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絞首刑は憲法36条が禁じる「残虐な刑罰」に当たるのか/ くじ引きで選ばれた国民が、刑そのものを執行する

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絞首刑「合憲」 裁判争点で終わらせずに
2011年11月11日 11:17カテゴリー:コラム> 社説
 絞首刑は憲法36条が絶対に禁じるとしている「残虐な刑罰」に当たるのか。
 「絞首刑の残虐性」の憲法判断が争点となった大阪地裁の裁判員裁判で先週、一つの判断が示された。
 判決で裁判長は「絞首刑が最善の方法かどうかは議論はあるが、死刑は生命を奪うことによって罪を償わせる制度で、ある程度の苦痛とむごたらしさは避け難い」と述べ、絞首刑を合憲と判断し、被告に死刑を言い渡した。
 裁判員法は、憲法判断など法令解釈は「裁判官の合議による」と定めている。この裁判では、絞首刑の憲法判断が死刑選択の適否判断の争点となったため、裁判長が裁判員にも任意で意見を求めた。
 死刑の合憲性について、市民から選ばれた裁判員の意見を反映した初の司法判断である。死刑制度の是非をめぐる議論に一石を投じ、今後の議論の行方に影響を与える判決になるだろう。
 絞首刑「合憲」判断が示されたのは、2009年に大阪市で起きたパチンコ店放火殺人事件で、5人を死亡させ10人に重軽傷を負わせたとして、殺人罪などに問われた被告に対する判決である。
 裁判員裁判の死刑判決は、これで10件目となる。死刑が国民に身近な制度になったともいえる。裁判員に選ばれれば、誰もが死刑の適否判断を迫られる当事者になる可能性があるからだ。
 死刑とは、どんな刑罰で、どう告知され、どういう方法で行われるのか。国民の一人一人が現実を知ったうえで、死刑について多様な視点から熟考することが求められているともいえよう。
 異論はあるかもしれないが、そんな時代だからこそ、刑執行の実態をタブー視せずに、制度の存廃を含めた死刑制度の在り方をめぐる幅広い国民的議論が必要だと私たちは考える。
 今回の裁判は、その契機となり得る場だったが、争点が絞首刑の残虐性に絞られたため、論点が矮小(わいしょう)化され、死刑制度の在り方論にまで深まらなかった。
 絞首刑の違憲性立証に努めた弁護側に対し、検察側は「ガス殺や電気殺に比べて絞首刑を残虐とする理由はない」とした1955年の最高裁判決で「合憲は決着済み」として、反証を避けた。
 残念ではあるが、起訴内容を立証する場である個別事件の法廷で、死刑制度の是非や刑執行の合憲性を論じるのは限界があるのかもしれない。
 だからこそ、法務当局は不透明な部分が多い刑執行の実態に関する情報を可能な限り開示し、国会などでの議論に供すべきだろう。具体的な情報があってこそ制度の是非をめぐる議論は深まる。
 共同通信の昨年の世論調査によると、国民の75%は死刑を容認している。とはいえ、幅広い議論を通して国民が死刑制度の実態を知っておくことは必要だろう。今後も裁判員制度を維持していくのならば、死刑をめぐる議論を一裁判の争点で終わらせてはなるまい。=2011/11/11付 西日本新聞朝刊=
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「残虐」とは 絞首刑へ元検事の問い元検事の土本武司・筑波大学名誉教授
 日本で死刑の執行方法として採用されている絞首刑は、憲法の禁じる「残虐な刑罰」にあたるのではないか――。元検事が大阪の法廷で問題提起をし、死刑論議に一石を投じた。残虐とは何なのか。
 法廷で証言に立った元検事は、筑波大名誉教授で元最高検検事の土本武司。死刑を続けるかやめるかの論議では、存続派の論客として知られる。だが絞首刑については、検事時代に執行に立ち会った経験を語りつつ、「残虐な刑罰に限りなく近い」と語った。「死刑自体は違憲ではないが、絞首刑は違憲の疑いが強い」という立場だ。証言後、詳しく話を聞いた。
■薬物注射を検討すべき
 憲法は死刑自体を禁じてはいない、と土本は判断する。憲法31条に「何人も、法律の定める手続によらなければ、その生命若しくは自由を奪われ」ない、とあるからだ。だが、「残虐な刑罰」を禁じた憲法36条がある。残虐とは何か。土本は3点から検討した。(1)不必要な精神的・肉体的苦痛を与えるか(2)肉体に損傷を与えるか(3)一般人の心情で「むごたらしい」との印象を受けるか。
 (1)と(2)については、「死刑囚は一瞬で意識を失い窒息する、と以前は思っていた。だが複数の研究で、数秒から数分間は意識を保つ可能性があること、首の内部組織が断裂したり首自体が切れたりする可能性があることが分かってきた」とした。
 (3)については、自身の体験を踏まえてこう語った。「後ろ手錠をされ、両脚をひざで縛られた死刑囚が、踏み板が外れると同時に自分の体重で落下し、首を基点にしてユラユラと揺れていた。あれを見てむごたらしいと思わない人は、正常な感覚ではない」
 代替策として、薬物注射による執行を検討すべきだとする。「意識を失わせる薬を注入し、次に筋弛緩(しかん)剤などを入れる。現在の科学力ならば、苦痛・損傷・むごたらしさを減らし、残虐性を薄めることは可能だ」
 死刑制度を維持している米国の各州では、薬物注射の採用が広がっているが、執行方法をめぐる議論はなお続いている。
■「法的に定義不可能」
 東京大学教授(法哲学)の井上達夫は、「憲法が残虐な刑罰を禁じる根拠が分かりにくい」と語る。
 そもそも残虐を法的に定義することは不可能だとも指摘する。「あまりに主観的な概念であり、『わいせつ』と同様、多数派の価値観を少数派に押しつける結果になりかねない。法に書きこむべき言葉ではない」
 井上はこうも話す。
 「仮に『誰も心が痛まない殺し方』があるとして、それで良心の呵責(かしゃく)なく死刑を進められる社会状況が来る方が、私は怖い」
 暴力論などで知られる評論家の芹沢俊介は、米国映画「チェンジリング」の絞首刑シーンが印象に残っている。被害者の母親が、執行を無表情に見つめていたからだ。「むごいと思われる行為が、むごいとは認識されずに進んでいた」
 それはどのような状況なのか。「一つの可能性は、怒りの感情などによって、むごさが求められているケースだ。怒りが大きくなるほど、求められるむごさの度合いも高まる」
 そういった事態に、憲法にいう「残虐」という言葉を投げかけてみることで、怒りと残虐志向の連鎖に第三者がブレーキをかけられる可能性がある、と芹沢は考える。「ある行為がどういう意味で残虐なのかを、様々な角度から具体的に考える足がかりになる」
 残虐とは何か。市民が死刑についての判断を迫られる裁判員時代の今、避けて通れない問いになりつつある。(塩倉裕)
    ◇
■憲法36条
 公務員による拷問及び残虐な刑罰は、絶対にこれを禁ずる。
■大阪の裁判
 絞首刑が違憲かどうかが問題になったのは、大阪市のパチンコ店で5人が死亡した放火殺人事件。裁判員裁判では初めて死刑の違憲性が争われた場でもあった。大阪地裁は先月31日の判決で、「絞首刑は前近代的なところがあるが、残虐な刑罰とはいえない」などとして、「合憲」と判断。被告に死刑を言い渡した。asahi.com2011年11月11日11時44分
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中公新書『死刑囚の記録』
 ただ、私自身の結論だけは、はっきり書いておきたい。それは死刑が残虐な刑罰であり、このような刑罰は禁止すべきだということである。(中略)
 死刑の方法は絞首刑である。刑場の構造は、いわゆる“地下絞架式”であって、死刑囚を刑壇の上に立たせ、絞縄を首にかけ、ハンドルをひくと、刑壇が落下し、身体が垂れさがる仕掛けになっている。つまり、死刑囚は、穴から床の下に落下しながら首を絞められて殺されるわけである。実際の死刑の模様を私は自分の小説のなかに忠実に描いておいた。
 死刑が残虐な刑罰ではないかという従来の意見は、絞首の瞬間に受刑者がうける肉体的精神的苦痛が大きくはないという事実を論拠にしている。
 たとえば1948年3月12日の最高裁判所大法廷の、例の「生命は尊貴である。一人の生命は全地球より重い」と大上段に振りあげた判決は、「その執行の方法などがその時代と環境とにおいて人道上の見地から一般に残虐性を有するものと認められる場合には勿論これを残虐な刑罰といわねばならぬ」として、絞首刑は、「火あぶり、はりつけ、さらし首、釜ゆで」などとちがうから、残虐ではないと結論している。すなわち、絞首の方法だけにしか注目していない。
 また、1959年11月25日の古畑種基鑑定は、絞首刑は、頸をしめられたとき直ちに意識を失っていると思われるので苦痛を感じないと推定している。これは苦痛がない以上、残虐な刑罰ではないという論旨へと発展する結論であった。
 しかし、私が本書でのべたように死刑の苦痛の最たるものは、死刑執行前に独房のなかで感じるものなのである。死刑囚の過半数が、動物の状態に自分を退行させる拘禁ノイローゼにかかっている。彼らは拘禁ノイローゼになってやっと耐えるほどのひどい恐怖と精神の苦痛を強いられている。これが、残虐な刑罰でなくて何であろう。
 なお本書にあげた多くの死刑囚の、その後の運命について知りたく、法務省に問い合わせたところ刑の執行は秘密事項で教えられないとのことであった。裁判を公開の場で行い、おおっぴらに断罪しておきながら、断罪の結果を国民の目から隠ぺいする、この不合理も、つきつめてみれば、国が死刑という殺人制度を恥じているせいではなかろうか。
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論壇時評【「神的暴力」とは何か 死刑存置国で問うぎりぎり孤独な闘い】(抜粋)
 日本は、「先進国」の中で死刑制度を存置しているごく少数の国家の一つである。井上達夫は、「『死刑』を直視し、国民的欺瞞を克服せよ」(『論座』)で、鳩山邦夫法相の昨年の「ベルトコンベヤー」発言へのバッシングを取り上げ、そこで、死刑という過酷な暴力への責任は、執行命令に署名する大臣にではなく、この制度を選んだ立法府に、それゆえ最終的には主権者たる国民にこそある、という当然の事実が忘却されている、と批判する。井上は、国民に責任を再自覚させるために、「自ら手を汚す」機会を与える制度も、つまり国民の中からランダムに選ばれた者が執行命令に署名するという制度も構想可能と示唆する。この延長上には、くじ引きで選ばれた者が刑そのものを執行する、という制度すら構想可能だ。死刑に賛成であるとすれば、汚れ役を誰かに(法相や刑務官に)押し付けるのではなく、自らも引き受ける、このような制度を拒否してはなるまい。(大澤真幸 京都大学大学院教授)
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死刑とは何か〜刑場の周縁から


小沢一郎裁判は本当に「どこかが狂っている」のか? 元検事・郷原信郎×元代議士・早川忠孝〈2〉

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小沢一郎裁判は本当に「どこかが狂っている」のか? 元検事・郷原信郎×元代議士・早川忠孝〈1〉 からの続き

