October 25, 2011, 7:16 am
連続インタビュー全3回分掲載⇒ カレル・ヴァン・ウォルフレン氏は小沢一郎裁判をどう見ているのか2011-10-27 | 政治/検察/メディア/小沢一郎
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関連;『誰が小沢一郎を殺すのか?』の著者カレル・ヴァン・ウォルフレン氏と小沢一郎氏が対談〈全文書き起こし〉2011-07-30
・「日本人のあり方」が日本国の大きな資源
上杉隆氏(以下、上杉): 公開討論会を始めたいと思います。その前にウォルフレンさん、一言ごあいさつを頂けますか。
カレル・ヴァン・ウォルフレン氏(以下、ウォルフレン): 今日はこのような機会をつくっていただき、お招きいただいたことを大変うれしく、また光栄に思っている。日本は第二次世界大戦以降、最大の災害に接した。災害に対する日本の皆さんのあり方と措置は、世界中の人たちの心の琴線に触れた。それは皆さんが冷静に対応されたことからだと思う。
この大災害に対して、日本の皆さんが心してあたったことで、国際的には日本人の威信が高くなったと思っている。災害に瀕して、非常に尊厳を持って、秩序正しくあたられた。お互いに「大変だった」という言い方をせず、お互いを助け上げる、引っ張り上げるような対応だった。「日本の人たちはすごいな」ということを、多くの友人から聞いた。その時も、そして今も思っているのだが、日本の皆さんのあり方、これが日本の皆さんにとって、また日本の国にとって大きな資源だと思っている。
この数年、日本の私の友人からは、「本当にイライラしてどうしようもない」という話を聞く。政権も交代したのだし、「何とか政治の体制、構造が変わってほしい」と、「より良い制度ができることを期待していたのに・・・」ということを聞いている。こういう大災害に接した時こそ、何か壮大なことができる、ひとつの大きな窓が開かれたという気がする。それを可能にする資源というか材料というのは、日本の皆さんの中にあると思う。そういう壮大な何かをしなければならない、今がその時期だ、という話を今日はできればと思って来た。
個人的なコメントをさせていただくが、家内と私は災害(東日本大震災)が起きたあの時期、日本にいなかった。普通は日本にいて、この本(『誰が小沢一郎を殺すのか?』)が出版された時期でもあったから、通常であれば日本にいたのだが、息子がちょうど誕生したので、たまたま日本にいなかった。そういう時に災害が起きた。家内と私は「日本にいるべきだった」という気持ちがした。それだけ日本に対して深い気持ちを持っていた。日本の市民ではないし、日本の国籍を持っているわけではないけれど、日本をそれだけ近く感じているという立場からお話させてもらいたい。
・お悔みを申し上げるのが政治家の仕事なのか?
上杉: まずは「3.11」の震災について、その震災後のことについてお話を頂ければと思う。今ウォルフレンさんからお話いただいたので、小沢さんの方から。「3.11」の国を揺るがすような大震災以降、どうも既存メディアでは小沢さんの影が見えなかったのでは、何もしていないのではないか、という声もあった。果たして小沢さんはどのような活動をされていたのか。「3.11」の発災以降のことも含めて、お話をいただければと思う。
小沢一郎衆院議員(以下、小沢): 今度のいまだかつて経験したことのないような大災害、私も被災県の岩手県の出身だけれども、特に福島県の原発の損壊と放射能汚染の問題、それが非常に深刻な事態だと、私は当初から機会ある度に訴えてきた。このような時にあたって、今ウォルフレンさんが指摘されたが、世界でも非常に評価されるような日本人の長所が発揮されていると同時に、日本人の欠点も露呈されているというのが、正直なところではないかと思っている。長所というのは、それは一般的に言われているように、こんな大災害にもかかわらず、みんな一生懸命力を合わせて復興のために頑張っていること。その忍耐と努力と、そして能力というのは、当然日本人として誇っていいことだと思っている。
ただ、放射能汚染といういまだかつて(ない)、ある意味においてはチェルノブイリやスリーマイル以上に、非常に大きな危険性を秘めているこの原発の事故と放射能汚染の拡大――。これほどの大きな深刻なことになると、単なる個人的な力の発揮ということ以上に、本来もっと国家として前面に立って、そして英知を集めて思い切って対策を講じていく仕組みと姿勢が必要だと思う。けれども、どうもその意味において、政治の面だけではなくて、一般の国民の中からもそういった強い要求というか、動きというものがなかなか出てこない。まさに非常に日本的な現象だと思っている。ほかの国ならば、こんなに黙って現状を見過ごしているような国民は多分ないだろうと思う。大きな大きな国民運動にまで広がりかねないと思うが、そういう(大きな運動にならない)ところがちょっと日本の国民性というか不思議なところであって、「まあまあ」という中で個人が一生懸命頑張っている。
上杉さんがマスコミの話をしたけれども、マスコミ自体も、政治が何をすべきか、政治家が何をすべきかと(報じない)。お見舞いに現地を歩くのが政治家の仕事なのか? お悔やみを申し上げるのが政治家の仕事なのか? というふうに私はあえて憎まれ口をきくけれど、やはり政治の役割というのは、そういうことではないと思う。このような深刻な事態をどのようにして克服していくか、そのためには政治の体制はどうあるべきなのか、政治家はどうあるべきなのかと考えるのが、本当に国民のための政治家のあり方だと私は思っている。そういう意味で、今後もいろいろとご批判は頂きながらも、私の信念は変わらないので、その方向で頑張りたいと思う。
・財源があろうがなかろうが、放射能を封じ込めろ
上杉: 引き続いて、お二方に質問を。自由報道協会の面々は発災直後から現地に入り、取材活動をずっと行ってきた。その取材の中で相対的に、結果としていま現在、県単位で見ると岩手県の復興が意外と進んでいるという報告が上がってきている。おべんちゃらではなく。(小沢氏の)お膝元の岩手県の復興が進んだという見方もできるが、一方で岩手県だけがそういう形で支援が進めばいいのかという疑問もある。そこで、これはウォルフレンさんと小沢さんお二方に伺いたい。仮に現在の菅政権ではなく、小沢一郎政権だったらどのような形で国を復興させたのか。また、もし小沢一郎総理だったら、具体的な方法としてどのような形で今回の震災に対応したのか。ご自身のことでお答えにくいかもしれないが、まず小沢さんから。
小沢: 岩手県の震災復興の進捗具合が大変良いとお褒めいただいているが、別にこれは私が岩手県にだけ特別何かしているということではない。ただ、それぞれの国民あるいは県民の努力と同時に、地域社会を預かっている知事はじめ、それぞれの任務にある人たち、トップが先頭に立って、そしてその下で皆があらゆる分野の活動で一生懸命やっている。岩手県が他の県に比べて良いとすれば、そういう体制がきちんとされているので、復興の進捗状況が良いと言われている理由ではないかと思っている。
私の場合は、かてて加えて原子力ということ、放射能汚染ということを強く主張している。これはもちろん東京電力が第一義的に責任を持っていることは間違いのないことだけれども、日本が政府として国家として、原子力発電を推進してきたことも事実だし、原発の設置運転等については許認可を与えている。そういう意味から言っても、また今日の放射能汚染が依然として続いているという非常に深刻な事態を考えると、東京電力が第一義的責任者だといって済む状況ではないのでは。東京電力にやらせておいて、政府はその後押しをしますよ、支援しますよというシステムでは、本当に国民・県民の生活を守っていくことはできないのではないか。
やはり政府、国家が前面にその責任をもって、最も有効と思われる対策を大胆に(行う)。これはお金がいくらかかる、かからないの問題ではない。メディアも含めてすぐ財源がどうだなんていう話が、また一般(財源)の時と同じような繰り返しの話ばかりしているが、そんな問題ではない。極端な言い方をすれば、財源があろうがなかろうが、放射能汚染は何としても封じ込めなければいけない話で、それは国家が政府が、前面に立って全責任でやる。私はそういうシステムを、仕組みをもっともっと早く、今でも遅くないから構築すべきだと思っている。今なお、東京電力が第一義的責任というやり方をしていたのでは、多分解決しないのではないかと思っている。
・菅さんは一人で何でもできると思い込んでいる
上杉: ウォルフレンさん、同じ質問だが、もし菅総理ではなくて小沢一郎総理だったら、この震災に対してはどうなっていたか。
ウォルフレン: いろいろな面があると思うが、まず3月11日にあの災害が起きた当時、私は阪神・淡路大震災の時と比べて政府の対応はどうだったかと、直感的に思った。当時の政府の対応と比べて、今回はずっと早く迅速に動いたという気がした。私はそのストーリーを書き、世界中に報道された。その時に私が言ったことは、「半世紀続いた一党体制が崩れて、新しい民主党という政党のもとに政権が建った。その政権は本当に国民のことを、人のことを大事に考えて中心に置いている」という書き方をした。ところが、せっかくの初動後の時間が経過するに従って、壮大な画期的な改革をする機会が与えられたにも関わらず――それはキャリア官僚の体制の上に政治的なコントロールを敷くということだったが――そこに至らないでズルズル時間が経ってしまった感じがする。
なぜ、そうなってしまったのかを考えたわけだが、1993年という年以降、政治の改革をしようと集まった政治家たちが、新しい民主党という党をつくった。そして官僚体制に対して、政治がきちんとコントロールしよう、今までなかった真摯な政府をつくろうという人たちだったのに、どうなってしまったのかと思った。何が起きてしまったのか、正直いって私自身は分からない。ただ、ひとつ考えられるのは、首相が一人で何でもできると思ってしまっているのではないか、ということ。数日前に日本に来て、その間多くの方々といろいろ話をして感じたのは、どうも菅さんは、時々いいアイデアもあるのかもしれないが、それを自分一人でやるだけの政治力があると思い込んでしまっているのではないか、ということだ。
菅さんにしても、誰であっても、一人ではとてもできないことではないか。災害に対処しながら、また原発事故に対処しながら、今までの官僚体制に政治がコントロールしていく――それを同時にやるのは大変なことだ。細かいことは存じ上げないが、原発事故が起きたということは、多くの人たちが新しいところで生活を始めなければならない。再定着が必要になってくるわけだから、政治家一人ではとても負えるものではない。民主党をつくった人たちが、官僚制度の上に政治的なコントロールを敷こうと、そして本当に政府をつくろうと、同じ志を持った民主党の政治家たちがお互いに、一緒に協力をしていかなければできないことなのだ。
災害が起きる前年、去年の秋だったけれど、少なくとも三人(小沢氏、鳩山由紀夫氏、菅直人氏)のトロイカ体制という話を聞いた時に、ある意味では当たり前だが、私はすごく良いアイデアだと思った。明治維新ひとつをとってみても、一人で誰がやったというわけではない。志を同じくした人たちが、一緒にやったことだった。戦後の復興にしても同じ。皆で一緒にやって初めてできたこと。半世紀に渡って一党支配の体制を崩した新しい政党が、新しいシステムをつくる。それにはトロイカであれ、グループであたっていかなければならないと、私は去年思ったものだ。
小沢政権ができた場合に、この災害にあたってどう対応されたかのは分からない。けれども、私は小沢さんは「官僚を制する」というよりは、「官僚と一緒に仕事をする」能力がある方だと思っているし、権限の委譲もできるし、官僚の下に置かれることは絶対にない方だと思っている。小沢政権ができた場合には、きちんと然るべき人たちと協調体制のとれた対応をとっていかれるのではないかと思う。
・現状を維持しようとする日本の免疫システム
上杉: (ウォルフレン氏が書かれた)『誰が小沢一郎を殺すのか?』という本のタイトルも衝撃的だが、その中で小沢一郎さんに対して、日本国内の権力構造が"人物破壊"のキャンペーンを張っているとウォルフレンさんは指摘している。「世界的に類を見ない人物破壊」――少し聞きなれない言葉だが、ウォルフレンさん、せっかくだから小沢さんが横にいらっしゃるので、この本で書ききれなかったこと、そしてぜひ聞いてみたいことを質問してはどうか。
ウォルフレン: 前にも言ったように、私は特別小沢さんを知っているわけではないし、友人ということでもない。小沢さんよりはむしろ、菅さんの方をよく知っているし、それよりさらに鳩山さんを知っている、ということが正しいかと思う。私が関心を持っているのは、政治体制をきちんと制する、その現象をもたらすためのタレント・才能を持った方、こういう有能な人を抹殺するというメカニズム、そのシステムに非常に関心を持っているわけだ。
この(日本の)マスコミの問題というのは、不思議な逆説的な現象を呈している。マスコミの主流派は「政治的なリーダーシップが欠如している」「なぜ、そういう政治家が出てこないのか」と言うが、出てくるとその人を抹殺しようとする。なんて奇妙なシステムだと思っている。私はマスコミ自体が悪いからそうなっているとは言わない。ただ、どうも「既存の秩序を守る」――それが自分たちの義務であるかのようにマスコミが思っているのではないか。20年〜25年、私はいろんな官僚やシニア編集者の方々と会い、話し合う機会があった。彼らはどうも秩序が覆ることや、それが脅かされることに対して、恐れを感じている。現体制を何としても守りたい、という気持ちがあるのではないか。
また検察の小沢さんに対するやり方というのは、外から見ると、本当に馬鹿げていると言わなければならない。だから「日本には免疫システムがあるのだ」というふうに言うわけだ。私があえて「民主党政権になっても、小沢さんが首相にはならない」と予測したのは、2009年の春だったと思うが、先ほど言った"現状を維持しようという免疫システム"が存在しているから、そう思ったのだ。名前を忘れてしまったけれど、自民党のある人が私に漏らした。「検察が小沢さんに対してああだこうだ言っていることを代議士全部にやったら、国会は空っぽになってしまう」と言っていた。それで12月になって検察が十分な証拠が集まらなかったと言ったら、朝日新聞の論説のところで「証拠はないけれども彼は有罪だ」という言い方をした。どうやってそんなことが言えるのかと思う。
検察審査会というものがある。いつ、どのようにできたか知っている日本の方は少ないと思うが、これはアメリカの占領下でできたシステムだ。どうやって検察審査会ができたのか、経緯を知らない方も多いと思うので、少し説明する。アメリカの占領軍は、日本の法務省を信頼しなかった。信用できないと思った。だから市民による、検察体制を審査しようというものをつくった。そういう新しい制度をつくって、日本にデモクラシー、民主政治を根付かせようとした。法務省関係者は非常に抵抗したが、抵抗しきれずに最終的には検察審査会なるものができたのだ。ところが、その検察審査会が今まで発動されたのは、交通事故とか軽犯罪とかそういうことだけだった。小沢さんのことにあたっては、どこから取り出してきたのか知らないけれども、"魔法の何か"を使った。それで、客観的に物事を見ることが大事だと思うわけだ。私は小沢さんのファンでもなければ、小沢さんの特別な友達でもないが、日本の政治状況を客観的に見るということでやっている。
・民主党の主張を実現する最大のチャンス
上杉: 小沢さんに対して質問は?
ウォルフレン: 本(『誰が小沢一郎を殺すのか?』)を読んで下さったのだろうか? 本を読んで、何か私の書いていることに過ちがあったら、指摘していただきたい。過ちから学ぶことが多いものだから。
小沢: もう読ませていただいた。本の中でも、私があまり露骨に言えないことを正確に言っていただいた。非常にわが意を得たりというか、よくここまで客観的に、公正に見て書いていただいたと思っている。
上杉: この本にも書いてあり、先ほどのウォルフレンさんの言葉の中にもあったが、日本は総理をつくるという形でマスコミ、国中が持ち上げる。持ち上げておいて、そういうリーダーができるとつぶすという、非常に不思議な国だと言っている。小沢さんとしては、その実感はあるか?
小沢: やはり日本社会の、日本人の特殊性ではないだろうか。歴史的な何千年の経過の中で、強力なリーダーというのはほとんど必要なかった。平和で豊かな国だったから。「和を以て貴しと為す」という言葉に代表されるような、いわゆる悪く言えば「談合社会」、良く言えば「コンセンサスの社会」というのが出来上がっていて、それは結局、結論は誰も責任をとらなくてもいい仕組み。
だから今の状況を見て申し上げたいことは、われわれ(民主党)は官僚主導の政治から、政治家主導、国民主導の政治に変えるんだ、そして国民の皆さんの生活を第一にしていく政治を実現するんだと、皆さんに訴えて政権を任せてもらった。ところが現実には、自民党の時よりひどいじゃないかという批判もあるくらいに、官僚機構に乗っかっているだけ。こういう非常事態においては、まさにわれわれが主張した国民主導の政治を実現するために、国の統治の機構、中央集権から地方分権、いろいろな制度を含めて、震災に対処するという大義名分があるから、思い切ってやればできる絶好の機会。ウォルフレンさんも言っているが、われわれの主張を実現する最大のチャンスだ。
ところが結果としては、今言ったように、「今まで以上に悪いじゃないか」と酷評される。そのゆえんは何かというと、国民主導、政治家主導の政治というのは、政治行政の政策を決定し実行する時に、国民そして国民の代表である政治家が、自分自身の責任で決定し実行するということだ。それがなければ国民主導とか政治家主導なんていうのは、ただの言葉でしかない。政治家が責任を取らないなら、何で官僚が言うことを聞くのか? 「俺が責任を取るから、こうこうこういう方針でやってくれ」と言えば官僚はついてくる、無茶苦茶な話でない限りは。だから、「それは俺は知らない、そっちで決めたんだ、あれはどうしたんだ」と、そういうことをやっていたのでは、われわれの主張はまったく国民に対してウソを言ったことになってしまう。なので私は、遅かりしだが、今からでも遅くないから、こういう危機にあたってこれをうまく活用して、本当の政治家主導の政治を実現して、「国民の生活が第一」というわれわれの訴えたキャッチフレーズに恥じることのないような震災対策、政治を実現しなくてはならない、そう思っている。
・トロイカ体制なくして菅総理なし
上杉: まさしくこの「3.11」の国難の後に、政治的な団結そして主導が望まれるわけだが、ウォルフレンさんの先ほどの言葉から代弁して質問する。当初、民主党政権に交代したときには、トロイカ体制ということで小沢さん、菅さん、鳩山さんの3人に期待したとあった。この震災においては、トロイカ体制どころか党内バラバラ、与野党との連携もできていない状況になっている。当事者である小沢さん、そのトロイカ体制すらできない理由は一体どこにあるのか。
小沢: それは菅さんに聞いてもらわないといけない。ウォルフレンさんも仰ったように、一人で全部できるわけがないから、神様じゃないから、いろんな皆さんの知恵と力を借りてやる。そのことはその通りだ。しかし、それぞれの部署、それぞれの責任ある立場にある人、なかんずく日本の政治機構の中では総理が絶大な権限を持っている。だから菅さんは、僕や鳩山さんのことは別に相手にしなくてもいいが、自分の責任でちゃんとやれればそれでいい。けれども、なかなかその時々に思いついたことを仰るが、すぐに撤回したり、あるいは自分の言葉に責任を持たない。それがやはり最大の問題ではないだろうか。
何度も言うが、政治家、特にトップのリーダーは自分の言ったこと、自分の言動に責任を持たなければ誰もついてこないし、国民も全然信用しない。政治家の言うことなんかみんなウソっぱちだという話になってしまう。私はそれは今日の日本にとって非常に不幸なことだし、また将来の日本にとってもそういう事態が続くと、日本には永久に民主主義は根付かないということを非常に恐れている。こういうような形で、ぜひマスメディアもオピニオンリーダーというならばきちんと、それらしい論評と報道をしてもらいたいと思っている。
上杉: 今度はお二人に伺いたい。いま小沢さんの口からも、菅直人首相――今回の震災後、一応日本という国を率いているが、どうも海外からの評価では原発対応を含めてあまりうまくいってない、酷い、うんざりしているような状況を作り出しているというのが現状だ。その菅さんは6月2日、大手メディアの報道によれば、不信任案採決の直前に一定の目処ということで退陣を事実上表明されたが、いまだ総理の座に居座っている。菅さんについて、ウォルフレンさんが最も親しい一人というが、一体なぜ辞めないのか、そして彼は何をすべきなのか教えていただきたい。
ウォルフレン: 菅さんを知っていると言ったが、それほど知っているわけではないから、なぜこういうことになっているかは私にも分からない(笑)。菅さんが総理になったこと自体、小沢さんはもちろん鳩山さんも含めて、そういう(トロイカ)体制があったからこそ、総理になれたということ。そもそも93年に一緒にスタートしたが、特に小沢さんなくしては民主党はまとまらなかっただろうし、民主党がなければ菅政権などあり得なかった。菅さん自身、小さな存在の政治家でしかなかっただろうと思う。私は公約を実行するためには、いま小沢さんが仰ったように、やはりキャリアの官僚制度に対してきちんと政治家がコントロールすること、一緒にやっていくしかないと思う。
・今の状況を予測していたから、不信任案賛成の結論に至った
上杉: 同じ質問で、菅さんはなぜ辞めないのか、そして何をすべきなのか、ウォルフレンさんよりは(菅さんに)親しい小沢さんに伺いたい。
小沢: 菅さんの性格とか人間性は、私は知りません。私の常識ではなかなか理解できないという程度。ただ問題はすべて、日本社会、日本人のあいまいさ。あの時に辞めると言ったとか言わないとか。今度は菅さんは国会でも「私は辞めるなんて言ったことない」なんて後で言う。何事もクローズとあいまいさがいけない。私はそういう点でえらく批判されるけれど、まったく逆で、会談するにしても何するにしても、オープンで話して平気だし、記者会見で言うことと個人的にしゃべることは同じだ。
そういう、きちんとしたオープンで明確なお互いの意見の交換、やりとり、詰めを日本人は嫌う。皆いい加減な言葉でごまかしてしまう。何の会議でも、皆さんの会社でも同じだと思うが、そうすると誰も傷つかない。結論を出さなければ。何となくということで、誰が決めたんだ、何となくあの会議で決まったということになる。だから、何となくの結論に意に沿わない菅さんは、「俺はそんなこと言った覚えはない」ということになるわけだ。そういう意味では私は単なる感情論や、何となくそうだろうという憶測の類で、大事なことを話し合ってはいけないと、そう思っている。日本人的常識では、菅さんはもう辞めるみたいなことを言ったんだろうけど、その常識が通用しない相手だとどうしようもないわけで、今のようになってしまうわけだ。私が制度的に総理を、内閣を辞めさせるには不信任案の通過しかないという結論に至ったのは、まさにこういう状況を予測していたからだ。
私はそういう意味でもう少し、日本社会にオープンな、公正客観的な、そして正確な、必ず議論をし結論を出すという習慣を、日本人自身が身につけなければいけないのではと思っている。日本の会議というのは、民主党も自民党と同じだが、絶対に多数決しない。多数決の決を採れと言っても採らない。そうするとカドが立つとか波風がどうのこうのと言う。だから自民党では、何度も言うが、意見がまとまらない、どうしても反対者がいるときは、反対者に最後の会議に欠席してもらって、全会一致ということにするわけだ。民主党では、そもそもその決も採らないので、私は民主主義ということを一体理解しているのだろうかとさえ思うくらいだ。そこははっきりと自分の意見を言い、はっきりとした結論を得て、そして皆で得た結論には従う、そういう習慣を早く日本人は身につけなければいけないと思っている。
・選挙や政治活動への公権力の直接行使は後進国的
上杉: いま小沢さんも言及された「オープンなところで」ということでは、実は自由報道協会の会見――今回は公開討論会だが、過去最多の参加は小沢さんの4回。菅直人総理はずっと申し込んでいるが、0回だ。そういう意味でも、どちらがオープンかということは実績として皆さんご存じだと思う。ところが日本のメディア、記者クラブになると、「密室政治の権化」みたいな形の小沢一郎という像が出てくる。ウォルフレンさん、この全くの逆転状況はどうして起きていると思うか。
ウォルフレン: マスコミはいろんなことを言うと思う。私がこの本を書いたのは、皆さんに説明したいこともあるが、私自身も自分なりに結論を見出したいということもあった。なぜ一人の政治家に対して、かくも長い間――世界中そんなことはどこにもないが――こういう抹殺のキャンペーンを、しかも成功裏に続いているかというのが分からない。あえて言うならば、現状を維持できなくなるとか、壊れることへの恐れではないかと思う。「ウォルフレンさん、どうしたら良いと思いますか? 日本は何をしたら良いと思いますか?」とよく聞かれるが、本を読んでくださってからお聞きになれば、お答えしたいと思う。
今ちょっと閃いたアイデアがある。結構良いアイデアかもしれない。国民は民主党に政権を託した。それは民主党のトップの人たちが集団で公約したことを実行してくれると思ったからだ。日本の国民が選んだのは政治家であって、検察やマスコミを有権者が選んだわけではない。日本の皆さんは法務大臣に対して陳情書を一緒に書いたらいいと思う。法務大臣、政治家であるあなたを私たちは選んだのだと。だから選ばれた権限を持って、小沢一郎のこの裁判を終わらせてほしいと、そして彼がリーダーとしてやるべきことを出来るような道を開いてほしいと、法務大臣に訴える。新聞は無視するだろうから、相当声を上げないといけない。そういう陳情書を出すということ、それから「そうだそうだ」と声を上げないと物事は起こらないと思う。ちょっと閃いたアイデアだが、効果が出るかもしれない。
上杉: 法務大臣への陳情は、皆さん気が向いたら勝手にやってください。私がここで煽ったりするとまたいろんなことを言われるので。今ウォルフレンさんの言葉であったが、いわゆる日本のシステムの問題、そして検察のことにも触れられた。その検察の問題に関して、当事者ということでお答えにくいかもしれないが、一連の検察のシステム、それに対する国の対応などは、小沢さんからご覧になってどうか。最近、石川知裕(衆議院議員)さんの検察側から出されていた証拠、検事の調書が不採用になったという非常に珍しいことがあった。それも含めてお答えいただければと思う。
小沢: 個別の問題については差し控える。私ども(民主党)のマニフェストというか主張の一つだが、いわゆる民主主義の根幹である選挙――これは主権者が唯一主権を行使する場だ。この選挙によって選ばれる政治家は、主権者たる国民自身を代弁して代表して活動するわけだ。その選挙とか政治活動については、欧米社会で見られるように、やはり独立した第三者的機関が、選挙や政治活動の管理・指導を行うというシステムを、私は作るべきだと思っている。直接、警察や検察が選挙のことや政治活動について公権力を行使するという仕組みは、私はいわば後進国的な要素を強くするばかりであって、健全な民主主義の発展のためにはよろしくないと思う。
例えば選挙でも何でもそうだが、本当に些細なことまで言えば、個人の皆さんも年がら年中ずっと、朝から晩まで監視されていたとしたら、ちょっとした道交法違反とか軽犯罪法違反とかに触れない人は、まずいないだろうと思う。そういうことを考えてみれば、まさにスピード違反だろうが、駐車違反だろうが、立小便だろうが、公権力がとにかく介入することになれば何でもできるわけだ。1億2000万人を全員監視するわけにはいかないが、特定の人間にターゲットを絞ってやったら、誰もこれから免れる人はいないのではないだろうか。全員罪人になってしまう。
選挙というものは、1億の主権者が参加する大事な民主主義の原点だ。1億人も参加するから、投票するほうも投票されるほうも、いろいろな問題点は些細なことを含めればたくさんあるはず。根本的な買収とか供応とかは別にして、ちょっとしたことで全部公権力が介入することになったら、今の日本がそうだけれども、狙われたらアウトだ。こういう中では民主主義は定着しないと思っていて、そのため制度的にしっかりと選挙や政治活動を監視する国民を代表する第三者機関、選挙委員会という仮の名をしているけれど、そういうものを作って、きちんと選挙の公明性、公正を確保していくというふうに、仕組みを変えないといけない。(今は)全部官僚機構で、あらゆる国民の生活の隅々まで官僚支配が行き届いている。これを打破するには、国民自身が自ら政治家を選んで、その政治家に思い切った活動をさせるというのが、私は民主主義の基本的なことであろうと思う。そういうようなことも一つの国民主導の政治への大きな改革であると考えている。
・今そこにある、もうひとつの危機
上杉: ウォルフレンさん、最後に一言。
ウォルフレン: 一言だけ言わせてほしい。無関心になってしまうのは容易いことだと思う。大災害があった、復興しなければならない、原発の事故を起こした、大変だ――。それだけではない、もっと大きな危機があるんだということ。国際的な金融の動きをフォローしていれば、そしてアメリカ国内で起きていることに目を向けているならば、何かが終わりに来ていることを感じるはずだ。第二次世界大戦後の国際金融システム、われわれが暮らしてきた間ずっとあった体制が、終わろうとしている。ということは日本に大きな影響があるということだ。
