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小沢一郎氏茶番裁判 特捜検察の恐るべきデタラメ/検察、警察はデッチ上げで犯罪、犯人を捏造している

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小沢茶番裁判すぐ中止しろ
日刊ゲンダイ2011年12月17日
特捜検察の恐るべきデタラメ次々暴露
 <この国の検察、警察はデッチ上げで犯罪、犯人を捏造している>
 一体この裁判は何なのか。強制起訴された小沢一郎元代表(69)の裁判がグチャグチャになってきた。
  16日の第10回公判には、例の村木事件でフロッピーを改ざんして有罪になった元検事の前田恒彦受刑者(44)が証人として出廷。大久保隆規元秘書を取り調べた担当として呼ばれたのだが、口にしたのは、2年前当時の東京地検特捜部の驚くべき内情だった。「裏金があったと“妄想”を描いている(特捜)幹部もいた」と平気で証言し、「私が裁判官なら(小沢)無罪と判決を書く」とまで言い放ったのだ。もはや地検特捜部は捜査機関の体をなしていない。瓦解も同然だ。こんなデタラメ検察がつくり上げた小沢裁判を続ける必要があるのか。
<これは莫大な税金ムダ遣いの典型だ>
 青のジャージーに安っぽい蛍光色のフリースを羽織り、刑務官に付き添われて出廷した前田元検事。丸刈りの頭髪には白髪が交じり、「大阪特捜のエース」がウソみたいに変わり果てた姿だった。それ以上に法廷を驚かせたのは、前田が昨年1月、陸山会事件で大久保秘書を取り調べるため、大阪から東京地検に応援に呼ばれたときの状況だ。前田は着任早々、事件を担当する木村匡良主任検事(49)からこう言われたという。
 「これは特捜部と小沢一郎の全面戦争だ! 小沢をあげられなければ我々の負けだ!」
  まるで昔の軍人かヤクザの親分のセリフだが、ここに小沢捜査の本質が凝縮されている。「ジャマな小沢は必ず抹殺する」――。そういう決意表明なのだ。何が何でも小沢を逮捕するという予想通りのシナリオが最初からあったのだ。
  16日の前田証言がそれを裏付けてもいた。当時の特捜部幹部は水谷建設などのゼネコン企業から小沢サイドへの裏献金を洗い出すことに血眼になっていた。しかし、現場の検事がいくらゼネコン担当者や下請け業者から聴取しても裏金の存在が出てこない。「当時の雰囲気を言うと、現場は厭戦ムードでした」と前田はこう証言を続けた。
 「陸山会事件を積極的に小沢さん(立件)までつなげたがっていたのは、当時の佐久間特捜部長と木村主任検事、大鶴次席検事ら一部の幹部でした。次の(大林)検事総長(当時、東京高検検事長)も乗り気ではありませんでした。それでも(部長らは)1億や2億、場合によっては4億円を出してこいと(現場に)言ってくるのです。私は佐久間部長に、想定しているスジ(ストーリー)を聞いてみました。夢みたいな話、妄想を語られました。私は率直に『裏献金は難しい』と言いました。ほかの検事も『無理』と言っていました」
  一部の幹部が、消極的な部下のシリを叩き、ありもしない「裏金1億円」ストーリーをデッチ上げる。組織が狂気に向かって突っ走る、恐るべき姿が目に浮かぶようだ。
<特捜部は検察審査会にも不利な証拠を隠した>
 もちろん、エラソーに証言する前田本人も、村木元厚労省局長の冤罪事件で証拠を改ざんし、逮捕されたデタラメ検事、いわば同じ穴のムジナである。この日も、自分が作成した大久保調書の正当性はシャーシャーと主張し続けたが、そんな前田でさえ、驚き呆れるほどの東京地検特捜部の結論ありき捜査だったのだ。
  午後になると、前田はフリースを脱いで、ますますヒートアップした。さながら独演会で、「検察が検察審に提出したもので証拠になっていないものがある。石川(知裕)議員の調書には問題があったんじゃないですか。弁護士からクレームがバンバンあった印象があります」「ゼネコンや下請けの捜査員を増やしたのに調書がないでしょう? 裏金を渡しているという検察の想定と違う取り調べ内容は証拠化しないんですよ」などと、恐るべきことを次々と暴露していった。これだと、どんな事件もデッチ上げられ、誰でも犯人にされてしまう。あっちこっちで村木事件がつくられているのだ。
  そんな一方的な検察資料をもとに、検察審査会の一般人11人は、小沢不起訴を「不当」と議決し、現在の小沢裁判となっているのだから、恐ろしい。ムチャクチャだ。
  そして、冒頭の「私が裁判官なら無罪と判決を書く」となったのだが、小沢裁判を傍聴し続けているジャーナリストの江川紹子氏が言う。
 「最大の問題は、検察が証拠を隠したり調書を作らなかったために、検察審査会に正確な情報が伝わらず、正しい議決に結びつかなかった可能性があることです。もちろん、国民の判断を誤らせてきた新聞やTVメディアの責任も重大です」
  前日の公判では証人台に立った田代政弘検事(44)の証言が問題になった。小沢強制起訴の最大の根拠である石川議員を再聴取した際の捜査報告書を、以前の“記憶”とゴチャ混ぜにして捏造していたことが明らかになった。検察と一体になって小沢叩きを展開した読売新聞までが、1面トップで「検事報告に虚偽」「有罪立証にダメージ」と書かざるを得ない非常事態になってきた。もはや勝負ありだ。
  検察のデッチ上げ体質、証拠隠しはバレバレである。この先いくら小沢裁判を続けたところで、「無罪」は動かなくなった。いくら「推認」好きの裁判長だとしても、小沢をクロにすることは無理だ。それならサッサと裁判を中止すべきだ。こんな茶番裁判に莫大な税金を使い、小沢一郎を幽閉して何の意味があるのか。百害あって一利なしだ。
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“小沢氏 自分なら無罪判決”
 NHKニュース12月16日 18時18分
 民主党の小沢元代表の裁判で、元秘書の取り調べを担当し、村木厚子さんの事件の主任検事だった前田恒彦元検事が証人として呼ばれ、小沢元代表に対する捜査について、「捜査には問題があり、自分が裁判官なら小沢さんに無罪の判決を書く」と述べました。
 16日の裁判には、小沢一郎被告の資金管理団体の会計責任者だった大久保隆規元公設秘書を取り調べた、前田恒彦元検事が証人として呼ばれました。村木厚子さんの事件で証拠を改ざんした罪で服役中の前田元検事は、小沢元代表に対する捜査について、「特捜部の上司は、『特捜部と小沢の全面戦争だ。小沢を挙げられないと特捜の負けだ』と話していた」と証言しました。そのうえで、「特捜部の幹部らは、事件の背景にはゼネコンの裏献金があると、夢のような妄想を抱いていたが、見立てが違うと思っていた。ゼネコン側が裏献金を強く否定しても想定には合わないので、証拠として調書に残さず、捜査には問題があった。自分が裁判官なら小沢さんに無罪の判決を書く」と述べました。16日で事件の直接の関係者の証人尋問は終わり、検察官役の指定弁護士は、小沢元代表の有罪は揺らいでいないとして、元代表への報告を認めた元秘書らの供述調書を採用するよう、裁判所に求めていくとしています。
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小沢一郎氏裁判 第9回公判〈前〉/証人 田代政弘検事「特捜部は恐ろしいところだ」=報告書に虚偽の記事2011-12-15 | 政治/検察/裁判/小沢一郎/メディア
 弁護人「やり取りがないのに、どうして(捜査報告書には)記されているのですか」
 証人「やり取りがあったと認識して書いた」
 弁護人「実際のやり取りと異なるのが、記載されたことですか」
 証人「この日の取り調べを一言一句記載したのではなく、思いだし、思いだし記載した。拘留中に話したことや、保釈後に話したことの記憶が混同していたと思う」
 弁護人「もう一度聞きますが、5月17日から数日で書いたのですね」
 証人「はい」
 弁護人「5月17日には、どこまで書いたのですか」
 証人「それは記憶にはありません」
 弁護人「虚偽の捜査報告書を書いたのではありませんか」
 証人「そうではありません」
 《続いて、弁護人は○○検事が石川議員に「(虚偽記載を認める供述を覆し)逆の供述をすれば、火に油を注ぐことになる」などと話したことを追及していく》
 弁護人「(任意聴取の際には)こう伝えたことがありましたね」
 証人「はい」
 弁護人「繰り返し述べましたね」
 証人「それは、石川さんが従前通りの主張だといいながら、実際に調書のサインの段階になると、『4億円を隠すつもりはなかった』などと覆す。その中で何度かやり取りがあった」
 弁護人「何のために捜査報告書を作っていたのですか」
 証人「調べが終われば、作るように、と指示されていました」
 弁護人「指示はだれからか」
 証人「主任検事です」
 弁護人「あなたは、何日かかけて作るうちに、記憶が混同して、やり取りのない内容を記したということでしたね」
 証人「かいつまんで言えばそうです」
 弁護人「これが検察審査会の小沢さんの起訴議決にも影響を与えた可能性があったと分かっていましたか」
 証人「協議の内容については、分かりません」
 弁護人「可能性の話ですよ」
 証人「可能性の話ならば…」
 《男性弁護士は、検察審査会の議決の理由に、捜査報告書の内容を挙げている点を紹介し、追及していく》
 弁護人「理由に捜査報告書の内容が挙がっていることは認識していましたか」
 証人「議決自体は見ていないが、報道レベルでは知っていました」
 《○○検事が任意聴取の際に「石川さんの供述がさ、やっぱり功を奏したんでしょ…」などと言った隠し録音の部分を紹介した》
 弁護人「功を奏するというのは?」
 証人「小沢さんが起訴されないことを指したと思います」
 弁護人「なぜ、そんなことを言ったのか」
 証人「石川さんに同調するように言っただけで、事実だという趣旨で言ったのではありません」
 《○○検事は、石川議員を取り調べる際、「フェアプレーで本当のことを言ってほしい」と約束していたとされる》
 弁護人「フェアプレーであると言いながら、あなた自身は事実を認識できないことを話すのですか」
 証人「客観的な事実は分からない。(小沢被告の)起訴を望んでいなかった石川さんに同調した形で話しただけです」 ⇒[小沢一郎氏裁判 第9回公判〈後〉
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小沢一郎氏裁判 第9回公判〈後〉/証人 石川知裕議員女性秘書が語った深夜に及ぶ違法な取調べの実態2011-12-16 | 政治/検察/裁判/小沢一郎/メディア
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小沢一郎氏裁判 第10回公判〈前〉/前田恒彦元検事「上司から『特捜部と小沢の全面戦争だ』と言われた」2011-12-16 | 政治/検察/裁判/小沢一郎/メディア
 指定弁護士「応援前に情報が伝えられないのは一般的なのですか」
 証人「この事件はマスコミが非常に注目していた。私は大阪では(聴取で供述を引き出す)『割り屋』といわれていましたので、マスコミから尾行もされていた。私の担当が事前に漏れると、いろいろ次の展開を憶測される恐れがある。このときは情報がコントロールされていたということだと思います」
 指定弁護士「捜査に関する資料はいつ入手しましたか」
 証人「まず、主任検事である■■さん(法廷では実名)の部屋で、その他大勢の20人の検事とは別に、業者からの金のやり取りに関する説明資料というかペーパーを渡された」
 「その際、■■キャップからは『この件は特捜部と小沢の全面戦争だ。小沢をあげられなければ特捜の負けだ。恥ずかしい話だが、東京には割り屋がいない。だから大阪に頼ることになった』といわれた」
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小沢一郎氏裁判 第10回公判〈後〉前田恒彦元検事「私が裁判官なら小沢さん無罪」「検察、証拠隠しあった」2011-12-17 | 政治/検察/裁判/小沢一郎/メディア
 証人「1回目(の指定弁護士との打ち合わせでは)はざっくばらんに、捜査の問題点を含めて申し上げた。『私は小沢さんが無罪だと思う』『指定弁護士も職務上大変ですね』と。捜査にいろいろ問題があったことも言いましたし、証拠隠しのことも…言ったかな? 言わなかったかな?」
 弁護人「証拠隠しって何ですか」
 証人「要は、私が裁判官なら、『無罪』と判決を書く。証拠がすべて出されたとしても…」
 弁護人「いや、『隠された証拠』ってなんなんですか」
 証人「私が思っているだけですけどね。判決では検察審査会の起訴議決が妥当だったかどうかも審理されるわけですよね。そこで検察が不起訴と判断した資料として検審に提出されるもので、証拠になっていないものがあるわけですよ。例えば、(自分が取り調べを担当した)大久保さんの調書には全くクレームがないけど、石川さんの調書にはあるんです。弁護士からのクレーム申入書が。でも(指定弁護士との)打ち合わせのときに、指定弁護士は知らなかった。検審に提出された不起訴記録に入っていないから」「私はクレームが来ていないから胸を張って任意性がある、と言えるんですけど。石川さんの調書に問題があったんじゃないですかね。(石川議員の取り調べに対する)クレームはバンバンあったくらいの印象がある。指定弁護士も調査したら1、2通見つかったと言っていたが、私の印象ではもっとあると思いました。それが証拠に含まれていれば、審査会が見て、調書の信用性は減殺されるわけですよね」「それに、この事件では捜査態勢が、途中でものすごく拡充されたんですよ。(元秘書ら逮捕者の取り調べを行う『身柄班』に対して)『業者班』。ゼネコンや下請けの捜査員を増やした。でも、(作成された)調書が、まー、ないでしょ? 大久保さん、小沢さんに裏金を渡しているという検察の想定と違う取り調べ内容は、証拠化しないんです。どうするかといえば、メモにしている。手書きのその場のメモということでなく、ワープロで供述要旨を整理していた」「水谷(建設)で言えば、4億円の原資として5千万円は水谷かもね、となっても、残りの3億5千万円については分からない。何十人の検察官が調べて、出てこない。検審にそれが示されれば、水谷建設の裏献金の信用性も、減殺されていたはず。想定に合わなければ証拠にならないというのがこれまでの検察で、私も感覚がずれていて、厚労省の(証拠改竄)事件を起こすことにもなった」


日弁連、死刑廃止で統一見解 オウム裁判終結で懸念

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日弁連、死刑廃止で統一見解 オウム裁判終結で懸念
 日弁連(宇都宮健児会長)は17日までに、死刑制度の廃止を求める「死刑廃止検討委員会」を設置することを決めた。日弁連が死刑廃止方針を統一見解として打ち出すのは、1949年の設立後初めて。オウム真理教関連の刑事裁判が終結し、執行を求める動きが強まる中、広く政府や世論に働きかけ、制度見直しを求める。 2011年12月17日17時05分:共同通信
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日弁連:死刑廃止検討委を設置へ
 日本弁護士連合会は、死刑廃止に向けた議論と提言をする「死刑廃止検討委員会」を年明けにも発足させることを決めた。従来、死刑の執行停止に向けた運動を進めてきたが、全面的に廃止の検討を掲げた組織を設けるのは初めて。
 日弁連は02年に「死刑制度問題に関する提言」を発表。死刑執行停止法の制定などを実現するため、「死刑執行停止実現委員会」を発足させ、死刑問題を考える公聴会やシンポジウムを開催したり海外の法曹団体と意見交換をしたりしてきた。
 今年10月に実施した人権擁護大会では、「死刑廃止についての全社会的議論を呼びかける宣言」を採択。裁判員制度の導入で、一般市民が死刑判決の選択を迫られることなどを踏まえ、国に対し「直ちに死刑の廃止について全社会的な議論を開始し、その議論の間、死刑の執行を停止すること」を求めた。
 日弁連は今月の理事会で新たな委員会の設置を決定。「死刑執行停止実現委員会」の名称を変更し、委員の数も増員する方向で準備を進める。
 死刑制度を巡っては、法務省内でも法相の勉強会が設置されており、制度の是非を巡る検討が進んでいる。【伊藤一郎】毎日新聞 2011年12月17日 19時46分
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平岡秀夫法相 死刑執行について「個別の問題は個別の問題として慎重に判断していきたい」2011-12-14 | 死刑/重刑/生命犯 問題
The Death Penalty 死刑の世界地図

「胃ろう」延命治療 始められてもやめられないアンバランス

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「胃ろう」延命治療 始められてもやめられないアンバランス
NEWポストセブン2011.12.18 16:00
 2006年3月、富山・射水市民病院で末期がん患者など7人の呼吸器を外し延命治療を中止していたことが報道された。2008年7月、元外科部長ら2人が殺人容疑で書類送検されたが、2009年12月、富山地裁は一連の医療行為をみて呼吸器を外した行為が死期を早めたとはいえないと判断、不起訴処分(嫌疑不十分)とした。この「延命治療」のひとつである「胃ろう」の是非について女医の宋美玄さんと医療ジャーナリストの熊田梨恵さんが語り合った。
 * * *
 熊田:タブーになると、正面から議論できないから悩む人も出てくると思います。胃ろうなら、「本当によかったのかな」と思いながら誰にもいえなくて悶々としていたり、介護に疲れ果ててしまって介護殺人が起こったり…。生きることや死ぬことへの無関心が、こういう問題を引き起こしていると感じます。だから安易な胃ろうも増えているのではないかと。
宋:普段考えてないと、いざそういう事態になったときに慌てるというのはありますわ。でも、ほとんどのかたが大体そうやと思うんです。健康なときに病気になったときのこととか、死ぬときのことなんてあまり考えない。
 でも知識として知っておかないと、いざ追い込まれたときの対応に違いが出てくると思います。胃ろうも「いまの状態が本人にも家族にも幸せだとは思えないから注入をやめたい」と思っても、やめたら医師が罪に問われる可能性があるので、そうはいかない。追い込まれて初めて、そういう現実を知るかたが多いと思います。
熊田:治療は、始めることはできますけど、やめることができないんですよね。そこが日本は凄くアンバランスだと思います。胃ろうを始めることはスムーズにできても、やめようと思ったら殺人罪に問われるかもしれないなんて。
 始めた治療をやめられない結果、人として尊厳のある状態とは残念ながらいえない形で生きているかたもおられます。認知症末期で本人は意識もなく寝たきりなのに、胃ろうで生かされていたりとか…。いまの日本は尊厳ある状態での「生」をまっとうできなくて、その結果尊厳死ができない状態がある気がします。
※女性セブン2012年1月1日号
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終末期の人工栄養補給、中止可能に…学会指針案2011-12-05 | 死と隣合わせ/life/臓器移植 
 終末期の人工栄養補給、中止可能に…学会指針案
 2011年12月5日(月)01:29
 高齢者の終末期における胃ろうなどの人工的水分・栄養補給は、延命が期待できても、本人の生き方や価値観に沿わない場合は控えたり、中止したりできるとする医療・介護従事者向けの指針案が4日、東京大学(東京・文京区)で開かれた日本老年医学会のシンポジウムで発表された。
 近年、口で食べられない高齢者に胃に管で栄養を送る胃ろうが普及し、認知症末期の寝たきり患者でも何年も生きられる例が増えた反面、そのような延命が必ずしも本人のためになっていないとの声が介護現場を中心に増えている。
 そこで、同学会内の作業部会(代表・甲斐一郎東大教授)が試案を作成した。広く意見を募って修正し、来年夏までには同学会の指針としてまとめるという。(読売新聞)