■政治資金規正法に浮かび上がる問題点
亀松: 「小沢一郎元代表について」。非常に抽象的なテーマがここには出ていますが、もともとわれわれが用意していたのは、郷原さんがこの前の番組の時に、「別に自分は小沢さんを政治家として評価しているわけではなく、ひいきしているわけではない」と言ったことについて、早川さんがブログで「郷原さんは、どちらかというと、小沢弁護団の理論的主柱の1人のように見える」と。要はひいきしているんじゃないかという風にブログで書かれたということで、それを用意していたんですが、これは最初に(出てしまったので)・・・。
郷原: その点について一つ補充するとですね。
亀松: お願いします。
郷原: さっき、私が民主党から参議院議員選挙に出るように言われて、それは結果的に出なかったけど、という風に言われていますけど、これは重要な経過が抜けているんですね。私は去年の1月、2月の始めでしたか、石川さんたち秘書3人が起訴されて、それと同時に小沢さんが不起訴になりましたよね。その時に小沢さんが「公正・公平な検察捜査の結果と受け止めている」という発言をされた。あれを徹底的に朝日(新聞)の「私の視点」に書いて批判しました。そういうことを言ったら、要するに秘書が起訴されて、それが人身御供になって自分が不起訴になったという風にしか受け取られないじゃないかと。もともと秘書3人が逮捕された時に、民主党大会で民主主義に対する重大な脅威だとまで言い切ったんですよ。それを自分が不起訴になった途端に「公正・公平な検察の捜査の結果と受け止める」、そんなやり方、そんな考え方をしていたら誰も信用しないよという趣旨のことを書いたんですよ。
 そしてその後、確かに参議院議員選挙で、ある民主党の主要な方から「出てくれ」という話はありました。その時に断った理由も、私は総務省の記者会見の場で質問を受けたんで明らかにしました。「検察の捜査の結果を公正・公平だなどと受け止めると。自分の秘書が起訴されているのに、そういうことを言う人は信用できない。だから私はそんな人が幹事長をやっている党から出られるわけないじゃないですか」と言ったわけですよ。そういう経過もあって、私は逆に小沢氏サイドからは「この人は小沢さん嫌いなんだ」という風に見られているそうですよ。
早川: なるほど。
郷原: 確かに、私が言ったことが、私が「サンデープロジェクト」(テレビ朝日)などで発言したことが、小沢弁護団とか、小沢さん側に非常に参考になったと言われるのはあります。それは何かというと、西松建設事件の大久保(隆規、小沢氏の元公設第一秘書)さんが逮捕された時の検察の逮捕事実、他人名義の寄付がどうのこうのという話です。要するに原資が西松建設から出ているのに、それを西松建設のOBが代表を務める政治団体からの寄付と記載したことが虚偽記入であるような逮捕事実だったのでそれはおかしいと。原資の問題というのは、基本的に政治資金収支報告書の寄付の記載とは関係ないということを、あの時はテレビでも明確に言ったんですよ。その考え方は小沢さんの側からは、これは当然のことだと思うんですけれども、明確に言ってもらって非常にありがたいという風に思われたと思います。でもそれは事実じゃないですか、そうじゃありません? それは何か違いますか。先ほど政治資金規正法については、立法にも携われたと仰っていましたよね。そういう前提でつくられていますね。
早川: 今言われた西松建設で、大久保被告を逮捕されたということで、一番その先頭を切って理論的な問題点の指摘をされました。あれが基本的には民主党の方々についての、支えになったんだろうということはもうその通りだと思います。
郷原: それは私が間違ったことを言って、不当に小沢さんの側を有利にしたというのであれば、それは何か言われても仕方がない。それはどうなんですか。
早川: それはないのですが、ただあの発言で民主党の人たちが、元検察官、弁護士、大学の先生という郷原さんを本当に頼りにされて、結果的にはいろんな人が郷原さんの意見を聞くようになったんだろう。あれがきっかけなんだろうと思います。
郷原: いや、だからそれが何か問題があるんですか。
早川: ありません。それは当然のことでいいんです。ただ理論的な支え、一番大事なポイントを指摘してきているのは、常に郷原さん。
郷原: あの頃、二階(俊博:衆院議員)さんのほうもいろんな捜査の対象になるならないという話がありましたよね。私はちょうどあの時期に、和歌山県にいろいろ公共調達の関係でお世話していたんですよ。自民党の県議団の人たちから講演に呼ばれたことがあったんです。その時に随分心配されていて、二階さんがやられるんじゃないかという風に言われていたんで、「いや、もし何かあったら、いつでも言ってください。同じような問題があるんで、私はそれが犯罪になるかどうかについては、いくらでもアドバイスしますよ」と、そういう風に言いました。そうしたら、すごくありがたがってもらいました。県議会議員のすごく重鎮の人が、和歌山で本当に心配されていて。私は別に民主党だろうが自民党だろうが、検察の不当な捜査の対象になったらそれは当然言いますよ。それは何も私は問題ないと思うんですけど。
早川: 問題ありません。これも弁護士として当然のことなんですが。郷原さんは弁護士として裁判所の法廷にこの5年間で出たことはあります?
郷原: ありません。
早川: 弁護、刑事弁護はあります?
郷原: 私は具体的な刑事弁護は全くやっていません。
早川: されていませんよね。
郷原: はい。
早川: ですから多分、郷原さんの物の見方というのは、やっぱり調べる検察官の目というのが基本だろうと僕は思っています。
郷原: それはそうですよ。私の経験ですし。
早川: おそらく。ですから西松建設の事件について、あるいはその後の小沢秘書の石川さんの逮捕とか、そういったことについていろいろ発言されているのは、今の検察官、今の特捜の捜査の仕方が、自分が考えているのとは全く違うと、こういうことに原点があるんじゃないかと。
郷原: それは別にいろいろなやり方があって、Aというやり方をする人もあれば、Bというやり方をする人もある。その選択の問題であれば、私は別に文句は言わないですよ。そうじゃなくて、あまりにお粗末だから言っているわけじゃないですか。
早川: そうでしょう。
郷原: だって大久保さんの逮捕の時にみんな言ってたわけですよね。こんなものだけで終わったらとんでもないことになる。平沢勝栄(衆院議員)さんだって言っていましたよ。「これ、もしこれで終わったら、大変なことになるよ」って。あのサンプロ(サンデープロジェクト)の控室で言っていましたよ。
早川: なるほどね。
郷原: ところが、結局それで終わっちゃいましたね。でも何も大変なことにならなかったですよね。なぜなんですか。
早川: どうなんでしょうね。郷原さんの「検察捜査論」なんかで、戦略的捜査論で仰っているのは、政治資金規正法違反あるいは公職選挙法違反事件、そういうところには、その後ろに暗数がごまんとあるそうです。
郷原: そうです、そうです。
早川: 要するにたくさんの犯罪になってもおかしくない事件というのがあるんだけれども、検察の捜査能力、言ってみれば捜査資源を有効に活用するという観点から考えると、そんなにたくさんの金をかけたりできないだろうという中で、結果的には西松建設の事件が一つのきっかけになった。でもそのきっかけになった理由は、どうやらその公訴時効の問題が大きかったと。
郷原: それは言い訳ですよ、言い訳。だって政治資金規正法の問題は、処理上の問題というのは山ほどありますよ。先ほども言われたように、もし個別具体的なやり取り、金の出し入れを全部記載しないといけないということになったら、そういう解釈を取ったら、おそらくほとんどの政治家が政治資金規正法違反に問われると思うんですよ。そのぐらい考え方によってはいろんな違反が考えられます。しかし、それを意図的にこんな軽微なものでも、この政治家についてはやるぞという風に捜査機関が狙いを決めてやったら、それこそ不当な捜査への介入じゃないですか。だから、やはり悪質で重大性を持った違反に限定して摘発をしないと、政治家に対する捜査として公正とは言えない、これは当たり前だと思いますよ。法務省でももちろんそういう考え方を取っていますし。
早川: それは、基本的には長崎地検の次席検事をされた時に、自民党の長崎県連のパーティーを摘発をされた。結果的には業者に対して公共事業の受注額に応じて、献金・寄付を割り当てたということあたりが・・・。
郷原: そう大雑把な話じゃないんです。あれは県連が表の金・裏の金両方で公共工事、県発注の公共工事に応じた寄付を自民党の県連が受けていた。
早川: ということのようですね。
郷原: それの裏金だけで2000万、2800万ぐらいに上っていたという事件と、もう一つは1億5000万ぐらいの政治資金パーティー券の収入のうち7000万ぐらいを裏に隠して、これは自民党の幹部なんかも含めて、いろんな物を買ってあげたり、何百万という壺とか、いろんな物を買ってあげたり、お土産を渡したり、県連の幹部の飲み食いに使ったりというような、まさにその実態悪を伴っていた。そういう政治資金規正法違反があったから、われわれはそれを捜査の結果明らかにした。だからそれは十分に摘発にあたる違反の捜査だったという風に、われわれは自信を持っています。そういうような話だからなんですよ。
早川: それが大体6カ月ぐらいで事件の捜査をおやりになったのですね。だから、あの段階では極めて効率的に成果を挙げることができた。だけど郷原さんがお書きになっていることからすると、全国でも同じようなことがあるだろうと言われてましたね。
郷原: 同じようなことじゃないですよ。同じようなことじゃなくて、もっと軽微なものも含めれば、政治資金規正法違反というのはあるはずだということです。
早川: そうですね。広島でもそうだった。長崎でもそうだった。ご自分が一番そういうことには詳しいんだと。
郷原: むしろ政治資金規正法の枠組みをお作りになったのであれば、私は総務省の顧問として政治資金の担当課長といろいろ話しました。その時彼らといつも言っているのは、本来は政治資金規正法の実務について、いきなり捜査機関に違反の摘発を委ねるんじゃなくて、やはり専門機関を作って、何が悪質なもので、何が刑事罰に値するものなのかということについても、その専門機関が一次的な判断をする。そして最終的に「これは悪質、重大だ」というものが、犯罪捜査の対象になるという枠組みを作らないと、捜査機関が不当に政治に介入することになる。諸外国では基本的にそういう枠組みを作っていますよね。もちろんご存知ですね。
早川: まさにその辺なんです。私自身が政治資金規正法の改正作業に従事している段階で、それこそ総務省あるいは衆議院の法制局、あるいは多分法務省等も関与しているんでしょう。議員が立法します。ところが議員の立法というのは実にずさんというか、公正を・・・。
郷原: いや、だから弁護士の早川さんなどがもっとしっかり、そういう枠組みを諸外国の立法でも参考にして、制度論も参考にしてやってもらわないと困るじゃないですか。
早川: 本当です。だから形式的に言うと構成要件に該当することがたくさんあるような、そういう立法になっていることに、結局議員立法の限界があり、現在の政治資金規正法はうっかりすると、どんなものでも摘発の対象になりますよということが、私は前々から指摘していることなんです。
■ニコニコ生放送は小沢氏に批判的な人を呼ばない!?
亀松: また話がすごい熱く、なかなか次に進めない感じなので・・・次のテーマに進みたいんですが。今のお話のきっかけが、郷原さんが小沢さんをひいきしてるんじゃないかというところから広がっていったんですが、それについて早川さんがブログに書かれた時に、同時に、実はニコニコ生放送のことについても言及していらっしゃいます。「ニコニコ放送というのは小沢氏の単独インタビューなどを好んで報道するようで、私のように批判的に小沢氏の一連の行動を見ている人間にはお呼びがかからないが、郷原氏の所論はどうにも決めつけが過ぎる」と。
 つまり、小沢さんを批判している人にはお呼びがかからないというようなことを書かれているんですが、これについて反論というか説明をさせていただくと、必ずしも小沢さんに対して批判的な人たちに声をかけていないわけではなくて、例えばよくテレビにも出てこられる元検事の若狭(勝:弁護士)さんなんかは、実際にオファーをしたこともあるんですが、なかなか出てくれないというのが現状でありまして。どうしても今、何となく小沢さんはネットの方に出て、新聞テレビを敵視するみたいな構図に見えてしまっているのもあるかも知れないんですが、われわれとしてはそういう意図でやっているわけでは全然ないです。自民党の議員の方はいろんな番組でたくさん出ていらっしゃるので、ぜひまた別の機会に、こういう対立するようなものがあったら出ていただければと思います。
早川: ありがとうございます。私は小沢さんがこのニコニコさんを非常に大事にしている。あるいは上杉(隆:フリージャーナリスト)さんという方も、ニコニコで自分のいろんなことを発信されているということがありますので、そういう意味ではニコニコというのは、「小沢さんニコニコ」なのかなと思いましたけども。私を呼んでいただいたということはそうじゃないという風に思います。結果的に小沢さんが出演された時は当然小沢さんに出演料をお払いになっているでしょうから。
亀松: いえいえいえ。
早川: そういうことはないんですか?
亀松: はい。基本的に政治家に出ていただく時はそういう(出演料を払わない)形です。
早川: ああそうですか。なるほどね。ちょっとそれは問題が若干ありますよね。政治家が例えば無料で出演し、あるいは自分の宣伝をして、あるいは場合によっては応援をする、支援するということになったら、これは若干、宣伝に使ったということになっちゃいますので。
亀松: そこは別に特に小沢さんだけを特別扱いしているわけでは全くなくて、逆に何て言うんですか、利益供与というかそういう形になっても好ましくないので。あくまでそれは報道という形で公平に全ての・・・。
早川: なるほど。そこら辺はぜひ気を付けていただいた方がいいと思います。
郷原: そういうことであれば、ちょっと早川さんにも気をつけていただきたいのが、私の事を決めつけが過ぎると言われるのであれば、ここに書かれているように、「第三者では通常入手し難い、小沢氏側のさまざまな資料にも目を通されているようだ」ということを何の根拠もなく言われるのは、ちょっと決めつけが過ぎるんじゃないかと思うんですけど。
早川: なるほど。
郷原: 何も私は資料なんか見てませんよ。
早川: 例えば検察弁護側の冒頭陳述書なんかはお読みになるんですか?
郷原: そうですね。冒頭陳述見ますよ。当然。
早川: 見ますよね。どこから入手されるんですか。
郷原: マスコミですよ、当然じゃないですか。
早川: マスコミをご覧になる。だから資料がわれわれみたいに全く部外者には入手出来ない。
郷原: 冒頭陳述ぐらいはその場に行けば聞けるわけですから。別に小沢さんからもらわなくたっていいです。
早川: ただ、そうは言っても結果的には郷原さんのところに相談に来られる方も当然・・・。
郷原: 個別に相談に来やしないですよ。先ほども言ったように、私が行っている民主党の勉強会の場でお話をしたことが参考にされているかも知れませんけれども。別に何も具体的な、個別的な資料に目を通したわけでも何でもない。あくまで私は一般論として言っているだけですよ。しかも・・・。
早川: そうなると結局手持ちの資料があまりないままに、それぞれ発言をしているということになっちゃいますからね。
郷原: 資料なんかいらないんです。例えばさっきの寄付の名義人。寄付の名義人というのは、それは寄付の行為をした人間なのか、それとも原資を出した人間なのか、これは政治資金規正法上は、寄付の行為をした人間が寄付の名義人なんだという当たり前の解釈ですよね。私が言っているのは、それを公の場で言っただけの事であって、別にそんな資料に目を通さないと分からないことなんか一つもないですよ。少なくとも小沢さん側からの、そんなに個別的な事件の中身についての資料なんか一切見てません。
 それを「目を通されているようだ」という風に書いてあって「こういう背景があることが分かると、郷原氏が極力中立公正な第三者に立って、冷静かつ客観的に小沢裁判を論評しているのだと言われても、直ちには納得し難い」って、何で納得し難いのかさっぱり分からないですね。「分かるぞ」って言われるけれども、何にも分かってもらっても困るわけですよ。何にもそんな事実がないのに。何の論拠も根拠もなく・・・ということじゃないかと思うんですけど。決めつけるということの意味が全然分からないんです。
早川: どういう風に見えるかという見方を一応ご説明をしただけの話ですから。結果的には例えば西松建設のいわゆる政治団体を迂回しての献金と。これは第三者の名義を使っての迂回献金は違法だというのが政治資金規正法に書いてあるわけですよね。
郷原: いや、書いてないですよ。迂回献金が違法ってどこに書いてあります?
早川: いや、それは書いてありますよ。
郷原: 書いてませんよ。迂回献金ってどこの条文に書いてあります?
早川: 第三者、匿名寄付。そういったことが・・・。
郷原: 他人名義の寄付です。それは他人名義の寄付というのは、寄付者というもの自体を偽った場合ですよ。寄付者、寄付行為者自体を偽った場合。
早川: だから、そこで寄付行為者を偽っているか否かという法律問題の解釈は、最終的には裁判所が認定をする事実です。
郷原: 迂回献金じゃありません。迂回献金は検察が何回かやろうとしたけど、あれは現行法上は違法とは言えないんです。だから、あれで自民党助かったじゃないですか。あの日歯連の事件(2004年の日本歯科医師連盟をめぐる汚職・横領、政界への闇献金などが発覚した事件)の時もそうじゃないですか。
早川: だから日歯連の事件とか何とか、いろんな事件があってどこまで立件をするのかということについて、私も衆議院参議院の法務委員会で答弁者、改正法についての提案者ですから質疑をしました。ですから、こういう大変な法律が条文としてあるんだということに気が付きました。
郷原: 何の条文ですか?
早川: 多分、日歯連の事件の関係でさまざまな・・・。
郷原: いや、条文は別にないんですよ。要するに基本的に収入というのはこういうものでということが定義のところに書いてありますよね、政治資金収支報告書。その収入の定義からすると、寄付というものは、例えば具体的にお金を渡したとか、振込を行ったという外形的な行為者を寄付者と言うとしか解釈出来ない。これがもう政治資金規正法の最もベースな解釈じゃないですか。
早川: 郷原さんはそういう法律の解釈をします。ですけど最終的にはやっぱり裁判所が判断をし・・・。
郷原: それは・・・総務省の地方の選管(選挙管理委員会)にいらしたんじゃないですか。そこも否定されるんですか?
早川: それから最終的には最高裁が判断をするという、法律事項については立場によって何が有権解釈かといこと事については、決定しづらいところがあります。
郷原: じゃあどう書いたらいいんですか。今のですね、例えばAさんがBさんからお金をもらって、Cさんに寄付をしたという時に、Cさんは実はBさんがお金を出していることを知っていた。持って来たのはAさん、お金はBさんが出しているという時に、どっちと書いたらいいんですか。寄付者はAですか? Bですか?
早川: その判断はやっぱり、その時々で変わるんだと思うんですけども・・・。
郷原: その時々に変わったんじゃ、収支報告書の記載のしようがないじゃないですか。
早川: だから現場では会計士さんもですね・・・。
郷原: 会計士さん、分からないです。
早川: 分からない。書き方がまるっきり分からないです。
郷原: 会計士さんに相談したって全然ダメですよ。政治資金規正法の考え方の問題ですから。
早川: ところが総務省も分からないんです。自分が作った法じゃないから。
郷原: 総務省はいろいろ法務省との間で気を遣って、公然とは言いませんけども、これはもう実質的には明らかですよ。
■小沢強制起訴は、検察の暴走なのか
亀松: すいません。かなり話が専門的にちょっとなってきましたので。一般の人たちのために分かりやすい論点ということで「今回の事件は検察の暴走なのか」。これは秘書の大久保さんが逮捕された直後に、郷原さんが日経ビジネスオンラインの記事で「ガダルカナル化している検察」というようなコラムを書かれていまして、それをまた早川さんが引用するような形で批判をされている。このガダルカナルというのは有名な(太平洋)戦争の、日本軍が突き進んでしまったもの(戦い)ですけれども、それを比喩としていわゆる検察が暴走しているのではないかということを郷原さんは仰られていて、それに対して早川さんは「そうではないんじゃないか」と仰られているということで。この論点についてお話いただければと思います。
早川: 検察の暴走とか何とかということは、検察の内部にいた人でないと判断はしづらいことだと思います。というのは、何らかの違法行為について違法行為の疑いを持って捜査をし、その捜査の成果が上がらなかったので、次にほかのことをやったと。でもそれが行き過ぎたから、もうそれ以上やってはいけないところで引き返すべきだったのが、組織の決定として引き返せなかったと。こういう風な中身がお分かりの人は「暴走」と言うでしょう。ですけども一般的にわれわれは西松建設について、大久保さんが逮捕されたという事実しか、その時点では分かりかねます。結局、その時点においての検挙された被疑事実というのは何か、それに伴って必要な証拠が出されているかどうか、これだけを判断をして暴走かどうかを考えざるを得ないわけです。
 中におられる人は「もうここからは暴走だ」と仰るかも知れません。それから、もしこの大久保氏は起訴されなければ、その逮捕が結局は逮捕すべきじゃなかったということになるかも知れません。ですけども結果的に起訴されました。無罪になれば、ひょっとしてこの逮捕起訴が間違っていたということになるかも分かりません。ですけども既に有罪判決、執行猶予付きの禁固刑判決が出ているということは、裁判所の一つの判断としては、そこまでの判断が出るような証拠があり、それに伴っての捜査が行われたということですから、これは敗戦撤退戦のガダルカナルじゃなくて、検察はよく仕事をしてきたという証拠になってしまうと思うんです。
郷原: 検察の起訴は、一切間違いはないんですか。
早川: いや、あります。それは間違いはあります。
郷原: それじゃ間違いがあるという指摘は、裁判所しか出来ないんですか。
早川: いや、ある程度判断資料が整えば、それは間違いを・・・。
郷原: だって出さないじゃないですか。検察は資料は自分で抱え込んで外には出さない。じゃあ、どうやって批判をするのか。私は内部資料を見たわけではないけども、少なくとも外形的に見た時に先ほど申し上げた解釈、まず政治資金規正法の解釈からして、それはダミーというところに持って行かざるを得ないんだろうけども、ダミー性というのは非常に微妙だったと思います。それは西松建設の内部調査報告書を見ても、何か給料とかボーナスを上乗せして、その部分を実質的に会社から出していたんだと。それがその政治資金の寄付に回っていたんだということを検察は主張していましたけども、西松建設の内部調査の報告書だと、決してそういう関係になってませんよ。どれだけのお金を出すかというのはあくまで任意です。西松建設の内部調査報告書というのも貴重な資料じゃないですか。そういったことも含めてダミー性にも問題がある。しかも政治資金収支報告書の解釈上の問題がある。これを指摘するのは当たり前じゃないですか。私はだから暴走だと言っているんです。
早川: そこを暴走と決めつけるのか、問題があるという風に問題点を指摘するのか、この表現方法の問題もあると思います。
郷原: もう一つ「暴走」と言ったのは、誰しも世の中のコメンテーター・識者がですね「これだけのものであれば絶対、総選挙が近い時期に野党の第一党の党首の秘書を逮捕しないだろう」って皆、口をそろえて言ったわけですよ。「こんなもので、これだけで逮捕するわけないじゃないか」と言ったわけです。おそらく早川さんの周りでも、そういうことを言われた人はいたはずです、平沢勝栄さんだってそうですから。それを実際には、それだけで済ませてしまった。結局、ほかにもっといい犯罪があるはずだということで一生懸命捜査した事実があることは間違いないですよ。たくさんの応援検事を動員して、東北地方のゼネコン担当者とか談合屋、あの人たちを次から次から調べて、ずいぶん昔の高橋(嘉信:元衆院議員)さんが秘書の時代のことまで調べた。そんなことまでやったけども、結局何も出てこなかった。出てくるわけがないということは、私は最初からサンプロ(サンデープロジェクト)に出始めた時から言ってました。出てくる当てもないものを、小さな事実でつかまえて、何とかしてもう少しいい犯罪を引っ張り出そうということで、無理に無理を重ねて、結局何も出来なかった。こういうのを典型的な暴走と言うんじゃないんですか。
早川: 今の検察の中で、どの程度の証拠収集を、どの位の時間をかけて、何人ぐらいでやったのかということについては、私は分かりません。分からないけれども、政治資金規正法違反あるいは公職選挙法違反という非常に茫漠とした闇の世界について、端緒をどこで取るかということが、結果的には政治資金規正法違反ということで、政治と金の流れ、政治資金の流れを透明化しなきゃいけない、そこで出たわけです。
郷原: だからその端緒はいいですよ。その後にもう少し処罰価値のある、ちゃんとした事件に持って行けるという見通しがあったから捕まえたのだろうと誰しも思ったわけですよ。
早川: 誰しも思った人もいるんでしょうけども、でも・・・。
郷原: では早川さんは思われなかったんですね。あれだけの事実で、あれだけのたった2800万円の他人名義の寄付で、野党第一党の党首秘書を捕まえることも全然おかしくない、違和感は何もなかったんですね?
早川: これはあくまで報道で知るだけですけども、われわれは政治献金をお願いするとしても請求書は出しません。割り当てで請求書を出したり、あるいは選挙の手伝いを割り当たせることもないと思います。
郷原: 請求書の話もその当時マスコミが報道している話ですよね。しかも請求書を出す出さないということが、具体的にどういう事実関係のもとで請求書を出していたかということが、その時点ではまだ分からないじゃないですか。それは事件の評価とは直接関係ないですよ。
早川: それは結局、政治家のあるべき姿がそこに垣間見えるからです。というのは、政治資金規正法の改正で、かつては個人の政治団体に対して企業の政治献金が許されていました。それが政治資金規正法をどんどん改正して強化をしたということの中で、政党あるいは政党支部に対しての企業、企業団体の献金しか認めないということにしました。結果的にはその法律改正を受けて、言ってみればその法律の網をくぐるための一つの施策、手段として。
郷原: だからそれは一つの考え方ですよ。それは・・・。
早川: その大きな流れを考えると、それは大きな問題。
郷原: 最初から2800万円の逮捕事実しかなかったのが――2800万円しかなかったのは、そういう政党支部の部分を除外してたんですよね。ところが最後あまりに金額が少ないから、政党支部に対する西松建設の団体からの寄付も一緒にして3500万円にした。結局もうとにかく苦し紛れで起訴に至ったという経過は、どう考えても明らかですよ。
早川: どう考えても明らかかどうかについては、私は必ずしもそう思わないので。あくまでもこれは判決をしっかりと見守るしかないだろうなと思っています。
郷原: 特捜部に極めて甘い裁判所というものを前提にしたら、特捜部の暴走というのはないということになりますね。
早川: どうなんでしょう。本当に特捜部に甘い裁判所というのはあるんですか。
郷原: 甘いです。甘いです。極めて甘いです。
早川: どういうことで甘い、なんですか。
郷原: 刑事事件の弁護、特捜事件の弁護をなされたことあります?
早川: ありません。
郷原: 私は少なくとも特捜事件の捜査に関わったことと、具体的なその特捜事件の弁護に関わった人からたくさん話を聞いてます。
早川: 私は特捜部の事件で有罪判決を受けた人の話はたくさん聞きました。
郷原: 皆納得してますか? 検察の捜査に対して、そして有罪判決に対して皆納得してますか?
早川: いや、皆さん納得していません。
郷原: そうですよね。納得していませんよね。
早川: そういうことです。
■「政治家としての責任」と「被告人としての権利」
亀松: また話はすごい盛り上がっているんですけれども、実は今回の番組は1時間という予定で、もうその1時間があっという間に過ぎてしまうということで、本当に少しだけ延長して番組を閉めたいなと思います。ユーザーの皆さんからの質問を二つ、こちらで読み上げて、お答えいただきたいと思います。
 まず一つ目、これは早川さんにお答えいただきたいんですが、福岡県の男性からです。マスコミの報道で「小沢氏は土地購入の4億円について、どうやって稼いだお金なのか説明しないといけないという話を何度か聞いたことがありますが、それはあくまで政治家として有権者に説明した方がいいということであって、法的に裁判所で説明しなければいけないことではないような気がします。小沢氏は裁判でその土地購入に使った4億円をどうやって稼いだのか、その原資について説明しなければいけないのでしょうか?」という質問が来ています。
早川: これは弁護の方針の一つとしてどう考えるかですけども、結果的には、外形的に出処不明だとこういう風に批判されている。それについてずっと黙秘するということになると、裁判上「この人は本当のことを言っていない」と「説明をしていない」という評価になる可能性があるので、これは裁判上はやはり説明した方が得です。説明出来るのであれば、間違いなしに。そういう意味では説明しない方でいいと言っているのは、僕は間違いだろうと思います。それから当然、政治家としては、自分で一般の国民の皆さんから疑念を持たれていることについては、国会の場で本来的に説明を十分すべきであって、それを途中で断ち切ったり、自分の納得出来ないような質問は一切受け付けないのは良くないことだと思います。
亀松: はい、分かりました。
郷原: いや、その4億円が何かいかがわしいお金であるということを、検察が何らかの形で、推認でも何でもいいですよ、どんな薄い証拠でもいいですけども、実証しているのであれば、それを反証しないと説明しないと不利な推定を受けますよというなら分かりますよ。何にも検察はその原資について立証していませんよ。それなのに弁護側がその原資を明らかにしないと裁判上不利になるんですか。
早川: それはおそらくは小沢秘書裁判の判決結果というのが、かなり影響してくるだろうと思うんですね。そこで、その水谷建設からの5000万の件が・・・。
郷原: ちょっと待って下さいよ。
早川: (結果が)既に出ているということからすると、これは当然反論をしておいた方がいいと思います。
郷原: 違う事件を持ち出さないで下さいよ。だって小沢裁判では、水谷建設の裏金なんか全然立証の対象になってませんよ。なんで秘書3人の事件で、全く関連性のない水谷裏金の認定が行われたからといって、それが小沢氏の裁判で、小沢氏に不利に扱われるんですか。そんなこと許されるんですか。
早川: いや、そうじゃなくて出処不明な、説明が不能な、要するに合理的な説明が出来ないお金があったとこう言われるわけです。
郷原: だからそれに対して何かいかがわしいお金だという立証は、この小沢さんの裁判では何もされてないじゃないですか。
早川: これは、これからです。
郷原: え?
早川: これからです。
郷原: 冒頭陳述に何か書いてありますか。小沢さんの冒頭陳述に何か書いてありますか?
亀松: すいません。もう一つ質問がありますので、それを読み上げたいと思います。山形県の男性からです。今度は郷原さんにお答えいただきたいと思うのですが。「仮に小沢さんを有罪にするだけの証拠にならないとしても、一国民の立場から見て、4億円の原資や、4億円を分けて入金したこと、それから4億円を担保に4億円を借り入れたことなど、不自然なことが多いのではないかと思います。それは裁判では解明されないとしても、国会の証人喚問で説明すべきではないでしょうか?」というのが郷原さんに対しての質問です。
郷原: 4億円の出処を明らかにすべきだということを政治家に対して責任として言われるのは、別にそれはいろんな意見があっていいと思います。ですから裁判の結果が4億円のお金については、特に法的には問題はなかったけども、それは別途、政治家として国会の場で明らかにしろということになって証人喚問が行われるというのは、これは別におかしなことじゃないと思います。
 ただ、それが同時に行われると、片方で小沢さんの4億円の虚偽記入の裁判が進んでいる最中に、その裁判では黙秘権を行使できる小沢さんが、国会の場では証人尋問に対して黙秘権を行使するというのは非常に嫌な悪い印象を持たれる部分がありますよね。それが被告人として刑事公判に立たされている政治家の権利侵害として問題があるんじゃないかということを私は言ってます。その問題が残るだけだと思うんです。別に証人尋問をやっちゃいかんと言っている訳じゃないですよ。ただ被告人の権利というのはきちんと保証しないといけないんじゃないかということを言っているだけです。
早川: 私はむしろ国会で早めに説明された方が、納得出来るほどに説明していただければ良かったなと思います。
郷原: それは本人のやり方の問題として、それは十分あり得ます。
早川: あり得ますよね。
郷原: 私は「サンデープロジェクト」に出ている頃も、小沢さんは早くこんなゴタゴタ言われる前に、検察がゴチャゴチャ入ってくる前に、説明した方がいいんじゃないかということは散々言っていましたよ。
早川: そうなんです。言うべきです。
郷原: だから、逆にそれを理由にして捜索機関が入ってきて不利な扱いを受けるぐらいだったら、早く説明しちゃえばいいんじゃないかということは言っていました。だからといって今説明しないと、刑事裁判で不利になるぞという考え方はおかしいですよ。
早川: 実際ずっと黙秘を続けている場合、捜査する検察官の立場では「おかしい」という風に普通思っちゃうんじゃないですか。
郷原: それはいろんな場合がありますよ。
早川: いろいろな場合がありますね。
郷原: 例えば自分の自宅で拳銃が見つかった。「それ、どうしたんだ」と聞かれて全部黙秘。そしたら何も言わなければ有罪になってもしょうがないじゃないですか。それをどれだけ疑いについて立証が出来ているかによって、黙秘がどういう意味を持つのかということは違ってくる、当たり前じゃないですか。
早川: そう。全くその通りです。
郷原: 小沢さんの場合、どうなのかということはまた別の問題ですよ。
早川: まだ別問題ですね。
亀松: すみません。本当に時間が無くなってまいりました。ここで(ニコニコ生放送)観ている視聴者、ユーザーの皆さんにアンケートを取ってみたいと思います。大変盛り上がった緊急対談なんですけれども。アンケートの質問を出してもらえますか。質問は「もう一度、郷原氏と早川氏の対談を見たいですか?」です。アンケートのシステム、すぐ結果が出ますので・・・はい、では結果お願いします。「観たい」39%、「いいえ」61%と、「いいえ」が多くなってしまいました。
 では、本当に時間がもう無くなってしまったので、議論が尽きないというか、何回も僕がゴングを入れなければいけないような展開で、非常に熱く語っていただいて良かったんじゃないかなと思っています。最後に感想をお聞きしたいんですが、まず早川さんから。このニコニコ自体が初めてだったと思うんですが、いかがでしたでしょうか。
早川: やはりこういうものは、それぞれの立場を明確にしてしっかりと意見交換をすべきであると思います。そういう意味では、このニコニコ生放送で取り上げていただいたことを感謝しております。ありがとうございます。
亀松: そうですか、ありがとうございます。郷原さんお願いします。
郷原: やはりちょっと議論すべきところをもう少し明確にしないとですね。議論がどんどんずれていってしまって(笑)、視聴者の方には少し混乱をさせてしまったような、少し途中で退屈をさせてしまったのかもしれませんね。もうちょっと論点を明確にした方がいいのかもしれないですね。
亀松: 分かりました。その論点の整理等は司会の問題だったりしたのかもしれないと思いますが、また次回機会があればこのような対談、特にはっきりと主張が食い違っている人がこういう形で一緒に本当にひざを付き合せるような形でお話するという対談、それ自体がすごい貴重だと思いますので、また機会をつくりたいと僕は思っております。司会はちょっと「空気」になっておりましたが、それは出来るだけお話を熱く語っていただくということですので。そんな言い訳もして、この番組を終了したいと思います。では、どうもありがとうございました。
郷原・早川: ありがとうございました。

関連;「小沢一郎裁判はドレフェス裁判だ」/角栄をやり、中曾根をやらなかった理由/絶対有罪が作られる場所2011-11-12 | 政治/検察/メディア/小沢一郎 
 問題は、法学者のみならず右翼・保守陣営と称される人々・メディアまでもが、小沢氏糾弾という、右翼が最も嫌うはずの人民裁判に熱狂していることであり、左右両陣営の熱狂に後押しされて、裁判所が法をねじ曲げ、人民裁判所と化しつつあることだ。 . . . 本文を読む

小沢一郎裁判は本当に「どこかが狂っている」のか? 元検事・郷原信郎×元代議士・早川忠孝〈1〉

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元検事の郷原氏、小沢氏初公判に「どこかが狂っている」
ニコニコニュース(オリジナル)
2011年10月8日(土)12時15分配信
 資金管理団体「陸山会」の土地取引をめぐり、政治資金規正法違反で強制起訴された小沢一郎元民主党代表の初公判が、2011年10月6日に行われた。
 この件に関し、元検事で弁護士の郷原信郎氏が、7日のニコニコ生放送「小沢一郎初公判をどう見るか」に出演。江川紹子氏、落合洋司氏との座談会の中で、「虚偽記入にあたらないことを弁護側が明確に主張しており、今後(検察官役の)指定弁護士側がくずせるのか疑問だ」とした上で、「小沢さんを政治家として評価しているわけではないが、刑事手続としての判断は別の問題。こんな事実や証拠関係でこういう目に遭わされているのはひどい。どこかが狂っている」と述べた。
■「どこかが狂っているとしか言いようがない」
 小沢氏は、資金管理団体「陸山会」の土地取引をめぐり、政治資金規正法違反罪で今年1月に強制起訴されたが、今月6日には東京地裁で初公判に臨み、改めて無罪を主張した。またこれに先立ち、すでに元秘書の石川知裕衆院議員ら3人に対しては、先月東京地裁で、有罪判決が言い渡されている。
 小沢氏の初公判を受け、7日のニコニコ生放送では、ジャーナリストの江川紹子氏と、いずれも元検事で弁護士の落合洋司氏、郷原信郎氏が緊急座談会「小沢一郎初公判をどう見るか」に出演した。この中で郷原氏は、
「収支報告書への記載は虚偽記入でなく、政治資金規正法違反にあたらないことを、弁護側は明確に主張した。今後、(検察官役の)指定弁護士側が、それをくずせるか疑問だ」
との見解を示した。
 また、元秘書との共謀については、「指定弁護士側の冒頭陳述は、元秘書の公判で却下された調書をそのまま引用するものだ。調書が採用されなかった場合、冒頭陳述で書かれてある事実は、ほとんど立証不能になることは明白だ」と、今後の裁判の見通しについて指摘。その上で、
「小沢さんを政治家として評価しているわけではない。しかし、そのことと刑事手続として判断が正しいのかは別の問題。こんな事実や証拠関係でこういう目に遭わされているのはひどい。ひいきするわけではないが、率直にどうしてこんなことになったのかと思う。どこかが狂っているとしか言いようがない」
と感想を述べた。
■なぜマスコミは小沢氏をたたくのか
 さらに、視聴者から、「なぜメディアは検察と追従して小沢氏をたたくのか」等の質問が寄せられると、郷原氏は「国民的関心が高く、悪役的。取り上げれば取り上げるだけ、視聴率が上がり新聞が売れる。それと同時に、既存のメディア体制にとって小沢氏の目指すものは脅威であり、さらに陸山会事件はメディアが火をつけたからではないか」と、マスコミのあり方に疑問を呈した。
 また落合氏は、共謀の認定について、「(例えば)殺人事件における犯人性の場面で状況証拠で認める例はあるが、知能犯についてもそれを当てはめてよいかという問題意識はもつべきだ」とした上で、
「政治責任を問われるべき人は、刑事責任も問われるべきだという報道があるが、両者は切り分けられるべき問題だ。あくまで刑事裁判なのだから、証拠によってどこまで立証できるかという観点から、冷静に見るべきだ」
と述べた。
 一方、江川氏は、今回の初公判が強制起訴による裁判として初であったことに触れ、「検察審査会は調書を元にして議決する。その調書がどのような状況でつくられたか情報が入らなかった。取り調べの可視化の問題も含めて、制度を考えるきっかけにするべきではないか」と指摘した。
◇関連サイト
・[ニコニコ生放送]「小沢氏の初公判をどう見たか」から視聴 - 会員登録が必要
http://live.nicovideo.jp/watch/lv66358641?po=news&ref=news#4:33
・[ニコニコ生放送] 郷原氏の「どこかが狂っている」から視聴 - 会員登録が必要
http://live.nicovideo.jp/watch/lv66358641?po=news&ref=news#1:07:50
(藤崎桂太郎)
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小沢裁判は本当に「どこかが狂っている」のか? 元検事・郷原信郎×元代議士・早川忠孝 対談全文
2011.10.20 17:11:03 ニコニコニュース

