し時期に入る。この問題も重要な見直し事項である。=2011/10/20付 西日本新聞朝刊=
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裁判員・被害者参加制度

人権法案/全国で暴排条例施行「異様な時代が来た」/芸能界との関係「恩恵受けること一つもない」

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民主ちゃんとして〜“マル暴”喜ぶ「人権法案」ホントに大丈夫?
zakzak2011.10.19
 暴力団排除条例が全国の都道府県で施行され、暴力団の資金源遮断が進むなか、一部の団体幹部が「人権団体」などへの転換を模索していることが、分かった。政府・民主党は来年の通常国会に「人権侵害救済法案」の提出を目指している。同法案が成立した場合、暴力団から形態を変えた“人権団体”が錦の御旗として掲げる可能性があるという。
 「山口組2次団体の幹部から直接聞いている。『(暴排条例で)仕事がどんどん奪われている。若い者たちは生きる道がなくなってきた。このままでは人権運動でもやっていくしかない』と。これに人権侵害救済法案が利用される危険がある」
 こう語るのは、元公安調査庁第2部長の菅沼光弘氏。北朝鮮情報などを収集するために、現職当時から在日朝鮮人が含まれる暴力団にもアンテナを広げてきた。現在も、暴力団の動向には関心を寄せている。
 暴排条例は、資金源の遮断が暴力団関係者の排除には最も有効だとの考え方に基づき、警察庁の指導で2009年から制定が始まった。今月1日、東京都と沖縄県で施行されて、全都道府県で足並みがそろった。
 その影響は甚大で、元タレントの島田紳助さん(55)が引退するなど、芸能界やスポーツ界の勢力図が書き換えられつつあるうえ、企業も暴排条例に合わせて対応を強化。全国で露天商を展開していた山口組2次団体が除籍、解散に追い込まれたとされる。
 こうしたなか、一部の暴力団が人権侵害救済法案に着目しているというのだ。菅沼氏はいう。
 「暴排条例で暴力団を形式的に社会から孤立させようとすると、一部の暴力団は看板を下ろし、人権団体などに形態を変えていく可能性は十分ある」
 実際、山口組の篠田建市(通称・司忍)組長(69)は、産経新聞のウェブサイトに今月1日に掲載された独占取材で、暴排条例について『このままでは将来的に第2の同和問題になると思っている』『厳しい取り締まりになればなるほど、裏に潜っていき、進化していく方法を知っている』などと答えている。
 人権侵害救済法案は、不当な差別や虐待からの救済を目的としたもの。民主党の「人権侵害救済機関検討プロジェクトチーム(PT)」が了承した基本方針では、独立性の高い「人権委員会」が法務省の外局として設置され、人権侵害の有無を調査し、勧告などを出す権限を付与される。
 一方で、(1)人権侵害の定義が不明確。拡大解釈されかねない(2)人権擁護委員の選定基準が曖昧。外国人もなれる(3)自由な言論が抑圧されかねない−といった問題点が指摘されている。同法案が成立すれば、暴力団から形態を変えた人権団体はどうなるのか。
 「法的な武器を持つことになる。法律がなくても『差別だ』『人権侵害だ』などと騒ぐだろうが、成立すれば運動をバックアップすることになる。警察も簡単には手を出せなくなるのではないか」(菅沼氏)
 排除する一方で“武器”を与える。なんとも、ちぐはぐな話になりかねないのだ。
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【山口組組長 一問一答】
(上)全国で暴排条例施行「異様な時代が来た」
産経ニュース2011.10.1 12:00  
 暴力団への利益供与などを禁じる東京都と沖縄県の暴力団排除条例が1日、施行された。これにより、暴力団の資金源根絶を目的にした暴排条例が全都道府県で出そろった。日本最大の指定暴力団「山口組」の篠田建市(通称・司忍)組長(69)は条例施行を前に、神戸市灘区の山口組総本部で産経新聞の取材に応じた。一般の事業者にも暴力団との関係遮断の努力義務が課された都条例について、「異様な時代が来た」と批判したうえで、山口組の解散を明確に否定した。一問一答は次の通り。
 −−全国で暴力団排除条例が施行されるなど暴力団排除の機運が急速に高まっているが、どのように捉えているか
 異様な時代が来たと感じている。やくざといえども、われわれもこの国の住人であり、社会の一員。昭和39年の第1次頂上作戦からこういうことをずっと経験しているが、暴力団排除条例はこれまでとは違う。われわれが法を犯して取り締まられるのは構わないが、われわれにも親がいれば子供もいる、親戚もいる、幼なじみもいる。こうした人たちとお茶を飲んだり、歓談したりするというだけでも周辺者とみなされかねないというのは、やくざは人ではないということなのだろう。しかも一般市民、善良な市民として生活しているそうした人たちがわれわれと同じ枠組みで処罰されるということに異常さを感じている。先日、芸能界を引退した島田紳助さんの件は条例施行を前にした一種のデモンストレーションだったとしか受け止められない。われわれは日本を法治国家と考えている。俺自身も銃刀法違反罪で共謀共同正犯に問われた際、1審では無罪という微妙な裁判だったが、最高裁で実刑判決が確定した後は速やかに服役した。法治国家に住んでいる以上は法を順守しないといけないとわかっているからだ。今回の条例は法の下の平等を無視し、法を犯してなくても当局が反社会的勢力だと認定した者には制裁を科すという一種の身分政策だ。今は反社会的勢力というのは暴力団が対象だが、今後拡大解釈されていくだろう。
−−身分政策というのは?
 われわれの子供は今、みんないじめにあい、差別の対象になっている。われわれに人権がないといわれているのは知っているが、家族は別ではないか。若い者たちの各家庭では子供たちが学校でいじめにあっていると聞いているが、子を持つ親としてふびんに思う。このままでは将来的に第2の同和問題になると思っている。一般の人はそういう実態を全く知らない。ただ、山口組というのは窮地に立てば立つほどさらに進化してきた。昭和39年のときもわれわれの業界は終わりだといわれていた。ところがそれから1万人、2万人と増えた。弾圧といえば語弊があるが、厳しい取り締まりになればなるほど、裏に潜っていき、進化していく方法を知っている。今後一層、襟を正すために勉強し、山口組は進化していく。だが、裏に潜ることは山口組としてはあまりよしとしていない。任侠を守っていこうとしているが、取り締まりが厳しくなればなるほど、潜っていかないといけなくなる。それを一番危惧している。暴排条例ができたこと自体はまったく心配していない。
 −−今後、山口組をどのように運営していくつもりなのか。広域暴力団という形を捨てたり、解散したりする考えはないか
 山口組を今、解散すれば、うんと治安は悪くなるだろう。なぜかというと、一握りの幹部はある程度蓄えもあるし、生活を案じなくてもいいだろうが、3万、4万人といわれている組員、さらに50万人から60万人になるその家族や親戚はどうなるのか目に見えている。若い者は路頭に迷い、結局は他の組に身を寄せるか、ギャングになるしかない。それでは解散する意味がない。ちりやほこりは風が吹けば隅に集まるのと一緒で、必ずどんな世界でも落後者というと語弊があるが、落ちこぼれ、世間になじめない人間もいる。われわれの組織はそういう人のよりどころになっている。しかし、うちの枠を外れると規律がなく、処罰もされないから自由にやる。そうしたら何をするかというと、すぐに金になることに走る。強盗や窃盗といった粗悪犯が増える。大半の人たちはわれわれを犯罪者集団と突き放していることはわかっている。その一因が私たちの側にあるのも事実で、そうした批判は謙虚に受け止める。しかし、やくざやその予備軍が生まれるのは社会的な理由がある。そうである以上、俺にできることは、これまで以上の任侠道に邁進する組織にすることだ。ぜい沢を求めて、自分勝手な行動を取る者は脱落する。組員はごく普通に暮らせればいい。そういう人間を一つの枠で固めているから犯罪が起きにくいという一面もある。矛盾しているように聞こえるかもしれないし、なかなか信じてもらえないだろうが、俺は暴力団をなくすために山口組を守りたいと考えている。そのことはこれからの行いで世間にご理解を願うしかない。
 −−世間の人は暴力団組員が「普通に暮らせればいい」と思っているとは思っていない
 これだけ締め付けられ、しかもこの不況下でぜい沢ができるわけがない。そもそもやくざをしていて得なことはない。懲役とは隣り合わせだし、ときには生命の危険もある。それでも人が集まってくる。昔から言われることだが、この世界で救われる者がいるからだと思う。山口組には家庭環境に恵まれず、いわゆる落ちこぼれが多く、在日韓国、朝鮮人や被差別部落出身者も少なくない。こうした者に社会は冷たく、差別もなくなっていない。心構えがしっかりしていればやくざにならないというのは正論だが、残念ながら人は必ずしも強くはない。こうした者たちが寄り添い合うのはどこの国でも同じだ。それはどこかに理由がある。社会から落ちこぼれた若者たちが無軌道になって、かたぎに迷惑をかけないように目を光らせることもわれわれの務めだと思っている。
 −−解散はしないというが、警察は暴力団の壊滅を目指しているし、一般市民もそれを望んでいるのではないか
 山口組は他の団体に比べて突出して規模が大きいので、警察は反社会的集団として指弾しやすいのではないか。3万、4万人の反社会的集団というと、警察にとって脅威になるというのは決まっている。警察も山口組を解散し、千人や2千人の組にばらばらにしたいと思っているのだろう。しかし、山口組の存在でわれわれの業界の治安が守られているという事実がある。山口組を解散し、80の直系組織が個々の団体になった場合、当然縄張り争いが起き、抗争事件が続発している九州のようになるのは間違いない。今はほとんど抗争事件は起きていないし、ほかの団体とも平和外交に徹してきた。だからこそ、山口組を維持することが俺の責任であり、義務であると思っている。ひとつ加えると、われわれは暴力団といわれている業界のなかではすごく紳士的だ。一般の人よりも長幼の序とか、そういうことは厳しく守られている。ホテルとか公共の場で徒党を組まないとか3人以上で歩かないとか、そういう面でも厳しくしている。
 −−しかし、過去にはたくさんの抗争事件が起き、一般市民が巻き添えになっているケースもある
 やくざがかたぎに迷惑をかけることは理由がどうあれ許されない。これには一分の言い訳もない。やくざと仲間内のけんかはつきものだったが、すでにそうした時代ではないと認識している。
 −−警察当局は山口組と、組長の出身組織の弘道会を集中的に取り締まっているが、どう考えるか
 山口組については、多少なりとも法に触れた者が多かったのだろう。法に触れた以上は検挙されても仕方がない。弘道会は山口組若頭の高山(清司被告=恐喝罪で起訴)に代替わりをして、もう6年になる。山口組というのは個々の組が山口組の綱領を守りながらも独立した組織になっている。弘道会がどういうことをしているか把握していない、というよりも関知していない。
 −−しかし、弘道会は「反警察」の急先鋒とされ、それが集中取り締まりの大きな要因になっている
 弘道会の会長は高山であり、本人が不在のときにうんぬんと述べるべきではないと思う。ただ、そういう捉え方をされるのは、組織の人数が増え、規模が大きくなったからではないか。弘道会という名前に求心力があるのかどうかはわからないが。昔から反警察ではない。地域で何かやるときは警察に協力することもある。例えば天皇陛下が来られる、著名人が来るから自粛しなさいといわれれば従っている。反警察といわれること自体驚いている。
 −−弘道会は警察の家宅捜索や職務質問の際に非協力的といわれている
 家宅捜索は、組員とトラブルになったところだけがテレビなどで放映されるので、そういうイメージがついているのだろう。山口組を含めて、6代目の体制になってからは警察に速やかに入り、調べてもらいなさいという姿勢をとっている。昔はどったんばったんやったりして殴られたりもしたが。

【山口組組長 一問一答】
(下)芸能界との関係「恩恵受けること一つもない」
産経ニュース2011.10.2 12:00
 暴力団排除条例の全都道府県での施行前に、神戸市灘区の山口組総本部で産経新聞の取材に応じた指定暴力団山口組の篠田建市(通称・司忍)組長(69)。条例に対する批判のほかに、資金源や注目される芸能界との関係についても言及した。一問一答の続きは次の通り。
 −−組長の服役中に暴力団情勢は大きく変化した。この間の組織の運営についてどう思うか
 社会不在の期間中は、若い者たちに非常に苦労をかけたと思う。山口組の歴史を守ろうと思うと、時代に即応した順応性が必要だ。執行部はそれに沿って対処しており、俺自身は満足している。時代感覚を的確に捉えていない、時代を上手に理解しなくて自分らの形だけを守ろうとしている旧態依然の感覚の者が落後していったというのは事実で、新旧交代が上手にできたと思っている。前よりも組織がまじめになった。時代に即応した組織づくりをして、俺自身というより本部として求心力を増した。みんなには感謝している。
 −−山口組は覚醒剤や不良外国人との接触を禁じているが、この方針を守り切れていない状況がうかがえる
 山口組は厳しく覚醒剤と不良外国人との接触を禁じている。実際、山口組が、薬物の売買や不良外国人との接触を本当にしているのならば、今以上に治安が悪化し、薬物も蔓延しているはずだろう。ただ、末端の組員の一部不届き者たちが禁止事項を破り、われわれの目を盗んで己の欲望を満たすために任侠道の名を汚していることは紛れもない事実。だから、せめてそういう組員を少なくしないといけないということで麻薬撲滅を標榜している。まず内側から浄化していかないといけないということだ。外部に対して撲滅なんておこがましいことを言っているわけではない。不良外国人たちは今、日本のやくざが行き過ぎだと思える法令、条例が施行されて以降、われわれが自粛している間に東京の池袋や新宿、渋谷、あるいは名古屋、大阪などのたくさんの中核都市に組織拠点をつくり、麻薬、強盗などあらゆる犯罪を行っている。これが今後、民族マフィアと化していったら本当に怖くなるだろう。こちらもおこがましいが、それらの歯止めになっているのが山口組だと自負している。中部地方の場合、麻薬は全部外国人がやっている。山口組の組員は一切やっていない。名古屋に錦という飲み屋街があるが、外国人を一人も入れていない。かつては外国人がいっぱいで薬物を売ったりしていたが、20年前に閉め出した。そうしたら新栄という街に流れた。全部閉め出したら、窮鼠猫を噛むで収拾がつかないのでそこだけは外国人に開放しているが、その地域の治安がものすごく悪い。外国人同士の抗争事件もここの地域だけで起きる。しかも外国人は10代の女の子を標的にしている。1人に薬を渡して、今度はその子らが友達に、と輪が広がっているため、麻薬犯罪の低年齢化が進んでいる。もしわれわれが組織的に麻薬に手を出したら、ある程度の矜持といったらおかしいが、子供には渡さない。しかし、外国人は売ってなんぼだから小学生だろうが全然関係ない。
 −−窃盗や強盗などで摘発される組員が増えている。この状況についてどう考えるか
 景気、不景気に左右され、窃盗や強盗で摘発される組員も確かにいる。今後もそのような者が出るようであれば厳しく執行部に指導させていく。しかし、現役の組員はごく一部に過ぎない。新聞には摘発が増えているように掲載されているが、過去に破門、絶縁された者があたかも現役組員のように発表されているためだ。われわれの破門状の郵便消印を比べれば一目瞭然だ。
 −−破門した人たちの捕捉はしているのか
 ある程度はできるが、きりがない。彼らは1人では何もできないから、破門者同士が集まって徒党を組み、グループをつくっている。それが不良外国人と組んで窃盗をやったり、いろんな犯罪をしている。
 −−破門者はどれくらいいるのか
 人数ははっきりとわからないがかなりの数に上る。山口組の1次団体はともかく、2次団体や3次団体は10人いれば9人は破門になっている。厳しいからだ。だれでも組員になれるのではない。もうひとつ心配なのは暴力団排除の行方だ。暴力団を辞めさせるのはいい。しかし辞めた組員は食えない。元組員や前科者を雇ってくれる企業など現実にほとんどない。ましてやこの不況だ。となればすぐに金になる悪事に走る。コンビニ強盗、窃盗、薬物、ほかにもいろいろあると思うが、元組員となればわれわれが意見することもできない。しかも暴対法は指定暴力団を対象にしていて、組を抜けたこうした犯罪集団には何の効果もない。どこか矛盾しているのではないか。
 −−それでは組の資金源はどういうものなのか
 基本は正業だ。揺すりたかりや薬物では断じてない。もともと、山口組の出発点は今でいう港湾荷役の人材派遣業だった。その後、芸能などの興業に進出した。昔から世の中に褒められない業種もある。遊興ビジネスなどがそうだが、そういう業種は確実な利潤が見込めないし、複雑なもめごとがつきものだから、大手の資本はリスクを嫌って進出しない。そうした隙間産業にやくざは伝統的に生息してきた。今も基本的には変わらない。建設関係などまっとうな仕事もあるが、今は暴力団と関係があるというだけでそうした仕事はできない。人材派遣も、飲食業もできない。どういう方法で正業が立つかと検討している。不良外国人は飲食店とかいろんなことやっているが、許可は得ていない。次から次へと変えていく。われわれもそうなっていくのかな、と思っている。悪に走ろうと思ったら、明日からでもできるが、任侠を標榜している以上、人の道に反することはしない。
 −−犯罪収益が資金源になっているのではないか
 われわれは泥棒や詐欺師ではない。オレオレ詐欺なんてとんでもない話だ。年老いた親の世代をだましたり、貧困ビジネスという食えない身寄りのない路上生活者をむしるようなことは断じて許されない。少なくとも山口組にそうした者がいれば厳しく処分する。そもそも山口組は下部組織からの上納金で毎月多額のお金を集めていると思っているのではないか。そんなことはありえない。山口組は経費として、全員でその月その月の頭割りで個人負担しているだけで、上納金なんて一切ない。
 −−今、芸能界との関係が問題視されている
 昔は興行でかかわったが、今はもう、われわれが芸能界から恩恵を受けることは一つもない。何かあったら芸能人を呼んだりするやくざもいたが、もうほとんどいない。たまに昔から知っている芸能人とお茶を飲んだりすることはあっても、利益供与なんか一銭もない。むしろ、われわれは利用されている。芸能事務所などが仕事をとるために、どこそこの組と関係があるとうたっている。祝儀をあてにしてわれわれのところを訪ねてくる芸能人もいる。一般の人は利益を得ていると誤解している。今後、暴力団排除の動きが強くなるだろうが、われわれは関知しない。一連の流れで思うのは、暴力団排除キャンペーンは警察の都合ではないか。別にやくざ絡みの犯罪が増えているわけではないし、過去にもパチンコ業界への介入や総会屋排除などが叫ばれ、結局、警察OBの仕事が増えた。今回も似たような背景があるのではないだろうか。ともあれ、われわれは任侠に生きる者として、人としての矜持をわきまえ、人の尊厳を守り、いかなる逆風であろうとも揺るぎのない信念で若い者たちを指導していくつもりだ。
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“マル暴”条例の先導役トップが突然退任!何が起きたのか
zakzak2011.10.14
 全国警察組織のトップ、警察庁の安藤隆春長官(62)が勇退し、後任に片桐裕次長(60)が昇格する人事が14日午前の閣議で了承された。17日付で発令される。日本警察史に残る「山口組壊滅作戦」を主導し、全国の都道府県に暴力団排除条例を施行させる牽引役を務めてきた安藤氏については続投が有力視されていただけに、退任の背景に注目が集まっている。
 退任情報は、連休明けの11日夕、霞が関や永田町の関係者に伝えられ、一斉に広まった。その唐突さゆえ、関係者らはスキャンダル説や健康問題説をささやきあった。
 安藤氏は1972年に警察庁入庁、2009年6月に警察庁長官に就任。日本最大の暴力団「山口組」(本拠・神戸市)の篠田建市(通称・司忍)組長(69)の出身母体「弘道会」(本部・名古屋市)を封じ込めるため、愛知県警に「弘道会特別対策室」を設置するなど、暴力団排除路線を貫いた。
 今年1月の年頭会見では「最重要課題は暴力団対策。日本の治安の風景を変える覚悟でやりたい」と明言。元タレントの島田紳助さん(55)が、山口組幹部との交際を理由に芸能界を引退した直後の9月初めには、「芸能界においても本格的な取り組みがなされることを期待したい」と述べ、業界に自主的排除を求めた。
 在任2年を超えた安藤氏だが、肝いりの暴力団対策法の一部改正案を来年の通常国会に提出予定なうえ、夏の警察人事では、安藤氏の退任発表がないまま、部下の幹部人事が次々に発表された。このため、「霞が関人事は、上が動いてから、下も動くのが常識。『今年の退任はない。続投だ』とみられていた」(霞が関関係者)
 今回の退任について、警察関係者は「幹部人事の停滞が背景にある」といい、こう解説する。
 「漆間巌元長官が04年8月から07年8月まで、異例の3年間も長官を務めたこともあり、人事が詰まっている。警察社会で『警視総監は警察庁長官に次ぐナンバー2』とされてきたが、8月に就任した樋口建史警視総監は78年入庁。年次では、警察庁の片桐次長(75年入庁)、米田壮官房長(76年入庁)に継ぐ4番目。これらが問題視されていたのは事実だ」
 ただ、こうも続ける。
 「山岡賢次国家公安委員長は外遊中で、安藤氏も来週16、17日に鹿児島出張を予定していた。退任が急に決まったのは間違いなさそうだ。本人の決断か、誰かの進言なのかはまだ分からない」
 ともかく、安藤氏の退任で、暴力団が狂喜乱舞することだけは許してはならない。
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警察庁 安藤隆春長官「芸能界と暴力団との関係を断ち切るために 警察は必要な支援を行いたい」2011-09-01 | 社会