日本はきちんとした政治的な主導なくして、何の目的もなしに漂流することはできないはずだ。言葉だけで大変なことが起きると言ってるのではなくて、本当に深刻な問題なのだ。でも日本の皆さんには、より良い将来があって然るべきだと思う。最終的に申し上げたかったこと、結論として言いたかったのはそのことで、先ほどからも随分お話したし、この本にも随分書いてあるので、買っていただくことができるかなと思う(笑)。
小沢: 今のウォルフレンさんが指摘されたことは、大変重要なことだと思う。まだ日本人はそれをあまり深刻に受け止めていないけれど。報道でお分かりのように、アメリカでもヨーロッパでも、財政、金融の危機的な状況が今出て、みんな深刻になっているところだ。これはちょっと話が違うけれども、「ミスター円」と呼ばれた榊原(英資)氏が『世界同時不況がすでに始っている!』という本を書かれていて、私も読んだ。今日の日本社会の無責任体制の社会の中で――これは政治家だけの問題じゃない――政治経済あらゆる分野での総無責任体制の中で、経済が大恐慌でも起きた日には、全くもう混乱して無秩序な体制、社会に陥ってしまうのではないかという心配を、一方においてしている。内では原発の放射能汚染の問題、そして(外では)世界全体を覆っている財政金融を中心とした経済の問題、これをやはり日本人はもっともっと深刻にとらえて、その対処の仕方をあらゆる社会の分野で整えていかなくてはならないと思う。(了)(協力・書き起こし.com)
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◆前原誠司外相辞任と『誰が小沢一郎を殺すのか?』〈カレル・ヴァン・ウォルフレン著〉2011-03-07
p47〜
歴史が示すように、日本では政党政治は発展しなかった。しかも1世紀以上を経たいまなお、それはこの国にとって大きな問題であり続けている。だからこそ民主党は与党となっても悪戦苦闘を続けているのだ。政党政治が発展しなかったからこそ、軍事官僚が、当時の日本の10倍にも達する産業基盤を有する国アメリカを相手に戦争をはじめても、それに対して日本はなんら対処することができなかったのだ。
p48〜
小沢氏をはじめとする改革派政治家たちはみな、彼らにこそ国家を運営する権利があり、義務があると信じている。官僚が国に滅私奉公する善なる存在であるなどと、彼らはもちろん考えてはいない。我々が一歩退いてみるとき、小沢氏のような政治家をつぶそうとするメカニズムは、近代国家の道を歩みはじめたばかりの当時の日本で、すでに機能していたことがわかる。つまり日本の近代化が推し進められるのとときを同じくして、政治家に対する陰謀も進行していったということだ。そして小沢氏こそ、この百数十年もの長きにわたり、連綿と続けられてきた陰謀の犠牲者にほかならないのである。
p50〜
そして体制の現状維持を危うくする存在であると睨んだ人物に対して、その政治生命を抹殺しようと、日本の検察と大新聞が徒党を組んで展開するキャンペーンもまた、画策者なき陰謀にほかならない。検察や編集者たちがそれにかかわるのは、日本の秩序を維持することこそみずからの使命だと固く信じているからである。そして政治秩序の維持とは旧来の方式を守ることにほかならない。そんな彼らにとって、従来のやり方、慣習を変えようとすることはなんであれ許しがたい行為なのである。この種の画策者なき陰謀で効果を発揮するツールこそがスキャンダルである。そして検察や編集者たちは、そのような人物があらわれたと見るや、まるで自動装置が作動しているのではないかと思えるほどに、予想に少しも違(たが)わない反応を見せる。
p60〜
欧米諸国を参考とした大日本帝国憲法もほかの法律も、専制的な権力から国民を守ることを想定したものではなかった。つまり日本の当局は欧米の法律を参考にしはしても、その「精神」を真似ることはなかったというわけだ。そして今日、もちろん不当なあつかいから国民を守るべきだという理念はあり、それが過去数十年で強められてきてはいても、現実には、それはいまなおきわめて曖昧模糊とした感情の領域に押しとどめられている。そのため大抵の日本人はいまだに、法律というのは単に政府が人々の行動を抑制するための手段なのだ、と見なしている。これに関して忘れてはならない事実がある。東京大学法学部というのは、日本の政治システムの最上部を占める高官を輩出することで知られているわけだが、その教授陣はいまだに法律を官僚が統治に利用する手段にすぎないととらえている。そして彼らはそうした視点に立って、学生に教え続けているのである。要するに、時代が変わったとはいえ、法律は権力エリートが用いるツールであるとする見方は、日本では以前とまったく変わっていないということなのだ。
また日本の官僚たちの間では、自分の目的を達成するために、法律のなかから適切なものを選び出すという習慣が長いこと続いてきた。そして自分たちの計画が法律の文言に抵触しかねない場合は、実に巧に新しい解釈を考え出す。このように日本では、法律というのは当局にとって、あくまでも秩序を維持するためのツールでしかない。そのため、国民みずからが与えられているはずの権利を政治システムの上層部に対して主張する目的で、法律を利用するよう奨励されているなどということは決してないのである。
p64〜
1960年代と70年代に日本の政治、そして権力構造について研究していた時期、私はそのようなやり方が繰り返し行われていることに気づいた。だからこそ日本の政治・経済について初めて執筆した著書〔『日本/権力構造の謎』〕のなかで、「法を支配下におく」という1章を設けたのだ。
私はそのなかで、権力者の独り歩きを可能にするような方法で、日本では法律は支配するのではなく、支配されているのであって、この国の権力システムにおいて、法律は政治に関して許容すべきこととそうでないことを決定づける基準にはなっていない、と説いた。すなわち独り歩きをする日本の権力システムに対して、異議を唱え、改革を加えようとする者を阻止するような仕組みがある、ということだ。本書のテーマに当てはめて解説するならば、小沢氏のような野心的な政治家、あるいは彼のように改革を志す政治家が将来何人あらわれようと、現体制はあくまでそれを拒むというわけだ。
いま、小沢氏の政治生命を抹殺しようと盛んにキャンペーンが繰り広げられているのも、これによって説明がつく。
p65〜
99・9%という「無謬」
中立的な権威としての法律を日本の政治システムから遠ざけておくやり方はそのほかにもいくつかある。法律が非公式な政治システムに対して、なんら影響をおよぼすことが許されないとしたら、ではなにがシステムをつかさどっているのか?。それは暗黙の了解事項、つまり不文律であり、記憶のなかで受け継がれる古い習慣だ。裁判官もまた体制に大きく依存している。最高裁事務総局に気に入られるような判決を下さなければ、地方に左遷されかねないことを、彼らは考えないわけにはいかない。戦前、戦後を通じて日本の裁判官たちは、法務省のトップクラスの検察官を恐れてきた。これが99・9%という人間の検察の有罪判決率を可能にした理由の一つである。
つまり、みずから裁判にかけたケースで99・9%の勝利をおさめるに日本の検察は、事実上、裁判官の役割を果たしているということになる。つまり、日本ではわずか0・1%、あるいはそれ以下に相当するケースを除いては、法廷に裁判官がいようといまいと、その結果に大した違いはないということだ。
p68〜
しかし日本に関してもうひとつ気づいたことがある。それは社会秩序を傷つけかねないどんなものをも未然に防ぐという検察の任務が、政治システムにおいても重視されているという事実だ。当然、そのためにはシステムの現状を維持することが必要となる。問題は、現状をわずかでも変える可能性があると見れば、どんな人間であっても既存の体制に対する脅威と見なしてしまうことである。そのような姿勢は当然のことながら、小沢氏のみならず、日本という国家そのものにとっても望ましいものではない。なぜならば多くの日本人は長い間、権力システムの改革が必要だと考えてきたからだ。後述するが、自民党と日本の秩序をつかさどる人々との間には、一種、暗黙の了解のようなものがあり、それが50年にわたって保たれてきたのだろう。そして自民党が政権の座を追われたいま、単に自民党とは行動の仕方が違うという理由で、体制側は民主党を、小沢氏という個人とともに、脅威を与える存在と見ているのだ。
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◆未曾有の大震災の直前に小沢一郎を排した、この国の不幸/小沢一郎の日本再造計画2011-05-05
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October 25, 2011, 11:41 pm
風雲TPP:/中 民主党内、半数が慎重派 集約へ鹿野氏キーマン
「拙速に議論を進めないでほしい」。民主党内を揺るがす環太平洋パートナーシップ協定(TPP)交渉への参加問題。「TPPを慎重に考える会」会長の山田正彦前農相は25日昼、前原誠司政調会長を国会内の事務所に訪ね、詰め寄った。
会談は約40分間。山田氏は11月のアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議で野田佳彦首相が交渉参加を表明するのを見送るよう求めた。だが、前原氏は「先送りは簡単ではない。首相はAPECまでのつもりだ」と反論、平行線に終わった。山田氏は会談後、「党内は完全に二分されている。無理をすればどうなるか」と記者団に不満を示した。
民主党は経済連携プロジェクトチーム(PT)で11月2日までに意見集約を図る方針だが、議論は今月14日の第1回総会から荒れた。PT役員の大半が推進派だったことや総会の位置づけに批判が続出。鉢呂吉雄座長は「慎重派の役員を増やす。取りまとめ案は役員会で作るが、総会でしっかり決める」と譲歩せざるを得なかった。
推進派が慎重派に配慮せざるを得ないのは、TPPの国会による承認を見据えれば、民主党内が分裂するような事態は避けなければならないからだ。交渉不参加の表明を求める署名簿には党所属国会議員の約半数にあたる200人(25日現在)がサインした。山田氏は「党内の半分は慎重論」と主張する。
党支持率が低迷する中、選挙基盤の弱い若手や地方出身議員にとってTPP反対論が強い農業や医療関係の団体の組織票は貴重だ。推進派は「反対派は自分の選挙のために大声で反対することしか考えない。政権与党としての責任を果たそうとしない」と苦り切る。
前原氏ら推進派はTPPが国益に沿わない場合は撤退する「条件付き参加」を落としどころとして探るが、同じ推進派でも玄葉光一郎外相が「(離脱は)簡単な話じゃない。論理的にはあり得るが、どういう国益を損なうかよく考えなければならない」と述べるなど足並みは乱れている。
慎重派も一枚岩ではない。小沢一郎元代表に近い中堅・若手の衆院議員グループ「一新会」は25日、国会内で会合を開き、会として統一行動を取らないことを決めた。昨年10月、菅直人首相(当時)がTPP参加検討を表明した際には強硬に反対する姿勢を示したが、小沢元代表にも近い輿石東幹事長はTPP議論をまとめる側。グループ内には慎重派が多いが、野田政権と決定的な対立になるのを避けたとみられる。小沢元代表に最近面会した側近議員によると、元代表は「TPPはやらざるを得ないが、米国と誰が交渉できるんだ」と述べ、政府の交渉力に危惧の念を示したという。
「議論をどうまとめるのか見えない」(PT幹部)中、推進派は鹿野道彦農相に期待を寄せる。官邸関係者は「鹿野さんが懸念しているのはTPPが党を二分すること。反対ではない。党を二分する事態は避けられると鹿野さんが踏めば、TPPは行ける」と語る。慎重派には民主党代表選で鹿野氏を支持した議員が多く、「『鹿野氏が言うなら仕方ない』と思ってもらうしかない」(推進派議員)との戦略だ。
鹿野グループは民主党代表選の決選投票で野田首相に投じた。鹿野氏は野田首相誕生のキーマンでもある。首相と鹿野氏のコンビはどう決着をつけるのか。残された時間は少ない。
毎日新聞 2011年10月26日 東京朝刊
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きょう、TPP反対全国決起集会
JAcom 2011/10/26Wed.
「TPP交渉参加に反対し日本の食と暮らし・いのちを守る全国決起集会」が26日、午後1時から東京・日比谷野外音楽堂に3000人が参加して開かれる。TPP(環太平洋連携協定)は、農業だけでなく医療や地域経済などにも大きな影響を与えることが明らかになってきた。しかし、政府は情報開示も国民的議論もないまま、交渉参加に向けて検討を続けており、集会では交渉参加に断固反対を訴え政府・国会に国民各層の声を届ける。集会終了後にはデモ行進も行う。
TPP反対集会に自公幹部ら多数議員 YouTube
TPP:公明幹事長「反対」
公明党の井上義久幹事長は26日午前、東京都内で開かれた環太平洋パートナーシップ協定(TPP)の反対派集会に出席し「賛同することは、国是を変えることになる。断じて認めるわけにはいかない」と述べ、交渉参加への反対を表明した。
井上氏は席上、反対派の署名が1000万人以上集まり、国会議員も356人が署名していることを紹介した上で「事実は極めて重い。これを無視して交渉参加を決断するようなことがあれば、首相として認めることはできない」と述べ、野田佳彦首相が交渉参加を表明した場合、政権に対し厳しい態度で臨む考えを強調した。【岡崎大輔】毎日新聞 2011年10月26日 東京夕刊
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◆小沢元代表、亀井国民新代表と会談
日本経済新聞2011/10/25 1:46
民主党の小沢一郎元代表は24日夜、都内の日本料理店で国民新党の亀井静香代表と会談した。環太平洋経済連携協定(TPP)交渉参加問題や今後の政局などをめぐり意見交換したとみられる。亀井氏は元代表との会談後、同じ店で自民党の山崎拓氏とも懇談した。
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◆風雲TPP〈上〉反対論拡大、国論を二分 JAが先導、労組・日医も/政府、FTA出遅れに危機感 対米配慮2011-10-25 | 政治(経済/社会保障/TPP)
◆『TPP亡国論』/怖いラチェット規定やISD条項(毒まんじゅう)/コメの自由化は今後こじ開けられる2011-10-24 | 政治(経済/社会保障/TPP)
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October 26, 2011, 12:09 am
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October 26, 2011, 7:05 am
TPP:反対請願の賛同議員 JA全中公表
全国農業協同組合中央会(JA全中)が25日公表した環太平洋パートナーシップ協定(TPP)反対請願の賛同議員は次の通り。(敬称略)
▽衆院
<民主党>相原史乃、赤松広隆、石井章、石関貴史、石田三示、石津政雄、石原洋三郎、石森久嗣、石山敬貴、今井雅人、内山晃、大泉博子、逢坂誠二、太田和美、大谷啓、岡島一正、岡本英子、奥野総一郎、梶原康弘、勝又恒一郎、加藤学、金子健一、川島智太郎、川内博史、川口博、川口浩、川村秀三郎、木内孝胤、菊池長右エ門、京野公子、工藤仁美、熊谷貞俊、黒岩宇洋、黒田雄、桑原功、小泉俊明、古賀敬章、小林興起、小林正枝、小山展弘、斎藤恭紀、坂口岳洋、阪口直人、佐々木隆博、階猛、篠原孝、杉本和巳、瑞慶覧長敏、首藤信彦、空本誠喜、高野守、高橋英行、高松和夫、橘秀徳、田中美絵子、田名部匡代、玉置公良、玉城デニー、玉木雄一郎、中後淳、道休誠一郎、中井洽、永江孝子、中川治、中島政希、中津川博郷、中野渡詔子、仁木博文、野田国義、萩原仁、橋本清仁、橋本勉、畑浩治、樋口俊一、福嶋健一郎、福島伸享、福田衣里子、松野頼久、水野智彦、三宅雪子、宮崎岳志、宮島大典、三輪信昭、村上史好、矢崎公二、谷田川元、柳田和己、山岡達丸、山崎摩耶、山田正彦、山田良司、横山北斗、鷲尾英一郎、和嶋未希、渡辺浩一郎、渡部恒三、渡辺義彦
<自民党>逢沢一郎、赤沢亮正、秋葉賢也、阿部俊子、石田真敏、伊東良孝、稲田朋美、井上信治、今津寛、今村雅弘、岩屋毅、江渡聡徳、江藤拓、遠藤利明、大島理森、大野功統、小里泰弘、小野寺五典、小渕優子、梶山弘志、加藤勝信、加藤紘一、金子一義、金子恭之、金田勝年、河井克行、川崎二郎、河村建夫、北村茂男、北村誠吾、木村太郎、高村正彦、古賀誠、後藤田正純、斎藤健、坂本哲志、佐田玄一郎、佐藤勉、塩崎恭久、柴山昌彦、新藤義孝、菅原一秀、高市早苗、高木毅、竹下亘、武田良太、武部勤、竹本直一、橘慶一郎、田中和徳、棚橋泰文、谷公一、谷川弥一、谷畑孝、田野瀬良太郎、田村憲久、徳田毅、永岡桂子、長島忠美、長勢甚遠、中谷元、二階俊博、西野陽、丹羽秀樹、額賀福志郎、野田聖子、野田毅、馳浩、浜田靖一、林幹雄、平井卓也、福井照、古川禎久、古屋圭司、細田博之、保利耕輔、町村信孝、松野博一、松本純、三ツ矢憲生、宮腰光寛、村上誠一郎、村田吉隆、望月義夫、森英介、森喜朗、森山裕、山口俊一、山本公一、山本幸三、山本拓、山本有二、吉野正芳
<公明党>石井啓一、石田祝稔、稲津久、井上義久、漆原良夫、江田康幸、遠藤乙彦、大口善徳、斉藤鉄夫、佐藤茂樹、高木美智代、高木陽介、遠山清彦、東順治、古屋範子
<共産党>赤嶺政賢、笠井亮、穀田恵二、佐々木憲昭、志位和夫、塩川鉄也、高橋千鶴子、宮本岳志、吉井英勝
<社民党>阿部知子、重野安正、照屋寛徳、中島隆利、服部良一、吉泉秀男
<国民新党>亀井静香、下地幹郎
<たちあがれ日本>園田博之、平沼赳夫
<新党日本>田中康夫
<新党大地>浅野貴博
<無所属>石川知裕、小泉龍司、中村喜四郎、鳩山邦夫、松木謙公、横粂勝仁
▽参院
<民主党>植松恵美子、大河原雅子、大久保潔重、小川敏夫、川上義博、川崎稔、小西洋之、小見山幸治、今野東、佐藤公治、高橋千秋、武内則男、田城郁、谷岡郁子、徳永エリ、友近聡朗、外山斎、平山幸司、舟山康江、増子輝彦、松浦大悟、水戸将史、米長晴信
<自民党>愛知治郎、青木一彦、赤石清美、有村治子、石井準一、石井浩郎、石井みどり、礒崎陽輔、磯崎仁彦、猪口邦子、岩井茂樹、岩城光英、上野通子、宇都隆史、衛藤晟一、大家敏志、岡田直樹、岡田広、加治屋義人、片山さつき、金子原二郎、岸宏一、岸信夫、熊谷大、小泉昭男、鴻池祥肇、小坂憲次、佐藤信秋、佐藤正久、佐藤ゆかり、島尻安伊子、末松信介、鈴木政二、関口昌一、世耕弘成、高階恵美子、伊達忠一、谷川秀善、塚田一郎、鶴保庸介、中西祐介、中原八一、西田昌司、二之湯智、野上浩太郎、野村哲郎、橋本聖子、長谷川岳、林芳正、福岡資麿、藤井基之、藤川政人、古川俊治、牧野京夫、松下新平、松村祥史、松村龍二、松山政司、水落敏栄、溝手顕正、宮沢洋一、森雅子、山崎力、山崎正昭、山谷えり子、山田俊男、山本一太、山本順三、吉田博美、義家弘介、若林健太、脇雅史、渡辺猛之
<公明党>秋野公造、加藤修一、木庭健太郎、白浜一良、竹谷とし子、谷合正明、西田実仁、山本博司、横山信一、渡辺孝男
<共産党>市田忠義、井上哲士、大門実紀史、紙智子、田村智子、山下芳生
<社民党>福島瑞穂、又市征治、山内徳信、吉田忠智
<国民新党>亀井亜紀子、森田高
<たちあがれ日本>片山虎之助、藤井孝男
<新党改革>荒井広幸
<無所属>糸数慶子、大江康弘、長谷川大紋
毎日新聞 2011年10月26日 2時21分(最終更新 10月26日 2時29分)
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TPP:参加反対集会にJAなど3000人
「TPP断固反対」の鉢巻きをして参加した農協組合員ら=東京都千代田区の日比谷公園で2011年10月26日午後1時半、福岡静哉撮影
全国農業協同組合中央会(JA全中)などの農漁協組織や消費者団体が26日、東京都千代田区の日比谷公園で「TPP(環太平洋パートナーシップ協定)交渉参加に反対し日本の食と暮らし・いのちを守る全国決起集会」を開き、TPP交渉不参加を訴えた。集会には民主、自民など6党の国会議員約160人も参加したが、野田政権が交渉参加に傾くなか、民主党議員の歯切れの悪さが目立った。
JAの地方組織などの約3000人が参加。全中の万歳(ばんざい)章会長は「政府は11月のAPEC(アジア太平洋経済協力会議)首脳会議へ向け強引に判断しようとしているが、国民への情報開示は全くない」と批判した。来賓の中川俊男・日本医師会副会長も「日本の医療に市場原理が導入されれば(国民皆保険制度に基づく)世界一公平な医療が提供できなくなる」と訴えた。
一方、集会に駆けつけた民主党「TPPを慎重に考える会」副会長の郡司彰参院議員は「党の議論を、皆様の意見を十分に生かした結論に導くよう議論したい」と語ったが、会場からは「帰れ」とヤジが飛んだ。
推進派の動きも活発化してきた。伊藤元重東大教授、白石隆政策研究大学院大学学長らでつくる「TPP交渉への早期参加を求める国民会議」は26日、民主党の輿石東幹事長、前原誠司政調会長と藤村修官房長官をそれぞれ訪ね、APECの際に参加を表明するよう要望。輿石氏は「(慎重派も)同じ方向に向かって日本を良くしていく、という方に持っていきたい」と述べた。【行友弥、福岡静哉、高橋恵子】毎日新聞 2011年10月26日 21時07分(最終更新 10月26日 21時26分)
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◆『TPP亡国論』/怖いラチェット規定やISD条項(毒まんじゅう)/コメの自由化は今後こじ開けられる2011-10-24 | 政治(経済/社会保障/TPP)
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October 26, 2011, 9:59 pm
「死刑廃止」方針ない 官房長官が表明
産経ニュース2011.10.26 17:22[死刑制度]
藤村修官房長官は26日の衆院内閣委員会で、平岡秀夫法相が死刑執行に慎重姿勢を示していることに関し、「野田内閣において死刑を廃止する方針はまったくない」と表明した。「最後の最後には悩み抜いて(執行する)、というのが法務大臣の役割だ。平岡法相にしっかりと自分の考え方を述べよと言いたい」とも述べた。
自民党の平沢勝栄氏への答弁。民主党政権では昨年、死刑囚2人の刑を執行した後、法務省内に死刑の存廃も含めた制度のあり方を研究する勉強会を設置して以降、死刑の執行はない。
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◆聞き飽きた、もう。法相が代わる度に、死刑について「考えていく」「国民的な議論を進めたい」2011-09-15 | 死刑/重刑/生命犯 問題
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◆法務大臣には死刑執行の法的義務は存在しない=安田好弘/死刑執行1年、千葉景子元法相決断の背景2011-07-29 | 死刑/重刑/生命犯 問題
今回、千葉さんが、「死刑執行するのは法務大臣の義務だ」と言っています。実は、過去、法務省はそのようには言っていませんでした。これを言い始めたのは、後藤田元法相です。彼が1993年3月に死刑執行を再開した後に、自己の行為の正当化のために言い出したことです。彼に対しては、志賀さんや倉田哲治弁護士などが直接会って、執行をしないようにと話をし、彼はそれに対してよく考えてみるとか、団藤さんの本も実際に読んでみるとか、言っていたわけです。ところが彼は死刑を執行し、法務大臣には死刑執行をする法的義務がある、だから執行しないのは怠慢だし、執行しないならば法務大臣を辞めるべきだと、そもそも執行しない者は法務大臣に就くべきではない、と言い出したのです。今回の千葉さんも、詰まるところ同じことを言っているのです。
私たちはその当時から、法務大臣には死刑執行の法的義務はないのだと言い続けてきました。これはスローガンとして言っていたわけではなく、法的根拠を持って言ってきたわけです。刑事訴訟法の475条第1項を見ていただければわかりますが、死刑執行は法務大臣の命令による、としか書いてないわけです。法務大臣が死刑執行をしなければならない、とは書いていません。これは法務大臣以外の者が死刑執行を命令してはならないという制限規定です。第2項に6ヵ月以内に執行命令を出さなければならない、となっていますが、これは法務省自らが訓示規定と言っているわけでして、絶対に守らなければならないというものではないわけです。
法務省が言っていますが、法務大臣の死刑執行はどういう法的性質のものかというと、死刑執行を法務大臣の権限としたのは(権限です。義務とは言っていない)、死刑執行は極めて重要な刑罰なので、政治的責任を持っている人間しか命令してはならないものだ。法務大臣は政治的責任を負っているのだから、いろいろの社会的状況を考慮して、政治的な決断として執行を命令するのだ、という言い方をしています。ここからは義務だという発想は出てこないのです。法務省設置法という法律がありまして、法務省の責任や役目を示したものですが、3条、4条にはっきり書いてありますが、法務省の任務に、「基本法制の整備」、「刑事法制に関する企画立案」とあります。彼らの責務として法体制を改革したり改善したり、法律を新しく制定したり、法律を改正したり、ということがあるわけです。ですから法務大臣は死刑執行をすることが義務ではなく、死刑制度について改善したり、新しい死刑制度に関する企画を出したり、その企画が通るまで死刑執行を停止すると、いったようなことが法務大臣の義務としてあるわけです。千葉さんの発言は、これを完全に無視した発言であるわけです。
さらに言いますと、官吏服務紀律という勅令がありまして、昭和22年に一部改正されており、国務大臣はこれに従わなければならないとされています。その1条には「国民全体の奉仕者として誠実勤勉を主とし法令に従い各職務をつくすべし」とあって、権限を行使する場合は、公僕として法律に則って職務を果たせという職務規範はあっても、死刑執行を命令しなければならないというような、羈束(キソク=つなぎとめる、拘束する)的に、必ず一定の行為を行わなければならないというような職務規範は予定されていないわけです。このように、法の規定からしても、また過去の法務省の理解ないしは解説からしても、法務大臣に死刑執行命令をする義務があるというのは、間違い以外何ものでもないと考えます。この点についても議論しなければならないと、私は思っています。
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◆「目には目を」の報復、すべきでない/6割以上が死刑賛成という世論に迎合せず、仏大統領は死刑を廃止した2010-10-14 | 死刑〈国際〉
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犯罪とゆるし アーミッシュの寛容
自動車や電気を拒み、非暴力を貫く米国のキリスト教の一派、アーミッシュ。06年秋、彼らの学校を男が襲い、女児5人を射殺した。惨劇の直後、彼らは自殺した犯人の家族を訪ね、「ゆるし」を伝える。不寛容が襲う世界を驚かせた行動は何を教えるのか。ノン・フィクション作家、柳田邦男さんと、米国の研究者、ドナルド・クレイビルさんが語り合った。(⇒)
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(マタイによる福音書5、38〜) “目には目を、歯には歯を、と命じられている。しかし、わたしは云っておく。悪人に手向かってはならない。だれかがあなたの右の頬を打つなら、左の頬をも向けなさい。あなたを訴えて下着を取ろうとする者には、上着をも取らせなさい。(略)求める者には与えなさい。あなたがたも聞いているとおり、「隣人を愛し、敵を憎め」と命じられている。しかし、わたしは云っておく。敵を愛し、自分を迫害する者のために祈りなさい。あなたがたの天の父の子となるためである。父は悪人にも善人にも太陽を昇らせ、正しい者にも正しくない者にも雨を降らせてくださるからである。自分を愛してくれる人を愛したところで、あなたがたにどんな報いがあろうか。(略)あなたがたの天の父が完全であるように、あなたがたも完全な者となりなさい”
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ポトマック通信 死刑の現実
2011.10.21 03:37産経ニュース [外信コラム]
州によって細部に違いはあるが、一般的に米国では死刑執行の現場に記者が立ち会える。死刑囚や被害者の関係者とは一線を画し、冷静な目で死刑囚の最期を見届けるためだ。
9月下旬にジョージア州で、無罪主張の死刑囚に刑が執行された際には、立ち会った5人の記者が生中継のテレビカメラを前に死刑囚の最期を説明した。
死刑囚は最後まで無罪を主張し、自らの命を奪う執行人に「神のご加護を」と言葉をかけた。睡眠剤注入が始まると数秒間、死刑囚は瞬きを繰り返して意識を失う。続いて弛緩(しかん)剤と塩化カリウムを注入。開始から15分後死亡が確認された。