 資金管理団体「陸山会」の土地取引をめぐり、政治資金規正法違反で強制起訴された小沢一郎元民主党代表の裁判が、2011年10月6日より行われている。その小沢氏の公判をめぐり、元検事で弁護士の郷原信郎氏が10月7日のニコニコ生放送で「小沢氏初公判は”どこかが狂っている”」と発言し、疑問を投げかけた。
 一方、元自民党代議士で弁護士の早川忠孝氏は、その郷原氏の発言とニコニコ生放送に対し、「ニコニコ放送というのは小沢氏の単独インタビューなどを好んで報道するようで、私のように批判的に小沢氏の一連の行動を見ている人間にはお呼びがかからないが、郷原氏の所論はどうにも決めつけが過ぎる」と自身のブログで批判を繰り広げた。そこでニコニコ生放送は10月19日、両氏を招いて対談形式で徹底討論してもらい、その模様を中継した。
 以下、両氏の対談を全文書き起こして紹介する。
・[ニコニコ生放送]全文書き起こし部分から視聴 - 会員登録が必要
 http://live.nicovideo.jp/watch/lv67659389?po=news&ref=news#00:48
■小沢支持者ではなくとも、擁護派の理論的支柱?
亀松太郎(ニコニコニュース編集長。以下、亀松): 皆さん、こんばんは。ニコニコニュース編集長の亀松太郎です。政治資金規正法違反の罪で強制起訴された小沢一郎民主党元代表の裁判の初公判が、先頃10月6日に行われました。ニコニコ生放送では、翌7日「緊急座談会小沢一郎初公判をどう見るか」と題して番組をお送りしましたが、その中でご出演いただいた郷原信郎氏の意見に対して、弁護士の早川忠孝氏が自身のブログで「郷原氏の所論はどうにも決めつけが過ぎる」と批判をされました。そこで今夜はそのお2人をお招きして、「小沢裁判は本当に”どこかが狂っている”のか!?早川忠孝×郷原信郎 緊急対談」と題しまして、今回の裁判を通しての両氏のご意見を徹底的にぶつけていただく場を設けました。それでは早速、今日のゲストをご紹介いたします。まず、弁護士で前衆議院議員の早川忠孝さんです。
早川忠孝氏(以下、早川): ご紹介いただきました、早川でございます。国会議員の時には、「ハヤカワチュウコウ」と言っていましたけども、昔から「ハヤカワタダタカ」と言っていました。ただ、なかなか言いにくいので「チュウコウ」で通しております。
 それで私自身は、国会でまさにその政治資金規正法の改正作業を主として担当しておりました。自民党の衆議院議員で法務委員会に所属していた。ですから、立法者としての一つのものの考え方がある。それからもう一つは、自ら選挙をずっと戦っておりました。政治資金規正法に基づく収支報告書、結局事務所から十何回提出をしているわけです。当然会計責任者がいて、それを提出するというそういった作業を傍から眺めているということがあります。現実に検察庁の立場からいえば、私たちもある意味で調べられる対象になり得るという、そういった立場であります。
 もう一つは弁護士ですから、本来的に検事ではなくて、むしろ弁護する観点での物の見方をやっております。それから自治省という役所に入りまして、富山県で選挙管理委員会の書記をして、市町村の選挙管理事務の指導をするということがありました。もう40年以上前の話ですけども、そういったさまざまな現場での経験を踏まえて、今回の政治資金規正法違反事件について、肌で感じるものがあるわけであります。その肌で感じるところを、ぜひ皆さんにご理解をしていただきたいということで、今日は参上いたしました。
 われわれ弁護士ですと、ついつい”先生”とお互いに言いますけども、(ニコニコ生放送)視聴者の皆さんに大変申し訳ないので、”郷原さん”と今日はそういう風に呼ばせていただきます。郷原さんとは昨年、村上正邦(元参院議員)さんが主催される、当時は「日本の司法を考える会」で郷原さんの話を伺ったことがあります。ですから、面識が無いわけではありません。それから、今回出演させていただくということで勉強させていただきました。郷原さんが生粋の検察官であると。捜査検事としてのエリート中のエリートであるということは改めて理解をして、今日は参上しております。よろしくどうぞお願いいたします。
亀松: はい、よろしくお願いします。では、そのお隣に座っていただいているのが、弁護士で元検事の郷原信郎さんです。
郷原信郎氏(以下、郷原): はい。もう短くしましょうか(笑)。私は、検察を客観的に忠実的な立場から批判しているだけでして、決して小沢支持者でも擁護者でもありません。いつもここで、この番組でも何回も断っていますけども。とにかくこれまで、この2、3年の東京地検特捜部、大阪地検特捜部の批判は徹底的にやってきました。それだけの立場だと私は思っていますので、そういう立場から今日も、早川さんのご指摘に対してお答えをしたいと思っています。
早川: ただ一言だけ今の点で申し上げると私は、郷原さんはある意味で、小沢さんあるいは小沢擁護派、小沢弁護団の理論的支柱になっているという風に実は思っていまして、それこそ民主党の中でのさまざまな議員連盟での講演をされたり、民主党の中の第三者委員会の委員をされたり、あるいは政権交代が起きてから法務大臣に擁立しようという声が上がったり、さらには参議院選挙の時に民主党から擁立しようという話があって、これは郷原さんが自らお断りになったという話ですけど、結果的には自民党であまり私はお会いした記憶が無いものですから、ある意味では民主党の方々のほうが、大変頼りにされているという意味での理論的な支柱なのではないかという風に一応思っておりますのでお断りしておきます。
郷原: それに関して言わしていただければ、私はいろんな場でこの小沢事件、陸山会(小沢一郎氏の資金管理団体)事件について話をしてほしいと言われてお話をしてきましたけども、それをどのように民主党の議員の方々が受け取られるかと、これはもう私が話した後のことですし、特に小沢さんのグループだけに理論的な面でアドバイスをしたとかいうことでもありませんし、あくまで私が一般的な世の中に対して言っていることがそういう風に民主党サイドでいろいろ利用されたということに過ぎないと思います。
 政治資金問題第三者委員会(政治資金問題をめぐる政治・検察・報道のあり方に関する第三者委員会)というのも、あくまで民主党が設置したいろんな分野の行政法学者の櫻井(敬子)さんであるとか、政治学者の飯尾潤さんとか私のような立場の人間が集まって話をしただけで、特に色が付いているわけではないと思うんです。自民党の方々とも私はお付き合いはいろいろありますし、例えば内閣府で開かれたタウンミーティング調査委員会、あれは林芳正(参院議員)さん、世耕(弘成:参院議員)さんと一緒に委員を務めましたし、その後は世耕さんの地元の和歌山県の公共調達検討委員会の委員長をやりましたし、いろんな自民党の方々ともお付き合いはありましたし、特に裁判員制度に反対する立場からは、超党派の議連(議員連盟)がありましたよね。そこには参加してお話をさせていただいたし、その時にも早川さんいらっしゃいましたよね。
早川: 裁判員制度の関係では、私は裁判員制度を推進する立場で一貫してやっておりましたので、だから直接、郷原さんとどの程度の話をすることがあったかというのを覚えていませんけども、ただ私自身が非常に興味を持ったのは、2003年に「検察官のための捜査戦略論」というのをお書きになっているというのを勉強させていただきました。あれがある意味で郷原さんの原点なのではないかなと。まさにその広島地検やあるいは長崎地検で、自らが政治資金規正法違反事件等について立件をされ、起訴をされて、まあ言ってみればその分野で政治資金規正法違反とかあるいは公職選挙法違反を的確に効率的に捜査するその手法を、ある意味で先頭に立って開発されたのではないのかな。ですから本来であれば、そのまま東京地検の方に残って、むしろ全国のそういった事件についての捜査をする立場になられる人ではなかったのかなと。なぜその途中で退職されたのか。
郷原: あの時には私が東京地検の特捜部に行くという観測があったんですけども、結果的には、私は公判部の窓際の方に追いやられたということを当時、田原総一朗氏がギロン堂(週刊朝日のコラム)に書いて検察当局を批判したんですよ。いい迷惑ですよね、こっちは。何も頼んだ覚えも無いのにそういうことを言われたために、ますます検察部内では白い目で見られて、私が田原氏とつるんでいるように見られて、それからますます検察の内部では浮いてしまいましてね。ですから、そういう組織なんですよ。検察というのはやはり大きな政治関連事件は特捜部がやるのが当たり前で、私のように長崎地検のような西の果ての中小地検で、当時その自民党の地方組織の集金構造そのものを明らかにする、そして政治資金パーティの集金構造を明らかにする事件をやるということは、本来許されないわけです。自民党との関係でも当時いろいろありました。そういうことをやったことについて、検察部内で捜査手法的に評価するかというとそうではないんです。
早川: ただ僕は、あの段階で思ったのは小泉(純一郎:元内閣総理大臣)さんの時の段階ですからね。
郷原: 絶頂期です、小泉政権の。先に進めましょうか・・・
亀松: プロフィール紹介から一気に議論に入ってもらい、すごくありがたいんですけれども、今回その小沢さんの裁判について特にどこが対立しているのかを主にお話いただければと思います。今チーンって(ゴングを)鳴らしました。今日は立ち位置もお2人が本当に膝がくっつくぐらいの距離で、基本的にはどんどんお話を進めていただきたいんですが、さっき(視聴者)コメントでも「司会の仕事しろ」とか時々入っていたんですけれども、どうしても先に進めたい時に、このチーンとかカンカン(ゴングの音)こういうのを入れたりして、場面転換というかリングを変えるみたいなことをやっていきたいと思っております。
■「4億円の虚偽記入は検察のとらえ方に問題がある」
亀松: ではまず論点ということで、こちらで一つ用意させていただいたのが、「収支報告書への虚偽記載」についてということで、これは小沢事務所が当然政治資金収支報告書というのを提示しなければいけないんだけれども、それの記載に虚偽があったと。実際には小沢さんから4億円は借り入れがあって、それを土地取引に充てたという記載が無かった。それがちゃんとその時期に記録されていなかったということが主張されているわけですけれども、この点について郷原さんは、前回のニコニコ生放送の番組で「収支報告書への記載は虚偽記入ではなく、政治資金規正法違反に当たらないことを弁護側は明確に主張したと。今後この弁護側の主張を、検察官役に当たる指定弁護士側が崩せるか疑問である」というように仰りました。これを受けて早川さんが翌日のブログで書かれたことが、「虚偽記載、不実記載の立証責任は、もともと検察側、今回で言えば指定弁護士側にあるので、これは物の考え方の順序が違っているのではなかろうか」という風に批判をされました。ということで、この虚偽記載を巡っての発言に関して批判されたということで、ここについて立場から言うと郷原さんが先に・・・。
早川: 郷原さんが先に説明されたほうがいい。
亀松: お願いします。
郷原: この4億円の虚偽記入のことは私、以前からいろんな場で、この検察のとらえ方には問題がある、マスコミの報道の仕方にも問題があるということを言ってきました。まず大きな目で、大きな観点でとらえると、この世田谷の不動産というのは4億円弱、約3億6000万ぐらいの代金です。
早川: その細かいのはまた今度聞いて、とりあえず・・・。
郷原: ですから、4億円の借り入れを小沢氏からして、その4億円を原資にして不動産を購入したと。基本的にはその構図なんですね。そして陸山会の収支報告書には、4億円の小沢氏からの借入金は記載されている。そして世田谷の土地を購入したということも記載され、その代金の支払いも記載されている。基本的な構図は十分記載されているわけです。これが、なぜその政治資金規正法上、重要な事実が収支報告書に記載されていないという風にとらえられるのかと、まず根本的に疑問があるんですね。その点なんです。
早川: まず立証責任の話に1回戻っておきますけれども、基本的には検察官が構成事実の立証に必要な証拠を提出するわけです。ですから、そういう意味での立証責任はまずは検察側にあって、弁護側がいくら法律的な主張をしてもそれをひっくり返す立場ではないと思うんです。
郷原: ちょっと待って下さい。立証責任がある側が、逆に立証責任のない側にその立証を阻却するというか、その立証に反する事実を立証できてしまったら、一層その立証責任を負っている側は苦しいじゃないですか。そんなことは別に立証責任を負っている、負っていないということは関係ないですよ。
早川: そこで郷原さんと僕が違うのは、何といっても、いわゆる小沢秘書裁判について裁判所は法的な判断をもう既に下しているわけですよね、いずれにしても。
郷原: ちょっと待って下さい。法的な判断を裁判所が下したか下していないかということではないんですよ。今事実に基づいて、虚偽記入をどう考えるかということを聞いているんです。ですから、今私が言ったように、基本的に大きな構図として4億円の借入金で4億円弱の不動産を買った。それが収支報告書に記載されている。その大きな構図が記載されているのに、なぜ4億円の虚偽記入だと。収入について4億円が記載されていないという構成になるのか、ここがまず最大の問題です。ここをどういう風にお考えなんですか。
早川: その最大の問題というところについて、私どもは中身を知ることは出来ません。結果的には小沢秘書裁判についての判決書き、これはまだ作成されていないはずですから、多分郷原さんも見ておられないし、私も見ていないと思う。あるのは、せいぜい判決の要旨だけかと思うんですね。
郷原: いや、要旨だけ見ても分かるじゃないですか。収支報告書に記載されていることですから、それがどこが虚偽なのかということです。
早川: だから、分かっているんですよね。それで私が判断をする時には、まず小沢秘書裁判について、検察側の冒頭陳述で何と書いてあったのだろうか、判決ではどういう風にそれを認定したんだろうかと。これで大体その証拠の存在というのが分かるわけです。
郷原: だから、ではどう書いてあったんですか。
早川: それについて私の理解するところでは合計4億円ですけども、これは(2004年)10月の初旬から10月27日までに合計4億円とこういうことが検察官の冒頭陳述に書いてあるという、これが上脇(博之:憲法研究者)さんの・・・。
郷原: それは、どこから入ったという話ですか。
早川: 上脇さんの、憲法研究者の研究事実。
郷原: だから、その事実というのは4億円のお金がどこから入ったお金として・・・。
早川: 4億円の合計の金額について入ったのか入らないのかということについて、4億円は入ったという事実は銀行の通帳、銀行取引記録を見れば分かるはずです。
郷原: いや、入っていますよ。
早川: 当然入っています。陸山会にとにかく4億円入っていると。4億円じゃないです、実は手付金は違いますから。
郷原: それで? 入ってもいいんです。
早川: ですから、結局その4億円のお金がどこから来たのかという、それについて説明が出来るのか出来ないのかというのが一番大事なんです。
郷原: 小沢さんから来たと説明しているじゃないですか。小沢さんから現金で預かって入金したということをちゃんと言っているじゃないですか。
早川: そこで、これは私のブログで指摘しておきましたけども、その石川(知裕:衆院議員、小沢氏の元私設秘書)被告は4億円を一括して現金で預かったと。それこそ記者会見等で4億円分の紙袋を持っていたとこういう風な・・・。
郷原: ちょっと待って。紙袋かどうかという話ではなくて、大きな流れとして小沢さんから現金で4億円が入ってきました。それはそれで前提とすればいいじゃないですか。
早川: 一括なのかそれとも分割なのかという、非常に重要な問題があるわけです。
郷原: それで何なんですか、それが。
早川: 説明が出来るお金なのか、出来ないお金なのかというのが重要なんです。小沢さんは、例えば自分のお金、あるいは奥さんのお金、いろんな説明の仕方はしているのだと思うんですけども。
郷原: いや、原資の話ではないんですよ。小沢さんから入ったということは認めているわけですから、現金として。
早川: ところがですね、これは大事なことは、4億円の現金が仮にここにあったとします。そこから実は4億円のお金は10月12日に受け取ったというのが石川さんの主張のようです。でも手付金は10月5日に払っているはずなんです。10月12日に受け取ったお金の中から10月5日分を払うことは出来ませんから、結果的には3億何千万かのお金ということになります。しかも、それを分割して通帳に入れていますので、結果的に小沢さんが一括して4億円渡した、受け取ったというこの部分についての議論が残るわけです。
郷原: これはですね、政治資金規正法違反の起訴事実について今議論しているんですよ。その途中経過で、何が怪しいとかここから入ってきたのがここに行ったのか、あっちに行ったのかという話ではなくて。少なくとも概ね合計4億円という現金が陸山会に入っているか入っていないかということについての基本的な事実について、今お尋ねしているんですよ。そこなんです。
早川: そこで大事なのは、いっぺんに受け取ったのか、分割して入ったのかと。ここが事実としては重要なんです。
郷原: それが虚偽記入とどう関係するんですか。
早川: いや、結果的にはそれでもって不動産の購入を実はしているわけですよ。
郷原: 代金を支払った。
早川: 10月29日の段階で、午前中に全額決済をしたというのがどうも関係証拠から明らかなようですし。
郷原: それで、それと虚偽記入がどうつながるんですか。
早川: ですから結果的には、陸山会で土地を購入した、その購入資金については小沢さんから受け取ったお金で購入をしたという流れ。
郷原: そうです。さっきからそれを前提にしようと言っているじゃないですか。
早川: ですから、それは陸山会に4億円の金が入っている。
郷原: ええ、そうです。
早川: もう一つあるのは、銀行から融資を受けました。これは10月29日の、どうやら午後の段階。要するに決済が全部終わってから、それも銀行の必要な書類がそろっていないという事情の中でやったと。
郷原: だから、その銀行の話も、もう客観的な事実ですからいいんですよ。小沢さん名義で銀行から借り入れて、その代金が貸し付けられたという話ですよね。
早川: そう。ですからそれは・・・。
郷原: それは陸山会名義の4億円の定期預金が担保にあったわけですね。だからその関係について、これは私が以前から言っていることですけれども、小沢さんから入った4億円というのは、言ってみれば一時立替というか、一時的に不動産を購入するのに必要な資金として入ったとすると、その後、そのお金が4億円が銀行から入ってくれば、振り替わったという風に考えれば、小沢さんのお金は定期預金担保のこの定期預金に変わっているだけじゃないですか。
早川: いや、そこはあくまでも私は冒頭陳述書で考えると、そうではなくて・・・。
郷原: それはなぜそうじゃないんですか。
早川: 結局、預金担保になった10月29日の段階で、急きょ陸山会の口座にあちこちのところから合計で・・・。
郷原: いや、あちこちから入ってきたかどうかじゃなくて。
早川: 入れたということで、結果的にはその10月29日の段階で、銀行から融資を受けた後の担保としての預金が・・・。
郷原: 私が言いたいのは、不動産の購入に必要なお金は4億円なんですよ。銀行からの借入金4億円と、その現金で入った4億円と合わせたら8億円じゃないですか。
早川: うん、8億円になります。
郷原: 不動産の購入資金の4億円という必要なお金は4億円なのに、なぜ借入金が8億円という記載じゃなければいけないのか。まず、そこに基本的な疑問があるんですよ。そこはどう考えられるんですか。
早川: そこは全く「何でそんな不自然なことをするのだろうか」ということで、その不自然な理由というのを解明しなければいけないわけです。結局8億円入っているということは、ほぼ間違いないわけです。
■政治家は事務所の経費が足りなくなるとき、どうする?
郷原: ちょっと全然別の観点から聞きますけども、それでは早川さん、政治家として正式に収支報告書を毎年提出されていましたよね。
早川: はい。
郷原: じゃあ事務所に入ってくるお金、出ていくお金、全部1日1日正確に記載されていました?
早川: いやいや、それは私は会計責任者ではありませんので。結果的には・・・。
郷原: 会計責任者がやったことは全部責任を取れというご意志じゃないんですか。
早川: いやいや、私がそう言ったんじゃなくて。要するにそういう例えば1万円とか50円とかどうなっているかというのは分かりません。
郷原: 少なくとも政治資金というのは、収入はたくさん入る時とそうじゃない時ってありますよね。その事務所の経費が足りなくなる時だってあるじゃないですか。人件費は・・・。
早川: いや、私の場合は、どちらかというと・・・。
郷原: いつも余っていました?
早川: 自分のお金を・・・。
郷原: ええ、そうですよね。
早川: 出していますので。
郷原: そうですよね。出しますよね。
早川: 足りなくなりますからね。
郷原: そうすると、足りなくなったお金ですね。その政治団体に早川さんがお金を入れられたというのは、全部収入として書いていました?
早川: 当然そうでしょう。
郷原: そうですか。じゃあ代表者本人からの立替金、立替金、立替金って。
早川: それは立替金とは書きません。われわれが出すときは戻らないお金ですから。
郷原: いや、戻らないお金じゃなくて、一時立て替えておいたら後から寄付金が入ったから、これは必要じゃなかった時はありません?
早川: そういうことはありません。
郷原: それじゃ、もしそうだったら、どうしたらいいんですか。人件費が毎月これだけのお金がかかって、寄付が入ってくるのが遅れれば、政治家として当然そこを埋めないといけないですね。その埋める立替金は収支報告書に記載しないといけないんですか。
早川: 実際の会計事務の流れから考えると、結局いろんな支払いのためのお金が足りなくなります。そうすると、どうしても事務局からお金を出してくれという風な要請があります。
郷原: ええ、そうでしょう。
早川: そうすると、自分の個人のお金を政治団体に入れます。それで入れて多分限度額が決まっていますので、限度額を超える以上になった時には寄付と貸付金に2つに分けるんです。
郷原: ということは最終的に正式に収支報告書を記載する時に、ある程度その出入りを総括して評価をして記載することに当然なりますよね。
早川: だからそれは実務としてはあり得ることです。
郷原: あり得ますよね。ということは、いちいち現金の出入り、預金口座の出入りがすべて収支報告書の記載事項になるということは、これは基本的にないんですよ。
早川: ただね・・・。
郷原: だからそれを言っているんです。だから・・・。
早川: そうは仰ってもね。
郷原: 先ほど私が言っているのは、小沢さんから現金4億円が入りました。しかし、それはまだ銀行からの4億円が入っていなかったから、とりあえず小沢さんから現金4億円を持ってきたということであって、その後その小沢さんのお金が、陸山会名義の定期預金に回って、それが担保になって銀行預金が借りられたのであれば、それは実質的にこれが振り替わっているだけだし定期預金は小沢さんのお金じゃないですか。
早川: そこは仮定があるわけですよ。
郷原: 仮定って、何の仮定ですか。
早川: 要するに、小沢さんのお金が定期預金にそのまま回っていると。要するに、細かく集めた4億円の金が定期預金になったというのではなくて。
郷原: だから、それがこの弁護側の主張じゃないですか。弁護側はそう主張しているんですよ。
早川: だから、弁護側はそれを主張しても、弁護側の主張でもって検察官のそれを覆すということではなくて、むしろそうではなくて、その土地の購入資金について石川被告の立場から言うと、10月12日に一括して4億円預かったと、小沢さんも一括して4億円渡したと言っているようです。個人の金庫から渡したと。僕はそんなことは普通あり得ないと思っているんですけども。しかし、現実にはその前の10月5日の段階で手付金やら、あるいは不動産の仲介手数料が払われている。
郷原: 少なくとも、あの定期預金が小沢さんのお金じゃなくて、陸山会のお金だという前提ですよ、検察官の主張は。そこがそうじゃなくて、小沢さんのお金だという前提で考えられるのであれば、検察の主張はその部分は崩れるじゃないですか。そういうことを言っているんですよ。
早川: 結局ね、事実の評価というのをどうするかということなんです。私自身が物を見た時の見方からすると・・・。
郷原: ちょっと・・・。
早川: 基本的にはこの不動産の購入は小沢さんの個人の資産形成のためにやろうとしたんだなと思う。
郷原: だから、そういう主観的な見方の問題じゃなくて。私は基本的な流れがちゃんと開示されていればいいじゃないかという考え方に対する反論を聞いているんです。
早川: いや、そうではなくて。その辺についてがまさに法律上の解釈の問題です。だから・・・。
亀松: すみません。ちょっと平行線になって・・・。
早川: 郷原さんはそういう解釈の仕方をするけれども、しかし私はそういう解釈は出来ないと。
亀松: 平行線になりましたので、次のテーマに行きたいと思います。⇒小沢一郎裁判は本当に「どこかが狂っている」のか? 元検事・郷原信郎×元代議士・早川忠孝〈2〉  

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関連;「小沢一郎裁判はドレフェス裁判だ」/角栄をやり、中曾根をやらなかった理由/絶対有罪が作られる場所2011-11-12 | 政治/検察/メディア/小沢一郎
 問題は、法学者のみならず右翼・保守陣営と称される人々・メディアまでもが、小沢氏糾弾という、右翼が最も嫌うはずの人民裁判に熱狂していることであり、左右両陣営の熱狂に後押しされて、裁判所が法をねじ曲げ、人民裁判所と化しつつあることだ。 . . . 本文を読む

亡国 TPPに警告 安田節子さんに聞く「TPP向けの新しい農政などあるわけがない」

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亡国 TPPに警告 安田節子さんに聞く
「特報」中日新聞11月11日
 野田佳彦首相が11日に交渉参加の方針を表明した環太平洋連携協定(TPP)。そのテーマは幅広いが、何よりも国民生活に直結する問題が「食の安全」だ。福島原発事故による放射能汚染が消費者を不安に陥れている今、衰退する日本の農業にとどめを刺すことにならないか。「食の安全と真っ向から対立するTPPは亡国への道」と警告する食政策センタービジョン21代表、安田節子さん(64)に聞いた。(佐藤圭)
 TPPは「例外なき関税撤廃」が原則。日本が加われば、農林水産省の試算によると、自国で食料を賄う指標の一つ、食料自給率(カロリーベース)は2010年度の39%から13%程度に急落する。米国から安いコメが大量に流入するからだ。
■田んぼない風景
 「日本は農産 「日本は農産物自由化の優等生だ。その証拠に世界最大の農産物純輸入国になっている。日本の食料安全保障を支える主食のコメ、地域経済に欠かせない北海道の乳製品や小麦、沖縄のサトウキビやパイナップルには高い関税をかけて守ってきたが、TPPによって壊滅的な打撃を受ける。米国が『放射能汚染のないカリフォルニア米が安いよ』と売り込みをかければ、みんな飛び付くだろう。水田がなくなった日本の風景を想像してみてほしい。途方もない損失だ」
 ハイチでは1995年、米国の圧力でコメの関税率を35%から3%に引き下げたところ、安価な米国産米が出回り、農家は競争に負けて自給能力を奪われた。トウモロコシ原産地のメキシコは、関税フリーの北米自由貿易協定(NAFTA)に加盟した結果、トウモロコシ畑の多くを失った。「明日はわが身」ではないか。
 安い輸入農産物は一見、消費者にはプラスに見えるが、「TPPは輸入国には関税撤廃義務を負わせるが、輸出国に輸出義務はない。10年後、50年後も安定供給されるとは限らない」。
 世界の穀物価格は、農産物輸出国での干ばつや洪水による減産、投機マネーの流入などによって高騰している。ハイチでは08年、食料品高騰に端を発した暴動が原因で首相が交代した。エジプトやリビアなど中東・北アフリカで相次いだ独裁政権の転覆劇も、食料価格高騰が引き金の一つになった。
 「世界の緊迫した食料状況をよそに、日本が安閑としていられるのは、主食のコメを自給しているからだ」
 米国には市場価格が低迷した際、政府が設定する目標価格との差額を、生産者に支払う不足払い制度がある。 「実質的な輸出補助金だ。安価な穀物を大量に輸出することで相手国の農産物をつぶし、米国の穀物に隷属させる。そうなれば価格を上げていく。日本は、コメ以外の穀物と飼料では既に支配されている。TPPでいよいよ主食のコメも米国に明け渡すことになる。穀物の中でも、国際市場で流通する量が少ないコメの価格は急騰が激しい。コメの自給を守ることは日本の生命線だということを肝に銘ずべきだ」
 「自由貿易という言葉にだまされている。『規制は悪い』と言うが、食品や環境には規制を設けなければ、安全、安心は得られない。貿易は本来、相手国の安全基準を順守して行うべきだが、日本は日米同盟の名の下に、米国の身勝手な要求に従って規制を緩和してきた」
 自民党の中曽根政権は1985年に策定した市場開放行動計画(アクションプログラム)に基づき、安全基準の緩和や輸入手続きの簡素化を推進した。2001年に小泉政権が発足すると、米国は毎年「年次改革要望書」の形式で、さらなる規制緩和の詳細な要望を突きつけるようになった。
 09年の政権交代後、「対等な日米関係」を掲げた鳩山政権は、要望書の交換を取りやめたものの、菅政権下の今年2月、米国は要望書の復活版といえる「日米経済調和対話」で約70項目の規制緩和の対日要望リストを提示。農業関連には「農薬の収穫後利用に関わる枠組み」とある。
 「船で輸送する前の穀物やかんきつ類などに、長期保存などを目的に殺虫剤や防腐剤を散布するポストハーベスト農薬のことだ。収穫後にかけるため残留農薬の値は高くなる。日本の法律では認められていないが、日本政府は苦肉の策として食品添加物扱いにしてきた。米国はもっと農薬を使いたいから、ポストハーベスト農薬を認めろということだ。TPPで自給率が低下すれば、日本の食品はポストハーベスト農薬だらけになる」
 牛海綿状脳症(BSE)対策として導入した米国産牛肉の輸入規制については、この日米経済調和対話に盛り込まれていない。
 「米国は日本の全頭検査を撤廃させ、月齢20カ月以下に限って輸入を再開させた。政府は月齢制限の撤廃に向けて審議している。要求するまでもないということだ。米国産牛は人工ホルモン剤使用など問題を抱えている。そんな肉がTPPで何の規制もなく日本の食卓に上る」
 実際、玄葉光一郎外相は10日にホノルルで行われた日米外相会談で、米国産牛肉の輸入規制緩和に向けた手続き準備を開始したと述べた。
 TPPの交渉分野に目を凝らせば、遺伝子組み換え作物の表示問題が浮かび上がる。外務省のTPPに関する文書でも、「問題が生じる可能性」と明記している。
 米国の化学メーカーが開発し、九六年から栽培が始まった大豆やトウモロコシなどの遺伝子組み換え作物について、日本は同作物が原材料の食品に表示を義務付けている。「米国では、遺伝子組み換え食品表示はバイオ企業などの圧力で認められていない。米国は、日本の表示義務の撤廃を要求している」
 TPPに加わると、海外企業が日本の安全規制によって公正な競争が阻害されたと思えば、日本政府を訴えることもできる。「米国企業が、表示義務の規制撤廃や賠償金を求める可能性がある。日本の食品包装にある『遺伝子組み換えではない』旨の表示もやり玉に挙がるかもしれない」
 TPPで食の安全が脅かされる一方で、誰が得をするのか。「大企業だ。国内の規制が撤廃されれば、輸入農産物を扱う国内の大手商社にも巨大な利益が生まれる。自由貿易とは一貫して大企業の利益を追求するものでしかない」
 野田首相は「高いレベルの経済連携と、農業再生の両立を図る」と大見えを切る。
 「TPP向けの新しい農政などあるわけがない。放射能汚染のない地域の減反をやめてコメを大増産し、汚染地域に届ける。高い農業技術をもった福島の農家が、ほかの地域で活躍できるよう支援する。それしか再生の道はない。何を生産し、何を輸入するか。それを決めるのは日本国民だ。米国企業に押しつけられるいわれはない」
<デスクメモ> 失言や妄言、大風呂敷で前任者が追い込まれたからといって、首相が考えをギリギリまで明かさないのはひきょうだ。これでは議論しようにも議論できない。熟慮するフリをして、後ろ足で砂をかけるような表明だった。国のあり方や方針をこんなぶざまな形で示すなんて、国民をこけにするつもりか。(立)
*やすだ・せつこ
 ・主婦として生協活動に取り組んだ後、1009年から2000年まで日本消費者連盟で、食の安全問題を担当。同年、市民団体「食政策センタービジョン21」を設立。現在、埼玉大非常勤講師も務める。遺伝子組み換え食品に関する著書多数。
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TPP参加を巡って国内の意見が二分された事は、実は交渉の舞台づくりに役立っている/実利はしっかり確保2011-11-11 | 政治(経済/社会保障/TPP