「小沢氏検察糾弾の不当性」土本武司/ 「陸山会事件・裁判は小沢潰しのため仕組まれたものだ」魚住昭

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元最高検検事・土本武司 小沢氏検察糾弾に3つの不当性
2011.10.20 02:49産経ニュース[正論]  
 自身の資金管理団体「陸山会」の土地購入をめぐる事件で、政治資金規正法(政規法)違反の罪に問われた元民主党代表、小沢一郎被告が、10月6日に東京地裁で開かれた初公判で、起訴事実を全面的に否認し、無罪を主張した。
 ≪検察ファッショ批判もかくや≫
 それだけなら、予想の範囲内の展開であった。想定の域を越えたのは、小沢被告が、自らを強制起訴した検察審査会ではなく、不起訴処分とした検察を糾弾したことと、その調子の激しさである。
 小沢被告は、本件を「形式的なミスで、修正すれば足るもの」だとして、「直ちに裁判を打ち切るべきだ」と唱えたにとどまらず、「本件が特に許せないのは、国民の負託を受けていない検察が議会制民主主義を踏みにじり国民主権を冒涜したことだ。検察が捜査、逮捕権を乱用し、当時、野党第一党の代表だった私を狙って、強制捜査をした。恣意(しい)的な権力行使が許されるなら、民主主義国家とはいえない」とまで言い募った。
 まるで、昭和初期の「帝人事件」で政治的、強権的な捜査が行われたことから沸き起こったとされる、「検察ファッショ」批判もかくや、と思わせるような時代錯誤的な意見陳述である。小沢被告は見当違いも甚だしい。以下では、その理由を論述したい。
 第一に、これは「記入ミス」といった言い訳では絶対にすまされてならない重大な事犯である。
 そもそも、政規法は政治の透明性と健全性、公平性などを担保する重要な法律であり、それに違反することは、民主主義を損なうという意味で決して軽くない罪だ。加えて、今回の虚偽記入額は政規法違反事件史上、最高である。
 ≪政治資金規正法違反の重さ≫
 陸山会は2004年10月に東京都世田谷区の土地を購入した際、小沢被告から借り入れた資金4億円を同年分の政治資金報告書に記載せず、総額約21億7000万円に上る虚偽記入を行っている。
 実際、事件で訴追された石川知裕ら元秘書の3被告とも先月、有罪判決を言い渡されている。判決はしかも、石川被告らが中堅ゼネコンの水谷建設から受け取った1億円のヤミ献金を隠すことが虚偽記入の動機の一つと認定するとともに、「事件の背景に公共工事をめぐる企業と小沢事務所の癒着がある」と明確に断罪している。
 小沢被告については、虚偽記入の共犯責任を疑われながら、検察官は嫌疑不十分で不起訴とした。だが、これを不服とした市民の申し立てが東京第5検審に出され、1回目の起訴相当議決、東京地検特捜部の再不起訴処分を経て、昨年9月に2回目の起訴相当議決がなされ、この1月、検察官役の指定弁護士によって起訴された。
 実行行為者は石川被告ら元秘書たちであり、小沢被告にかけられたのは共謀共同正犯者の嫌疑である。本人が否認する中で、共犯性を立証するのは容易ではない。
 検察は、汚職事件などに進展する可能性も視野に入れて捜査を進め、石川被告らから虚偽記入に関し、「事前に小沢氏に報告・相談し、その了承を得た」との供述を得たものの、小沢被告については犯意・共謀など共犯を認める主観的要件に関する立証は困難だと判断、起訴を見送った。その後、前述の経緯を辿った次第である。
 小沢被告に対する公訴は、起訴相当議決に基づき指定弁護士が提起したのであって、検察が行ったものではない。したがって、自分への訴追を「恣意的な権力行使」と決めつけるのなら、検察を非難の対象にするのは文字通り、的外れである。小沢被告の意見陳述の第二の不当性が、そこにある。
 ≪検審制度の本旨に沿った訴追≫
 小沢被告は、改正検審制度の下での強制起訴は、検察による事件捜査があって初めて成り立ったわけであるから、全ての元凶は検察だと言いたいのかもしれない。
 だとすれば、先に見たように、検察はその当否はともかく検察なりの判断で不起訴処分としたのであるから、非難は筋違いだし、同時に検審の独自性をも疑わせかねず、二重の意味で問題だ。小沢意見陳述の第三の不当性である。
 確かに、従来、検審による起訴相当の議決があっても、法的拘束力がなかったので、検察の不起訴方針が覆ることはまずなかった。しかし、平成16年の検審法の改正により、審査員11人のうち8人以上の意見で、「起訴相当」議決が2回、繰り返された場合には、起訴が強制されることになった。
 改正検審制度は、裁判員制度が刑事裁判への民意の反映を旨としているのと同じように、起訴・不起訴という公訴権の行使に民意を反映させるところに意義がある。小沢被告に関する議決書も、「善良な市民感覚で起訴相当の議決をした」としている。有罪か無罪かという検察官と同様の立場ではなく、疑惑のある政界の大物にかかわる事案について公開の法廷で事実関係を明らかにすることに主眼を置いた考え方で、検審制度の本旨に即していると評価できる。
 何かを「冒涜」しているのはむしろ小沢被告の方で、司法を「冒涜」しているのではないのか。(つちもと たけし)
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小沢一郎氏 初公判 全発言/『誰が小沢一郎を殺すのか?』2011-10-06 | 政治/検察/メディア/小沢一郎
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小沢一郎氏初公判「検察官の違法な捜査で得られた供述を唯一の証拠としており、直ちに打ち切るべきだ」2011-10-06 | 政治/検察/メディア/小沢一郎 
「陸山会事件」判決 記者生命をかけても私が言いたいこと
週刊現代2011年10月08日号 「ジャーナリストの目」魚住 昭
 石川知裕著『悪党―小沢一郎に仕えて』(朝日新聞出版刊)が売れている。発売直後で9刷5万部だからベストセラーだ。
 誰も知らなかった小沢一郎の実像が絶妙の距離感で描かれているから売れるのも当然だろう。数多の小沢本(大抵はヨイショ本か、暴露本だ)が皆駄作に思えてしまうほど良質な作品だ。
 石川さんは陸山会事件で政治資金規正法違反の罪に問われている。この原稿が読者の目に触れるころには東京地裁の判決が言い渡されているだろう。(筆者注・この原稿は判決数日前に書きました)
 判決内容がどうあれ、私は陸山会事件の取材者として伝えておきたい事実がある。この事件は「小沢潰し」のため仕組まれたものだ。断罪されるべきは検察の不当で低劣な捜査だ。
 私がそう言い切る理由は以下の通りだ。もともと陸山会事件の本丸は水谷建設のヤミ献金だった。04年10月、岩手・胆沢ダム下請け工事受注の謝礼として水谷建設が小沢側に5千万円を渡したという疑惑である。
 特捜部の調べに水谷建設の元社長は「六本木の全日空ホテルのロビーで石川秘書(当時)に5千万円入りの紙袋を渡した」と供述した。これが事実なら悪質犯罪だ。小沢本人も逮捕できると特捜部は色めき立った。
 だが、このヤミ献金容疑は証拠が希薄すぎた。まず、元社長の供述を裏付ける現金授受の目撃者がいなかった。当日、元社長を全日空ホテルに運んだという水谷建設の運転手の供述も曖昧だった。さらには石川さんが受け取ったはずの5千万円の行方も特定できなかった。
 18年前のゼネコン汚職で特捜部は自民党の梶山静六・元幹事長を逮捕しようとしたことがある。ゼネコン幹部が「1千万円を渡した」と供述したからだ。だが強制捜査は直前になって中止された。ゼネコン幹部がそのカネを自分の懐に入れていたことが判明したためだ。この例でわかるように業者の供述を裏付ける証拠もなしに現職代議士の石川さんを逮捕できなかった。
 となると残る手段は別件逮捕しかない。そこで浮上したのが不動産購入をめぐる政治資金収支報告書の“虚偽記載”だ。ヤミ献金に比べるとカスみたいな「形式犯」だが、購入時期のズレや、小沢氏個人からの借入金の不記載といった外形的事実の立証は容易だった。これを入り口に石川さんらを逮捕し、ヤミ献金受領を自白させて小沢氏の逮捕に漕ぎ着ける―それが特捜部の描いたシナリオだった。
 しかし石川さんは昨年1月15日に逮捕されてからヤミ献金受け取りを否認し続けた。
 彼の獄中日記には「アリバイを証明して断固戦う」(1月20日)「副部長から水谷についても立証できると言われた。本当にとんでもないことだ。検察は事件を作るといわれているが、本当だ」(1月27日)「副部長は小沢事務所が何千万円もゼネコンからもらったと思い込んでいる。何を言っても無理だ」(2月1日)と調べの模様が克明に記されている。
 結局石川さんの「自白」を得られず、特捜部は本丸のヤミ献金立件と小沢氏の起訴を断念せざるを得なかった。戦後検察史でも例のない大失態だった。
 そのうえ裁判では水谷建設が胆沢ダムの下請けでメリットのあるスポンサー(幹事社)をとるのに失敗していて、小沢事務所に謝礼を払う理由がなかったことが分かった。水谷建設の元会長も「裏金を渡すとき必ず『見届人』を同席させて相手方への現金交付を確認させるのがウチのルールだが、それをしていないのが解せない」と元社長の私的流用を示唆した。
 私の記者生命をかけて言うが、石川さんは嘘をついていない。5千万円のヤミ献金は検察が作り上げた幻だ。たとえ判決が有罪でも石川さんには政治家を続けてほしい。泥にまみれても不条理と闘い続ければ、共感の輪は大きく広がっていく。真実より強いものはないということがきっと証明されるはずだ。
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日本を語ろう フツーの市民vs小沢一郎/最も国民の生命、財産、人権を守るべき裁判所/民主主義国家/2011-10-05 | 政治/検察/メディア/小沢一郎
私の面倒を見てくれた政権の座にある人物が1日中、椅子に座らされて、1人でいるのは耐えられなかった2011-10-04 | 政治/検察/メディア/小沢一郎  
『誰が小沢一郎を殺すのか?』の著者カレル・ヴァン・ウォルフレン氏と小沢一郎氏が対談〈全文書き起こし〉2011-07-30 | 政治/検察/メディア/小沢一郎