臨席した被害者家族は抱き合った。死刑囚側で立ち会ったのは弁護士のみ。誰もが最後まで無言で、エアコンの無機質な機械音だけが、その場に響いていたという。
国家が合法的に処刑する現場を密室化しないのが「米国の選択」といえる。国民を代表する陪審員が下した決断。国民は傍観者ではなく当事者なのだ。
一方で、その9日後にオバマ政権は、米国籍を持つテロリストをイエメンでの極秘作戦で殺害した。国民を危険にさらす人物は、時に司法判断に委ねず、大統領の決断で排除する。これもまた、米国が国民に下した“死刑”の紛れもない現実だった。(犬塚陽介)
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October 26, 2011, 10:22 pm
緊急インタビュー カレル・ヴァン・ウォルフレン氏は小沢裁判をどう見ているのか
日刊ゲンダイ20102010月24日
小沢氏のカネの出所?「それがどうした」と言いたい
<司法と大メディアによる「人物破壊」>
「誰が小沢一郎を殺すのか?」(角川書店)――オランダ人のジャーナリスト、カレル・ヴァン・ウォルフレン氏は今春、この本を出して話題を呼んだ。小沢一郎という異能の政治家を検察、メディアがよってたかって潰そうとしている実情を描き、日本の特殊性、異常を浮き彫りにしたのである。さて、その後、陸山会事件では元秘書3人に有罪判決が下り、小沢氏本人の裁判も佳境を迎える。司法判断、それを報じるメディアの姿勢、小沢氏本人の対応について、改めて、冷徹なジャーナリストに聞いてみた。
私が最初に小沢氏に会ったのは90年代半ばで、サンデー毎日誌上でやった対談でした。実は、その後も、彼をずっと追い続けていたわけではありません。むしろ個人的には菅氏との方が親しいくらいです。
2010年の暮れ、小沢氏と再会しました。そのとき、素直にこう言ったものです。
「はっきり言って、あなたのことはよく知らない。どういう人なの?」
そして今夏、再び長い時間、話をする機会があって、彼が本当に強いリーダーであることを再認識しました。
何が言いたいのかというと、私は小沢氏本人に人間的な興味があるわけではないのです。小沢氏の所業に対する司法当局とマスコミの扱い方。これは大変異常なものです。これに多大の関心を寄せているのです。
今、小沢氏を標的にして進行していることは「人物破壊」です。長年かかって築き上げてきた既得権益を破壊しようとする人物に銃口を向け、そして引き金を引く。体制にとって、新種の人間というのはいつの時代も脅威なのです。
日本の政治史を眺めると、建設業者から領収書のないカネが政治家の元へ流れるというのは、半ば常識化していて、システムとして組み込まれていました。特に小選挙区制に移行する前は顕著でした。これで小沢氏を有罪にするなら、自民党議員の多くも同罪です。
小沢氏はたぶん、そうした資金を受領していたのでしょう。私がここで指摘したいのは「それがどうしました?」ということです。真の問題点は小沢氏や秘書が金を受領していたかどうかではないのです。
<先進国ではありえない>
小沢一郎氏の初公判で考えなくてはいけないのは、捜査、逮捕、起訴、裁判が先進国として、きちんとバランスのとれたものであったかということです。
昨年暮れ頃から、検察に対する不信感が市民の間で増幅してデモが行われたりしていましたが、大手メディアは黙殺したままでした。そこに大震災がきたので、しばらく小沢問題はないがしろにされてしまいました。
その間にも大手メディアは小沢氏の「人物破壊」を続けました。司法が一人の政治家を撲殺しようとし、それに大手メディアが加担した。それによって、多くの国民が小沢氏=悪者のイメージを持つに至ったのです。
検察と裁判所の不健全な関係も問題です。日本では起訴された被告は99%以上の確率で有罪になってしまう。こんなことは世界中どこにもありませんが、その検察に小沢氏は完全に狙い撃ちにされたという事実です。 一度は不起訴になったが、検察審査会という新しい手続きが持ち出され、結局は強制起訴された。
小沢公判の前に秘書3人が有罪判決を受けた陸山会裁判がありましたが、あの判決にも驚きました。これも世界では例がないものでした。(インタビュアー・堀田佳男)
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緊急インタビュー カレル・ヴァン・ウォルフレン氏は小沢裁判をどう見ているのか
日刊ゲンダイ(2011/10/25)
秘書3人の「推認」による有罪は司法による“大量虐殺”だ
小沢裁判の前に秘書3人が有罪判決を受けた陸山会裁判がありましたが、判決は「推認」による有罪でした。私に言わせれば、あれは司法による“大量虐殺”に等しい。秘書3人は、別に政治献金を着服したわけではありません。単なる記載ミスです。控訴中ですし、真偽はわかりませんが「推認」によって有罪判決を受けるといったことが先進国であっていいのでしょうか。
少なくとも他の民主主義国家でこの程度のことが重罪とされることはないでしょう。裁判官の見識を疑わざるを得ません。犯罪と呼べる行為ではありません。ですから有罪判決が下されたことは大変残念です。
日本の司法と新聞には「推定無罪」という当たり前の考え方が存在していません。疑わしきは罰せずという基本的姿勢が感じられません。新聞も最初から「小沢有罪」という流れで書いています。
■日本のスキャンダルは作為的
私はずいぶん日本のスキャンダルについて勉強しました。月刊誌「中央公論」にも以前書きましたが、日本のスキャンダルというのは故意に仕立て上げられる。違法行為を犯していなくとも、意図的に銃口を向けて撃ち落とせるカラクリがあるのです。
この点で日本は法治国家と本当にいえるのか疑問です。あえて問われれば、答えは「イエス」と「ノー」の両方。日本は近代国家ですが、一方で国家の中心にあるべき核になるものが見えません。日本の政治システムは合議制で、大統領制のような強い行政力を持ったリーダーを意識的につくってこなかったのです。
■小沢は反米ではない
鳩山政権時代、小沢氏はずっと後ろで鳩山氏を支えていました。しかし、その鳩山政権を米国は明らかに倒したかったはずです。ワシントンは「独立した日本」は望まないのです。鳩山氏は、ASEANに日本と中国と韓国を加えた「ASEANプラス3」としきりに言っていましたし、小沢氏は議員を大勢連れて中国に出向いたりしていました。こうした行為はワシントンの癇(かん)に障る。「勝手なことはやめてくれ。日本は我々がOKということだけをやっていればいいのだ」ということです。
私は長年、日米関係を研究していますが、それは歴史的に見ても世界に他にはない二国間関係だから興味がそそられるのです。しかし一方で、悲しいことにあまりに片務的です。日米関係はかつては日本の産業発展に役立ちましたが、いまや役に立たないどころか、危険な関係になっています。
小沢氏の起訴に至る今回のケースで、米国がなんらかの役割を果たしたかどうかはわかりません。ただ、そうだとしても私は驚きません。ワシントンは小沢氏を信用していないからです。小沢氏は決して反米ではないのに、バカげたことです。(インタビュアー・堀田佳男)
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緊急インタビュー カレル・ヴァン・ウォルフレン氏は小沢裁判をどう見ているのか
日刊ゲンダイ(2011/10/26)
大マスコミは「小沢たたき」をやり過ぎたと分かっている
09年の政権交代直後に大手新聞の編集者と酒席を共にした時のことです。彼らは私に「明治維新の後、日本が生まれ変わったように、民主党政権でも再び日本は変わっていけると思うか」と聞いてきました。私は「できるかできないかは、あなたたちにかかっています」と言ってやりました。まったく自分たちのやっていることを理解していない。マスコミがどれほどの力があるかよく分かっていないのです。
昨年、小沢氏が不起訴処分になった時、新聞は1面から大きな記事を書き大騒ぎしました。これは司法とマスコミの騒ぎ過ぎで、日本社会のバランスのなさが如実に表れた好例です。
ただ最近、日本のマスコミの小沢氏への論調が少しずつ変化しています。朝日新聞でさえも変化の兆しが見えます。つまり、小沢たたきをし過ぎたという反省にも似た態度が見られるのです。朝日の編集者と話をすると、自分たちの自己矛盾(二面性)を認めてもいます。週刊誌の論調にも変化が見られます。
■官僚を使いこなせる政治家
政治力という点を考えると、田中角栄は天才でしたね。角栄がすごかったのは、官僚をうまく使いこなしたことです。小沢氏はこの点を角栄から学んだはずです。ですから、小沢氏は官僚からコントロールされずに、官僚を使っていける政治家だろうと思うのです。角栄・小沢両氏に共通するのは、政治家としての自信にあふれている点です。一方、菅・野田両首相はすぐに官僚にコントロールされてしまう。そこが違うところです。
政治家小沢一郎への関心は、自民党政権を終わらせ、民主党政権を樹立し、55年体制を崩した点にあります。
少なくとも、彼が政治潮流のハンドルを切った。当時多くの日本人と話をすると、とにかく自民党政権を終わらせなくてはいけないという思いで共通していました。
そして民主党政権が誕生し、民主党は、官僚任せではなく、政治家主導で政策を立案しなくてはいけないとの強い思いにあふれていました。しかし実現できなかった。
いま民主党議員は2つのタイプに大きく分かれます。ひとつは名声を得るためだけに、ハシゴを一生懸命上っている単なる野心家。このタイプの議員は首相や大臣になることが目標なのです。カネは入るし、周囲からは敬意を払われる。最大の関心事は自身の再選。政策立案には関与しなくていいと最初から思っている。
もうひとつは、政策立案にかかわって政治のハンドルを握ろうとするタイプの政治家です。小沢氏はまさにこのタイプに属するわけです。小沢氏はいまでも最も指導力のある政治家だと思います。
■日本社会の歪みの修正に期待
日本の政治システムは、責任の所在がずっと曖昧なままです。問題が起きた時に、誰が責任を取るのかがはっきりしていない。
民主党政権が誕生した時に、政治的責任という概念が取り沙汰されましたが、結局曖昧なままです。
私が期待するのは、東日本大震災後、東北の復興だけでなく、日本社会の歪んだ部分が修正され、再生してほしいということです。単に復興という観点ではなく、新しい次元で生まれ変わるくらいのエネルギーと英知がほしい。日本が生まれ変わる好機だと考えるべきでしょう。(インタビュアー・堀田佳男)
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◆小沢一郎元代表の「暗黒裁判」は、米CIAと東京地検特捜部、マスメディアの共謀共同事件だ2011-10-07 | 政治/検察/メディア/小沢一郎
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◆小沢一郎氏 初公判 全発言/『誰が小沢一郎を殺すのか?』2011-10-06 | 政治/検察/メディア/小沢一郎
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◆小沢一郎が語った「原発/国家のリーダー(衆愚の中からは衆愚しか)/マスコミは日本人の悪いところの典型」2011-09-19 | 政治/検察/メディア/小沢一郎
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October 27, 2011, 10:19 pm
小沢一郎氏会見での「諍い」に関する読売新聞の記事に反論する
週刊・上杉隆【第198回】2011年10月27日 上杉 隆 [ジャーナリスト]
■先週の小沢一郎氏会見に対して 読売新聞が“検証”と称する記事を掲載
目が覚めた。ベッドの中で習慣になっているツイッターでのニュース情報収集を行なっていると、タイムライン上にきょう(10月27日)の読売新聞朝刊の記事を貼り付けたツイートがたくさんあった。
内容は10月20日の自由報道協会主催の小沢一郎会見についてである。その日、公判後初の小沢会見ということもあって、多くの記者が麹町の自由報道協会会見場に訪れた。
自由報道協会は不健全な記者クラブと違って、あらゆる記者の会見参加を認めている。だからこそ、自らは何十年間もフリージャーナリストらを排除してきた記者クラブの記者、たとえばその筆頭である読売新聞の記者でも参加が可能で、しかも、自由に質問ができるのである。
記事は、当日の会見で最初に質問した読売新聞記者と、自由報道協会暫定代表としての筆者との間に起きた「諍い」について記されたものである。
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20111027-OYT1T00036.htm
なお、この記事に対しては、本コラムでは、非営利団体である自由報道協会の暫定代表の立場としてではなく、一ジャーナリストとして触れることを予めご了解いただきたい。
また、長文の記事につき記事は分割して引用し、それぞれにジャーナリストとしての筆者の解説を加えようと思う。
〈20日行われた小沢一郎民主党元代表の記者会見で、資金管理団体「陸山会」の事件について質問をした本紙記者に、会見を主催したフリージャーナリストらが「司会者の指示に従わなかった」と激しく抗議する場面があった。
その様子はインターネット上で生中継され、本紙にも問い合わせが相次いだ。記者は司会者に言われるまま質問を打ち切るべきか、それとも追及を続けるべきか。問題となった会見を検証する。
会見を主催したのは、フリージャーナリストらで作る「自由報道協会」(東京都千代田区)。小沢元代表はこのところ、自身の考えを述べる場に、インターネットで生中継されるネットメディアを選ぶことが多い〉
■なぜ自由報道協会をネットメディアと誤解しかねない表現を?
まず、自由報道協会はネットメディアではない。一切の営利活動を伴わない公益法人を目指す記者会見を主催するための団体である。そのため、実際に、筆者も他のスタッフも全員がボランティアで活動し、運営費などはすべて一般個人からの寄付で賄われている。
これについては、10月26日、自由報道協会の畠山理仁幹事長が、取材に来た読売新聞記者に説明している。よって、はっきりと知っていることだが、あえて印象操作のためか、こうした書き方になったのだろう。
〈会見の第1部は、市民から寄せられたとされる質問に元代表が答えるもので、これが終了した後、記者らによる質問の第2部が始まった。最初に司会者から指されたのが、読売新聞社会部の恒次徹記者だった。
「小沢さんは政治資金規正法違反に関して、脱税とか汚職を伴わない場合は、実質的犯罪とは言えないとの考えを再三述べている。国民の判断を誤らせる虚偽記入があれば、実質的犯罪と言えるのではないか」
これに元代表は「あなたの意見がちょっと違う」と述べたが、政治資金収支報告書で国民の判断を誤らせることが実質的な犯罪に当たるかどうかについて、明確な回答をしなかった。
このため恒次記者は「例えば」と前置きし、投資家の判断を誤らせることになる有価証券報告書の虚偽記載罪を例に挙げて、なお見解をただそうとしたが、司会者が「この辺で区切らせていただきたい」と制した〉
■司会者は読売記者の質問をすぐに制止したのか?
この記事だけを読むと、いかにも1、2回のやりとりで司会者が質問を遮ったかのような読者に印象を与える。だが、実際は、最初の司会者の制止まで7回(恒次記者と小沢氏で14回)のやりとりがあったのだ。
さらにその後5回(10回)のやりとりがある。新聞紙面にはその部分は書かれていないが、同新聞ウェブ版にはきちんと載せている。
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20111027-OYT1T00017.htm?from=y10
〈20日の記者会見での小沢元代表と恒次記者のやり取り(呼称・敬称略)
◇
恒次…小沢さんは陸山会の今回の問題が起きてから、先日の意見陳述もそうでしたけど、政治資金規正法違反に関して、それが脱税とか汚職を伴わない場合は、実質的犯罪とは言えないんだという考え方を再三述べてらっしゃると思うんですが、
小沢…それは言ってません。
恒次…あの、そういう風に受け取れることをおっしゃってると思うんですが。
小沢…そんなことありません。(会場から笑い)記者会見、ちゃんと全部見ましたから。
恒次…そういう風に一貫して述べられていると思うんですが。
小沢…違いますよ。(会場から笑い)
恒次…2007年の2月に事務所費の問題が問題になりまして、小沢さんが会見を開かれた時に、政治資金の問題についてすべてオープンにして、国民が判断することが大事なんだという風に言われていて、私もその通りだなと思った記憶があるのですが、今回の問題が起きてからの小沢さんの発言を見ていると、その時の考え方を修正されたのかなという風に思わざるを得ないような表現をされている。実質的犯罪じゃないとか、形式的なミスであるとか、そういう風に言われているんですが、2007年の会見の時におっしゃったような趣旨で言えば、政治資金収支報告書に誤りがあって、それを国民の側が判断することが大事だという風におっしゃっているわけですから、その判断を誤らせるような虚偽記入があった場合は、もし汚職とか横領とか脱税とかいうことがなくても、これは実質的な犯罪と言えるんじゃないでしょうか。その点を、ちょっとお考えをお聞かせいただけたらと思います。
小沢…ちょっと、あなたの意見がちょっと違うんじゃないかと思っております。私は実質、犯罪じゃないという言い方をしているわけではなくて、まあ犯罪って言ったって、軽犯罪だって犯罪だから、そういう言い方をすれば、ちょっとでも法に触れれば犯罪だということになりますが。いわゆる実質的犯罪が、わかります?実質的と形式的と。実質的犯罪が伴わない場合は、今まですべて収支報告書の修正ですまされてきたという風に申し上げてきた。
恒次…実質的犯罪じゃないというお考えがどうなのかという風にお伺いしているのですが。
小沢…それは、法律学者でも誰でも聞いて下さい。実質犯と形式犯と2つある。
恒次…そうじゃない。
小沢…そういう意味のことを僕は言っている。
恒次…例えばですね、
司会者…なるべく簡潔にお願いしたい、この辺で区切らせていただきたいのですが。
恒次…ちょっと対話したいものですから。
(「対話じゃねえよ」の声)
小沢…それはあなたの考えであって。
司会者…すいません。終えていただけますでしょうか。
恒次…例えば、ディスクロージャー違反という犯罪の類型の中に、(上杉…あんたルール違反しているんだよ)例えば有価証券報告書の虚偽記入というのがございますよね。俗に言う粉飾決算っていう。
小沢…有価証券報告書の虚偽記入という、その法律は分かりませんが。
恒次…それは実質的犯罪じゃないんですか。(上杉…ちょっとあなたルール守んなよ)
司会者…お話の途中申し訳ありませんが。
小沢…みなさん、修正報告で。いっぱいあるでしょ。今でも。間違ったと言われるのは。私どもは虚偽記載しているとは思っていないんですよ。だけど、例えば仮にそれが明白に虚偽記載、いわゆる間違った報告書だったと、計算であれ、書く場所であれ、何であれ、その時はみんな修正報告で全部今までは通っているわけです。
恒次…そんなことないですよ。
小沢…そんなことありますよ。
恒次…修正報告だけで通ってない場合は多々ありますよ。(上杉…記者クラブのルール守っているんだから、守れよ)
小沢…あなたの考え方。僕の考え方を聞いているんでしょ。
司会者…そろそろほかの質問に移らせていただいてもよろしいでしょうか。
(2011年10月27日06時00分 読売新聞)
読売新聞しか読まない読者は、こうして不正確な情報しか得られないのである。正しい情報を得るためには、読売新聞よりも、同新聞のネット記事を読むことをお勧めしたい。
■自由報道協会は質問の内容や時間は一切問題にしていない
さて、自由報道協会がルール違反としたのは運用上の問題だ。質問内容については一切、問題としていない。それは質問時間についても同様だ。
ところが、読売記事では、問題としていない部分もあたかも問題であるかのように扱っている。その部分を引用しよう。
〈ジャーナリストで同協会暫定代表の上杉隆氏らも、「ルール違反だ」と抗議した。恒次記者はその後も質問しようとしたが、「ルール守れよ」などの声が上がった。
恒次記者の質疑応答に要した時間は約4分30秒。その後、4人から質問があり、平均約5分を費やした。
会見終了後、恒次記者は上杉氏とジャーナリストの岩上安身氏に詰め寄られ、抗議を受けた。さらに別室に移動し、上杉氏は「なめてんのか、この野郎」、岩上氏は「ど素人か」「質問の仕方がへたくそ」と言いながら、司会者に従わなかったことに怒りをあらわにした。この模様は約25分間、生中継された。
翌21日、同協会から恒次記者あてに抗議文が届いた。〈1〉司会者の指示に従わなかった〈2〉ゲストスピーカーの言葉を遮って発言を続けた――の2点を挙げて、「記者会見上のルールを無視し、進行を妨げたことは誠に遺憾」としていた〉
ちなみに筆者を含め、記者会見を主催し、労力を含め多くの出費をしているフリーのジャーナリストたちのほとんどは挙手をしていたが、質問すらできなかった。それは公平なルール運用に従ったためである。
この日、読売の恒次記者以外は全員そうやってルールを守っていた。それは会見開始前にペーパーを配布し、司会者からも口頭で繰り返し説明した上で了承を得た上で、会見に参加したからだ。
■記者に対する批判を「同じ文言のメールが多数」と書く意図は?
〈抗議の模様はその後も、動画サイトで閲覧でき、視聴する人が相次いだ。このほか、夕刊紙「日刊ゲンダイ」が22日付の紙面で、「小沢会見 読売記者“大暴れ”」の見出しで記事を掲載。抗議の模様について、「場外乱闘の大パニックに発展した」と報じた。
本紙読者センターにも、動画を見た人から、電話とメールによる意見が141件(26日現在)寄せられた。会見直後は、ほとんど恒次記者に対する批判で、「読売バカ記者」「恥を知れ」と同じ文言のメールが多数あった。これに対し、「紳士的で冷静」「あれくらい聞くのが当然。大変だろうが、頑張ってほしい」と支持する意見も寄せられた。
上杉氏は22日、「読売新聞記者に複数回『暴言』を吐き、協会の健全性を傷つけた」として暫定代表の辞任届を提出したが、同協会は受理しなかったという〉
(2011年10月27日06時00分 読売新聞)
この記事では、「同じ文言のメールが多数あった」と書き、いかにも組織的に抗議をしているかのような印象操作を加えている。
だが、他のメディアに寄せられた意見でも、たとえばライブドア「BLOGOS」などが独自に行ったアンケートのように、その8割以上が自由報道協会の姿勢を支持するものだ。
http://news.livedoor.com/article/detail/5966179/
自分に不都合なデータはぼかす、そして、どうでもいい「質問時間」などのような情報の詳細は報じる、というゆがんだ姿勢はもはや通用しないことを、読売新聞は知るべきではないか。
時代は変わった。そうやってアンフェアな報道で騙せる読者層は確実に減ったのだ。
また、そうした欺瞞が、さらに読者離れを加速させているという現実にそろそろ読売、あるいは記者クラブメディアは気づくべきなのではないか。
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◆「記者会見開放運動」卒業宣言!上杉隆2010-04-22 | 政治/検察/メディア/小沢一郎
◆閣僚会見のオープン化「世界中のジャーナリストに代わってお礼申し上げたい。質問はありません」
◆小沢幹事長問題ではっきりした メディアと国家権力の危険な関係
◆小沢会見「検察の捜査で明らかになった私の主張を報道したうえで世論調査してみてください」
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November 1, 2011, 6:47 am
TPPの決断期限迫る−さてどうする野田首相
WSJ Japan Real Time 2011/11/1 16:12
環太平洋経済連携協定(TPP)へ参加するのかしないのか、日本としての姿勢を決めなければいけない期限が近付いた。震災の影響もあって、菅直人前首相が今年6月としていた結論が先送りされ、つい1カ月前にようやく議論が本格化した。野田佳彦首相は今月12、13日のアジア太平洋経済協力会議(APEC)に向けて7日ごろに民主党の意見を集約すると国内メディアが報じている。
衆議院で演説する野田首相(28日)昨年10月に菅前首相が突然、TPP参加を検討する方針を表明。それ以降、推進派は「早く、早く」と急かし、反対派からは「日本の農業に致命的なダメージになる」と強く反対し、推進派と反対派がてんでに遠距離砲を撃ちあうばかりで、ほぼ1年が過ぎた。この数週間にTPPをめぐる報道は爆発的に増えたが、議論は深まっていない。
経産省はTPPに参加しなければ、日本の工業製品が競争力を失い2020年に実質国内総生産(GDP)が10.5兆円減少し、81万2000人の雇用が失われるという試算を発表。一方、農水省はTPPに参加するとGDPが7.9兆円減少し340万人の雇用が失われるとしている。しかし、どちらの説明も得心のいくものではない。内閣府が先月25日になって、実質GDPは10年間で0.54%(2.7兆円)増えるという試算を出したが、まるでけんかの仲裁のようで、これも信頼が置けない。
国民はどう考えているのか。先月31日に報道された日本経済新聞/テレビ東京の世論調査によると、TPP交渉へ参加すべきという意見が45%、参加すべきでないが32%だった。11日に発表されたNHKの調査では参加すべきが40%、参加すべきでないが9%、どちらともいえないが40%だった。また、9日に発表された読売新聞の世論調査では、参加すべきが51%、すべきでないが23%、回答なしが26%だったという。こうした世論調査の結果からは国民の約半分は参加すべきと考えていると推測できそうだ。
都道府県レベルの反応も興味深い。ウォール・ストリート・ジャーナル日本版のコラムニスト、水野文也氏によると、千葉県の県議会では、TPP参加賛成の論陣を張った水野氏の演説の間、満場のヤジを浴び、表決の結果、94人中参加賛成はわずか22人、反対が72人だったという。
朝日新聞の31日朝刊によると、全国47都道府県のうち44道府県議会が「反対」か「慎重」だという。明確な反対が17議会。「国民合意」といった条件を満たすまで参加しないことを求めている慎重派が27議会。東京都、大阪府を含めた3都府県は態度表明をしていないが、前向きな意見は1つもないということだ。日本の機械工業の大集積地で、TPPの恩恵が大きそうな愛知県ですら慎重派である。
こうしたなか、TPPの第9回会合がペルーで先月19日から10日間にわたって開かれた。28日の読売新聞は、APEC首脳会議での大枠の合意に向け前進した、と伝えている。
日本の参加の是非の決定が、大枠合意のタイミングであることが気になるが、この機会を逃しては、参加9カ国の乗った列車は飛び乗ることができないぐらい遠くに行ってしまうことは確実だ。
国内メディアによると、与党民主党内にも強硬な反対派が多く、先月JAグループが衆参両院の議長宛てに提出した不参加を求める請願書には、民主党からも120人が署名したという。野党自民党からも166人。両党ともに執行部には賛成派が目立つが、両党とも反対派は強硬で党として党内意見の取りまとめには苦労しそうだ。
それにしても、TPPは5年前にシンガポール、ニュージーランドなど4カ国の合意が発効、米国にしても2年前に参加を表明している。その交渉に、昨年秋から慌てて参加を検討し始め、それから結論を出すのに1年かかっている日本という国はいったい何なのだろう。
記者:竹内カンナ
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TPP参加って野田首相の対米サービス?…内閣府が大ボラ試算
J-CASTテレビウォッチ2011/10/27 16:36
TPP(環太平洋経済連携協定)の交渉参加問題は賛成・反対で国論を2分しているが、いまひとつメリットとデメリットがよくわからない。笠井信輔アナが反対論を唱える京都大工学研究科の中野剛志准教授に話を聞いた。
■輸出増を狙う賛成派、第1次産業擁護の反対派
まずTPPとは何か。太平洋を取り巻く米国、ペルー、チリ、豪州、ニュージーランド、シンガポール、マレーシア、ベトナム、ブルネイの9か国が参加し、関税を原則ゼロにして貿易を自由化するルール作りの交渉だ。交渉されるのはそればかりでない。金融、食品検疫、遺伝子組み換えなど食品などの安全規格、知的財産など21分野もある。
そこに日本が参加するかどうか迫られているわけだが、もっぱら議論の中心は、工業製品の輸出増を狙う賛成派に対し、農家などが壊滅的な打撃を受けるという反対派で2分。民主党の前原誠司政調会長が外相時代に「GDPに占める第1次産業の割合1・5%を守るために犠牲になっているのではないか」と発言して賛成派を焚きつけた。野田首相が交渉参加に前のめりになっているのを受け、内閣府は25日(2011年10月)、「GDP2・7兆円増加」の効果があると試算を公表した。
政府内で交渉参加への土壌づくりが進むなか、農業団体など反対陣営は26日、東京・日比谷の野外音楽堂で決起集会を開催。壇上で国民新党の亀井静香代表が演説し、「ここで間違えれば、この日本にドジョウ1匹といえども住めなくなる」と、反対ののろしをあげた。
■国民にとってのメリットデメリットはなに?