「オウム真理教事件が私たちに問いかけるもの」

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[加賀乙彦著『悪魔のささやき』集英社新書 2006年8月17日第1刷発行] より抜粋
オウム真理教事件が私たちに問いかけるもの
 薬物で補強されたマインド・コントロール
P133〜
 オウム真理教という名前が広く世間一般に知られるようになったのは、宗教法人としての認可がおりて急速に信者数を増やし、マスコミも盛んに取り上げはじめた1989年ぐらいからでしょうか。その年の11月、出家信者の親たちの依頼で被害者の会を結成し民事訴訟の準備をしていた坂本弁護士が、妻子ともども行方不明となります。オウムの関与が取りざたされたものの捜査の手はおよばず、翌年2月の衆議院総選挙には教祖の麻原彰晃以下25人が出馬。白いユニフォームに身を包み、麻原の面をかぶって「ショーコーショーコー」という「尊師マーチ」を歌う奇妙な集団に多くの人が抱いたのは、まだ恐れではなく、嘲弄混じりの驚きだったような気がします。
 しかし裁判での検察側主張によれば、その数年前から麻原は内部のセミナーなどで、殺人行為を正当化する「ポアによる救済」について語っていたそうです。そして選挙で全員が落選すると、通常の布教方法では現代人を救済できないとわかったから「これからはタントラ・ヴァジラヤーナでいく」と決意。90年4月には、ポツリヌス菌を気球で散布する計画を立てていたとか。幸い、これは技術力のなさゆえ失敗に終わりましたが。
 タントラ・ヴァジラヤーナとは、密教の教義の1つである秘密金剛乗のこと。そのなかに「五仏の法則」というものがあり、救済のためにあえて悪をなすといったことが書かれています。これは天界の如来たちがさらなる修行のため行う法で、人間にはなしえないといった注釈のもとに説かれたものなのですが、それを麻原は「ポア(意識をより高い位置に移し替えること、転じてオウムでは死をもたらすこと)という言葉を使って、殺人さえも善行として肯定する形に都合よく拡大解釈していきました。
 麻原の論はこうです。悪行を重ねている現代人は、このままでは三悪趣(地獄道、餓鬼道、畜生道)にしか生まれ変われないが、死の直後の煩悩が弱まった状態で意識の移し替えをしてやれば、次の生で今生より高い次元に行ける。だから、早くポアしてやることが本人のため、最高の善なのだ。また、ポアによって人々を救済し修行と功徳を積んだ信者は、いずれ私のように最終解脱することができる。(〜p134)
p135〜
 選挙での敗北を、麻原は敵対勢力の妨害のせいと位置づけ、国家から弾圧されていると主張し、革命を目指すようになります。選挙後、脱会していく信者が増え揺らいでいた教団の結束を強め、みずからのカリスマ性を保持するのが狙いだったのか、相当に妄想が悪化していたのか・・・いずれにせよ、化学知識を持つ信者に命じて炭疽菌の培養や神経ガスのサリン、VXガスの生成に着手するなど、教団の武装化に邁進。やがて、ハルマゲドンなる世界最終戦争が数年後に起こり、生き残るのはオウム信者だけなどと予言するようになり、ハルマゲドンにのなえて国家権力打倒の思いをさらに強めていきました。そして、94年にサリンの殺傷能力を確かめるため松本市で噴霧。翌95年3月20日、地下鉄サリン事件を起すのです。
(略)
 事件の実行犯や教団幹部のプロフィールが、さらに私たちを驚かせました。早稲田大学大学院理工学部卒で修士号を取り、宇宙開発事業団に勤めていたこともある事件当時32歳。東京大学大学院理学系研究科で素粒子を研究し、物理学専攻修士課程を修了した27歳。(略)最高学府で教育を受けた優秀な人材で、科学的精神をたっぷり持っていただろう若者たちが、いったいなぜ、第3者から見たらいかがわしさの極地のように思える男をグル(霊的指導者)として敬い、その教義に傾倒していったのか。空中浮揚だのポアだの国家革命だのハルマゲドンだのといった非科学的、非論理的なものを信じ、あれほどの事件を起してしまったのか。
 その理由として、まず挙げられるのがマインド・コントロールでした。社会心理学者の西田公昭は、破壊的カルトが行うマインド・コントロールをこう定義しています。
 他者が自らの組織の目的達成のために、本人が他者から影響を受けていることを知覚しないあいだに、一時的あるいは永続的に、個人の精神過程(認知、感情)や行動に影響を及ぼし操作すること
 オウム真理教という破壊的カルトでは、これが最大限に行われていました。社会心理学的テクニックを応用した心理操作については、氏の著書『マインド・コントロールとは何か』のなかで非常に明快かつ詳細に説明されているので、そちらを読んでください。ここでは、信者のコントロールをより効果的に行うため併用されていた、薬物や電子機器などについて簡単に触れておこうと思います。
 麻原は、こめかみに電極をあて脳に通電して、けいれんを引き起こす「電気けいれん療法」−−かつて精神科の治療で行われ批判を浴びて下火になった、いわゆる電気ショックを取り入れていました。教団の医師だった林郁夫被告が書いた『オウムと私』によれば、記憶を消す方法を考えろという麻原の命令でオリジナルの機械を製作したとのこと。欧米では近年、難治性うつ病の治療法として再び注目され、安全性の高い機械を使用し麻酔や筋弛緩剤を投与したうえで電気療法を行う病院もありますが、健康な人間に用いれば意識障害や記憶障害を起こす恐れがあります。
 また、ステージをあげ悟りに近づくためという名目で行われていたイニシエーションと称する儀式では、麻原の血や風呂の残り湯といった馬鹿馬鹿しいものを飲み物に混入するだけでなく、アミタールやメスカリン、LSDなどが多用されていました。アミタールは嘘発見用の自白剤として使われていた薬で、意識が拡張し幻覚も見ます。今では人権上、精神科医でも使用することは禁じられています。メスカリンも幻覚をもたらし、麻薬に指定されています。
 LSDは、みなさんご存知の悪名高い合成麻薬。ほんの少量摂取しただけで、強烈な幻覚が現れ、6時間から12時間ぐらい作用が続く。私はLSDが日本に導入された60年代の初め、まだ麻薬指定になる前に、精神科医仲間が行った実験の被験者になったことがあります。頭に電極をつけ脳波を取りながら、医局員たちに囲まれて少量の注射を打ったんですが、もう完全に意識障害を起こしてしまいました。
 まず自分の手が透明になって骨が見える。それから身体がうんと軽くなって空中を浮遊しているような状態になり、窓から飛び出していこうとして友達に止められました。また、遠近が極端に誇張されて見えるので、人の顔なども鼻が天狗みたいに長くなり、ウウーッと迫ってくるのです。自分がものすごい力持ちになったようにも感じられ、ふと見ると身体が鎖でグルグル巻きにされているものだから、「よし、こんな鎖切ってやる」と力を入れたら鋼鉄の鎖がガラガラと切れて落ちた。もちろん、本当は縛られてなどいないんですけどね。そのうち床に炎の柱が立ってバーッと燃えあがり、「火事だ、火事だぁ」と騒ぎ出す・・・私の場合はそういう感じでした。
 おそらく麻原は、こういった幻覚作用のある薬を多用することで多くの人に異常感覚を起させたんだと思います。まず自分が試してからやってみたんでしょう。LSDを使うとだいたいどうなるか知っていれば、予言ができます。「おまえは今からこういう状態になるであろう」と予言しておいて、そのとおりの異常な感覚が生じれば神秘体験だと誤解し、「尊師のおっしゃるとおりです。私は解脱しました」と思いこんでしまう。
 薬物をひそかに摂取させたうえで、目に交差信号を送る黒い眼鏡のような機械をつけさせたり、ヘッドギアをつけて座禅などをさせていたと言います。(略)一定のリズムで周波数を変調させ、それを繰り返すことで装着している人間の脳波になんらかの影響をおよぼす効果があったのではないか、と推理している電子工学者もいます。マインド・コントロールといっても単に催眠術みたいなものをかけて行うのではなく、きわめて科学的、医学的な作用を脳に与えて、計画的に操作しやすい状態へと持っていったわけです。
 高学歴の若者たちが抱えていた「大いなる退屈」
 (略)
 地下鉄サリン事件があった95年春の時点で、オウム真理教の出家修行者千百十四人のうち20代が47.5%。30代も合わせると75.4%にのぼるそうです。なぜ若い世代に信者が多かったのか。
 まず1つには、若者たちが抱えていた大いなる退屈があると思います。事件当時、20代、30代ということは、ほとんどが60年代以降に生まれた世代です。物心ついたときから食べることに困らず、しょせんは他人事としてしか受け止められない凶悪犯罪をのぞけばとくに驚くべき事件も起こらない。そんな平和で豊かな、言い換えれば非常に平板な社会に生きてきて、彼らは一種の精神的退屈を抱えていたのではないか。もっと心をわくわくさせるような出来事、非日常の体験を待ち望んでいた。70年代から80年代前半にかけてのオカルト・ブームも、その1つの表れだった気がします。
 そんな彼らの前に現れたのが、麻原彰晃でした。麻原についていけば、普通の世のなかで普通の生活をしている人間が経験できないような新しい経験を次々に与えてくれる。これまで体験したことのない刺激を与えられ、いまだかつて味わったことのないタイプの感覚や、何やら神秘的に思える超現実的な出来事が自分に起こる。新しい世界が開けて、平凡な日常のなかに埋没していた自分が何か特別な存在になったかのように思える・・・・。その魅力に大勢の若者たちが次々と憑りつかれ、信者になっていったのでしょう。釣り堀の魚が餌が欲しくて口をパクパクさせていたら、悪魔がおいしそうな餌を投げてくれたものだからパクッと飲みこんでしまったようなものです。それが自分たちを破滅させる毒餌かもしれないなんてことは、まったく疑いもせずに。
 2つ目の要因は、宗教的知識があまりにも欠如していたこと。戦後の日本は、国家神道一色だった戦前、戦中の反動で、子供たちに学校で宗教について教えることがタブー視されてきました。いや、学校だけではありません。宗教教育は戦後60年間ないがしろにされ続けてきたのです。結婚式を教会で挙げ葬儀を仏式で行っていたとしても、60歳以下の日本人の多くは仏教もキリスト教も神道もイスラム教も、基本的なことさえ知らない。そういう親のもとで育った子供たちは、いわば無菌室のなかにいたようなもの。だから、カルト宗教という悪魔に対する免疫がまったくないと言っていい。
 オウム真理教は、麻原彰晃が1984年に設立したヨーガ道場「オウムの神仙の会」にはじまります。ヨーガを用いた修行による煩悩からの解放を説き、煩悩を1つずつ超越することを解脱と呼び、またみずからは単身ヒマラヤで修業し「ただ一人の最終解脱者」となったなどと自称していましたが、その教義は既存の宗教を知っている人間から見れば笑ってしまうようなものでした。ヒンドゥー教、小乗仏教、大乗仏教、チベット密教、キリスト教、ゾロアスター教など、さまざまな宗教の教義から利用しやすい部分を切り取って、自分に都合のいいよう解釈し、つぎはぎしたにすぎません。宗教に関する基本的な知識を持っていれば、マインド・コントロールされる前の段階で、そのいかがわしさに気づき、ほかに魅力的な要素があろうとも客観視できたのではないでしょうか。
 麻原が予言していたハルマゲドン、世界最終戦争にしてもそうです。『新約聖書』のヨハネ黙示録に、ハルマゲドンという場所で天使と悪魔との大戦争が勃発するといった記述があったため、そこから転じて後年、ハルマゲドンを「最終戦争」、「この世の終わり」などの意味で使う人々が現れました。しかし、現代のキリスト教徒の多くは、ヨハネ黙示録を未来の出来事の予言ではなく黙示文学として受け止めています。そういう知識や、これまでも多数のカルトや新興宗教がハルマゲドンという概念を人々の恐怖を煽って入信させるために利用していたという認識を、オウムにはまる前に若者たちが持っていたなら・・・と思わずにはいられません。
 3つ目は、第2章でも述べたように自分の頭で考えるという習慣がないこと。昔から、日本人全般にその傾向があるところへもってきて、彼らは子供のころから受験戦争で勝つためのパターン化された勉強法を強いられてきた世代です。オウム幹部のように、先生や親の言う通りいい成績を取り、いい大学に入ることを第一義として生きてきた受験戦争の勝利者は、なおさらそうでしょう。1979年からは国公立の大学入試にマークシート方式が導入され、ますます若者から考える力を奪ってしまいました。大学や大学院で勉強した物理や化学の専門知識は、サリンやVXガスを作れるほど豊富であっても、みずから進んでさまざまなジャンルの本を読み、きちんと自分の思想を整えるというところまでいっている人は非常に少ないと思います。だから、出来の悪いマンガのようなオウムのイデオロギーに簡単に取り込まれてしまったのではないか。林郁夫被告は、前出の体験記にこうもつづっています。
〈麻原のいうことを至上のものとして生活していたことから、そのように葛藤すること自体を、私自身が麻原の教えを理解できない劣った心の持ち主であるからだと思うようになりました〉
 教団の医師であり、薬物を使ったマインド・コントロールのことを熟知していたはずの彼でさえ、麻原の方針を疑いながらも、そんな自分のほうを否定し教祖の指示に従ってしまう。もちろん、オウム真理教は多くのカルトがそうであるように、教えに疑問を持ち脱会しようとする者に対しては、最悪の場合ポアという手段を取るなど恐怖による締めつけを行っていました。しかし、林の発言からはやはり、彼らが共通して持っていただろう自分の頭で考えてこなかったがゆえの弱さ、立場が上の者、声の大きな者に流されがちな傾向を強く感じます。
 4つ目の要因としては、教団で採用されていた「ステージ」という階級制が挙げられるでしょう。90年4月ごろから、麻原は修行の達成度や精神性のレベルを示すものとしてステージ制度なるものを導入。尊師の下に正大師、正悟師、師、師補、サマナ長など12階級を置き、絶対服従を強いる上位下達の独裁体制を強化していきます。一所懸命修行すれば、ステージをあげていくことができる。小、中、高、大学と、人と競い合って生きてきて、勝つことが幸せな未来につながると刷り込まれてきた信者たちの競争心やプライドを巧みに利用した、実にうまい戦略だと思います。サリン製造や殺人さえも「ワーク」や「ポア」という名で修業の一環に組み込まれ、また悪行を積んでいる者を殺してやることは善行だという大義名分まで教祖が教えてくれていたのです。
 教祖に対する疑念が芽生えたとしても、林被告のように打ち消してしまったほうが、実は一時的にはらくなのです。一度入信して走り出してしまったら脱会するのは困難だし、これまで信じていたこと、してきたことを否定するには相当のエネルギーが必要です。何より自分自身が傷つく。だから自己防衛と自己正当化のため、意識下で疑念を打消し、教祖の言うことを積極的に信じようとするのだと思います。そうすれば、恐ろしい罪をおかしているという罪悪感も薄れるわけですから。
 94年6月になると、麻原はステージ制に次いで省庁制を導入。みずからを神聖法王とし、その下に大蔵省、科学技術省、治療省など22の省庁を置いて教団を疑似国家に見立て、信者を再編成して各省庁のトップに幹部たちを据えました。人間は、他者から認められたいと願わずにはいられない動物です。評価されればますます頑張ろうとし、期待に応えたいと思う。大阪大学大学院理学研究科で博士の前期課程を修了した村井秀夫は、きみの優れた能力を人々を救済するために使ってみないかという麻原の言葉に感動し、オウムに入ったそうです。科学技術省大臣として松本サリン事件や地下鉄サリン事件に深く関わった彼は、事件後、マスコミに取り囲まれ取材を受けていた最中、暴力団に刺殺されました。
 麻原彰晃にひかれた若者たちについて考えるたび、私にはオウム真理教というものが90年代の日本における悪魔のささやきの大きな実験の1つだったような気がします。地下鉄サリン事件から10年以上の時が流れましたが、今の日本の20代、30代はどうでしょう。ここに挙げた4つのウィークポイントを克服しているでしょうか。
 残念ながら、私にはそうは思えません。むしろ、ひどくなっているように感じられる。オウム真理教事件の記憶が埋もれてしまえば、また別のカルトが若者たちの心の隙間に忍び込まないとも限らない。いや、今度彼らを操るのは破壊カルトのようなわかりやすいものではなく、もっとわかりにくくて強大なもの----たとえば、かつてのような国家かもしれない。
p145〜
 獄中の麻原彰晃に接見して
 2006年2月24日の午後1時、私は葛飾区小菅にある東京拘置所の接見室にいました。強化プラスチックの衝立をはさみ、私と向かい合う形で車椅子に座っていたのは、松本智津夫被告人、かつてオウム真理教の教祖として1万人を超える信者を率い、27人の死者と5千5百人以上の重軽傷者を出し、13の事件で罪を問われている男です。
p146〜
 04年2月に1審で死刑の判決がくだり、弁護側は即時、控訴。しかし、それから2年間、「被告と意思疎通ができず、趣意書が作成できない」と松本被告人の精神異常を理由に控訴趣意書を提出しなかったため、裁判はストップしたままでした。被告の控訴能力の有無を最大の争点と考える弁護団としては、趣意書を提出すれば訴訟能力があることを前提に手続きが進んでしまうと恐れたのです。それに対し東京高裁は、精神科医の西山詮に精神鑑定を依頼。その鑑定の結果を踏まえ、控訴を棄却して裁判を打ち切るか、審議を続行するかという判断を下す予定でした。2月20日、高裁に提出された精神状態鑑定書の見解は、被告は「偽痴呆性の無言状態」にあり、「訴訟能力は失っていない」というもの。24日に私が拘置所を訪れたのは、松本被告人の弁護団から、被告人に直接会ったうえで西山の鑑定結果について検証してほしいと依頼されたためです。
 逮捕されてから11年。目の前にいる男の姿は、麻原彰晃の名で知られていたころとはまるで違っていました。トレードマークだった蓬髪はスポーツ刈りになり、髭もすっかり剃ってあります。その顔は、表情が削ぎ落とされてしまったかのようで、目鼻がついているというだけの虚ろなものでした。灰色の作務衣のような囚衣のズボンがやけに膨らんでいるのは、おむつのせいでした。
「松本智津夫さん、今日はお医者さんを連れてきましたよ」
 私の左隣に座った弁護士が話しかけ、接見がはじまりましたが、相変わらず無表情。まったく反応がありません。視覚障害でほとんど見えないという右目は固く閉じられたままで、視力が残っている左目もときどき白目が見えるぐらいにしか開かない。口もとは力なくゆるみ、唇のあいだから下の前歯と歯茎が覗いています。
 重力に抵抗する力さえ失ったように見える顔とは対照的に、右手と左手はせわしなく動いていました。太腿、ふくらはぎ、胸、後頭部、腹、首・・・身体のあちこちを行ったり来たり、よく疲れないものだと呆れるぐらい接見のないだ中、ものすごい勢いでさすり続けているのです。
「あなたほどの宗教家が、後世に言葉を残さずにこのまま断罪されてしまうのは惜しいことだと思います」
「あなたは大きな教団の長になって、たくさんの弟子がいるのに、どうしてそういう子供っぽい態度をとっているんですか」
 何を話しかけても無反応なので、持ち上げてみたり、けなしてみたり、いろいろ試してみましたが、こちらの言うことが聞こえている様子すらありません。その一方で、ブツブツと何やらずっとつぶやいている。耳を澄ましてもはっきりとは聞こえませんでしたが、意味のある言葉でないのは確かです。表情が変わったのは、2度、ニタ〜という感じで笑ったときだけ。しかし、これも私が投げた言葉とは無関係で、面談の様子を筆記している看守に向かい、意味なく笑ってみせたものでした。
 接見を許された時間は、わずか30分。残り10分になったところで、私は相変わらず目をつぶっている松本被告人の顔の真ん前でいきなり、両手を思いっきり打ち鳴らしたのです。バーンという大きな音が8畳ほどのがらんとした接見室いっぱいに響き渡り、メモをとっていた看守と私の隣の弁護士がビクッと身体を震わせました。接見室の奥にあるドアの向こう側、廊下に立って警備をしていた看守までが、何事かと驚いてガラス窓から覗いたほどです。それでも松本被告人だけはビクリともせず、何事もなかったかのように平然としている。数分後にもう1度やってみましたが、やはり彼だけが無反応でした。これは間違いなく拘禁反応によって昏迷状態におちいっている。そう診断し、弁護団が高裁に提出する意見書には、さらに「現段階では訴訟能力なし。治療すべきである」と書き添えたのです。
 拘禁反応というのは、刑務所など強制的に自由を阻害された環境下で見られる反応で、ノイローゼの一種。プライバシーなどというものがいっさい認められず、狭い独房に閉じ込められている囚人たち、とくに死刑になるのではという不安を抱えた重罪犯は、そのストレスからしばしば心身に異常をきたします。
 たとえば、第1章で紹介したような爆発反応。ネズミを追いつめていくと、最後にキーッと飛びあがって暴れます。同じように、人間もどうにもならない状況に追い込まれると、原始反射といってエクスプロージョン(爆発)し、理性を麻痺させ動物的な状態に自分を変えてしまうことがあるのです。暴れまわって器物を壊したり、裸になって大便を顔や体に塗りつけ奇声をあげたり、ガラスの破片や爪で身体中をひっかいたり・・・。私が知っているなかで1番すさまじかったのは、自分の歯で自分の腕を剥いでいくものでした。血まみれになったその囚人は、その血を壁に塗りつけながら荒れ狂っていたのです。
 かと思うと、擬死反射といって死んだようになってしまう人もいます。蛙のなかには、触っているうちにまったく動かなくなるのがいるでしょう。突っつこうが何しようがビクともしないから、死んじゃったのかと思って放っておくと、またのそのそと動き出す。それと同じで、ぜんぜん動かなくなってしまうんです。たいていは短時間から数日で治りますが、まれに1年も2年も続くケースもありました。
 あるいはまた、仮性痴呆とも呼ばれるガンゼル症候群におちいって幼児のようになってしまい、こちらの質問にちょっとずれた答えを返し続ける者、ヒステリー性の麻痺発作を起こす者。そして松本被告人のように昏迷状態におちいる者もいます。
 昏迷というのは、昏睡の前段階にある状態。昏睡や擬死反射と違って起きて動きはするけれど、注射をしたとしても反応はありません。昏迷状態におちいったある死刑囚は、話すどころか食べることすらしませんでした。そこで鼻から胃にチューブを通して高カロリー剤を入れる鼻腔栄養を行ったところ、しばらくすると口からピューッと全部吐いてしまった。まるで噴水のように、吐いたものが天井に達するほどの勢いで、です。入れるたびに吐くので、しかたなく注射に切り替えましたが、注射だとどうしても栄養不足になる。結局、衰弱がひどくなったため、一時、執行停止処分とし、精神病院に入院させました。
 このように、昏迷状態におちいっても周囲に対して不愉快なことをしてしまう例が、しばしば見られます。ただ、それは無意識の行為であり、病気のふりをしている詐病ではありません。松本被告人も詐病ではない、と自信を持って断言します。たった30分の接見でわかるのかと疑う方もいらっしゃるでしょうが、かつて私は東京拘置所の医務部技官でした。拘置所に勤める精神科医の仕事の7割は、刑の執行停止や待遇のいい病舎入りを狙って病気のふりをする囚人の嘘や演技を見抜くことです。なかには、自分の大便を顔や身体に塗りたくって精神病を装う者もいますが、慣れてくれば本物かどうかきっちり見分けられる。詐病か拘禁反応か、それともより深刻な精神病なのかを、鑑別、診断するのが、私の専門だったのです。
 松本被告人に関しては、会ってすぐ詐病ではないとわかりました。拘禁反応におちいった囚人を、私はこれまで76人見てきましたが、そのうち4例が松本被告人とそっくりの症状を呈していた。サリン事件の前に彼が書いた文章や発言などから推理するに、松本被告人は、自分が空想したことが事実であると思いこんで区別がつかなくなる空想虚言タイプだと思います。最初は嘘で、口から出まかせを言うんだけれど、何度も同じことを話しているうちに、それを自分でも真実だと完全に信じてしまう。そういう偏りのある性格の人ほど拘禁反応を起こしやすいんです。
 まして松本被告人の場合、隔離された独房であるだけでなく、両隣の房にも誰も入っていない。また、私が勤めていたころと違って、改築された東京拘置所では窓から外を見ることができません。運動の時間に外に出られたとしても、空が見えないようになっている。そんな極度に密閉された空間に孤独のまま放置されているわけですから、拘禁反応が表れるのも当然ともいえます。接見中、松本被告人とはいっさいコミュニケーションをとれませんでしたが、それは彼が病気のふりをしていたからではありません。私と話したくなかったからでもない。人とコミュニケーションを取れるような状態にないからなのです。(〜p151)
 「死刑にして終わり」にしないことが、次なる悪魔を防ぐ
 しかるに、前出の西山医師による鑑定書を読むと、〈拘禁反応の状態にあるが、拘禁精神病の水準にはなく、偽痴呆性の無言状態にある〉と書かれている。偽痴呆性というのは、脳の変化をともなわない知的レベルの低下のこと。言語は理解しており、言葉によるコミュニケーションが可能な状態です。西山医師は松本被告に3回接見していますが、3回とも意味のあるコミュニケーションは取れませんでした。それなのにどうして、偽痴呆性と判断したのでしょうか。また、拘禁反応と拘禁精神病は違うものであるにもかかわらず、〈拘禁反応の状態にあるが、拘禁精神病の水準にはなく〉と、あたかも同じ病気で片や病状が軽く、片や重いと受けとれるような書き方をしてしまっている。
 鑑定書には、さらに驚くべき記述がありました。松本被告人は独房内でみずからズボン、おむつカバー、おむつを下げ、頻繁にマスターベーションをするようになっていたというのです。05年4月には接見室でも自慰を行い、弁護人の前で射精にまで至っている。その後も接見室で同様の行為を繰り返し、8月には面会に来た自分の娘たちの前でもマスターベーションにふけったそうです。松本被告人と言葉によるコミュニケーションがまったく取れなかったと書き、このような奇行の数々が列挙してあるというのに、なぜか西山医師は唐突に〈訴訟をする能力は失っていない〉と結論づけており、そういう結論に至った根拠はいっさい示していない。失礼ながら私には、早く松本被告人を断罪したいという結論を急いでいる裁判官や検事に迎合し、その意に沿って書かれた鑑定書としか思えませんでした。
 地下鉄サリン事件から11年もの歳月が流れているのですから、結論を急ぎたい気持ちはわかります。被害者や遺族、関係者をはじめ、速やかな裁判の終結と松本被告人の断罪を望んでいる人も多いでしょう。死刑になれば、被害者にとっての報復にはなるかもしれません。しかし、20世紀末の日本を揺るがせた一連の事件の首謀者が、なぜ多くの若者をマインド・コントロールに引き込んだのかは不明のままになるでしょう。
 オウム真理教の事件については、私も非常に興味があったため裁判記録にはすべて目を通し、できるだけ傍聴にも行きました。松本被告人は、おそらく1審の途中から拘禁ノイローゼになっていたと思われます。もっと早い時期に治療していれば、これほど症状が悪化することはなかったはずだし、治療したうえで裁判を再開していたなら10年もの月日が無駄に流れることもなかったでしょう。それが残念でなりません。
 拘禁反応自体は、そのときの症状は激烈であっても、環境を変えればわりとすぐ治る病気です。先ほど紹介した高カロリー剤を天井まで吐いていた囚人も、精神病院に移ると1カ月で好転しました。ムシャムシャ食べるようになったという報告を受けて間もなく、今度は元気になりすぎて病院から逃げてしまった。すぐに捕まって、拘置所に戻ってきましたが。
 松本被告人の場合も、劇的に回復する可能性が高いと思います。彼の場合は逃亡されたらそれこそたいへんですから、病院の治療は難しいでしょうが、拘置所内でほかの拘留者たちと交流させるだけでもいい。そうして外部の空気にあててやれば、半年、いやもっと早く治るかもしれません。実際、大阪拘置所で死刑囚を集団で食事させるなどしたところ、拘禁反応がかなり消えたという前例もあるのです。(〜p153)
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日弁連、死刑廃止で統一見解 オウム裁判終結で懸念2011-12-18 | 死刑/重刑/生命犯 問題
「死刑執行、教祖から」と江川紹子氏は云うが・・・/【63年法務省矯正局長通達】に見る行刑の苦難2011-12-04 | 死刑/重刑/生命犯 問題
麻原彰晃死刑囚(=意識混濁・拘禁症状)の「Xデー」/ オウム中川智正・遠藤誠一被告側が訂正申し立て2011-11-28 | 死刑/重刑/生命犯 問題