「小沢一郎氏を国会証人喚問」の愚劣

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国会証人喚問の愚劣
田中良紹の「国会探検」
  
 新聞が民主主義の破壊者である事を示す論説を読んだ。10月17日付朝日新聞の若宮啓文主筆による「検察批判は国会でこそ」という論説である。
 初公判を終えた小沢一郎氏が記者から国会の証人喚問に応ずるかと問われ、「公判が進んでいる時、立法府が色々議論するべきでない」と語った事を批判し、「公判で語った激しい検察批判は、国会で与野党の議員たちにこそ訴えるべき」と主張している。
 この主筆は、国会がこれまで繰り返してきた証人喚問の愚劣さ、それが日本の民主主義を損ねてきた現実に目をつむり、証人喚問を「議会制民主主義」を守る行為であると思い込んでいるようだ。政治の現実からかけ離れた論説を読まされる読者は哀れである。
 国会の証人喚問が脚光を浴びたのは1976年のロッキード事件である。テレビ中継の視聴率は30%を越えた。喚問された小佐野賢治国際興業社主は「記憶にございません」を連発してそれが流行語になった。3年後のグラマン事件では喚問された海部八郎日商岩井副社長の手が震えて宣誓書に署名できず、喚問を公開する事の是非が議論された。
 そもそも証人喚問は国政調査権に基づいて行なわれるが、行なうには全会一致の議決が原則である。それほど慎重にすべきものである。容易に証人喚問が出来るようになれば、多数党が野党議員を証人喚問し、場合によっては偽証罪で告発できる。国民から選ばれた議員を国会が政治的に潰す事になれば国民主権に反する。民主主義の破壊行為になる。 
 また証人とその関係者が刑事訴追を受けている場合、証人は証言を拒否する事が認められている。つまり司法の場で裁かれている者は証人喚問されても証言を拒否できるのである。従って司法の場で裁かれている証人を喚問しても真相解明にはならない。真相解明はあくまでも司法に委ねられる。
 それではなぜ刑事訴追された者まで証人喚問しようとするのか。大衆受けを狙う政党が支持率を上げるパフォーマンスに利用しようとするからである。これまで数多くの証人喚問を見てきたが、毎度真相解明とは無縁の単なるパフォーマンスを見せられてきた。しかし大衆にとっては、いわば「お白洲」に引き出された罪人に罵詈雑言を浴びせるようなうっぷん晴らしになる。かつて証人喚問された鈴木宗男議員や村上正邦議員は喚問には全く答えず、ひたすら野党とメディアによる批判の儀式に耐えているように見えた。
 証人喚問には海部八郎氏の例が示すように人権上の問題もある。日本が民主主義の国であるならば証人の人権を考慮するのは当然だ。リクルート事件で東京地検特捜部が捜査の本命としていたのは中曽根康弘氏だが、野党が国会で中曽根氏の証人喚問と予算とを絡ませ、審議拒否を延々と続けていた時、中曽根氏が頑として喚問に応じなかったのは人権問題であるという主張である。
 野党と中曽根氏の板ばさみとなった竹下総理は証人喚問のテレビ撮影を禁止する事にした。そのため証人喚問は静止画と音声のみのテレビ中継になった。その頃、アメリカ議会情報を日本に紹介する仕事をしていた私に、自民党議員からアメリカではどうなっているのかと聞かれた。調べてみると、アメリカでは証人の意志で公開か非公開かが決まる。真相究明が目的なら非公開でも全く問題はないはずである。しかし証人が自分を社会にアピールしたければ公開にする。なるほどと思わせる仕組みであった。
 ところが日本では「真相究明」は建前で「本音はパフォーマンス」である。非公開になると証人喚問を要求した政党も、ここぞとばかり証人を叩きたいメディアも、うっぷんを晴らしたい国民も納まらない。「何でオープンにしないのか」、「それでは民主主義じゃない」と、滅茶苦茶な論理で見世物にしようとする。いつもその先頭に立ってきたのが民主主義の破壊者たるメディアなのだ。
 中曽根氏の抵抗で国会の証人喚問は静止画放送となった。民主主義国でこんなグロテスクな放送をする国があるだろうかと呆れていると、あちこちから批判されて再びテレビ撮影は認められるようになった。しかしアメリカのようにはならない。違いは公開か非公開かを決めるのが証人ではなく委員会なのである。なぜ証人の意志が無視されるのか。人権的配慮と民主主義についての認識がアメリカ議会と日本の国会では全く違う。
 この違いをうまく利用してきたのが検察であり官僚機構である。本来ならば政治にコントロールされるべき存在が、コントロールされずに、国民と一体であるはずの政治を国民と対立させる事が出来た。リクルート事件が顕著な例だが、違法ではない「未公開株の譲渡」を、朝日新聞が「濡れ手で粟」と報道して大衆の妬みを刺激し、次いで譲渡された政治家の名前を小出しにして大衆の怒りを増幅し、そこで「国民が怒っているのに何もしない訳にはいかない」と捜査に乗り出したのが検察である。メディアと検察が一体となって政治を叩いた。まるでそれが民主主義であるかのように。
 『リクルート事件―江副浩正の真実』(中央公論新社)を読むと、江副氏は検察から嘘の供述を強要され、その供述によって次代の総理候補であった藤波孝生氏やNTT民営化の功労者である真藤恒氏などが訴追された。この事件がどれほど日本政治を混乱させ、弱体化させたかを、当時政治取材をしていた人間なら分かるはずである。
 政治の弱体化は相対的に官僚機構を強化させる。野党が「ええ格好」する証人喚問と法案審議を絡ませれば、法案を吟味する時間はなくなる。官僚機構が作った法案は厳しくチェックされることなく通過していく。そうした事をこの国の国会は延々と繰り返してきた。国政調査や真相解明は建前で、パフォーマンスで大衆に媚びる政治がどれほど議会制民主主義を損ねてきたか、国民は過去の証人喚問の惨憺たる事例を見直す必要がある。
 朝日新聞の主筆氏は「検察や法務省権力が議会制民主主義を踏みにじったというなら、小沢氏は証人喚問に応じてそこで国会議員に訴えるべきだ」と述べているが、その主張はこれもアメリカ議会の人権や民主主義の感覚とかけ離れている。小沢氏の一連の事件でまず国会に喚問されるべきは小沢氏ではなく検察当局である。国民主権の国ならばそう考えるのが常識である。
 国民の税金で仕事をさせている官僚を監視し監督をするのは国民の側である。それを国民の代表である政治家に託している。その政治家に対して捜査当局が捜査を行なうと言うのであれば捜査当局には「説明責任」が生ずる。だから前回も書いたが、クリントン大統領の「ホワイトウォーター疑獄」で議会に喚問されたのは大統領ではなく捜査に当った検察官なのである。適切な捜査をしているかどうかが議会から問われる。
 小沢事件で国会が喚問を行なうなら、検事総長を証人に、なぜ選挙直前に強制捜査をする必要があったのか、事前に「検察首脳会議」を開いて決めたのか、巷間「若手検事の暴走」と言われているのは何故か、容疑の妥当性はどうかなどを国会が問い質せば良い。実際、西松建設事件が起きた直後にアメリカ人政治学者は検察こそ国会で「説明責任」を果たすべきだと指摘した。
 民主主義政治を見てきた者ならばそれは当然の反応である。「説明責任」を果たすべきは政治家ではなく官僚なのである。ところがこの時に検察は「すべては裁判で明らかにする」と言って国会での「説明」を拒否した。
 それならば小沢氏も裁判で明らかにすれば良い。証人喚問を求められる事自体がおかしい。それをこの国のメディアも国会議員も理解できない。ともかくこれは極めて政治的な色彩の強い事件である。従ってこの事件に対する反応の仕方で民主主義政治に対する姿勢が分かる。つまりリトマス試験紙になる。今回の朝日新聞の論説はそれを見事に示してくれた。この新聞は官僚の手先で国民主権を冒涜するメディアなのである。
投稿者: 田中良紹 日時: 2011年10月19日 22:08 *リンクは来栖 
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〈来栖の独白〉
 もともと国会への喚問要求はパフォーマンスにすぎないのだから、もし仮に小沢さんが応じたとしても、彼らは小沢さんの「説明」に真摯に耳を傾けることをしない。聞かないくせしていつまでも、バカの一つ覚えよろしく「説明責任」「説明責任」と言い募る。無責任な姿だ。
 いま一つ、石川知裕議員に有罪判決が下りたことで議員辞職を要求する国会議員がいるが、これもお門違いである。「無罪推定」を持ち出すまでもなく、国会議員を辞めさせる権利は、唯一、国民にある。選挙によって、国民が決める。国民が決めたもの(石川知裕衆院議員)に辞職を要求するなど、国民の権利への侵害である。
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小沢一郎裁判=「官僚支配に従う者」と「国民主権を打ち立てようとする者」とを見分けるリトマス紙である2011-10-10 | 政治/検察/メディア/小沢一郎
 リトマス試験紙
田中良紹の「国会探検」日時:2011年10月9日

 小沢裁判は、明治以来の官僚支配に従う者と、日本に国民主権を打ち立てようとする者とを見分けるリトマス試験紙である。裁判の結果とは別に、誰が官僚の手先で民主主義を破壊する者かがあぶり出される
 初公判での小沢一郎氏の陳述は、私がこれまで書いてきた事と軌を一にするものであった。私が書いてきたのは以下の事である。事件は政権交代を見据えてその推進力である小沢氏の政治的排除を狙ったものである。しかし十分な材料がないため捜査は無理を重ねた。目的は有罪にする事ではなく小沢氏の排除であるから、メディアを使って無知な大衆を扇動する必要がある。大衆に迎合する愚かな政治家が小沢排除の声を挙げれば目的は達する。
 民主主義国家における検察は、国民の代表である国会議員の捜査には慎重の上にも慎重を期さなければならない。それが国民主権の国の常識である。国家機密を他国に売り渡すような政治家や、一部の利益のために国民に不利益を与えた政治家は摘発されなければならないが、その場合でも国民が主権を行使する選挙の前や、政治的バランスを欠いた捜査をやってはならない。民主主義の捜査機関にはそれが課せられる。
 ところが一昨年、小沢氏の秘書が突然逮捕された「西松建設事件」は、政権交代がかかる総選挙直前の強制捜査であった。しかも政治資金収支報告書の記載ミスと言えるのかどうか分からないような容疑での逮捕である。これで逮捕できるならほとんどの国会議員が摘発の対象になる。そんな権限を民主主義国家が捜査機関に与えて良い筈がない。
 しかも捜査のやり方が極めて異常であった。かつて私が東京地検特捜部を取材したロッキード事件も奇怪な事件で、事件の本筋とは言えない田中角栄氏が逮捕され、国民は「総理大臣の犯罪」と思い込まされたが、それでも当時は手順を踏んだ捜査が行なわれた。ところが今回は国会議員に関わる事件であるのに検察首脳会議を開かず、「若手検事の暴走」という前代未聞の形での着手である。
 それほどの異常な捜査を新聞もテレビも追及する側に回らず擁護する側に回った。平均給与が全産業を上回るほど利益追求に走った新聞とテレビは、国税や検察がその気になれば、脱税などの犯罪で摘発される可能性があり、財務省や検察を批判する事など恐ろしくて出来ないからだろう。
 そして案の定、愚かな政治家が「政治的道義的責任」などと騒ぎ出し、国民生活のために議論しなければならない国会の審議時間を削るような事を言い出した。「国会で国民に説明責任を果たせ」と言うのである。そんな馬鹿な事を言う政治家が世界中にいるだろうか。「説明責任(アカウンタビリティ)」とは会計用語であり、国民から預った税金の使い道について「官僚には説明する責任がある」という意味である。
 前にも書いたが、アメリカのクリントン大統領には「ホワイトウォーター疑惑」と呼ばれるスキャンダルがあった。アーカンソー州知事時代に不動産業者に便宜を図って違法な献金を受けた疑惑である。事件が発覚した後に自殺者も出た。特別検察官が選ばれて捜査が開始された。しかしクリントン大統領に「議会で国民に説明しろ」などという声は上がらない。議会が喚問したのは検察官である。議会は行政府をチェックするところであるからそれが当たり前だ。説明責任があるのは政治家ではなく検察官僚なのである。それが日本では逆転している。
 日本の捜査機関は国会に呼ばれてもろくに答弁しない。「捜査中につきお答えできない」で終わる。サリン事件が起きた時、日本の警察は国会でそう言って答弁を拒否したが、同じ頃にアメリカ議会ではFBI、CIAが議会に喚問され、アメリカ国内でのオウム真理教の活動について捜査内容を証言させられた。そのビデオテープを自民党議員に見せたら「うらやましい」と言った。日本の国会は行政府に舐められているのである。
 「ホワイトウォーター疑惑」に関わったとされるヒラリー夫人は大陪審に喚問されて証言した。しかし議会には喚問されない。司法が追及している時に、議会が同じ事をやる意味はないし、議会にはそんな暇もない。ところがこの国では不思議な事が続いてきた。何かと言えば「国会で証人喚問しろ」と言うのである。それがどれほど意味のないバカバカしいパフォーマンスであるかを、政治家はイヤというほど見てきた筈だ。
 ところが今回も野党の党首クラスが揃いも揃って「証人喚問」などと騒いでいる。全く学習効果のない哀れな連中である。ロッキード事件以来続けられてきた「政治とカネ」のスキャンダル追及ほど民主主義政治の足を引っ張ってきたものはない。国民の税金の使い道を徹底して議論しなければならない予算委員会で、日本の政治は肝心要の事をやらずに政治家のスキャンダル追及に力を入れてきた。大衆に気に入られたいためである。
 下衆(げす)な大衆は権力者の凋落を見るのが何より楽しい。それが自らの生活を貶める事になるとは思わずに「やれ、やれ」となる。直接民主制であった古代ギリシアでは有能な政治家ほど大衆から妬まれて追放された。偉大な哲学者ソクラテスは愚かな大衆から死刑判決を受けた。ギリシアの民主主義は長く続かなかった。民主主義は厄介なもので、大衆が政治や裁判を直接左右すると民主主義は潰れるのである。それが歴史の教訓である。
 明治以来の官僚支配の背景にも官僚勢力とメディアによる大衆の扇動があった。政党政治家の原敬が暗殺され、反軍演説をした斉藤隆夫が衆議院から追放され、田中角栄が「闇将軍」となった背景にもそうした事情がある。
 小沢陳述はそうした過去にも触れつつ、検察権力の横暴と議会制民主主義の危機を訴えた。しかしそれに対するメディアの反論は、「検察が不起訴としたのに検察を批判するのは筋が違う。起訴したのは検察審査会だ」とか、「4億円の出所を言わないのはおかしい」という瑣末なものである。
 すべての問題の発端を作ったのは検察で、目的は小沢氏の政治的排除にあるのだから、そもそも不起訴にして大衆の扇動を狙っていた。従って乗せられた方ではなく乗せた方を批判するのは当然である。また自分の財布の中身をいちいち説明しなければならない社会とはどういう社会なのか。それが違法だと言うなら、言う方が違法性を証明しなければならない。それが民主主義社会のルールである。「政治家は公人だから」と言ってあらゆる責めを負わせるのは、国民主権を嫌う官僚の昔からのやり口である。
 ともかく初公判後の記者会見で小沢氏は検察とメディアに対し闘争宣言を行なった。潰れるか潰されるかの戦いを宣したのである。検察もメディアも引けないだろうが、不起訴処分にした検察は既に一歩後ろに退いており、前面に立つのは司法とメディアである。
 行政権力の手先だと世界から見られている日本の司法とメディアがこの戦いにどう対抗するのか。小沢氏を潰そうとすればするほど、民主主義の敵に見えてくるのではないかと私には思える。
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「救急で小沢一郎氏が病院へ搬送」のニュースと田中角栄氏/ 小沢一郎氏vs記者クラブメディアの戦い2011-10-07 | 政治/検察/メディア/小沢一郎
 〈来栖の独白 2011/10/07Fri.〉
 初公判のあった昨夜、小沢氏が救急で病院へ搬送された。左尿管結石と判明した。
 私には、田中角栄元首相が重なってならない。角栄氏もいわれなく刑事被告人とされ、政界・官界・司法・メディアから総攻撃、集中砲火を浴びて政治生命を絶たれた挙句、病を得た。
 祈らずにはいられない。「角栄さん。どうぞ、これ以上、あなたの愛弟子にあなたと同じ道を歩ませないでください。災難を取り除き、守ってあげて下さい」と、祈らないではいられない。国民は失ってはならない、小沢一郎という政治家を。
 田原総一朗氏と田中森一氏の対談(検察を支配する「悪魔」)を想起する。以下。
田原:「“そもそもロッキード事件はアメリカから降って湧いたもので、今でもアメリカ謀略説が根強く囁かれている。僕は当時、“資源派財界人”と呼ばれていた中山素平(そへい)日本興業銀行相談役、松原宗一大同特殊鋼相談役、今里広記日本精工会長などから、「角栄はアメリカにやられた」という言葉を何度も聞かされた。中曾根康弘元総理や、亡くなった渡辺美智雄、後藤田正晴といった政治家からも、同様の見方を聞いた。
 角栄は1974年の石油危機を見て、資源自立の政策を進めようとする。これが、世界のエネルギーを牛耳っていたアメリカ政府とオイルメジャーの逆鱗に触れた。
 このアメリカ謀略説の真偽は別にしても、検察は当時の日米関係を考慮に入れて筋書きを立てている。結果、角栄は前総理であり、自民党の最大派閥を率いる権力者だったにもかかわらず検察に捕まった」
田中:「ロッキード事件に関わったわけではないので、詳しいことはわかりませんが、検察内部で先輩たちから聞くところによると、時の権力が全面的にバックアップしてくれたので、非常にやりやすかったそうです。
 主任検事だった吉永祐介あたりに言わせると、「あんな簡単でやりやすい事件はなかった」---。
 普通、大物政治家に絡む事件では、邪魔が入るものですが、それがないどころか、予算はふんだんにくれるわ、いろいろと便宜を図ってくれるわけです。三木武夫総理を筆頭に、政府が全面的に協力して、お膳立てしてくれた。
 ロッキード事件では超法規的な措置がいくつもある。
 アメリカに行って、贈賄側とされるロッキード社のコーチャン、クラッターから調書を取れた。相手はアメリカ人だから、法的な障害がたくさんある。裁判所だけでなく、外務省をはじめとする霞が関の官庁の協力が不可欠です。とりわけ、裁判所の助力がなくてはならない。
 政府が裁判所や霞ヶ関を動かし、最高裁が向うの調書を証拠価値、証拠能力があるとする主張を法律的に認めてくれたばかりが、コーチャン、クラッターが何を喋っても、日本としては罪に問わないという超法規的な措置まで講じてくれた。贈賄側はすべてカット。こんな例外措置は現在の法体制では考えられません。弁護人の立場から言えば、非常に疑問の多い裁判でもあった。
「贈」が言っていることを検証しないで、前提とするわけだから。贈賄側が死んでいれば反対尋問はできないけれど、本来は、原則として仮に時効にかかろうが、贈賄側を一度、法廷に呼び出して供述が本当なのか検証するチャンスがある。
 ところが、ロッキードではなし。それで真実が出るのかどうか、疑わしい限りです。しかも、贈賄側は一切処罰されないと保証されて、喋っている。その証言が果たして正しいか。大いに疑問がある。
 それぐらい問題のある特別措置を当時の三木政権がやってくれるわけです。つまり、逮捕されたときの田中角栄は、既に権力の中枢にいなかったということなのでしょう。」
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検察を支配する「悪魔」 田原総一朗+田中森一(元特捜検事・弁護士)
 p93〜 検察に拷問された江副浩正---田原
 容疑が固まり、身柄を拘束すると、検察の取り調べが始まる。これがひどい。江副の場合を見ても普通の社会で生きてきた人には、とても耐えきれるものではない。拷問だといってもいい非人道的な取り調べですよね。
 江副弁護側の訴えでは、江副に対して、検事は逮捕前から威圧的で陰湿だったと言っている。江副に関する週刊誌の報道を持ち出し、「女性連れで旅行したことがあるだろう。証拠写真もある」とか、「ずいぶん女性がいるらしいじゃないか」「あちこちのマンションに女性を住まわせている」「酒池肉林の世界にいたらしいじゃないか」などと、事件に関わりない江副のプライバシー、それも根拠のない女性問題を執拗に問い質し、江副の人格を否定しようとする。この事実は、担当検事が認めています。
 精神的な屈辱と同時に、肉体的にも苦痛を与える。江副が意のままにならないと、担当検事は机を蹴り上げたり、叩いたり、大声でどなりつけたり、耳元で罵声を浴びせたり、土下座を強要したりした。
 江副自身が、肉体的に最も厳しかったと述懐しているのは、壁に向かって立たされるという懲罰だったそうです。
 至近距離で壁に向かって立たされ、近づけ、近づけと命令される。鼻と口が壁にくっつく寸前まで近づけさせられて、「目を開けろ」。目を開けたまま、その状態で、1日中立たされる。しかも耳元へ口をつけられ、鼓膜が破れるかと思うほどの大声でバカ野郎と怒鳴られる。それが肉体的に本当に苦痛だったと。
 このような、実質的に拷問と呼べる違法な取り調べが、宗像主任検事の指示で行われたとされています。
 もっとも、僕が宗像に極めて近い検事に確かめたところ、「そんな暴力的取り調べなどあるわけない。噂がひとり歩きしているだけ。とくに宗像さんは紳士なので、そんなみっともないことなどするわけはない」と一笑に付していましたけれど。
 裁判所でも、弁護側が訴える暴力的取り調べが行われたとは認めていない。被告が肉体的、精神的苦痛を検察から受けることはない、というのが前提なのですね。
 いっぽう弁護人は、「調書なんかいかようにもつくれる。身柄を拘束して長時間責め立てられ、脅される。肉体的、精神的に追い込まれれば、検事の巧みな誘導についつい乗ってしまう」と反論している。歴戦のプロである検事と、罵詈雑言、人権蹂躙とはほど遠いエリートの世界で生きてきた経営者では勝負にならないと。