司会の小倉智昭「反対の理由は何でしょうか」
中野准教授「国民にとってメリットがない。メリットがあるというのは嘘っぱちでデメリットばかり。食の安全や環境、雇用などいろいろ問題があるにもかかわらず、全くマスコミが報道しない。最大の問題はマスメディア。
環太平洋9か国というが、実質的にはアメリカがメイン。GDPで見ると7割がアメリカだし、日本は2割。アジアなんかではないんです。アメリカの自動車の関税は2・5%、テレビは5%ですよ。しかも、すでに日本はアメリカに自動車工場があり自由貿易なんですよ」
フジテレビ解説委員の安倍宏行も「2・7兆円押し上げるというが、GDPベースでみると0・54%でしかない。TPPに参加したから輸出が増えるわけではない」という。しかも、この2・7兆円は10年間の累積数字というからメリットは確かになさそう。
小倉「マイナスの面しかないと聞こえますが、なんで政府はTPPに目を向けるのですか」 安倍が「苦境に立たされているオバマ大統領にAPECの場で花を持たせたいこと。普天間問題の骨がノドに刺さっていることが先にあって、国内議論が進んでいないのに前のめりになってしまった」
それにしても、厳しい反対意見を唱える中野准教授が、貿易振興を推進してきた通産省(現経産省)に入省した元官僚というから面白い。「TPP亡国論」の著書もある。 *強調(太字・着色)は来栖
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『TPP亡国論』 TPPで輸出は増えない!デフレが進むだけ!アメリカの仕掛けた罠に日本はまた、はまるのか!?(集英社新書)
TPP(環太平洋経済連携協定)参加の方針を突如打ち出し、「平成の開国を!」と喧伝した民主党政権。そして賛成一色に染まったマス・メディア。しかし、TPPの実態は日本の市場を米国に差し出すだけのもの。自由貿易で輸出が増えるどころか、デフレの深刻化を招き、雇用の悪化など日本経済の根幹を揺るがしかねない危険性のほうが大きいのだ。
いち早くTPP反対論を展開してきた経済思想家がロジカルに国益を考え、真に戦略的な経済外交を提唱する。
[はじめに]
この本を世に出すにあたっては、私は、何とも言えない漠然とした不安を感じています。といっても、私個人の身に何か危害が及ぶとか、そういった類の不安感とは違います。
この本は、国家的機密情報をリークするとか、外国の陰謀をあばくとかいったものではありません。ここに書かれていることは、すべて、公開情報をもとにしています。そして、誰にでも手に入れられる情報をもとにし、誰にでも納得できるような論理を用いて、日本のTPP(環太平洋経済連携協定)への参加について反対し、その根拠を明らかにします。それだけのことです。
では、何が私を不安にしているのでしょうか。それは、我が国における議論や物事の進み方の異様さです。
まず一番怖いのは、農業関係者を除く政治家、財界人、有識者あるいはマス・メディアが、ほぼすべてTPPへの参加に賛成しているにもかかわらず、その根拠があまりに弱く、その論理があまりに乱れているという点です。この全体主義的な事態は、ただごとではありません。
私は、TPPへの参加に賛成する議論を追っているうちに、ある共通する特徴に気づきました。それは、どの議論も、戦略的に考えようとするのを自分から抑止しているように見えるという点です。たとえるならば、戦略的に考えようとする思考回路に、サーキット・ブレーカーが付いていて、あるコードが出ると、それに反応してブレーカーが自動的に落ちて、思考回路を遮断してしまうような感じです。
TPPをめぐる議論には、そういうブレーカーを働かせるコードが特に多いのです。いくつか例を挙げてみましょう。
「開国/鎖国」「自由貿易」「農業保護」「日本は遅れている/乗り遅れるな」「内向き」「アメリカ」「アジアの成長」「環太平洋」
TPP賛成論には、こういったお決まりのセリフがよく出てきます。そして、こういったセリフが出てきた瞬間、論理が飛んで、TPPに参加すべきだという結論へと着地するのです。どれほど論理が矛盾していようが、どれほど現実に起きていることと反していようが、「TPPに参加するしかない」となり、他の結論を許さないようになっているのです。
私は、TPPをめぐる議論を検証しながら、日本人の思考回路がたくさんのブレーカーでがんじがらめになっていることに気づきました。この本は、TPPに関する是非そのものを議論するというだけでなく、それを通じて、日本人の思考回路を束縛し、戦略的に考えられないようにしているブレーカーの存在を明らかにするものと思います。
戦略的に考えられないということは、今の世の中、致命的な問題です。
二〇〇八年のリーマン・ショック以降、世界は激変しつつあります。かつての世界恐慌がそうでしたが、世界的な大不況では、各国とも生き残りのために必死になります。そのためには手段を選ばず、武力衝突も辞さないでしょう。
こうした中、さまざまな国が、日本に対して、うまい話やきれい事を並べながら、えげつない計略をいろいろと仕掛けてくるでしょう。私は、TPPもそのひとつだと思っています。いや、TPPなど序の口なのかもしれないのです。
このように言うと、「排外主義的だ」「感情論だ」「内向きだ」と批判されるかもしれません。しかし、二〇一〇年の環太平洋地域に限っても、すでにいろいろとキナ臭い事件が起きました。特に目立った動きだけでも、例えば、中国漁船による尖閣沖の領海侵犯事件とそれをめぐる中国の対応、ロシア大統領による北方領土訪問、北朝鮮による核開発や韓国への砲撃などが挙げられます。予測不能の事態がいつ起きてもおかしくはない世の中になっているのです。
これほど厳しい世界になっているのに、ちょっと戦略的に考えようとするや否や、すぐにブレーカーが落ちて思考回路を遮断してしまう。そのような頭の構造をしているようでは、あまりにも危な過ぎます。私たちは、そんなブレーカーを一刻も早く取り外して、まずは戦略的な思考の回路を取り戻さなくてはなりません。
この本は、TPPという具体的な問題の検証を通じて、日本人の戦略的思考回路を回復させようという試みです。ですから、これからTPP以外の問題が日本に降りかかったときにも、この本に書かれた戦略的思考回路が役に立つことを狙って、私は書いています。
実際、TPPというアジェンダが浮上した背景、そしてそれに対する政府、財界、知識人、マス・メディアの反応を解明しようとすると、農業や貿易はもちろん、世界経済の構造変化、アメリカの戦略、金融、財政、グローバリゼーション、政治、資源、環境、安全保障、歴史、思想、心理、精神と多岐にわたる論点に考察を及ぼさなければなりません。しかも、これらすべての論点が、TPPを中心にして、相互につながり、絡み合っているのです。
言い換えれば、TPPという穴をのぞくことで、リーマン・ショック後の世界の構造変化、そして日本が直面している問題の根本が見えてくるのです。ですから、それらを頭に入れておけば、今後、TPP以外の政治経済的な問題に対処するにあたっても、きっと役に立つことと思います。
TPPとは、それだけ根の深い問題なのです。
*中野 剛志(なかの たけし)
一九七一年、神奈川県生まれ。京都大学大学院工学研究科助教。東京大学教養学部(国際関係論)卒業。エディンバラ大学より博士号取得(社会科学)。経済産業省産業構造課課長補佐を経て現職。専門は経済ナショナリズム。イギリス民族学会Nations and Nationalism Prize受賞。主な著書に『国力論―経済ナショナリズムの系譜』(以文社)、『自由貿易の罠―覚醒する保護主義』(青土社)など。
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◆『TPP亡国論』/怖いラチェット規定やISD条項(毒まんじゅう)/コメの自由化は今後こじ開けられる2011-10-24 | 政治(経済/社会保障/TPP)
◆【必見&拡散】 絶句JAPAN!!【中野剛志】
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November 1, 2011, 9:18 pm
橋下府知事に突然の「逆風」 新潮、文春で「暴露」系記事が相次ぐ
J-CASTニュース2011/10/27 19:41
大阪府の橋下徹知事に逆風が吹き始めたのか。圧倒的人気を誇るといわれてきた橋下知事について「ウソを平気で言う」といった厳しい関係者証言などが並ぶ雑誌記事が相次いでいる。
府知事選と大阪市長選のダブル選の投開票日は、あと1か月後の2011年11月27日だ。選挙戦への影響はあるのだろうか。
■「大阪では売れ切れ店続出」
橋下知事は市長選へ転じ、現職の平松邦夫市長と対決する。知事選は、橋下知事後継候補の松井一郎府議と倉田薫・池田市長との争いが軸になる構図が固まっている。
そんな中、月刊誌の「新潮45」11月号(10月18日発売)は、「『最も危険な政治家』橋下徹研究」と題して4人の筆者による4本計30ページの特集記事を載せた。
記事のテーマはそれぞれ、橋下知事の心理分析や出自、政策(大阪都構想)批判など。いずれも橋下知事に対し、厳しい視線が感じられる内容となっている。
筆者のひとりは、「日本の路地を旅する」(文芸春秋)で大宅壮一ノンフィクション賞を受賞したノンフィクション作家の上原善広氏。この本について文芸春秋はサイトで「路地(被差別部落)をその出身者である著者が訪ね歩く」と紹介しているが、今回も上原氏は橋下知事にかかわる場所や人を丹念に訪ね歩き、これまであまり知られていなかった側面について報告している。
別の筆者である精神科医でノンフィクション作家の野田正彰氏の記事では、「橋下青年の高校生のころを最もよく知る先生」が語った内容として、「嘘を平気で言う。バレても恥じない」「彼を評価する先生は、まずいないのではないか」といった酷評もある。
また、橋下氏が、前の府知事選に立候補表明する直前まで、「2万パーセント(立候補は)ない」とテレビカメラの前で語っていたことを取り上げ、橋下氏による激しい誇張は、豹変することや煙にまく「予兆にみえる」との分析も書かれている。
「新潮45」は大阪では売れ切れ店が続出。全国展開している大手書店の大阪市北区にある複数の支店に聞いてみると、「売り切れで今、追加発注中」「一度売り切れて、本日追加入荷しました」といった反応だった。
この「新潮45」の反響に刺激されたのか、週刊新潮(11月3日号)と週刊文春(同)も、橋下知事の生い立ちや親族などに関する記事を載せ、10月27日には首都圏の店頭に並んだ。週刊新潮は8ページも割いている。
■「メディアの姿勢に疑問」の反発も
週刊新潮の記事は、先に発売された「新潮45」を踏まえた内容で、週刊文春の記事も、橋下知事について、「変節と裏切り」が「人間性を探る上で欠かせないキーワードだ」と指摘。両誌とも期せずして橋下氏に対し厳しいスタンスの内容となっている。
選挙を直前に控えた時期のこうした記事に対し、橋下知事側ではどう捉えているのだろうか。10月27日夕の段階では、「(記事に関する対応は)議論していない」(大阪維新の会事務局)、「(知事)本人から特に対応の指示はきていない」(橋下知事の後援会事務所)とのことだった。
春の統一地方選で、橋下知事が代表を務める大阪維新の会が、大阪市議選とならんで力を注いだ市議選の舞台だった堺市の市議に記事のダブル選への影響を聞いてみた。
自民党の野村友昭市議は、「記事は読みましたが、橋下知事の人気は、(記事にあるような視点とは)別のところにある」として、「影響は少ない」とみている。逆風にはならないとの見立てだ。
維新の会の池田克史市議は、「影響はないと思う」と話した。政策を主体に訴えており、有権者に政策を判断してもらうものだからだという。ただ、選挙直前の時期にこうした政策に関係しない部分に力点を置いた記事が続くことに対しては、「メディアの姿勢に疑問を感じる」としている。
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【花田紀凱の週刊誌ウォッチング】
産経ニュース2011.10.29 07:53
『週刊文春』と『週刊新潮』(ともに11月3日号)が揃(そろ)って橋下徹大阪府知事の出自の問題を特集している。
『文春』が「暴力団員だった父はガス管をくわえて自殺 橋下徹42歳 書かれなかった『血脈』」。
『新潮』が「『同和』『暴力団』の渦に呑まれた独裁者『橋下知事』出生の秘密」。
両誌ともほとんど同じ内容で、橋下知事が大阪・八尾市の同和地区に生まれ、父親と叔父がヤクザで父親は自殺、従兄弟が1999年に金属バット殺人事件で逮捕−−というもの。
これまで書かれなかった出自のことが、なぜ今? なぜこのタイミングで?
府知事辞任、市長選出馬表明というこの時期を考えると、明らかにネガティブキャンペーンの一環としか見えない。
だいたい橋下知事の出自を問題にすることに何の意味があるのか。
しかも、この件は両誌に先行して『新潮45』11月号で、自らも同和地区出身であることを公表しているノンフィクション作家、上原善広氏がレポートしているのだ。
月刊誌署名記事の後追いという形でしか記事にできなかったところに週刊誌ジャーナリズムの衰弱を感じる。『文春』が上原レポートに一切触れていないのはフェアじゃない。
『文春』ならむしろ、このタイミングで、こういう記事が出て来た背景をこそ探ってほしかった。
両誌とも後味が極めてよくない。
仮名とはいえ『週刊現代』、岩瀬達哉さん(ノンフィクション作家)の連載でグリコ・森永事件の犯人「かい人21面相」に擬せられたミステリー作家の黒川博行氏が先週号『文春』と『週刊朝日』(10/28)で怒りの反論をしていた。記事を読む限り岩瀬さんに分がない。反論が聞きたい。
『週刊ポスト』連載、溝口敦さんの「血の相剋 実録戦後暴力団抗争史」、読み応え十分。さすが蓄積が違う。(『WiLL』編集長)
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「子供の権利は配慮されるべき」 橋下知事が雑誌記事批判
J-CASTニュース2011/10/29 17:30
月刊誌や週刊誌に相次いで否定的な記事を掲載された大阪府の橋下徹知事が、ツイッター上で自らの見解を表明した。週刊誌が指摘した親族に関する事柄については、ある程度認め、「僕は公人だから何を言われてもある意味しょうがない立場」ともつづっている。その一方で、「親が公人でも、子供の権利は最大限尊重され、配慮されるべきだ」と、親族や子どもに影響があったことについては憤りを隠していない。
月刊誌の「新潮45」11月号を皮切りに、「週刊新潮」「週刊文春」の最新号では、橋下市の出自に焦点を当てた記事を掲載している。その中では、実の父親が自殺したことや、実の父親の弟に犯罪歴があることなどを指摘している。
■「公人の子供であれば、超プライバシーにあたる事項も全て公開か」
これまで橋下氏は一連の記事に対して明確なコメントをしてこなかったが、2011年10月29日朝、ツイッターに16回連続でツイート。自らの見解を明らかにした。実の父親は橋下氏が小学校2年生の時に自殺したことを明かしたが、
「物心ついたころには実父は家にいなかったのでほとんど記憶なし」
と説明。父親とその弟について、
「むちゃくちゃやんちゃくれで、暴力団関係者であったことは周囲の話からは聞いた。同和地区に住んでいたことも事実」
と、記事に書かれていたことは大筋で認めたが、橋下氏自身については、
「暴力団との付き合いは一切ない。特定団体への補助金を優遇したことは一切ない」
と、暴力団とのかかわりを否定した。
その上で、
「子供は、事実を初めて知った」
■「公人本人はどうでも良い。自分で選んだ道だから。では公人の家族はどうなんだ?」
と、記事が子どもに与える影響について疑問を呈した。それでも怒りは収まらなかった様子で、午後にも
「公人の子供であれば、超プライバシーにあたる事項も全て公開か。子供は自分でも知らなかった今回の週刊誌報道にかかる事実をこれから背負わされる。週刊誌はそのことに関してどう考えてるのかね」
などと3回にわたってメディア批判のツイートをしている。
府知事選と大阪市長選のダブル選の投開票日は11月27日で、1か月後に迫っている。10月29日には弁護士で自民党参院議員の丸山和也氏が府知事選に出馬する意向を党関係者に伝えている。党府議団は池田市長の倉田薫氏の支援を決めたばかりで、混乱は必至だ。
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◆光市母子殺害事件差し戻し審 野田正彰氏の話
◆『「仮面の騎士」橋下徹 独裁支配の野望と罠』/府職員の自殺者が1年間で6人、直後に7人目の自殺者2011-10-23 | 政治
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November 1, 2011, 11:34 pm
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November 2, 2011, 6:33 pm
細野担当相の福島第1視察、同行取材は記者クラブ限定
2011年11月02日「北方ジャーナル」
首相補佐官時代は記者クラブ以外にも門戸を開いていた筈だが…
大手紙などの既報によると、細野豪志・内閣府特命担当大臣(原子力行政担当)は1日、今月12日に福島第1原子力発電所を視察する予定を発表、記者クラブ加盟メディアと外国プレスの記者36人の同行取材を認めるとした。記者クラブに加盟していないフリー記者などは、同午後から同大臣室などに問い合わせや要望などを寄せているが、現時点で参加が認められる見込みはなさそうだ。
同大臣室の担当者によると、同行取材が認められるのは内閣記者会の常勤幹事社19社と福島県政記者クラブの加盟社7社の記者、及び外国プレスの4人で、人数としては36人。女性記者は参加を認められない。また、スチル写真や動画映像は発表前に“検閲”される可能性がある。
以下、同大臣室とのやり取りを採録する。
――12日に予定されている細野大臣の福島第1原発視察、同行報道陣の参加資格と申し込み方法を伺いたい。
「過密スケジュールで進む現場の負担を考え、入っていただく人数は大幅に制限せざるを得なかった。細野大臣のほうから『現場の状況を少しでも知っていただくため、この機会に同行取材をお受けしよう』ということになり、内閣官房の大臣として視察することから、総理などの同行取材と同様、『内閣記者会』の常勤幹事社にお声をおかけした」
――何社になるか。
「それで19社。それに加え、被災した方々が地元の皆さんであるという観点から、地元の新聞やテレビなど計7社にもお声をおかけしようと」
――地元の記者クラブということか。
「『福島県政記者クラブ』。さらに、海外での関心も当然高いだろうということも踏まえ、外国プレスの代表の方、こちらもお入りいただくことにしようと、お声をおかけしているところである」
――外国プレスの窓口はFCCJ(日本外国特派員協会)か。
「窓口は『FPIJ(在日外国報道協会)』で、4人としている」
――4人とした理由は。
「基本的にスチルカメラ、ムービーカメラ、その音声担当、及びペン記者、各1人と想定している」
――そうした声かけ対象の中にフリー記者などが含まれない理由は。
「決して、今後もフリーや雑誌の方々を排除しようという考えではない。ただ、全体の人数として、たとえば免震重要棟(対策本部などを設置)の大きさや現場の負担などを考えると、今回の36人がぎりぎりだろうと。先の3つの団体に加盟する方々に留めざるを得ないということになった」
――「外国プレス4人」のような枠をフリー向けに加えることも難しいか。
「ちょっと難しいという判断になった」
――女性記者の参加が禁じられているとの情報があるが、事実か。
「そのようにお伝えしている。理由は大きく2点。1つに、女性は現地の労働者としても立ち入ることができなくなっている。母体保護の観点から、女性については線量の限度が男性のそれよりも厳しく設けられているため。もちろん、取材対応時は線量に細心の注意を払うことになるが、先の事情に鑑みて女性の参加については慎重にならざるを得ない。もう1つ、これらの事情の帰結として、現在の福島第1原発の中には男性しかいない。そこに女性が入るとなると、卑近な例で恐縮だが、お手洗いや更衣室の整備など、施設面での細かい準備などが必要になってくる。そういった観点で、今回はご遠慮いただかざるを得ない」
――そのあたりの事情は内閣記者会などに伝わっており、当事者も了解済みということか。
「今のところ、特段ご質問などは受けていない」
――女性のケースと同じ理由で若い男性記者の参加が制限されることは。
「それはない」
――伝聞情報で、撮影が制限されるようだという話がある。具体的には、撮影後の素材(写真・動画)を発表前にチェックされる可能性があると。これは事実か。
「核物質防護の観点から、原子炉の管理者(東京電力)には、支障のある情報を外に出さないように管理する義務が課せられている。支障のある部分を撮られることのないよう事前にお声をかけさせていただくつもりではあるが、なにぶん現在の原発内の警備体制は地震の影響で通常時とは少し違った形になっており、そのあたりはグレーというべきか、取材に同行する原子力安全・保安院の人間から見て何でもないように見える風景であっても、のちに画像・映像をきちんと見直すと支障のあるものが写り込んでいた、という可能性も否定できない。そういった状況に対応するため、そういう部分は事後的に確認させていただきたいとお願いしている」
――チェックする主体は東京電力か。
「そうである」
――その旨も、FPIJを含めて取材者らは了解済みなのか。
「そういうご連絡を差し上げているところである」
――申し込み締め切りは4日で間違いないか。
「そうである」
――すでに申し込みは来ているか。
「一部届いている」
――定員を超えた場合は先着で決めるのか。
「各社何人、という形で人数を制限しているので、そういうことはない」
――つまり、各社から誰が行くか、というだけの段階か。
「そうである」
――当日のスケジュールなどは固まっているか。
「検討中。現場の放射線量などを現地で確認しているところであり、確定次第こちらからご連絡することになっている」
――どのように実施したのかを事後に問い合わせることはできるか。
「東京電力に問い合わせることはできると思う」
――今回の件で、参加できないフリー記者などから内閣府への抗議はあったか。
「一部、『なぜですか』というようなご照会はいただいている。また『次回は入れてね』というご希望もいただいている。」
――抗議という形のものは来ていないと。
「それらのご希望なりご照会の、『なんでだ』というような口調を抗議と受け取るかどうか、というところではないか」
――その「次回」というのはあり得るのか。
「あり得ると思われる。ただ、日程はまったくわからない」
――それにフリー記者が加われる可能性はあるか。
「そのあたりも含めて改めて検討することになる」
――どういう形になるかはわからないが、1度きりでは終わらないと。
「今回とまったく同じような同行取材という形をとるかどうかも含めて、時期や形が未定ということである」
(2日午前、電話取材)
1日正午ごろに大臣室に苦情を寄せた東京都のフリーランスライター畠山理仁さん(38)は、「福島第1の現地取材は、フリーも大手も関係なく、内閣記者会以外の記者が東京電力の会見や政府・東電の合同会見などでずっと求め続けていたこと。それがなぜ内閣記者会限定になるのか」と、率直な疑問を口にする。大臣室の担当者が、フリーからの抗議が届いていないと認識していることについては「やさしい口調で抗議したからいけなかったのだろうか」と、「次」の機会が訪れる可能性については「次が来る前に大臣が変わってしまうのではないか」と話した。敢えてフリーとして参加を申し込み、記者クラブから欠員が出たら参加できるよう交渉するつもりという。畠山さんが暫定幹事長を務める自由報道協会が、内閣府に抗議などを寄せる可能性もある。
ジャーナリストの寺澤有さん(44)など政府・東電の合同会見に参加しているフリー記者らの集まり「フリーランス連絡会」では、外国プレスと同様4人の参加枠を求め、申し込み締め切りの4日までに内閣府宛て要求書を提出する考えがある。今のところ参加枠に入っていない寺澤さんは、取材映像などを事前チェックするという現時点でのルールについて、「もともと記者クラブメディアは政府・東電の大本営発表を垂れ流しているだけだから、彼らにとっては今さら検閲されてもあまり影響がないのでは」と、冷笑ぎみに話している。 (ん)
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◆閣僚会見のオープン化「世界中のジャーナリストに代わってお礼申し上げたい。質問はありません」
◆小沢幹事長問題ではっきりした メディアと国家権力の危険な関係
◆小沢会見「検察の捜査で明らかになった私の主張を報道したうえで世論調査してみてください」
◆「記者会見開放運動」卒業宣言!上杉隆2010-04-22 | 政治/検察/メディア/小沢一郎
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November 3, 2011, 5:06 am
小沢一郎、「脱原発」を訴える14歳アイドル・藤波心に手紙を送る
ニコニコニュース(オリジナル)2011年11月3日(木)14時08分配信
資金管理団体「陸山会」の土地取引をめぐり政治資金規正法違反で強制起訴され、公判中の民主党の小沢一郎元代表が最近、14歳のジュニアアイドル・藤波心(ふじなみこころ)さんに手紙を出していたことが、2011年11月2日付けの藤波さんの公式ブログで明らかになった。
藤波さんは現在中学3年生で、ジュニアアイドルとして活動している。福島第1原発の事故以降、藤波さんはツイッターやブログ、集会などで「脱原発」を主張。分かりやすくはっきりした文章・物言いが「中学生とは思えない」などと、インターネットを中心に話題を呼んでいる。最近では、ブログで「TPP反対」など政治・社会問題についても積極的に発言している。
藤波さんの11月2日付けの公式ブログによると、藤波さんが2カ月ほど前に仕事の帰りに新幹線に乗っていたところ、藤波さんの前の座席に小沢一郎氏が座っていたという。