「小沢一郎裁判はドレフェス裁判だ」/角栄をやり、中曾根をやらなかった理由/絶対有罪が作られる場所

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<有料メールマガジン「週刊・山崎... | 「小沢事件」と「ドレフュス事件...>
文藝評論家 山崎行太郎2011-10-08
 青山繁晴や関西テレビをはじめ、テレビや新聞は、何故、検察の問題を、たとえば「検察と米国」というポストコロニアリズム的な植民地支配の実態を報道しないのか。あるいは「検察と米国」の植民地支配の実態を報道できないのか。マスコミもまた、そのポストコロニアリズム的な植民地支配の「手先」となっているからではないのか。テレビや新聞で、米国の日本支配に加担するジャーナリストよ、「国家とは何か」を哲学的に思考したことはないのか。
 日本という国家が、いまだに米国のポストコロニアリズム的な植民地支配の対象になっていることを象徴する「小沢一郎暗黒裁判」が始まった。小沢一郎は「意見陳述」で、「裁判そのものの無根拠性」と、「検察との全面対決」の姿勢を鮮明にした。小沢一郎は、「裁判はただちに打ち切るべきだ」「明白な国家権力の乱用であり、民主主義国家、法治国家では到底許されない暴力行為」と激しく検察を批判した。日本の現役政治家で、最高実力者の一人である小沢一郎が、国家権力の象徴である検察や裁判所などを標的に、左翼系の革命家顔負けの「闘争宣言」をするということは、日本という国家にとっても明らかに異常事態である。佐木隆三は、田中角栄の裁判を傍聴したが、田中角栄は検察などを激しく批判するようなことはなかった、と暗に小沢一郎が「小物」であるかのように、テレビのインタビューでコメントしていたが、佐木隆三の「裁判報道」の思想的レベルを象徴していると思わないわけにはいかなかった。所詮、佐木隆三なんて、こういう究極的・本質的、政治的な裁判闘争というような場合には役立たずの「三流の通俗作家」でしかないということを自分から暴露している。検察そのもの、裁判そのもの、を一度も疑って考えたことがないということが、佐木隆三のコメントから読み取れる。 毎日、裁判所に通って、裁判を傍聴しているとはいえ、検察や裁判所の周辺情報を、芸能レポーター並みに書くしか能はないのだろう。
 さて、「裁判傍聴記者」に堕落した佐木隆三がそうであるように、あるいは「真犯人は小沢一郎、主役は小沢一郎・・・」「小沢一郎は湾岸戦争で一兆円フトコロに入れた・・・」と関西テレビで、気でも狂ったかのように叫びまくる妄想病患者・青山繁晴も、こんな確証のないガセネタを堂々と放送して恥じない人権無視の妄想テレビ局「関西テレビ」も問題外としても、日本の新聞やテレビの記者たちは、「小沢一郎暗黒裁判」の深層、「小沢一郎暗黒裁判」の真相を報道することは出来ないように見える。
 司法記者クラブの情報を、馬鹿の一つ覚えのように、批判的考察なしに、垂れ流すことしか出来そうもない。まさに東浩紀のいう「動物化するポスト・モダン」である。ブタなみの思考力というわけである。
 せっかく、裁判、検察、国家などの本質について考えてみるいい機会なのに、むしろそれを必死で隠蔽し、国民の眼から遮断しようとしているわけである。一昨日の「小沢一郎記者会見」でも、自民党の幹部あたりが盛んに叫んでいる謀略発言に単純に洗脳されたのか、「国会で説明するつもりはないのですか・・・」と質問した若い記者(TBSの馬鹿記者?)がいたが、逆に小沢一郎に、「君は三権分立を知らないのか・・・」「もっと勉強してから質問しろ・・・」と恫喝されていたが、テレビや新聞の記者の頭の悪さを象徴する一幕であった。
 さて、小沢一郎は、「意見陳述」で、検察による国家権力の乱用を指摘し、検察を激しく批判した。つまり「小沢一郎暗黒裁判」の本質が、有罪か無罪かというレベルの問題ではなく、検察そのもの、あるいは裁判そのものの根拠が問題であることを宣言した。
 僕は、小沢一郎の検察批判から、中国の文化大革命時代の末期の「四人組裁判」とイラクの米国主導の違法な「フセイン裁判」などを連想した。民主主義がどの程度成熟しているかどうかはともかくとして、日本のような民主主義国家で行われる裁判としては明らかに異常事態である。
 日本の国家権力は、乱暴な裁判を承知の上で「四人組裁判」を強行しなければならなかった中国や、アメリカという国家外の外国勢力によって主導された違法裁判「フセイン裁判」を受け入れざるを得なかったイラク・・・並みに追い詰められている、つまり今の日本は、文化大革命の頃の中国や、米国に占領されたイラク並みに「国家的危機」状況に追い詰められているということなのか。少なくとも「小沢一郎暗黒裁判」は、日本が、国家的危機に追い詰められていることを象徴している。
 そこを語れない日本の新聞やテレビは、もはやジャーナリズムでさえない。国家権力の補完装置、「国家のイデオロギー装置」(ルイ・アルチュセール)でしかないことを自ら暴露していると言わなければならない。
 したがって、「小沢一郎暗黒裁判」の表層的現象を追いかけるだけでは、つまり政治資金収支報告書の虚偽記載や記載時期のズレがどうだとか、共謀・共犯が成立するかどうか、あるいは小沢一郎は金権政治家かどうか、というような表層的なことに眼を奪われていると、本来の「小沢一郎暗黒裁判」が提起している問題の本質を見失うことになる。何故、国民もマスコミも、そして官僚や政治家たちも、「小沢一郎暗黒裁判」に固唾をのんで見つめているのか。「小沢一郎暗黒裁判」が日本国家の独立という問題に直結する裁判だからだ。だから、我々は、政権交代を前にして「小沢事件」なるものが始まって以来、何か次々と起こったかを忘れるべきではない。
 つまり「小沢事件」が、いつ、どのようにして始まったのか、「検察審査会」のいかがわしさ、「マスコミ報道」の政治性、「在日米軍司令部」の動き、さらには「東京地検特捜部」という組織は実は米占領軍主導で構想された組織であることなど、「小沢一郎暗黒裁判」の本質的な問題を追及していかなければならない。テレビや新聞の記憶喪失的な、表面的な裁判報道に洗脳されてはならない。
 敵は、政権交代を目前にして、米国の植民地支配に逆らう小沢一郎という日本の国民政治家を、法廷という場所に引きずり出し、さらし者にし、「国民生活第一。」を政治信条とする小沢一郎の政治的パワーを奪取すること自体が、最大の目的なのだ。
 それ故、小沢一郎が「意見陳述」で言っているように、この裁判自体を、ただちに打ち切るべきなのだ、という思想と心構えを持つことが必要だろう。「小沢一郎暗黒裁判」の結果が問題なのではない。「小沢一郎暗黒裁判」そのものの政治性が問題なのだ。(続く)
(続きは、『思想家・山崎行太郎のすべて』が分かる!!!有料メールマガジン『週刊・山崎行太郎』(月500円)でお読みください。登録はコチラから、http://www.mag2.com/m/0001151310.html
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山崎行太郎氏の「小沢裁判はドレフェス裁判だ」」
10月18th,2011by 月刊日本編集部.
文藝評論家 山崎行太郎
*人民裁判と化した小沢叩き
—— 石川知裕衆議院議員の一審判決、そして検察審査会による強制起訴の初めてのケースである小沢元民主党代表の裁判が始まった。
山崎: 小沢裁判に限らず、裁判には常に二面性がある。一つは、誰を裁くかというものであり、もう一つはどのように裁くか、というものだ。前者は法というよりも大衆の道徳感情、正義感、もっと言えばを晴らすためのカーニバル的観点であり、後者は法治国家として厳正に法を運用し、適用しているかという司法の妥当性に基づく観点だ。
 この二つの観点は、ときに、齟齬をきたすことがある。たとえば、凶悪殺人犯がいるとしよう。その犯罪のむごたらしさに、国民が怒り心頭に発しているとしよう。なんとしてでも吊るし首にしろ、という声が高まる、これが大衆の要請となる。
 ところが、法の一貫性からすると、一人を殺しただけでは、これまでの判例との整合性からして死刑判決を下しにくいことがある。
 ここで裁判所は難しい立場に立たされることになるのだが、いかに国民の復讐感情に反することになろうとも、法の一貫性をねじ曲げる訳にはいかないという立場を貫くのが裁判所だ。時代の変遷と共に社会も変化し、法はなかなか変化しないから、社会と法との間に亀裂が生じるのはままあることだ。
 そのために折々に法改正が必要であり、そのために立法府がある。少年法による保護の年齢が引き下げられたのも、20歳未満の少年による凶悪犯罪の続出という社会変化に対応すべく、法が改正されたものだ。
 法というルールに準じて、世論の復讐感情によらず、独自の判断をくだすこと、これが裁判所に求められる役割だ。そしてルールの変更を行うのは立法府なのだ。
 これが「好悪にかかわらずルールには従う」というローマ法以来の伝統に基づく、近代国家の原理だ。この原理自体の妥当性に疑義を呈するのも良いが、今現在、我々は近代国家原理の中で生活をしている以上、その枠内で生じた事件についてはその枠内で考えなければならない。
 さて、小沢氏をめぐる事件では、まさに大衆の怨念がルールをねじ曲げるという現象が起きている。法が適正に運用されているかではなく、小沢一郎という政治家を有罪にするためには、ルールは無視しても構わないという事態が起きているのだ。
 大衆の怨念が法を左右する状態、これを普通、人民裁判と呼ぶ。少し年配の人ならば、文化大革命が吹き荒れた頃の中国の様子を思い出すだろう。『毛沢東語録』を振りかざした青年たちが絶叫しながら被告を糾弾する、そして被告の頭には赤い三角帽子が被せられ、弁護する機会も与えられず、有罪判決が下されていくのだ。今日本で起きているのは、あの人民裁判なのだ。
 左翼がそのような形で小沢氏を糾弾するのは、むしろ真正の左翼らしくて当然のことかもしれない。
 問題は、法学者のみならず右翼・保守陣営と称される人々・メディアまでもが、小沢氏糾弾という、右翼が最も嫌うはずの人民裁判に熱狂していることであり、左右両陣営の熱狂に後押しされて、裁判所が法をねじ曲げ、人民裁判所と化しつつあることだ。
 右翼・保守派は、たとえば東京裁判の無効性・不当性について語り、パール判決について語るのは好きだが、小沢裁判についてはその無効性・不当性については問題がないと考えているのだろうか。
 ここで大事なのは、小沢一郎という人物のことを、好きか嫌いか、という問題ではない。法が適正に運用されているかだ。一旦、好悪が法をねじ曲げるという先例が出来れば、法はもはや意味をなさず、すべての裁判は人民裁判と化すだろう。小沢一郎を快く思わない人間がたくさんいるのは知っている。だが、嫌いな人間が窮地に陥っているのを見てほくそ笑んで、法がねじ曲げられてゆくのを座視すれば、その歪められた法はやがて、笑っていた人間にも縄をかけてくるようになる。  *強調(太字・着色)は来栖
  <以下全文は本誌10月号をご覧ください。>

        
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小沢一郎裁判は、ドレフェス裁判だ/米国に隷属化した人たちの手によって仕掛けられたものに他ならない2011-11-10 | 政治/検察/メディア/小沢一郎
 「日本一新運動」の原点(80)── 小沢・TPP問題にみる日本国家の危機
平野貞夫の「永田町漂流記」
 
 〈前段略 来栖〉
 大きな宿題を抱えた気分で10月29日の深夜帰宅してみると、『月刊日本』11月号が届いていた。この雑誌はきわめて個性が強く、中々一般に普及しないが、時々、時代を鋭く追求する論説を掲載することで知られている。11月号には文藝評論家・山崎行太郎氏の「小沢裁判はドレフェス裁判だ」という、インタビュー記事があった。
 山崎行太郎氏の指摘を要約すると、
1)小沢裁判では、ほとんどすべての言論が、検察審査会による強制起訴という制度そのものへの問題提起もされていない。通常の権力闘争、世論のヒステリーを越えた何事かがある。小沢一郎を葬り去らねばならないという、ある種の決意がある。
2)それはポスト・コロニアリズムの空気だ(江藤淳「閉ざされた言語空間・占領軍の検閲と戦後日本=文春文庫)。戦後の言論が一見自由を装って、実は占領軍による検閲というトラウマの中で、自ら自由な言論を束縛してきた。奴隷根性であり、これを一旦身につけると抜けない。小沢一郎はこれを改革し、日本の自主・自立を目指そうとした。
3)小沢がやり玉に挙げられ始めたのは政権交代直前からで、西松・水谷・陸山会事件と過剰な疑惑報道がされた。小沢が対米自立に舵を切ろうとした時期に重なる。小沢を手段を問わず血祭りにしようとメディアが暴走し、その尻馬に乗った検察・裁判所の暴走なのだ。
4)小沢という政治家は、明確に日本の自主・自立を目指した人物だ。中国への接近が問題とされるが、それは政治の場で論議すべきこと。政治手法とは異なる所(司法権力)で、力づくで小沢を排除することを放置すれば、日本の自立はほとんど永遠の彼方に遠ざかろう。
5)小沢裁判の本質は、我々は無意識のうちにポスト・コロニアリズム的奴隷根性の命ずるままに小沢叩きに興じているだけなのではないか。日本の自立とは何か、我々の思考の枠組みそのものを問い直すことが、最重要だ。
6)思い出すのは、19世紀フランスで起きたドレフェス事件だ。普仏戦争で敗けたフランスでスパイ疑惑が発生し、反ユダヤ主義が吹き荒れるなかで、ユダヤ人のドレフェス陸軍大佐が犯人とされ、有罪となった。作家エミール・ゾラは「私は弾劾する」という論文を発表し、裁判の不当性を糾弾した。これで起きた社会運動によって、冤罪の実態が明らかになりフランス陸軍の権威は失墜し、フランスはさらなる弱体化を招いた。
 小沢問題を、日本人のポスト・コロニアリズム的奴隷根性という、社会心理的観点から指摘した山崎氏の意見は見事といえる。TPP問題もこの観点から考えると共通した本質に行きつくことができる。この日本人の、米国に対する「ポスト・コロニアリズム的奴隷根性」は、その後発展した「排他的投機資本主義」によって、さらなる癒着と合体を重ねて21世紀の世界を混乱させている。
 「小沢問題」は、米国が直接手を出さなくとも、日本人でありながら米国に隷属化した人たちの手によって仕掛けられたものに他ならない。メディアにも、官僚にも、そして検事・裁判官にも、日本国籍を持ちながら、心理的・文化的に米国連邦政府職員の意識を持つ人たちが大勢いるのだ。彼らは小沢一郎の主張する「自立と共生―国民の生活が第一」の「共生国家の建設」を許すことができないのである。
 彼らにとっては「狂気化し暴走する排他的米国資本主義」を守るため、小沢一郎という政治家を葬るとともに、TPPという米国資本主義のための「新しい収奪装置」に日本を参加させることに必死なのである。
 彼らはもはやデモクラシーという方法でなく、メディアによる社会心理的暴力装置と、検察・裁判所という物理的暴力装置を使って、「新しいファシズム国家」をつくろうとしているのだ。
 本来であれば、それを阻止すべき議会民主政治が、阻止どころか与野党で協力している国会議員が多数存在しているのだ。これを国家の危機といわなくて、何を危機というのか。
投稿者: 平野貞夫 日時: 2011年11月10日 00:44 *強調(太字・着色)は来栖
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『検察を支配する「悪魔」』田原総一朗氏と田中森一氏との対談
p37〜 角栄をやり、中曾根をやらなかった理由---田原
 でも、ロッキード事件はできたじゃないですか。田中角栄は逮捕した。角栄は時の権力者ですよ。
 僕はかつて雑誌『諸君!』に「田中角栄 ロッキード事件無罪論」を連載した。ロッキード事件に関しては『日本の政治 田中角栄・角栄以後』で振り返りましたが、今でも、ロッキード事件の裁判での田中角栄の無罪を信じている。
 そもそもロッキード事件はアメリカから降って湧いたもので、今でもアメリカ謀略説が根強く囁かれている。僕は当時、“資源派財界人”と呼ばれていた中山素平(そへい)日本興業銀行相談役、松原宗一大同特殊鋼相談役、今里広記日本精工会長などから、「角栄はアメリカにやられた」という言葉を何度も聞かされた。中曾根康弘元総理や、亡くなった渡辺美智雄、後藤田正晴といった政治家からも、同様の見方を聞いた。
 角栄は1974年の石油危機を見て、資源自立の政策を進めようとする。これが、世界のエネルギーを牛耳っていたアメリカ政府とオイルメジャーの逆鱗に触れた。
 このアメリカ謀略説の真偽は別にしても、検察は当時の日米関係を考慮に入れて筋書きを立てている。結果、角栄は前総理であり、自民党の最大派閥を率いる権力者だったにもかかわらず検察に捕まった。
 かたや対照的なのは中曾根康弘元総理。三菱重工CB事件でも最も高額の割り当てがあったと噂されているし、リクルート事件でも多額の未公開株を譲り受けたとされた。
 彼は殖産住宅事件のときからずっと疑惑を取りざたされてきた。政界がらみの汚職事件の大半に名が挙がった、いわば疑獄事件の常連だ。しかし、中曽根元総理には結局、検察の手が及ばなかった。
 角栄は逮捕されて、中曽根は逮捕されない。角栄と中曾根のどこが違うのですか。冤罪の角栄をやれたのだから、中曾根だってやれるはずだ。
 それから亀井静香。許永中との黒い噂があれほど囁かれたのに無傷に終わった。なぜ、亀井には検察の手が伸びない?
p39〜 ロッキードほど簡単な事件はなかった---田中
 ロッキード事件に関わったわけではないので、詳しいことはわかりませんが、検察内部で先輩たちから聞くところによると、時の権力が全面的にバックアップしてくれたので、非常にやりやすかったそうです。
 主任検事だった吉永祐介あたりに言わせると、「あんな簡単でやりやすい事件はなかった」---。
 普通、大物政治家に絡む事件では、邪魔が入るものですが、それがないどころか、予算はふんだんにくれるわ、いろいろと便宜を図ってくれるわけです。三木武夫総理を筆頭に、政府が全面的に協力して、お膳立てしてくれた。
 ロッキード事件では超法規的な措置がいくつもある。
 アメリカに行って、贈賄側とされるロッキード社のコーチャン、クラッターから調書を取れた。相手はアメリカ人だから、法的な障害がたくさんある。裁判所だけでなく、外務省をはじめとする霞が関の官庁の協力が不可欠です。とりわけ、裁判所の助力がなくてはならない。
 政府が裁判所や霞ヶ関を動かし、最高裁が向うの調書を証拠価値、証拠能力があるとする主張を法律的に認めてくれたばかりが、コーチャン、クラッターが何を喋っても、日本としては罪に問わないという超法規的な措置まで講じてくれた。贈賄側はすべてカット。こんな例外措置は現在の法体制では考えられません。弁護人の立場から言えば、非常に疑問の多い裁判でもあった。
「贈」が言っていることを検証しないで、前提とするわけだから。贈賄側が死んでいれば反対尋問はできないけれど、本来は、原則として仮に時効にかかろうが、贈賄側を一度、法廷に呼び出して供述が本当なのか検証するチャンスがある。
 ところが、ロッキードではなし。それで真実が出るのかどうか、疑わしい限りです。しかも、贈賄側は一切処罰されないと保証されて、喋っている。その証言が果たして正しいか。大いに疑問がある。
 それぐらい問題のある特別措置を当時の三木政権がやってくれるわけです。つまり、逮捕されたときの田中角栄は、既に権力の中枢にいなかったということなのでしょう。」
p80〜 第三章 絶対有罪が作られる場所
 ロッキード事件の金銭授受は不自然---田原
 ここからは、ロッキード事件の話をしたい。
 ロッキード事件で田中角栄は、トライスター機を日本が購入するにあたって、ロッキード社から4回にわたって、丸紅を通じて計5億円の賄賂を受けと取ったとして、1983年10月に受託収賄罪で懲役四年、追徴金5億円の判決を受けましたね。
 この4回あったとされる現金の受け渡し場所からしても、常識から考えておかしい。1回目は1973年8月10日午後2時20分頃で、丸紅の伊藤宏専務が松岡克浩の運転する車に乗り、英国大使館裏の道路で、田中の秘書、榎本敏夫に1億円入りの段ボール箱を渡した。2回目は同年10月12日午後2時30分頃、自宅に近い公衆電話ボックス前で、榎本に1億5000万円入りの段ボール箱を。3回目は翌年の1月21日午後4時30分頃、1億2500万円入りの段ボール箱がホテルオークラの駐車場で、伊藤から榎本に渡された。そして、同年3月1日午前8時頃、伊藤の自宅を訪れた榎本が、1億2500万円が入った段ボール箱を受け取ったとされている。
 最後の伊藤の自宅での受け渡しはともかく、他の3回は、誰が見ても大金の受け渡し場所としては不自然です。とくに3回目のホテルオークラは、検察のでっちあげ虚構としか思えない。
 伊藤の運転手だった松岡にインタビューしたところ、検察によって3回も受け渡し場所を変更させられたと言う。もともと松岡は、受け渡しに対して記憶はまったくなかったのですが、検事から伊藤の調書を見せられ、そんなこともあったかもしれないと、曖昧なまま検察の指示に従った。
 検事が、最初、3回目の授受の場所として指定してきたのは、ホテルオークラの正面玄関です。松岡は検事の命令に添って、正面玄関前に止まっている2台の車の図を描いた。
 でも考えてみれば、こんなところで1億2500万円入りの段ボール箱の積み下ろしなどするわけがない。正面玄関には、制服を着たボーイもいれば、客の出入りも激しい。おまけに、車寄せに2台車を止めて段ボール箱を運び込んだら、嫌でも人の目につく。
 検察も実際にホテルオークラに行ってみて、それに気が付いたんでしょう。体調を崩して大蔵病院に入院していた松岡の元に検察事務官が訪ねてきて、「ホテルオークラの玄関前には、右側と左側に駐車場がある。あなたが言っていた場所は左側だ」と訂正を求めた。
 それでも、まだ不自然だと考えたのでしょう。しばらくしたら、また検察事務官がやってきて、今度は5階の正面玄関ではなく、1階の入り口の駐車場に変えさせられたと言います。
 それだけならまだしも、おかしなことに、伊藤が描いた受け渡し場所も変更されていた。最初の検事調書では、伊藤も松岡とほぼ同じ絵を描いている。松岡の調書が5階の正面玄関から1階の宴会場前の駐車場に変更後、伊藤の検事調書も同様に変わっていた。
 打ち合わせもまったくなく、両者が授受の場所を間違え、後で揃って同じ場所に訂正するなんてことが、あり得るわけがない。検事が強引に変えさせたと判断するしかありません。百歩譲って、そのような偶然が起りえたとしても、この日の受け渡し場所の状況を考えると、検事のでっち上げとしか考えられない。
 この日、ホテルオークラの宴会場では、法務大臣や衆議院議長などを歴任した前尾繁三郎を激励する会が開かれていて、調書の授受の時刻には、数多くの政財界人、マスコミの人間がいたと思われる。顔見知りに会いかねない場所に、伊藤や田中の秘書、榎本が出かけていってカネをやり取りするのは、あまりにも不自然です。
 しかも、この日の東京は記録的な大雪。調書が事実だとすれば、伊藤と田中の秘書が雪の降りしきる屋外駐車場で、30分以上立ち話をしていたことになる。しかし、誰の口からも、雪という言葉が一切出ていません。
 万事がこんな調子で、榎本にインタビューしても、4回目の授受は検察がつくりあげたストーリーだと明言していました。
 もっとも、丸紅から5億円受け取ったことに関して彼は否定しなかった。伊藤の自宅で、5億円を受け取ったと。それは、あくまでも丸紅からの政治献金、田中角栄が総理に就任した祝い金だと。だから、伊藤は、せいぜい罪に問われても、政治資金規正法だと踏んだ。そして、検察から責め立てられ、受けとったのは事実だから、場所はどこでも五十歩百歩と考えるようになり、検察のでたらめにも応じたのだと答えた。
 つまり、検察は政治資金規正法ではなく、何があっても罪の重い受託収賄罪で田中角栄を起訴したかった。そのためにも、無理やりにでも授受の場所を仕立てる必要があったというわけでしょう。
p83〜 法務省に事前に送られる筋書き---田中
 ロッキード事件のカネの受け渡し場所は、普通に考えておかしい。またそれを認めた裁判所も裁判所ですよ。ロッキード事件以来、ある意味、検察の正義はいびつになってしまった。
 政界をバックにした大きな事件に発展しそうな場合、最初に、検察によってストーリーがつくられる。被疑者を調べずに周りだけ調べて、後は推測で筋を立てる。この時点では、ほとんど真実は把握できていないので、単なる推測に過ぎない。
 でも、初めに組み立てた推測による筋書きが、検察の正義になってしまうのです。なぜ、そんなおかしなことになるかと言えば、政界や官界に波及する可能性がある事件の捜査については、法務省の刑事課長から刑事局長に、場合によっては、内閣の法務大臣にまであげて了解をもらわなければ着手できない決まりになっているからです。とくに特捜で扱う事件は、そのほとんどが国会の質問事項になるため、事前に法務省にその筋書きを送る。
 いったん上にあげて、了承してもらったストーリー展開が狂ったら、どうなりますか?検察の組織自体が否定されますよ。事件を内偵していた特捜の検事がクビになるだけでなく、検察に対する国民の信頼もなくなる。
 本当は長い目で見たら、途中で間違っていましたと認めるほうが国民の信頼につながる。それは理屈として特捜もわかっているけれど、検察という組織の保身のためには、ごり押しせざるを得ないのが現実です。
 特捜の部長や上層部がなんぼ偉いといっても、一番事件の真相を知っているのは被疑者ですよ。その言い分をぜんぜん聞かず、ストーリーをどんどん組み立てる。確かに外部に秘密がまれたり、いろいろあるから、その方法が一番いいのかもしれないが、だったら途中で修正しなければいけない。
 ところが、大きい事件はまず軌道修正しない。いや大きい事件になるほど修正できない。だから、特捜に捕まった人はみんな、後で検察のストーリー通りになり、冤罪をきせられたと不服を洩らす。僕を筆頭として、リクルート事件の江副浩正、KSD事件の村上正邦、鈴木宗男議員と連座した
外務省の佐藤優、村上ファンドの村上世彰(よしあき)、ライブドア事件の堀江貴文・・・全員、不満たらたらで検察のやり方を非難している。
 これを特捜が謙虚に反省すればいいのですが、特捜はそんなことはまったく頭にない。「あのバカども、何を言っていやがるんだ」という驕りがあり、最初にストーリーありきの捜査法は一向に改善されません。
p85〜 尋問せずに事実関係に勝手に手を入れる---田中
 とくに東京の特捜では、まずストーリーありきの捜査しかしない。被害者を加害者に仕立て上げてしまった平和相銀事件がいい例ですよ。
 東京に来て驚いたのは、調書ひとつをとっても、上が介入する。調書作成段階で、副部長や主任の手が入ることも多く、筋書きと大幅に異なったり、筋書きを否定するような供述があると、ボツにされる。だから、検事たちも、尋問をするときから、検察の上層部が描いた筋書きに添う供述を、テクニックを弄して取っていく。
 僕も手練手管を弄して自分の描いた筋書きに被疑者を誘導することはありましたよ。しかし、それは、あくまでも現場で捜査に携わっている人間だから許されることだと思う。捜査をしている現場の検事は、こりゃあ違うなと感じれば、軌道修正する。被疑者のナマの声を聞いて判断するので、自分の想定したストーリーが明らかに事実と違えば、それ以上はごり押しできない。人間、誰しも良心がありますから。
 しかし東京では、尋問もしていない上役が事実関係に手を入れる。彼らは被疑者と接していないので容赦ない。被疑者が、これは検事の作文だよとよく非難しますが、故のないことではないと思った。恐ろしいと思いましたよ。冤罪をでっち上げることにもなりかねないので。
 だから、僕は東京のやり方には従わなかった。大阪流で押し通した。上がなんぼ「俺の言う通りに直せ」といっても、「実際に尋問もしていない人の言うことなんか聞けるか」で、はねのけた。
p86〜 大物検事も認めた稚拙なつくりごと---田原
 4回目の授受の場所を特定したのは誰か---ロッキード事件に関わった東京地検特捜部のある検事にこの質問をしたところ、彼は匿名を条件に「誰にも話したことはないが」と前置きして、次のように当時の心境を語っていた。
「ストーリーは検事が作ったのではなく、精神的にも肉体的にも追いつめられた被告の誰かが・・・カネを受け取ったことは自供するけれども・・・あとでお前はなぜ喋ったんだといわれたときのエクスキューズとして、日時と場所は嘘を言ったのじゃないか。
 そして、それに検事が乗ってしまったのじゃないか、と思ったことはある。田中、榎本弁護団が、それで攻めてきたら危ないと、ものすごく怖かった」
 この元検事の証言を、事件が発覚したときに渡米し、資料の入手やロッキード社のコーチャン、クラッターの嘱託尋問実現に奔走した堀田力元検事にぶつけると、「受け渡しはもともと不自然で子どもっぽいというか、素人っぽいというか。恐らく大金の授受などしたことがない人たちが考えたとしか思えない」と語っていました。
 堀田さんは取り調べには直接タッチしていない。だからこそ言える、正直な感想なんでしょうけれど、どう考えても、あの受け渡し場所は稚拙なつくりごとだと認めていましたよ。
p88〜 検事は良心を捨てぬと出世せず---田中
 検事なら誰だって田原さんが指摘したことは、わかっている。その通りですよ。田原さんがお書きになったロッキード事件やリクルート事件の不自然さは、担当検事だって捜査の段階から認識している。
 ところが引くに引けない。引いたら検察庁を辞めなければいけなくなるから。だから、たとえ明白なでっち上げだと思われる“事実”についてマスコミが検察に質しても、それは違うと言う。検事ひとりひとりは事実とは異なるかもしれないと思っていても、検察という組織の一員としては、そう言わざるを得ないんですよね。上になればなるほど、本当のことは言えない。そういう意味では、法務省大臣官房長まで務めた堀田さんの発言は非常に重い。
 特捜に来るまでは、検察の正義と検察官の正義の間にある矛盾に遭遇することは、ほとんどありません。地検の場合、扱うのは警察がつくっている事件だからです。警察の事件は、国の威信をかけてやる事件なんてまずない。いわゆる国策捜査は、みんな東京の特捜か大阪の特捜の担当です。
 特捜に入って初めて検察の正義と検察官の正義は違うとひしひしと感じる。僕も東京地検特捜部に配属されて、特捜の怖さをつくづく知りました。
 検察の正義はつくられた正義で、本当の正義ではない。リクルート事件然り、他の事件然り。検察は大義名分を立て、組織として押し通すだけです。
 それは、ややもすれば、検察官の正義と相入れません。現場の検事は、最初は良心があるので事実を曲げてまで検察の筋書きに忠実であろうとする自分に良心の呵責を覚える。
 しかし、波風を立てて検察の批判をする検事はほとんどいない。というのも、特捜に配属される検事はエリート。将来を嘱望されている。しかも、特捜にいるのは、2年、3年という短期間。その間辛抱すれば、次のポストに移って偉くなれる。
 そこの切り替えですよ。良心を捨てて、我慢して出世するか。人としての正義に従い、人生を棒に振るか。たいていの検事は前者を選ぶ。2年、3年のことだから我慢できないことはないので。ただそれができないと僕のように嫌気がさして、辞めていくはめになるのです。
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小沢一郎氏 初公判 全発言/ 『誰が小沢一郎を殺すのか?』2011-10-06 | 政治/検察/メディア/小沢一郎
 今、指定弁護士が話されたような事実はありません。裁判長のお許しをいただき、ただいまの指定弁護士の主張に対し、私の主張を申し上げます。
 指定弁護士の主張は、検察の不当・違法な捜査で得られた供述調書を唯一の根拠にした検察審査会の誤った判断に基づくに過ぎず、この裁判は直ちに打ち切るべきです。
 百歩譲って裁判を続けるにしても私が罪に問われる理由はまったくありません。なぜなら、本件では間違った記載をした事実はなく、政治資金規正法の言う虚偽記載には当たりませんし、ましてや私が虚偽記載について共謀したことは断じてないからです。
 また本件の捜査段階における検察の対応は、主権者である国民から何の負託も受けていない一捜査機関が、特定の意図により国家権力を乱用し、議会制民主主義を踏みにじったという意味において、日本憲政史上の一大汚点として後世に残るものであります。以下にその理由を申し上げます。
 そもそも政治資金規正法は、収支報告書に間違いがあったり、不適切な記載があった場合、みずから発見したものであれ、マスコミ、他党など第三者から指摘されたものであれ、その政治団体の会計責任者が総務省あるいは都道府県選管に自主申告して収支報告書を訂正することが大原則であります。
 贈収賄、脱税、横領など実質的犯罪を伴わないものについて、検察や警察が報告の間違いや不適切な記載を理由に捜査すると、議会制民主主義を担保する自由な政治活動を阻害する可能性があり、ひいては国民の主権を侵害するおそれがある。
 だからこそ政治資金規正法が制定されて以来、何百件、何千件と数え切れないほどの報告間違いや不適切な記載があっても実質的犯罪を伴わないものは検察の言う単純な虚偽記載も含めて例外なく、すべて収支報告書を訂正することで処理されてきました。陸山会の事件が立件されたあとも、今もそのような処理で済まされています。
 それにも関わらず唯一私と私の資金管理団体、政治団体、政党支部だけがおととし3月以来1年余りにわたり、実質的犯罪を犯したという証拠は何もないのに東京地検特捜部によって強制捜査を受けたのであります。もちろん、私は収賄、脱税、背任、横領などの実質的犯罪はまったく行っていません。
 なぜ私のケースだけが単純な虚偽記載の疑いで何の説明もなく、突然現行法の精神と原則を無視して強制捜査を受けなければならないのか。これではとうてい公正で厳正な法の執行とは言えません。したがってこの事例においては、少なくとも実質的犯罪はないと判明した時点で捜査を終結すべきだったと思います。
 それなのに、おととし春の西松事件による強制捜査、昨年初めの陸山会事件による強制捜査など、延々と捜査を続けたのは、明らかに常軌を逸しています。
 この捜査はまさに検察という国家権力機関が政治家・小沢一郎個人を標的に行ったものとしか考えようがありません。私を政治的・社会的に抹殺するのが目的だったと推認できますが、明確な犯罪事実、その根拠が何もないにもかかわらず、特定の政治家を対象に強制捜査を行ったことは、明白な国家権力の乱用であり、民主主義国家、法治国家では到底許されない暴力行為であります。
 オランダ人ジャーナリスト、カレル・ヴァン・ウォルフレン氏は、近著「誰が小沢一郎を殺すのか?」で「小沢一郎に対する強力かつ長期的なキャラクター・アサシネーション、『人物破壊』は、政治的に類を見ない」と言っています。「人物破壊」とは、その人物の評価を徹底的に破壊することで、表舞台から永久に抹殺する社会的暗殺であり、生命を奪う殺人以上に残虐な暴力だと思います。
 それ以上に、本件で特に許せないのは、国民から何も負託されていない検察・法務官僚が土足で議会制民主主義を踏みにじり、それを破壊し、公然と国民の主権を冒とく、侵害したことであります。
 おととしの総選挙の直前に、証拠もないのに検察当局は捜査・逮捕権という国家権力を乱用して、私を狙って強制捜査を開始したのであります。
 衆議院総選挙は、国民がみずから主権を行使して、直接、政権を選択することのできる唯一の機会にほかなりません。とりわけ、2年前の総選挙は、各種世論調査でも戦後半世紀ぶりの本格的な政権交代が十分に予想された特別なものでありました。そのようなときに、総選挙の行方を左右しかねない権力の行使が許されるとするならば、日本はもはや民主主義国家とは言えません。
 議会制民主主義とは、主権者である国民に選ばれた代表者たる政治家が自由な意思により、その良心と良識に基づいて、国民の負託に応え、国民に奉仕する政治であります。国家権力介入を恐れて、常に官憲の鼻息をうかがわなければならない政治は、もはや民主主義ではありません。
 日本は戦前、行政官僚、軍部官僚検察・警察官僚が結託し、財界、マスコミを巻き込んで、国家権力を乱用し、政党政治を破壊しました。その結果は、無謀な戦争への突入と悲惨な敗戦という悲劇でした。昭和史の教訓を忘れて今のような権力の乱用を許すならば、日本は必ず同様の過ちを繰り返すに違いありません。
 東日本大震災からの復興はいまだに本格化できず、東京電力福島第一原子力発電所の事故は安全な収束への目途すら立たず、加えて欧米の金融・財政危機による世界恐慌の恐れが目前に迫ってきている時に、これ以上政治の混迷が深まれば、国民の不安と不満が遠からず爆発して偏狭なナショナリズムやテロリズムが台頭し、社会の混乱は一層深まり、日本の将来は暗たんたるものになってしまいます。そうした悲劇を回避するためには、まず国家権力の乱用を止め、政党政治への国民の信頼を取り戻し、真の民主主義、議会制民主主義を確立する以外に方法はありません。まだ間に合う、私はそう思います。
 裁判長はじめ裁判官の皆様の見識あるご判断をお願い申し上げ私の陳述を終えます。ありがとうございました。
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この国が恐ろしいのは、総ての権力が同じ方向を向いて走り、正義より自分たちの足元ばかり気にしている点だ2011-10-03 | 政治/検察/メディア/小沢一郎 小沢「抹殺裁判」