「大阪母子殺害事件」差し戻し審初公判 大阪地裁 水島和男裁判長

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大阪母子殺害:弁護側、改めて無罪主張 差し戻し審初公判
 大阪市平野区の母子殺害放火事件で、殺人などの罪に問われた大阪刑務所刑務官の森健充(たけみつ)被告(54)=休職中=に対する差し戻し審の初公判が20日、大阪地裁(水島和男裁判長)であった。検察側は「被害者の生活状況を知る近しい者の犯行で、その機会があるのは被告だけだ」と述べ、改めて有罪を主張。弁護側は事件当日にマンションを訪れていないとして無罪を訴えた。
 検察側は事件翌日に現場マンションの階段踊り場の灰皿から採取した吸い殻72本のうち、DNA型鑑定で1本を森被告のものと断定。この日の審理でも「被告は事件当日の02年4月14日、現場のマンション階段踊り場の灰皿に吸い殻を捨てた」と述べた。
 最高裁は吸い殻が変色していたことから事件以前に捨てられた可能性があるとし、無期懲役とした1審・大阪地裁判決、死刑とした2審・大阪高裁判決の認定を事実誤認としたが、検察は「短時間で変色することもある」と強調した。
 一方、森被告の靴の中から採取した犬の毛を新証拠として提出し、DNA型鑑定の結果、被害者宅の犬の毛の可能性があると主張。更に、森被告自身が捜査段階で描いた現場室内の図面にある五月人形のかぶとは事件当日に飾られたものだとして、被告がその日に現場へ行ったことは明らかだとした。
 これに対し、弁護側は吸い殻について「被告が被害者夫婦に自分の携帯灰皿を渡したことがあり、被害女性が事件より前にその中の吸い殻を踊り場の灰皿に捨てた可能性がある」と反論。「あまりにも早く被告を犯人と絞り込みすぎた。関係者へのアリバイ捜査が十分ではない」と指摘した。
 また、最高裁が鑑定を促した残りの吸い殻71本が誤廃棄されたことに触れ「これこそが被告の無実を証明する機会だったが、吸い殻は消えた」と述べた。【苅田伸宏、村松洋】毎日新聞 2011年10月20日 11時42分(最終更新 10月20日 14時16分)
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犬の毛」DNAがカギ 大阪の母子殺害事件差し戻し審
産経ニュース2011.10.19 14:09
 大阪市平野区で平成14年に起きた母子殺害放火事件で、殺人などの罪に問われた大阪刑務所刑務官、森健充(たけみつ)被告(54)=休職中=の差し戻し審が20日から、大阪地裁(水島和男裁判長)で始まる。最高裁は状況証拠のみで有罪とした1審無期懲役、2審死刑判決をいずれも破棄。現場付近で採取されたたばこの吸い殻について「疑問点が解明されていない」と判示した。ところがその後、吸い殻の紛失が判明、差し戻し審は最大の争点を失った。挽回を目指す検察側は犬の毛のDNA鑑定結果を新たに提出するが、その評価によっては無罪が言い渡される可能性もある。
*新たな基準
 「被告が犯人でなければ説明できない事実関係が含まれている必要がある」
 最高裁は昨年4月の判決で、状況証拠のみで有罪を認定する場合の判断基準を示した。母子殺害事件に当てはめると、1、2審が重視した間接事実はいずれも基準を満たさない−。それが死刑破棄の理由だ。
 検察側立証の決め手は、現場マンションの踊り場の灰皿から採取されたたばこの吸い殻だった。72本のうち1本から森被告のDNA型を検出。検察側は「被告が事件当日に現場を訪れた有力な証拠」とし、1、2審が有罪認定を導く最大の根拠にもなっていた。
 しかし最高裁は弁護側の主張をいれ、「被害女性が被告方から持ち出した携帯灰皿の中身を捨てた可能性がある」と指摘。残る71本には被害女性が好んだ銘柄もあり、差し戻し審で鑑定するよう促した。
*大規模たばこ実験
 残りの吸い殻から1本でも被害女性のDNA型が出されれば、「携帯灰皿経由説」はより説得力を持つ。弁護側が「無罪を示す資料」と位置付けたのも当然だった。
 ところが昨年7月、差し戻し審に向けた協議の場で、大阪府警が71本を保管していた段ボール箱を、すでに約9年前の森被告逮捕直後の時点で紛失していたことが発覚。差し戻し審の“眼目”ともいうべき証拠調べが不可能になった。
 「無罪証明の機会を奪われた形で、判決に影響を及ぼすのは明らかだ」と弁護側は強く非難。差し戻し審では府警の警察官らを尋問し、証拠品の管理態勢を厳しく追及する。
 上告審では、森被告のDNA型が検出された吸い殻の証拠価値も大きく後退した。「フィルターが茶色く変色し、事件のかなり前に捨てられた可能性がある」と疑問が示されたからだ。
 検察側は差し戻し審でこの点に答えるべく、府警の警察官約50人を動員して大規模な「たばこ実験」を実施。コーヒーを飲んだ直後など、多様な条件下でたばこを吸わせ、「当日でも変色はあり得る」と主張する方針。一方の弁護側は「科学性がなく、どれだけ意味があるのか」と問題視しない構えだ。
*異例の獣毛鑑定
 吸い殻に関して仮に検察側の主張がすべて認められても、最高裁は先の判断基準を踏まえ「被告が犯人でなければ説明できない事実が存在するか疑問」とまで指摘した。有罪立証のハードルは相当高い。
 そこで劣勢を補うべく、検察側が新たに提出するのが、森被告の靴の中から採取されたという獣毛のDNA鑑定結果だ。被害者宅では飼い犬の死体も見つかっており、この犬の毛と一致すれば、「現場マンションには行ったことがない」とする森被告の供述を覆す有力な物証となり得る。
 ただ弁護側は「獣毛のDNA鑑定は人の場合と違って、いまだ精度が低い」と主張。採取の経緯や保管状況も定かでないと反論しており、裁判所が鑑定をどう評価するかも注目される。
     ◇
大阪市平野区の母子殺害放火事件
 平成14年4月14日、大阪市平野区のマンション一室が全焼し、焼け跡から主婦の森まゆみさん=当時(28)=と長男の瞳真(とうま)ちゃん=同(1)=の他殺体が発見された。殺人と現住建造物等放火罪で逮捕・起訴された義父の森健充被告は無罪を主張。直接証拠はなかったが、現場近くの遺留物や目撃証言などの状況証拠から、1審大阪地裁は有罪と認定し無期懲役を、2審大阪高裁は死刑をそれぞれ言い渡した。しかし最高裁は昨年4月、「事実誤認の疑いがある」として1、2審判決を破棄、審理を大阪地裁に差し戻した。
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『年報・死刑廃止2010』 /大阪母子殺害事件/堀籠幸男裁判官/後藤貞人弁護士2010-11-13 | 死刑/重刑/生命犯 問題
 <大阪母子殺害>被告側「無罪判決に向け全力」
 「『疑わしきは被告の利益に』という刑事裁判の原則にかなった判決。差し戻し審では無罪判決に向け全力で頑張りたい」。大阪市の母子殺害事件で殺人罪などに問われた刑務官、森健充(たけみつ)被告(52)の死刑判決を破棄した27日の最高裁判決について、弁護側は高く評価した。今後、大阪地裁で審理がやり直されるが、判決は改めて直接証拠がない事件捜査の難しさを示した。
 午後3時、最高裁第3小法廷。藤田宙靖(ときやす)裁判長の退官により、堀籠幸男裁判官が判決主文を代読すると、後藤貞人弁護士はじっと前を見つめ、弁護活動の実務を担った陳愛弁護士は、うっすらと涙を浮かべた。
 1、2審とも有罪とされた森被告だが、陳弁護士らの接見に、いつも「裁判所は分かってくれる」と語り、無罪判決しか頭にない様子だったという。後藤弁護士は法廷を出ると事務所に電話し、森被告に判決を伝える電報を打つよう指示した。
 その後、後藤弁護士は「最高裁はこれまで事実誤認の主張に扉を閉ざしてきたが、最近は痴漢冤罪(えんざい)や再審など変化が見られる。裁判員制度開始の影響が大きい」と興奮を隠せない様子で語った。大阪府警の捜査については「あまりに早い段階で容疑者を絞り、必要な捜査を怠った。無理な取り調べもあった」と批判。「検証のため取り調べの可視化が必要」と語気を強めた。【伊藤直孝】
◇事件の経緯◇
 02年4月14日夜、大阪市平野区のマンション一室から出火し、焼け跡から主婦の森まゆみさん(当時28歳)と長男瞳真(とうま)ちゃん(同1歳)の他殺体が見つかった。まゆみさんは森被告の妻の連れ子と結婚して暮らしており、検察側は、まゆみさんに恋愛感情を募らせた森被告が思いを拒まれるなどしたため憤って絞殺し、瞳真ちゃんを浴槽につけて水死させたうえ、室内に放火したとして、殺人、現住建造物等放火罪で起訴した。1審・大阪地裁は05年8月、状況証拠から有罪認定して無期懲役を言い渡し、2審・大阪高裁(06年12月)も有罪として「被告は反省しておらず、更生の可能性はない」と死刑を言い渡した。
◇解説…状況証拠評価、裁判官も割れる
 死刑判決を破棄した最高裁判決だが、裁判官5人の見解は割れた。小法廷の考え方となる多数意見は3人にとどまり、那須弘平裁判官は「有罪の余地あり」と意見を述べ、堀籠幸男裁判官は「被告の関与は十分立証されている」と反対意見で1、2審の有罪認定を支持した。裁判員制度導入で市民が死刑判決に関与するかもしれない中、状況証拠のみで有罪・無罪を判断する困難さが改めて浮き彫りになった。
 判決は「直接証拠がある事件でも、状況証拠のみの事件でも有罪認定の基準は変わらない」とした07年の最高裁判例を引用し、状況証拠のみの事件では「被告が犯人でなければ合理的に説明できない事実関係が必要」と基準を示した。そのうえで現場に残された吸い殻を立証の柱とした検察側の主張について、捜査の不十分さを指摘し「有罪認定のレベルに達していない」と批判した。裁判員制度を念頭に慎重な捜査、審理を促したと言える。
 しかし堀籠裁判官は、国民の健全な良識を刑事裁判に反映させることが裁判員制度の目的として「今回の基準は不明確。裁判官の認定手法を裁判員に求めることは避けるべきだ」と指摘した。一方、藤田宙靖裁判長は「手放しで『国民の健全な良識』を求めることが制度の趣旨と言えるかは疑問。基準を明示することは法律家の責務」と反論。基準に対する見解も分かれた。
 和歌山毒物カレー事件(98年)や仙台・筋弛緩(しかん)剤混入点滴事件(00年)でも状況証拠による立証が争われたが、被告の有罪が確定した。今後、直接証拠がないとされる埼玉・千葉と鳥取の連続不審死事件などが裁判員裁判で審理される。裁判員が判断に迷う場面が予想され、捜査当局は従来以上に十分な証拠集めと説得力のある立証活動が求められ、裁判官も評議の工夫を迫られている。【伊藤一郎】(毎日新聞 2010年4月27日 22時1分)
........
大阪の母子殺害事件、死刑判決を覆したミラクル弁護士とは
やまと新聞社10-05-03 17:30 配信

 最高裁が4月27日、事実誤認があるとして1審の無期懲役と2審の死刑判決を破棄し、大阪地裁に審理を差し戻した大阪市平野区の母子殺害放火事件。被告の主任弁護人を務める後藤貞人弁護士(63)、大阪弁護士会=は「大阪の刑事弁護の第一人者」といわれる。タレント・羽賀研二や検察批判を展開する三井環・元大阪高検公安部長らの弁護も担当。そのミラクルな実力ぶりは−。
 後藤氏は1969年、大阪大法学部を卒業。75年に司法修習(27期)を終え、弁護士登録した。約3600人が登録する大阪弁護士会の中でも、「刑事弁護を専門とする数少ない弁護士」(司法関係者)だ。
 これまでに、銃刀法違反罪に問われた指定暴力団山口組の元若頭補佐、滝沢孝被告の裁判=1、2審無罪=や、牛肉偽装事件で詐欺などの罪に問われている浅田満被告の控訴審、収賄などの罪に問われた三井氏の裁判など著名事件の弁護を数多く担当。法廷取材が長いベテラン記者は「無罪を主張する被疑者や被告にとって駆け込み寺のような存在」と話す。
 大阪の刑事弁護士の1人も「まさにプロ中のプロ。われわれの間では『後藤でダメならあきらめろ』と言われるほど。人権派といわれるが、頭でっかちではなく、事実を重んじるタイプ」と絶賛する。
 後藤氏は裁判員裁判が始まる前から、法廷で書面を見ずに弁論を展開する“離れ業”が注目されていた。業界誌のインタビューには《われわれは技術者です。その技術を駆使して被疑者・被告人に与えられた権利と利益を守るために全力を尽くす》と答えている。
 一方で、被害者の苦しみを理解するため、死者が出た事件の法廷では赤いネクタイはせず、絶対に笑わないとも。前出のベテラン記者は「マシンのような弁護士だと思っていたから、本人からネクタイの話を聞いたときは意外だった」と振り返る。
 後藤氏は現在、詐欺と恐喝未遂の罪に問われ、1審で無罪となった羽賀被告の控訴審の主任弁護人を担当。昨年11月の第1回公判では改めて無罪を主張した。
 「法廷は検察官の主張が合理的な疑いを超えて証明されたかどうかを判断する場所」と言い切る後藤氏。対する検察関係者は「(1審無罪の決め手となった)元歯科医の証言の信用性を否定できれば、逆転有罪も難しくない」と自信をみせる。
 26日の次回公判では、元歯科医=偽証罪で公判中=の知人らへの証人尋問が予定されており、大阪高裁を舞台に後藤氏と検察が再び対決する。
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「大阪母子殺害事件」事実認定の点で抑制的と言われていた最高裁は変わっても、依然変わらぬ検察2011-01-28 | 死刑/重刑/生命犯 問題