「小沢さん、新幹線乗車中、リクライニングシートを全然たおさなかったです。暴漢に襲われてもすぐ逃げれるように、防犯上? それとも後ろの私に気を使っていたのだろうか? かなりあの態勢はしんどかったんではないかとおもいます・・・」
「降りるまで、ずっと窓から見える遠くの街並みを眺めていました・・・。哀愁ただよってるように見えました。でも、普通のおじさんにはない、オーラを感じました(笑)。テレビでよく見る怒った顔ではありませんでした・・・」
と藤波さんは車内での小沢氏の印象とエピソードを語る。その際、藤波さんは持っていた自身の著書『間違ってますか? 私だけですか? 14才のココロ』(震災と原発事故、ブログ炎上で素直に感じた想いを記したメッセージBOOK)を小沢氏に手渡したそうだ。それから2カ月後ほど経った最近、小沢氏から藤波さんに手紙が届いたという。ブログの中で藤波さんは、
「まさかお手紙頂けるとは思ってもみませんでした。しかも、御礼の言葉だけでなく、本の感想+今の政治状況についても書いてありました」
「裁判で色々大変な時に、わたしのようなしょーもないB級アイドルにお手紙頂けるとは本当ありがたいことです。今でも多くの議員さんを引き連れ、絶大な支持を得ているワケが解ったような気がしました」
と内容については触れていないが、小沢氏から手紙を受け取ったことについての感想を綴っている。また、藤波さんは
「政治家って、クリーンな人というのも大事かも知れませんが、クリーンばかりではなくて、多少悪くてもというと語弊があるかもしれないけどトータルで日本を良い方向へ導いてくれていればある程度いいんじゃないかと私は思うんです。政治家は、清廉潔白・クリーンに越したことはないけど、今はそこばかりにこだわり過ぎて、大切なものを見落としているような気もします」
と語り、自身の「政治家観」を披露している。
◇関連サイト
・朝日ニュースターが無くなる!! (;O;) - ここっぴーの★へそっぴー(2011年11月3日)
http://ameblo.jp/cocoro2008/entry-11065145799.html
(山下真史)
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<来栖の独白>
藤波心さんというアイドルを、私は初めて知った。上記記事、「心」を「しん」と読み、男の子と思っていた。ブログへ行って、女の子だとわかった。それだけのことである。
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November 3, 2011, 5:19 am
他の監督とはここが違う 落合博満だけに見えるものがある
2011年11月03日(木)週刊現代
「観客が入らない」「人気が落ちている」「つまらない」と言われた。それでも彼は「勝つこと」にすべてを捧げてきた。「強いチーム」作りから「勝てるチーム」作りへ。確かに彼は野球を変えた。
■仕事はクビを切ること
野球解説者の若松勉氏は、ヤクルト監督時代に対戦した落合・中日を称して「不気味だった」と語っている。「落合監督がやっている野球それ自体は、非常にオーソドックスなものなんです。でも常にベンチにどっしり構えて、何を考えているのかわからない。メンバー交換のときも一切、無駄なことは話さない。やりづらかった」
「不気味な」落合監督がチームを率いたこの8年間、中日はセ・リーグ最強のチームだった。4度のリーグ優勝に日本一1回。今年は首位に最大10ゲーム差をつけられながら、逆転優勝を果たした。
では落合監督が目指した「オーソドックスな野球」とはどんなものなのか。落合監督の元で二軍監督を務めた佐藤道郎氏が言う。
「最近の野球はどのチームも、点を取られなければ勝てるというのが基本戦略。落合君はそれを突き詰めようとしていた。だから打者が打てなくても諦められるけど、打たれることをとても恐れる。4~5点勝っているのに、ゲームセット後に握手をすると、掌が汗でびっしょりだったこともあった」
落合監督の「点を取られない野球」が、他球団を圧倒するまでになった要因は何か。それは毎試合ベストの戦力で闘うために、選手たちの状態を見極めることだった。
その根底には、落合監督の卓越した「見抜く目」がある。
佐藤氏が補足する。
「落合君には他の監督では気づけないような選手の能力を見抜く眼力がある。スカウトの方が適しているのではと思うくらいだ」
その好例が、河原純一である。西武を解雇され1年ブランクのあった河原を、'09年、テストを経て獲得。その年河原は貴重な中継ぎとして活躍。40試合以上に登板を果たした。
「落合君は、年齢やちょっとした怪我では選手の評価を変えない。考えるのは、今のチームに足りないものを補ってくれるかどうか、それだけ。そもそもベテランは落ち目でも実績がある。能力が保証された上で安く済むしね」(佐藤氏)
「守りのチーム」の要である二遊間の荒木雅博、井端弘和に関しても、落合監督は慧眼を発揮している。6年連続でゴールデングラブを獲得した二人の定位置を交換したのだ。
落合監督は、その理由を、
「オレが記憶している二人の動きと微妙にずれていたんだ」と答えているが、それを聞いた荒木は、
「自分が思っていた以上に無理が来ていた。監督の目だけはごまかせない」
と唸った。
本人ですら気づかないような変化を、監督の目は見抜いてしまう。それは試合直前にも発揮された。
「その日のコンディションを見極めるのがうまい。中日は同じようなレベルの選手が多いから落合君は、悪ければ代えるし、良ければ使う。井端がケガしても、岩崎(達郎)がいる、堂上(直倫)がいるという風に調子のいい者を使うんです」(佐藤氏)
しかし見切りも早い。佐藤氏が続ける。
「使えるか使えないかの評価を常にしていた。すべて自分で決めるので、我々も全く知らないうちに、育ちかけていた選手が切られていくこともあった」
このとてもドライで、ある意味徹底された「プロ意識」が、落合野球のもう一つの特徴でもある。
監督に就任した'04年、開幕投手を務めた川崎憲次郎氏は、落合監督が選手たちの前で初めて発した言葉を鮮烈に覚えている。
「新体制最初の全体ミーティングでした。『オレの仕事はお前たちのクビを切ることだ』と言ったんです。それが僕らへの監督の第一声でした。『使えなかったら切られる』というのは、プロなら当然のこと。でもそれを改めて口にする監督は、他に聞いたことがない」
■選手と心中はしない
前述のとおり、落合監督の野球では、「打つ」ことより「守り」が優先されている。選手を見るときに、自分の現役時代の能力を基準にしているからである。打つことに関して、現役時代の自分を超える選手はいない。だから、多くを期待しない。
滅多に選手をほめない落合監督は、
「オレ以上の実績を作った選手がいたらほめてやる」
というのが口癖だった。
川崎氏が言う。
「落合さんから見れば、現役選手達は全員、自分以下としか映っていない。
だからこそ『選手と心中』なんてことはしないんです。選手を信じ切らないから、油断がない。試合への準備はどのチームより緻密に行っているはずです」
落合監督は常に情報収集に気を配った。中日にはスコアラーが他球団に比べて3倍近くいるというのは有名な話だ。
情報収集はチーム内に向けても積極的に行った。目の届かない二軍についても、毎日トレーナーの報告を聞き、各選手の状態を正確に把握していた。佐藤氏にはこんな経験がある。
「リリーフ専門の鈴木義広が二軍に落ちてきたとき、調整法の一環として先発させたら、すぐ監督から、『なぜリリーフを先発に使うのか。二軍でもリリーフで使ってくれ』という電話が入った。堂上(剛裕)を外野で使っただけでもそう。二軍の試合のスコアブックまで読み込んでいるんだよ」
「監督はどこで何を見ているかわからない」---中日の選手の間には、常に緊張感と競争意識が植えつけられていった。そして落合監督が植えつけた競争意識は、チームに最大の変化をもたらした。
練習量の増加である。
若松氏はヤクルト監督を辞任した後、評論家として訪れた中日キャンプで、選手たちのハードな練習ぶりを目の当たりにして「度肝を抜かれた」という。
「他のチームのキャンプは、大抵4日練習して1日休むペースで行います。でも中日は6勤1休だった。要は開幕後のスケジュールに合わせて練習しているんです。全体練習後もほとんどの選手が残って必死にバットを振っていました」
最近の中日の練習を見た元プロ野球選手が、思わず「こんなに練習するんですか」と感嘆すると、落合監督はニコリともせず言い放った。
「俺の現役の頃は、もっと練習していた」
無駄を嫌う落合監督が猛練習を行う理由、それは単純に練習が無駄ではないからだ。
川崎氏がさらに言う。
「チャンスが突然来るという怖さもあるんです。失敗すると次はないかも知れないですしね。『誰が使われるかわからない』という、落合さんの起用法だと、選手は準備がとても大変なんです。スタメンにもベンチスタートにも対応できるように、常にコンディションを整えておかないといけないですから」
■「見られている」という意識
日本一の「野球眼」をもつ監督に、見られている。選手は常に競争意識を保ち、準備を怠らないように練習を繰り返す。そうして中日は、チーム力を高めていった。落合監督は、同様の効果をコーチにも求めていた節がある。
'05年~'06年にかけて捕手コーチを務めた秦真司氏は、就任要請のタイミングにまず驚かされた。
「電話があったのが、前シーズンが始まったばかりの6月だったんです。そんな時に来年のチーム編成を考えている監督なんて他にいません。そもそも、現役時代に落合さんとは何の接点もなかったですしね」
落合監督にとっての「勝てるチーム」に、義理や人間関係のシガラミは邪魔だったのかも知れない。
秦氏が続ける。
「私のような外様を呼んだのは、中日OBのコーチばかりがつるんだ、なあなあ体質を払拭しようという意図があったんです」
そして落合監督は、すぐに秦氏に役割を与えた。当時怪我がちだった主戦捕手・谷繁元信のコンディションをケアすること。監督は一切口を出さなかった。
「谷繁の調整だけに集中し、全力を注ぎました。
2年契約が満了した時、更新の話はもらえなかった。それでも切られたという意識はありません。責任をもって自分の仕事をさせてもらえましたから」
一度任せたら口出しはしない。ただしチームに必要かどうかは、シビアに判断する。選手からコーチ、スタッフに至るまで、「見られている」という緊張感が充満し、落合流の「プロ意識」が浸透していった。
外から見た落合野球も、「何をするかわからない」という意外性がある。冒頭で若松氏が言っていた「不気味さ」である。
たとえばそれは、勝てば優勝もある10月14日の対巨人戦でも見られた。その試合、落合監督は入団1年目の新人投手・大野雄大に、プロ初登板初先発を命じたのである。しかも先発マスクは谷繁ではなく、2年目の松井雅人だった。
「驚きましたね。優勝のかかった試合でデビュー登板させるなんて、普通では考えられません」(若松氏)
一見、奇策に見える落合監督の投手起用だが、前出の川崎氏は、「落合さんらしい」と指摘する。
「落合監督本来のスタンダードな野球を行う上で、ああいった思いもよらないことをすると、敵に『中日は何をしてくるかわからない』と思い込ませることができる。『わからない』と、意識させれば、落合さんの術中にはまってしまう」
対戦相手である巨人以上に、今後CSや日本シリーズで戦う相手に、警戒心を植えつける効果もある。
落合は2回に打ち込まれた大野を、4回までマウンドから降ろさなかった。結果敗れたが、試合後の落合監督は「いい勉強だよ」と笑顔だった。
解任決定後も落合監督は、自分が去った後のチームの将来を見つめ続けている。その様は、「プロ」としての仕事を、貫徹しようとしているように見える。
■「勝て」と言われたから勝った
思い起こせば落合監督の用兵は、奇策から始まった。'04年の広島との開幕戦、先発マウンドには、川崎憲次郎氏が立っていた。
「落合さんが就任した直後の1月2日に、電話がかかってきた。そこでいきなり『今年の開幕投手はお前で行く』と言われたんです」
当時肩の故障を抱えていた川崎氏は、3年間一軍で投げていない状態だった。
開幕戦、川崎氏は序盤にKOされてしまった。しかしチームは逆転勝利。この日の奇襲は落合野球の「不気味さ」の象徴となり、そのシーズン、1年目にしてリーグ優勝を果たした。
一方で川崎氏は、この登板に落合監督からのメッセージを感じ取っていた。
「当然監督は私の投球に期待していたわけではない。暗に、『これが今のお前の実力だよ』と知らせたかったのだと思います」
川崎氏は、その後再登板のチャンスを与えられたが、またもKO。直後二軍に落とされ、3度目のマウンドに立ったのは自身の引退試合だった。1年で、たった3回の登板機会。そして引退。それでも川崎氏は今も監督に感謝している。
落合監督は、川崎氏の実績に「開幕投手」という形で敬意を払った。その上で、能力の足りない者は、容赦なく切り捨てる。そこには一貫したプロ意識がある。
10月19日、中日優勝の翌日、スポーツ紙に落合監督の手記が掲載された。優勝できたのは、9月の対巨人戦で敗れた後、坂井球団社長がガッツポーズをしたことが最大の要因だったと激白している。
《負けてなんでガッツポーズされるんだよって。(略)負けじ魂に火がついた》
非情と言われた落合監督。その根底には確かなプロ精神が流れている。そんな彼は、今回の仕打ちをどう捉えているのだろう。監督と親しい記者が、その胸中を忖度する。
「解任宣告も、球団に呼び付けられた監督は、朝一番の新幹線で立ったまま名古屋に行き、『ご苦労さん』の一言で済まされたと言います。名監督の最後としては寂しすぎますよ」
優勝した中日は、当然今季のセ・リーグで、最も結果を出したチームだ。落合監督にも選手にも、その自負がある。「勝て」と言われて、勝った。それでも切られる理不尽に、落合監督は憤っている。自分がプロとしての責任を果たしたと信じているからだ。
いま監督が一番心配しているのは、彼の緻密な野球を支えたスコアラー陣の今後なのだと言う。
「『彼らをクビにしないでくれ』と事あるごとに球団幹部に頼んでいます」(前出記者)
「名選手に名監督なし」という言葉がある。3度の三冠王を獲得した史上最強の打者は、球界の常識をいとも簡単に打ち破ってみせた。
落合監督は最後の夢、リーグ優勝&日本一の栄冠に挑む。
「週刊現代」2011年11月5日号より
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November 3, 2011, 5:26 am
TPP参加問題 ネット住民反対4割強!?
2011年11月3日(木)11時0分配信 R25
現在、TPP(環太平洋経済連携協定)参加に対し、国民世論が大きく揺れ動いている。加盟国内では原則として関税が撤廃されるなど、農業をはじめ、金融、サービス、知的財産などに大きな影響を及ぼすTPP参加問題。賛成、反対それぞれの声をまとめてみよう。
まず、大手新聞はこぞって“賛成”の意志を示している。朝日新聞が10月5日の社説で、「私たちは、まず交渉に参加するよう主張してきた。交渉に加わり、国益に沿わないと判断すれば協定締結を見送ればよい」(一部抜粋)と述べたのをはじめ、各紙は
「丁寧な説明でTPPへの誤解をなくそう」(日本経済新聞 10月25日)
「TPP参加を前提に改革急げ」(読売新聞 10月26日)
「根拠に乏しく必要以上に不安をかきたてる反対論には懸念を表明せざるをえない」(毎日新聞 10月31日)
と、相次いで社説でTPPに言及。条件付きではあるが、基本的にTPP参加に賛成している。
一方、ネット上では圧倒的に反対論が多い。10月27日放送の『とくダネ』(フジテレビ系)に出演した京都大学の中野剛志准教授が、生放送中に激しいトーンでTPP参加に反対意見を表明した様子は、全発言が『Togetter』上に文字起こしされ、11月1日時点で2万人以上がこれを閲覧。2ちゃんねるの雑談掲示板「ニュース速報VIP」に立てられた、「TPPがどれだけヤバイかをわかりやすくまとめたスレ」には、
「反対派のほうが論理的で合理的なんだよね」
「聞くだけ聞いて検討するフリしてヤメますって そんな事できんの?」
「そもそも自由という言葉でフェアと見せかけてぜんぜんフェアじゃない」
など、激しいトーンで参加反対を論じる書き込みが相次ぎ、まとめサイト『ハムスター速報』がこのスレッドをまとめると、ツイッター上では4000件以上のツイートが寄せられている。このほか、10月27日に『ニコニコ動画』で行われたアンケートでも、「参加すべき」が20.9%に対し、「参加すべきでない」が44.4%となっている。
このように、現在ネット上では、反対論者が登場するとそれに激しく賛同する声が殺到する状態で、賛否を問う議論は成立していない。そもそもTPPを推進する民主党内からも反発の声が上がるなど、意見を集約するのが大変難しい問題。ネット上も含めて国民の意見は反映されていくのか、今後の展開が注目される。
(R25編集部)
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◆『TPP亡国論』/怖いラチェット規定やISD条項(毒まんじゅう)/コメの自由化は今後こじ開けられる2011-10-24 | 政治(経済/社会保障/TPP
◆【必見&拡散】 絶句JAPAN!!【中野剛志】
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November 3, 2011, 6:41 pm
ザ・特集:田中角栄元首相と小沢一郎・民主党元代表、“身内”が見た実像
似ているようで似ていないのか、それとも−−。没して18年。その功罪と共に人間的魅力を伝えられる田中角栄元首相と、師と同じ刑事被告人となった小沢一郎・民主党元代表。元首相秘書の朝賀昭さん(68)、そして元首相の実娘、佐藤あつ子さん(54)に、2人の知られざる実像を聞いた。【中澤雄大】
◇オヤジはおおらか。泣きたい時に泣いた。泣かない小沢さんは「理」の人。槍衾になっても倒れない。平成の怪物だ。−−元首相秘書・朝賀昭さん
◇オヤジを間近で見てきたのだから、一郎先生は同じつまずき方はしない。震災復興に取り組む姿、もっと見たい。−−元首相の実娘・佐藤あつ子さん
<君以外を妻とせず敦子の将来については全責任を持ちます 田中角栄>
「文芸春秋」11月号に掲載された特集記事「田中角栄の恋文」は、元首相と「越山会の女王」の異名をとった佐藤昭子さんの深い結びつきを浮き彫りにし、大きな反響を呼んだ。「敦子」とは、2人の間に生まれたあつ子さんのことだ。
昭子さんは長年、東京・平河町の砂防会館などにあった元首相の事務所で「金庫番」を務め、小沢元代表ら旧田中派議員から「佐藤ママ」と慕われた。85年に元首相が病に倒れると、長女の真紀子元外相によって事務所が閉鎖されたため、政治団体「政経調査会」を主宰した。
「ママが亡くなったのが昨年3月11日。1年後の同じ日、あの震災でしょ。すさまじい偶然を感じたね」
「今太閤」「闇将軍」と呼ばれ権勢を誇った宰相を昭子さんの下で支え続けた朝賀さんは、東京・赤坂の政経調査会で語り始めた。最盛期、議員141人、秘書約1000人を抱えた「田中軍団」の“GPU(ゲーペーウー、旧ソ連国家政治保安部)”と恐れられた情報網を確立した人物だ。
私は、朝賀さんから「近親者だけで昭子さんを弔った」と聞き、毎日新聞に急ぎ訃報を書いた。その際、入院先の病院で亡きがらと対面した「田中学校」の門下生は小沢元代表一人だったことも知った。「ママ、お世話になったね」と涙を流したことも。
「ママは最期まで小沢さんに特別な思いを持っていた。だから唯一、彼だけに連絡したんだ」。そう振り返る朝賀さんだが「恋文」については「僕は掲載計画を聞いていなかった。臆測が交じっているところもある」と釈然としない顔だ。「田中先生とママの関係を最も知るのは僕だけど、所詮は雇われ人。親族のすることに口を差し挟むにも限界がある」とも。
では、昭子さんが元代表に抱いた「特別な思い」とは何だったのか。
「小沢さんは毎日夕方になると、砂防会館にぶらっと顔を出し、ママも『イッちゃん』と呼んでかわいがっていた。オヤジさん(田中元首相)にも平気で悪態ついたり、議論をふっかけたりして怒らせるんだけど、お互いに親愛の情がにじんでいてね」
元代表がロッキード裁判の全公判を傍聴し続けたエピソードは有名だ。元首相は東京地裁に169回通ったが、「『オヤジだけ硬い椅子に座らせられない』ってね。そんな人は小沢さんだけだよ。今も昔も変わってないよ」。
昭子さんは晩年、「『田中角栄』と『小沢一郎』」と題する一文を残した。その一節。<マスコミは、小沢一郎の悪いところは全部、田中から引き継いだ、というような書き方をする。だけど、それは違う。田中イコール小沢ではない>(「新潮45別冊」)
ずばり、どこが?
「オヤジはおおらかで脇が甘いし、人を信じやすい。格好もつけずに泣きたい時に泣いた。その点、小沢さんは泣きたい時でも泣かない」と朝賀さん。74年11月、当時の竹下登官房長官が田中内閣の退陣声明を代読した際、田中元首相は執務室で涙を流したとの逸話がある。退陣に追いやったのは「文芸春秋」の2本のリポート、立花隆氏の「田中角栄研究 その金脈と人脈」と児玉隆也氏の「淋(さび)しき越山会の女王」だとされた。
「涙は事実です。日本国の総理大臣の名誉を傷つけたとの思いが強い人でしたからね。でも金脈問題は乗り切れると自信を持っていた。退陣の真の理由は二つ。ただ一人の『刎頸(ふんけい)の友』だった入内島(いりうちじま)金一さん(田中系企業の役員)とママが国会に呼ばれそうになったこと。そして当時、身重だった真紀子さんが強く反発して、オヤジが困っていたこと。それが真相だと思う」
そうした「人間味」は元首相の政治手法にも表れたが、「泣かない」小沢元代表は違った。「田中先生や金丸信先生には、足して2で割ってコンセンサスを得る妥協があったけど、『理の人』小沢さんにはない。理を追求するがゆえに敵もできるが、構わない。情は棹(さお)さされるけど、理は貫く。だから強いんだよ」
若い頃から小沢元代表に「かわいがってもらった」という佐藤あつ子さんは、親しみを込めて「一郎先生」と呼ぶ。田中元首相との「違い」を尋ねると、父親譲りの早口で即座に答えが返ってきた。「つまずいたオヤジの姿を間近に見てきたのだから、一郎先生は同じつまずき方はしないと思います」
小沢元代表は、かつて師をこう評した。<政治家としての能力をものすごく持っていた。だけど、体制を壊そうとした人ではない。僕は体制そのものを変えようとしている。だから、僕にとっては反面教師だね>(06年刊「小沢一郎 政権奪取論」)
85年、竹下氏が派内勉強会「創政会」を旗揚げし、小沢元代表も参加する。当時、田中派内に沸々とした「マグマ」がたぎるのを感じたという朝賀さんは、あるじのダミ声をまねて言った。「ゴルフ帰りの車中、オヤジが『どうだ? 最近のウチの連中は』と聞くから正直に報告したの。『先生は3頭立てのトロイカ方式で派を運営しようとお考えかもしれませんが、馬は竹下さんだけですよ』と。そしたら『生意気言うな!』って、どやしつけられてね」。復権を目指す元首相には、竹下氏の台頭は耐えられないことだった。
<彼の欠点は、どうしても後継者をつくろうとしなかったことだね>(96年刊「語る」)と元代表は自著で総括している。「創政会への参加も、小沢さんにとっては『理』だったんだな」と朝賀さん。師が信じた「数は力」を体現し民主党内で最大勢力を誇りながら、政治資金規正法違反(虚偽記載)で強制起訴された小沢元代表。その胸中を、朝賀さんは「間違ったことをしていないのに、なぜ指弾されるのか。理としては当然、許せない」とそんたくする。
「ただ記者会見の言い方が下手。『マスコミにサービスする』にしても、オヤジならばもっと上手にやる。でも、どっちが正直かと言えば、小沢さんかな。オヤジがよく『槍衾(やりぶすま)になるぞ』と言っていた。いたずらに敵を作るなという教えだけど、小沢流からすれば、槍衾になっても正しいことを言っているということだろうな。しかし、あれだけ集中砲火を浴びても倒れないなんて平成の怪物だよ」
あつ子さんは言う。「私には政治がよく分からないけれど、震災復興に取り組む一郎先生の姿をもっと見たいです」
復活を目指してかなわなかった「オヤジ」の気持ちを今、小沢元代表は痛いほど感じているのか。判決は来春にも出る見通しだ。
毎日新聞 2011年11月3日 東京朝刊
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『検察を支配する「悪魔」』田原総一朗氏と田中森一氏との対談
p37〜 角栄をやり、中曾根をやらなかった理由---田原
でも、ロッキード事件はできたじゃないですか。田中角栄は逮捕した。角栄は時の権力者ですよ。
僕はかつて雑誌『諸君!』に「田中角栄 ロッキード事件無罪論」を連載した。ロッキード事件に関しては『日本の政治 田中角栄・角栄以後』で振り返りましたが、今でも、ロッキード事件の裁判での田中角栄の無罪を信じている。
そもそもロッキード事件はアメリカから降って湧いたもので、今でもアメリカ謀略説が根強く囁かれている。僕は当時、“資源派財界人”と呼ばれていた中山素平(そへい)日本興業銀行相談役、松原宗一大同特殊鋼相談役、今里広記日本精工会長などから、「角栄はアメリカにやられた」という言葉を何度も聞かされた。中曾根康弘元総理や、亡くなった渡辺美智雄、後藤田正晴といった政治家からも、同様の見方を聞いた。
角栄は1974年の石油危機を見て、資源自立の政策を進めようとする。これが、世界のエネルギーを牛耳っていたアメリカ政府とオイルメジャーの逆鱗に触れた。
このアメリカ謀略説の真偽は別にしても、検察は当時の日米関係を考慮に入れて筋書きを立てている。結果、角栄は前総理であり、自民党の最大派閥を率いる権力者だったにもかかわらず検察に捕まった。
かたや対照的なのは中曾根康弘元総理。三菱重工CB事件でも最も高額の割り当てがあったと噂されているし、リクルート事件でも多額の未公開株を譲り受けたとされた。
彼は殖産住宅事件のときからずっと疑惑を取りざたされてきた。政界がらみの汚職事件の大半に名が挙がった、いわば疑獄事件の常連だ。しかし、中曽根元総理には結局、検察の手が及ばなかった。
角栄は逮捕されて、中曽根は逮捕されない。角栄と中曾根のどこが違うのですか。冤罪の角栄をやれたのだから、中曾根だってやれるはずだ。
それから亀井静香。許永中との黒い噂があれほど囁かれたのに無傷に終わった。なぜ、亀井には検察の手が伸びない?