政権の起死回生策として、法相はこれに応えるかもしれない

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〈来栖の独白〉
 近頃の支持率低下に追い打ちをかけるように、野田政権は原発の「冷温停止」宣言で決定的な失点をした。被災地の皆さんのみならず全国民、専門家、国内外からの不評、この上ない不信を買った。まるで四面楚歌。
 ところで、死刑の問題であるが、いくら法務省でも年内の死刑執行はないだろう、と考えていた私だが、総理や細野原発相の会見を目にして、不意に「死刑執行があるかもしれない」「年内に、あるかもしれない」と胸が騒いだ。
 鮮やかによみがえったのは、麻原彰晃死刑囚が逮捕拘引される姿を車中に目にしたときのことだ〈1995年5月16日〉。あのときも「近日中にどこか(どこかの拘置所)で死刑執行がある」と俄かに強く感じた。果たして、そのように推移した。村山政権・前田勲男法相による命令で、1995年5月26日(金曜日)、大阪拘置所において藤岡秀次死刑囚に、東京拘置所において須田房雄・田中重穂死刑囚に、執行された。
 先般、オウム裁判が終結した。
 昨年7月末に死刑執行があって以来、本年の執行は、まだない。平岡氏法相就任以降、4か月。法務官僚にとって、企案書を上げるに時間は十分だろう。上がっているに違いない。
 政権の最大使命とは、その存続である。政治家の最大目標は、選挙に勝利することである。
 メディアはまるでゴミでもたまったかのように死刑確定者の数を(「多い」「多い」と)報道し、国民世論も、死刑執行を待ち望んでいるかの風潮だ。
 政権にとって唯一の起死回生策として、法相はこれに応えるかもしれない。「個別の問題は個別の問題として慎重に判断していきたい」と、うまい言い回しをしている。
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平岡秀夫法相 死刑執行について「個別の問題は個別の問題として慎重に判断していきたい」2011-12-14 | 死刑/重刑/生命犯 問題
 死刑執行、慎重に判断=「制度の勉強続けたい」−平岡法相
 平岡秀夫法相は14日午後、山口市で記者会見し、死刑制度について「従来私自身悩んできた問題」とした上で、「(法務省内に設置した死刑制度に関する)勉強会で勉強を続けていきたい」と強調した。勉強会が続いている間の死刑執行については「個別の問題は個別の問題として慎重に判断していきたい」と述べるにとどめた。 2010年7月に死刑が執行されて以降、死刑は執行されておらず、11年に死刑執行がなければ、1992年以来19年ぶりとなる。(時事通信2011/12/14-20:56)
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日弁連、死刑廃止で統一見解 オウム裁判終結で懸念2011-12-18 | 死刑/重刑/生命犯 問題
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小沢一郎氏裁判/国民の代表である政治家と「全面戦争する」と言う特捜=国民主権を認めない組織〈検察〉

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検察崩壊
田中良紹の「国会探検」

 検察審査会によって強制起訴された小沢一郎氏の裁判で、陸山会事件を担当した二人の検事が重大な証言を行なった。その証言を聞いて、検察組織をいったん解体して作り直さなければならないと痛感した。
 この裁判が終ったら、結論が有罪だろうが無罪だろうが、立法府は国政調査権に基いて検察組織を徹底調査し、民主主義国家にふさわしい捜査機関に作り変える必要がある。日本が民主主義国家たらんとすれば、それは立法府の当然の使命である。
 一昨年の3月に私は『予言が現実になった』というブログを書いた。小沢氏の大久保隆規公設第一秘書が西松建設事件で突然東京地検に逮捕されたからである。07年の参議院選挙に自民党が惨敗した時、私は「自民党は民主党の小沢代表をターゲットにスキャンダルを暴露するだろう」と予言した。それが私の知る自民党のやり方であり、それ以外に政権交代を阻止する手立てはないからである。その予言が現実になったのである。
 しかし大久保秘書の容疑は政治資金規正法の虚偽記載という形式犯で、しかも西松建設からの献金を実体のない政治団体からの献金と偽ったというものである。ところが政治団体には実体があり、検察の言いがかりに過ぎない。普通なら逮捕も考えられないし、起訴しても無罪の可能性がある。狙いは他にあると私は思った。
 それは小沢氏に代表を退くか、もしくは政界引退を促す検察の脅しである。大人しく言う事を聞けば秘書は起訴しない。しかし言う事を聞かなければ捜査を拡大し、必ず犯罪の証拠を握って見せるという脅しである。政権交代が確実な情勢なのにあなた一人が頑張ると民主党全体に迷惑をかけますよと検察は言っているのである。これに小沢氏がどう対応するかを私は注目した。すると小沢氏は痛烈に検察を批判し戦いを宣言した。
 恐らく検察は怒り心頭に達したに違いない。しかし追い込まれたのは検察である。いかにバカなメディアを煽り、バカな国会議員を煽っても、西松建設事件だけで小沢氏を政界から葬り去る事は出来ない。検察は有罪に出来る保証のない形式的な事件で大久保秘書を起訴せざるを得なくなった。
 その起訴を見届けてから小沢氏は鳩山由紀夫氏と代表を交代し、幹事長として選挙の采配を振るった。西松建設事件の影響は最小化され、日本で初の政権交代が実現した。これで検察はますます窮地に追い込まれた。何とか小沢氏と企業との関係を洗い出し、裏金を見つけ出さなければならない。必死の捜査が始まったのは政権交代の後である。
 ところが何も出てこない。出てきたのは嘘を言って前の福島県知事を逮捕させた水谷建設だけである。小沢氏側に1億円の裏金を渡したとの証言を得た。水谷建設は札付きの企業で、金を貰った政治家は政界にも地方自治体にもごろごろいる。水谷建設は叩けばいくらでもホコリが出る。だから検察がお目こぼしをすると言えば嘘八百を言ってでも検察に協力する。そんな企業しか見つからなかった時点で検察の負けなのだが、それでも叩けば何か出ると検察は考えた。
 そこで無理をして陸山会事件に着手する。これも容疑は政治資金規正法の虚偽記載である。小沢氏から一時立て替えてもらった4億円が記載されていないのを「裏金だからだ」と踏んで、「期ズレ」を虚偽記載として秘書3人を逮捕した。私にはこれも言いがかりに見えるが、秘書3人を叩けば何か出るだろうという「思い込み」捜査が始まった。
 それにしても検察は政権交代がかかる選挙直前に西松建設事件を摘発し、陸山会事件では現職の国会議員を通常国会の直前に逮捕した。かつて検察や警察を取材した経験のある私には信じられないやり方である。民主主義国家で最も尊重されなければならないのは国民の民意を問う選挙であり、国民の税金の使い道を議論する国会の審議である。捜査機関がそれに影響を与えるような事は決してやってはならない。それが民主主義国家の民主主義国家たる由縁である。その原理原則がいつの間にかこの国から消え失せていた。
 そこで『国民の敵』というブログを書いた。「思い込み」によって現職の国会議員を逮捕し、「ガセ情報」をマスコミに書かせ、国民生活に関わる予算審議を妨害した日本の検察は民主主義の原理を無視した「国民の敵」だと書いた。また起訴された石川知裕衆議院議員の辞職勧告決議案を提出した自民党、公明党、みんなの党は国民主権が何かを知らない哀れな政党だと書いた。
 結局、検察は裏金の存在を立証する事が出来ず、また政治資金規正法の虚偽記載についても小沢氏を起訴する事が出来なかった。完全敗北である。すると政治的に小沢氏を葬り去ろうとする連中が動き出した。検察審査会が小沢氏を強制起訴に持ち込んだのである。理由は検察が「シロ」としただけでは納得ができず、裁判所の判断も聞いてみたいというのだから呆れた。
 「11人の愚か者が1億3千万人の国民生活の足を引っ張る判断をした」とブログに書いた。政治を裁くという事の重さを知らない凡俗が日本を世界に類例のない『痴呆国家』にしようとしたのである。しかしこれは小沢氏を追い詰めるどころか検察を追い詰める事になる。検察は唯一起訴する権限を有するから権力を持っている。それが起訴できず、一般市民に起訴してもらうのでは自らの存立基盤を壊す。それに気づかず強制起訴に協力した検事がいたら相当におめでたい。「検察審査会の強制起訴は逆に検察を追い詰める事になる」と『オザワの罠』というブログに書いた。
 その時がやってきた。石川知裕衆議院議員を取り調べた田代政弘検事と大久保隆規氏を取り調べた前田恒彦元検事が証人として小沢裁判に出廷した。人間はどんなに本当の事を喋ろうとしても本能的に自分を守るものである。法廷の証言でも証拠がなければ嘘をつく可能性がある。だから二人とも自分の取り調べに間違いはないと証言したが、それを私は信用しない。
 その部分を除くとしかし二人は実に興味深い証言を行なった。田代検事は「合理的であれば調書に取り入れるが、合理的でない供述は入れない」と証言した。「合理的」とは検察のストーリーに合致した事を言う。つまり取調べとは真相を究明する事ではなく、検察のストーリーに都合の良い言質をつまむ事だと言ったのである。それなら取調べの意味はない。
 そして田代検事は昨年5月に石川議員の取調べを行った際、実際のやり取りとは異なる架空の話を捜査報告書に書き入れた事を認めた。その嘘の捜査報告書が検察審査会の強制起訴の議決に影響を与えた可能性がある。大阪地検の前田元検事による証拠改竄は事件になったが、同じような証拠改竄が東京地検でも行なわれていたのである。田代検事は「記憶が混同した」と弁解したが、前田元検事も当初は「意図的でなく誤ってやった」と弁解した。
 その前田元検事は、検察に忠実であろうとして検察から切り捨てられた立場だけに、陸山会事件の捜査に批判的だった。応援要請を受けて大阪地検から東京地検に来た時「これは特捜部と小沢との全面戦争だ」と言われたと言った。そして捜査は「虚偽記載」ではなく「裏献金」に主眼が置かれていたと言い、しかし現場は厭戦ムードで捜査に積極的だったのは特捜部長と主任検事だけだったと明かしている。
 小沢氏の4億円を企業からの献金とするのを「妄想」と言い、事件の見立て、つまり検察が描いたストーリーが間違っていたと言った。だから「私なら小沢氏に無罪の判決を下す」と言うのである。水谷建設から石川議員への裏金も検察内部では「石川は受け取っていない」と言われていた事を明かした。
 ところが前田氏も「検察の想定と違う内容は証拠にしない」と言うのである。つまり検察に都合の悪い証拠は検察によって「隠滅」されるのがこの組織では常識なのである。これは立派な犯罪ではないか。
 国民の代表である政治家と「全面戦争する」と言うのは、国民主権を認めない組織がこの国に存在する事を意味している。その組織に都合の悪い証拠は隠滅される。これほどの感覚のズレを正すのに自己改革など到底無理な話である。行政権力を監視し、それを変える力は立法府にしかない。立法府がこの問題に真剣に取り組まなければ、日本は民主主義の名に値しない国の烙印を押される。
投稿者:田中良紹 日時:2011年12月18日23:48
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小沢一郎氏茶番裁判 特捜検察の恐るべきデタラメ/検察、警察はデッチ上げで犯罪、犯人を捏造している2011-12-17 | 政治/検察/裁判/小沢一郎/メディア
小沢一郎氏裁判 第10回公判〈後〉前田恒彦元検事「私が裁判官なら小沢さん無罪」「検察、証拠隠しあった」2011-12-17
小沢一郎氏裁判 第10回公判〈前〉/前田恒彦元検事「上司から『特捜部と小沢の全面戦争だ』と言われた」2011-12-16
小沢一郎氏裁判 第9回公判〈後〉/証人 石川知裕議員女性秘書が語った深夜に及ぶ違法な取調べの実態2011-12-16
小沢一郎氏裁判 第9回公判〈前〉/証人 田代政弘検事「特捜部は恐ろしいところだ」=報告書に虚偽の記事2011-12-15
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小沢氏起訴議決検察審査会=11人の愚か者が下衆(げす)の感覚によって国民生活の足を引っ張る判断をした2010-10-07 | 政治/検察/裁判/小沢一郎/メディア
「痴呆国家」田中良紹
Infoseek 内憂外患 2010年10月07日 09時00分