「一部紙面等で『TPPについて小沢氏前向き』と報じられておりますが、それは誤りです」小沢一郎事務所

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小沢元代表:「虚偽記載とは思わない」記者会見で持論展開
 民主党の小沢一郎元代表は20日、東京都内で記者会見し、資金管理団体「陸山会」を巡り政治資金規正法違反(虚偽記載)で強制起訴されたことについて「虚偽記載しているとは思っていない」と改めて否定した。また、07年2月の会見で、陸山会による土地購入に関し、土地の権利が自分にないことを示す証拠として公開した「確認書」について、当時の会見直前に作ったことを認めた。
 確認書を巡っては、07年に陸山会所有とされた土地が元代表個人の名義で登記されていることが発覚。「政治資金を使った蓄財」との批判が高まり、元代表は会見で釈明。「政治団体では不動産登記が認められないので代表者の名前で登記した。土地取引時に私個人のものではないことを確認書として残した」と説明し、05年の日付が書かれていた。
 20日の会見で元代表は文書について「作成を指示し、他(の取引で)はできていたが、その部分(問題の土地取引で)は抜け落ちていた。悪いことだと思っていない」と釈明した。
 ◇一般記者質問に雰囲気が一変
 会見は一部のフリーやインターネットメディアの記者らでつくる「自由報道協会」の主催。「全国民同時参加型の記者会見」と銘打ち、ネットで生中継された。主催者側は東日本大震災の被災者支援と環太平洋パートナーシップ協定(TPP)について質問。続いてネットで公募したという計7問に対し、元代表が熱弁をふるった。
 だが、会場からの質疑応答に移り一般紙記者が「(陸山会事件の)虚偽記載は形式的ではない」と質問すると雰囲気は一変。元代表は「あなたの意見が違う。これまで間違った場合は全て修正ですんでいる」と語気を強めて反論した。記者が再質問すると司会者は打ち切りを要求、フリー記者は「(司会者の指示に従うという)ルールを守れ」などと声を上げた。結局、事件を巡る質問は別の一般紙記者と合わせて2問だけだった。
 ◇記者会見での主なやりとり
−−被災地に行って表だった活動をしないのはなぜか。
  震災後に岩手に入り国と県の協力を緊密にやっていこうと話をした。その後も知事から連絡があり、できる立場でやっている。岩手県沿岸の地勢についてある意味では誰よりも分かっている。
−−今後首相をめざすか、後進に道を譲るか?
  自民党を離党した際に目指した政権交代、本当の意味での議会制民主主義を定着させるために、やれることはなんでもやりたい。
−−司法のチェックのために匿名の裁判員制度や検察審査会制度を撤廃し、裁判官と検察官は記者会見を開くべきでは?
  できるかぎりオープンな社会構造にしなくてはいけない。国民の代表の国会議員が真実を分かるようにするため、強制力のある国政調査権を持たせるなど国会機能の強化が早道だ。
−−政治資金は全てオープンにして国民が判断できるようにすべきだとこれまで発言しているが、陸山会事件で国民の判断を誤らせる虚偽記入があれば実質的な犯罪ではないか。
  いわゆる実質的犯罪が伴わない場合は、いままで収支報告書の訂正ですまされてきたというふうに申し上げてきた。私どもは虚偽記載しているとは思っていませんから。
毎日新聞 2011年10月20日 21時28分(最終更新 10月20日 21時45分)
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国内対策なければ早計=TPP参加で民主・小沢氏
 民主党の小沢一郎元代表は20日午後、フリー記者らでつくる「自由報道協会」主催の会見に臨み、環太平洋連携協定(TPP)交渉への参加に関し、「自由貿易や自由競争という基本的原則は日本に大変有利でありメリットがあるので賛成だが、国民生活を守る対策が取られないうちにやるのはちょっと早計だ」との認識を示した。
 小沢氏は「TPP(に参加した場合の影響)は農林水産業の話だけではない。むしろ(米国などの)メーンの狙いは他の分野にある」とも指摘した。
 首相を目指す考えがあるかどうかを問われたのに対しては、「本当の意味の政権交代可能な、国民が政権を選ぶことのできる民主主義を日本に定着させたい。そのためならば自分でやれることは何でもやりたい」と否定しなかった。(時事通信2011/10/20-19:25)
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@ozawa_jimusho小沢一郎事務所
今日、一部紙面等で『TPPについて「小沢氏前向き」』と報じられておりますが、それは誤りです。 今の拙速な進め方では、国内産業は守れません。


Ozawa Ichiro Website

わが国の食料・農業・環境・医療・介護をどう守るか TPPをめぐる交渉に日本も参加するのか

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TPP:「将来に禍根残す」 農業関係者700人、参加反対訴え集会 /秋田
 環太平洋パートナーシップ協定(TPP)に反対する「TPP交渉参加断固阻止県代表者集会」が20日、秋田市の県児童会館であった。約700人の農業関係者が参加し、そろいの鉢巻き姿で参加反対を訴えた。
 JAグループなど農林水産団体20団体で作る「食料・農業・環境を守る県民会議」の主催。JA秋田中央会の木村一男会長は「緑豊かな秋田の自然と歴史、文化を後世に伝えるのはわれわれ県民の役割。TPP参加は必ずや将来に禍根を残す」と声を張り上げた。
 続いてJA全国中央会の馬場利彦参事がTPPを巡る情勢を説明。参加すると食料自給率が39%から13%に低下するという農林水産省の試算を紹介し、「20年までに食料自給率50%達成」を掲げた10年3月の閣議決定と整合性がないと指摘。「政策に一貫性がない」と批判した。
 堀井啓一副知事は「具体的にわが国の農業をどう守るかというかという政策論なくして結論を出すべきではない」と政府をけん制。県漁協の斎藤豊専務理事は「水産物の平均関税率は4%。すでに十分自由化されている」と力を込めた。JAあきた女性組織協議会の佐々木博子会長は「私たちは日本の食料は輸入でまかなおうとは一言も言っていない。生まれてこの方毎日たくさん食べている白いご飯を食べ飽きたと言ったことはあるか」と涙声で訴えた。
 最後に「情報開示も国民的な議論も不十分。本県の食料・農業・環境・地域各団体の総力を結集し参加阻止を訴える」とする集会決議案を全会一致で採択。最後に参加者全員で拳を突き上げ、「頑張ろう」と三唱して閉会した。
 TPPは貿易などの自由化を目的とした協定で原則10年以内に関税の撤廃を目指す。11月上旬のアジア太平洋経済協力会議(APEC)での参加表明を視野に、政府内で議論が本格化している。【坂本太郎】毎日新聞 2011年10月21日 地方版
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TPP問題:小沢元代表「原則は賛成」の一方で対策必要
 民主党の小沢一郎元代表は20日、フリー記者らとの会見に応じ、環太平洋パートナーシップ協定(TPP)に関し「自由貿易は日本に大変有利で、原則は賛成だ」と述べる一方、「国民の生活を守る対策が取られないうちにやるのはちょっと早計ではないか」と慎重派にも配慮を示した。野田佳彦首相については「現時点では期待している」と述べ、民主党マニフェストを重視するよう注文を付けた。
毎日新聞 2011年10月20日 20時13分
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「一部紙面等で『TPPについて小沢氏前向き』と報じられておりますが、それは誤りです」小沢一郎事務所2011-10-21 | 政治/検察/メディア/小沢一郎
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TPPに反対でJAと緊急集会を開いた県医師会
 環太平洋経済連携協定(TPP)への交渉参加に反対しているJA茨城県中央会と同県医師会などが19日、小美玉市内で「TPP交渉参加反対に向けた緊急集会」を開き、県内でのTPP関連の会合としては最多の約700人が気勢を上げた。
 集会では、県医師会の斎藤浩会長が「農業も医療も介護も、すべての産業で大きな問題をはらんでいる」と批判。加倉井豊邦・中央会会長が「主食であるコメを外国に任せることが、大丈夫なのか。日本の将来に大きな禍根を残すことを学んでいただき、多くの国民の力で協定を阻止していきたい」と訴えた。
 最後に「食料自給率の低下と農林水産業を含む地域経済・社会の崩壊を招くもので、政府のTPP交渉参加は断固として認められない」とする決議を採択した。(2011年10月20日10時59分 読売新聞)
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「TPP地域経済に打撃」 JA栃木中央会などが集会
 環太平洋経済連携協定(TPP)への政府交渉参加に反対しているJAグループや県医師会などが20日、宇都宮市のマロニエプラザで「TPP交渉への参加阻止県民集会」を開き、「地域経済にも壊滅的な打撃を与えることになるTPPへの参加を断じて認めることはできない」と反対の気勢を上げた。
 集会は1月末に続き2回目で、11月のアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に向けて政権内で交渉参加を目指す動きが強まっていることを懸念。JA栃木中央会や県医師会など39団体が実行委員会を作って開催し、約3100人(主催側発表)が参加した。新たに県歯科医師会、県薬剤師会など5団体が実行委に名前を連ねた。
 主催者を代表してJA栃木中央会の高橋一夫会長があいさつし、「TPPへの参加は農村の崩壊につながるだけでなく、国民の暮らし、国の形を変えてしまいかねない問題だ」と影響が広範囲に及ぶ可能性を懸念、「拙速に交渉に参加することは断固として阻止しなければならない」と強調した。
 ◆民主不参加に非難
 TPP交渉参加を巡っては慎重派を抱える政府・民主党だが、県連関係議員はこの日の反対集会に一人も出席せず、参加者が強く非難する一幕があった。
 この日、来賓として福田知事の代理で県農政部長が参加し、自民党、みんなの党、公明党の県議らも出席。一方、民主党県連は12日の常任幹事会で、政権内で協議が進んでいることなどを理由に不参加を決めていた。
 こうした民主党の姿勢について、情勢報告を行ったJA栃木中央会の高橋勝泰専務は「多くの国民の意見を聞き、考え、行動するという議員の本分を忘れたとしか言えない。この大会の席上全員で抗議をしたい」と非難した。集会では、本県選出の民主党衆議院議員が個人の名前で寄せた「激励電報」が披露されたが、拍手はまばらだった。
 県連幹事長の松井正一県議は、取材に対し、県連関係議員の集会不参加の理由を「政権内で協議をしているから」と説明し、「とにかくTPP交渉参加反対が目的ならば、今のタイミングでは民主党系としては(反対集会への参加は)厳しい」と話した。(2011年10月21日 読売新聞)
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TPP交渉参加反対、民主慎重派らが決議
 民主党の環太平洋経済連携協定(TPP)に慎重な議員らでつくる「TPPを慎重に考える会」(会長・山田正彦前農相)は21日午前、国会内で総決起集会を開き、11月12日から始まるアジア太平洋経済協力会議(APEC)で、野田首相がTPP交渉への参加表明を行わないよう求める緊急決議を採択した。
 集会には鳩山元首相や渡部恒三最高顧問のほか、国民新党の亀井代表や社民党の福島党首ら約110人が出席。決議文では「国内事情に配慮した2国間交渉こそあるべき姿だ。TPP交渉に参加し、不利なら途中で離脱するというのは難しい」と強調した。鳩山氏は「アメリカが大好きだが、何でもアメリカの言う通りではいけない」などと訴えた。(2011年10月21日11時28分 読売新聞)
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TPP議論の中…輸出に活路を見いだす農家
 TPP(=環太平洋経済連携協定)をめぐる交渉に日本も参加するのか議論が続く中、国内では農業団体を中心に交渉への参加に強い反対の声も上がっている。一方で、輸出に活路を見いだしている農家がいる。
  21日、TPPに慎重な100人を超える国会議員が開いた集会では、「拙速にTPP交渉に参加することに反対する」との決議がされた。一方で、野田首相は20日、TPPへの交渉参加も視野に農林水産業の競争力を高めようと対策を打ち出した。その柱となったのは「農地の大規模化」や「輸出戦略の見直し」だ。
  「新潟玉木農園」の玉木修さんは、経済が急成長する台湾の富裕層に目をつけ、04年からコメの輸出を始めた。「玉木米」としてブランド化して売り出すことで、日本で売るよりも2倍から3倍高い価格で売っているという。玉木さんが扱うコメは年間800トンで、去年、日本から輸出されたコメ全体の1割を占めた。玉木さんの田んぼは、稲の間隔を広く取ることで質のよいコメができ、今年は全体の8割が最高品質の「1等級」と認定された。今年は、アメリカや香港など輸出する先をさらに広げたという。
  そんな玉木さんに注目した投資家が今週、田んぼの視察にやってきた。田んぼを視察した田中冨士雄さんは「現在はTPPと騒がれていますが、日本のコメが逆に海外に進出していくことを願って、今後サポートしていければと思う」と話す。
  TPPについて玉木さんは「複雑だが、単純にイエス、ノー(賛成、反対)と言い切るのは難しい。今までの(国内重視の)やり方では波にのまれる時期が来るのかなと。TPPの話もあるし、相対的に考えると、変化が必要なのかなという気がする」と話す。
  日本の農業をブランド化して輸出する戦略は、TPPを乗り越えるカギとなるのだろうか。[日テレ10/22 21:10 NEWS24]

刑務所出所者 住み込み雇用に奨励金

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<刑務所出所者>住み込み雇用に奨励金 法務省方針
毎日新聞 10月21日(金)15時0分配信
  刑務所出所者の再犯防止に向け、法務省は来年度から、出所者に仕事と住居を同時に提供する事業主に対し奨励金を支給する制度を創設する方針を決めた。再犯防止のカギとされる「定住先」と「安定収入」を確保する動きを後押しするのが狙いだ。
 新制度は、住み込みや社員寮を提供する形で刑務所出所者らを雇い入れた事業主に対し、月4万5000円を最大3カ月間奨励金として支給する。「住み込み雇用」を申し出た事業主は、受刑者の服役中から刑務所内で面接できるようにし、出所後の速やかな採用を図る。来年度当初予算の概算要求に8000万円を計上。初年度は受刑者500人前後を想定している。
 刑務所出所者は、一定期間であれば民間の更生保護施設で暮らすことができるが、この間に職も住まいも見つけられずに再犯に陥るケースも多い。再犯率は無職者が有職者の約4倍に上るとの調査もある。法務省は新制度の導入に加え、出所者向けの雇用の拡大や、就職後も生活状況の相談に乗るなど、社会への定着支援を強化したい考えだ。【石川淳一】
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札幌刑務所・拘置支所が施設内部を公開/秋田刑務所受刑者 高齢化進む/岡山刑務所 塀の中の暮らし2011-09-28 | 社会 
服役19回の知的障害者/国の福祉政策、問題ないのか/『累犯障害者』2011-05-25 | 社会
山本譲司著『累犯障害者』獄の中の不条理 新潮社刊