日本シリーズ オレ竜逆転先勝!延長戦采配ズバリ/ 野村克也×落合博満

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オレ竜逆転先勝!延長戦采配ズバリ
 「日本S第1戦、ソフトバンク1-2中日」(12日、ヤフド)
 中日が忌まわしき過去と決別した。9連敗中の鬼門・ヤフードームで、オレ流指揮官が奇跡の花道に前進だ。15年ぶりに初戦から延長戦に突入した激闘を制した。完全優勝を飾ったソフトバンク有利の下馬評を覆した。落合竜の粘りが結実した。
 落合カンピューターが見事にはまった。指名打者制度が適用されるパ・リーグ本拠地での試合。和田を指名打者に置き、左翼にはソフトバンク・和田との対戦打率4割を誇る小池を据えた。両者の2発が鮮やかな逆転勝利を演出した。
 チーム屈指の和田キラーが、同姓対決を制した。無安打無得点に抑えられていた七回、1死。通算対戦打率・446を残す抜群の相性はダテではなかった。左中間席へ、チーム初安打となる同点1号ソロ。無風の三塁側ベンチに強烈な追い風が吹いた。
 「今まで見た中で、こんなに真っすぐが速いのかというぐらいだった。でも、あの回ぐらいから、ちょっと落ちてきたかなと」。敵軍エースが漂わせたスタミナ切れを察知した。力勝負から対応重視にスイッチ。頭の切り替えが功を奏した。
 小池は頭脳戦を制した。十回、2死。簡単に2球で追い込まれた。完全なボール球のフォークを空振りした。「もう1球来るんじゃないかと頭の片隅に置いていた」。読み通り。少し甘めに入った勝負球。決勝弾を左翼席へ運んだ。
 「らしいと言えばらしい試合。こういうゲーム展開には慣れてる。ベンチも落ち着いたもんだった。でも、今日は今日。明日の試合をどう戦うか、その1点だけ」。落合監督は勝ってカブトの緒を締めた。4つ勝たなきゃ笑えない。残り3つをどう勝つか。オレ流指揮官の目線は前を見つめて動かない。
(デイリースポーツ2011年11月13日)
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野村克也×落合博満 YouTube
http://www.youtube.com/watch?v=a76NUQSXcJE
2011/02/19
 記者に喋らないのは「記者連中、野球を理解しようとしないもん」「監督が一面、張っているようじゃダメ」
 「スコアラーは十何人」
 「ミーティングはやらない」
 「だったら俺の数字、抜いてみろ。それから能書き垂れろ」

日本シリーズ第2戦 ソフトバンク1―2中日/野球は、選手の力だけの戦いではない

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また10回、また馬原が…秋山監督「のびのびやっていくしか」
日本シリーズ第2戦  ソフトバンク1―2中日 (11月13日  ヤフーD)
  ソフトバンクは第1戦に続き、守護神の馬原が延長10回に手痛い勝ち越し点を許し、本拠地で2連敗。8年ぶりの日本一を目指すチームにとって、厳しいスタートとなった。
 簡単に2死を取った後、荒木に二塁内野安打を許すと、続く井端にはストレートの四球。森野に甘く入った直球を左前に運ばれた。
 秋山監督は「チャンスはあったけどホームが遠かったな。馬原は井端への四球。そこら辺を、ぴしっとしていかないと」と延長での惜敗を悔みつつ「しょうがない。次に向かってのびのびやっていくしかない」と前を向いた。
[スポニチ2011年11月13日22:46]
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【日本S】中日・落合監督インタビュー「私は見てるだけ」
デイリースポーツ 11月13日(日)22時22分配信
  「日本S第2戦、ソフトバンク1‐2中日」(13日、ヤフド)
 ◇中日・落合監督勝利インタビュー
 ‐2試合連続の延長戦になりました。
 「勝てばいいです。去年から4試合続いてますから。勝つに越したことはない」
 ‐延長戦もシーズンのような試合になった。
 「選手はよくやっていると思う。私はベンチでじーっと見てるだけです」
 ‐敵地での連勝の持つ意味は。
 「先のことを考えないで、今日のことがきちんとできているというのが一番」
 ‐投手リレーもいつも通り万全だった。
 「浅尾、岩瀬を使ったゲームは拾っていかなければいけない。無駄遣いしないで、きちんとした結果を出せてよかった」
 ‐選手会長(森野)が決めた。
 「経験があるから勝負所を知っている。最初からやってくれるといいんだけど、いいとこだけ持っていく。彼らはね」
 ‐ナゴヤでの胴上げも見えてきた。
 「先のことを考えるといいことないので。第3戦できちっとした野球をやっていきたい」
 ‐最後のユニホーム。
 「そんなこと言わないで下さい。まだまだ今年いっぱいはこのユニホームを着ているんだから」
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〈来栖の独白〉
 まったく・・・連日の延長戦で、胃が痛くなる。テレビ観戦しているだけの私などはそんなところだが、プレーしている選手・監督の集中力が途切れないことには、驚嘆するばかりだ。
 今夜のソフトバンク内川は気の毒だった。さぞや悪夢を見ている思いだったのではないか。悪夢の、最後の仕上げが最終打者だ。馬原も、昨夜に続いてショックだったろう。
 が、内川の仕儀はこのシリーズを象徴しているのではないか、と私は思った。あそこまで微細に選手を観察する落合監督。内川のバットからテーピングを剥がさせることで、内川本人は無論のこと(内川は中飛に倒れた)、ソフトバンク球団内の戦意を削ぐ。それは、球審に対する威圧にもなるだろう。球審は、落合監督の口の動き、指一本に緊張する。どんなクレームをつけられるか、何を言ってくるか、とピリピリするに違いない。「落合監督はそこまで読んでいた」と書けば、穿ちすぎと笑われるだろうか。
 野球は、実は選手の力だけの戦いではない。監督の頭脳戦、心理戦、情報戦でもあるということを、秋山氏はどこまで自覚しているだろう。落合監督は、十数人のスコアラーを抱えている。「のびのびやっていくしかない」なんて言っていたら負けてしまう、ということに秋山監督は気づかねばならない。勝ちたいなら、負けたくないなら、2連敗の意味を今夜死に物狂いで考えねばならない。
>最後のユニホーム。
 言わなくてもいいことを言う、浅はかな記者であることだ。

「死刑廃止国際条約の批准を求めるフォーラム90」実施の死刑確定囚へのアンケート結果

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確定死刑囚:複雑な思いの死刑囚 市民団体調査、86人回答
 市民団体「死刑廃止国際条約の批准を求めるフォーラム90」は、今年6月時点で死刑が確定していた120人を対象に実施したアンケートの結果をまとめた。約7割に相当する86人が回答しており、死刑囚のナマの声が伝えられるのは異例。死刑制度に対する思いや、東日本大震災の被災者への配慮をつづった内容もみられた。【伊藤一郎】
 ◇刑受けるのが遺族様にできること/いつ執行か、精神的な拷問と同じ/3分でいいから生の会話したい
 ある男性は「その時がくれば、あらがうことなく刑を受けようと思う。それくらいしか被害者御遺族様にできることはない」と記入。一方で別の72歳の男性は、刑事訴訟法が「(死刑の執行命令は)判決確定日から6カ月以内にしなければならない」と定めているのに、既に6カ月が経過したことを理由に「断固、執行は拒否する」とつづった。
 また、64歳の男性は「(死刑執行は)事前に告知して心の準備をする機会を与え、死刑囚自ら苦痛の軽減を図れるようにする」ことを要望。39歳の男性は「自分のした事の重さは十分に分かっているが、いつ執行で身体を持っていかれるか分からないという気持ちが分かりますか? 精神的な拷問と同じです。(中略)生きて償いをしたい」と訴えている。
 3月の大震災に触れたある男性は「被災地で生活している方々がいまだに不自由で苦難な生活をしているなかで、私は毎日3食も食事をいただき、入浴もさせていただいています」と記載。そのうえで「大切な血税にて生かされて、罪のない被災地の方々が苦労されていることを考えると、アンケートに答える気になれない」と被災者を気遣った。
 アンケートでは、再審請求の状況や処遇の実情についても質問。回答者の約6割に当たる52人が再審請求中で、20人が請求予定とした。また、親族などとの面会・文通が一切ないと答えたのは5人。他人と会話する機会がなく「3分でいいから生の会話がしたい」と訴える記述もみられた。
 <確定死刑囚の主なメッセージ>
 ◇奥西勝死刑囚(名張毒ぶどう酒事件)
 調書は誘導と強要によるもので、事実と全く違います。一日も早く再審開始して、無罪を決定してください。 ◇間中博巳死刑囚(茨城同級生殺害事件)
 死刑囚というと“極悪非道”をイメージしますが、ほとんどの死刑囚は普通の人たちなのです。普通の人たちが道をふみ外して殺人などを犯してしまったのです。
 ◇小林光弘死刑囚(弘前武富士強殺放火事件)
 共同室(雑居房)から大きな笑い声が聞こえてきます。しかし、死刑囚が大声で笑うことはほとんどありえない事です。このような状況で、心情安定に努めなさいという事など無理な話です。
 ◇幾島賢治死刑囚(富山暴力団組長夫婦射殺事件)
 死刑問題には関係ないが、この国難の時に政争はやめてもらいたい。(中略)被災者を一日も早く救ってください。それが政治の仕事と思います。
 ■ことば
 ◇確定死刑囚
 法務省刑事局によると、11月10日現在で124人。全国の拘置所の単独房に収容されている。原則として他の収容者との接触は禁じられ、外部との手紙のやり取りや面会も限定されている。死刑執行は直前まで死刑囚には伝えられない。
 刑事訴訟法は「法相は確定から6カ月以内に(執行)命令を出さなければならない」と定めているが、再審請求中や共犯者の裁判中は原則見送られている。歴代法相の中には思想・信条を理由に執行命令を出さなかったケースもある。法務省には現在、死刑制度の是非について検討する「死刑の在り方についての勉強会」が設置されている。
毎日新聞 2011年11月13日 東京朝刊
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麻原彰晃氏に死刑執行あるのか/近々の刑執行はない/『年報 死刑廃止2011』3.11以降も出続ける死刑判決2011-11-07 | 死刑/重刑/生命犯 問題
 〈来栖の独白 追記2011/11/08Tue.〉
 本日、セブンイレブンで『年報 死刑廃止2011』を受け取る。時の経つのは早いもので、今年もそういう季節になった。特集は「震災と死刑 生命を見つめなおす」。その特集の中から、部分転写してみる。

         
P11〜
 3.11以降も出続ける死刑判決
安田:僕がここで発言するのはあまりふさわしくないと思うんですね。というのは、震災とは一番距離のあるところにいまして、どうしても僕なんかは毎日死刑のことを考え、あるいは死刑事件の弁護であくせくしているものですから、死刑という視点でしか3.11の出来事もとらえることができなくて、3.11をきっかけにどのように社会がブレるんだろうかと。たとえば2万人もの亡くなった人と行方不明の人がいる。にもかかわらず、なんで、1人、2人の、しかも事件を犯してしまった人たちの命を守らなきゃならないのか、ということで、死刑囚の人たちの命が危険にさらされるんじゃないかと、命の価値がどんどん貶められるんじゃないかという恐れがあります。また一方では、いやこれだけのたくさんの方が亡くなり、あるいは悲惨なことが起こったんだから、この際、出直そうじゃないか、リセットしようじゃないかということで、みんなが寛容になるということになるのか。私たちが生き残ることでできたことで、命のありがたさ、大切さを知る。過去の歴史を見ると、これだけの大きく不幸なことが起こったときには、赦免が行われて、それで国家が一体となってもういっぺん出直していくということとか、自分たちがやってきたことを見直して殺生をやめようとか、生き方を変えるとかも行われてきたわけですけれども。そのどちらに進むのかなと、ジーッと見ていたわけです。
 しかし、今は、まだ原初的な段階にあって、思想的にも、社会制度的にも、一種の無政府状態、混乱状態にある。それをどっちかに行かせるような大きな力はまだ生まれてきていない、そういう状況なのかなと思っているんです。
 だから僕たちの役割は、たいへん重要なところにあると思っているんですけれども、そういう中にあっても、この間、6月になって、裁判員裁判で死刑判決がしっかり出ているんですよね。しかも連続的に、何の動揺も躊躇もなしにですよ。
 裁判員裁判は、その準備だけでも大変な作業です。6月に判決となると、半年以上前から準備が始まる。その間、3.11があったわけですが、それに何の影響も受けることなく、むしろ、それが優先事項であるかのように、予定されたシナリオどおりに死刑判決が出てくるということにちょっと怖さを感じています。
P12〜
 東電は誰も死刑にならないのか
岩井:今の話を聞いて、明日世界が滅びようとも死刑の執行はすべきだと言ったという哲学者の言葉を思い出しました。それが今日の座談会の底を流れる問題提起になっていくのかなと思います。