 11人の愚か者が1億3千万人の国民生活の足を引っ張る判断をした。政治を裁く事の重みを知らない下衆(げす)の感覚によって、この国の政治は混乱させられ、世界に類例のない「痴呆国家」になろうとしている。
 検察審査会の議決を「市民目線」と評価したり、「小沢氏は議員辞職すべきか」と質問したり、小沢氏を国会に証人喚問すべきだなどと主張する馬鹿がこの国にはいる。今回の容疑事実を知り、検察審査会の仕組みを知ったら、恐らく世界はその馬鹿馬鹿しさに驚くに違いない。しかしその愚かさに気付こうとしないのだから「痴呆」と言うしかない。
 やはりこの国は驚くべき未熟政治国家である。何故そうなるのか。私は国民が全く「政治教育」を施されていないからではないかと考える。子供の頃から教えられるのは、日本は民主主義で、三権分立であり、国会が国権の最高機関であるという建前の話だけである。現実の政治がどのように動いていて、建前と現実との間にどのような乖離があるかなど絶対に教えてもらえない。
 建前しか教えられていないから、日本人は民主主義を「素晴らしい制度」だと思い込み、その上で「反権力であることが民主主義」だとか、「庶民感覚を大事にする事が民主主義」だとか、とんでもない嘘を吹き込まれている。国民が投票で選び出した政治権力は国民と一体の筈であり、諸外国の謀略に打ち勝たなければならない政治家に庶民感覚を求めても意味がない事を知ろうとはしない。
 その庶民は、政治にとって最も大事な権力闘争を「汚れた行為」と捉え、物事を実現するために権力を集中させれば「反民主主義」と叫び、民主主義のかけらもない官主主義の国を民主主義国だと信じ込む。政治家を口を極めてののしるかと思えば、まるで芸能人を見るかのようにあがめ奉る。民主主義は衆愚政治と紙一重だが、この国では官主主義が国民を愚かにしている。
 英国のチャーチル元首相に言わせれば民主主義は「最悪の政治制度」であり、政治は人間の欲望がむき出しになる世界である。そういう事をこの国では決して教えない。学校は政治教育を忌避し、教える教師もいない。国民に主権を発揮されては困る官僚にとって、政治教育がない事は何よりである。国民が目覚めて本当の民主主義をうち立てられては困るからだ。
 かつて私が提携したアメリカの議会中継専門放送局C−SPANは、国民に対する政治教育を目的に設立された。議会の審議を放送する一方で、選挙権のない若者に対する政治教育に力を入れていた。議会審議のビデオテープを学校教育に使うように全米の大学と高校に働きかけている。
 私は実際に議会審議のテープを授業に使用しているイリノイ州の大学を取材したことがある。教授が選んだ審議の映像を学生達に見せ、それを巡って学生が討論を行うという形の授業だった。現実の政治家の議論が教材になっていた。そしてC−SPANは中継車で全米の大学と高校を回り、学生達の政治討論番組を生中継している。
 ある時、テレビを見ていたレーガン大統領が高校生の討論に電話で飛び入り参加した。それが全米で話題となり、私は素直に「素敵な話だ」と思った。日本にもC−SPANのようなテレビ局を作りたいと思った。勤務していたテレビ局を辞め、開局の準備を進めながら、まずは文部省に協力を求めに行った。
 アメリカの例を説明しながら、日本で「国会テレビ」を開局したら、高校と大学だけでなく義務教育の中学校にも普及させたいと言った。すると役人から「社会党と共産党の発言しか見せない先生がいるから」とすげなく協力を断られた。
 アメリカの大学の卒業式では決まって政治家が卒業生へのはなむけのスピーチをする。その時に党派が問題になることなどない。しかし日本では大学が政治家にスピーチを頼む事は滅多にない。そもそも政治家は国民の投票で選ばれた国民の代表である。にもかかわらず政治家は反教育的存在と見なされる。こうした事に私は長い官僚主導国家の岩盤の存在を感ずる。
 そういう国の国民だから、検察審査会の議決で政治を裁く事の重みなど感じない。愚かな11人は極めて非論理的で情緒的な判断を下した。公開の場の裁判で白黒をはっきりさせて欲しいなどという「願望」で政治を混乱させている。裁判で白になっても時間は戻らない。政治を混乱させた罪はどうなるのか、国家的損失をどう償う事が出来るのか。これは日本の司法の一大汚点となるのではないか。
 検察審査会制度はGHQの占領政策の一環である。特捜部と相前後して生まれた。独立したにもかかわらず、日本はいつまでアメリカの占領政策を引きずるのか。いつになったら自前の国造りが出来るのか。とても不思議で仕方がない。
 しかもその検察審査会が強制起訴まで出来るようになったのは、政権交代の総選挙を前に、それを阻止しようと思ったのか、東京地検特捜部が西松建設事件を、大阪地検特捜部が郵便不正事件の捜査に着手して民主党の代表と副代表をターゲットにした「でっち上げ」捜査を行っていた矢先である。「でっち上げ」が上手くいかなくなっても、素人の国民をちょっと洗脳すれば強制起訴に持ち込めると考えたとしても不思議でない。
 目的は以前から何度も書いてきたように小沢氏を有罪にする事ではない。民主党を分断することである。だから鳩山由紀夫氏は白で小沢氏は黒の流れになる。私の知る法曹関係者はみな「鳩山が白なら小沢はもっと白だ」と言う。一連の捜査は刑事目的ではなく政治目的なのである。小沢氏が無罪になっても十分に目的は達せられる。しかしこんな馬鹿をやっている暇は今の日本政治にはない筈だ。まさに「痴呆」と言うしかない。
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小沢一郎裁判=「官僚支配に従う者」と「国民主権を打ち立てようとする者」とを見分けるリトマス紙である2011-10-10 | 政治/検察/裁判/小沢一郎/メディア
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小沢一郎氏 初公判 全発言/『誰が小沢一郎を殺すのか?』2011-10-06 | 政治/検察/メディア/小沢一郎
 〈小沢元代表 初公判の全発言〉
 今、指定弁護士が話されたような事実はありません。裁判長のお許しをいただき、ただいまの指定弁護士の主張に対し、私の主張を申し上げます。
 指定弁護士の主張は、検察の不当・違法な捜査で得られた供述調書を唯一の根拠にした検察審査会の誤った判断に基づくに過ぎず、この裁判は直ちに打ち切るべきです。
 百歩譲って裁判を続けるにしても私が罪に問われる理由はまったくありません。なぜなら、本件では間違った記載をした事実はなく、政治資金規正法の言う虚偽記載には当たりませんし、ましてや私が虚偽記載について共謀したことは断じてないからです。
 また本件の捜査段階における検察の対応は、主権者である国民から何の負託も受けていない一捜査機関が、特定の意図により国家権力を乱用し、議会制民主主義を踏みにじったという意味において、日本憲政史上の一大汚点として後世に残るものであります。以下にその理由を申し上げます。
 そもそも政治資金規正法は、収支報告書に間違いがあったり、不適切な記載があった場合、みずから発見したものであれ、マスコミ、他党など第三者から指摘されたものであれ、その政治団体の会計責任者が総務省あるいは都道府県選管に自主申告して収支報告書を訂正することが大原則であります。
 贈収賄、脱税、横領など実質的犯罪を伴わないものについて、検察や警察が報告の間違いや不適切な記載を理由に捜査すると、議会制民主主義を担保する自由な政治活動を阻害する可能性があり、ひいては国民の主権を侵害するおそれがある。
 だからこそ政治資金規正法が制定されて以来、何百件、何千件と数え切れないほどの報告間違いや不適切な記載があっても実質的犯罪を伴わないものは検察の言う単純な虚偽記載も含めて例外なく、すべて収支報告書を訂正することで処理されてきました。陸山会の事件が立件されたあとも、今もそのような処理で済まされています。
 それにも関わらず唯一私と私の資金管理団体、政治団体、政党支部だけがおととし3月以来1年余りにわたり、実質的犯罪を犯したという証拠は何もないのに東京地検特捜部によって強制捜査を受けたのであります。もちろん、私は収賄、脱税、背任、横領などの実質的犯罪はまったく行っていません。
 なぜ私のケースだけが単純な虚偽記載の疑いで何の説明もなく、突然現行法の精神と原則を無視して強制捜査を受けなければならないのか。これではとうてい公正で厳正な法の執行とは言えません。したがってこの事例においては、少なくとも実質的犯罪はないと判明した時点で捜査を終結すべきだったと思います。
 それなのに、おととし春の西松事件による強制捜査、昨年初めの陸山会事件による強制捜査など、延々と捜査を続けたのは、明らかに常軌を逸しています。
 この捜査はまさに検察という国家権力機関が政治家・小沢一郎個人を標的に行ったものとしか考えようがありません。私を政治的・社会的に抹殺するのが目的だったと推認できますが、明確な犯罪事実、その根拠が何もないにもかかわらず、特定の政治家を対象に強制捜査を行ったことは、明白な国家権力の乱用であり、民主主義国家、法治国家では到底許されない暴力行為であります。
 オランダ人ジャーナリスト、カレル・ヴァン・ウォルフレン氏は、近著「誰が小沢一郎を殺すのか?」で「小沢一郎に対する強力かつ長期的なキャラクター・アサシネーション、『人物破壊』は、政治的に類を見ない」と言っています。「人物破壊」とは、その人物の評価を徹底的に破壊することで、表舞台から永久に抹殺する社会的暗殺であり、生命を奪う殺人以上に残虐な暴力だと思います。
 それ以上に、本件で特に許せないのは、国民から何も負託されていない検察・法務官僚が土足で議会制民主主義を踏みにじり、それを破壊し、公然と国民の主権を冒とく、侵害したことであります。
 おととしの総選挙の直前に、証拠もないのに検察当局は捜査・逮捕権という国家権力を乱用して、私を狙って強制捜査を開始したのであります。
 衆議院総選挙は、国民がみずから主権を行使して、直接、政権を選択することのできる唯一の機会にほかなりません。とりわけ、2年前の総選挙は、各種世論調査でも戦後半世紀ぶりの本格的な政権交代が十分に予想された特別なものでありました。そのようなときに、総選挙の行方を左右しかねない権力の行使が許されるとするならば、日本はもはや民主主義国家とは言えません。
 議会制民主主義とは、主権者である国民に選ばれた代表者たる政治家が自由な意思により、その良心と良識に基づいて、国民の負託に応え、国民に奉仕する政治であります。国家権力介入を恐れて、常に官憲の鼻息をうかがわなければならない政治は、もはや民主主義ではありません。
 日本は戦前、行政官僚、軍部官僚検察・警察官僚が結託し、財界、マスコミを巻き込んで、国家権力を乱用し、政党政治を破壊しました。その結果は、無謀な戦争への突入と悲惨な敗戦という悲劇でした。昭和史の教訓を忘れて今のような権力の乱用を許すならば、日本は必ず同様の過ちを繰り返すに違いありません。
 東日本大震災からの復興はいまだに本格化できず、東京電力福島第一原子力発電所の事故は安全な収束への目途すら立たず、加えて欧米の金融・財政危機による世界恐慌の恐れが目前に迫ってきている時に、これ以上政治の混迷が深まれば、国民の不安と不満が遠からず爆発して偏狭なナショナリズムやテロリズムが台頭し、社会の混乱は一層深まり、日本の将来は暗たんたるものになってしまいます。そうした悲劇を回避するためには、まず国家権力の乱用を止め、政党政治への国民の信頼を取り戻し、真の民主主義、議会制民主主義を確立する以外に方法はありません。まだ間に合う、私はそう思います。
 裁判長はじめ裁判官の皆様の見識あるご判断をお願い申し上げ私の陳述を終えます。ありがとうございました。 ◆小沢氏強制起訴 水谷元会長告白「1億円裏ガネ=ワケ分かりません。石川、大久保なんて会ったこともない」2011-02-02 | 政治/検察/メディア/小沢一郎
 小沢強制起訴 「裏ガネ授受」疑惑のキーマン水谷建設元会長 激白
日刊ゲンダイ2011/2/2
 小沢疑惑のカギを握る「キーマン」が本紙に“衝撃”告白だ。その人物とは、7日に初公判が開かれる「陸山会」をめぐる政治資金規正法違反事件で、衆議院議員石川知裕被告や大久保隆規被告らに「裏ガネ1億円を渡したと証言した」と報じられた水谷功氏(65)である。
 「水谷建設側が04年10月と05年春の2回にわたって、小沢秘書に5000万円ずつ、計1億円を渡した。岩手の胆沢ダム関連工事を受注した謝礼だった」
 09年11月から、大新聞テレビで一斉報道が始まった「水谷建設裏ガネ疑惑」。大マスコミは「検リーク」に乗っかり、以来、このカネが「陸山会が購入した世田谷の土地資金の原資になった」と決め付け、「小沢悪者キャンペーン」を展開してきた。
 「脱税で三重刑務所に服役していた水谷元会長に、東京地検特捜部の検事が会いに行ったのは、09年夏ごろ。当時、西松建設をめぐるダミー団体献金事件で、小沢氏の第1秘書の大久保被告を逮捕・起訴したが、検察側のシナリオ通りに裁判が進まず、困り果て、すがったのが水谷元会長だったといわれています」(司法ジャーナリスト)
 「水谷証言」が本当なら、小沢氏は即、逮捕・起訴されていただろう。ところが、検察は1年以上、捜査したが何の証拠も見つけられず、結局は不起訴。
 現在、刑を終えて出所した水谷元会長を直撃した。
(1億円裏ガネ証言は)ワケ分かりません
記者「裏ガネ疑惑、証言内容は本当だったのか」
水谷氏「分かんないよ。知らないよ」
石川(議員)の『イ』の字も知りません 大久保(秘書)なんて会ったこともない
記者「04年と05年の2回、石川、大久保両被告に水谷建設がカネを渡したと報じられています」
水谷氏「石川、大久保なんて会ったこともない。石川被告の顔は報道でクローズアップされて知っているが、それまで石川のイの字も知らなかった」
記者「大新聞テレビでは、これまで、水谷氏が検事に『カネを渡したことを証言』などと報じられてきた。これは誤報ということですか」
水谷氏「何がどうなのか、ワケが分かんないよ」
記者「新聞テレビの記者は、証言の裏付け取材に来なかったのですか」
水谷氏「何人かは来たけど・・・。『こんな話、聞いたことがありますか』って言うから、『聞いたことぐらいはあるな』とは答えたたが・・・」
記者「“証言”の否定会見はしないのですか」
水谷氏「どうでもエエ。私には分からん。あんた方は私のことを勝手に書いて・・・」
 いやはや、仰天発言ではないか。検察が書いたシナリオに水谷氏はうなづいただけなのか。
 検察はなぜか水谷氏を証人申請していない。「裏ガネ疑惑」をどう立証するつもりなのか。もういい加減にした方がいい。
...
〈来栖の独白〉2011-02-02
 水谷氏の「証言」が証言に価しないことは、佐藤栄佐久氏の事件で立証済みだ。小沢氏強制起訴の際の記者会見であるが、指定弁護士の皆さんの表情は弱々しく精彩を欠いていた。およそ正義感の発露として人(とりわけ本件の場合、ただの「人」ではない)を起訴するという意欲も覇気も感じられない。公判は維持できるのか。明らかに無罪と分かっている事件を検察審査会が起訴相当と議決した場合、どうすべきなのか。問題は、そこだ。小沢さんから無為に時間を奪うことは、もうこの辺で止めてほしい。やめるべきだ。
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陸山会事件公判 水谷建設の元運転手証言「川村尚元社長を裏金5千万円受渡し現場へ送った記憶、ない」2011-05-24
陸山会事件公判「手提げ紙袋を新幹線で東京支店に運んだ。中身は見ていない」/リアリティ欠くシナリオ2011-05-16
陸山会事件 日本発破技研山本潤社長「検事からヒントを貰って記憶が蘇った」 杜撰、粗末なシナリオ2011-05-11
ロッキード事件に酷似 陸山会事件公判 (川村尚)証人が具体的に述べれば述べるほど低下するリアリティ2011-04-28
「陸山会事件」 水谷建設川村尚元社長「小沢氏側へ1億円」証言の背後にある事情2011-04-27 | 政治/検察/メディア/小沢一郎
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東京地裁、石川知裕被告弁護団の申請に基づき水谷建設元会長を証人採用2011-02-03
マスコミは、なぜ小沢が怖いのか/日本の殆どのマスコミが、手段を選ばず「小沢抹殺」で狂奔している光景2011-02-02
小沢氏強制起訴/「4億円が汚い金というのは検察が勝手に言ってるだけ。証拠がない」と担当検事2011-02-02
国民は騙されている 小沢強制起訴の虚構 ?どこを探しても出てこない虚偽記載の事実2011-01-20
国民は騙されている 小沢「強制起訴」の虚構 ?1億円ウラ献金を証言した水谷建設元会長のいかがわしさ2011-01-2