大阪府知事&市長W選挙に持ち込んだ橋下知事/府職員の自殺者が1年間で6人、直後に7人目の自殺者

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大阪府幹部職員が爆弾証言「私の同僚は橋下徹府知事に追い込まれて自殺した!」11月府知事&市長W選挙に持ち込んだ独裁知事。その維新のウソを側近たちが暴く
現代ビジネス2011年10月23日(日)フライデー
 大阪冬の陣が11月下旬に迫っている。テーマはただ一つ。「大阪を丸ごと、橋下徹という人間に任せてよいのか」。断片的に伝えられてきた気に入らない者は排除する性格。それを間近で見てきた側近たちが、?告発?に踏み切った---。
 〈(大阪府)健康医療部の知り合いが申しておりましたが、橋下知事は自己愛性人格障害の典型だそうで、気に入られた者は死ぬまで働かされるし、憎まれれば、とことん放逐されるとのことで、そんな人への対処法は、注目を浴びないところでひっそりと生きていくのが一番〉
 大阪・堺市の前市長・木原敬介氏(71)の元に、このほどこんな手紙が届いた。手紙の主は、「ある大阪府幹部」とだけしか言えない。橋下徹知事(42)による報復が想定されるからだ。木原氏は語る。
 「このような内容の手紙は、これ以外にも何通か来ています。この手紙に象徴されるように、今の府職員の間に閉塞感があることは事実です。『注目を浴びないところでひっそりと生きていくのが一番』という空気は、要するに職員がやる気を失っているということ。橋下知事は掛け声だけは威勢がいいですが、結果は府職員のやる気をなくさせ、閉塞した職場を生み出す。その原因に、橋下徹という人間の『人間性』と『品格』が横たわっていると言わざるを得ません」
 11月27日に想定される大阪府知事&大阪市長のダブル選挙に向け、橋下氏は動き出した。橋下氏は知事を辞めて市長選に出馬。そして自らが率いる「大阪維新の会」の松井一郎幹事長(47)を府知事選に出馬させ、大阪の中枢を丸ごと手に入れるのが狙いだ。理由は簡単で、橋下氏が進める新しい権力機構「大阪都構想」に反対する現職の平松邦夫市長(62)を追い出し、完全支配を目指すためである。
 橋下氏に対抗して平松氏も出馬を表明し、にわかに選挙熱が高まる中で、ある書籍の出版が大阪政界の関係者の間で噂になっている。タイトルは『「仮面の騎士」橋下徹 独裁支配の野望と罠』(講談社)。まだ発売されていないが、著者は「大阪の地方自治を考える会」で、前出の木原氏もメンバーの一人だ。他に阪口善雄前吹田市長、土崎敏夫元大阪市助役、本郷隆夫元大阪府副理事らが名前を連ねる。そう、これは橋下府政を間近で見てきた府や市の幹部が、実名で橋下府政の危なさを告発する警告の書である。
 〈もう限界です。疲れました〉
*早くも大阪政界を中心に「橋下知事を裸にする書」として噂になりつつある『仮面の騎士』
 特筆すべきは、冒頭に紹介した橋下氏というトップの人材の活用についてであろう。警告の書には、こんな一節がある。
 〈二〇一一年三月八日の大阪府議会総務委員会において、府職員(知事部局)の自殺者が一年間で六人に上ったことが明らかになりました。その直後に、七人目の自殺者が出たのです。それ以前の五年間では年平均一~二人でしたから、橋下府政になってからは異常な増加です〉
 では、この増加は橋下氏というトップあってのものと言えるのだろうか。警告の書の存在が明らかになり、橋下府政の歪みについて?告発?しようという声が、少なからず出始めた。本誌もその一人と接触することに成功した。
 以下は、 '10年10月13日に淀川で水死体で発見された商工労働部職員のN氏(享年51)が自殺に追い込まれるまでの詳細を知る府幹部職員の証言である。引き金になったのは、 '10年9月5~8日の橋下氏の台湾出張をめぐるトラブルだったという。
 「知事は帰国した際、空港で記者団に『台湾の要人には会わなかった』と発言しました。ところが1週間後の9月14日、府の部長会議で知事が突然、商工労働部の杉本安史部長を捕まえて、激しく怒鳴ったのです。『中国に配慮してくれというのに、調整が悪かった。リスク管理ができていない』『自分は行く前にわざわざ台湾側に要人との会談をキャンセルするように謝罪に行った』。
 台湾側というのは、台北駐大阪経済文化弁事処(大使館に相当)のことで、自ら要人との会談をキャンセルしてもらうよう謝罪しておいたのに、会談が組まれていたことに腹を立てたと言いたいのでしょう。しかし知事は、台湾で要人(経済大臣)と会っています。なのに記者には『会っていない』と発言した。
 台北駐大阪経済文化弁事処のホームページに橋下知事が経済大臣と会ったという記事も出ているんですよ。そして1週間も経ってから突然、台湾の経済大臣と会う段取りが生きていたことを『リスク管理ができていない』となじったのです。この時の現場責任者が、参事だったN氏でした」
 役人でないと背景が汲みにくい状況だ。この府職員は、理不尽な橋下氏の怒りについて、こう解説した。
 「商工労働部長の杉本氏と関係の悪い別の幹部を引き立てるために、好き嫌いやその場の思いつきで商工労働部を攻撃する発言につながったんです」
 結果的に、橋下氏の一喝で、現場責任者のN氏は叱責を受けた。警告本にはこう書かれている。〈知事自ら台湾側に謝罪して、要人との面談をキャンセルしていたにもかかわらず、現地入りしてみると面談が復活していたということになります。まったくもって信じかねる話ですが、自殺した生真面目な参事にとっては、「橋下知事に、ウソまでつかせた」と、自責の念に駆られるほどの大きな衝撃だったのでしょう〉。
 ただし、N氏も官僚のタテ社会の中で、叱責を受けることなど初めてではないはずだが、精神的に追い詰められる出来事は、以前からあった。この府職員が言う。
 「昨年の初頭、知事は台湾の時と同様、経済ミッションを組んでベトナムを訪れ、現地で『大阪経済セミナー』を開き、商談会を行っています。帰国後、部長会議でこう言い出しました。『私がベトナムに行って講演し、商談会をやって、その商談の件数の報告が上がってきているが、商談の件数ではなく、契約金額を出してください』。
 外国に行って、その商談が成立するかどうかは、2~3年経たないと分からないのが普通で、府職員がものを売るわけではありません。地元の企業なり間に入った商社が行うものです。知事の発言は、ある意味絶対で、N氏は急遽積み重なった難題に悩み、精神的に追い込まれていきました」
 N氏の役所の机から見つかった遺書には、こう書かれていた。〈仕事上の課題・宿題が増え続け、少しも解決しません。頑張っても頑張っても出口が見えない。もう限界です。疲れました〉。
 証言した府職員は国際交流室のK氏(享年52)の急死についても触れた。K氏の場合、昨年8月に入院した病院で「急性骨髄性白血病」と診断され、入院から1週間後に亡くなっている。
 「マスクをして『夏風邪だ』と職場を走り回っていましたが、もっと早く病院に行っていれば、と悔やまれてなりません。今の府庁には簡単に休暇を願い出られる空気などありません。Kさんはそんな府政の犠牲になったのです」
 〈要は、知事に直言する上司が皆無であることが最大の原因です。知事は常に「部長級、次長級は、政治任命だ」と公言していますから、「逆らえば飛ばされる」「歯向かえば潰される」。物言えば唇寒し……なのです〉(『仮面の騎士』より)
*「汚ないものでも引き受ける」
 9月末、橋下氏は自らの手足である維新の会に、職員を相対評価し、最下位ランクが2年連続になると分限免職の対象とするなどの「職員基本条例案」と「教育基本条例案」を府議会と大阪市議会に提出させ、大阪市議会で否決されると、教育委員会を仮想敵に設定し、「条例をダブル選挙の争点にします」と息巻いた。本誌に告発した府職員が嘆息した。
 「自分は市長選に出馬するのでしょう。9月府議会は12月まであり、条例を今議会で決めるということは、その頃、橋下氏は知事ではないわけです。その場、その場で思いついたことを言い、後はどうなるか分からない、結局、言ってることは矛盾だらけ。後出しジャンケン以外の何物でもありません」
 ダブル選に向け、自民党大阪府連の谷川秀善会長が、参院議員の丸山和也氏(65)に府知事選出馬を打診した。橋下氏も丸山氏もともに弁護士で、ともに話題の島田紳助が司会をしていた『行列のできる法律相談所』(日本テレビ系)への出演経験がある。話題づくりの臭いが鼻につくが、これでダブル選に?お祭り?の要素が加わったことだけは確かだ。
 〈政令指定都市であり、大阪府と同等の予算権限と予算規模を持ち、大阪府の意向に従おうとしない大阪市を解体し、府と市を一体化して、強力な権限と財源を併せ持つ「大阪都=ONE大阪」を生み出そうとしているのです〉(同書より)。
 では、権限を集中させた橋下氏が何をするのだろう。何度か口にしたカジノ構想か、商工ローン「シティズ」の顧問弁護士を務めた彼らしく、法定より高い金利でもカネを貸せる「貸金特区」か---。いずれにせよ、「大阪は汚いものでもなんでも引き受ける」という橋下氏の理念に即したものになるのだろう。
 警告の書が伝える現実は、橋下氏がクーデターを誘発するマネを繰り返した挙げ句、最後は行政機能が停滞するというオチ。いくら大阪人でも笑えやしない。
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政党政治が崩れる〜問責国会が生む失望感===透けるポピュリズム
 論壇時評 金子勝(かねこ・まさる=慶応大教授、財政学) 2011/02/23Wed.中日新聞


『TPP亡国論』/怖いラチェット規定やISD条項(毒まんじゅう)/コメの自由化は今後こじ開けられる

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米国丸儲けの米韓FTAからなぜ日本は学ばないのか 「TPP亡国論」著者が最後の警告! 
Diamond online 2011年10月24日 中野剛志[京都大学大学院工学研究科准教授]
 TPP交渉に参加するのか否か、11月上旬に開催されるAPECまでに結論が出される。国民には協定に関する充分な情報ももたらされないまま、政府は交渉のテーブルにつこうとしている模様だ。しかし、先に合意した米韓FTAをよく分析すべきである。TPPと米韓FTAは前提や条件が似通っており、韓国が飲んだ不利益をみればTPPで被るであろう日本のデメリットは明らかだ。
 TPP(環太平洋経済連携協定)の交渉参加についての結論が、11月上旬までに出される。大詰めの状況にありながら、TPPに関する情報は不足している。政府はこの点を認めつつも、本音では議論も説明もするつもりなどなさそうだ。
 しかし、TPPの正体を知る上で格好の分析対象がある。TPP推進論者が羨望する米韓FTA(自由貿易協定)である。
■米韓FTAが参考になるのはTPPが実質的には日米FTAだから
 なぜ比較対象にふさわしいのか?
 まずTPPは、日本が参加した場合、交渉参加国の経済規模のシェアが日米で9割を占めるから、多国間協定とは名ばかりで、実質的には“日米FTA”とみなすことができる。また、米韓FTAもTPPと同じように、関税の完全撤廃という急進的な貿易自由化を目指していたし、取り扱われる分野の範囲が物品だけでなく、金融、投資、政府調達、労働、環境など、広くカバーしている点も同じだ。
 そして何より、TPP推進論者は「ライバルの韓国が米韓FTAに合意したのだから、日本も乗り遅れるな」と煽ってきた。その米韓FTAを見れば、TPPへの参加が日本に何をもたらすかが、分かるはずだ。
 だが政府もTPP推進論者も、米韓FTAの具体的な内容について、一向に触れようとはしない。その理由は簡単で、米韓FTAは、韓国にとって極めて不利な結果に終わったからである。
 では、米韓FTAの無残な結末を、日本の置かれた状況と対比しながら見てみよう。
■韓国は無意味な関税撤廃の代償に環境基準など米国製品への適用緩和を飲まされた
 まず、韓国は、何を得たか。もちろん、米国での関税の撤廃である。
 しかし、韓国が輸出できそうな工業製品についての米国の関税は、既に充分低い。例えば、自動車はわずか2.5%、テレビは5%程度しかないのだ。しかも、この米国の2.5%の自動車関税の撤廃は、もし米国製自動車の販売や流通に深刻な影響を及ぼすと米国の企業が判断した場合は、無効になるという条件が付いている。
 そもそも韓国は、自動車も電気電子製品も既に、米国における現地生産を進めているから、関税の存在は企業競争力とは殆ど関係がない。これは、言うまでもなく日本も同じである。グローバル化によって海外生産が進んだ現在、製造業の競争力は、関税ではなく通貨の価値で決まるのだ。すなわち、韓国企業の競争力は、昨今のウォン安のおかげであり、日本の輸出企業の不振は円高のせいだ。もはや関税は、問題ではない。
 さて、韓国は、この無意味な関税撤廃の代償として、自国の自動車市場に米国企業が参入しやすいように、制度を変更することを迫られた。米国の自動車業界が、米韓FTAによる関税撤廃を飲む見返りを米国政府に要求したからだ。
 その結果、韓国は、排出量基準設定について米国の方式を導入するとともに、韓国に輸入される米国産自動車に対して課せられる排出ガス診断装置の装着義務や安全基準認証などについて、一定の義務を免除することになった。つまり、自動車の環境や安全を韓国の基準で守ることができなくなったのだ。また、米国の自動車メーカーが競争力をもつ大型車の税負担をより軽減することにもなった。
 米国通商代表部は、日本にも、自動車市場の参入障壁の撤廃を求めている。エコカー減税など、米国産自動車が苦手な環境対策のことだ。
■コメの自由化は一時的に逃れても今後こじ開けられる可能性大
 農産品についてはどうか。
 韓国は、コメの自由化は逃れたが、それ以外は実質的に全て自由化することになった。海外生産を進めている製造業にとって関税は無意味だが、農業を保護するためには依然として重要だ。従って、製造業を守りたい米国と、農業を守りたい韓国が、お互いに関税を撤廃したら、結果は韓国に不利になるだけに終わる。これは、日本も同じである。
 しかも、唯一自由化を逃れたコメについては、米国最大のコメの産地であるアーカンソー州選出のクロフォード議員が不満を表明している。カーク通商代表も、今後、韓国のコメ市場をこじ開ける努力をし、また今後の通商交渉では例外品目は設けないと応えている。つまり、TPP交渉では、コメも例外にはならないということだ。
 このほか、韓国は法務・会計・税務サービスについて、米国人が韓国で事務所を開設しやすいような制度に変えさせられた。知的財産権制度は、米国の要求をすべて飲んだ。その結果、例えば米国企業が、韓国のウェブサイトを閉鎖することができるようになった。医薬品については、米国の医薬品メーカーが、自社の医薬品の薬価が低く決定された場合、これを不服として韓国政府に見直しを求めることが可能になる制度が設けられた。
 農業協同組合や水産業協同組合、郵便局、信用金庫の提供する保険サービスは、米国の要求通り、協定の発効後、3年以内に一般の民間保険と同じ扱いになることが決まった。そもそも、共済というものは、職業や居住地などある共通点を持った人々が資金を出し合うことで、何かあったときにその資金の中から保障を行う相互扶助事業である。それが解体させられ、助け合いのための資金が米国の保険会社に吸収される道を開いてしまったのだ。
 米国は、日本の簡易保険と共済に対しても、同じ要求を既に突きつけて来ている。日本の保険市場は米国の次に大きいのだから、米国は韓国以上に日本の保険市場を欲しがっているのだ。
■米韓FTAに忍ばされたラチェット規定やISD条項の怖さ
 さらに米韓FTAには、いくつか恐ろしい仕掛けがある。
 その一つが、「ラチェット規定」だ。
 ラチェットとは、一方にしか動かない爪歯車を指す。ラチェット規定はすなわち、現状の自由化よりも後退を許さないという規定である。
 締約国が、後で何らかの事情により、市場開放をし過ぎたと思っても、規制を強化することが許されない規定なのだ。このラチェット規定が入っている分野をみると、例えば銀行、保険、法務、特許、会計、電力・ガス、宅配、電気通信、建設サービス、流通、高等教育、医療機器、航空輸送など多岐にわたる。どれも米国企業に有利な分野ばかりである。
 加えて、今後、韓国が他の国とFTAを締結した場合、その条件が米国に対する条件よりも有利な場合は、米国にも同じ条件を適用しなければならないという規定まで入れられた。
 もう一つ特筆すべきは、韓国が、ISD(「国家と投資家の間の紛争解決手続き」)条項を飲まされていることである。
 このISDとは、ある国家が自国の公共も利益のために制定した政策によって、海外の投資家が不利益を被った場合には、世界銀行傘下の「国際投資紛争解決センター」という第三者機関に訴えることができる制度である。
 しかし、このISD条項には次のような問題点が指摘されている。
 ISD条項に基づいて投資家が政府を訴えた場合、数名の仲裁人がこれを審査する。しかし審理の関心は、あくまで「政府の政策が投資家にどれくらいの被害を与えたか」という点だけに向けられ、「その政策が公共の利益のために必要なものかどうか」は考慮されない。その上、この審査は非公開で行われるため不透明であり、判例の拘束を受けないので結果が予測不可能である。
 また、この審査の結果に不服があっても上訴できない。仮に審査結果に法解釈の誤りがあったとしても、国の司法機関は、これを是正することができないのである。しかも信じがたいことに、米韓FTAの場合には、このISD条項は韓国にだけ適用されるのである。
 このISD条項は、米国とカナダとメキシコの自由貿易協定であるNAFTA(北米自由貿易協定)において導入された。その結果、国家主権が犯される事態がつぎつぎと引き起こされている。
 たとえばカナダでは、ある神経性物質の燃料への使用を禁止していた。同様の規制は、ヨーロッパや米国のほとんどの州にある。ところが、米国のある燃料企業が、この規制で不利益を被ったとして、ISD条項に基づいてカナダ政府を訴えた。そして審査の結果、カナダ政府は敗訴し、巨額の賠償金を支払った上、この規制を撤廃せざるを得なくなった。
 また、ある米国の廃棄物処理業者が、カナダで処理をした廃棄物(PCB)を米国国内に輸送してリサイクルする計画を立てたところ、カナダ政府は環境上の理由から米国への廃棄物の輸出を一定期間禁止した。これに対し、米国の廃棄物処理業者はISD条項に従ってカナダ政府を提訴し、カナダ政府は823万ドルの賠償を支払わなければならなくなった。
 メキシコでは、地方自治体がある米国企業による有害物質の埋め立て計画の危険性を考慮して、その許可を取り消した。すると、この米国企業はメキシコ政府を訴え、1670万ドルの賠償金を獲得することに成功したのである。
 要するに、ISD条項とは、各国が自国民の安全、健康、福祉、環境を、自分たちの国の基準で決められなくする「治外法権」規定なのである。気の毒に、韓国はこの条項を受け入れさせられたのだ。
 このISD条項に基づく紛争の件数は、1990年代以降激増し、その累積件数は200を越えている。このため、ヨーク大学のスティーブン・ギルやロンドン大学のガス・ヴァン・ハーテンなど多くの識者が、このISD条項は、グローバル企業が各国の主権そして民主主義を侵害することを認めるものだ、と問題視している。
■ISD条項は毒まんじゅうと知らず進んで入れようとする日本政府の愚
 米国はTPP交渉に参加した際に、新たに投資の作業部会を設けさせた。米国の狙いは、このISD条項をねじ込み、自国企業がその投資と訴訟のテクニックを駆使して儲けることなのだ。日本はISD条項を断固として拒否しなければならない。
 ところが信じがたいことに、政府は「我が国が確保したい主なルール」の中にこのISD条項を入れているのである(民主党経済連携プロジェクトチームの資料)。
 その理由は、日本企業がTPP参加国に進出した場合に、進出先の国の政策によって不利益を被った際の問題解決として使えるからだという。しかし、グローバル企業の利益のために、他国の主権(民主国家なら国民主権)を侵害するなどということは、許されるべきではない。
 それ以上に、愚かしいのは、日本政府の方がグローバル企業、特にアメリカ企業に訴えられて、国民主権を侵害されるリスクを軽視していることだ。
 政府やTPP推進論者は、「交渉に参加して、ルールを有利にすればよい」「不利になる事項については、譲らなければよい」などと言い募り、「まずは交渉のテーブルに着くべきだ」などと言ってきた。しかし、TPPの交渉で日本が得られるものなど、たかが知れているのに対し、守らなければならないものは数多くある。そのような防戦一方の交渉がどんな結末になるかは、TPP推進論者が羨望する米韓FTAの結果をみれば明らかだ。
 それどころか、政府は、日本の国益を著しく損なうISD条項の導入をむしろ望んでいるのである。こうなると、もはや、情報を入手するとか交渉を有利にするといったレベルの問題ではない。日本政府は、自国の国益とは何かを判断する能力すら欠いているのだ。
■野田首相は韓国大統領さながらに米国から歓迎されれば満足なのか
 米韓FTAについて、オバマ大統領は一般教書演説で「米国の雇用は7万人増える」と凱歌をあげた。米国の雇用が7万人増えたということは、要するに、韓国の雇用を7万人奪ったということだ。
 他方、前大統領政策企画秘書官のチョン・テイン氏は「主要な争点において、われわれが得たものは何もない。米国が要求することは、ほとんど一つ残らず全て譲歩してやった」と嘆いている。このように無残に終わった米韓FTAであるが、韓国国民は、殆ど情報を知らされていなかったと言われている。この状況も、現在の日本とそっくりである。
 オバマ大統領は、李明博韓国大統領を国賓として招き、盛大に歓迎してみせた。TPP推進論者はこれを羨ましがり、日本もTPPに参加して日米関係を改善すべきだと煽っている。
 しかし、これだけ自国の国益を米国に差し出したのだから、韓国大統領が米国に歓迎されるのも当然である。日本もTPPに参加したら、野田首相もアメリカから国賓扱いでもてなされることだろう。そして政府やマス・メディアは、「日米関係が改善した」と喜ぶのだ。だが、この度し難い愚かさの代償は、とてつもなく大きい。
 それなのに、現状はどうか。政府も大手マス・メディアも、すでに1年前からTPP交渉参加という結論ありきで進んでいる。11月のAPECを目前に、方針転換するどころか、議論をする気もないし、国民に説明する気すらない。国というものは、こうやって衰退していくのだ。 *強調(太字・着色)は来栖
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『TPP亡国論』 TPPで輸出は増えない!デフレが進むだけ!アメリカの仕掛けた罠に日本はまた、はまるのか!?(集英社新書)
 TPP(環太平洋経済連携協定)参加の方針を突如打ち出し、「平成の開国を!」と喧伝した民主党政権。そして賛成一色に染まったマス・メディア。しかし、TPPの実態は日本の市場を米国に差し出すだけのもの。自由貿易で輸出が増えるどころか、デフレの深刻化を招き、雇用の悪化など日本経済の根幹を揺るがしかねない危険性のほうが大きいのだ。
 いち早くTPP反対論を展開してきた経済思想家がロジカルに国益を考え、真に戦略的な経済外交を提唱する。
 [はじめに]
 この本を世に出すにあたっては、私は、何とも言えない漠然とした不安を感じています。といっても、私個人の身に何か危害が及ぶとか、そういった類の不安感とは違います。
 この本は、国家的機密情報をリークするとか、外国の陰謀をあばくとかいったものではありません。ここに書かれていることは、すべて、公開情報をもとにしています。そして、誰にでも手に入れられる情報をもとにし、誰にでも納得できるような論理を用いて、日本のTPP(環太平洋経済連携協定)への参加について反対し、その根拠を明らかにします。それだけのことです。
 では、何が私を不安にしているのでしょうか。それは、我が国における議論や物事の進み方の異様さです。
 まず一番怖いのは、農業関係者を除く政治家、財界人、有識者あるいはマス・メディアが、ほぼすべてTPPへの参加に賛成しているにもかかわらず、その根拠があまりに弱く、その論理があまりに乱れているという点です。この全体主義的な事態は、ただごとではありません。
 私は、TPPへの参加に賛成する議論を追っているうちに、ある共通する特徴に気づきました。それは、どの議論も、戦略的に考えようとするのを自分から抑止しているように見えるという点です。たとえるならば、戦略的に考えようとする思考回路に、サーキット・ブレーカーが付いていて、あるコードが出ると、それに反応してブレーカーが自動的に落ちて、思考回路を遮断してしまうような感じです。
 TPPをめぐる議論には、そういうブレーカーを働かせるコードが特に多いのです。いくつか例を挙げてみましょう。
「開国/鎖国」「自由貿易」「農業保護」「日本は遅れている/乗り遅れるな」「内向き」「アメリカ」「アジアの成長」「環太平洋」
 TPP賛成論には、こういったお決まりのセリフがよく出てきます。そして、こういったセリフが出てきた瞬間、論理が飛んで、TPPに参加すべきだという結論へと着地するのです。どれほど論理が矛盾していようが、どれほど現実に起きていることと反していようが、「TPPに参加するしかない」となり、他の結論を許さないようになっているのです。
 私は、TPPをめぐる議論を検証しながら、日本人の思考回路がたくさんのブレーカーでがんじがらめになっていることに気づきました。この本は、TPPに関する是非そのものを議論するというだけでなく、それを通じて、日本人の思考回路を束縛し、戦略的に考えられないようにしているブレーカーの存在を明らかにするものと思います。
 戦略的に考えられないということは、今の世の中、致命的な問題です。
 二〇〇八年のリーマン・ショック以降、世界は激変しつつあります。かつての世界恐慌がそうでしたが、世界的な大不況では、各国とも生き残りのために必死になります。そのためには手段を選ばず、武力衝突も辞さないでしょう。
 こうした中、さまざまな国が、日本に対して、うまい話やきれい事を並べながら、えげつない計略をいろいろと仕掛けてくるでしょう。私は、TPPもそのひとつだと思っています。いや、TPPなど序の口なのかもしれないのです。
 このように言うと、「排外主義的だ」「感情論だ」「内向きだ」と批判されるかもしれません。しかし、二〇一〇年の環太平洋地域に限っても、すでにいろいろとキナ臭い事件が起きました。特に目立った動きだけでも、例えば、中国漁船による尖閣沖の領海侵犯事件とそれをめぐる中国の対応、ロシア大統領による北方領土訪問、北朝鮮による核開発や韓国への砲撃などが挙げられます。予測不能の事態がいつ起きてもおかしくはない世の中になっているのです。
 これほど厳しい世界になっているのに、ちょっと戦略的に考えようとするや否や、すぐにブレーカーが落ちて思考回路を遮断してしまう。そのような頭の構造をしているようでは、あまりにも危な過ぎます。私たちは、そんなブレーカーを一刻も早く取り外して、まずは戦略的な思考の回路を取り戻さなくてはなりません。
 この本は、TPPという具体的な問題の検証を通じて、日本人の戦略的思考回路を回復させようという試みです。ですから、これからTPP以外の問題が日本に降りかかったときにも、この本に書かれた戦略的思考回路が役に立つことを狙って、私は書いています。
 実際、TPPというアジェンダが浮上した背景、そしてそれに対する政府、財界、知識人、マス・メディアの反応を解明しようとすると、農業や貿易はもちろん、世界経済の構造変化、アメリカの戦略、金融、財政、グローバリゼーション、政治、資源、環境、安全保障、歴史、思想、心理、精神と多岐にわたる論点に考察を及ぼさなければなりません。しかも、これらすべての論点が、TPPを中心にして、相互につながり、絡み合っているのです。
 言い換えれば、TPPという穴をのぞくことで、リーマン・ショック後の世界の構造変化、そして日本が直面している問題の根本が見えてくるのです。ですから、それらを頭に入れておけば、今後、TPP以外の政治経済的な問題に対処するにあたっても、きっと役に立つことと思います。
 TPPとは、それだけ根の深い問題なのです。
*中野 剛志(なかの たけし)
  一九七一年、神奈川県生まれ。京都大学大学院工学研究科助教。東京大学教養学部(国際関係論)卒業。エディンバラ大学より博士号取得(社会科学)。経済産業省産業構造課課長補佐を経て現職。専門は経済ナショナリズム。イギリス民族学会Nations and Nationalism Prize受賞。主な著書に『国力論―経済ナショナリズムの系譜』(以文社)、『自由貿易の罠―覚醒する保護主義』(青土社)など。
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わが国の食料・農業・環境・医療・介護をどう守るか TPPをめぐる交渉に日本も参加するのか2011-10-22 | 政治(経済/社会保障/TPP)