p39〜 ロッキードほど簡単な事件はなかった---田中
ロッキード事件に関わったわけではないので、詳しいことはわかりませんが、検察内部で先輩たちから聞くところによると、時の権力が全面的にバックアップしてくれたので、非常にやりやすかったそうです。
主任検事だった吉永祐介あたりに言わせると、「あんな簡単でやりやすい事件はなかった」---。
普通、大物政治家に絡む事件では、邪魔が入るものですが、それがないどころか、予算はふんだんにくれるわ、いろいろと便宜を図ってくれるわけです。三木武夫総理を筆頭に、政府が全面的に協力して、お膳立てしてくれた。
ロッキード事件では超法規的な措置がいくつもある。
アメリカに行って、贈賄側とされるロッキード社のコーチャン、クラッターから調書を取れた。相手はアメリカ人だから、法的な障害がたくさんある。裁判所だけでなく、外務省をはじめとする霞が関の官庁の協力が不可欠です。とりわけ、裁判所の助力がなくてはならない。
政府が裁判所や霞ヶ関を動かし、最高裁が向うの調書を証拠価値、証拠能力があるとする主張を法律的に認めてくれたばかりが、コーチャン、クラッターが何を喋っても、日本としては罪に問わないという超法規的な措置まで講じてくれた。贈賄側はすべてカット。こんな例外措置は現在の法体制では考えられません。弁護人の立場から言えば、非常に疑問の多い裁判でもあった。
「贈」が言っていることを検証しないで、前提とするわけだから。贈賄側が死んでいれば反対尋問はできないけれど、本来は、原則として仮に時効にかかろうが、贈賄側を一度、法廷に呼び出して供述が本当なのか検証するチャンスがある。
ところが、ロッキードではなし。それで真実が出るのかどうか、疑わしい限りです。しかも、贈賄側は一切処罰されないと保証されて、喋っている。その証言が果たして正しいか。大いに疑問がある。
それぐらい問題のある特別措置を当時の三木政権がやってくれるわけです。つまり、逮捕されたときの田中角栄は、既に権力の中枢にいなかったということなのでしょう。」
p80〜 第三章 絶対有罪が作られる場所
ロッキード事件の金銭授受は不自然---田原
ここからは、ロッキード事件の話をしたい。
ロッキード事件で田中角栄は、トライスター機を日本が購入するにあたって、ロッキード社から4回にわたって、丸紅を通じて計5億円の賄賂を受けと取ったとして、1983年10月に受託収賄罪で懲役四年、追徴金5億円の判決を受けましたね。
この4回あったとされる現金の受け渡し場所からしても、常識から考えておかしい。1回目は1973年8月10日午後2時20分頃で、丸紅の伊藤宏専務が松岡克浩の運転する車に乗り、英国大使館裏の道路で、田中の秘書、榎本敏夫に1億円入りの段ボール箱を渡した。2回目は同年10月12日午後2時30分頃、自宅に近い公衆電話ボックス前で、榎本に1億5000万円入りの段ボール箱を。3回目は翌年の1月21日午後4時30分頃、1億2500万円入りの段ボール箱がホテルオークラの駐車場で、伊藤から榎本に渡された。そして、同年3月1日午前8時頃、伊藤の自宅を訪れた榎本が、1億2500万円が入った段ボール箱を受け取ったとされている。
最後の伊藤の自宅での受け渡しはともかく、他の3回は、誰が見ても大金の受け渡し場所としては不自然です。とくに3回目のホテルオークラは、検察のでっちあげ虚構としか思えない。
伊藤の運転手だった松岡にインタビューしたところ、検察によって3回も受け渡し場所を変更させられたと言う。もともと松岡は、受け渡しに対して記憶はまったくなかったのですが、検事から伊藤の調書を見せられ、そんなこともあったかもしれないと、曖昧なまま検察の指示に従った。
検事が、最初、3回目の授受の場所として指定してきたのは、ホテルオークラの正面玄関です。松岡は検事の命令に添って、正面玄関前に止まっている2台の車の図を描いた。
でも考えてみれば、こんなところで1億2500万円入りの段ボール箱の積み下ろしなどするわけがない。正面玄関には、制服を着たボーイもいれば、客の出入りも激しい。おまけに、車寄せに2台車を止めて段ボール箱を運び込んだら、嫌でも人の目につく。
検察も実際にホテルオークラに行ってみて、それに気が付いたんでしょう。体調を崩して大蔵病院に入院していた松岡の元に検察事務官が訪ねてきて、「ホテルオークラの玄関前には、右側と左側に駐車場がある。あなたが言っていた場所は左側だ」と訂正を求めた。
それでも、まだ不自然だと考えたのでしょう。しばらくしたら、また検察事務官がやってきて、今度は5階の正面玄関ではなく、1階の入り口の駐車場に変えさせられたと言います。
それだけならまだしも、おかしなことに、伊藤が描いた受け渡し場所も変更されていた。最初の検事調書では、伊藤も松岡とほぼ同じ絵を描いている。松岡の調書が5階の正面玄関から1階の宴会場前の駐車場に変更後、伊藤の検事調書も同様に変わっていた。
打ち合わせもまったくなく、両者が授受の場所を間違え、後で揃って同じ場所に訂正するなんてことが、あり得るわけがない。検事が強引に変えさせたと判断するしかありません。百歩譲って、そのような偶然が起りえたとしても、この日の受け渡し場所の状況を考えると、検事のでっち上げとしか考えられない。
この日、ホテルオークラの宴会場では、法務大臣や衆議院議長などを歴任した前尾繁三郎を激励する会が開かれていて、調書の授受の時刻には、数多くの政財界人、マスコミの人間がいたと思われる。顔見知りに会いかねない場所に、伊藤や田中の秘書、榎本が出かけていってカネをやり取りするのは、あまりにも不自然です。
しかも、この日の東京は記録的な大雪。調書が事実だとすれば、伊藤と田中の秘書が雪の降りしきる屋外駐車場で、30分以上立ち話をしていたことになる。しかし、誰の口からも、雪という言葉が一切出ていません。
万事がこんな調子で、榎本にインタビューしても、4回目の授受は検察がつくりあげたストーリーだと明言していました。
もっとも、丸紅から5億円受け取ったことに関して彼は否定しなかった。伊藤の自宅で、5億円を受け取ったと。それは、あくまでも丸紅からの政治献金、田中角栄が総理に就任した祝い金だと。だから、伊藤は、せいぜい罪に問われても、政治資金規正法だと踏んだ。そして、検察から責め立てられ、受けとったのは事実だから、場所はどこでも五十歩百歩と考えるようになり、検察のでたらめにも応じたのだと答えた。
つまり、検察は政治資金規正法ではなく、何があっても罪の重い受託収賄罪で田中角栄を起訴したかった。そのためにも、無理やりにでも授受の場所を仕立てる必要があったというわけでしょう。
p83〜 法務省に事前に送られる筋書き---田中
ロッキード事件のカネの受け渡し場所は、普通に考えておかしい。またそれを認めた裁判所も裁判所ですよ。ロッキード事件以来、ある意味、検察の正義はいびつになってしまった。
政界をバックにした大きな事件に発展しそうな場合、最初に、検察によってストーリーがつくられる。被疑者を調べずに周りだけ調べて、後は推測で筋を立てる。この時点では、ほとんど真実は把握できていないので、単なる推測に過ぎない。
でも、初めに組み立てた推測による筋書きが、検察の正義になってしまうのです。なぜ、そんなおかしなことになるかと言えば、政界や官界に波及する可能性がある事件の捜査については、法務省の刑事課長から刑事局長に、場合によっては、内閣の法務大臣にまであげて了解をもらわなければ着手できない決まりになっているからです。とくに特捜で扱う事件は、そのほとんどが国会の質問事項になるため、事前に法務省にその筋書きを送る。
いったん上にあげて、了承してもらったストーリー展開が狂ったら、どうなりますか?検察の組織自体が否定されますよ。事件を内偵していた特捜の検事がクビになるだけでなく、検察に対する国民の信頼もなくなる。
本当は長い目で見たら、途中で間違っていましたと認めるほうが国民の信頼につながる。それは理屈として特捜もわかっているけれど、検察という組織の保身のためには、ごり押しせざるを得ないのが現実です。
特捜の部長や上層部がなんぼ偉いといっても、一番事件の真相を知っているのは被疑者ですよ。その言い分をぜんぜん聞かず、ストーリーをどんどん組み立てる。確かに外部に秘密がまれたり、いろいろあるから、その方法が一番いいのかもしれないが、だったら途中で修正しなければいけない。
ところが、大きい事件はまず軌道修正しない。いや大きい事件になるほど修正できない。だから、特捜に捕まった人はみんな、後で検察のストーリー通りになり、冤罪をきせられたと不服を洩らす。僕を筆頭として、リクルート事件の江副浩正、KSD事件の村上正邦、鈴木宗男議員と連座した
外務省の佐藤優、村上ファンドの村上世彰(よしあき)、ライブドア事件の堀江貴文・・・全員、不満たらたらで検察のやり方を非難している。
これを特捜が謙虚に反省すればいいのですが、特捜はそんなことはまったく頭にない。「あのバカども、何を言っていやがるんだ」という驕りがあり、最初にストーリーありきの捜査法は一向に改善されません。
p85〜 尋問せずに事実関係に勝手に手を入れる---田中
とくに東京の特捜では、まずストーリーありきの捜査しかしない。被害者を加害者に仕立て上げてしまった平和相銀事件がいい例ですよ。
東京に来て驚いたのは、調書ひとつをとっても、上が介入する。調書作成段階で、副部長や主任の手が入ることも多く、筋書きと大幅に異なったり、筋書きを否定するような供述があると、ボツにされる。だから、検事たちも、尋問をするときから、検察の上層部が描いた筋書きに添う供述を、テクニックを弄して取っていく。
僕も手練手管を弄して自分の描いた筋書きに被疑者を誘導することはありましたよ。しかし、それは、あくまでも現場で捜査に携わっている人間だから許されることだと思う。捜査をしている現場の検事は、こりゃあ違うなと感じれば、軌道修正する。被疑者のナマの声を聞いて判断するので、自分の想定したストーリーが明らかに事実と違えば、それ以上はごり押しできない。人間、誰しも良心がありますから。
しかし東京では、尋問もしていない上役が事実関係に手を入れる。彼らは被疑者と接していないので容赦ない。被疑者が、これは検事の作文だよとよく非難しますが、故のないことではないと思った。恐ろしいと思いましたよ。冤罪をでっち上げることにもなりかねないので。
だから、僕は東京のやり方には従わなかった。大阪流で押し通した。上がなんぼ「俺の言う通りに直せ」といっても、「実際に尋問もしていない人の言うことなんか聞けるか」で、はねのけた。
p86〜 大物検事も認めた稚拙なつくりごと---田原
4回目の授受の場所を特定したのは誰か---ロッキード事件に関わった東京地検特捜部のある検事にこの質問をしたところ、彼は匿名を条件に「誰にも話したことはないが」と前置きして、次のように当時の心境を語っていた。
「ストーリーは検事が作ったのではなく、精神的にも肉体的にも追いつめられた被告の誰かが・・・カネを受け取ったことは自供するけれども・・・あとでお前はなぜ喋ったんだといわれたときのエクスキューズとして、日時と場所は嘘を言ったのじゃないか。
そして、それに検事が乗ってしまったのじゃないか、と思ったことはある。田中、榎本弁護団が、それで攻めてきたら危ないと、ものすごく怖かった」
この元検事の証言を、事件が発覚したときに渡米し、資料の入手やロッキード社のコーチャン、クラッターの嘱託尋問実現に奔走した堀田力元検事にぶつけると、「受け渡しはもともと不自然で子どもっぽいというか、素人っぽいというか。恐らく大金の授受などしたことがない人たちが考えたとしか思えない」と語っていました。
堀田さんは取り調べには直接タッチしていない。だからこそ言える、正直な感想なんでしょうけれど、どう考えても、あの受け渡し場所は稚拙なつくりごとだと認めていましたよ。
p88〜 検事は良心を捨てぬと出世せず---田中
検事なら誰だって田原さんが指摘したことは、わかっている。その通りですよ。田原さんがお書きになったロッキード事件やリクルート事件の不自然さは、担当検事だって捜査の段階から認識している。
ところが引くに引けない。引いたら検察庁を辞めなければいけなくなるから。だから、たとえ明白なでっち上げだと思われる“事実”についてマスコミが検察に質しても、それは違うと言う。検事ひとりひとりは事実とは異なるかもしれないと思っていても、検察という組織の一員としては、そう言わざるを得ないんですよね。上になればなるほど、本当のことは言えない。そういう意味では、法務省大臣官房長まで務めた堀田さんの発言は非常に重い。
特捜に来るまでは、検察の正義と検察官の正義の間にある矛盾に遭遇することは、ほとんどありません。地検の場合、扱うのは警察がつくっている事件だからです。警察の事件は、国の威信をかけてやる事件なんてまずない。いわゆる国策捜査は、みんな東京の特捜か大阪の特捜の担当です。
特捜に入って初めて検察の正義と検察官の正義は違うとひしひしと感じる。僕も東京地検特捜部に配属されて、特捜の怖さをつくづく知りました。
検察の正義はつくられた正義で、本当の正義ではない。リクルート事件然り、他の事件然り。検察は大義名分を立て、組織として押し通すだけです。
それは、ややもすれば、検察官の正義と相入れません。現場の検事は、最初は良心があるので事実を曲げてまで検察の筋書きに忠実であろうとする自分に良心の呵責を覚える。
しかし、波風を立てて検察の批判をする検事はほとんどいない。というのも、特捜に配属される検事はエリート。将来を嘱望されている。しかも、特捜にいるのは、2年、3年という短期間。その間辛抱すれば、次のポストに移って偉くなれる。
そこの切り替えですよ。良心を捨てて、我慢して出世するか。人としての正義に従い、人生を棒に振るか。たいていの検事は前者を選ぶ。2年、3年のことだから我慢できないことはないので。ただそれができないと僕のように嫌気がさして、辞めていくはめになるのです。
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◆小沢一郎氏裁判第3回公判石川知裕証人/ 検察・裁判所の発想・手法=ロッキード事件と同根・同質2011-10-31 | 政治/検察/メディア/小沢一郎◆私の面倒を見てくれた政権の座にある人物が1日中、椅子に座らされて、1人でいるのは耐えられなかった2011-10-04 | 政治/検察/メディア/小沢一郎
◆この国が恐ろしいのは、総ての権力が同じ方向を向いて走り、正義より自分たちの足元ばかり気にしている点だ2011-10-03 | 政治/検察/メディア/小沢一郎
小沢「抹殺裁判」 『誰が小沢一郎を殺すのか?』
◆『泣かない(あいつ)小沢一郎が憎らしい』世川行介著2010-09-01 | 政治/検察/メディア/小沢一郎
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田中元首相の“恋文”発見 「越山会の女王」に宛て(共同通信)
(共同通信) 2011年10月7日(金)20:49
佐藤昭子さんに宛てられた田中角栄元首相の直筆の文書
故田中角栄元首相が、自身の秘書を務め、金庫番として後援会「越山会」の“女王”と呼ばれた故佐藤昭子さんに宛てた手紙などが多数見つかったことが7日、分かった。親密な関係にあった佐藤さんへの“恋文”のような内容で、8日発売の月刊誌「文芸春秋」に掲載される。
文書を解説した評論家の立花隆さんは同誌で「高度成長期日本の最高の牽引役であった男の人間研究をする上で最も貴重な史料」としている。
同誌によると、文書は佐藤さんの娘あつ子さんが保管。昨年3月に佐藤さんが亡くなった後、自宅の金庫から見つかったという。
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November 3, 2011, 6:59 pm
原発オフサイトセンター、立地見直し必至
2011年11月4日 08時56分
原発事故が起きた時の対策拠点として、国が125億円かけて全国16カ所に建設したオフサイトセンター(OFC)の多くが、原発から近すぎるとして見直しを迫られることが分かった。国は重点的に対策を進める区域を、従来の原発から半径8〜10キロ圏を30キロ圏に拡大するが、全てのOFCが30キロ圏内に入る。特に10キロ未満にある11カ所は実際の事故発生時には使えない可能性が高く、巨費が無駄になる可能性が高くなった。
国の原子力安全委員会の作業部会は1日、事故の影響が広範囲に及んだ教訓から、従来の防災対策の重点地域では狭いとし、30キロ圏を「緊急防護措置区域(UPZ)」とすることで合意。5キロ圏は、直ちに避難する「予防防護措置区域(PAZ)」とした。
変更後は、すべてのOFCがUPZ内に位置することになり、住民が避難して不在になるような場所で住民のケアをするという矛盾した状況が生まれる。このため作業部会は今後、OFCの立地や機能などの在り方を協議し、年度内に見直し方針をまとめる予定だ。
警察、消防を含めた行政関係も速やかな避難を迫られるPAZ内には、泊(北海道)や浜岡(静岡県)、伊方(愛媛県)などのOFCが位置する。OFCが使えない場合の代替となる県有施設なども、福島第2原発を除き、すべてUPZの中に含まれる。
作業部会で主査を務める本間俊充・日本原子力研究開発機構安全研究センター長は、放射性物質の拡散を考慮すれば、OFCは少なくとも半径10キロ圏より外に置く必要があるとの認識を示している。
OFCは1999年9月の核燃料加工工場「JCO」(茨城県東海村)の臨界事故をきっかけに整備が始まった。事故時に国や自治体などの担当者が集まり事故対応の拠点となるはずだったが、福島第1原発事故では原発から約5キロのOFCが震災で停電。放射性物質の防護も不十分で、結局は約60キロ離れた福島県庁に移された。(中日新聞)
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ドイツ なぜ変われたか 原発から再生エネへ
社説2011年11月4日 中日新聞
福島第一原発の事故のあと、ドイツは原発推進から脱原発へ再転換の舵(かじ)を切った。なぜそれができたのか。環境政策をリードするフライブルクで考える。
ドイツ南西部、人口二十二万人のフライブルク市は、「環境首都」の異名を持つ。福島の事故直後、脱原発を唱える緑の党が最初に躍進し、連邦政府の政策転換に大きな影響を及ぼしたのも、フライブルクのあるバーデン・ビュルテンベルク州だった。
■エネルギー地産地消
中央駅から徒歩三分、文豪ヘミングウェーも泊まったホテル・ヴィクトリアは、「世界一環境にやさしいホテル」と呼ばれている。
三代目経営者のシュペート夫妻が二酸化炭素(CO2)の排出ゼロを目標に、自然エネルギーの自給自足を進めているからだ。
屋上には太陽光パネルを並べ、その下にコケを敷いてある。その他に風車が四基、郊外の風力発電基地にも投資して、電力と配当金を手にしている。地下には、木質廃材を燃やすバイオマス温水器を設置、温水と地下水を循環させて、客室の温度を調節する。
シュペート夫妻がエネルギー自給を志すきっかけは、青年期に取り組んだ反原発運動だ。
一九七〇年代初め、約二十キロ北西のライン川沿い、ヴィールという土地に、連邦政府などによる原発計画が持ち上がるまで、フライブルクも普通の地方都市だった。
川べりのワイン農家が起こした反対運動に、多くの市民が共鳴し、大小の市民集会や抗議デモが頻発する事態になった。原発計画は凍結された。そして、この時の議論の中から「反対だけで終わらせるべきではない。代替案が必要だ」という意識改革が始まった。
決定的な変化をもたらしたのは、八六年のチェルノブイリ原発事故だ。その放射能は、風向きとたまたま降った雨の影響で、千二百キロ離れたドイツにも飛来した。
■危機感をバネにして
かつて東西に分断され、米ソ冷戦の最前線にあったドイツには、核への恐怖が根強く残る。危機感が、脱原発、エネルギー地域自給へ背中を押した。市当局はその年に、エネルギー源の地域分散や自然エネルギーの普及を図る、独自のエネルギー供給基本プランを打ち出した。環境首都は脱原発の結果である。
フライブルク市などでつくるバデノヴァ・エネルギー供給会社は福島の事故のあと、エネルギーの地域自給を効率良く進めるために、スマートグリッドの本格的なモデル事業を開始した。約二千五百の供給元から仕入れる自然エネルギーの供給量と管内の需要をコンピューターで調整し、電力をバランス良く送り出す。
なぜ、ドイツでは脱原発が進むのか。危機感とともにかぎになるのは「自治」の強さである。
現地の人に「原発が怖いですか」と尋ねると、「フクシマの国のあなたは、なぜ怖くないのですか」と問い返された。
市内では「ATOMKRAFT? NEIN DANKE(原発はいらない)」と書かれた黄色い旗が目立ち始めた。原発によるフランス産の電気を選ぶこともできるのだが、ほぼ全量を自然エネルギーで賄うバデノヴァ社のシェアは九割ともいわれている。
放射能への危機感と情報を市民と行政、そして企業が自治体レベルで共有し、町内会や学校などでも回避のすべを話し合い、エネルギーの地産地消をめざしている。
自治体がエネルギー自給を志向するから、後押しをする連邦政府の施策が生まれ、活用される。
メルケル首相の諮問した原発問題倫理委員会は、原発事故の危険はあまりに大きく、放射性廃棄物の処理は困難、従って原発は倫理的ではないとして、脱原発を答申した。自らの地域と家族を守り、平穏に暮らしていきたいと願う市民の立場に立てば、ごく自然に導き出される結論に違いない。
日本では、大電力会社の地域独占が長年続く中、電気とは街から遠く離れたどこかで、だれかがつくってくれるものだとされてきた。そのために、この期に及んで被災地と立地地域以外では、原発に対する危機感がまだ足りない。
■日本にもできること
ドイツでは、日本の落語や歌舞伎のように、哲学や倫理が日常の中に溶け込み、重んじられている。欧州連合(EU)と直接交渉ができるほど、自治体の力が強い。国情には大きな違いがある。
しかし、持続可能で豊かな社会を維持するために、電力などエネルギーのつくり方、使い方の大変革が必要であることは、先を行くドイツも、あとを追おうとする日本も変わりなさそうだ。目標をかたちに変える力なら、この国は決してひけをとらない。
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◆高レベル放射性廃棄物、危険性が消えるまでには十万年/文明転換へ覚悟と気概2011-05-09 | 地震/原発
文明転換へ覚悟と気概 週のはじめに考える
中日新聞【社説】2011年5月8日
東日本の巨大地震からまもなく二カ月。連日の余震となお遠い復興への道のり。私たちが問われているのは、文明転換への覚悟と気概のようです。
なかば義務感にかられて、北欧フィンランドに建設中の放射性廃棄物最終処分場「オンカロ」を題材にしたドキュメンタリー映画「100、000年後の安全」を見に出かけました。
多くの国際賞受賞のこの記録映画の配給元は「アップリンク」。今秋公開の予定でしたが、四月、東京・渋谷の自社劇場で上映したところ連日の行列と満席、全国各地の五十館以上での上映へと広がっていったそうです。前例のない反響、福島第一原発事故で国民が原発問題に真正面から向き合うようになったことがわかります。
高レベル放射性廃棄物は世界に二十五万トン、危険性が消えるまでには十万年。「オンカロ」はフィンランド語で隠し場所を意味します。廃棄物を凍土奥深くの岩盤に埋め込む世界初の試みです。管理可能か、明快な回答を持ち合わせる専門家はいませんでした。
*人間支配が及ばない
日本列島が現在の形になったのは一万年前、人類が文明をもったのはたかだか五、六千年前です。十万年は人間のリアルな思考や言葉が及ぶ時空域ではありません。人間が制御できないという絶望感。静かな画面は、人類が手にしてしまった原発の恐怖と不気味さを伝えていました。
続いて、菅直人首相が浜岡原発の全炉停止を要請しました。法的手続きではない政治判断でした。
東京から百八十キロ、名古屋から百三十キロ。東海地震想定域の真上の浜岡原発は「世界で最も危険な原発」と呼ばれてきました。事故の場合の被害は福島原発の比ではなく、首都圏の一千万人の避難や首都喪失も想定されました。
*やむをえぬ浜岡の停止
マグニチュード9・0の巨大地震は、日本列島を東西に数メートル引き伸ばし、首都直下型や東海、東南海・南海地震誘発が憂慮されます。浜岡原発停止はやむをえぬ判断でしょう。全原発に及ぼすべきかどうか、そこが問題です。
浜岡を含め日本の原発は五十四基、電力の30%を占めるようになっています。すでに原油枯渇の兆候があり、太陽光や風力のクリーンエネルギーへ転換させるにしろ、先行きはなお不透明です。電力の安定供給のためには原発は不可欠という状況です。
原発停止による生活レベルの一九七〇年代への後退は許容できるにしても、グローバル競争の落後者になる恐怖に打ち勝てるかどうか。私たちは無限の成長を前提にした近代世界の住人。文明転換の勇気をもてるかどうかです。
地質学の石橋克彦神戸大名誉教授は、地震と原発が複合する破局的災害・「原発震災」の概念や言葉を提唱、浜岡原発の廃炉を訴えるなど警告を発してきました。
「世界」や「中央公論」の誌上には「日本列島全域が今世紀半ばごろまで大地震活動期」「原発は完成された技術ではない」「人間の地震に関する理解は不十分」「地震列島に五十基以上の大型原子炉を林立させることは暴挙」とも書いています。警告通り、福島原発の大損傷が発生してしまいました。
「原発震災」は人間存在への問いかけだったのでしょう。教授が提言したように原発総点検、リスクが高い順の段階的閉鎖・縮小が現実路線のように映ります。世界観を変えるには覚悟と決意、気概がいります。
日本を代表する東北の農漁業。その被害も甚大でした。食料問題も原発に劣らない不安で重大な問題。世界の食料品価格が高騰、二〇〇八年のリーマン・ショック時を上回っているからです。
食料価格高騰は投機と「将来の供給不足懸念」が要因とされるだけに深刻です。コメと野菜こそ90%台と80%台の自給率を保っているものの、小麦は10%台、大豆やトウモロコシはほとんど輸入しています。命にかかわる問題です。農業の復興と立て直し、食料の自給は急務です。
*新しい幸せと充実が
失われたコミュニティーの復元や修復も大切なテーマ。震災は、私たちがそれぞれが独立しながらも、結局は支え合い、助け合って生きていくものだ、ということをあらためて気づかせてくれました。それは、ボランティアに向かう若者の行動にも表れました。
極限状況にあっても、人間はなお優しさや思いやり、勇気や忍耐を示す存在でした。献身や自己犠牲も。それは私たちの未来へ向けての大きな希望でした。
経済的繁栄や快適な生活とは別次元の幸せと充実。それが追い求める内容かもしれません。私たちは歴史の転換点に立っているのかもしれません。
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使用済み燃料 大量に
中日新聞2011/5/7Sat.夕刊
政府の要請を受けて浜岡原発が全面停止しても、建屋内には使用済み燃料が大量に残る。このため、想定外の地震や津波が起きた際の危険性はすぐには去らない。
核燃料は、燃料棒を束ねた燃料集合体を一体とし、使用後も原子炉建屋内のプールで貯蔵される。冷却のために最低でも2年弱は保管され、青森県六ヶ所村の再処理工場や海外などに運ばれる。
中電によると、3月末時点で浜岡原発1〜5号機に保管されている使用済み核燃料は計6625体。福島原発の事故を受け、中電は緊急対策として冷却機能を保つための非常用ディーゼル発電機を建屋屋上に設置した。(略)
榎田洋一名大院教授(原子力工学)は「原発を全面停止しても、使用済み燃料は発熱が続く。外部に移すにも、安全性が整った施設に限られており、簡単に運び出せない。国内の原発からは、六ヶ所村だけで処理しきれない量の使用済み燃料が出ており、長期的に手だてを考えなければならない」と話している。
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◆原発の「ごみ」行き場なく/「核半島」六ヶ所村再処理工場/東通原発/大間原発/核燃料 中間貯蔵施設2011-04-28
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◆原発保有国は潜在的核武装国/保有31カ国の下心/日本の原発による発電量は世界第3位2011-05-14 | 政治〈国防/安全保障/領土〉
東西対立の遺物、原発よさらば 福島の事故が証明した、効果絶大なるテロの標的
JB PRESS 2011.05.14(Sat)川嶋 諭
たとえ思いつきであろうと、地に落ちた人気をわずかでも回復させたいという政治パフォーマンスであろうと、菅直人首相が中部電力浜岡原子力発電所の運転停止を要請し、政府のエネルギー計画の撤回に踏み切ったことは、全くもって喜ばしい。
原子力発電所は安全だと言い張ってきた政府と電力会社の嘘がばれたいま、福島第一原発の二の舞いは起こり得る。
いったん事故を起こせばこれだけの被害(まだ拡大する)を引き起こす原発を彼らの手に委ねるのは国民の選択肢としてあり得ないからだ。
もし、福島第一原発の後に続く原発事故が日本のどこかで起きれば、もはや完全に取り返しのつかないことになってしまう。
その意味で、瓢箪から駒とはいえ、菅首相の決断は歓迎されるべきものだろう。
実際、5月11日には今回の震災で茨城県にある日本原子力発電の東海第二原発で、あわや大惨事を引き起こしかねない状況だったことが明らかになった。
朝日新聞の報道によると、震災後の停電とその後の高さ5.4メートルの津波の影響で非常用発電機1台と非常用炉心冷却装置1系統が使用不能になって炉心温度が上がり、炉心内で発生した水蒸気を圧力容器に逃がす作業で、何とか急場をしのいだという。
停電と5メートルの津波でも、危機が目の前に来ていたわけである。想定される東海沖地震の震源地付近に建ち、かねて危険が指摘されている浜岡原発の一時停止は、日本国の未来を懸けたリスクマネジメント上、当然の判断と言える。
この菅首相の行動に対し、密室での決定で意思決定のプロセスが明確でない、浜岡を特別視する判断基準が分からないとの批判が相次いでいて、それはその通りだと思う(「密室で決まった浜岡原発の停止要請をどうして賞賛できるのか」)。手続きとしては明らかに間違っている。
しかし、仮に中部地区で夏場に電力が足りない状況になったり電気料金が上がったりしても、万が一の原発事故の大きさに比べたら比較対象とはならない。
5月11日には、神奈川県の南足柄市で栽培されていたお茶畑から政府の基準を上回る放射能(セシウム)が検出されている。また、ある食品メーカーが独自に調査した結果では、福島第一原発から50キロ以上離れた水田の土から、政府が発表している数値よりケタ違いに高い放射線が検出されたという。
*原発から50キロ以上離れた田んぼの土から高濃度のプルトニウム
この食品メーカーによると、現時点でその結果を公表するのは影響が大きすぎるため発表は控えているとのことだが、その田んぼの土からは高い濃度のプルトニウムも検出されたそうだ。
一方、5月12日になって、東京電力は福島第一原発の1号機の原子炉に穴が開いている可能性があると発表した。
それが事実だとすれば、燃料棒を冷やすための水を常に供給し続けなければならず、それが高濃度の放射能に汚染された排水となって海に流れ出続ける危険性がある。
福島第一原発の放射能汚染は、水蒸気爆発以降収まっているように見えるが、実際には汚染を続けている。新たな水蒸気爆発の危険性も高い確率で残っている。
プルサーマル運転をしていた福島第一原発3号機では、燃料に高い比率でプルトニウムを混ぜていたため、チェルノブイリやスリーマイル島の事故とは別に半減期が2万4000年と目が飛び出るほど長いプルトニウムによる汚染が広がる危険性がある。
*半減期が2万4000年の怖い汚染の静かなる広がり
新聞やテレビの解説者によれば、プルトニウムは万が一人体に取り込まれても異物として排除されやすいので心配はいらないという。
しかし、プルトニウムが大気や土壌、そして海水へと撒き散らされ続ければ、再び人体に濃縮された形で取り込まれる危険性は十分にある。何しろ半減期が2万4000年なのである。紙や木が燃えるようにはなくなってくれないのだ。
プルトニウムはα線(陽子2つと中性子2つのヘリウムの原子核)を放出する。α線は紙1枚でも防げるので人体の奥深い組織には悪影響はないとされるが、一方で肺に吸い込むと肺胞の表皮組織を集中的に傷つけて肺ガンを引き起こすとも言われている。
原発は、いったん事故を引き起こせば、地元の住民に、そして日本人全体に甚大な被害をもたらし、また地球を非常に長い期間汚染し続けるリスクを背負っている。
福島第一原発の事故で、目の前に終わりなき大きなリスクをまざまざと見せられたいま、最も不安を感じ始めているのは原発を持たない沖縄電力を除く電力会社の経営陣ではないだろうか。東京電力のようにはなりたくないと考えるのが自然だろう。
*13日の金曜日、浜岡原発が停止
中部電力の水野明久社長が菅総理の要請を受け入れて、5月13日の金曜日に浜岡原発の運転を中止したのには、そんな計算も働いているはずだ。
首相の要請を受け入れるかを議論した取締役会では激論が交わされたと報道されているが、法的根拠のない首相の要請を結局受け入れることにしたのは、明日発生するかもしれない巨大地震への恐怖ではなかったか。
この決断は、水野社長にとって敗軍の将になる危険性がなくなるばかりか、ヒーローになれる絶好の機会と言えるのだ。
産経新聞は中部電力の事実上の創業者で戦後の9電力体制を築いた松永安左エ門を引き合いに出して、菅首相の要請は突っぱねるべきだったと言う(産経抄)。
しかし、死ぬまで勲章の受け取りを拒否し自立と日本のためを行動原理とした松永安左エ門だったら、日本のため世界のために浜岡原発を自ら停止したのではないか。そもそも動機不純の原発は建設しなかったかもしれない。
*菅首相の要請は渡りに船?