「金総書記死去」/ドルが急騰し円安/韓国・アジア市場 売りが拡大

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金総書記死去、市場に影響 ドルが急騰し円安 東京株、韓国株とも一時大幅下落
SankeiBiz 2011.12.19 13:11
 正午の円相場は1ドル77円87−92銭だったが、午後0時15分すぎからドルが急騰し円が下落。20分すぎに一時1ドル=78円15銭をつけ、30銭近く円が下げた。有事に見られるドル買いの様相が見られた。しかし、この動きは10分近くで静まり、午後0時12時46分には78円05銭まで円が戻している。また韓国の通貨ウォンが対ドルで急落している。
 東京株式市場
 日経平均株価の午前の取引は8331円で終えていたが、金正日総書記死去の一報が入った約30分後、午後12時半に午後の取引が始まると、一気に8300円台を割り込んだ。一時129円安の8272円まで下げた。8200円台は取引時間中としては先月28日以来、約3週間ぶり。その後は徐々に戻す展開となっている。
 韓国、アジア市場
 金正日・北朝鮮総書記の死亡発表を受けて、韓国ソウルの総合株価指数(KOSPI)は、正午すぎに一気に急落。1800付近から一時1750.60まで50ポイント近く下げた。前週末比では89.36ポイント下げて下落幅は一時4%を超えた。
 朝鮮半島情勢に対する不確定要素が増えたとの見方から、売りが拡大したとみられる。
 他のアジア主要市場も正午前から下げ幅を拡大し、中国・香港のハンセン取引所も2%超下落した。

木曽川長良川リンチ殺人事件/元少年1人が裁判のやり直しを求め、名古屋高裁が受理

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連続リンチ事件、リーダー格の死刑囚が再審請求 
中日新聞2011年12月19日 21時37分
 愛知、岐阜、大阪の3府県で1994年、男性4人が相次ぎ殺害された連続リンチ殺人事件で、強盗殺人罪などに問われ、死刑判決が確定した元少年3人のうち、リーダー格で愛知県一宮市生まれの死刑囚(36)が、名古屋高裁に再審請求書を提出したことが分かった。提出は16日付。リンチ事件での再審請求は初めて。
 弁護側によると、再審請求書でリーダー格の死刑囚は、精神科医の鑑定内容を新証拠とし、各犯行時、刑事責任能力が問えない心神喪失状態だったと主張しているという。
 関係者によると、ほかに死刑が確定した大阪府松原市生まれの死刑囚(36)は、一、二審で事実認定の判断が分かれた点などに関し来年、新証拠を添えて再審請求する方針。もう1人の大阪市西成区生まれの死刑囚(36)も再審請求の準備を進めているという。
 一審名古屋地裁は、リーダー格の死刑囚に死刑、残り2人に無期懲役の判決を言い渡した。二審名古屋高裁は「3人の役割に差異はない」と判断し、3人全員に死刑判決を言い渡した。最高裁第1小法廷は3月10日、3人の上告を棄却。少年事件では初めて一度に複数の死刑が確定した。

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「木曽川長良川連続リンチ殺人事件」実名報道・・・2011-05-09 |
木曽川・長良川リンチ殺人事件「少年法が求める配慮の必要性から、中日新聞は3被告を匿名で報道します」2011-03-11
「木曽川・長良川リンチ殺人事件」実名報道=更生を全否定 越えてはならない一線を越えた2011-03-10 |
「木曽川・長良川連続リンチ殺人事件」 被告と面会続ける遺族/極刑求める遺族2011-03-09 |
木曽川長良川リンチ殺人事件


財務省の大物OB田村義雄・駐クロアチア大使の“国を代表しての破廉恥行為”セクハラ事件〈5〉

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野田総理 側近が正月バラエティ番組出演打診するも断られる
NEWSポストセブン2011.12.20 07:00
ジャーナリスト・武冨薫氏の司会&レポートによる本誌伝統企画「覆面官僚座談会」。今回は週刊ポストがスクープした駐クロアチア大使のセクハラ問題から議論が始まった。
 * * *
 日本ほど統治しやすい国はない――。政治家も官僚も、そうたかをくくっている様子がありありと見える。
 野田政権は、復興増税を名目にした所得税と住民税の引き上げに続いて、消費税率のアップ、さらに地球温暖化対策税(環境税)まで創設すると言い出した。世界にも類がない<同時多発増税>を国民に強いようとしている。物言わぬ国民はそれを受け入れるだろうと考えているのだ。
 国民のガバナビリティ(被統治能力=従順さ)が高いと政治家や官僚は堕落するといわれる。この国の政治のだらしなさも、官僚の独善も、国民は従順だと思い込んでいることに原因があるのかもしれない。
 田村義雄・駐クロアチア大使(64)のセクハラ事件――。
 財務省の大物OBである田村氏の“国を代表しての破廉恥行為”は、野田政権下で「官僚主導」を復活させ、政治家を操って思い通りに大増税に臨もうとする財務官僚たちに「驕り」と「隙」が生じていることをはっきり物語る。
 今回の座談会は、前号で事件を聞かされた官僚たちが凍り付いた場面から始めなければならない。
 「薄々は知っていたんだろう」――経済産業省中堅のB氏が財務省中堅A氏にそう水を向けた。
 「事実だとすれば、はっきりクビを切った方がいい」――A氏がいつになく厳しい口調でそう言い切った。
 「同感だ。Aさんの口からはいいにくいだろうが、勝栄二郎・事務次官以下、財務省の後輩たちがどんなに苦労して消費税の大改革をやろうとしているか、田村さんも知らないはずがない。この年末年始は与党の議論集約、通常国会への法案提出という正念場を迎えるだけに、不祥事発覚は躓きの石になりかねない。田村さんの“本籍地”は今も財務省だから、おそらく財務、外務両省の官房長が話し合って、大使退任後は財務省が再就職の面倒を見ることで話はついているはずだが、本音で庇いたいと思っている官僚はいないだろう」
 そう語ったのは総務省ベテラン官僚C氏である。
 ――野田内閣は大使を不問にしようとしているし、国会も大メディアも事実解明に及び腰だ。本当は「責任を問われない官僚」の特権復活を喜んでいるんでしょう。
 「外務省が傷口を広げないように事態を収拾したいのはわからないではないが、省内の不祥事を隠す手法は外交では通用しない。クロアチア政府も事件を知っているなら国民の手前、黙ってはいられなくなる。これは政治の領域。最初に総理や大臣の判断で白黒つけておかないと、外交的に波紋が広がってからでは手遅れになる。国民やメディアも海外世論には敏感に動かされる。週刊ポストは霞が関の痛いところをよく知ってるな(苦笑)」(総務C)
 「官邸にはそんな余裕はないでしょう。ついに世論調査で不支持率が支持率を上回ったことに深刻になっている。総理側近が、ある民放キー局に『正月のバラエティ番組に総理をサプライズ出演させてくれないか』と打診して断わられたそうだ。政策を地道に実行するといいながら、支持率回復のためにバラエティ番組に頼る発想はセコすぎる。とてもコトを荒立てて大使の処分など決断できるはずがない」(経産B)
 ※週刊ポスト2011年12月23日号

田村義雄・駐クロアチア大使 現地大使館職員へのセクハラ疑惑/外務省は財務省に“遠慮”して不問に〈1〉2011-12-20 | 政治
財務省出身田村義雄・駐クロアチア大使「セクハラ疑惑」=クビにできない霞が関の悪しき慣習〈2〉2011-12-20 | 政治
田村義雄・駐クロアチア大使 在任1年7か月での“解任”はセクハラ事件を闇から闇に葬るため〈3〉2011-12-20 | 政治
田村義雄・クロアチア大使セクハラ事件 外務省の“恫喝”に沈黙した大新聞/〜「小沢vs記者クラブ」〈4〉2011-12-20 | 政治
財務省の大物OB田村義雄・駐クロアチア大使の“国を代表しての破廉恥行為”セクハラ事件〈5〉2011-12-20 | 政治

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「霞が関の大魔王」勝栄二郎危険極まりなし/内閣に「大増税」へと舵を切らせている 2011-10-05 | 政治 
事業仕分けで凍結が決まった公務員宿舎建設 野田首相「現地視察し、私が判断したい」2011-09-30 | 政治
財務省の天皇 勝栄二郎事務次官と香川俊介官房長には逆らえない/野田政権は直勝内閣/メディア工作部隊2011-10-02 | 政治
  財務官僚たちの影響下にあるのは民主党政権だけではない。彼らは政・官・司・財・報に幅広く支配の手を伸ばしている
「増税」「宿舎建設」官僚のやりたい放題を許していいのか/勝栄二郎は小沢一郎を抑えつけ、好き放題やった2011-09-29 | 政治 
小沢一郎を落ち目と見切った登石裁判長/財務省首領 勝栄二郎が、内閣に「大増税」へと舵を切らせている2011-09-30 | 政治/検察/メディア/小沢一郎

田村義雄・クロアチア大使セクハラ事件 外務省の“恫喝”に沈黙した大新聞/〜「小沢vs記者クラブ」〈4〉

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クロアチア大使セクハラ 外務省の“恫喝”に大新聞沈黙した
NEWSポストセブン2011.12.14 16:00
 本誌前号は外務省によって握り潰された「駐クロアチア大使のセクハラ事件」を世に問うた。するとどうか。思わぬ“悪の秘密結社”があぶり出されてきたのである。「国家代表」の肩書きで犯した重大問題を「無かったこと」にしたのは、当事者の官僚たちばかりでなく、与野党政治家、そして記者クラブに巣食う大マスコミであった。
 報道の本分を忘れているのは政府や国会を監視すべき大メディアである。
 もともと、田村義雄・駐クロアチア大使のセクハラ問題はこの秋頃から外務省内で噂になっており、新聞記者の一部は、独自に裏付け取材にも動いていたようだ。
 しかし、本誌報道後、大新聞は一川保夫・防衛相の問責問題は連日報じているのに、田村大使のセクハラ事件については黙殺を決め込んでいる。
 外務省の“毒まんじゅう”を喰っているからだ。
 本誌が11月末に現地で田村大使に取材したことが本省に伝わると、現地大使館と本省で情報源探しが始まり、同時に木寺昌人・官房長を中心にマスコミ対策が練られたという。
 田村大使に不快感を示す外務省中堅官僚の話である。
 「週刊ポストが監察査察官の調査内容まで把握していることがわかると、官房は他のメディアに広がらないように手を打った。職員が親しい各社のキャップやデスククラスに、『書いたらわかっているでしょうね』と大使問題を報じた社を“出入り禁止にする”とほのめかしたようだ。それで新聞は書けなくなった。上層部も“後追い報道をうまく封じ込めた”と少し安堵しているようだ」(報道への圧力について、玄葉大臣は本誌に「聞いていない」と答えた)
 外務省記者クラブは通称「霞クラブ」と呼ばれるが、新聞社やテレビの記者は外務省に逆らえない体質がある。記者が首相や外相の外遊に同行取材する際、外務官僚から機密費で飲食の“接待”をまじえてレクチャーを受けたり、外務省に「領収証」を出してもらって出張経費を精算したりする関係にあるからだ。
 首相官邸や外務省詰めを経験したベテラン記者が明かす。
 「首相の外遊の場合は同行記者にも相手国から土産が出る。中東の石油産出国では高級時計が全員に配られた。最近は経費削減で社から出る出張費も世知辛くなったが、以前は外務省に頼んで領収証を多めに切ってもらい、それで夜の遊び代やお土産代を捻出することはみんなやっていた」
 そうして外務省とのズブズブの関係を築いてきたから、出入り禁止がどうのという以前に、役人ににらまれたら一歩も動けない腰抜けのカエル同然の存在なのである。
 大メディアでもまだ外務省経験が浅い若手記者は、「ポストの記事で初めて知った。大臣や副大臣のぶらさがり会見でこの件を質問しなくていいのかと思ったが、上司からは何の指示も出なかった」と、さすがに報道規制に違和感を持っているが、思い切って質問する度胸はない。
 ※週刊ポスト2011年12月23日号

田村義雄・駐クロアチア大使 現地大使館職員へのセクハラ疑惑/外務省は財務省に“遠慮”して不問に〈1〉2011-12-20 | 政治
財務省出身田村義雄・駐クロアチア大使「セクハラ疑惑」=クビにできない霞が関の悪しき慣習〈2〉2011-12-20 | 政治
田村義雄・駐クロアチア大使 在任1年7か月での“解任”はセクハラ事件を闇から闇に葬るため〈3〉2011-12-20 | 政治
田村義雄・クロアチア大使セクハラ事件 外務省の“恫喝”に沈黙した大新聞/〜「小沢vs記者クラブ」〈4〉2011-12-20 | 政治
財務省の大物OB田村義雄・駐クロアチア大使の“国を代表しての破廉恥行為”セクハラ事件〈5〉2011-12-20 | 政治
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千葉景子法務大臣は検察を適切に指導せよ/特捜検察と小沢一郎2010-01-18 | 政治/検察/裁判/小沢一郎/メディア 
  佐藤優の眼光紙背:第66回 2010年01月12日11時00分
 民主党の小沢一郎幹事長と「鬼の特捜」(東京地方検察庁特別捜査部)の戦争が山場を迎えている。1月18日に国会が始まる。そうなると国会議員は、当該国会議員が所属する院の同意なくして逮捕できなくなる。現在、小沢氏の秘書をつとめた石川知裕衆議院議員(民主党、北海道11区)の取り扱いが最大の焦点になっている。特捜としては、石川氏を突破口にして、小沢幹事長につながる事件を念力でも眼力でも摘発したいと考えている。そこで、石川氏に関するさまざまなリークがなされ、国民の怒りをかき立て、捜査がやりやすい環境を一部の検察官僚がつくりだそうとしているのだと筆者は見ている。現在、民主党が過半数をはるかに超える議席を擁する衆議院の状況を考えると、石川氏の逮捕許諾を衆議院が認める可能性はない。従って、18日までに石川氏の身柄が拘束されるか否かが最大の焦点になる。現時点で、石川氏は在宅起訴されるという報道が新聞紙上で踊っているが、筆者は国会が始まるまでならば、何があってもおかしくないと見ている。
 本件は、基本的に「国家を支配するのは誰か」という問題をめぐり官僚と民主党の間で展開されている権力闘争だ。国民とは関係のない「彼らの喧嘩」である(本件に関する筆者の見方については2009年11月24日佐藤優の眼光紙背第63回「特捜検察と小沢一郎」に記したので参照願いたい)。この戦いに検察が勝利すると、国家を支配するのは、自民党政権時代と同じく官僚であるということが確認される。当然、世の中は暗くなる。
 ここで、小沢幹事長が勝利するとどうなるか? 小沢チルドレンをはじめとして、民主党の衆議院議員には、要領だけよく、権力欲が強い偏差値秀才がたくさんいる。こういった連中が「俺たちが国家の支配者だ」と威張り散らす。それに検察が擦り寄る。検察は組織だ。仮に今回、特捜が小沢幹事長に敗れても、この事案に関与した検察官をパージし、新体制の特捜をつくる。その特捜が、小沢民主党の意向を忖度しながら、あらたな権力基盤をつくろうとする。この場合も世の中は暗くなる。
 もっとも小沢氏や、同氏と同じ政治理念をもつ政治家を選挙で落選させることはできる。しかし、検察官を含め官僚は十全な身分保障をされているので、国民の意思でこれらの官僚を排除することはできない。それだから、検察・小沢戦争では、小沢氏が勝利した方が、「より小さな悪」なのだと思う。小沢氏が勝利した場合、国民による民主党に対する監視を強め、民主党と検察が癒着することを防ぐ必要がある。
 そこで重要になるのがマスメディアの機能だ。石川氏に関する疑惑情報が新聞、雑誌にあふれている。逮捕されたわけでもないのに、石川氏は犯罪者扱いされ、政治家としての権威も人間としての信用も失墜している。メディアスクラムが組まれてバッシングを受ける辛さは、それを受けた者にしかわからない。それだから、筆者は石川氏と緊密に連絡をとるようにしている。メディアによるバッシングで、石川氏が死に追い込まれることがないようにというのが、筆者の率直な思いである。
 ところで、昨年12月8日の閣議で、興味深い答弁書が了承された。鈴木宗男衆議院議員(外務委員長)が石川知裕衆議院議員(民主党)に関する捜査情報を検察がリーク(漏洩)しているのでないかと質したのに対し、この答弁書において鳩山由紀夫首相の名で、「検察当局においては、従来から、捜査上の秘密の保持について格別の配慮を払ってきたものであり、捜査情報や捜査方針を外部に漏らすことはないものと承知している」という回答がなされた。
 閣議了解を得た答弁書の内容はきわめて思い。正義の味方である検察が、嘘をつくことはないという前提で考えると、連日、新聞をにぎわしている石川氏や小沢幹事長に関する疑惑はどのような情報源に基づくのだろうか。新聞を見ると情報源は「関係者」となっている。検察がリークしていないならば、もう一方の関係者は石川氏しかいない。そこで筆者は石川氏に電話をして「あなたかあなたの弁護士がリークをしているのか」と尋ねてみた。「そんなこと絶対にありません。それにしても僕が検事に供述した内容がそのまま引用されている記事もあるんです不思議で仕方ありません」というのが石川氏の答えだった。
 マスメディアは、リークを批判することはできない。なぜなら、リークよって、国家機関の内部情報をとることが、記者の職業的良心にかなっているからだ。問題は、リークが当局の思惑に基づいてなされ、「国民の知る権利」に奉仕していないことだ。鈴木宗男氏に関しても、北方領土からみで総合商社から賄賂をとったというリークにもとづく報道がなされ、「北方領土を食い物にする腐敗政治家を叩き潰せ」という世論が起きた。しかし、鈴木氏は、北方領土やロシアとからむ事案は摘発されなかった。国民は不正確な情報で苛立ちを強め、北方領土交渉は停滞した。リークによる過熱報道で国益(国民益と国家益の双方)が失われた。
 リークによる国民益と国家益に毀損に対抗する術はあるのだろうか? もちろんある。検察は、記者が独自取材で検察に都合が悪いニュースを報じると、その記者が所属するメディアを「出入り禁止」にして、情報を与えない。この「出入り禁止」に法的根拠はない。「出入り禁止」に怯えるから、司法記者の報道が検察寄りになってしまう。
 この状況は、千葉景子法務大臣が腹を括ればすぐに改善できる。法務大臣として、検察に対して、「出入り禁止」措置をやめ、特定の報道機関を排除してはならないと適切に指導すればよいだけのことだ。そうすれば、千葉法相に対するマスメディアの評価も飛躍的に向上する。(2010年1月10日脱稿)