玄葉外相「TPP判断間近」/経団連会長、TPP早期参加を要望/「TPP亡国論」ラチェット規定・ISD条項

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玄葉外相「TPP判断間近」
東京新聞2011年10月24日 夕刊
 玄葉光一郎外相は二十四日、環太平洋連携協定(TPP)交渉参加について「しっかり目を見開いて、大局的な判断を示さなければいけない時が間近に来ている」と述べた。経団連の米倉弘昌会長との意見交換で明言した。
 経団連の説明によると、外相は東南アジア諸国連合(ASEAN)と日中韓の経済連携協定(EPA)などTPP以外の経済連携の重要性にも言及。「順番が大事だ。TPPをまず(やる)。それが他の経済連携にもつながる」と語り、TPPに強い意欲を示した。
 外相は国民への情報開示を徹底するとした上で「交渉に入らないと得られない情報がたくさんある」とも強調した。
 日本政府は、十一月に米ハワイで開催のアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議までに、日本がTPPの交渉に参加するかどうか判断する。米国などがAPECでTPPの大枠合意を目指していることを踏まえ米倉会長は「もはや待ったなし」と強調、政治のリーダーシップを求めた。
 会合後、記者団の取材に応じた米倉会長は、TPP交渉入りに対する農業関係者の反対が根強いことについて「農業かTPPかではなく、両方やらなければならない」とした。
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経団連会長、TPP早期参加を改めて要望 外相らと懇談
2011/10/24 10:13 日本経済新聞
 玄葉光一郎外相は24日午前、都内で経団連の米倉弘昌会長と懇談した。環太平洋経済連携協定(TPP)交渉について「外に目を見開き、大局的な判断を示す時が間近に来ている」と述べ、参加に前向きな姿勢を示した。米倉氏が「政治の強いリーダーシップで機を逸することなく交渉参加を決断してほしい」と要望したことに応えた。
 外相は中国や韓国との自由貿易協定(FTA)などTPP以外の経済連携に関しては「順番が重要だ。TPPをまずやる。それが他の経済連携交渉を進めることになる」と指摘した。
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『TPP亡国論』/怖いラチェット規定やISD条項(毒まんじゅう)/コメの自由化は今後こじ開けられる2011-10-24 | 政治(経済/社会保障/TPP)
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地域経済・医療崩壊の恐れ JAと県医師会 TPP反対集会開く
2011年10月20日 東京新聞
 環太平洋連携協定(TPP)の交渉参加に反対するJA県中央会と県医師会が主催した緊急集会が十九日、小美玉市四季文化館みの〜れで開かれた。関係団体などから約七百人が集結し、「食料自給率の低下や地域経済・社会の崩壊を招く恐れがある」「地域医療、保険、雇用、食品安全性など国のかたちを一変させてしまう」として断固反対を求める決議を採択した。 (北爪三記)
 両団体によるTPP反対の活動は初めて。壇上には、加倉井豊邦・JA県中央会長や斎藤浩・県医師会長らが背中に「TPP交渉参加断固反対!」と赤で書かれた白いジャンパーを着て並んだ。
 斎藤会長は「TPPは農業だけでなく医療、福祉、介護、教育などあらゆる産業に関与している。日本は米国の属国化する必要があるのか。安易に参加してはならない」などと主張。加倉井会長は「主食であるコメの生産を外国に任せることになったら国や国民を守れるのか。相手国にはっきり物を言えるのか。そういう事態を招きかねず、この協定の危うさ、問題の本質を見極めて阻止していきたい」と呼び掛けた。
 来賓であいさつした県消費者団体連絡会の川上ヒロ子会長は「国民や消費者の生活にどんな影響を与えるのか明らかにされない中、交渉問題を農業対工業のように扱い、十一月までに参加を前提とした結論を導こうとする政府の方針に違和感を感じる」と問題提起。「震災や原発事故によって、食の安全安心や健康に対する国民の関心はかつてなく高い。私たちはTPP問題が何なのか知る権利がある。政府は国民に十分な説明をする必要がある」と訴えた。
 自民、民主、公明、自民県政ク、共産の県議ら約三十人も駆け付け、集会の終わりに主催者とともに拳をつくり、壇上で「ガンバロー」を三唱して気勢を上げた。
 TPPをめぐっては、JA県中央会など十六団体が今年二月に「TPP対策県農林水産団体本部」を設置。三十四万六千三百九十七人の反対署名を集めるなどしている。
 県議会も昨年の第四回定例会で、TPP交渉参加反対の請願を採択したほか、国民的議論や慎重な判断を求める意見書を可決している。

中日ファンは優勝してもまだまだ怒り心頭【前編】

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中日ファンは優勝してもまだまだ怒り心頭
日刊SPA! 2011.10.22
 マジック1からまさかの3連敗でファンをやきもきさせ、最後は引き分けで優勝。なんとも“落合監督らしい”有終の美を飾った中日ドラゴンズ。かくいう筆者も横浜スタジアムに足を運び、多くのファンと共に感動の涙で頬を濡らしたのである。
 『落合監督退任報道に中日ファンは怒り心頭』では、一連の解任報道を巡るファンの怒りの声を伝え、解任と優勝の狭間で葛藤するファンの声をお伝えした。それからの優勝である。ファンも少しは溜飲を下げて勝利の美酒に酔っているのかと思いきや、優勝後に落合監督解任にまつわる舞台裏が暴露されると、さらにヒートアップしてしまったのであった。
 ※『落合監督退任報道に中日ファンは怒り心頭』(http://nikkan-spa.jp/69392)
 ◆映画「メジャーリーグ」さながらのお家騒動
 歓喜に包まれた横浜スタジアム。引き分けで優勝というのも、また落合監督らしい有終の美だった
ことの発端は優勝翌日のスポーツ紙に掲載された数々の“舞台裏”である。スポーツ新聞の記事を抜粋させていただこう。
 「9月22日。台風の影響で遠征先の東京から始発の新幹線に飛び乗った指揮官は、混雑した車内で立ったまま名古屋に戻った。そこで告げられたのは、今季限りの契約満了。発表は4.5ゲーム差で迎えたヤクルトとの決戦3時間前であった。『アタマに来た! 絶対に優勝してやる』と首脳陣の一人が激怒。信じがたいタイミングだった」(10/19 スポーツ報知)
 「連覇の原動力となった事件がある。ナゴヤドームで行われた9月6日の巨人戦。3対5で敗れた試合後の関係者通路。カード初戦を落とし、首位・ヤクルトと4.5に開いた一戦。坂井球団社長が、なんとガッツポーズを繰り出した。複数の球団関係者がその光景を目にし、すぐさまチーム内に広まった」(10/19 デイリースポーツ)
 ガッツポーズ事件、果たして真相は……
こうした坂井球団社長の無礼千万な態度が報道されたことをきっかけとなり、ツイッターを始めとするネット上では中日ファンだけでなく、その他の球団のファン、また、野球には興味のない人まで巻き込んで「中日、マジでありえない」の大合唱が始まったのである。ツイッターでは「#坂井やめろ」のハッシュタグまで登場。ファンの怒りの声が増幅していったのである。そこに追い打ちをかけたのが夕刊紙の東スポの記事である。なんと坂井球団社長のガッツポーズは9月18日の巨人戦、9月25日のヤクルト戦でも繰り出され、特に9月25日のヤクルト戦敗戦後のガッツポーズは、選手によって“現行犯”で目撃されたというのだ。
 その後、東スポの取材に対して「冤罪」を主張した坂井球団社長だが、ファンの怒りは収まらず、さらにヒートアップしていったのであった。こうした中日球団のお家騒動を、怒りとも呆れとも形容しがたい感情で見つめるのは当の中日ファン。その生の声を聞いた。
 ⇒【中編】に続く 「落合の野球を見ていた人間とは思えない!」http://nikkan-spa.jp/78677
 取材・文/テポドン
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落合監督退任報道に中日ファンは怒り心頭/高度な理論の落合野球/高木次期監督はしばらく黙ってろ!2011-10-06 | 野球・・・など
オレ竜、球団初の連覇! 球団社長の敗戦ガッツポーズで一丸に/ G渡辺会長「落合虎なら強くなる」2011-10-19 | 野球・・・など
中日ファンは優勝してもまだまだ怒り心頭【中編】「落合の野球を見ていた人間とは思えない!」2011-10-25 | 野球・・・など
中日ファンは優勝してもまだまだ怒り心頭【後編】地元メディア関係者に聞く お家騒動と優勝2011-10-25 | 野球・・・など