TPP 米側からの市場開放圧力が高まりそう/小沢一郎氏 交渉力・国内態勢に懸念/米国追従が過ぎないか

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「第2の普天間」を懸念=TPP、日米の調整不足露呈−APEC
 【ホノルル時事】野田佳彦首相が環太平洋連携協定(TPP)交渉参加方針を表明したアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議。「日本の主導的な役割を果たしたい」との首相の訴えは、複数の参加国首脳から歓迎の意向が示された。一方、首相はTPP首脳会議に出席できず、日米首脳会談での首相発言をめぐっては、双方の説明が食い違った。日米間の調整不足が露呈し、今後の外交交渉も難航する米軍普天間飛行場移設問題と同様、先行きを危ぶむ声が出ている。
 首相は13日夕(日本時間14日午後)、ホノルル市内のホテルで開かれた内外記者会見で、今回の外遊について「わが国は交渉参加に向けて関係国との協議に入る旨を紹介し、いくつかの(APEC)参加国・地域から歓迎の意が表明された」と成果をアピールした。
 12日の日米首脳会談は冒頭の10分間、首相とオバマ大統領の2人だけで行われ、首相同行筋は「両首脳の信頼関係が構築された証しだ」と強調した。
 ただ、会談後に米ホワイトハウスは、首相が「全ての物品およびサービスを貿易自由化交渉のテーブルに乗せる」と表明したと報道発表し、外務省は慌てて事実無根だと抗議した。しかし、日米外交筋は「通商交渉はまず全品目を交渉対象とするのが常識だ」とし、米側の認識には一定の理解を示した。同筋は「今回の抗議騒動で、米国はTPPへの日本の本気度に疑問を持つだろう」と懸念する。
 実際、日本のTPP交渉参加に対し、米議員団は8日、カーク米通商代表部(USTR)代表に書簡を送り、農産品、保険、医療など多くの分野で深刻な障壁があると指摘した。米議会が日本の交渉参加に同意するか否かは、「日本が市場開放に向けた高い基準を満たす意志があるかどうか」に懸かっており、今後、米側からの市場開放圧力が高まりそうだ。
 しかし、TPP交渉参加に対する政府の情報開示は不十分で、日本国内世論は依然として二分されたままだ。TPPへの正式参加には国会での協定承認が必要となるが、慎重派の抵抗は必至。政府筋は「承認に時間がかかれば、米国の失望感は膨らむ。TPPは第2の普天間問題となる要素をはらんでいる」と語る。(時事通信2011/11/14-20:11)
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小沢氏 TPP国内態勢に懸念
NHKニュース11月14日 16時55分 
 民主党の小沢元代表は、岐阜市で開かれた会合であいさつし、野田総理大臣が、TPP=環太平洋パートナーシップ協定の交渉参加に向けて、関係国との協議に入ると表明したことについて「国内の態勢が、きちんと取れているのかという心配がある」などと述べ、懸念を示しました。
 この中で小沢元代表は、政府がTPPの交渉参加に向けて協議に入ることについて「TPPに対応する国内の態勢が、きちんとできているのかという心配や、国際社会の中で、特にアメリカと対等の交渉をして、ちゃんと国民の利益を守れるのかという心配がある」と述べ、懸念を示しました。また、小沢氏は消費税率の引き上げについて「政権交代のときに『こうします』と言った約束や責任をきちんと果たすなかで、初めて理解されることであり、選挙で国民に一生懸命訴えた初心は、決して忘れてはならない」と述べ、増税の前にむだの削減などで、努力する必要があるという考えを示しました。さらに、小沢氏は今後の政治活動について「今日の政治状況を見ると、本当にこのままでは日本の将来は大変だという気持ちでいっぱいだ。日本の政治をしっかりとしたものにすることが、いまだ私が果たしえない夢であり、これを夢に終わらせないために、レールだけでも敷いていきたい」と述べました。
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風雲TPP〈中〉民主党内、半数が慎重派 集約へ鹿野氏キーマン/小沢氏「米国と誰が交渉できるんだ」2011-10-26 | 政治(経済/社会保障/TPP)
 風雲TPP:/中 民主党内、半数が慎重派 集約へ鹿野氏キーマン
 「拙速に議論を進めないでほしい」。民主党内を揺るがす環太平洋パートナーシップ協定(TPP)交渉への参加問題。「TPPを慎重に考える会」会長の山田正彦前農相は25日昼、前原誠司政調会長を国会内の事務所に訪ね、詰め寄った。
 会談は約40分間。山田氏は11月のアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議で野田佳彦首相が交渉参加を表明するのを見送るよう求めた。だが、前原氏は「先送りは簡単ではない。首相はAPECまでのつもりだ」と反論、平行線に終わった。山田氏は会談後、「党内は完全に二分されている。無理をすればどうなるか」と記者団に不満を示した。
 民主党は経済連携プロジェクトチーム(PT)で11月2日までに意見集約を図る方針だが、議論は今月14日の第1回総会から荒れた。PT役員の大半が推進派だったことや総会の位置づけに批判が続出。鉢呂吉雄座長は「慎重派の役員を増やす。取りまとめ案は役員会で作るが、総会でしっかり決める」と譲歩せざるを得なかった。
 推進派が慎重派に配慮せざるを得ないのは、TPPの国会による承認を見据えれば、民主党内が分裂するような事態は避けなければならないからだ。交渉不参加の表明を求める署名簿には党所属国会議員の約半数にあたる200人(25日現在)がサインした。山田氏は「党内の半分は慎重論」と主張する。
 党支持率が低迷する中、選挙基盤の弱い若手や地方出身議員にとってTPP反対論が強い農業や医療関係の団体の組織票は貴重だ。推進派は「反対派は自分の選挙のために大声で反対することしか考えない。政権与党としての責任を果たそうとしない」と苦り切る。
 前原氏ら推進派はTPPが国益に沿わない場合は撤退する「条件付き参加」を落としどころとして探るが、同じ推進派でも玄葉光一郎外相が「(離脱は)簡単な話じゃない。論理的にはあり得るが、どういう国益を損なうかよく考えなければならない」と述べるなど足並みは乱れている。
 慎重派も一枚岩ではない。小沢一郎元代表に近い中堅・若手の衆院議員グループ「一新会」は25日、国会内で会合を開き、会として統一行動を取らないことを決めた。昨年10月、菅直人首相(当時)がTPP参加検討を表明した際には強硬に反対する姿勢を示したが、小沢元代表にも近い輿石東幹事長はTPP議論をまとめる側。グループ内には慎重派が多いが、野田政権と決定的な対立になるのを避けたとみられる。小沢元代表に最近面会した側近議員によると、元代表は「TPPはやらざるを得ないが、米国と誰が交渉できるんだ」と述べ、政府の交渉力に危惧の念を示したという。
 「議論をどうまとめるのか見えない」(PT幹部)中、推進派は鹿野道彦農相に期待を寄せる。官邸関係者は「鹿野さんが懸念しているのはTPPが党を二分すること。反対ではない。党を二分する事態は避けられると鹿野さんが踏めば、TPPは行ける」と語る。慎重派には民主党代表選で鹿野氏を支持した議員が多く、「『鹿野氏が言うなら仕方ない』と思ってもらうしかない」(推進派議員)との戦略だ。
 鹿野グループは民主党代表選の決選投票で野田首相に投じた。鹿野氏は野田首相誕生のキーマンでもある。首相と鹿野氏のコンビはどう決着をつけるのか。残された時間は少ない。
毎日新聞 2011年10月26日 東京朝刊
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中日春秋
2011年11月8日
 ライオンとロバが、共同で狩りをした話がイソップにある。終わって、獲物を三つに分けた後、ライオンが独特の分配法を表明する▼「一つ目は百獣の王たるわしがもらう。二つ目は平等なパートナーとして、わしが取る。さて三つ目だが、もしお前が逃げていかないなら、ひどい目に遭うぞ!」。つまり、獲物は全部ライオンのもの…▼恐らくは、「不当に大きな取り分」を指す英語の成句、<ライオンズ・シェア>の由来でもある。民主党内にも強硬な反対論がある中、野田首相が近々、環太平洋連携協定(TPP)への参加表明の意向だと聞いて、ふと思い出した次第▼協定の中身は無論だが、大いに不安があるのは、わが政府の「交渉力」だ。原則、関税撤廃の協定であっても「例外を設けることは可能」などと政府は言うが、これまで大抵の要求をのまされてきた米国相手に、本当にその“取り分”をへつるような、したたかな交渉ができるのか▼実際、例えば米軍普天間飛行場移設問題では、時の首相があれほど「国外・県外」を主張し、世論も望んだのに、官僚はそっぽを向き、政府は肝心の米国と交渉らしい交渉さえできなかったではないか▼自分より強い者と共同でことを行うのは考えもの、というのがイソップのご高説。確かに、協定が成ってみたら米国の<ライオンズ・シェア>だった…ではたまらぬ。
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[TPPと普天間]米国追従が過ぎないか
沖縄タイムス 2011年11月14日 09時32分(12時間34分前に更新)
 化けの皮がはがれる、とはこういうことなのだろうか。野田政権の「米国追従」が日増しに鮮明になっている。失望と危機感を抱かずにはいられない。
 野田佳彦首相は12日、オバマ米大統領と会談し、環太平洋連携協定(TPP)交渉への参加方針と、米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設に向けた環境影響評価書を年内に提出することを報告した。
 オバマ政権から課されていた「宿題」をこなすと、今度は「さらなる進展を期待」され、それへの「確約」を繰り返す。これは到底、外交交渉といえるレベルではない。
 「こんな姑息(こそく)なまねまでして前原氏は沖縄でいったい何をしたいのか」。県民の多くがそう訝(いぶか)しんだに違いない。
 今月4日、民主党の前原誠司政調会長が「極秘」に来県した。仲井真弘多知事との面談も取り沙汰され、真意を問う声が県内で高まっている。
 前原氏は当初、5日の来県を予定していたが、4日昼になって在京メディアに「沖縄行きを中止する」とわざわざ通知した上で、直後の夕刻に沖縄入りするという不可解な行動を取った。メディアや県民を欺く来県は、民主党県連の喜納昌吉代表代行が4日午後に搭乗した羽田発那覇行きの飛行機に、前原氏が同乗していたことから、あっけなく発覚した。党の「身内」から情報が漏れる脇の甘さは何ともお粗末である。
 前原氏はなぜ、TPPをめぐる党内論議の渦中に、県民の不審を買うリスクを負ってまで、「極秘来県」を敢行したのだろうか。
 前原氏の行動は一見、知事への義理を重んじたように映る。が、その意識は沖縄を飛び越え、米国を向いている、と解した方が腑(ふ)に落ちる。
 元外交官の孫崎享氏は10日付の本紙文化面で、TPP論議と普天間問題の既視感を指摘している。よく分からない「抑止力のために海兵隊は必要」との論理で日米合意に戻った普天間問題と同様、よく分からない「日本経済の活性化のためTPPに参加しなければならない」との論が展開されている、というのだ。米国基準のTPP参加を促す推進派は、鳩山由紀夫元首相の「最低でも県外」方針に非難や冷笑を浴びせた「安保マフィア」と重なる。
 9月の日米首脳会談で、普天間問題の進展やTPP参加への努力を迫られた野田首相は、この「宿題」を果たすため、閣僚の「沖縄詣で」やTPP参加への見切り発車を決意したのではないか。
 多極化する時代に「対米外交がすべてに優先する」という凝り固まった価値観にとらわれていては選択を誤る。これからの時代を託す政治家の理念としては単層で危うい。
 県議会は、普天間飛行場の辺野古移設に向けた環境影響評価書の年内提出について、政府に断念するよう求める意見書を14日の臨時議会に提案し、全会一致で採択される見通しだ。
 この動きを、ぜひとも県内の市町村議会に広げ、思考停止状態の中央政治家に県民の強い民意を突きつけておく必要がある。

小沢一郎×田原総一朗 徹底生討論 『日本をどうする!』ニコニコ生放送11月19日(土)夜8時30分から

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小沢一郎事務所【インターネット出演のご案内】
☆ 小沢一郎×田原総一朗 徹底生討論 ☆
  【日時】   11月19日(土)20時30分スタート

  【形式】   小沢一郎×田原総一朗の熱い生討論
     
  【テーマ】   昨今、注目が集まっている政治資金規正法違反に関する裁判や、
          今後の日本の立て直しなど
            ? 小沢裁判とは何なのか。
            ? 民主党をどうする。
            ? 日本をどう立て直すか。
  【配信】    ニコニコ動画  
  その他 会場には現在大学で政治学などを勉強している学生が参加し、
       徹底生討論の行方を見守ります。
       アナタが書き込んだコメントは会場内に設置されているLED
       モニターにリアルタイムに表示されます。
       質問や意見などコメントで書き込むことにより、コネクター
       の政治ジャーナリスト・角谷浩一氏のナビゲートを通じて、
       討論に参加することが可能です。
       また、メールでの意見も募集しております。
  詳しくは、番組ホームページをご覧ください。

ニコニコ生放送  
11月19日(土)夜8時30分から、『小沢一郎×田原総一朗 徹底生討論 『日本をどうする!』in ニコファーレ』

橋下徹 それでも「圧勝」の異常選挙/ とっくに終わっている「古い力」に頼んだ平松陣営の愚

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大阪ダブル選 橋下徹それでも「圧勝」の異常選挙
日刊ゲンダイ2011年11月14日
「父親が暴力団?結構毛だらけ」と開き直り
<民主、自民の完全な戦略ミス>
 橋下徹(42)VS.平松邦夫(62)の一騎打ちになった27日投票の大阪市長選。当初は「大接戦」が予想されたが、早くも「橋下圧勝」の見方が強まっている。ダブルスコアの声まであがる始末だ。
  基礎票では、現職の平松市長が圧倒している。大阪市の有権者は213万人。投票率を40%とすると当選ラインは43万票。「民、自、共」の3党から支持を受けた平松陣営の基礎票は、民主25万、自民20万、共産11万――と56万票ある。ところが、平松陣営は完全に戦略を見誤ったという。
 「さすがに大阪市民も、橋下徹の強引な手法には不安を覚えている。だから平松サイドは、余計なことをせず独裁者の橋下を市長にしたら市政はメチャクチャにされると訴えればよかった。橋下府政の2年半、たいした成果もなかったから、攻めやすかったはず。ところが、自民から共産までが“反橋下”で手を組んだため、既成政党が束になって橋下個人を潰している構図になってしまった。橋下徹も『オール守旧派と新しい大阪をつくる勢力の戦いだ』と、改革派VS.既得権益の構図に持ち込んでいる。いつの間にか、平松陣営こそ横暴という構図になりつつあります」(大阪市政関係者)
 しかも、民主も自民も、内心は「反橋下」で戦うことに腰が引けている。
 「大阪選出の国会議員は、次の選挙を考えたら、人気のある橋下が率いる『大阪維新の会』を敵に回したくないのがホンネです。たとえば、自民党の谷川秀善参院議員は、次の衆院選で息子を大阪19区から出馬させる予定ですが、19区の地元議員は維新の会ばかり。息子の当選を考えたらケンカできない。民主や公明も、総選挙の時は維新の会に選挙協力して欲しい。とても本気で市長選を戦う雰囲気ではありません」(政界事情通)
  週刊誌が一斉に報じた「橋下の父親はヤクザ」「従兄弟は人殺し」といったバッシングも、むしろ「本人の責任じゃない」と同情を集めている。橋下本人も「権力構造を変えるにはお坊ちゃんじゃできませんよ。実の父親が暴力団? 結構毛だらけだ」と開き直っている。
  もともと、横山ノックを知事に選ぶような大阪は、理屈は関係ない。平松陣営からは「投票率が30%を切れば勝てる」と弱気な発言が出るありさまだ。このままでは、とんでもない独裁者が誕生してしまう。
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〈来栖の独白〉
 平松陣営の読み違え、と私も考える。政権交代以前から、市民・国民の政党政治への不信感は強い。不信感ゆえに、『大阪維新の会』や名古屋の『減税日本』ごとき、地域政党が生まれ、支持を得た。なのに、平松陣営は民主党・自民党・共産党といった、既に「終わった」古い力に応援を頼み、誇示した。これでは市民の心は離れていくばかりだ。この程度の読みができないようでは、負けるのは火を見るよりも明らかだ。
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橋下徹氏「今の権力構造を変えるには、坊ちゃんやお嬢ちゃんじゃできませんよ」/透けるポピュリズム2011-11-05 | 政治

福島第一原発敷地内取材をめぐるメディア選別の「脱力」

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福島第一原発敷地内取材をめぐるメディア選別の「脱力」
篠田博之の「メディアウォッチ」 2011年11月15日 02:35
 新聞・テレビが大々的に報道しているからご覧になった方も多いと思うが、11月12日、政府・東電が、3月の事故以来初めて、福島第一原発敷地内を報道陣に公開した。
 http://www.news24.jp/articles/2011/11/12/07194358.html
 既に今西憲之さんら一部フリーによって報道された映像だし、今回の取材は細野豪志大臣の視察に同行という限定的なものだが、情報公開への一歩という意味では評価できないこともない。ただ、そこでフリー記者やネットメディアを排除し、取材を新聞・テレビの記者クラブメディアに限定したという点については、大きなブーイングが起きている。
 というのも、そもそも原発取材については、大手マスコミは20キロとか50キロ圏内には立ち入らないという自主規制を設け、それを突破して現場に入ったのはフリーの記者たちだった。その現場に入ろうとするフリーに対しても4月下旬以降規制がかかったため、規制を撤廃せよという要求を前面に掲げてきたのがフリーランスだった。イラク戦争報道においては、安全確保を優先する大手マスコミはバグダッドから撤退し、フリージャーナリストが現場にとどまったのだが、そうやってリスク覚悟で入ろうとする取材陣を国家が妨害・規制するのはやめてほしいという要求だったわけだ。ところがそうした要求がある程度認められて、いざ現場入りとなったら、そこからフリーが除外されたというわけで、これ、本当に「脱力」ものである。
 5月に『創』主催のシンポジウムでこの議論が起きた時に、戦場取材で知られるフリーランスの綿井健陽さんらを中心に、敷地内取材を認めろという共同アピールを政府に提出。
 その後も様々な場でフリーランスから規制撤廃の要求が政府になされていた。最近の動きについて言えば、11月2日の上杉隆さんらの自由報道協会の申し入れ、11月4日の寺澤有さんらのフリーランス協議会の申し入れなどが出されていた(下記URL参照)。
 http://fpaj.jp/?p=1881
 http://www.incidents.jp/news/index.php?option=com_content&view=article&id=353:2011-11-04-06-37-02&catid=1:2010-05-12-10-05-34
 それらを全て否定したかのような今回の措置に、綿井さんもブログで批判的に言及している。http://watai.blog.so-net.ne.jp/
 せっかくこの1〜2年、記者クラブ制度が崩壊しつつあったのに、またしても記者クラブ優先という政府の方針には全く脱力させられる。
 既存メディアでこの問題を取り上げたのは毎日新聞11月12日付メディア欄。台宏士さんの署名によるものだが「『原発』取材 選別に批判」という、なかなかいい記事だ。今回政府は、フリーとネットメディアを排除しながら、外国プレスは代表取材で一部認めるという、微妙な判断をしたのだが、このあたりの線引きをどう考えているのか、ぜひ細野大臣に伺いたいものだ。
 投稿者: 篠田博之 日時: 2011年11月15日 02:35
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細野担当相の福島第1視察、同行取材は記者クラブ限定/首相補佐官時代は門戸を開いていたが・・・2011-11-03 | 政治/検察/メディア/小沢一郎
閣僚会見のオープン化「世界中のジャーナリストに代わってお礼申し上げたい。質問はありません」
小沢幹事長問題ではっきりした メディアと国家権力の危険な関係
小沢会見「検察の捜査で明らかになった私の主張を報道したうえで世論調査してみてください」
「記者会見開放運動」卒業宣言!上杉隆2010-04-22 | 政治/検察/メディア/小沢一郎

落合監督と選手たちとの8年/先発ピッチャー、川崎/情の采配を捨てた理由/物言わぬ指揮官、沈黙のわけ

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落合監督と選手たちとの8年
鈴木忠平●文text by Suzuki Tadahira/photo by Nikkan sports

[2011年11月11日(金)]
【プロ野球】落合監督と選手たちとの8年(1)『絆〜衝撃退任から始まった奇跡』
 監督の落合博満は選手たちをじっと見守っていた。CSファイナルステージ、明日なき覚悟でぶつかってくるヤクルトとの死闘は5戦目までもつれ込んだ。それでも、ベンチの指揮官は確信したように戦いを見つめていた。そして、勝った。2年連続日本シリーズ進出。今季限りで退任する指揮官へ向けて、選手たちがつくってくれた花道は、日本最高の舞台まで続くことになった。
「オレは何もしていないよ。見ていただけだ。強かったな。選手たちはすばらしい」
 勝利の後、落合は言った。就任以来、指揮官がこれほど選手を信頼し、褒めたことはなかった。今、落合竜は特別なテンションで走り続けている。
 落合と選手たちの花道。始まったのは、ペナントレース終盤の9月22日だった。4.5ゲーム差で迎えた首位ヤクルトとの直接対決4連戦。その大一番の開始3時間前、球団が落合の今季限りでの退任と、次期監督に高木守道氏が就任することを発表したのだ。
「なぜ、今なんだ!」
 異例とも言える発表のタイミングと、球団首脳の対応に、現場からは怒りの声が上がった。ただ、普通のチームならば失速してもおかしくない状況で、選手たちは怒りを意地に変え、激情をエネルギーに変えて、目の前の勝負に没頭した。
 そして、2日後の9月24日、ヤクルト戦、チームは谷繁元信のサヨナラ打で劇的勝利を飾った。退任発表からの3連勝で球団史上初の連覇を完全に射程圏にとらえた。監督退任という衝撃をも乗り越え、自分の仕事を全うした選手たちを見て、落合の胸にはこみ上げるものがあった。試合後、そんな選手たちへの思いを異例の行動で表現した。ベンチに戻ってきた谷繁の頭をなでまわした。その目は涙でぬれていた。
「オレはここにきた時、あいつらに言ったんだよ。『お前ら、球団のために野球やるな。自分のために野球やれ。オレは勝つことだけを考える。勝つことに徹する。だから好き嫌いはしない。いい者を使う。勝敗の責任はオレが取る。だから、自分の成績の責任は自分で取れ』ってな。あの日、ヤクルト戦を見て、『ああ、あいつら、やっとオレの言ったことがわかったのかな』って」
 落合が8年間、選手たちに求めたもの。それはただひとつ「プロフェッショナル」だった。そのために、選手との間に一切の「情」を排除した。個人的に選手と食事に出かけたことはない。頑張れと言ったことも、期待していると言ったこともない。その代わり、技術を認めれば、グラウンドに送り出した。
 理想の野球とはどんなものか。落合に聞いたことがある。
「オレの理想の野球って何か。みんなわかっていないよ。1点を守るとか、足を使うとかではない。競争を勝ち抜いた奴らで戦うことだ。お前ら(チーム内で)白黒つけたんだから、今度は相手と白黒つけてこいって。そうすれば、監督は何もしなくていいんだ」
 守りの野球はあくまで勝つための方法論だった。激しい競争を勝ち抜き、指揮官の助けすら必要としないプロフェッショナルを9人、送り出すこと。それこそが、落合の理想の野球だった。だから“9・22”の退任発表以後、「監督のために」などと期待する気持ちはさらさらなかった。それより、選手たちが異常な状況の中でも、自分のために戦う姿が落合にはうれしかった。谷繁に見せた異例の行動は、指揮官が初めて選手たちを認めた証だった。成熟したプロ集団の象徴として、40歳にして頭をなでられた谷繁も誇らしげだった。
「監督が泣いているのは知っていたよ。オレはあの時、ああ、落合博満という人に認められたんだなと思った。だって今までそういうことをしなかったし、そういうことをする人じゃないから」
 それ以降、落合はただ、選手を見守っていた。何も言う必要がなかったからだ。10月18日の横浜戦、監督として5度目の優勝を決めた。連覇も、10ゲーム差の逆転優勝も球団初の快挙だった。そして、11月6日、CSファイナルステージで最後まで食らいついてきたヤクルトを振り切り、2年連続日本シリーズ進出を決めた。落合が確信した通り、もう選手たちに指揮官の言葉は必要なかった。
 ふたつの戦いを制した夜、ともに落合は6度、宙に舞った。印象的だったのは手を差し伸べる選手たちの目にも、歓喜の空を見上げる落合の目にも熱いものが光っていたことだ。 8年間、両者の間に「情」など存在しなかったはずだった。あったのは、チーム内競争に勝つための、そして相手球団に勝つための戦いのみ。だが、そんな両者の間にいつしか熱いものが生まれていた。それは「絆」ではないだろうか。好き、嫌いの感情を超えた男同士の絆。飽くなき戦いによってのみ生まれるプロ同士の絆だったのはないだろうか。
「こういう選手たちに恵まれて、オレは幸せだよ」
 8年間がすべて報われるような花道の道中。落合は幸せそうに笑っている。
つづく