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「救急で小沢一郎氏が病院へ搬送」のニュースと田中角栄氏/ 小沢一郎氏vs記者クラブメディアの戦い2011-10-07 | 政治/検察/裁判/小沢一郎/メディア 
もはや関係修復は不可能 小沢一郎氏vs記者クラブメディアの戦い
Diamond online 週刊・上杉隆【第195回】2011年10月7日
・この事件は小沢一郎という政治家と司法、霞ヶ関、マスコミとの戦いである
 陸山会事件における小沢一郎氏本人の裁判がようやく始まった。
 きょう、東京地裁では初公判が行われた。これによって、2009年3月の大久保元秘書の逮捕からスタートした政治資金規正法違反事件の本番がようやく訪れたということになる。
 なにしろ長かった。その一年半余りの間、元秘書の逮捕、代表辞任、政権交代、検察審査会、党員資格停止、さらに3人の元秘書の有罪判決などがあり、きょうに至っているのだ。
 これまで自由報道協会の記者会見以外ではほとんど語ることのなかった小沢氏だったが、初公判を受けて、早速、今夕、議員会館で簡単な記者会見に臨んだ。
 筆者自身も、この事件については2009年3月3日、つまり、事件当日から追っている。
 端的にいえば、この事件は、小沢一郎という政治家と、現在の日本の権力システム――司法(裁判所)、霞ヶ関(検察)、そしてマスコミ(記者クラブ)――との戦いに他ならない。
 今回もまた、世間にほとんど知られていないマスコミとの戦いが繰り広げられている。
 そこで、筆者自身の取材を振り返る意味でも、また、小沢氏のマスコミとの戦いを検証する意味でも、きょうの会見を振り返ってみようと思う。
 なお、筆者も会見には出席したが、小沢氏の発言の引用については、より公平性を期すため、すべて産経新聞のウェブ版に拠った。さらに、文意のまとまったパラグラフについては省略をしないことにする。そのため、引用部分が長くなるがそこはご海容いただきたい。
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/111006/stt11100618560018-n1.htm
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/111006/stt11100619050019-n1.htm
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/111006/stt11100619350020-n1.htm
〈えーそれでは私から最初に申し上げさせていただきます。私が主張したい内容は、本日の法廷で裁判長の許可をいただいて意見を申し述べましたので、そのことにほとんど含まれておりますので、ここで改めて私の意見の陳述をもう1度繰り返させていただきます。あん?そうかな。立った方がいいのかな。座った方がいいのか。立った方がいい。よしよし。今日ぐらいサービスしよう。大丈夫。
 裁判長のお許しをいただき、ただいまの指定弁護士の起訴状に対し、私の見解を申し上げます。指定弁護士の主張は、検察の不当・違法の捜査で得られた供述調書を唯一の根拠にした検察審査会の誤った判断に基づくものに過ぎず、この裁判はただちに打ち切るべきであると考えます。百歩譲って裁判を続けるにしても、私が罪に問われる理由はまったくありません。本件では政治資金収支報告書に間違った記載をした事実はなく、従って政治資金規正法のいう、虚偽記載に当たる事実はありません。
 ましてや、私が虚偽記載について、共謀したことは断じてありません。また、本件の捜査段階における検察の対応は、主権者である国民からの何の負託も受けていない一捜査機関が、特定の意図により国家権力を濫用(らんよう)し、議会制民主政治を踏みにじったという意味において、憲政史上の一大汚点として後世に残るものであります〉
・テレビでは仏頂面がおなじみだが 実は「いい感じ」のスタートが多い小沢会見
 冒頭からいきなりカメラマンへのサービス精神を発揮した小沢氏だが、じつは普段の自由報道協会の会見でもこうした「いい感じ」で始まることが多い。
 ところが、実際テレビなどで映像が使われる段になると不機嫌で怒ったような顔ばかりが使用される。単純な印象操作だが、それも徹底していれば影響は大きい。実際、小沢氏はそうしたアンフェアな報道姿勢に不満を持っており、それは、後の小沢氏自身の言葉からも読み取ることができる。
〈実際、日本外国特派員協会の会長でもあったオランダ人ジャーナリスト、カレル・ヴァン・ウォルフレン氏は近著「誰が小沢一郎を殺すのか?」で小沢一郎に対する強力かつ長期的なキャラクターアサシネーション、人物破壊は世界的に類を見ないと言っています。人物破壊とはその人物の評価を徹底的に破壊することで、表舞台から永久に抹殺する社会的暗殺、アサシネーションであり、生命を奪う殺人以上に残酷な暴力だと思います。
 それ以上に本件で特に許せないのは主権者たる国民から何も負託されていない検察、法務官僚が土足で議会制民主主義を踏みにじり、それを破壊し、公然と国民の主権を冒涜(ぼうとく)侵害したことであります。
 一昨年の衆院総選挙の直前に、何の根拠もないのに検察当局は捜査逮捕権という国家権力を乱用して、いきなり野党第一党の代表である私を狙って強制捜査を開始したのであります。衆議院総選挙は国民が自ら主権を行使して、直接政権を選択することのできる唯一の機会に他なりません〉
・言外に日本のメディアを批判した小沢氏 しかし質疑応答スタートの一言は……
 ここでは小沢氏自身は触れていないが、この「人物破壊」には記者クラブメディアも加担していると言外に表明しているのだ。海外メディアの日本の団体のトップであった人物に語らせることで日本のメディアのアンフェアさを述べているのである。
〈日本は戦前、行政官僚、軍人官僚、検察警察官僚が結託し、財界、マスコミを巻き込んで国家権力を濫用し、政党政治を破壊しました。その結果は無謀な戦争への突入と、悲惨な敗戦という悲劇でありました。教訓を忘れて今のような権力の乱用を許すならば日本は必ず同様の過ちを繰り返すに違いありません〉
 さらに小沢氏はそれを戦前の大本営発表になぞらえて批判している。日本の記者クラブシステムの打破は、20年来の小沢氏の持論でもある。
 だが、それを本当に理解している人物は少ないのかもしれない。なにしろ会見の司会を担当した側近議員ですら、完全オープンでの記者会見の意味を理解せず、いきなり次のように語って質疑応答を始めたのだった。
「それでは幹事社の方から質問をお願いします」
 それでは、小沢一郎氏と記者クラブメディアの戦いをノーカットで見てみよう。
――テレビ幹事社として2点伺う。まず今日の初公判を終えての現在の心境、率直なご感想をお聞かせいただきたい。初公判を終えての現在の心境を率直に一言お願いしたい
〈今申し上げた通り、私の今回の捜査、そして検察審査会による強制起訴。これは全く、今申し上げました通り、不当な捜査であり、また、今日の裁判も一時も早く止めるべきであるというふうに申し上げました。その通りであります〉
――元秘書3人が一審で有罪判決を受けたことを含め、刑事責任とは別に道義的責任を問う声もあるが、ご自身の今後の政治活動はこれまで通り続けられるのか。議員辞職や離党についてはどのようにお考えか
〈今の文章でもお分かりいただけたと思いますけれども、私も、私の秘書も有罪と認定されるようなことは何もしておりません。この間の判決についても何ら法的な証拠も何もない。裁判官が自分の推測と推断で事実を認定し、それに基づいて判決を下すと。前代未聞のことであり、私は司法の自殺に等しいと思っております。従いまして私どもが何か違法なことをしたというならば、あんたが今使った言葉の中の、色々なことについて考える余地はありますけれども、何にも違法なことをしておりませんですから、そのようなことを考えるつもりは全くありません〉
――国会での説明責任についてうかがいたい。野党は証人喚問が必要だと主張している。かつて小沢氏は政倫審への出席を表明した経緯もあるが、公判がスタートしたとはいえ、司法の場とは別に国会で説明責任を果たす考えはあるか
〈君はどう考えているの? 司法の公判が進んでいるとき、他の立法権や、その他のこと、いろいろと議論すべきだと思ってんの? あんたは。あんたの見解は?〉
――司法手続きは重要だと思うが、国会での説明も一方では重要なことだと思う
〈あっ、そうなの。じゃ、三権分立を君はどう考えているの? だから、ちゃんとよく勉強して筋道立った質問してください。司法で裁判所っちゅうのは、最高の、最終の法に基づき、根拠に、証拠に基づいて判断をする場所でしょ? それが、いろいろな力や感情によって結果が左右されるようなことになってはいけないから、司法は司法で独立しているわけでしょ。うん。もうちょっと勉強してから、また質問をしてください〉
――今回の虚偽記載の件に関し、小沢氏が用立てたとされる4億円の原資は何だったのか
〈原資は私のお金です。詳しく聞きたければ検察に聞いてください。強制捜査、1年以上もやって、国会で説明する、君たちに説明するどころじゃないでしょ? 強制捜査をずっとやってんですよ。私の知らないことまで全部調べておりますから、お聞きください〉
 司会の岡島一正民主党衆院議員「フリーランスの記者の質問を2問ほど受けます」
――(TBS松原キャスター)2004年に小沢氏の政治資金管理団体「陸山会」は銀行から4億円の融資を受け、そこに小沢氏も署名しているが、これはなんのための融資だと考えるか。指定弁護士は虚偽記載の隠蔽工作ではないかと見ているが、どう考えるか。どう説明するか
 岡島氏「質問はフリーの人を優先してということなんで」
――あのー、いやー。
 岡島氏「フリーの方と知らないで私、指したんで」
〈(質問者に対し)ちゃんと、あんた、ルールを守らなくちゃだめだよ。答えるけども〉
岡島氏「フリーの方、もう一度お願いします」
〈(テレビ局からの質問はすでに)代表してやったんでしょ?〉
 岡島氏「フリーだと思ったんで。フリーじゃないと知らなかったものですから、すみません」
――(自由報道協会・田中龍作記者)小沢氏がこうまで検察とマスコミに狙われるのは、検事総長をはじめとする検察の人事、記者会見のオープン化、新聞社がテレビ局を持つという奇妙奇天烈なクロスオーナーシップに踏み込むからではないかとみる向きもある。小沢氏はどう考えているか
〈あのー、私は検察の人事であれなんであれ、官僚の人事にいろいろ干渉したり、口出したりすることは、したことはありません。ただ、それとは別に、今もう一つ言った、マスコミもいわゆる法律的にも集中排除の原則というのは法的にちゃんと規定されております。そういうことと同時にですね、私はやはり、どういう分野であっても程度の差はあれ、自由な競争というものが必要だと思っております。ですから、身近なことでいえば、会見でも、ずーっと以前から私はどなたでもどうぞというふうにオープンにいたしております。それが私の基本的考え方です〉
――それが記者クラブに嫌われた原因か
〈それは分かりません〉
 岡島氏「さっき、私の仕切りの言葉が悪かったので誤解されたかもしれません。まず、フリーの方、あとおひとり」
――(ニコニコ動画・七尾功氏)
 今回の裁判では小沢氏への支持、不支持を超えて司法のあり方そのものを疑問視する声が非常に多い状況となっている。一方でマスメディアのいう世論というものがあり、昔からこうした声は正反対の意見が多いわけだが、もう少し考えを聞かせてほしい。また、今後の対応は
〈はい、あのー、私はテレビ、新聞のやっている世論調査、国民の声というものがまったくデタラメとは申し上げませんけれども、しかし、必ずしも全国民のまんべんなく意見を代表しているというふうにも思えません。ですから、もし、その通りであるならば、私自身が選挙に受かることもなかったでしょうし、こうして政治家として活動が許されることもなかったと思います〉
〈ですから、賛否両論、いろいろ私に対してはあると思います。それは当然です。しかし、それが一方的なものであるとは私、思っていませんので、がんばってくれという大勢の方もありますし、私自身、なんら一点もやましいこと、ありませんので、今後もがんばっていきたいと思っております〉
 岡島氏「(記者会見に同席した民主党の階猛、辻恵両衆院議員に対し)補足ありますか。特にない。それではこの会見は、これで質問を終わらさせていただきます。ありがとうございました」
〈はい、ありがとう〉
 これでわかるだろう。もはや小沢一郎という政治家と既存の記者クラブメディアとの関係修復は不可能なのだ。
 こんな状況で健全な記者会見ができるはずもない。フェアな議論はフェアな舞台にしか宿らない。
 小沢一郎氏がマスコミを人物破壊を行う「敵」のひとりとみなしている理由はここにある。
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小沢氏初公判 第3の検察と化した記者クラブ
田中龍作ジャーナル2011年10月6日 20:53
 初公判を受けての小沢氏記者会見。会場は立錐の余地もないほど記者やカメラマンで埋め尽くされた。
 土地購入をめぐる政治資金規正法違反(虚偽記載)で検察審査会の議決によって強制起訴された小沢一郎・元民主党代表。6日夕方、初公判を終え国会内で記者会見を開いた。
 小沢氏は法廷で行った意見陳述をもう一度読み上げた。続いて記者クラブ幹事社からの質問だ。筆者は会見が始まる前、記者クラブから出されるであろう質問を予想し、それをツイートした。「秘書が有罪になったが…」「議員辞職はしないのか?」などだった。
 幹事社(今月はテレビ朝日、共同通信)はものの見事に筆者の予想に沿った質問をしてくれた。テレビ朝日の記者が「秘書が有罪になったことの道義的責任は?」「議員辞職しないのか?」と質問したのだった。
 小沢氏は次のように答えた―
 「私も私の秘書も有罪とされるようなことはしていない。有罪の証拠はない。裁判官が自分の推測にもとづいて判決を下した。(議員辞職など)そのようなことは考えていない」。
 共同通信記者の質問は―
「野党は証人喚問を要求しているが、国会で責任を果たす予定は?」
「4億円の原資は何だったのか?」
 小沢氏の回答は―
 「3権分立を何と考えているのかね。君はどう考えているのかね」。
小沢氏から逆質問されると、共同通信の記者は絶句してしまった。
 「4億円は自分のお金です。検察に聞いて下さい。検察が1年以上、私の知らないことまで捜査しているのだから」。
 検察リークを垂れ流していることへの強烈な皮肉だった。
 検察審査会が第2の検察と言うなら、記者クラブは第3の検察である。
 筆者も毎度おなじみのワンパターンな質問をした。情けない話だが、この問題に行き着くのである。
 「小沢さんがこうまで検察とマスコミに狙われるのは『検察人事』『記者会見のオープン化』『クロスオーナーシップ』に踏み込もうとしているからではないか?」
 小沢氏はこう答えた。「検察人事に介入したことはない。記者会見は開かれたものでなければならない。(クロスオーナーシップについては)集中排除の法律を守らなければならない」。
 「あいつ(田中)はいつも同じ質問ばかりだな」とバカにされるのは承知のうえだった。記者クラブ制度と検察の体質を改善しない限り、日本という国が破滅に向かうと思うからである。
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「小沢記者会見」報道のウソを暴く―TBSキャスターの掟破り
田中龍作ジャーナル 2011年10月8日 12:32
 陸山会事件の初公判後(6日夕)、小沢一郎・元民主党代表が開いた記者会見をめぐる報道は、各紙・各局とも批判一色だった。それをとやかく言うつもりはない。批判は自由だからだ。だが、事実をねじ曲げて自らを正当化するのは、戦中の大本営発表と同じではないだろうか。
 記者会見の現場に臨んでいない読者(国民)が、騙される記述がある。それは「テレビ局記者が4億円の融資署名を聞いたことに小沢氏が答えなかった」とするくだりだ。
 朝・毎・読は翌7日の朝刊で次のように報道している――
 「テレビ局の記者の質問は答えを得られず」(朝日)、「別の記者が質問する順番だとして質問者をたしなめた」(毎日)、「民放記者の質問を制止」(読売)
 こうなった背景はものの見事にネグレクトされている。実情を明かそう。テレビ朝日記者と共同通信記者の質問が終わったところで、司会役の岡島一正議員が「では次は、フリーの方も含めて」と指定した。記者クラブ限定ではなくフリーにも質問の機会を与えるためだ。会見場の雰囲気から察して、流れはフリーやネットに来ていた。
 そこに「TBS・News23」松原耕二キャスターが、紛れ込んで挙手したところ当たった。松原キャスターは社名も氏名も名乗らずに質問を始めた。フリーやネット記者を装ったのである。姑息と言わざるを得ない。
 松原氏の正面の席に座っていた筆者は言った。「社名と氏名を名乗って下さい」と。松原氏は渋々名乗った。
 そこで初めて小沢陣営が『ルール違反』と気づき、松原氏の質問を制止したのである。
 記者会見に出席するマスコミ記者の人数は、フリーやネット記者の数十倍に上る。松原キャスターのような手法がまかり通ったら、フリーやネット記者が質問する機会は著しく減少するのだ。
 「質問する記者は社名と氏名を名乗る」。記者会見における最低限のエチケットである。鉢呂経産相辞任会見でヤクザまがいの暴言を吐いた某通信社の記者も、社名と氏名を名乗らなかった。
【談合防止のためにもプレスセンターを】
 あまりにもレベルが低い記者会見は、民主主義を危うくする。官庁、大企業と記者クラブの間で談合が成立し、国民には真実が隠されてしまうからだ。経産省、東電、記者クラブが事実を隠ぺいし続けてきた原子力発電所の実態が何よりの例である。
 フリーやネット記者を入れるのは、透明性を担保する第一歩である。先ず記者クラブに質問させて、次にフリーやネットという指名方法も止める必要がある。テレビ中継の時間枠の中で自社の編集方針に沿った質問と回答を放送するために、長らくこの方式が取られてきた。
 だがこれこそ、国民の知る権利に背くものではないだろうか。テレビ局の興味と国民の興味は違うことの方が多いのだから。情報操作の危険性も生まれる。
 日本の記者会見は、役所か大企業の本社などで行われる。抱き込まれにのこのこ行くようなものだ。これでは真実が隠されてしまって当然だ。
 役所や大企業からの独立性を保つためには、記者会見を別の場所で開く必要がある。FCCJ(日本外国特派員協会)のようなプレスセンターを設けるのだ。
 主催権はフリーもネットも含めたジャーナリスト側にある。こうすれば少なくとも役所や大企業による世論操作が入り込む余地は格段に減る。
 ここでいうプレスセンターとは、電力会社の東京支社を入居させているような「日本プレスセンター(日本新聞協会加盟社とその関係者のみ記者会見に参加可)」ではない。
 知る権利はあくまでも主権者たる国民にある。記者クラブと役所、大企業による談合質問が続く限り、国民は判断材料さえ与えられないことになる。