中日ファンは優勝してもまだまだ怒り心頭【中編】「落合の野球を見ていた人間とは思えない!」

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中日ファンは優勝してもまだまだ怒り心頭【中編】「落合の野球を見ていた人間とは思えない!」  
日刊SPA! 2011/10/22
『落合監督退任報道に中日ファンは怒り心頭』では、一連の解任報道を巡るファンの怒りの声を伝え、解任と優勝の狭間で葛藤するファンの声をお伝えした。それからの優勝である。ファンも少しは溜飲を下げて勝利の美酒に酔っているのかと思いきや、優勝後に落合監督解任にまつわる舞台裏が暴露されると、さらにヒートアップしてしまったのであった。その生の声を聞いた。
※『落合監督退任報道に中日ファンは怒り心頭』(http://nikkan-spa.jp/69392)
◆ぜひ一連の騒動を映画化に!
 「無骨だが勝負に徹する監督、それを慕う選手、球団からの嫌がらせ、それに奮起して優勝。まぁ、どこかで見たようなシナリオですが、日本社会の縮図を表すにはぴったりの騒動でしたね。ぜひ映画化してほしい。始まる前に『この物語は事実を基にしたフィクションです』ってやっとけばいい。登場人物はみんな本名にならってね。越智田監督、林コーチ、浅田投手なんてやれば見る方も感情移入ができる」(37歳・男性)
 昔、『ミスターベースボール』という高倉健が出た映画で、中日が舞台になったことをファンは忘れてはおるまい。だが、ナゴヤドームから撮影許可は下りるのか?
◆握手拒否で溜飲が下がった
「坂井球団社長と握手拒否したのは、いかにも落合監督らしいわ。自分をクビにしたヤツと握手できるたわけがどこにおるんやて。なんかあの場面をテレビで見てスカッとしたわ」(42歳・男性)
東スポの終面では握手拒否の一連の流れが見事なコマ送りで掲載され、こちらも話題となった。
◆落合の野球を見ていた人間とは思えない!
 「解任後、『来季はどこの監督をやってもいい』と球団社長は言ってたけど、あの人は自分のチームの試合を観てないんじゃないかな。だって、言ってみたら戦力的には巨人やヤクルトより劣ってるかもしれないのに、まとめあげて、鍛え上げて、戦術をもって8年の間にこれほどの成績を残したんですよ。他球団に行ってイイということは、そういうことをやられるということ。ものすごく勝ちにくい相手を作るだけじゃないですか。ドラゴンズの野球を観てると、こりゃ相手チームからしたら嫌な試合運びだなって思うことがすごくある。早い回に点を取らないと小林、浅尾、岩瀬で抑えられてサヨナラ勝ちされたりした日にゃ、身も心もボロボロですよ。仮に落合さんが阪神の監督になったとします。そしたらもう、阪神戦を観るのは中日ファンからすれば拷問ですよ」(27歳・男性)
 落合監督の今後の進路には注目が集まるところだが、できることならしばらくお休みしてほしいというのが本音か。
 ◆中日OBの解説者は監督に土下座しろ!
 「テレビに出て偉そうに『ヤクルト優勝』とかほざいてた中日OBの解説者は手のひら返したように優勝おめでとう!なんて、どのツラ下げて言ってるんだと。本当に腹が立ちましたよ。もう、野球の解説なんてやらずに“居酒屋経営”に御執心していただきたい。しかもそんな連中が入閣するかも的な報道を見るたびにうんざりします。彼らが本当に優秀ならば、なぜ今まで他球団でコーチなどをしてこなかったんでしょうか……。不思議ですね」(39歳・男性)
 このOB解説者たちへの怒りの声も多く、入閣でファン離れが加速か!? OBうんざりという意見にはこんな意見もある。
 ◆新しい風(笑)
 「落合監督解任にあたって『新しい風を吹き込みたい』と球団は言いました。ですが、山崎、川上、福留の獲得を口走ったり、平野さんや権藤さん、その他大勢のOBの名前が入閣リストとしてが取り沙汰されています。あの、ここで聞きたいんですが、コレってどこが新しいんですか? まぁ、“小松打撃コーチ”とかなら新しいんでしょうが……」(33歳・男性)
 新しい風がOB招聘では、納得いかないファンも多いはず。一部には「マスターズリーグにでも参戦するつもりか!」と揶揄する声も。
 ◆もう、名古屋の局はドラゴンズ戦を中継するな!
 「僕は都内在住なんで、スカパーに加入して名古屋の試合は見ています。でも、ナゴヤドームの試合は名古屋の局が作ってるんですが、コレが本当に酷い! まず、解説者と名のつく人間が、他球団の選手のことをまるで知らないんですよ。例えば先日のヤクルト戦では実況が『この赤川という投手、●●さんはキャンプでも見たんですよね?』と振ったら、『あ、うん、まぁ…』って濁しやがったんです。もう、解説じゃないですよ。飲み屋で野球観てだべってるオヤジと一緒です。こっちはカネ払ってテレビ見てんだから、真面目に解説してくれよといいたい。自分の贔屓しているチームのことはわかってるんだから、相手の情報や戦術、投手や打者心理、試合運びを解説してほしいわけじゃないですか。それが、『あ、うん、まぁ…』って大バカ野郎ですよ。カネ返せ!」(35歳・男性)
 地方在住者にとってはテレビで見ることもすでにカネがかかる時代。ただ試合を流せば見てもらえる時代はもう、終わったのである。
 ◆球団社長はヤメてほしい
 「この社長、本当に失礼な人だと思います。ドラゴンズは強くなっちゃダメなんですか?って言いたい。一連の騒動は選手にも失礼ですよ。こんな人がトップにいる会社って、それだけでどうかと思います。成績を残した社員をクビにする社長がいる会社なんて、未来はないですよ。コストカッターって言われてますが、まずは自分の給料を減らしてみたらいいんですよ。もう、本当にヤメてほしい。こんな騒動で後を任される高木さんも『強くしたらクビになるのか?』って思ってるんじゃないですか」(27歳・女性)
 後任の高木監督も、連覇するとクビになる!?
 ◆中スポよりも“中スポ”だ!
 「大阪の方だと、東スポ(東京スポーツ)は大阪スポーツで通称・大スポ。名古屋だとこれが中京スポーツで中スポになるんですが、大本営の中日スポーツも中スポなんですね。でも、大本営の中スポよりもあっちの中スポ(中京スポーツ)の方がネタが濃い。どっちが本当の“中スポ”だと」(34歳・男性)
 ほかにも「優勝翌日の内容は中日スポーツが一番ペラペラだった」や「報知の方が中日情報が充実」に加えて「なぜトーチュウ(東京中日スポーツ)は風俗の記事があるのに、名古屋の中スポはないんだ!」など、批判の声が多数聞かれた。
 ◆タニマチとファンを混同すんな!
 「落合監督ならシーズンチケットは買わん!って企業が増えたって言っとるけど、ちょっと待てよと。トヨタの景気が冷え込んで、地元の企業はみんなヒイヒイ言っとるわけで、じゃあ、経費削減はどうしようってなったら接待用に買うシーズンチケット削るわな。でも、名古屋の人は見栄っぱりだもんで、みんな本音は言えんでしょう。じゃあ、落合続投なら買わんってことにしとこうかっていうとこも多いんじゃないか。そういう企業の本音も“取材”できんようじゃ、あかんよ。しかも、そういう企業にチケットが売れんことをダシに使ってファン離れが進んどるって、むちゃくちゃだわ。あれはタニマチっちゅうの。ファンじゃないわ。俺らファンは観に行きたいけど、良い席のチケットが取れんもん。こういう声をちゃんと聞いてほしいわ」(42歳・男性)
 お家騒動で結束し、チーム一丸となっての優勝。ファンも皆、今回の騒動で結束が強まった
このチケット問題もファン離れを引き起こした大きな要因と言われている。こんな声も……
 ◆外野と内野に自由席を!
 「ナゴヤドームのチケットは実に6割近くがシーズンチケットと言われています。ライト側の外野応援席のシーズンチケットに至っては、購入の順番待ちが出ているほどの人気です。でも、そのおかげで『盛り上がる外野のチケットが手に入らない』という現象が起き、販売当日でも買えないことなどザラです。そのため、金券屋などのチケットショップでこうした外野応援席を購入するのは当たり前だったりするのです。これはもう異常事態ですよ。シーズンチケットの何割かは、こうした転売目的で買われているんです。ナゴヤドームには今、パノラマシート以外に自由席はありません。以前はパイプと言われる外野上段が立ち見だったんですが、外野指定席のチケットを持っていないとそこにすら入れません。自由席を作れば、良席で観たい人は早くから並ぶだろうし、そうすれば球場の飲食店も賑わうはずです。野球は並ぶのも観戦の楽しみの一つだと思います。朝から並んで良席を取って、選手の練習を観ながらビールを飲んだりするのも野球の楽しさの一つです。もう一度、ナゴヤドームに自由席を導入してほしいですね」(37歳・男性)
 ナゴヤドームのライト側外野応援席はプレミアチケットとされている。‘06年、一番最低の観客動員だったヤクルト戦でもライト側外野応援席はダフ屋価格で1万円の値が付いたという話もある。チケットは取れないというのが定説化し、わざわざ買いに行くという気も起きないとことだろうか。
 ◆一人ぼっちのビールかけで自分を見つめ直しては?
 コレが問題の自分を見つめる首脳陣。ただ少しの間だけ一人ぼっちだった可能性も否定はできないのだが……
「ビールかけで坂井球団社長と思しき方が一人でビールかけをしているキャプチャ画像をネットで見た時は、ざまぁみろ!と思いました。あの状況で、一人でビールかけをした事実を胸に刻んでほしい」(26歳・女性)
 これまた手痛いお言葉だが、この有名なキャプチャ画像を見たファンは溜飲を下げたことだろう。ほかにもツイッターでは「中日と言うと虫唾が走る。これからドラゴンズとしか言わない」や「ガッツポーズって聞くだけでイラッとする。ガッツもダメ、巨人の小笠原もむかついてきた。あ、ウチの小笠原まで……」なんて声も。
 ⇒【後編】に続く「地元メディア関係者に聞く お家騒動と優勝」
 取材/テポドン
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中日ファンは優勝してもまだまだ怒り心頭【後編】地元メディア関係者に聞く お家騒動と優勝

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中日ファンは優勝してもまだまだ怒り心頭【後編】地元メディア関係者に聞く お家騒動と優勝
日刊SPA! 2011.10.22
 『落合監督退任報道に中日ファンは怒り心頭』では、一連の解任報道を巡るファンの怒りの声を伝え、解任と優勝の狭間で葛藤するファンの声をお伝えした。それからの優勝である。ファンも少しは溜飲を下げて勝利の美酒に酔っているのかと思いきや、優勝後に落合監督解任にまつわる舞台裏が暴露されると、さらにヒートアップしてしまったのであった。その生の声を聞いた筆者は、最後に一連の騒動について地元メディア関係者に話を聞いてみた。
 ※『落合監督退任報道に中日ファンは怒り心頭』(http://nikkan-spa.jp/69392)
 ◆地元メディア関係者に聞く お家騒動と優勝
 ――ガッツポーズは本当なのか?
 「たぶん本当でしょうね。一紙だけの独占じゃないし、デイリーと東スポの二紙に抜かれてます。日刊スポーツには監督自ら新幹線で名古屋に行ったことや、恨み節ともいえる心情を吐露していますしね」
 ――ファン感情は爆発しました。
 「蓋を開けてみれば坂井球団社長のあまりにも非礼な振る舞いに、球団内外、ファン、そして野球界全体から非難の声が上がってしまったんです。解任報道の頃から今に至るまで、世論やファン心理などの読みが甘すぎます。それとガッツポーズ事件にしても脇が甘すぎですね」
 ――高木監督でファンは戻るのか?
 「こればっかは蓋を開けてみないとわからない。確かにコメントも出せて露出も増えるから、注目する人は増えるでしょう。でも、中日は冬の時代を迎えるだろうと思います。先日、仲の良い野球解説者(関東の球団出身)と話してたんですが、こんなことを言ってたんです。『監督をああいう形で切って、コーチ陣にも同じような扱いをしたからね。たぶん他球団出身者はコーチに招聘されてもおいそれと首を縦に振らないだろう。しばらくは外部から優秀な人材(コーチ)はなかなか呼べないかもね。そうなると、若手育成からチーム作りまで頭打ちなるんじゃないかな』。ぐうの音も出ませんでした」
 ――ファンの怒りの声をまるで報道しない地元メディアに対し、不信感を抱くファンが大勢いる。地元メディアはどう思っているのか?
 「それを言われると本当にツラい。でも、ここで落合擁護、球団バッシングで報道してしまうと、確かに共感は得られるかもしれない。でも、来年から締め出されたり、冷遇されるのは火を見るよりも明らか。僕は個人的にというか、中日ファンとしては一連の騒動は腹が立つ。でも、現場の人間が四苦八苦してるのを見てるから、彼らの気持ちもわかる。複雑な気持ちです。まぁ、何度も言いますが来年からは高木監督なんです。だったら高木監督に期待する論調にして、仕切り直したいってとこなんでしょうね」
 ――気概を持ってみては?
 「関東には巨人、ヤクルト、ロッテ、関西は阪神、オリックスと複数の球団がある。そうすると、他球団の選手や記者から自分の担当チームの裏情報が入ることがある。でも、名古屋にはドラゴンズしかない。だから、締め出されると本当にネタが入らないんですよ。解説者から話聞こうにも、在名マスコミのお抱え解説者はみんな中日OBですしね。こうなると、もう、八方塞がりです。しかも、落合さんを擁護しても来年からは高木さんという事実は変わらないわけで、そうなると、火消しというか高木監督押しに回った方が得策となるワケです」
 ――どんな方法で?
 「ファンの声を無視するというよりもアンチ落合な評論家や著名人の声で、采配を暗に批判したりして、その後にしっかり高木さんのニュースを入れる。“地元新聞”の投書欄は一般読者の『落合さんはヤメた方がいい』なんて“声”を載せる有様。しかも、監督解任に反対するという声を1つ載せて、あとの2つは解任賛成の声というように公平感をしっかり演出(苦笑)」
 ――実際に上から火消しの指示はあったのか?
 「う〜ん……。『アンチ落合でやれ』って明確な指示はない。来年から高木さんが監督ってのは変わらないわけで、それに配慮してということは考えられるますが。落合監督に関してはコメント取れない、会見やらない、選手のケガの情報もない。これじゃ紙面も番組もうまく作れないってのは、事実だったわけです。仲の良い評論家には喋ってくれるというけど、毎週江川さんを名古屋に呼べるのかって言ったら、そりゃ答えはNOです。制作費の問題だってあるわけだし。制作する現場の人間はそういった恨み辛みにも似た葛藤がありますからね。そりゃここぞとばかりに落合解雇当たり前的なコメント取りに行きますよ」
 ――今や時代はネット社会。そんなことくらいで情報操作ができるとは思えないのだが……
 「名古屋なら、東海圏ならできると思い込んでる方々はいますね。中日新聞の東海地方における新聞シェア率は8割、9割とも言われています。おまけに名古屋のマスコミ関係者、特に上層部は『名古屋や岐阜はまだ田舎だし、年寄りはネットを見ない。だから新聞やテレビで言ってることが本当で、ネット情報は嘘、怖いと読者は思うはず』と本気で思ってる節がある。まぁ、さすがにTテレビさんはネットの怖さを思い知ってはいますが(苦笑)」
 ――ナメてますね。
 「完全にナメてます(笑)。名古屋のマスコミは終始こんなもんです。みんな仲良しクラブですから。野球とは違うんですが、こんな話もあります。随分前、とある新聞社ではグランパスの担当記者になったのはサッカーを知らないギャンブル担当の記者だったんですよ。記者席で『すいません。オフサイドってなんですか?』って聞いて、他社の記者から失笑されてました。まぁ、さすがにマズイんで、すぐに配置換えされましたが……。でも、仮にも名古屋が誇る2大プロチームですよ。そこになんにも知らない記者を平気でよこす神経がわからない。みんな適当なんですよ、悲しいですが」
 ファンの声は球団に届くのだろうか……。
 取材/テポドン
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