[2011年11月12日(土)]
【プロ野球】落合監督と選手たちとの8年(2)『改革〜オレ流の常識は球界の非常識』

        
*落合監督就任1年目の2004年、開幕投手を任されたのは3年間一軍登板のなかった川崎憲次郎だった
「本日の先発ピッチャーは、ドラゴンズ、川崎」
 2004年、中日対広島の開幕戦、試合前のアナウンスにスタンドがどよめいた。その衝撃は瞬(またた)く間に全国へと広がっていった。新監督・落合博満が3年間も登板のない川崎憲次郎を開幕投手に抜てきした。「オレ流」。現役時代からの型破りなイメージを指揮官としても決定づけた。当の落合はそんな周囲の反応をどこか、楽しむかのように、また、真意を胸に秘めるかのようにベンチで含み笑いを浮かべていた。
 開幕・川崎の衝撃から遡(さかのぼ)ること数カ月、まだ、吐く息が白い季節に落合は中日ドラゴンズの白井文吾オーナーと契約を交わした。5年間、優勝から遠ざかっていた球団を根本的に建て直すため、グループ総帥は指導者経験のない一匹狼に白羽の矢を立てたのだ。
「このチームを変えたい。勝てるチームにしてほしい」
「わかりました」
「改革」と「勝利」。契約書にも記されたこのふたつの使命を請け負った。すでに落合の頭には幾つかの「策」が渦巻いていた。それらを、水面下で静かに実行に移していった。
 1月2日、正月を和歌山県内にある落合記念館の別荘で迎えた落合は、リビングから1本の電話をかけた。
「開幕はお前で行こうと思っている。そのつもりで準備してくれ。もし、だめなら、1週間前までに言ってこい」
 電話の先にいたのは川崎だった。2000年オフにヤクルトから4年総額10億円でFA移籍した右腕は右肩痛で、3年間、一軍のマウンドに上がれていなかった。限界説もささやかれていた。大金をはたいた末の補強失敗と批判もあった。落合はそんな、チームの最も暗く、沈んだ部分に目をつけたのだ。
 一方、2月の沖縄キャンプが近づくにつれ、名古屋でオフを過ごす中日の選手たちからはこんな声が聞こえてきた。
「本当にやるの?」
「無茶でしょう」
「オレたち、壊れちゃうよ」
 どうやら、新監督はキャンプ初日から紅白戦をやるつもりらしい……。第1クールは8勤、その後は6勤が続くらしい……。そんな情報が漏れ伝わっていた。
 そして、迎えた2月1日、他の11球団がジョギングからキャンプをスタートする中、落合竜の北谷(ちゃたん)球場には季節外れの「プレイボール」が響いた。前年、右肩痛でほとんど投げられなかったエース川上憲伸が148キロの剛速球を投げ、立浪和義、福留孝介ら主力打者がフルスイングした。「オレの予想を超えていたよ」。その姿を見た落合は満足そうに言った。そして、予告通り、翌日から8勤、6勤、6勤、6勤のハードキャンプを敢行した。あまりの過酷さに故障者は20人に上った。それでも平然と選手たちの動きを見つめていた。
 落合は今、当時の真意をこう語る。
「最初にこのチームを見て『ああ、練習してないな』って思った。だから、8勤、6勤、6勤でいった。みんな大変だったと思う。でも、シーズンに入ったら週に6日間試合やるのに、なんでキャンプだけ4日やって休みなんだ。そう考えれば、当たり前なんだ」
 当時、キャンプと言えば3勤か、4勤1休だった。第1クールは体づくりから入り、徐々に実戦練習をしていくのが普通だった。落合はこの常識を真っ向から否定した。だが、ロッテ、中日、巨人、日本ハムと現役時代の落合博満に、およそ猛練習のイメージはない。なかなかバットを握らず、バットを持ったかと思えばエアーテントにこもっての秘密練習というオレ流調整ばかりが思い浮かぶ。だが、じつは、落合には現役時代から抱いていたキャンプに対する疑問があった。
「オレが現役の頃は、バッティングをしないと練習していないと見なされた。でも、オレは2時間も3時間もノックを受けていた。下半身ができないうちにバットは振らないという持論があったから。でも、あの当時の人たちは、そこは見てくれなかった。『打撃=練習』だった。打撃しないと、ああ、あいつは練習してないなって思われたんだ」
 試合をやるためには、投げなければならない。打たなければならない。そのためにはどんな準備をしなければならないか。2・1紅白戦も、6勤1休も、プロ野球選手として、当たり前の「土台づくり」を意識させるための手段だった。2月1日に試合をやることより、1月の自主トレから下半身をつくらせることが狙いだった。6勤という猛練習をすることより、シーズンの基本となる6連戦に体を慣れさせることが狙いだった。球界では「非常識」と言われたオレ流キャンプは、じつは落合の中では「常識」だった。それを選手に理解させるためには、言葉で説明するより実践あるのみ。数々のサプライズは、選手、スタッフの意識を改革するためだった。そして、その仕上げが「開幕投手・川崎」だった。
 2004年4月2日、川崎は2回途中5失点でKOされた。だが、チームはその後、広島のエース・黒田博樹から逆転勝ち。開幕3連勝を飾ると、リーグ優勝へと突っ走った。落合は大方の予想を覆して、就任1年目で優勝を果たした。「非常識」と批判された落合流の手法は一転して、称賛の的となった。
 8年間、最も印象に残っている勝利を問うと、落合はこう言う。
「最初がなければ、次もない。そういう意味で言えば2004年の最初の試合だろうな。まわりは奇襲とか言うけど、オレにはまったくそんなつもりはなかった。あのチームは補強なし、全員横一線で始まった。川崎が投げることで『オレたちもやれる』って思わせる必要があった。それに1、2戦で連敗しても3つめは(川上)憲伸で勝って1勝2敗にはできるかなって。最悪の3連敗を避けることも考えた。そしたら5点差をひっくり返して勝つんだもんな(笑)。もし、あの年に負けたら、選手はどうせ練習しても勝てないと思っただろう。やったことに成果が出たから、オレの練習が普通になっていったんだ」
 8年間、すべてAクラス、リーグ優勝5度。自らの使命である常勝軍団をつくり上げた。ただ、それらは2004年に断行した意識改革と、それに伴った結果がなければ成し得なかったという。確かに、もし、負けていれば、2・1紅白戦も、6勤1休も受け入れられなかっただろう。落合の「常識」は球界の「非常識」として葬り去られただろう。だからこそ、落合は監督として最初の勝利を忘れない。落合改革の象徴となった、あの1勝を忘れないのだ。
つづく

[2011年11月13日(日)]
【プロ野球】落合監督と選手たちとの8年(3)『勝利〜三冠王がたどり着いた守りの野球』
「改革」と「勝利」。ふたつの使命を負った落合はまず、意識改革に着手した。2・1紅白戦、6勤1休キャンプ、そして開幕投手・川崎憲次郎……。懐疑の目で見られながらも、徐々に選手たちの心に変革を起こしていった。球界の常識を覆(くつがえ)していった。ただ、その改革を本当に成功させるためには結果が必要だった。では、いかにして勝つか。この点で、落合は就任当初からまったく迷いがなかった。
「オレは今でもホームランさえ狙わなければ4割打てたと思うよ。ボールに負けないようにと思うから、余分な力が入ってずれるんだ。でもな、打者ってのはどれだけ打っても4割までなんだ。でも、守りなら10割が可能なんだ」
 投手を中心とした守りの野球――これは落合が野球人生を通じて到達した「勝利の鉄則」だった。打撃を極めた三冠王が監督になった。豪快に打ち勝つ野球を見たいと思うのがファン心理だろう。だが、落合は打撃を極めたがゆえに、その限界を知っていた。そして、何よりも確率(数字)を重視した。
 落合は”数学者”でもある。とにかく数字に強い。現役時代、首位打者を争っている最中は日々、自分の打率、ライバルの打率を計算しながら何カ月も先を見越して、タイトル獲得の戦略を立てていたという。
「月にこれだけ打てば、こうなるだろう。だったら、きょう何本も打ったから、明日は打てなくても大丈夫だなって。そう考えれば余裕ができるんだ。今の選手は数字に弱いな。オレなんか究極のことを考えていたよ。たとえば開幕の最初の1打席、ヒット打って、あとは全部四球を選べば、打率10割だろ? 首位打者だろ? そう考えなければ、数字なんて残せやしないよ」
 打者は日々、上下動する打率を意識しない傾向が強いが、落合は真っ向から数字と向き合う。グラウンド外でもそうだ。オフに税理士が自宅に集まって報告をした際、落合は明細書をひと目見て指摘した。「これ、二重で振り込まれているぞ」。税理士が慌てて調べたら、その通りだったという。4割より、10割。数学者・落合が勝つための手段として「守り」を選択したのは当然だった。
 守りの野球の中心は絶対的に投手だった。落合は沖縄でのキャンプ。そのほとんどの時間をブルペンで過ごした。グラウンドに出なくても、ブルペンにいかないことはない。それほど投手を重視した。
「野球は投手がボールを投げないと始まらない。誤解されているけど、野球で攻めることができるのは投手だけなんだ。打者はいつも受け身なんだよ」
 キャンプ地のブルペンを倍の広さに改造した。他球団からトレードの申し込みが舞い込んでも、投手に対するものは、ほとんどすべて断った。毎年、チームには必ず計算できる先発投手が12人はいた。通常、ローテーション投手は6人だが、落合とヘッドコーチの森繁和はその倍の人数を揃えていた。落合竜が、近年、ずっと投手王国と呼ばれていたのは必然だった。
 そして、落合は投手をバックアップする守備陣にも一切、妥協しなかった。守ることへの執念。その最たるものは、2009年、当時、6年連続ゴールデングラブ賞受賞中だった荒木雅博と井端弘和の二遊間コンビの入れ替えを明言したことだろう(実際に断行されたのは2010年から)。おそらく、このコンバートを正解だと思っていたのは球界で落合だけではないだろうか。それほど周囲からは批判を受けた。特に、肩に不安のある荒木を遊撃で起用することにチーム内からも異論が出た。コーチ陣が撤回を求めて直談判したこともあった。ただ、落合は頑として耳を貸さなかった。
「オレの評価と周りの評価は違うんだ。他のだれでもない。オレができるって言っているんだから、できるんだ!」
 一般的に守備力はボールを捕った後、いかに処理するかで判断される傾向がある。捕球から送球までを華麗にさばけば「名手」と言われることも少なくない。だが、落合はむしろ、その前の段階を重視する。キャンプでもシーズン中でも、落合は同じ場所から選手の動きをじっと見ている。この「定点観測」によって選手の綻(ほころ)びを見つけるのだ。同じ場所に飛んだ打球にどの選手が追いつけて、どの選手が追いつけないか。また、昔は追いつけた打球に、今は追いつけているのか。落合の目には、一目瞭然だった。
 アラ・イバのコンバートに次いで衝撃度があったのは2006年の「立浪外し」だ。その年のシーズン中盤、主力打者で、精神的支柱でもあったミスター・ドラゴンズ立浪和義をスタメンから外した。立浪が2失策した試合、途中でベンチに下げた。そして、翌日にはスタメン表に名前を書かなかった。理由は明確だった。
「三遊間を打球が抜けていくんだよ。その範囲が年々、広がってきた。オレが座っているところからは、それがよく見えるんだ」
 試合中、一塁側ベンチの左端に座っている落合の正面には三遊間が見える。そこへ打球が飛ぶ。立浪の横を抜けていく。その範囲が年々、拡大していくのを見て、落合は断を下したのだ。立浪を外すことは、チーム内に影響を与えるだけでなく、地元メディアや、評論家などに批判される恐れもあった。だが、落合野球には“聖域”など存在しなかった。いくら打てても、守れなければ試合には使わなかった。1本のヒットを打つことより、1本のヒットを防ぐことを重んじた。レギュラーには「打者」である前に「野手」であることを要求した。それこそ「10割」を追求する落合野球だった。
 8年間で、優勝4度、Aクラスから外れたことは1度もなかった。通算勝率5割6分2厘。確率論から、守りの野球を選択した落合の判断は正しかった。改革と勝利。落合は今、自分に課せられたこのふたつの使命を果たしたと自負している。
つづく

[2011年11月14日(月)]
【プロ野球】落合監督と選手たちとの8年(4)『非情〜情の采配を捨てた理由』
「非情」と「冷徹」。どちらも監督・落合を表現する言葉だろう。表情や言葉が少ないだけにもともと情が薄いと受け取られやすい。ただ、このイメージが決定的になったのは、中日を半世紀ぶりの日本一へと導いた2007年の日本シリーズだった。
 11月1日、日本ハムを本拠地に迎えた第5戦、中日が日本一へ王手をかけたこの試合で先発を務めた山井大介は驚くべき快投を見せた。ストレート、スライダーとも抜群に切れていた。まったく相手を寄せつけず、8回までひとりの走者も許さなかった。日本シリーズで初めて完全試合が達成されるのか。イニングが進んでいくにつれ、すべての視線が山井に注がれていった。
 そして、敵も、味方も、球場全体がプロ野球史上初の快挙を待ち望んでいた9回表、落合は日本中を驚かせる決断を下した。ゆっくりとベンチを出ると、無表情で審判に告げたのだった。

  
「ピッチャー、岩瀬」
 その瞬間、スタンドからは悲鳴が聞こえた。ざわめき、どよめきが、怒号に変わった。やがて、球場全体が山井コールに包まれた。
「ヤ・マ・イ! ヤ・マ・イ! ヤ・マ・イ! ヤ・マ・イ!」
 指揮官の采配に向けられたアンチテーゼ。鳴り止まない山井コールを、落合は表情ひとつ変えず、聞いていた。結果的に岩瀬仁紀が3人で抑え、完全リレーによる日本一は成った。だが、世間は落合中日の快挙を称えるよりも、山井交代への賛否であふれた。野球界を飛び越え、日本中の議論となった。
「野球への冒涜(ぼうとく)だ」
「もう、野球なんて見ない」
 評論家や、ファンからの痛烈な批判があったかと思えば、石原慎太郎・東京都知事は『三国志』から出た故事成語を引用して、こうコメントした。
「これは情実の問題でね。トップのね、つまり、球団の経営というか実績というものを知っている球団のCEOとしてはね、私はやっぱり落合というのは見事だと思う。本当に。泣いて馬謖(ばしょく)を切ったんですよ。私はやっぱり落合のやったことは絶対に正しかったと思う。本当のリーダーってなもんですな」
 賛否は真っ二つに割れた。ただ、山井交代の賛否を今さら論じても意味がない。いずれにしても、この試合こそ「非情」が落合の代名詞になった瞬間だったのだ。
 ただ、そんな落合が、じつは自らを「情」の指揮官だと認識していたことは意外と知られていない。象徴的なのが過去2度の日本シリーズだ。2004年、落合は就任1年目でリーグ優勝を果たし、西武との日本シリーズに臨んだ。分岐点となったのは1勝1敗で迎えた敵地での第3戦だった。6―4とリードした7回一死二塁、落合はマウンドの岡本真也に交代を告げに向かった。この時、立浪和義、谷繁元信ら主力選手が言った。
「岡本でここまで来たんですから、岡本でいかせてください」
 リーグ優勝に貢献したセットアッパーに対し、落合にも同様の感情があった。交代を撤回してベンチへ。だが、その後、岡本は逆転弾を浴びて敗れた。結局、4勝3敗と1勝差で日本一を逃しただけに、悔やんでも、悔やみきれない1敗となった。
 雪辱の機会は2年後、2006年にめぐってきた。相手は日本ハムだった。リーグを圧倒的に制したこの年、落合には自信があった。荒木雅博、井端弘和の1、2番コンビが出塁し、3番福留孝介、4番ウッズ、5番アレックスの主軸が待ち構える。投手陣ではエース川上憲伸、守護神・岩瀬がいた。攻守ともに完成度の高い、このチームを落合は8年間で「最強」と評する。そして、そう自負するがゆえ、ペナントレースとまったく同じオーダーで望んだ。だが、シリーズになった途端、別のチームになった。あれほど頼りになった福留、ウッズをはじめ主力が揃って不振に陥った。1勝4敗。惨敗だった。同じ過ちを2度繰り返すことを嫌う。そんな落合が短期決戦で2連敗した。心中はいかほどだったろうか。この屈辱が「情」の落合を「非情」に変えたのは間違いない。
 山井を交代させたあの日、落合は最初、右手のマメがつぶれていたことを理由に挙げたが、本当の理由は違うと思う。日本一の歓喜と、非情采配への賛否が渦巻くドームを去る間際に、落合はこう漏らしていたからだ。
「今年はオレが情を捨てたんだ。こっちはどうしてもシーズンで頑張った選手をシリーズでも使いたくなる。でも、それじゃだめなんだ。監督というのは選手、スタッフ、その家族、みんなを幸せにしないといけない。ひとりの選手にこだわっていてはいけない」
 特定の選手に期待し、こだわった結果、チーム全員が目的地までたどり着けなかった。日本シリーズで過去2度、犯した過ちが落合の胸には残っていた。「山井交代」の裏には指揮官としての激しい自戒の念があった。
 非情――初めて日本シリーズを制したあの日以来、落合はこう表現されることを恐れない。なぜなら、それは勝利への必須条件だからだ。人間として自然に湧き出てくる情を封じ込め、指揮官としての非情を貫くことができた。あの瞬間から、落合は本当の意味で常勝監督になったのかもしれない。
つづく

[2011年11月15日(火)]
【プロ野球】落合監督と選手たちとの8年(5)『逆風〜物言わぬ指揮官、沈黙のわけ』
「言葉が足りない」――今年9月、落合の今季限りでの退任が発表された。7年間で4度も優勝した監督がなぜ、事実上の解雇となったのか。その原因としてよく指摘されたのがこの部分だった。采配や、故障情報など内部情報をメディアや球団に説明することはほとんどない。それが内外からの批判につながったというのだ。

         
 だが、落合はじつは雄弁家だ。今でも価値観を共有する野球人との話は夜を徹して続くことがある。言葉が足りないのではない。意図的に黙しているのだ。今シーズン、試合後の3秒会見が話題になった。「動けているから、いいんじゃないか」。日々、ひと言だけ残して去っていく。その理由をこう話していた。
「オレがなんか言ったら言葉尻だけとらえられて、書かれる。だったら、何も言わない方がいいじゃないか。オレの言葉を理解するやつは何人かいるかもしれない。でも、理解しないやつの方が多いんだ。昔から散々、そういう目に遭ってきたから、わかるんだ」
 自分の言葉は誤解を生む。現役時代、筆談でしか取材を受け付けなかったこともある落合は、おそらく昔から、それを知っていた。落合は秋田の和菓子職人の家に生まれた。祖父の職人としての仕事を見ていた。職人は余計なことは言わない。愛想も振りまかない。ただ、その仕事でのみ、己を語る。そんな気質はそのまま今、監督・落合にも当てはまる。
「オレは嫌われたっていいよ。だれか、オレを嫌いだという奴がいても、オレはそいつを知らない。だから、建前は言わない。建前を言うのは政治家に任せておけばいい」
 落合は政治家が嫌いだ。建前が嫌いだ。だから、その口から出るのはオブラートなしの、むき出しの言葉となる。建前は時として自分の身を守ってくれるが、本音は他人も、自分も傷つける。落合はそれを百も承知だからこそ、誤解や批判は恐れない。
 2008年、落合に「WBCボイコット騒動」が降りかかった。第2回WBCの日本代表候補に選ばれていた中日の4選手が全員辞退した。日本代表・原辰徳監督は不快感を示した。
「1球団だけ協力的でないところがあった。非常に残念です」
 これを発端に中日と、落合は猛烈な批判にさらされた。「落合中日、WBCボイコット」、「非国民球団」。これを受けた落合は、翌日、冷静に反論した。
「選手は一個人事業主だし、生活権もある。ケガしたら誰が保証するの? 行きたくない奴(やつ)を無理に行かせてケガしたら責任を取れない。出たい奴は出ればいい。ウチは4人の意思を確認し、それを尊重しただけだ」
 岩瀬仁紀は背中と首筋、森野将彦は左ふくらはぎ、若い高橋聡文と浅尾拓也は肩の故障でシーズン中に二軍落ちしていた。選ばれた4人の意思を確認した結果、揃って辞退することになったという。さらに落合は上原浩治(巨人)、宮本慎也(ヤクルト)の”代表引退”が認められていたことも指摘した。
「なぜ一部の選手は配慮されて、ウチだけ悪ものにされるのか。非協力的ってのは筋違い。NPBの人間でも、代表監督でも言いたいことがあったら来ればいい。説明してやるよ」
 この反論の後、日本代表側からは何の反応もなかった。どちらが正しいのか、決着はつかないまま、論争は終わった。ただ、世間のイメージだけは完全に決まった。落合には”悪役”という看板だけが残った。
「あんたは普段から言葉が足りないよ。なんで、もっと、説明しないの?」
 信子夫人に言われたことがある。落合は笑みを浮かべてこう言った。
「オレのやってきたことはオレが死んだ後、世間に認められるんだろうな。そういうもんだ。だから、今は何を言われても胸を張っていればいいんだ」
 ただ、外からは批判を招きやすい、落合の言葉も、こと野球に関しては強力な武器となる。落合は選手を褒める時も、叱る時も、やはり純度100%の言葉を浴びせる。遠慮も、情もない、混じりっけなしの言葉は、そのまま監督・落合からの評価だ。それが選手にとって己の力量を計る指標となる。
「お前、このままだと今年で引退だな」
 今季から加入したベテラン佐伯貴弘は、落合からこう言われ続けてきたという。実績のある選手ならば、腹を立てそうなものだが、佐伯はグラウンドでも、ベンチでも、落合の言葉を求めて、耳をそばだてる。
「落合監督の言葉っていうのはそのまま受け取ればいいと思う。いいものはいい、だめなものはだめ、と言ってくれる人だから。おかげで、サビを落とせたよ」
 中日から戦力外通告を受けた佐伯は、今、現役続行を心に決めている。地球の裏側に行ってでも、やろうと決めている。落合の言葉がベテランの心に、火をつけたのだ。
 また、この8年間、落合から最も叱咤(しった)されたであろう荒木雅博はこう言う。
「監督から『頑張れ』なんて言われたことはない。どこがいいか、どこが悪いか。そこを指摘される。あの人がいいと言ったらそれは本当にいいんだと思うし、だめと言ったら本当にだめなんだなと思える」
 本音むき出しの言葉だからこそ、選手からは信頼される。技術を追求するプロ同士の間には建前など邪魔なだけなのだ。外に向ければ「毒」となる落合の言葉は、内に向けては「薬」となる。職人の言葉は、職人にしか理解できないということなのだろうか。
 曲解されるくらいなら沈黙を選ぶ。自分を曲げるくらいなら孤独を選ぶ。そのスタイルが正しいとは思わない。ただ、確実に言えるのは、落合は今後もスタイルを変えないということだ。これからも、誤解や、批判や、論争とともに歩んでいくだろう。建前なんて似合わない。それでこそ、落合博満なのだ。
(完)
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松木謙公衆議が札幌で国政報告会/石川知裕衆議や新党大地代表代行浅野貴博衆議らが出席

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月刊誌「北方ジャーナル」公式ブログ 2011年11月15日
“はぐれ鳥”松木謙公衆議が札幌で国政報告会
 北海道12区選出の衆議、松木謙公氏(52)の国政報告会を兼ねたパーティーが14日、札幌市内の京王プラザホテルで開かれた。毎年1回、もともとの地盤だった札幌で行なっているもので、松木氏は民主党を離れて以降初めて無所属で恒例のパーティーに臨んだ。会場には民主党所属の道議や新党大地関係者、支援者など650人あまりが出席、松木氏は「TPPは北海道に壊滅的な被害をもたらす」などと持論を展開、「民主党が変節を続けるなら解散すべき」と意気軒昂に語った。
 パーティーには道11区選出の石川知裕衆議や新党大地代表代行の浅野貴博衆議などが来賓として出席。挨拶に立った両議員は、6月の菅内閣不信任案に賛成票を投じて民主党を除名された松木氏を「筋を通す政治家」としてエールを送っていた。
 続けて“国政報告”を行なった松木衆議は、道議選や除名による離党で民主党に迷惑をかけたと陳謝しつつ、壇上に日下太朗(オホーツク総合振興局選出)、鳥越良孝(北見市選出)、佐藤伸弥(網走市選出)の3人の道議と北見市議の水上美華氏を壇上に招き紹介、「引き続き変わらぬ支援をいただき感謝している」とお礼の言葉をかけた。
 松木氏は、菅内閣で農林水産政務官としてTPP参加表明した菅首相を批判してきた経過を明らかにするとともに、6月の菅内閣不信任決議案で民主党議員としてただ一人賛成票を投じた理由を示し、「政治家として信念を貫くことが大事。私が変わったのではなく、民主党が変わってしまったのが残念」と心情を吐露した。
  さらに民主党が子ども手当や自給率向上など食を巡る政策でマニフェストを変えていくのであれば解散すべきと強く主張、「無所属なったが、これからもしっかり政治活動を頑張っていく」と決意表明していた。
 乾杯の音頭を取ったのは、日下道議。日下氏は、民主党北海道副代表、12区民主党総支部幹事長を務めている。「10年間、松木衆議と一緒に活動してきた。松木衆議には義も感じているし情も感じている。これからもそれを基本にしていきたい。今後も、地元選出国会議員として一生懸命頑張っていただくことをお願いし、何とか上手に行く環境を皆で作っていきたいと思っている」と出席者たちに支援をお願いしていた。 (さ)
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“塀の中”鈴木宗男 前衆議「大地」例会盛況 佐藤優氏/松木けんこう衆議/石川知裕衆議/松山千春氏ら2011-09-19 | 政治/検察/メディア/小沢一郎
菅政権、自壊の始まり/松木謙公農水政務官 辞任、5つの理由2011-02-24 | 政治/検察/メディア/小沢一郎

TPP参加で日本の製造業が輸出を大きく伸ばすことはない。日本の製造業の主戦場は中国

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TPP議論も大切だが、アジアとの関係構築はもっと大切だ
 柯 隆 JBpress2011.11.16(水)
 かつてアメリカの中国研究学者であるジョンズ・ホプキンス大のランプトン教授が、米中関係を「同床異夢」と指摘したことがある。その状況は今も変わらない。
 ただし30年前に比べて米中関係が大きく変化しているのは、今のアメリカには中国を封じ込める力がなくなってしまったということだ。
 2010年に中国は世界で2番目の経済大国に成長した。一方、アメリカは100年に1度と言われる金融危機に見舞われ、経済力が急低下している。
 その中で、アメリカ経済の再生のカギを握るものと見られているのが、TPP(環太平洋経済連携)である。
*メリットもデメリットも言われるほど大きくはない
 野田政権はTPPへの参加をアメリカから要請されてきた。民主党のこれまでの基地問題の失敗から、日本はアメリカの要請を拒否することはできないのが実情である。
 TPP参加を巡る世の中の論争を見ていると、賛成派の言うメリットと反対派の主張するデメリットのいずれも過大に語られているようである。
 TPP参加のメリットとして、関税の引き下げと非関税障壁の撤廃により製造業の輸出が増加することが挙げられている。一方、デメリットとしては、海外の安い農産物の輸入増により農業が深刻なダメージを被ることなどが言われている。
 だが、ここで気をつけなければいけないのは、現在、日本にとっての最大の輸出相手国はアメリカではなく中国だということである。中国はTPPへの参加を検討していない。したがって、TPPの参加で日本の製造業が輸出を大きく伸ばすことはない。日本の製造業の主戦場は中国だからである。
 一方、デメリットも、言われているほど深刻なものではないはずだ。現在の農業は高関税によって守られているが、食料の自給率(カロリーベース)は40%程度しかない。農業従事者はどんどん高齢化しており、どんなに農業を保護しても食料自給率はさらに低下していくだろう。つまり、食料自給率の低下はTPP参加によるものではない。
 たとえTPPに参加しなくても、日本の農業がこのままでは委縮してしまうことは目に見えている。しかも、将来的に財政難により農家に支払う補助金が徐々に減額されていき、農業の収縮が加速する可能性が高い。その上、今回の震災と原発事故の放射能汚染により農業は甚大なダメージを受けている。TPP参加とは切り離して、農業の強化策を早急に考案すべきである。
*日本の製造業の主戦場は中国
 80年代以降、日本はアメリカの要請と圧力を受けて内需振興を図ってきたが、輸出志向の成長モデルはほとんど変わっていない。否、この30年間、日本では少子高齢化が進み、内需が弱くなる一方である。また、多くの日本企業は国際競争力を強化するために、工場の海外移転を余儀なくされている。日本にとって持続可能な経済成長を実現するには、輸出市場を開拓していくしかない。
 日本の製造業の輸出戦略は今も成功していると思われる。現在、円相場は70円台半ばまで上昇している。だが日本の製造業は90年代以降、ドルと円を巧みに組み合わせる貿易決済、円高時の海外調達率の向上、組み立て工程の海外移転など、様々な円高対策を積み重ねてきており、なお強い輸出競争力を固持している。
 輸出に頼る日本経済の基本的な構図は、おそらく今後も大きく変わることはないだろう。したがって、巨大輸出市場へのアクセスを確保しておくことは、日本にとって最重要な国家戦略である。
 ただし、日本の製造企業にとっての主戦場は、すでに北米から中国を中心とするアジアにシフトされている。また、今回の信用危機により、欧米諸国の経済は深刻なダメージを受け、短期的にV字型回復を実現することはできないと考えられる。
 こうしたことを考えれば、日本が経済成長を持続するために一番重要なのは、いかにして中国市場のシェアを獲得するかという点につきる。
*ASEAN諸国との関係を強化している中国
 評論家の間で、TPPは日米の経済安全保障であり、アメリカ主導の「対中包囲網」だと指摘する声がある。しかし、すでに述べたように、アメリカには今の中国を封じ込めるほどの力はもはやない。
 中国はアメリカ主導のTPPに強い関心を示しているが、参加する兆しはない。中国にとってアメリカは重要な輸出先であるが、最大の輸出先はユーロ圏である。したがってTPPは中国から見れば、NAFTA(北米自由貿易協定:アメリカ、カナダ、メキシコの協定)と同じような限られた地域の経済協定の1つに過ぎない。
 日米関係がぎくしゃくする一方で、中国は東アジア諸国との関係強化を貫いている。97年にアジア通貨危機が起きた時、中国政府は人民元の切り下げを阻止することで東アジア諸国からの信頼獲得に努めた。
 そして、2001年に朱鎔基総理(当時)はASEAN諸国に対して、中国の農産物市場の開放を条件に2010年前に自由貿易協定(FTA)を締結することを呼びかけた。今やASEAN諸国にとり中国は最も重要なフルーツの輸出先となっている。
 歴史的に中国とASEAN諸国との関係は決して良くはなかったが、近年、ASEAN諸国とコモンマーケットの構築について利益が一致している。特に2001年の「9.11」以降、インドネシアやマレーシアなどのASEAN諸国では反米感情が急速に台頭し、ASEAN諸国と中国との急接近を促した。
 その一方で、ASEAN諸国にとって日本の存在は薄れつつある。日米中のトライアングルが崩れて「米中」の対立軸が鮮明になってきたことが大きな理由である。戦後、インドネシアを中心にASEAN諸国は日本から巨額の経済援助を得てきたにもかかわらず、日本との距離が離れ始めている。
*TPPだけに捉われず高度なグローバル戦略を
 以上を踏まえて結論づけると、日本はTPP参加のメリット、デメリットについて過剰に反応すべきではない。日米同盟を重視してTPPに参加する姿勢も重要だが、近隣の中国をはじめとするアジア諸国との関係強化にもう少し力を入れるべきだと思われる。
 2012年は日中国交回復40周年にあたる。日本にとって、日中関係は日米関係と並ぶ最重要な外交関係の1つである。
 日本は「日米関係」と「日中関係」を二者択一で考えるべきではない。両者との関係を同時に強化する外交戦略を考案すべきである。その上で、日本の国益を最大化する方向でTPP参加を考えればよい。TPPだけに捉われるのではなく、あくまでも国益の観点から高度なグローバル戦略を打ち立てるべきだ。 *強調(太字・着色)は来栖
<筆者プロフィール>
柯 隆 Ka Ryu
 富士通総研 経済研究所主席研究員。中国南京市生まれ。1986年南京金陵科技大学卒業。92年愛知大学法経学部卒業、94年名古屋大学大学院経済学研究科修士課程修了。長銀総合研究所を経て富士通総研経済研究所の主任研究員に。主な著書に『中国の不良債権問題』など。
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亡国 TPPに警告 安田節子さんに聞く「TPP向けの新しい農政などあるわけがない」2011-11-12 | 政治(経済/社会保障/TPP)
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TPP 重要品目/アメリカに対して異議申し立てをきちんとする野田佳彦首相を外務官僚は全力で支えよ2011-11-16 | 政治(経済/社会保障/TPP)