田村義雄・駐クロアチア大使 在任1年7か月での“解任”はセクハラ事件を闇から闇に葬るため〈3〉

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クロアチア外務省 在日大使館にセクハラ記事の翻訳送付指示
NEWSポストセブン2011.12.12 07:00
 外務省は田村義雄・駐クロアチア大使に「帰朝命令」を出す方針を固めた。正式な発令は12月20日に出される予定だ。
 週刊ポストは前号で、田村大使が現地大使館で採用したクロアチア人女性職員にセクハラ行為を行ない、同省は監察査察官の調査で事実を把握していたにもかかわらず、不祥事を握り潰していたことをスクープした。
 田村大使は財務省出身で同省関税局長から環境省事務次官にのぼりつめ、2009年5月から特命全権大使としてクロアチアに赴任している。大使の任期は平均で3年程度なので、在任1年7か月での“解任”はセクハラ事件を闇から闇に葬るためと思われる。
 外務省は11月に20人近い大使の交代人事を発表しており、12月には各国大使に一斉に帰朝命令が出される予定だ。外務省欧州局での勤務経験がある中堅幹部は明かす。
 「当初は田村大使の交代人事は予定されていなかったが、目立たないように人事異動に合わせて交代させることになった。すでに本人にも内示されている」
 しかし、玄葉光一郎・外務大臣はさる12月7日の記者会見で、本誌・週刊ポストの質問にこう答えた。
 「(事件は)ポストの記事を読んで承知している。あくまで一般論だが、事実であれば厳正に対応し、必要があれば処理も考える」
 すでに大使の交代が決まっていることはおくびにも出さなかった。あくまでも大使の交代は定例人事異動だという建前なのだ。
 「大使のセクハラ」は日本外交にとって大汚点だ。
 本誌前号発売後、外務省は厳戒態勢を敷いた。各国大使館の館員たちにはメールで記事が広がり、クロアチアに近い駐イタリア大使館では「ついに出たか」と波紋が広がったという。事件の舞台となったクロアチアの首都ザグレブの日本大使館には、本省人事課から本誌の報道内容が伝えられ、「大使の問題についてクロアチア政府から照会があっても、一切応じるな。すべて本省で対応する」という内々の指示が出されたことを本誌は掴んでいる。
 外務省が懸念するのは当然だろう。
 クロアチアでは12月4日に総選挙が行なわれて政権交代が確実な情勢だが、ヤドランカ・コソル現首相はジャーナリスト出身で同国初の女性首相であり、ミラ・マルティネツ駐日大使も女性。今年6月に着任すると東日本大震災の被災地を訪れ、被災地の小学生約30人をこの夏、クロアチアの観光地スプリトに招待している。それだけに、日本の特命全権大使の女性職員を弄ぶ行為が外交問題に発展するのは避けられそうにない情勢なのだ。
 「クロアチア外務省は週刊ポストの報道の概要をすでに知っており、東京のクロアチア大使館に記事の詳細な翻訳を送るように指示しているそうだ。クロアチア人職員が被害者であることがわかれば政府は黙っていないだろう。相手国の信任状を受けている田村大使は帰国前にコソル首相に離任の挨拶をしなければならないが、拒否されるかもしれない」(先の外務省中堅幹部)
 そうなれば、日本の外交史上かつてない屈辱的な扱いだが、外務省はその前に自らの手で大使を処分する決断を下すことができず、逆に財務省有力OBである田村大使を単なる“離任”ですまそうという姿勢なのだ。
 この国はいつから、特命全権大使に国内の「免責特権」まで与えたのか。
 ※週刊ポスト2011年12月23日号
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田村義雄・駐クロアチア大使 現地大使館職員へのセクハラ疑惑/外務省は財務省に“遠慮”して不問に〈1〉2011-12-20 | 政治
財務省出身田村義雄・駐クロアチア大使「セクハラ疑惑」=クビにできない霞が関の悪しき慣習〈2〉2011-12-20 | 政治
田村義雄・駐クロアチア大使 在任1年7か月での“解任”はセクハラ事件を闇から闇に葬るため〈3〉2011-12-20 | 政治
田村義雄・クロアチア大使セクハラ事件 外務省の“恫喝”に沈黙した大新聞/〜「小沢vs記者クラブ」〈4〉2011-12-20 | 政治
財務省の大物OB田村義雄・駐クロアチア大使の“国を代表しての破廉恥行為”セクハラ事件〈5〉2011-12-20 | 政治

財務省出身田村義雄・駐クロアチア大使「セクハラ疑惑」=クビにできない霞が関の悪しき慣習〈2〉

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セクハラ疑惑駐クロアチア大使 「全く事実じゃありません」
NEWSポストセブン2011.12.06 07:00
 財務省出身で環境省事務次官も務めた田村義雄・駐クロアチア大使(64)が現地採用のクロアチア人女性職員へセクハラ行為をしていたことが週刊ポストの報道で発覚した。今年4月、外務省では佐々江賢一郎次官が田村大使を一時召還し、内々に事情を聞いたという。だが、大使はあっさりとクロアチアに帰っていった。
 省内では、「次官が大使を厳重注意して当面、改善されるか経過を見ることになった」とされている。査察官の調査で田村大使のセクハラ行為が裏付けられたにもかかわらず、身内だけで事実上、不問にしたのである。
 もし、東京の外国大使館に勤務する日本人女性が大使に同じ行為を受け、相手国でその事実が問題化しているにもかかわらず、大使が処分もされずに居座れば国民は屈辱に震えるはずである。邦人女性を暴行した在日米軍の兵士が日米地位協定で守られ、日本の裁判も受けずに帰国することに唇をかんできた国民には、その実感があるはずだ。
 駐レバノン大使を経験した元外交官の天木直人氏が指摘する。
 「事件の舞台が米国やフランスなど主要国であれば一発でアウトです。被害女性からセクハラ訴訟を起こされ、とうに外交問題に発展しているでしょう。クロアチアでもこれからそうなる可能性は少なくない」
 そのうえで、「国益より省益」の霞が関の構造的問題が外交の重大過失を招いていると分析した。
 「問題は事件を起こしたのが財務省出身の大使だということです。主要国の大使など9割は外務省プロパーが務めているが、北欧や東欧の、治安や生活環境が良く、外交案件が少ない国には外務省が交流人事で他省庁に大使ポストを配分している。
 次官経験者となれば実質的な天下り先です。仕事があまりないうえに、外交官特権が与えられ、給料も月額100万円以上の本俸に加え、税金が一切かからない在勤手当が月に50万〜80万円も出ます。
 そうしたおいしいポストを与えるかわりに、財務省に在外手当など予算で便宜をはかってもらう霞が関の悪しき慣習だからクビにできない」
 大使は国家の全権代表として赴任し、相手国政府との交渉や邦人保護に責任を負う。そのため米国などでは、議会の公聴会で適格性が厳しく審査され、議会の承認を得なければ任命されない。だが、日本では外交官の訓練も受けず、資質もない官僚が霞が関の天下り人事の一環でトコロテン式に任命される。
 大使の給料は最高月額約120万円にボーナスが加わるうえ、天木氏の指摘のように在勤手当がつき、他省からは、「大使を2か国やれば田園調布に家が建つ」とうらやましがられる風潮さえある。田村大使のようなOB官僚は、ざっと8000万円とされる次官時代の退職金に加えて、大使を3年やれば最低でも500万円の退職金が出る。そのうえ、赴任地では日本の恥をさらし、国家に外交的損失を与えるとは言語道断だ。
 これが官僚トップである元事務次官の特命全権大使の姿なのか。
 クロアチア政府の見解を問うと、「事実関係を把握していないので対応はお答えできない」(同国外務省)と回答した。日本の外務省と田村氏の古巣の財務省はこの外交問題にどう始末をつけるのか。
 「本件の事実関係についてはコメントできない」(外務省報道課)
 「現在は財務省の職を離れているので事実を確認する立場にない」(財務省)
 本誌は田村大使を直撃したが、そのやりとりはこうだ。
 ――大使のセクハラが問題になっている。
 「はァ、まったく事実じゃありません」
 ――今後も大使の仕事を続けるのか。
 「(目を丸くして、一瞬口ごもり)いえいえ、もう全然、だいいち、まったく事実じゃありませんから……」
 つとめて平静を保つようにそう語って公用車に乗り込んだ。
 だが、本誌はその後、田村大使が大使館員たちに「『週刊ポスト』の取材に気をつけるように」と指示を出したことを掴んでいる。事実でないならば、何に「気をつけろ」というのか――。
 ※週刊ポスト2011年12月16日号
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田村義雄・駐クロアチア大使 現地大使館職員へのセクハラ疑惑/外務省は財務省に“遠慮”して不問に〈1〉

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駐クロアチア大使 現地女性大使館職員へのセクハラ疑惑発覚
NEWSポストセブン2011.12.05 07:00
 まさに「国辱行為」である。日本国民を代表し、相手国の元首に対して派遣される特命全権大使のセクハラという蛮行が発覚した。しかも、外務省は事実を把握しながら、財務省の天下り大使だから“遠慮”して不問に付した。「国益よりも省益」という言葉では到底言い表わせない前代未聞の事態である。
 バルカン半島の小国・クロアチアは、古くからの親日国として知られる。
 日本大使館は首都ザグレブの中心地にある。4階建てルネッサンス様式の歴史ある建物だ。東日本大震災の直後、クロアチアの官公庁が集まる日本大使館周辺では政権交代を求める5000人規模のデモが行なわれていた。そのデモ隊が大使館の前を通りかかった時である。彼らは一斉に足を止め、手に持っていたろうそくに灯をともし、震災で亡くなった日本人のために黙祷を捧げた。
 11月末の大使館終業直後、その玄関前で、田村義雄・駐クロアチア大使(64)は本誌直撃に顔をこわばらせた――。
 田村氏の経歴は大使の中では異色といっていい。東大法学部出身で、1971年に大蔵省に入省。霞が関中枢のエリートコースを歩み、財務省関税局長まで上りつめる。それから環境省に移り、官房長、事務次官を歴任し、2008年に退官した後、2009年から現職に就いた。つまり、外務省のプロパー官僚ではない。
 日本の特命全権大使の中でも2人しかいない事務次官経験者という大物だ。その人物に現地採用したクロアチア人女性へのセクハラ疑惑が発覚した。ことは大使個人の問題では済まされない。重大な外交問題に発展しかねないと憂慮されているのである。
 実は外務省はその事実を把握しながら、ひた隠しにしているという情報を本誌は掴んだ。「大使のセクハラ」は大使館内で問題化し、外務省は現地に査察官を派遣して調査を行なっている。その報告書は佐々江賢一郎・外務省事務次官や木寺昌人・官房長らに提出されたといい、外務省局長クラスにも回覧されている。
 外務省幹部の一人がこう明かした。
 「クロアチアは決して豊かな国とはいえないが、国民は東日本大震災で1億円もの義援金を募って被災地に送ってくれた。田村大使はそのお礼をしなければならない立場だ。だが、不行跡が相手国の政府にも伝わっており、いい印象は持たれていないと聞いている」
 本誌はザグレブで現地取材を行ない、大使館関係者や在留邦人の証言を得ることができた。
 被害を受けたのは昨春から大使館の事務職員として勤務する20代のクロアチア人女性のクララさん(仮名)。170センチ台半ばという長身で髪が長く、現地職員の中でもひときわ目を引く美人だ。
 「大使は美人の若い子が好きなようで、採用する時から、クララさんに目をつけていたようだ。大使館勤務の職に応募してきた若い娘の写真を机に並べて、ニヤニヤしながら眺めて選んだと聞いている」
 大使館関係者はとんでもないというように眉をひそめて証言を続けた……。
 大使の「行為」が始まったのはクララさんが勤務を始めて3日目からだった。田村大使は視察に行くのに現地人の秘書ではなく、わざわざ新人の彼女を指名して同行させ、公用車のレクサスの後部座席に並んで座らせた。そして視察の途中で彼女を抱き寄せ、強引にキスをした。
 セクハラ行為はその後、次第にエスカレートしていく。車内でクララさんの足を撫で回したり、抱きついて身体を触ったりするようになったという。非常に悪質なセクハラ行為である。
 だが、彼女は半年間、大使のセクハラに対して泣き寝入りを続けるしかなかった。大使館の職を辞めるわけにはいかない家庭の事情を抱えていたからだ。父親が失業中であり、兄弟を含む家族の生活がかかっていたのだという。
 車内には運転手もいる。大使の強引なキスを目撃し、すぐに職員の間にウワサが広がった。彼女は現地職員たちに打ち明けたという。
 「こんなことが近所に知られれば、いまの家にも住めなくなる」
 我慢すべきじゃないという同僚たちに、彼女はそうクビを振った。クロアチアでは居住地域の連帯意識が強い。職を失うことが怖いだけでなく、セクハラ行為をされたことで、自分の家族の評判も落とすことになると心配したのだ。
 彼女が家庭の事情でことを荒立てようとしなかったために、大使は味をしめたのかもしれない。弱みに付け込んだ卑劣な行ないというほかない。
 ※週刊ポスト2011年12月16日号
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小沢一郎氏裁判 会計専門家「収支報告書の記載、会計上、問題はなく適切な処理」証人尋問すべて終了

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小沢氏裁判、証人尋問がすべて終了
 強制起訴された民主党の小沢一郎元代表の裁判は20日、会計学の専門家に対する証人尋問が行われました。これで証人尋問はすべて終了し、来月には小沢・元代表に対する被告人質問が始まります。
 小沢一郎被告は、土地の購入時期を収支報告書に正しく記載しなかったなどとして政治資金規正法違反の罪に問われています。
 20日の裁判では会計の専門家に対する証人尋問が行われ、専門家は収支報告書の記載について「会計上、問題はなく、適切な処理だった」と述べて弁護側の主張に沿う証言をしました。これで予定されていた証人尋問はすべて終わり、来月10日には小沢元代表に対する被告人質問が行われます。
 閉廷後、裁判長から「次回は被告人から話を聞きますがよろしいですか」と問われると、小沢元代表は深く一礼しながら「わかりました」とはっきりと答えました。(MBS毎日放送-ニュース-20日19:30)
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大林宏検事総長「小沢氏を有罪とする証拠はない」/検察審に知ってほしい小沢土地取引の真実2010-10-01 | 政治/検察/裁判/小沢一郎/メディア
 永田町異聞2010年10月01日(金)
検察審に知ってほしい小沢土地取引の真実