中部電力の清水社長にすれば、菅総理からの要請を内心、待ってました、渡りに船だと喜んだとしても全くおかしくないと私は思う。
ほかの電力会社のトップも内心ではそう考えている可能性もある。何しろ、原発は今の日本の環境では電力会社に富をもたらしてくれる宝の山ではなくなってきたからだ。
日本が現在の中国のように高度経済成長の最中にあって電力供給が決定的に足りない状況だった時代は、国策もあって確かに原発への投資は利益を生んだ。しかし、日本の電力需要がピークアウトした今は、設備負担の重い原発は旨みが少なくなっているのだ。
地域独占で料金が認可制の電力会社にとって、巨大な設備投資が必要な原発を建設すれば、その償却分や核燃料の所有額を電気代に加算できたうえに償却後は大きな利益を享受できた。しかし、それは電力消費が右肩上がりであることが前提だ。
現在のように電力需要が下がり始めれば収益モデルは過去のものとなり巨大な設備負担がのしかかる。さらには、稼働から年月が経った原発では、地震以外にも原子炉容器や配管の応力腐食割れなど様々な事故のリスクに怯えなければならない。
*デフレ経済が好きな民主党政権では原発は儲からない
どうしたことかデフレ政策を掲げて実践している今の民主党政権が続けば、経済はますます冷えて電力需要は下がる一方だ。
さらに増税で企業の海外移転も進めばさらに電力消費は減る。日本の経済政策上から見ても原発は電力会社にとって経営リスクなのである。
また、原子力発電のコストは決して安くない。それどころか、福島第一原発の事故で巨額の賠償金が必要になる以前の段階で、最も発電コストの高い方法になっているのだ(「高すぎる原発の発電コスト、LNG火力で代替せよ」)。
この記事によれば、電力会社の業界団体である電気事業連合会などが発表している“粉飾”されたデータではなく、実態に近い発電コストは、1KWh当たり火力発電が9.9円。原子力の場合には12.23円もかかるという。
一方、原子力が環境に優しいという触れ込みにしても、確かに二酸化炭素は出さないものの、大量の熱エネルギーを海水に放出している。何しろ、原発は蒸気機関で発電するので熱効率が悪い。タービンの性能が上がった現在でも30%台そこそこ。
*原発は蒸気機関車時代の技術
原子炉で発生する熱の3分の2は海水に放出されている。二酸化炭素は放出しなくても地球を温めているわけで、決して環境に優しいわけではない。さらに、発電所の立地が消費地から遠いため、高圧線を通るうちに電力の半分近くが熱となって大気中に放出されてしまう。
つまり、核分裂で得たエネルギーで最終消費者が電力消費として回収できているのはわずか6分の1。残りの6分の5は熱エネルギーとして放出している勘定になる。やはりシュッシュポッポ時代の技術でしかない。
一方、火力発電所の方は、ガスタービンを使ったコンバインドサイクルという発電方法によって、日増しに熱効率が上がっている。最高効率のものは60%を超える。また、立地も消費地に近いため、送電ロスは小さい。
ガスタービンというのは、言ってみればジェットエンジンである。燃料に圧力をかけて噴射させて燃やし、燃焼ガスが一気に膨張したその勢いでタービンを回す(ジェット機の場合は推力となる)。燃焼の際の温度を高めれば高めるほど、燃やしたガスの膨張度が高まるので効率が高くなる。
すでに1500度を超える高い温度で使用できるガスタービンが実用化されている。高い温度のガスタービンは廃熱の温度も高くなるので、その廃熱を使って水を沸騰させて蒸気にして蒸気タービンを回せば、さらに効率が高くなる。これがコンバインドサイクルである。
*蒸気機関車VSジェットエンジン
ジェットエンジンのハイブリッドシステムと考えていい。電力を発生させる仕組みそのものでは、シュッシュポッポの蒸気機関車時代の技術である原発に比べ、超音速時代の高効率な技術であり、はるかにハイテクだ。
以前、このコンバインドサイクルを作っている三菱重工業の高砂製作所に取材に行ったことがある。
タービンブレードの耐熱性、軽量化のための材料開発、燃焼ガスの流れを効率的にブレードに伝える空力設計など、日本の技術の粋を集めたものだった。
技術の進歩も目覚ましく、最近では1600度以上のガスタービンも開発されていて、その場合には燃料に水素を使うという。燃焼で二酸化炭素を生まず、熱効率も60%以上となり、極めて環境に優しい発電方式となる。
今の日本が置かれた環境にどういった発電方式が電力会社の経営にふさわしいのかという観点から、株主総会を控えているいま、電力会社の株主の皆さんは経営をチェックした方がいいのではないか。
*原発はテロリスト最大のターゲットに
さて、日本が原発を導入するに当たってはコストや環境以外の動機もあったはずである。国防だ。しかし、日本の再軍備と核武装をこっそり視野に入れていたこの不純な動機も今となっては全くの的外れとなった。
福島第一原発の事故が国防の観点からはっきりと示したのは、テロあるいは仮想敵国から原発に何らかの攻撃がされたら、とんでもない被害をほぼ永遠にもたらすということだろう。
日本を滅ぼすのに原爆は不要。日本中に散らばっている54基の原発をロケットで攻撃すれば、日本全土はたちまち永遠に生物が住めない世界に変わる。カルタゴがローマ帝国に滅ぼされた時、作物が二度と生えないように塩をまかれたどころの騒ぎではない。
中曽根康弘元総理と初代の科学技術庁長官だった正力松太郎・読売新聞社主が1955年に二人三脚でスタートさせた日本の原子力産業育成は、米国のアイゼンハワー大統領による「平和のための核利用:Atoms for peace」という見せかけの看板につられたものだった。
実はソ連に対抗するために核による軍拡のお先棒を担がされたことが明らかだった。それについては有馬哲夫・早稲田大学教授の『原発・正力・CIA』(新潮新書、2008年)に詳しい。若く血気盛んな中曽根元総理と野望ある正力氏は、米国の術中にはまっていく。
*読売新聞が牽引した日本の原発建設
もちろん、米国が正力氏を見込んだのにはわけがある。日本国内だけで1000万部という世界最大部数にまで育てた新聞事業と日本初の民放、日本テレビの影響力だ。結局、それらをフル活用されて日本は原発大国へと大きく歩を進めていく。
米国に招待されて核施設を見に行った中曽根元総理は、自著『自省録』(新潮社、2004年)の中で、次のように書いている。「日本もこの流れに乗らないとたちまち取り残されると、多いに焦燥感に駆られます」
帰国した中曽根元総理は居ても立ってもいられず、当時予算委員会の筆頭理事だった立場を最大限に利用して原子力の調査費を予算計上する。その額は2億3500万円だったという。この数字に具体的な意味はなく、熱中性子を受けて核分裂するウラン235の235をただ取っただけだった。
このようにして日本が米国から原子力技術の供与を受けられるようになる前、米国はすでにアジアでもイラン、イラク、インド、パキスタンなどに原子力技術を供与していた。米国に滅ぼされたイラクを除けば、これらの国は今や原爆保有国である。
原発を持った一国の権力者が原爆を持ちたくなるのは道理。隣国などと紛争を抱えていればなおさらだ。現在、原発を持っている国を調べると、その下心が透けてくる。それをデータで示してくれたのがこの記事(「知らないのは日本人だけ? 世界の原発保有国の語られざる本音」)だ。
*原発を保有している31カ国の下心
「現在、31カ国が原発を所有している。原発による発電量が最も多い国は米国であり、その発電量は石油換算(TOE)で年に2億1800万トンにもなる(2008年)」
「それにフランスの1億1500万トン、日本の6730万トン、ロシアの4280万トン、韓国の3930万トン、ドイツの3870万トン、カナダの2450万トンが続く。日本は世界第3位だが、韓国も第5位につけており、ドイツを上回っている」
「その他を見ると、意外にも旧共産圏に多い。チェルノブイリを抱えるウクライナは今でも原発保有国だ。石油換算で2340万トンもの発電を行っている。その他でも、チェコが694万トン、スロバキアが440万トン、ブルガリアが413万トン、ハンガリーが388万トン、ルーマニアが293万トン、リトアニアが262万トン、スロベニアが164万トン、アルメニアが64万トンとなっている」
「旧共産圏以外では、中国が1780万トン、台湾が1060万トン、インドが383万トン、ブラジルが364万トン、南アフリカが339万トン、メキシコが256万トン、アルゼンチンが191万トン、パキスタンが42万トンである」
「その他では、環境問題に関心が深いとされるスウェーデンが意外にも1670万トンと原発大国になっている。また、スペインが1540万トン、イギリスが1370万トン、ベルギーが1190万トン、スイスが725万トン、フィンランドが598万トン、オランダが109万トンとなっている」
*原爆を作りたいがための原発は最大の弱点に
「ある国が原発を所有する理由を明確に知ることは難しい。その国の人に聞いても、明確な答えは返ってこないと思う。しかし、原発を持っている国名を列記すると、その理由がおぼろげながら見えてくる。原発は国家の安全保障政策に関係している」
「原子力による発電は原子力の平和利用であるが、ウランを燃焼させることにより生じるプルトニウムは原子爆弾の原料になる。また、原発を製造しそれを維持する技術は、原爆を製造する技術につながる。原発を持っている国は、何かの際に短時間で原爆を作ることができるのである」
日本と同じ愚かな轍を踏んでしまった国が何と多いことだろう。これらの国のいくつに原爆を作れるという下心があるかは分からない。しかし、そのために原発を建設してしまったとすれば、攻めばかり考えて守りを全く考えていないことになる。
日本の現状を見ればそれは明らかだ。日本の原発はテロに対して全くと言っていいほど無防備である。その点はこの記事「北朝鮮が狙う日本海側の原発、守備は万全?」が警鐘を鳴らしている。
「日本の原発の多くは日本海沿岸に集中しています。潜水艦で攻撃されたらひとたまりもないでしょう。今ごろ北朝鮮と仲良くしようとか話し合おうとか言う人には、そろそろ北の正体を思い知れと言いたいです」
*東西対決が終わってみれば、原発はただの遺物に
世界に原発が広がったのは、米国とソ連という東西対立の賜物だった。東西対立が終わったいま、この副産物は国家を守るという意味でも大変危険な存在になっている。地域紛争やテロによる明確なターゲットになるからだ。
建設・運営コストも高く、環境にも優しくなく、国防上からも危険極まる原発は、本来、東西対決の終わりとともに棄てていくのが正しい姿ではないか。できれば一気にすべての原子炉を廃炉にしてほしいところだが、電力供給の事情もあるから簡単にはいかないだろう。
世界の原子力関連市場で、日本の技術や製品はその中核を占めるまでになっているという。地震国の少ない国で原子力の安全利用を進めたい国があるとすれば、そうした国に安全でできるだけコストの安い部品や機器を供給し、原発の安全度を高めるのは、福島第一原発の事故で地球を汚染してしまった国の責任でもある。
また、万が一の場合には、徹底支援するためにも原子力技術から逃れることは許されない。
しかし、世界最大の地震大国である日本では、浜岡原発を皮切りに危険度の高いところから廃止して、コンバインドサイクルや風力、太陽光、燃料電池、地熱発電などに切り替えていくことは、東西対決が終わったいま、明らかな時代の要請である。 *強調(着色・太字)は、来栖
〈筆者プロフィール〉
川嶋 諭 Satoshi Kawashima
・早稲田大学理工学部卒、同大学院修了。日経マグロウヒル社(現日経BP社)入社。1988年に「日経ビジネス」に異動後20年間在籍した。副編集長、米シリコンバレー支局長、編集部長、日経ビジネスオンライン編集長、発行人を務めた後、2008年に日本ビジネスプレス設立。
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◆原発マネーに群がった政治家・学者・マスコミ/巨額の「反原発」対策費が政・官・財・学・メディア・地元に2011-05-17 | 地震/原発
◆20?・250?シーベルト/国民の健康よりも原子力行政優先/「政府官邸へ何を言っても届かない」小佐古敏荘氏2011-05-17 | 地震/原発
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November 3, 2011, 11:23 pm
「危険な政治家」大阪府知事橋下徹の「正体」
現代ビジネス2011年11月04日(金)フライデー
「ダブル選」は地獄の一丁目である。現地を取材すると「橋下の後継が 知事になったら、ややこしいのがゾロゾロついてくるで」と早くも危惧する声が。
「大阪を応援しています。大阪を突破口に地方と国のあり方を、国家構造を変えていきたい。どういう立場で何ができるか考えていきたい」
10月22日、日本商工会議所青年部の関東ブロック大会(さいたま市)で講演した前宮崎県知事・東国原英夫氏(54)は、こう発言していた。言うまでもないが、この日、大阪府議会に辞職願を提出し、大阪市長選への立候補を表明した橋下徹府知事(42)の動きに、追い風を吹かせようという狙いが透けて見える。事実、この翌日、橋下氏の子飼い議員からなる大阪維新の会は、松井一郎府議(47、大阪維新の会幹事長)を府知事選の候補者に擁立すると発表した。橋下氏が、11月27日投開票の大阪府知事&大阪市長のダブル選により、大阪を丸ごと手中に収める策謀を、ついに実行した瞬間と言える。
■候補者選定の基準
なぜ、本誌が東国原氏の発言に注目していたかといえば、市長選は橋下氏が大勝する自信があると仮定して、府知事選の候補者選定に橋下氏が腐心した、いや、今なお悩んでいる形跡があるからだ。
「府と市が足並みを揃えて大阪都構想に着手する以上、橋下氏が後任の知事を傀儡にしたいのは当然。だが、知名度がないと選挙に通らない。橋下氏が検討、打診した相手として、東国原氏やワタミの渡邉美樹会長、国と東京電力の癒着構造を暴いて経済産業省を退職したばかりの古賀茂明氏、橋下氏の友人の弁護士で、民間人校長を務める中原徹氏らの名前が挙がりました」(大阪府政担当記者)
立候補の届け出ができる告示日は11月10日で、まだ候補者は差し替え可能である。以下は本誌が直撃した際の、東国原氏との一問一答だ。
---先ほどの講演では、大阪を応援していると。橋下さんの応援ですよね。
「(テレビ)番組などでも大阪都構想には、賛成の立場であることを一貫してお伝えしていますから」
---橋下さんから府知事選出馬のオファーはありましたか。
「ないです(笑)。ないですよ。この時期、名前が挙がってないとダメですよ」
---都知事選の時のように、ギリギリで出馬表明ということは。
「いや、ないです。候補者としては考えられない」
---どのような形で応援をされますか。
「(橋下氏陣営の)応援のマイクを持つことになるのか・・・・・・。コメンテーターをしているので中立じゃないといけないんですが、賛成の立場を表明してますから」
自民党大阪府議会議員団の花谷充愉幹事長は本誌に「知事は、外部の方に意中の人がいると言うてはったので、(松井氏の立候補には)ちょっと違和感がある」と言う。折しも、現在5選を誇る池田市長の倉田薫氏(63)が知事選候補者として名前が挙がった。氏は10月26日夕刻までに態度を明らかにしていないが、出馬するとなれば、民主党・自民党が連携して支援する動きを見せており、?橋下人気?で対抗できるか微妙な状況となる。
さらに、松井氏にまつわる?評判?も足枷となりうるだろう。ある自民党大阪府連の幹部は、こんな証言をした。
「みんな維新の会いうたら橋下が作ったみたいに言うてるけど、維新の会を作ったんは松井で、橋下は後から合流したんや。松井の親父(松井良夫氏)は元府議会議長で、松井自身、親譲りの政治力がある。橋下とマキャベリスト(権謀術数主義者)同士、いつまで蜜月でいられるか。松井の親族は競艇場の経営に関与しているとも聞き、背景はよう分からんところがある。松井が知事になったら、ややこしいのがゾロゾロついてくるで」
この評判について、府下のある首長経験者が「松井氏の父親は大阪の競艇組合の役員をしていて、?競艇組合といえば松井さん?と称されたほど」と証言した。
8月初旬に本誌は報じたが、そもそも橋下氏は、自分の後釜として、問題の島田紳助(55)を擁立しようとしていたことがあり、紳助が闇社会との関係を明らかにして引退したことで、要請を断念した経緯がある。芸能界と暴力団との接点について取材している全国紙社会部デスクは、こう証言する。
「橋下氏自身、紳助が芸能界への道筋を付けてくれたなどと感謝の言葉を述べていますが、そもそも橋下と紳助を結びつけたのは誰かという問題が見落とされている。一説には、紳助と山口組系極心連合会の橋本弘文会長を繋いだ元ボクシング世界チャンプの渡辺二郎ではないかとも言われている。つまり、橋下自身が、闇社会と容易に接触できる立場にあったのではという疑惑も湧くのです」
確かに橋下氏の候補者選定の基準には、首を傾げざるを得ない部分がある。なぜ好き好んで、疑惑が持ち上がりそうな人物ばかり擁立しようとするのか。
橋下氏は、「大阪都構想」実現のために、府知事を辞めてダブル選に持ち込んだ。要は、大阪府と市を廃止して、広域行政機能を一本化し、?二重行政?を解消しようという構想だ。そして都構想にこそ、橋下氏が選ぶ片腕が、汚れ仕事も厭わない人物でないと務まらない理由が含まれている。日本共産党大阪府議会議員団の宮原威団長(大阪府議)が、橋下氏の?やりたい事業?について説明した。
「彼は図書館や大学といった、府にも市にもあるものがムダだと言う。一方で、結局は断念したが、府の本庁舎の全面移転のためにWTCビルにかけた費用は、市が1100億円、府が100億円弱。最初からせなんだら、消えずに済んだカネやのに、彼は自分が行ったムダな投資については言及しない。結局、彼は大阪市の財産を欲しいんや。例えば、市営地下鉄は政令指定都市の中で唯一、累積赤字を解消した上に現在は黒字や。300億円の黒字で累積赤字も解消した言うたら、何千億円かで売れるわけやないですか。市は関西電力の筆頭株主でもある。大阪都にして、(関西国際空港と大阪市中心部を結ぶ)関空リニアだとか、ベイエリアにカジノを持って来るだとか、派手な計画をぶち上げたい。それにはカネがかかり過ぎるから、他人(大阪市)のカネで相撲を取ろうとしてるだけの話やで」
巨大開発を目指すのなら、当然、立ち退き交渉などに手間のかかる地域も多いだろう。カジノは賭場である以上、クリーンな組織のみで運営できるとは思えない。橋下氏自身が、「大阪は汚いものでもなんでも引き受ける」と理念を掲げたことがあるが、それに即した人選をしていると疑わざるを得ないのだ。
■ある不動産ファンドとの関係
10月23日、松井氏の府知事選立候補の会見を終え、橋下・松井コンビが街頭演説に臨むと、聴衆は数千人規模に膨れ上がり、その人気を証明してみせた。しかし、大阪以外の人間にしてみれば、言行不一致の橋下氏が、なぜ知事を続けていられるのか、さっぱり合点が行かぬ。案の定、大阪の中枢で離反は始まっていた。前出の府政担当記者が、こう語る。
「福島第一原発の事故後、関西電力が節電を要請した際、橋下さんは『原発がなければ生きていけないなどと言った電力会社に協力できない』『(大阪)市長の権限を持つようになれば、関電株の売却を考慮したい』などと突っぱねて府民の喝采を浴びましたが、その後、関電首脳陣に急接近しました。しかし、関電側が彼をまるで信用していない。電力票は一票たりとも入らないでしょう」
さらに、当の関西財界関係者が、橋下氏の収入面にも疑問を投げかける。
「タレント時代に年間3億円稼いだと言われる橋下知事は、現在、知事給与を30%カットし、年収1400万~1500万円だそうだ。子供が7人いて、自分と妻の親も同居しているそうだが、それで賄えるのか長らく疑問だった。一方、弁護士でもある彼は法律事務所を存続し、顧問になっている企業は200社に及ぶと聞く。顧問料が1社月額5万円としても年間1億2000万円に上る。顧問料だから、政治資金規正法に引っ掛からず、公開の義務もない。だがその中に、府や市の公共工事を請け負う会社が含まれていたら、職責上、問題ではなかろうか」
現に、経営破綻した大阪・吹田市の「エキスポランド」の跡地に大型娯楽リゾート施設「パラマウント・リゾート大阪」の開発が構想されているが、橋下氏は'09年に開かれた府の部長会議で、「大阪再生の起爆剤になるのは間違いない。いろいろな課題があるが、会社側としっかりとコミュニケーションを取って進めてもらいたい」と指示している。この「会社」は、不動産投資ファンド「燦キャピタルマネージメント」を指しており、同社の前田健司社長は、過去、橋下氏の後援者だったと報じられている。
「まだ、構想の段階なのに橋下知事がテーマパーク建設に前向きな発言をしたことで、『燦』という会社にお墨付きを与えたと受け取られました。知事の発言が、同社や関連会社の株価に影響を与えたか、一部の政党やメディアが調査に動いたのは事実です」(前出・社会部デスク)
橋下氏はこのダブル選に勝利し、都構想を実現して、'15年に引退するとまで言い出した。前堺市長で、『「仮面の騎士」橋下徹 独裁支配の野望と罠』(講談社)の執筆陣の一人、木原敬介氏は、橋下氏の本音をこう推測する。
「橋下氏は、目的のために手段を選ばない人です。だから、橋下氏にしてみれば、自分の意のままに動いてくれる人間であれば、松井氏でも、倉田氏でも、誰でも構わないんです」
橋下氏は、必要なのは?独裁者?だと公言する。だが、橋下氏とその周辺を潤すための独裁だったら---。その独裁者がどうなるのかは、歴史が証明している。
「フライデー」2011年11月11日号より
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◆橋下府知事に突然の「逆風」 新潮、文春で「暴露」系記事が相次ぐ2011-11-02 | 社会
精神科医野田正彰氏 . . .
◆『「仮面の騎士」橋下徹 独裁支配の野望と罠』/府職員の自殺者が1年間で6人、直後に7人目の自殺者2011-10-23 | 政治
府職員の間に閉塞感 . . .