TPP 重要品目/アメリカに対して異議申し立てをきちんとする野田佳彦首相を外務官僚は全力で支えよ

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アメリカに対して異議申し立てをきちんとする野田佳彦首相を外務官僚は全力で支えよ
【佐藤優の眼光紙背】
2011年11月15日17時00分
 国際社会が再び日本外交に対する関心を強めている。野田佳彦首相が外交面で急速に力をつけているからだ。そのことが顕著に現れたのが、11月12日(日本時間13日)、米国ハワイで行われた日米首脳会談だ。野田首相はオバマ大統領に対して日本がTPP(環太平洋経済連携協定)に関する交渉に参加するという方針を伝えた。これは外交戦略的に大きな意味を持つ。野田首相は、アジア太平洋地域における新秩序を日米を基軸にして構築するという日本の国家意思を表明したと、世界は受け止めている。
 現在、世界的規模での帝国主義的再編が進んでいる。これまで日本は、「二股」をかけていた。第1は、日中を基軸とする東アジア共同体構想だ。しかし、中国は航空母艦を建造し、海洋覇権の獲得を本気で画策している。さらに中国政府は否定しているが、日本や米国に対するサイバー攻撃に中国の国家機関が関与していることは、インテリジェンス関係者やサイバー・セキュリティー専門家の間での常識だ。より根源的に、中国は現下国際社会で受け入れられているゲームのルールを一方的に変更しようとしている。このような状況で、東アジア共同体構想を進めることは、日本の国益に反する。
 そこで、第2のシナリオ、すなわち日米同盟をTPPという形で、経済面でも深化していく必要が生じたのだ。野田首相が、東アジア共同体構想と訣別し、TPP交渉に参加するという姿勢を明確にしたことは、日本の国家戦略として正しい。農業や医療など、経済的な部分均衡の問題で、国家としての大局を見失ってはならない。客観的に見て日本は帝国主義大国である。本気にならば、米国と五分に渡り合うことができる。日本の力を過小評価してはならない。
 野田首相が、TPP交渉へ参加するという日本の国家意思を表明したことを受けて、中国政府も前言を翻し、TPPを評価する発言をし始めた。特に11月12日(日本時間13日)、ハワイで行った講演で中国の胡錦涛国家主席が、<経済統合の動きは「異なるレベル、異なる範囲で、多くのチャンネルと方法を通じて推進することがより好ましい」と指摘。あくまで、中国が訴える東南アジア諸国連合(ASEAN)と日中韓3カ国の自由貿易協定(FTA)などの動きを引き続き進める立場を強調した。/そのうえで、「中国はASEANとの自由貿易区や東アジアの全面的な経済パートナーシップ、TPPなどを基礎にして、アジア太平洋自由貿易区の建設を着実に進めることを支持する」と述べた。>(11月13日朝日新聞デジタル)ことが実に興味深い。中国は、TPPが対中包囲網になることに対して強い焦りを感じるとともに危惧を覚えている。それだから胡錦涛主席がTPPに擦り寄る姿勢を示しているのだ。今後、中国はTPP交渉への参加を求める可能性がある。そこで議論を混乱させ、TPPによる日米を基軸としたアジア太平洋地域の帝国主義的再編を阻止することを試みると筆者は見ている。中国が日本との関係でこれほど狼狽したのは、近年では珍しい。野田外交の勝利と言える。
 さらに戦術面でも、日本政府は緊張感を持った外交を行った。
*すべての物品自由化? 日米会談、米発表資料に訂正要求関連
 環太平洋経済連携協定(TPP)交渉では例外なき貿易自由化について協議すると、野田佳彦首相が約束した――。12日の日米首脳会談で、野田首相がオバマ米大統領にこんな発言をしたと米ホワイトハウスが発表し、日本側の指摘で訂正する一幕があった。
 会談直後に米側が発表した資料には「大統領は、野田首相が『すべての物品及びサービスを貿易自由化交渉のテーブルに載せる』と発言したことを歓迎する」とあった。日本国内にはTPP参加で、主要農産物の関税撤廃や保険診療の崩壊への懸念が根強い。それだけに、首相がいきなり柔軟姿勢を示した印象を与える内容だった。
 驚いた日本側は「発表内容が事実と異なる」と米側に説明を要求し、米側と協議した上で日本側が訂正資料を発表。それによると、米側は「日本側がこれまでに表明した基本方針や対外説明をふまえ、米側において解釈したものであり、会談でそのような発言はなかった」と説明したという。
 菅前政権が昨年11月に閣議決定した「包括的経済連携に関する基本方針」では、「センシティブ品目(重要品目)について配慮を行いつつ、すべての品目を自由化交渉対象(とする)」としている。早くも米側が揺さぶりをかけた形だが、外務省は「深読みすべきではない」(幹部)と沈静化に躍起だ。(ホノルル=土佐茂生)(11月14日朝日新聞デジタル)
 米国のホワイトハウスが発表した内容に、日本外務省がこれだけ噛みつき、しかもその内容をマスメディアに文書で伝えることは稀だ。9月21日(日本時間22日)米国ニューヨークで行われた野田・オバマ会談において、普天間問題に関し、米国側がオバマ大統領が「結果を求める時期が近づいている」と述べたと事実と異なるブリーフしたために混乱が生じた「負の遺産」から、野田首相は学習している。野田首相の強さは、失敗に対して目を閉ざさずに、そこから学習していることだ。
 米国に対してもきちんと異議申し立てをし、それを明らかにする野田外交を筆者は支持する。ちなみに米国側は、ホワイトハウスの発表内容が事実と異なっていたことは認めたが、解釈は間違えていないので、発表文を訂正しないという姿勢をとっている。
*米側、TPPの発表文は正確「修正しない」 日米会談関連
 日米首脳会談での野田佳彦首相の環太平洋経済連携協定(TPP)を巡る発言について、米ホワイトハウスのアーネスト副報道官は14日の会見で、ホワイトハウスの発表文は正確との認識を示し、「修正するつもりはない」と話した。
 ホワイトハウスは12日、会談について「すべての品目とサービス分野を貿易自由化の交渉テーブルにのせるとの野田首相の発言を、オバマ大統領は歓迎した」との発表文を出した。日本政府は「会談の場では、そのような発言はしていない」と反論していた。
 朝日新聞の取材では、野田首相は、重要品目に配慮しつつ、全品目を自由化交渉の対象にする、とした昨年の政府方針に言及。「この基本方針に基づき、ハイレベルな経済連携を目指す」という内容の発言をした。
 アーネスト氏は発表文について、「オバマ大統領と野田首相との私的な協議、そして野田首相らによる広く知られた宣言に基づくものだ」と説明。ホワイトハウス側は、野田首相が、全品目を自由化交渉の対象にするとした「基本方針」に直接言及していることから、発表文の趣旨は正確と判断しているとみられる。(ホノルル=尾形聡彦)(11月15日朝日新聞デジタル)
 外交交渉において、事実関係と認識をきちんと区別することが肝要だ。
 本件に関する事実関係は、首脳会談で野田首相が、「すべての物品及びサービスを貿易自由化交渉のテーブルに載せる」という発言をしたかどうかだ。ちなみにホワイトハウスの発表文では、<そして彼(オバマ大統領)は、野田首相がすべての物品及びサービスを貿易自由化交渉のテーブルに載せると発言したことを歓迎する(and he welcomed Prime Minister Noda's statement that he would put all goods, as well as services, on the negotiating table for trade liberalization. )> と記されている。野田首相は、このような発言をしていないので、ホワイトハウスの発表文で野田首相の発言とされる部分は事実でない。同時にこの英文は、引用符(””)で囲われているわけではないので、野田首相の発言を直接引用したものでない。米国側は、「過去の経緯に照らして、われわれはこう解釈した」という認識を示したという釈明は、外交の世界において絶対に成り立たないとは言えない。こういう手法で、自国に有利な状況をつくり出していこうとする外交的駆け引きがときどき行われる。こういうときに黙っていると、相手側の認識が既成事実化される。今回、日本側は適時の有効な反撃を行った。この先はあまりギリギリ詰めないで「今回は貸しだ」くらいの少し余裕のある態度を取った方が、日本側にとって有利な状況をつくることができると筆者は考える。
 外交交渉における事実関係と認識の区別が重要であることを、外交の専門家である外務官僚は、国会議員、マスメディア関係者、国民にわかりやすい言葉で解説すべきだ。
 それと同時に、認識や解釈をめぐる問題を記者会見やマスメディアを通じて行うことは非生産的だということを米国側に伝えるべきだ。アーネスト副報道官の発言について、日本側も外務報道官か外務副報道官が、以下の2点を指摘すべきと思う。
 1.首脳会談で野田首相が、「すべての物品及びサービスを貿易自由化交渉のテーブルに載せる」という発言をした事実がないということは、米国側に意義を申し立て、米国側もそれを認めている。アーネスト副報道官は、米国側の認識について述べたのであろう。日本側の認識はこれとは異なる。 
 2.日本側は、外交交渉を記者会見やマスメディアを通じて行うつもりはない。認識の相違については、政府間の外交交渉の場で行うべきことだ。
 こういう表現で、米国側を少し牽制しておいた方がいい。いずれにせよ、日本のマスメディアが、「外交交渉の文法」を理解していないために、日米間に不必要な軋轢が生じるのではないかと筆者は危惧している。
 こういう問題を迅速かつ適切に処理することが外務官僚の仕事だ。TPP交渉で外務官僚は野田首相を全力で支えて欲しい。(2011年11月15日脱稿)
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日米関係の時限爆弾/普天間問題をめぐる認識の差異「われわれは結果を求める時期に近づいている・・・」2011-09-29 | 政治〈領土/防衛/安全保障
普天間問題をめぐる認識の差異「I can do business with him」2011-09-26 | 政治〈領土/防衛/安全保障〉
 日米首脳会談で、普天間問題をめぐる深刻な認識の差異が明らかになった【佐藤優の眼光紙背】2011年09月25日10時00分
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TPP参加で日本の製造業が輸出を大きく伸ばすことはない。日本の製造業の主戦場は中国2011-11-16 | 国際/中国

小沢一郎×田原総一朗 『日本をどうする!』ニコニコ生放送11月19日(土)夜8時30分から

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「首相は米の都合のいいように」小沢氏こぼす
 民主党の小沢一郎元代表は16日夜、都内のレストランで自らに近い同党の若手議員5人と会食した。
 出席者によると、小沢氏は野田首相がTPP交渉参加を表明したことに関連し、「首相は外交交渉の経験も実績もないので、国民生活を守る準備なしに交渉に参加してしまうと、米国の都合のいいようにされてしまう」と述べ、懸念を示した。
 また、党内のTPP慎重派が一時、離党も辞さない構えを見せたことについて、「いまは動くタイミングではない。実際に動くのであれば(離党者で)多数派を作ってからでないと厳しい」と語った。
 さらに、次期衆院選について「年が明ければ、選挙の空気が強くなる。今、衆院選をやったら民主党衆院議員は50人(国会に)戻ってこられるかどうかだ」との見通しも示した。消費税率引き上げにも否定的な考えを示したという。(2011年11月17日07時06分  読売新聞)
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小沢元代表「年明けから選挙の空気」
2011/11/16 22:38日本経済新聞
 民主党の小沢一郎元代表は16日夜、自らに近い衆院議員5人と都内で会食した。出席者によると、元代表は次期衆院選について「年が明ければ(2013年の)任期満了が視野に入って、選挙の空気が強くなってくる」と指摘。約300人の同党衆院議員のうち「いま選挙をやったら50人戻ってこられるかどうかだろう」との見方を示した。
 元代表は民主党が「党の原点を忘れ、国民の信頼を失いつつある」とも語ったという。野田佳彦首相が意欲を示す消費税率の引き上げなどを念頭に、09年の衆院選マニフェストの見直しにクギを刺した発言とみられる。
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「民主党、選挙ベタ負け」予測 小沢元代表の「野田揺さぶり」が始まった
J-CASTニュース2011/11/16 18:12
   民主党の小沢一郎・元代表による野田政権への揺さぶりが、じわり始まったようだ。小沢氏が週刊誌で「民主党の次期選挙ベタ負け」予測を披露するなどの動きを見せ始めたのだ。
   民主党は現在、TPP(環太平洋経済連携)をめぐり党内が揺れ、「TPP解散」の可能性を指摘する声も出ている。その間隙を縫うかのように、小沢氏は2011年11月15日夜、輿石東・民主党幹事長と会談した。輿石氏の幹事長就任(8月)以降では初めてとされる。TPP問題などを協議したとみられる。
*サンデー毎日で「独占スクープ対談」
   また小沢氏は、週刊誌「サンデー毎日」今週号(11月27日号)で、ジャーナリスト鳥越俊太郎氏との対談記事に登場している。同誌は「独占90分スクープ対談」とうたい、6ページを割いている。
   対談の中で小沢氏は、TPPについて、「自由貿易の原則は誰も否定できない」としつつ、「(今、交渉に参加すれば米国の)意のままにやられてしまいます」と、TPP参加自体へ前のめりと見られている野田佳彦首相に釘を刺している。
   また、消費税増税に向け法案提出の方針を野田政権が示していることに対しても厳しい見方を示した。
   小沢氏は、民主党が政権をとった2009年の衆院選で4年間は消費増税しないと民主党が約束したことを指摘し、「このまま衆院選をすれば問題にならない。ベタ負けですね」との予測を披露した。
   小沢氏の週刊誌「独占対談」への登場や輿石幹事長との「就任後初会談」が、「TPP解散」もささやかれ始めたこの時期に重なったのは偶然なのだろうか。
*TPP解散の可能性は?
   さらに対談での「選挙ベタ負け」予測は、純粋に状勢分析によるものか、それとも「野田政権のままで次期国政選挙を迎えて良いのか」という党内向けの揺さぶりなのか。
   小沢−輿石会談があったのは、ハワイで開かれていたAPEC(アジア太平洋経済協力会議)首脳会議に出席していた野田首相が帰国した14日の翌日だ。野田首相はハワイで、民主党内にも反対・慎重論が根強いTPP交渉参加方針を表明した。
   TPP問題を巡っては、自民党内も賛否の路線対立が浮き彫りになっている。
   こうした状勢の中に小沢氏が「政局」のにおいを感じ取り、攻勢に出ようとしているとしても不思議ではない。
   小沢氏は11月19日夜、インターネットの「ニコニコ動画」の「生放送」へ出演し、ジャーナリスト田原総一朗氏と討論する。小沢氏事務所のツイッターが3週間ぶりに更新され、告知している。
   小沢氏は今後、さらに「揺さぶり」に向けた動きを強めてくるのだろうか。野田首相は11月16日の参院予算委で、「TPP解散」の可能性を否定した。
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小沢一郎×田原総一朗 徹底生討論 『日本をどうする!』ニコニコ生放送11月19日(土)夜8時30分から
 小沢一郎事務所【インターネット出演のご案内】
☆ 小沢一郎×田原総一朗 徹底生討論 ☆
  【日時】   11月19日(土)20時30分スタート

  【形式】   小沢一郎×田原総一朗の熱い生討論
     
  【テーマ】   昨今、注目が集まっている政治資金規正法違反に関する裁判や、
          今後の日本の立て直しなど
            ? 小沢裁判とは何なのか。
            ? 民主党をどうする。
            ? 日本をどう立て直すか。
  【配信】    ニコニコ動画  
  その他 会場には現在大学で政治学などを勉強している学生が参加し、
       徹底生討論の行方を見守ります。
       アナタが書き込んだコメントは会場内に設置されているLED
       モニターにリアルタイムに表示されます。
       質問や意見などコメントで書き込むことにより、コネクター
       の政治ジャーナリスト・角谷浩一氏のナビゲートを通じて、
       討論に参加することが可能です。
       また、メールでの意見も募集しております。
  詳しくは、番組ホームページをご覧ください。
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<来栖の独白>
・小沢氏は政局に触れて発言しないほうが、よい。
・アメリカは力を失って、かつてのアメリカではない。
  TPP参加で日本の製造業が輸出を大きく伸ばすことはない。日本の製造業の主戦場は中国2011-11-16 | 国際/中国
・野田首相(日本外務省)が米国のホワイトハウスが発表した内容に抗議したことは、評価してよい。
  TPP 重要品目/アメリカに対して異議申し立てをきちんとする野田佳彦首相を外務官僚は全力で支えよ2011-11-16 | 政治(経済/社会保障/TPP)

裁判員制度は合憲 最高裁初判断/『裁判員制度のウソ、ムリ、拙速』大久保太郎(元東京高裁部統括判事)

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裁判員制度は合憲 最高裁初判断
東京新聞2011年11月17日 07時00分
 裁判員制度が憲法に違反しないかを争点にした裁判の上告審判決で、最高裁大法廷(裁判長・竹崎博允(ひろのぶ)長官)は十六日、「憲法は国民の司法参加を許しており、憲法違反はない」として合憲とする初判断を示した。裁判員裁判で行われた刑事事件の被告が違憲を主張していたが、上告を棄却した。制度をめぐり高裁レベルでは合憲判断が出ていたが、専門家からは違憲とする見方もあった。最高裁の初判断で、議論に一つの区切りが付くことになる。
 最高裁は裁判員制度の導入が決まった二〇〇四年以降、司法行政の担い手として制度のPRに努めてきたが、自ら裁判で憲法判断するケースは初めて。大法廷は憲法判断などをする場合に開かれ、今回は全裁判官十五人の全員一致の判断。
 判決は、覚せい剤取締法違反の裁判で示された。判決理由で竹崎裁判長は、戦前の憲法下で陪審裁判が実施されたり、国民主権を宣言した現憲法制定時の政府が陪審制や参審制の採用も可能だと考えていたなどと歴史的背景を指摘。「憲法は国民の司法参加を許容している」と判断した。
 その上で裁判員法の規定を検討。法律の解釈や裁判手続きは裁判官が担当し、裁判員は事実認定や刑の重さを裁判官とともに判断すると定めた仕組みは、適正だとした。
 裁判員の選び方は、くじ引きの後に、不公平な裁判をする恐れのある人を除外するなどの手続きによって、適格性や公平性が確保されていると判断。裁判官の独立は「裁判員制度のもとでも、公正中立な裁判の実現が図られており、独立は保障されている」とした。
 制度は、国民の苦役に当たるとする点も「辞退について柔軟な制度がある」と退け、弁護側が違憲とした主張を全て否定した。
 法学者や弁護士からは制度について「裁判官は内閣が任命すると定めた憲法に違反する」などと、さまざまな違憲論が出ていた。
 覚せい剤取締法違反事件の裁判では、覚せい剤約二キログラムをマレーシアから成田空港に持ち込んだとして、フィリピン国籍の女性(45)が同法違反などの罪に問われていた。弁護側は二審段階から裁判員制度の合憲性を争い上告していた。この日の判決で、千葉地裁の裁判員裁判で昨年一月、懲役九年、罰金四百万円とした有罪判決が確定する。(東京新聞)
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<来栖の独白>
 最高裁が裁判員制度を違憲とするわけがない。結果ありき、アリバイ作り、原発ストレステストのごときもの。
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『裁判員制度のウソ、ムリ、拙速』大久保太郎(元東京高裁部統括判事)
 現場の混乱で司法の質は暴落。こんな悪法は廃止しかない
 「違憲のデパート」
 「国民の自由」にも反する
 長期審理に対処不可能 はじめから破綻している制度
 違憲審査権はどこへいった?
 施行前に廃止を
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卑見「カトリック中央協議会の裁判員制度に関する公式見解を読む」〜五木寛之氏の『親鸞』2009-06-27 | 被害者参加・裁判員裁判

日本シリーズ第4戦 中日、好機生かせず連敗しタイに

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中日、好機生かせず連敗しタイに 日本シリーズ第4戦
中日新聞2011/11/17朝刊
 プロ野球コナミ日本シリーズ、中日(セ・リーグ)対ソフトバンク(パ・リーグ)の第4戦は16日、名古屋市のナゴヤドームで行われ、対戦成績が2勝1敗の中日はソフトバンクに1−2で競り負け、2勝2敗の五分となった。
 中日は立ち上がりから2点を追う展開。5回に荒木の適時打で1点を返し、6回は無死満塁と攻めたが、中継ぎエース森福に抑えられ、絶好機を逃したのが痛かった。第5戦は17日午後6時15分から、ナゴヤドームで行われる。
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<来栖の独白>
 連敗。胸が痛くなる。拷問のようなもの。夕方6時からでなく、6時半からというのも嫌な感じ。延長になれば、15回までやるわけだから、負けの予想が先立ち、一体拷問が何時まで続くのか、と恐ろしい。
 予想(根拠はないが)通り、負けた。落合監督は「御の字じゃないの。みんなが考えていることとは違う。トータルで考えて、2勝2敗なら御の字じゃないの。はなから最後の3つと考えている」と言うが、最後の3つが、怖い。
 ただ、このゲームには意味がある。意味がある、と私は考える。佐伯を使った点だ。同じく負けた前夜には、河原を呼んだ。よく抑えた。これでよい。この試合には、意味がある。
 いま一つ、敵ながら、左腕・森福は、すばらしかった。こんな投手がいれば、勝てる。今夜は観戦できそうもない。怖くて、観戦できない。
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落合監督と選手たちとの8年/先発ピッチャー、川崎/情の采配を捨てた理由/物言わぬ指揮官、沈黙のわけ2011-11-16 | 野球・・・など

福島市のコメ、出荷制限へ=一部地区、政府「風評対策に努力」

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福島市のコメ、出荷制限へ=一部地区、政府「風評対策に努力」
時事通信2011年11月17日13時6分
 藤村修官房長官は17日午前の記者会見で、福島市大波地区産のコメ(玄米)から国の暫定規制値(1キロ当たり500ベクレル)を超える放射性セシウムが検出されたことについて「出荷制限の指示を検討している。早急に結論を得たい」と述べ、大波地区産のコメの出荷停止を近く指示する方針を示した。
 藤村長官は同時に、「大きく広がる話ではなく、特殊なケースだと聞いている。風評被害につながらないようにしなければいけない」と語った。大波地区は山に囲まれた地形で、他の福島県産米とは生育環境が違うことを強調したものだ。
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<来栖の独白>
 今朝のNHKニュースは、「大波地区産の玄米から国の規制値を超える放射性セシウムが検出された」と伝えた。
 放射性セシウムと報道によって、どれほど多くの農家・酪農家が苦悩し、路頭に迷うことだろう。絶望し、自ら命を絶った酪農家もいた。
 わが子の食事を安全なもので、との親の願いは尊い。一方で、「がんばろう!日本」という標語は、何なのか。私は、漠とした不安を覚えないではいられない。自分の家族しか映らない眼も、何やら美しくは感じられない。
 このような時、キリスト者の末端を標榜する私は、きまってイエスの「憐れみ」を思う。聖書のメッセージする「憐れみcompassion」とは「共に苦しむ passion with」という意味だ。ラテン語のpati(苦しむ)とcum(共に)から生まれた。上から苦しむ人を見下ろして憐れむのではなく、「苦しむ者があれば、一緒になって共に苦しみ、共感する」と言う意味。「がんばろう!日本」とは、些か違うように思える。
 「共に生きる」とはどういうことか、問われているようだ。

イザヤ書53,3〜53,6
 彼は軽蔑され、人々に見捨てられ 多くの痛みを負い、病を知っている。彼はわたしたちに顔を隠し わたしたちは彼を軽蔑し、無視していた。
 彼が担ったのはわたしたちの病 彼が負ったのはわたしたちの痛みであったのに わたしたちは思っていた 神の手にかかり、打たれたから 彼は苦しんでいるのだ、と。
 彼が刺し貫かれたのは わたしたちの背きのためであり 彼が打ち砕かれたのは わたしたちの咎のためであった。彼の受けた懲らしめによって わたしたちに平和が与えられ 彼の受けた傷によって、わたしたちはいやされた。
 わたしたちは羊の群れ 道を誤り、それぞれの方角に向かって行った。そのわたしたちの罪をすべて 主は彼に負わせられた。
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