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November 4, 2011, 10:59 am
ギリシャ危機が持つ第二次大戦以来の破壊力 緊急連載 ユーロ危機と欧州合衆国の幻【1】
熊谷 徹
日経ビジネス2011年11月4日(金)
本来ならば今月は「ドイツの原発廃止と国際競争力」についてお伝えするはずだったが、編集部の依頼もあり、急遽、予定を変更して、数回にわたってユーロ危機の背景についてリポートする。ドイツの脱原子力問題については、回を改めてお伝えする予定である。
* * * * *
私が住んでいる欧州では、「炉心溶融」がじわじわと進行している。ギリシャに端を発した、欧州連合(EU)の公的債務危機である。
■「第二次世界大戦以来、最悪の危機」
10月27日、ドイツのメルケル首相は連邦議会での演説でユーロ危機を「第二次世界大戦後の欧州で、最も重大な危機である」と述べた。そして「ユーロが挫折したら、欧州も挫折する」と警告した。
日本人ならば、この言葉を聞いて「日本にとって戦後最大の危機」と呼ばれる東日本大震災と福島第一原発の事故を思い出すかもしれない。メルケル氏はユーロ危機を、ソ連によるベルリン封鎖や、鉄のカーテンによる東西分割、さらにリーマン・ショック後に欧州を襲った銀行危機よりも危険な事態ととらえているのだ。
巨大地震や津波、原子炉事故と違って、ユーロ危機はほとんど目に見えない。だが国家や共同体の存続を脅かすという意味では、似たような破壊力を持っている。「復興」に天文学的な費用がかかり、最終的には納税者につけが回ってくる点も同じだ。むしろユーロ危機は目に見えず、その脅威の全貌を理解するのが難しいだけに、対策を取りにくい。地震や原発事故とは違って、政府が影響力を行使しにくい「マーケット」(国際金融市場)が重要な役割を演じることも、債務危機の特徴だ。
2009年12月にギリシャの債務問題が表面化してから約2年経つが、EU諸国は間欠泉のようにときおり燃え上がる火を消し止めるのに手一杯で、病巣をなかなか摘出できない。今やこの危機は、欧州だけではなく、世界経済全体にも黒い影を落としつつある。
巨額の公共債務を抱える日本でも、ユーロをめぐる情勢についての関心が急激に高まっている。日本の財務省は10月28日、2011年度末の国の借金が、過去最高の1024兆1047億円に達すると発表した。これはギリシャの借金の約28倍、イタリアの約5倍である。OECD(経済協力開発機構)の統計によると、中央政府、地方政府、社会保障基金を含めた日本の債務残高の国内総生産(GDP)に対する比率は、2011年の時点で212.7%で、世界最高。日本国債の95%が国内で保有されているため、欧州のような債務危機は起きていないとはいえ、多くの日本人が「いつまで国は借金を続けられるのか」という疑問を持っている。
■ユーロ危機はバブル崩壊だ
私は21年前からドイツで働いているが、欧州通貨同盟について取材を始めたのは、1991年のことである。なぜドイツ人がマルクという強い通貨を捨てようとしているのかを、知りたかったからである。
私はドイツ連邦銀行や、連邦財務省、金融機関、経済団体などでインタビューを行い、通貨統合についての最初の論文「マルク消滅への不安と抵抗」を、1992年8月4日のエコノミスト誌(毎日新聞社)と、翌年丸善ライブラリーから上梓した新書『新生ドイツの挑戦』に発表した。それ以来、20年間にわたって欧州通貨同盟の創設、ユーロ導入、統一通貨圏の拡大、ギリシャの債務危機について報じてきた。
現在欧州で起きている事態は、私が19年前に報じたドイツ人の欧州通貨同盟に関する危惧が、現実化したことを示している。ユーロの導入は、南欧州に一種の「公的債務バブル」を生み出し、現在通貨同盟はソブリン・バブル崩壊の影響と戦っているのだ。
私自身は、ユーロ導入を素晴らしいプロジェクトだと考えてきた。1946年に「我々は欧州合衆国を建設しなくてはならない」と言ったのは、チャーチルである。通貨統合は、第二次世界大戦で辛酸をなめた欧州人たちの、「欧州合衆国」建設への重要なステップの一つである。各国が主権の一部を国際機関に譲り渡して、国境の垣根を取り払う。実際、東西冷戦が終わった後の欧州は、過去2000年の中で最も平和な状態にある。
アジアでは夢想もできない通貨統合が、この地で着々と実現していく様子を、私は21年間にわたって感嘆と羨望の目で見つめてきた。それだけに、現在通貨同盟が「重病」に陥っているのを見るのは、慙愧(ざんき)に耐えない。理想は崇高だが、実践の仕方、特に欧州委員会のリスク管理はあまりにも杜撰だった。欧州は、いま大きな曲がり角にさしかかっている。
■ギリシャ危機は解決されていない
2011年10月26日、世界中の金融関係者の目は、ブリュッセルに向けられていた。EU加盟国首脳は徹夜のマラソン会議の末、翌朝3時過ぎに、ギリシャの債務削減と欧州金融安定基金(EFSF)の強化について合意した。メルケル首相、サルコジ大統領らEU加盟国首脳は、この合意について「我々は全力を振り絞って、正しい結論を導き出すことに成功した」と自画自賛。各国の通貨政策担当者も首脳会議の結果を前向きに評価したほか、欧米の株式市場では銀行株が買われて平均株価が一時上昇した。
もしも会議が決裂していたら、翌日の株式・国債市場で混乱が起きていた可能性もある。そうなれば、南欧諸国はさらに国債を売るのが難しくなり、債務危機は一段と悪化しかねない。EU首脳たちは、「マーケットの重圧」を強く感じていたに違いない。合意内容を発表するメルケル首相の目は赤く充血し隈ができていたが、表情は晴れやかで一抹の安堵感が漂っていた。
だがドイツの多くの経済学者の目には、今回の首脳会議の結果も「大山鳴動して鼠一匹」と映った。各国首脳は、当面の危機を回避するための対症療法を打ち出して、時間を稼いだにすぎないからだ。債務危機の根本的な解決策は、いまだに見つかっていない。
EUは緊急手術でマーケットを一時的に鎮静化させることには成功したが、患者の容態がいつまた悪化するかも分からない。
昨年以来、EU加盟国の首脳と蔵相たちは、何度もブリュッセルに駆け付けて会議を開き、巨額の支援額を盛り込んだ「救済パッケージ」を打ち出した。しかしマーケットは一時的に鎮静化するだけで、しばらく経つと「救済策は不十分」というシグナルを送り始める。EUは再び首脳会議を開いて、さらに規模の大きな救済策を発表せざるを得ない。EUは今後も、緊急の首脳会議を繰り返し必要とするだろう。メルケル首相自身「ユーロ危機を一度にすっぱりと解決することはできない」と述べている。統一通貨をめぐる危機は、そこまで深刻かつ複雑な事態に発展しているのだ。
ギリシャ神話に登場するシーシュポスは、巨大な岩を山頂に押し上げる罰を受けるが、岩はあともう少しで山頂にたどりつくという所で転がり落ちるので、シーシュポスは苦行を永遠に続けなくてはならない。EUの状況は、このエピソードを思い起こさせる。
■50%の債務削減は時間稼ぎにすぎない
今回の会議で、民間の金融機関が持っているギリシャ国債のうち、投資家が回収をあきらめる元本の比率が21%から50%に引き上げられた。これまでも大半の金融関係者はギリシャの借金返済が事実上不可能で、債務削減は「避けられない」と考えていた。国際通貨基金(IMF)の主任エコノミストを務めたこともある、ハーバード大学のケネス・ロゴフ教授は、2011年9月の時点で、ドイツの新聞に対し「ギリシャはいずれ債務不履行に陥る。ギリシャの国債に投資した者は、投資額の30%から40%しか回収できないだろう」という悲観的な見方を明らかにしていた。EUが債務削減の比率を50%に引き上げたことは、ブリュッセルの考え方が、「ギリシャは借金を返す」という幻想、もしくは建前論を捨てて、ようやくマーケットの現実的な見方に近づいてきたことを示している。欧州委員会は、白旗を掲げたのである。
EUが最も恐れているのは、ギリシャ政府が突然債務不履行(デフォルト)になることによって無秩序な国家破綻に陥り、金融市場に大きな混乱を生じさせることだ。だが金融機関が「自発的に」ギリシャ政府に貸していた金の半分をあきらめるという形を取れば、一種の「ソフト・ランディング」となる。 ブリュッセルでの合意によって、EUにとって制御不能な「クレジット・イベント」が発生する危険は、一応遠のいた。
だがこの債務削減は、これまでの欧州の金融界の常識を変える出来事だ。着地の仕方が緩やかであるとはいえ、ユーロ圏に属する国が、債務の一部を履行できなくなったことには変わりないからである(金融界には、今回の措置でデフォルトの定義が書き換えられてしまったという困惑の声もある)。
金融機関にとって、50%債務削減は「自発的な借金回収の断念」ではなく、政界の圧力による苦渋の選択であるというのが本音だ。かつて欧州の国債は、金融機関にとって、株式などに比べて安全な運用手段と見られていた。「政府は紙幣を新しく印刷してでも、必ず借金を返す」と考えられたからである。背景に、EUという大御所が控えていれば、なおさらである。しかしギリシャの中央銀行はユーロ導入によって通貨発行権を失ったため、この奥の手も使えなくなった。ユーロ導入によって、国債が不良債権化するという異例の事態が欧州に生まれたことは、皮肉である。
■ヘアカット(債務減免)の衝撃
さて民間の金融機関にとっては、ギリシャ政府に貸している金(元本)の50%は損失として処理しなくてはならないので、自己資本が減少する。債務超過に陥る銀行が現われれば、債務削減が銀行危機につながる危険がある。このためEU域内の大手銀行は、増資などによって中核的な自己資本(Tier one capital)の比率を2012年6月末までに、9%に引き上げることを求められる。必要な増資額は、1060億ユーロ(11兆1300億円・1ユーロ=105円換算)にのぼると推定されている。ただし現在、欧州の銀行が増資のために新しい株主を見つけるのは、容易ではない。その場合には、政府が強制的な資本注入が必要になり、納税者の血税が再び銀行支援に使われることになる可能性もあるのだ。
特にギリシャの民間銀行は、株式時価総額が過去2年間で90%減少している。これらの銀行はギリシャの国債に多額の投資をしていたため、元本が50%になると、自己資本に深刻なダメージが及ぶと予想されている。銀行預金を引き出すギリシャ人が増えているのは、そのためだ。
資本注入にも、問題はある。現在フランスとドイツは最高の信用格付け(スタンダード・アンド・プアーズでトリプルA)を誇っているが、銀行支援のための負担が増加すると、格付けを引き下げられる危険がある。格付けが悪化すると、国債を売って資金調達するためのコストが増える。特に誇り高いサルコジ大統領にとって、トリプルAの喪失はフランスの威信に関わる事態である。
今回の債務削減は、ギリシャにとってどの程度のカンフル剤になるのだろうか。欧州統計局によると、2010年の同国の債務残高は、3294億ユーロ(34兆5870億円)だった。現時点では3600億ユーロ(37兆8000億円)前後と推定されている。このうち民間の金融機関が貸していたのは、約2000億ユーロ(21兆円)。つまり、ギリシャは約1000億ユーロ(10兆5000億円)もの借金を免除されることになる。欧州の経済史の中でも、異例の寛容な措置である。
■ギリシャ経済の蟻地獄
この事実上のヘアカット(債務減免)の背景には、首脳会議の直前、ブリュッセルに舞い込んだ悪い知らせがあった。欧州委員会、IMF、欧州中央銀行(ECB)から成る通称トロイカ・グループが、アテネでの現地調査の結果をまとめた報告書である。その内容は、ギリシャという「患者」の容態が一段と悪化していることを物語っていた。
欧州統計局によるとギリシャの債務比率(公共債務のGDPに対する比率)は、2009年には129・3%、2010年には144・9%だった。しかしトロイカ・グループは、「景気後退が深刻化しているため、ギリシャの債務比率は、2013年に186%に達する。今手を打たなければ、2020年には債務比率が240%に悪化する」と報告した。
2年前に同国の過重債務問題が深刻化して以来、EUとIMFはギリシャのために1100億ユーロ(11兆5500億円・1ユーロ=105円換算)の救済パッケージを準備。これまでに合計730億ユーロ(7兆6650億円)のつなぎ融資を行なった。
だがトロイカ・グループの報告書は、この巨額融資も焼け石に水だったことを示している。EUは、2011年7月に「ギリシャは2014年までに1090億ユーロ(11兆4450億円)の融資が必要」と発表していたが、この見方は甘かったことが判明した。トロイカ・グループは報告書の中で「2020年までに2520億ユーロ(26兆4600億円)、最悪の場合には4500億ユーロ(49兆5000億円)の融資が必要になる」という悲観的な見方を打ち出したのである。ギリシャは少なくとも今後9年間、最悪の場合26年間にわたって外国からの融資を受けなくては、生き残ることができない。
EUが援助額を公表しても、わずか3カ月でその額が不十分であることが分かり、上方修正される。まるで底の抜けたバケツである。
今回EUが合意した債務削減によって、ギリシャの債務比率は現在の165%から、2020年までに120%前後に下がると予想されている。しかし手放しで喜ぶことはできない。この数字はドイツの債務比率をまだ37ポイントも上回っている。ユーロ圏加盟国が満たさなくてはならない「債務比率60%未満」には、程遠い。
■アキレス腱は経済力の弱さ
最も懸念されるのは、ギリシャ経済のマイナス成長だ。トロイカ・グループは、今年ギリシャのGDPが5.5%、来年は2.8%減少すると予想している。私は今年9月アテネを訪れたが、5年前に比べて中心街でも空き家が目につくようになった。
「Enoikiazetei(空室あり。貸します)」と書かれた紙が、町の至る所で、商店のショーウインドウや建物の壁に貼られている。以前には昼間から満員だったコロナキ地区のカフェバーも、閑散としていた。ギリシャ政府は歳出を減らすために2015年までに公務員を15万人解雇する計画や、新たな不動産税の導入を発表しているが、これらの措置が、不況に拍車をかけることは確実だ。国営企業の民営化や、410億ユーロ(4兆3050億円)に達するといわれる税金の滞納額の徴収も進んでいない。
民間銀行への債務の半分を免除してもらっても、今後ギリシャのGDPがさらに減少した場合、債務比率は再び急上昇するだろう。
ギリシャの債務削減が、他国にとって「悪しき前例」となることを懸念する声もある。見方によっては、ギリシャ政府は民間銀行への借金の半分を踏み倒すことに成功したとも言えるからである。イタリアなど他の南欧諸国は、ギリシャの借金が半分棒引きされたのを見て、財政健全化を手抜きする誘惑にかられるかもしれない。財政健全化は市民の負担を確実に増やすので、国内政治の観点から見れば、どの国の首脳にとっても、地雷原を歩むように危険な作業である。アイルランドとポルトガルは過重債務のためにEUに救援を要請し、財政健全化のための努力を進めていたが、両国の有権者は今年の選挙で怒りをぶちまけて、政権党を失脚させた。
したがって過重債務国の首相は、「最後はEUに借金の返済を免除してもらえる上、ユーロ圏からも追い出されないのだから、国民を苦しめる増税や歳出削減など行なう必要はない」と考えるかもしれない。このような考え方がギリシャ以外の国に広がるとしたら、EUにとって危険な事態である。
■ギリシャ国民投票の衝撃
ドイツでは、ギリシャが借金の一部を返せなくなった場合、ユーロ圏に残ることを許すべきか否かという議論が、激しく行なわれてきた。
欧州中央銀行の主任エコノミストだったオトマー・イッスィングは、今年7月にFAZ紙とのインタビューの中で「ギリシャが債務削減の後もユーロ圏に残るとしたら、それは通貨同盟の終焉を意味する」と述べ、同国がユーロ圏に残ることに強く反対している。イッスィングは、「債務削減後は、ギリシャで財政再建のための努力がストップする可能性が高い。債務をEUによって大幅に削減してもらえるのならば、政府は国民に対して痛みを伴う構造改革を求めなくなるだろう。さらにそうした姿勢が他の加盟国にまで広まるとしたら、大惨事だ。このような措置によって通貨同盟を救おうとする政治家は、ユーロの安定性を葬ることになる」と強い口調で警告した。
だがギリシャがユーロ圏から脱退して、ドラクマを再び導入した場合、借金はユーロ建てなので、同国にとっては債務が実質的に増えることを意味する。ユーロ圏に加盟する国からの金融支援も受けられなくなる。また、ドイツ側にとっても、ギリシャに輸出する製品の価格競争力が弱くなって、ドイツ製品を売りにくくなるという欠点もある。
つまりギリシャにとっては「行くも地獄、残るも地獄」なのだ。
だがブリュッセル合意のわずか4日後に、事態は意外な展開を見せた。10月31日の夜、EU加盟国の首脳たちはアテネから飛び込んできた情報に衝撃を受けた。国内で与野党から厳しい批判を浴びているパパンドレウ首相が、EUの救済措置を受け入れるかどうか、歳出削減策を今後も続けるかどうかについて、2012年初めに国民投票を行なうことを明らかにしたのだ。これは、構造改革を進めるパパンドレウ首相にとっての、信任投票でもある。国民が歳出削減策の継続を拒否した場合、ギリシャはEUとIMFから融資を受けられなくなる。同国は債務不履行に陥り、ユーロ圏からの脱退は避けられない。
EU首脳は、民間債務の50%削減などの細かい部分を詰めようとしていた矢先に、パパンドレウ氏が一種の「賭け」に踏み切ったことに、衝撃を受けている。欧州人たちの頭上を覆う暗雲は、ますます分厚くなりつつある。太陽の光は当分の間、見えないだろう。
(次回に続く)
<筆者プロフィール>
熊谷 徹(くまがい・とおる)
在独ジャーナリスト。1959年東京都生まれ。早稲田大学政経学部経済学科卒業後、日本放送協会(NHK)に入局、神戸放送局配属。87年特報部(国際部)に配属、89年ワシントン支局に配属。90年NHK退職後、ドイツ・ミュンヘン市に移住。ドイツ統一後の変化、欧州の安全保障問題、欧州経済通貨同盟などをテーマとして取材・執筆活動を行う。主な著書に『ドイツ病に学べ』、『びっくり先進国ドイツ』『ドイツは過去とどう向き合ってきたか』『顔のない男―東ドイツ最強スパイの栄光と挫折』『観光コースでないベルリン―ヨーロッパ現代史の十字路』『あっぱれ技術大国ドイツ』ほか多数。ホームページはこちら。ミクシィでも実名で日記を公開中
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ギリシャ:「内弁慶」首相に政界失望…独仏の圧力に屈し
【アテネ藤原章生】突然の「国民投票計画」で、ギリシャ政界でパパンドレウ首相に対する批判が広がっている。背景には、世界を騒がせた首相への批判もあるが、仏カンヌに呼び出され独仏首脳の「圧力」にあっさり屈した「内に強く外に弱い首相」に対する失望も大きい。財政面ばかりか、国内政治まで独仏首脳に細かく注文されたことに対する屈辱感が、首相に対する「ノー」を増幅させた。
国民投票案発表直後の1日時点で、離党した議員は1人だったが、3日未明から閣僚や与党議員が「パパンドレウは終わり」などと地元メディアで公言しはじめ、辞任要求の声が短時間に噴き出し始めた。
与党「全ギリシャ社会主義運動」の元経済閣僚が首相の同行筋から入手した情報によると、パパンドレウ首相がカンヌに行った際、サルコジ仏大統領とメルケル独首相はすでに、国民投票の日程や「ユーロ圏残留」の是非を問う質問まで準備し、パパンドレウ首相に圧力をかけた。首相が当初考えていた質問内容は、支援策に関するものだったが、両首脳にまともに説明できず、ほとんど言われるままに両首脳の案を持ち帰った。この話が3日朝、与党内に広がり、辞任要求の声が高まったという。
地元の英字紙アテネ・ニュースも3日の電子版で「メルケル首相が国民投票の日程を決め、質問を用意した」と報じた。さらに、サルコジ大統領が「国民投票は、ギリシャ向けの支援策の議会批准の後でなくてはならない。その場合、すでに批准した支援策の是非を問うことは法的にできない」と法律論で迫り、「『それがルールだよ』と、子どもをなだめるように首相を説得した」と伝えた。
首相は「国民投票はギリシャの欧州での進路、ユーロ圏への参加を考える上で内外に向けた明確なメッセージだ」と勇ましく語っていたが、こうした報道がギリシャ国内に広がり、首相に対する失望感が広がった。
「救われる側」という弱い立場のギリシャだが、大国から内政など主権の問題に触れられたとき、反発はかなり強いようだ。
毎日新聞 2011年11月4日 12時23分(最終更新 11月4日 12時49分)
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ギリシャ、信任投票へ=国民投票は撤回決定
【ブリュッセル時事】ギリシャのパパンドレウ内閣は4日、議会(一院制、300議席)での信任投票に臨む。同国政府は同日、欧州連合(EU)ユーロ圏諸国の債務・金融危機対策をめぐる国民投票計画の撤回をユーロ圏に正式に表明。議会での内閣の信任・不信任にかかわらず、国民投票が行われる可能性はなくなった。
議会は4日午後(日本時間5日未明)に討論を開始。AFP通信によると、投票自体は5日午前0時(日本時間同日朝)ごろに行われる見通し。
与党・全ギリシャ社会主義運動(PASOK)は、かろうじて過半数の152議席を占めるが、国民投票表明でパパンドレウ首相に対する批判が政権・与党内から噴出。一方で、与党の実力者ベニゼロス財務相が信任後の首相辞任を条件に、党内の取りまとめに動いているとの情報もあり、信任投票の行方は予断を許さない。
今後のシナリオは(1)信任されれば首相が野党との連立合意を花道に辞任(2)不信任の場合、内閣総辞職の上で与野党による暫定政権を樹立−のいずれかの可能性が高そうだ。(時事通信2011/11/04-21:45)
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November 4, 2011, 10:03 pm
「週刊バカ文春もバカ新潮も買ってしまった!」 橋下氏、批判記事に「余裕」の反撃
J-CASTニュース2011/11/ 4 18:27
大阪市長選に転戦する橋下徹・前府知事が、一部雑誌による自身への「ネガティブ記事」に対し、「茶目っ気」をまじえて反撃している。
世論調査の結果によっては、「大阪市長にふさわしい」人物として、対立する現職、平松邦夫市長の約2倍の「支持」をたたき出しており、橋下氏の「反撃」の中に余裕を感じる向きもあるようだ。
■「ネガキャンペーン」を逆手にとる
「実の父が暴力団員?結構毛だらけだ!」。橋下氏は2011年11月1日、大阪市内で行った府知事辞任後初となる街頭演説で、月刊誌「新潮45」や週刊新潮、週刊文春が報じた自身の出自や生い立ちを逆手にとって反論した。
「今の権力構造を変えるには、坊ちゃんやお嬢ちゃんじゃできませんよ」(橋下氏の1日の演説)というわけだ。実父については、幼いときから別に暮らしており、「俺の記憶にない実父」(ツイッター)とも指摘している。
「結構毛だらけ」のセリフは、故・渥美清さんが主人公「フーテンの寅」さんを演じた、人情喜劇映画「男はつらいよ」シリーズで知られる。「結構毛だらけ、猫灰だらけ…」と明るくテンポよく使われるセリフで、どことなくおかしみがある表現だ。
さらに橋下氏は、ツイッターで、「(出自や親族情報などばかりで)俺の不祥事は何も報じてないじゃないか!」(11月2日)などと、2週にわたって「橋下特集」を展開中の週刊新潮と週刊文春を挑発しつつ、「こんなこと言いながら、週刊バカ文春もバカ新潮も買ってしまったじゃないか!」(同)と冗談交じりにつぶやいている。
もっとも、こうした言い回しを含む橋下氏の発言全般については、必ずしも「茶目っ気」と感じる人ばかりではない。
■毎日新聞「記者の目」も批判
毎日新聞は11月3日付朝刊の「記者の目」欄で、橋下氏による平松氏へのツイッター上などでの論評について、「(略)とこき下ろす。公人の発言としては違和感を覚えるほど攻撃的だ」と断じている。
橋下氏は、この「記者の目」記事が、「両陣営間では批判合戦ばかりが目立つ」などと指摘したことに反発しており、ツイッター(3日)で、これまでの会見やツイッターの記述などで政策論を具体的に展開しており、「批判合戦」との論評について「(記者が)勉強してないだけ」と「攻撃的」に批判している。
もっとも、この毎日新聞への反論ツイッターでも、平松氏が毎日新聞の「友好会社」である毎日放送(MBS、本社=大阪市)出身であることに触れ、「(毎日新聞と平松氏の間に)何があるのか知らないが」とチクリと皮肉る余裕もみせている。
橋下氏の「余裕」が指摘される根拠のひとつは、11月1日付朝刊で朝日新聞が報じた世論調査結果だ。
大阪市長にふさわしい人物について、府内有権者で「橋下氏50%、平松氏26%」とほぼダブルスコアの結果が出て、大阪市民に限っても「同様の傾向を示した」。橋下人気は、大阪市内に限っても健在、というわけだ。
しかし、同じ日の読売新聞の紙面では、「橋下氏と平松氏が横一線」とする世論調査結果が報じられている。朝日調査と比べると、全く異なる印象を受ける。
ある大手新聞社の大阪関係者によると、取材の感触としては「橋下氏が圧勝の流れ」だとして、朝日調査の結果の方が実態に近いのでは、との見方を示した。
前号で橋下氏への厳しい見方を載せた当の週刊文春の最新号(11月10日号)でさえ、大阪の下町を歩いてみると、「批判報道すら、橋下陣営にとって追い風になる勢いだ。エールを送る府民の多さに圧倒される」と舌をまいている。
橋下氏支持でも平松氏支持でもない、と話すある60代の大阪市民の男性は、
「橋下氏の強権的な姿勢に違和感をもつ人が増えてきた印象もあるが、一方で、閉塞感がある現状を変えてくれるのは橋下氏だ、と漠然と考えている人はまだまだ多いのも事実」
と話した。
大阪市長選は11月13日に告示される。ほかに前共産市議の渡司考一氏が立候補を表明している。渡司氏のサイトの「近況報告」欄では11月4日、「橋下前知事や維新の会の独裁と暴走にストップ掛ける(編注:原文ママ)ために全力を尽くします」と書いている。平松氏についての記載はない。
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◆橋下府知事に突然の「逆風」 新潮、文春で「暴露」系記事が相次ぐ2011-11-02 | 社会
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記者の目:大阪府市ダブル選挙=小林慎
◇将来像 堂々と論争してほしい
全国19の政令指定都市の中で第2位の人口(267万人)を持つ大阪市が27日、「政治決戦」を迎える。大阪府知事選と同日実施される市長選だ。仕掛けたのは10月31日付で知事を辞職し、市長選に挑む橋下徹氏(42)。「二重行政」解消を狙い、府と大阪・堺の2政令市を解体して「大阪都」に作り替える構想を掲げる。一方、再選を目指す平松邦夫市長(62)は「都構想は府県集権主義」と猛烈に反発する。対決ムードが高まる中、両陣営間では批判合戦ばかりが目立つ。大阪の将来を左右する重要な選挙なのに、もっと論議を深めることが必要ではないか。
◇大阪都に一本化
「東の東京都、西の大阪都で日本を引っ張る」
橋下氏が大阪都構想を提唱したのは昨年1月。最大の狙いは、産業振興やインフラ整備など広域行政の一本化だ。都知事一人に権限を集中することで、迅速な政策決定や統一的な経済成長戦略を打ち出せると主張する。大企業の本社が東京へ流出するなど大阪経済が衰退する中、世界の都市間競争を勝ち抜く「切り札」として提示した。
住民自治の面でのメリットも説く。大阪、堺両市の解体に伴い、市域は人口30万人規模の「特別自治区」という中核市並みの権限を持つ基礎自治体に再編する。橋下氏は大阪市役所を「基礎自治体としては大きすぎる」と批判しており、区長を選挙で選ぶ「区長公選制」を導入し、住民意思を反映させる考えだ。
ただし、構想実現には法改正が必要で、市長選に勝利しても、直ちに都ができるわけではない。識者から「特別自治区の間で財政格差が生じる」などと問題点を指摘する声も出ている。「統治機構を作り直す。これはすさまじい権力闘争だ」と語る橋下氏は、腹心の府議を擁立する知事選でも勝ち、世論をバックに国を揺さぶろうともくろむ。
◇連携・協議で十分
これに対し、平松氏は「基礎自治体の力を強める方向に行くべきだ」と反論する。高度な行政能力を備える政令市を中心に、住民ニーズを最も把握している基礎自治体の連携を進める構想だ。例えば大阪では、病気やけがで救急車を呼ぶかどうか迷った時の電話相談窓口「救急安心センター」という行政サービスがある。当初は市消防局が市内のみで実施していたが、現在は府内の消防と連携して全域にサービスを拡大した。都市連携の好例の一つだ。
平松氏は、二重行政の問題には「話し合いで解決できることはいくらでもある」とし、府と市などによる協議機関を設置して解消に努める考えを示す。住民自治の面では、(1)市内24区で地域の代表者らで構成する「区政会議」が予算編成に関わる制度(2)各小学校区単位で担当する職員を置く地域担当制−−を実現し、住民の声をくみ取るとする。
二重行政という問題は、大阪だけではなく、政令市を抱える全国14道府県に共通の課題だ。今回、大阪が論議の震源地となった背景には、大阪市の圧倒的な存在感がある。
大阪市は面積は府全体の1割に過ぎないが、府内総生産額(40.3兆円、08年度)の過半の21.6兆円を占める。東海道・山陽新幹線の全列車が停車する新大阪駅を抱えるなど交通の要衝であり、観光・ショッピングの施設も集中する。文字通り関西の中心地であるこの大都市で、都市計画など多くの権限を握るのが市役所だ。これが府庁には面白くない。府と市の歴代トップはこれまでも権限争いを繰り広げてきた。都構想も、府市確執の歴史の延長上にある。
◇都市考える好機
そんな空気も反映しているからか、両氏の論争は決してかみ合っているとはいえない。むしろ互いの批判・中傷合戦ばかりが目立つ。
たとえば橋下氏は「平松市長が再選すれば日本の不幸」(9月15日の集会)、「自らのバカげた幻想を何も理解していない」(9月24日のツイッター)、「何を言っているか分からない」(10月25日のラジオ番組)とこき下ろす。公人の発言としては違和感を覚えるほど攻撃的だ。
一方の平松氏は「大阪を独裁から守る」(10月29日の集会)などと橋下氏の政治手法批判を訴えの中心に据え、都市制度論を語ることは皆無に近い。「制度論は国次第だから」という理由だが、これでは同氏が考える大阪の将来構想が有権者に見えにくい。
社会構造が変化する中で、大都市のあり方を巡る議論は大阪だけの問題ではない。せっかく有権者に都市問題を考えてもらう貴重な機会なのに、選挙の勝敗を意識した互いの「ネガティブキャンペーン」ばかりでは、あまりにも非生産的だ。大阪の将来像について正々堂々と論争してもらいたい。(大阪社会部)
毎日新聞 2011年11月3日 0時20分
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November 4, 2011, 10:31 pm
前原政調会長のナンバー2 桜井政調会長代理が看破したTPPの本質
日刊ゲンダイ2011年11月4日
反対派勉強会に登場
<米国による乗っ取りの最後の仕上げ>
前原政調会長といえば、ガチガチのTPP推進論者。「不満が残る人に配慮していたら責任与党といえない」とか言って、反対派の怒りに油を注いでいたが、その前原は直属の“部下”からも反旗を翻されている。政調ナンバー2の桜井充政調会長代理が今月2日、反対派の山田正彦前農相が主催する勉強会に登場。交渉能力のない日本がTPPに参加した場合、米国のいいようにやられてしまう懸念を図解入りで、極めて具体的に指摘したのである。前原もこれじゃあ、形無しだ。
桜井が指摘したのはこれまでの日米交渉の歴史だ。「建築基準法の改正」「労働派遣法の制定」「会社法の改正」「大店立地法の制定」「司法制度改革」「第3分野の保険への外資の参入」。すべてが米国の圧力によって、米国に利するように改正、制定、開放されたもので、その結果、例えば、輸入住宅は1300戸→10万戸に増えた。労働派遣法で非正規雇用が増え、そうしたら、男の30%、女の20%が結婚できなくなった。正規雇用から非正規雇用に切り替えた大企業は浮いた金を株主に還元し、外国人に金が流れた。大店立地法でウォルマートが進出し、地方が廃れた。第3分野の保険は日本企業が扱えず、米国企業に独占され、日本の「危ない生保」はことごとく、外資に買収されてしまった。
桜井はこうした歴史的事実を取り上げて、「米国は非常に戦略的にやってきている。TPPの最大の問題は、日本の交渉力のなさなのです。TPPは交渉に勝てれば参加するべきです。交渉事で勝てないから、この辺を考えなければいけないのです」と結んだのだ。
自由貿易というと聞こえはいいが、そんな甘っちょろい話じゃない。日本は負け続け、どんどん、経済が廃れている。これが現実なのである。それが前原らにはわかっちゃいない。というより、前原を筆頭に霞が関の役人どもは、みんな米国ベッタリだ。そこが問題なのである。桜井政調会長代理に改めて聞いてみた。
「日本にとって守らなければいけない分野はどこか。そこを守るためにどうやって、交渉能力のなさを補うのか。議会の承認を得るようにするのも、交渉担当者にプレッシャーを与える方法のひとつです。こういう工夫を考えなければいけません」
そんな工夫ができればいいができっこない。だから、参加はダメなのである。
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TPP参加 中小企業でリストラ、廃業進むと森永卓郎氏指摘
NEWSポストセブン2011.11.05 07:00
賛成だ、反対だ、と政治家の間でも意見が分かれているTPP。テレビのニュースを聞いても、新聞を読んでも、やたら難しくて…という人が多いのでは。TPPに参加した場合、生活への影響もかなり大きそうな気配だが、日本経済を支える屋台骨である製造業には、どのような影響があるのだろうか。
まず、関税が廃止されることで車や家電などがいまよりも安く海外で販売できるようになり、輸出がさらに伸びることが予想される。
例えば、日本からアメリカへ自動車を輸出する場合、現在は2.5%の関税がかかっている。テレビの場合、最大で5%。
「TPPの参加には基本的に賛成」という立場から、慶応義塾大学大学院教授の岸博幸さんがいう。
「貿易を自由化することによって、GDP(国内総生産)は確実に増える。それはこれまで貿易を自由化した他国がGDPを伸ばしたという歴史が証明しています。もちろん農業などでデメリットもありますが、輸出を拡大できるメリットのほうが大きい」
お隣・韓国はすでにアメリカ、EUとの間で自由貿易協定を結び、関税は0%になっている。ただでさえ、ウォン安で韓国製品の人気が高まっているなか、日本としてはこれ以上価格で差をつけられたくない思惑もある。
内閣府は、TPPに参加することによってGDPが2.7兆円アップすると予測している。また、経済産業省は、もしTPPに参加しなければ、GDPが10.5兆円減少し、81万人以上の雇用が失われると予測して、TPP参加への旗を振っている。しかし、TPPで大企業は世界に市場を広げ輸出で稼ぐことができるが、中小企業は販売先が国内のまま。逆に海外企業との競争にさらされる。
経済評論家の森永卓郎氏は、こう指摘する。
「輸出で儲かるのは体力のある大企業だけです。一方で、中小企業が海外との競争に敗れると、リストラ、廃業が進む。TPPでは、安い人件費で働く外国の単純労働者の受け入れも自由化される可能性があり、雇用にとってプラスの影響はありません」※女性セブン2011年11月17日号
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◆『TPP亡国論』/怖いラチェット規定やISD条項(毒まんじゅう)/コメの自由化は今後こじ開けられる2011-10-24 | 政治(経済/社会保障/TPP) 中野剛志 . . .
◆「TPP」国会議員350名超がTPP参加反対表明/医療関係者、医療の市場化・国民皆保険制度の崩壊を懸念2011-10-24 | 政治(経済/社会保障/TPP) 全中の国会請願に過去最大の紹介議員数 . . .
◆TPP:反対請願の賛同議員(一覧) / TPP:参加反対集会にJAなど3000人2011-10-26 | 政治(経済/社会保障/TPP)
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