 小沢氏の「政治とカネ」問題は存在しない。9月2日の当ブログ のタイトルである。
検察が立件し、小沢一郎の元秘書ら3人を逮捕、起訴した、いわゆる陸山会の政治資金収支報告書「虚偽記載」事件。これが、明白なる捏造であることを、指摘したのが9月2日の記事だ。
 その根拠は、問題となった土地の「登記簿謄本」にある。ここに全てが語られているといってもいい。
 筆者は、お会いしたこともない「一有権者 檀 公善」と名乗る方からのメールで、そのことを知り、「登記簿謄本」などを確認したうえ、檀さんをDさんとして、ブログに書いた。
 土地取引の動きを知る最も客観的で基本的な資料を、検察が調べていないはずはない。
 そこに確かにある事実を無視して、架空の事件をでっちあげたことに戦慄をおぼえると同時に、いまだに「登記簿謄本」の物語をいっさい伝えようとしないメディアの「不正義」に、深い落胆と憤りをおぼえる。
 檀さんとはいまもってお会いしたことはないが、時おり、活動ぶりをメールで伝えていただいている。
 前にも書いたように、檀さんは政治活動家でもなんでもない。ご本人が「一有権者」といわれる通りだと思う。
 「政治については、どちらかというと無力感を感じるままに疎んじてまいりました。しかしながら、最近の小沢バッシングについては、小沢支持・不支持という立場を超えて異常だと思ってまいりました」
 メールに書かれた上記の思いが、檀さんを突き動かした。檀さんは、陸山会政治資金報告書、登記簿謄本、確認書、関連法律、検察審査会議決などを、すべてチェックしたうえで、こう確信した。
 「少なくとも懸案となっている04年、05年、06年の政治資金報告書について、記載漏れも、期ずれも、虚偽の記載も一切なく、パーフェクトに整合的なもので、小沢疑惑なるものは全く根拠のないものである」
 そして、確認した事実について記述した無料のチラシを作成、配布することを計画し、奥さんと二人で立ち上がった。
 札幌での民主党代表選の街頭演説会に東京から夫妻で駆けつけ、8000枚のチラシを配りはじめたら、まわりの見知らぬ聴衆がチラシの内容に共感して手伝ってくれたそうだ。
 ネットで知り合った仲間も増えつつあるが、より多くの人々に伝えるには、これだけでは限界があるのも事実。マスメディアが「登記簿謄本の事実」を伝えようとしないなか、検察審査会の小沢氏に対する二回目の議決が間近に迫っている。
 檀さんは「小沢氏が好きとか嫌いとか、支持するとか支持しないというレベルの問題ではなく、民主主義に根ざした法と正義の危機をどうするのかという国家存亡の大問題なのです」と言う。見知らぬ11人の審査員のうち、たとえ1人、2人でも事実を知ってくれたら、と願っているのだろう。
 檀さんは最近、以前よりさらに検証、整理された文章をまとめ、筆者にメールで送ってくれた。
 そこには「登記簿謄本が語る事実」がくっきりと描き出されている。以下に、そのごく一部を抜粋したものを掲載するが、その前に検察審査会が第1回目の審査で小沢氏を起訴相当とした「容疑事実」が端的にいえば下記のような内容であったことを頭に入れておいていただきたい。
 「小沢氏は秘書と共謀して、陸山会が04年10月に約3億4千万円で土地を購入したことを04年の収支報告書に記載せず、05年1月7日に取得したと05年の報告書に虚偽記入した」
 (以下、檀氏の文章より抜粋)
 そもそも陸山会のような政治資金団体は、権利能力なき団体であって、不動産を所有したり登記することはできません。 
 ですから、陸山会と買主である小澤一郎個人の間にしかるべき取り決めがない限り、陸山会は不動産をもつことはできません。
 本件土地に関しては、登記上小澤一郎個人の所有権が確定した05年1月7日に、陸山会と小澤一郎個人との間に確認書を交わすことによって、やっと実質上陸山会のものになりました。 
 したがって直接売主から買った買主は、あくまでも小澤一郎個人ということになります。登記簿謄本を見てみましょう。
 「平成17年1月7日売買」とされ、【権利者その他の事項】を見ると、「所有者 岩手県水沢市袋町2番38号 小澤一郎」となっています。
 もちろん旧字体の「澤」が使われています。 これで売買が行われた日は05年1月7日で、買主は小澤一郎個人であることが明確に立証されました。 
 ついでに「2」の上段を見てみると、「平成16年12月29日」には、「10月5日売買予約」によって、「所有権移転請求権仮登記」がなされており、【権利者その他の事項】欄でも、「所有者」ではなく「権利者」と表示されています。つまり、検察が土地を買ったとする04年10月29日には、売買は行われていないことが見てとれます。
 売買を実行しようにも、できない事情があったのです。それは【表題部】の【?地目】が「畑」になっていることで分かります。地目が「畑」の場合、農地法5条によって、直ちには売買できないのです。 
 この規定は、農地が市街化地区であるか否かによって異なり、市街化地区の場合は、地元の農業委員会に届け出、受理通知書を発行されるまで、所有権移転はできません。
 本件土地では黒く塗り潰されていますが、売主は非耕作者である不動産業者であることから、市街化区域の農地であることが分かります。
 したがって04年10月29日に代金全額を払っていても、登記は「所有権移転請求権仮登記」どまりでしかなかったのです。 
 もともと買主は陸山会ではなく、小澤一郎個人であるわけですから、04年の収支報告書に本件土地の代金や土地を記載することはありえないわけで、不記載の罪など、とんでもない言いがかりです。 もちろん小澤一郎個人は陸山会に単に名義を貸した形式的な所有者であり、本件土地の所有者は実質的に陸山会であるから、当初から陸山会が代金を払って購入したという解釈ももちろんありでしょう。
 三氏の弁護団の方針も、購入者は陸山会であるとしているようですが、私としては、最も説得力があるのは、客観的な公文書の記載を基準にすることであると思いますし、そうすれば収支報告書との整合性は完璧であり、不記載や虚偽記載による「期ずれ」など何一つない「白より白い真っ白」であると考えています。
 それでは本件土地が実質的にいつ陸山会のものになったのかというと、繰り返しますがそれは「確認書」が交わされた05年1月7日です。
 本件土地の登記上の所有権を陸山会に移転することは不可能です。そこで登記上の所有者を小澤一郎個人としたまま、実質的な所有者を陸山会にするため、登記が完了した05年1月7日の日付で、陸山会代表小沢一郎と小澤一郎個人との間で、その主旨を明記した確認書を交わしたのです。 
 そこには次のような文言があります。「あくまで本物件は甲が甲の資金をもって購入するものであり、乙個人は本件不動産につき、何の権利も有さず、これを甲の指示なく処分し、または担保権の設定をすることはできない。売買代金その他購入に要する費用、並びに、本件不動産の維持に関する費用は甲がこれを負担する」 
 そしてこの確認書のとおり、陸山会は1月7日当日に、土地代金に登記料、登記手数料等の諸費用を加算した金額を含む4億1500万円を小澤一郎個人に支払ってこれを事務所費とし、本件土地を資産とし、05年の収支報告書に記載しています。
 実にまっとうな記載であるにもかかわらず、検察はこれを虚偽記載として、大久保氏と池田氏を起訴しています。
 すでに報じられているように、大久保、石川、池田の三氏は、公判の場で罪状を否認することを表明しています。
 すると初回の検察審査会の議決における直接証拠は破綻するわけですから、連動して起訴相当の議決も揺らいでしまいます。 
 初回の議決において、被疑事実からは外されていますが、池田氏起訴の被疑事実の中には、陸山会が小沢氏から借り入れた4億円の不記載がありました。
 しかし04年の収支報告書には、この4億円は、しっかりと記載されています。もともと検察は、この4億円の中に、水谷建設からの裏献金5千万円が含まれているというストーリーを描き、経費30億円とされる史上空前の捜査にもかかわらず何一つ証拠が出て来ないために、小沢氏を不起訴にせざるをえなかったわけですが、実はこの4億円は、小沢氏が銀行からの融資金を、そのままそっくり陸山会に転貸したもので、そこに水谷建設からの裏献金が紛れ込む余地など寸毫もありえないものです。
 小沢氏は、本件土地の代金3億4200万円について、湯島の自宅を売り、今の自宅を建てた際に残った2億円と、家族名義の口座からの3億6千万円の計5億6千万円の一部であると説明しています。家族名義とは妻名義のことであり、検察もその預金口座を確認しているはずです。
 小沢氏をめぐり、泰山鳴動、鼠一匹すら出て来なかったことは、逆に小沢一郎なる政治家がいかにクリーンであるかを裏付けた形になっていますが、マスメディアは、いたずらに検察のリーク情報による空前の報道合戦を展開し、小沢バッシングの集中豪雨を降らせ続けてきました。
 大林宏検事総長が日本記者クラブでの講演で、「小沢氏を有罪とする証拠はない」と言ったとき、記者クラブ所属のマスメディアは全てこの重大な発言を無視し、報道しませんでした。
 このように、きわめて意図的に小沢氏を金まみれの政治家としてイメージづけるマスメディアの小沢バッシングに乗って、事実に基づかない議決を再度繰り返すことになれば、わが国の民主主義に根ざした法と正義は、完全に死に絶えてしまうでしょう。
新 恭(ツイッターアカウント:aratakyo)
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小沢一郎「抹殺裁判」わが国はいつからこんなに恐ろしい国になったんだ/4億円の「出所」は解決済み2011-10-08 | 政治/検察/メディア/小沢一郎
 4億円の「出所」は解決済み メディアは「逃げるな!」の大合唱だが…
日刊ゲンダイ2011年10月8日
<「二転三転の説明」批判もお門違い>
 「(土地購入の)原資は私のお金だ。詳しいことは、私の知らないことまでぜーんぶ調べた検察に聞いて!」――尿管結石の苦痛に耐えての会見でイライラが募ったのか。小沢の憮然とした態度に大マスコミは猛反発だ。土地購入のために用立てた4億円の出どころについて、「逃げずに『真実』を語れ」「二転三転の説明はおかしい」と叩きまくっている。だが、小沢がウンザリするのはムリもない。実は4億円の「出どころ」については、とうに解明済みなのだから……。
 初公判でも検察官役の指定弁護士側は、4億円の出どころを「政治活動の中で蓄えた簿外の表に出せない資金」と決め付けていた。大マスコミも検察も指定弁護士も、この4億円にこだわるのには理由がある。「原資を明快に説明することが困難」(元秘書3人の公判の判決文)ということにしないと、なぜ収支報告書にウソの記載をしたのか、という動機がなくなる。「4億円=説明できない怪しいカネ」という構図でなければ、小沢を攻撃する材料を失ってしまうのだ。
 本当に4億円は怪しいカネなのか。真相は小沢の言う通り、「私のお金」が正解だ。
「小沢さんは父親から信託を引き継いだ遺産3億円を元本に、80年代から90年代にかけて5年満期の『ビッグ』を3回は更新していたはずです」
 この発言の主は、小沢家が父・佐重喜氏の時代から取引していた安田信託銀行(現・みずほ信託銀行)神田支店の当時の担当者。ビッグとは、半年複利の変動金利型の高利回りで、バブル期に高い人気を誇った金融商品である。
 実は週刊ポストが昨年2月にこの担当者への直接取材に成功し、小沢が98年のビッグ解約時に元利合わせて、少なくとも3億6000万円の払い戻しを受けたという証言を引き出していた。これこそが、4億円の出どころである。
 大マスコミも4億円の出どころを疑うなら、この担当者を捜して話を聞けばいい。疑惑を抱いたら、自らの足で取材し真相を解明するのが、マスコミの本来の務めだ。勝手に怪しいと決め付けたカネについて、取材対象者の説明を待つだけなんて、怠慢極まりない。
<本をただせば「私のお金」に行き着く>
 土地の購入資金を聞かれた小沢が「献金してくれた皆さまのお金」「銀行融資」「金庫で保管していた個人資産」と説明を変遷させてきたことも、大マスコミはやり玉に挙げている。だが、初公判でも登場した問題の土地の購入プロセスは複雑だ。
「まず小沢が用立てた4億円をもとに『陸山会』名義で定期預金を組み、この定期預金を担保にして、銀行から小沢が4億円の融資を受け、ただちに陸山会に転貸した。そして陸山会は、この借入金で土地を購入したのです。転貸分の借入金の返済には、陸山会が集めた献金も含まれています」(司法関係者)
 つまり土地購入の原資には、小沢が説明した「献金」も「銀行融資」も「個人資産」も含まれており、本をただせば、小沢が最後に説明した「私のお金」にたどり着く。それだけの話だ。小沢の説明は分かりにくいが、決してウソではない。
 恐らく検察は土地購入プロセスは当然として、4億円の「真の出どころ」まで知っている。大マスコミは4億円の出どころを知りたければ、一蓮托生の検察に聞けばいい。検察が口ごもるのなら、自分たちにとって都合の悪い事実だからだろう。大マスコミも4億円の出どころを真剣に調査しないのは、「怪しいカネ」でいてくれた方が、小沢攻撃にとって都合がいいためだ。
 検察と大マスコミこそ、4億円の出どころから逃げ回っている。
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この国が恐ろしいのは、総ての権力が同じ方向を向いて走り、正義より自分たちの足元ばかり気にしている点だ2011-10-03 | 政治/検察/メディア/小沢一郎
 小沢「抹殺裁判」わが国はいつからこんなに恐ろしい国になったんだ
【これでいいのか暗黒ニッポン】秘書3人の「とんでもない有罪判決」に誰もが口をつぐんだ
 ならば、小沢一郎を贈収賄で逮捕したらどうか。秘書3人に対する東京地裁判断によれば、小沢はゼネコン談合の元締めで、見返りに1億円の闇献金を受け取った重罪人だ。しかし、判事も検察も、「アイツは大悪人」と吠え立てる新聞・テレビや野党でさえも、そうはいわない。「法と証拠」に基づく公正な裁判だと誰も信じていないからだ。目的は「小沢の政界退場」のみ。日本は恐ろしい国になった。
*裁判長は「検事の身内」
 小沢一郎・民主党元代表の元秘書3人の判決内容は1週間も前から司法記者クラブにリークされていた。
 「全員有罪で禁固刑が出される。判決文は相当長いものになる」
 という内容で、もちろん政界にも広く伝えられていた。日本の司法が、いかに政治勢力、行政権力、報道権力と癒着し、最初から出来レースで進められているかを示す“証拠”だ。
 情報通り、9月29日、登石郁郎裁判長は3時間以上にわたって判決文を読み上げ、石川知裕被告以下3人全員に執行猶予付きの禁固刑を下した(3人はただちに控訴)。
 「異例の法廷」だった。検察が提出した証拠のうち、石川被告らの調書11通を「不正な取り調べが行われた」と認定して不採用にしており、一時は「無罪判決確実」とみられた。なにしろ、もともと物証のほとんどない裁判で、検察の頼りは、脅しや不正によって作り上げた調書ばかりだったのだから当然である。村木事件で証拠のFDをを改竄して冤罪事件を起した前田恒彦元検事が取り調べを担当し、石川知裕は別の検事が不正な取り調べを行った模様を録音していた。
 この奇怪な判決文を書いた裁判長の経歴に、ヒントがあるかもしれない。
 登石裁判長は93年から3年間、法務省刑事局付検事として勤務した経験を持つ。裁判所と法務・検察の人事交流(判検交流)は毎年、数十人規模で行われており、かねてから「99・9%有罪」という日本の「検察負け知らず裁判」の温床だと批判されてきた。
 そうした声も意識したのだろう。裁判官が法務省に出向する場合、ほとんどが民事局で、刑事局は少ない。法廷で顔を合わす検事と隣の席で仕事をするのは、いかにも癒着に見える。が、登石氏はその数少ない1人だった。その“貴重な人材”が検察の威信をかけた裁判うを担当し、現場の検事からは「これで勝った」と喝采が出たのは偶然なのか。
 結果を見て思えば、登石裁判長は最初から判決を決めていたのではないか。だからこそ証拠不採用で「検察に対しても厳しい姿勢」を演出し、癒着との批判をかわそうと考えたなら筋は通る。
 判決のおかしさは、「小沢は大悪人」と呼ぶマスコミや野党、そして検察にもよくわかっている。だから、はっきりと「談合の見返りに裏献金を受け取った」と認定されているのもかかわらず、これを「贈収賄事件」という者が出てこない。
 新聞の論調も判決直後は威勢がよかったが、その後は「野党が証人喚問を要求」などと、ずいぶん及び腰である。
 「さすがに判決文を読んで、社内やクラブ内でも、これはヤバイんじゃないかという声が多かった。報道も慎重にしている」
 民法司法クラブ記者は声を潜めて語る。そう思うなら、「慎重に小沢批判」ではなく、堂々と裁判所批判」をすればいいが、そんな度胸はどこにもない。
*「同じ罪状」は枚挙に暇なし
 裁判とは、「法と証拠」に基づいて進められるべきものだ。それをしないのは独裁政権か、民主主義以前の社会である。日本はどちらだったのだろうか。
 「法」の観点から、専門家は判決に強い疑義を提起している。
 小林節慶応大学法学部教授(憲法)は刑事裁判の原則に反すると指摘する。
「判決は憲法31条に基づく『推定無罪』の原則をないがしろにしている。今回は逆に、『疑わしい』ことを理由に有罪判決が出ている」
 判決文には「推認される」「〜と見るのが自然」など、裁判官の心証だけで重要な争点が事実と認定されている箇所が非常に多い。
 落合洋司弁護士は、その推定のずさんさに、元検察官らしい視点で大きな危険を見出す。
 「裁判官が石川、池田両被告の調書11通を不採用にしたことで、3被告の共謀を示す証拠と証言が何もなくなった。ところが、判決は『会計責任者だから知っていたはず』『強い関心を持っていたはず』といった程度の推論を重ねて共謀を認定している。『合理的で疑い得ない立証』は不十分です。こういった手法が採用されれば、冤罪が生み出される危険が懸念されます」
 次々と発覚する冤罪事件の共通する原因は、検察の「自白調書主義」と裁判官の「検察絶対ドグマ」だった。それが全く改められなかったのだから、検察関係者たちが「画期的判決」と膝を打ったのも道理だ。
 法律論でいうなら、もうひとつ完全に無視されたのが「法の下の平等」だ。
 公判では、陸山会の土地購入が正しく報告されていたかという容疑(これ自体が形式犯罪でしかないが)とともに、西松建設からのダミー献金事件も併せて審理された。
 ここでも検察側の立証は完全に腰砕けになり、検察自身が証人に立てた西松建設元部長が、「政治団体はダミーではなく実体があった」と証言した。ところが判決は、「政治団体としての実体はなかった」とし、違法献金だったと認定した。
 では百歩譲ってそれが正しいとしよう。
 問題の西松建設の政治団体からは、小沢氏以外にも自民党の森喜朗・元首相、二階俊博・元経済産業相、尾身幸次・元財務相、民主党の山岡賢次・国家公安委員長、国民新党の自見庄三郎・金融相をはじめ多くの政治家が献金やパーティ券購入を受けている。当然、彼らも小沢氏と並んで違法献金を立件されなければならないはずだ。
 ところが検察は、森氏や尾身氏ら自民党実力者には捜査さえ行なわず、二階氏については会計責任者を事情聴取しただけで不起訴にした。
 それに、このケースのような企業や業界が作る政治団体は、どこも同じような運営をしている。これがダミーというなら、恐らく政治家の9割以上が違法献金を受けていることになる。
 また、陸山会(小沢氏の政治資金管理団体)が違法だと断じられた政治団体による不動産取得についても、町村信孝・元官房長官は政治資金で不動産を購入し、堂々と政治資金収支報告書に記載していた。しかも町村氏の場合、買った不動産は後に自宅として格安で買い取ったのである。さらに、みんなの党の江田憲司・幹事長はじめ、素知らぬ顔で小沢批判を繰り返す政治家のなかに、20人以上の「不動産購入者」がいる。
 今回、大問題のように論じられている収支報告書への「期ずれ記載」や「不記載」に至っては、まさに枚挙に暇がない。2011年の政治資金収支報告書の修正は現在までに約500件にも達している。すべて会計責任者を禁固刑にすべきだ。
 そもそも、小沢氏が問われた個人的な運転資金の貸付など、どの政治家も報告書に記載していない。小沢氏だけが正直に書き、それが「書き方が違う」と断罪されているのである。
*「4億円の原資」真相証言
 「証拠」の面では、判決はもっとデタラメだ。
 登石裁判長は、水谷建設から小沢氏側への1億円闇献金を認定した。
 ダム建設工事に参入するため、当時の社長が04年10月5日、石川被告にホテルの喫茶店で5000万円を渡し、さらに05年4月19日に、大久保被告に5000万円を渡したという。
 そう推定された根拠は、当時の社長が「渡した」と証言したことと、当日の喫茶店の領収書があっただけ。一方で、元社長の運転手の業務日誌にはホテルに行った記録はなく、社長から報告を受けていた同社の元会長も、「会社から裏金が出たことは事実だが、渡されたとは確認していない」と証言し、元社長による横領の疑いを強く匂わせた。
 例によって裁判長は、元社長の証言と領収書を「信用できる」、受け取りを否定する被告らの証言は「信用できない」として、あっさり裏金を認定した。
 よく考えてもらいたい。表ざたにできない違法な献金を、社長が1人で紙袋に入れて持っていき、政治家本人もいない、しかも衆人環視の喫茶店で、秘書に「はい、どうぞ」と渡すことなど考えられるだろうか。
 「裏献金を渡す場合、渡すほうも受け取るほうも、カネが行方不明になることを1番恐れる。あとから、“そんなカネは知らん”となっても誰も真相解明できないからだ。だから受け渡しの際には双方とも複数の幹部が同席して秘密を共有し、相互監視する。密室でやることはいうまでもない」
 自民党のベテラン秘書はそう解説する。この通りの場面がバレた珍しいケースが、自民党を揺るがした日歯連事件だった。
 ところで、そもそも検察は、土地購入に充てられたとされる「4億円」の原資に闇献金が含まれていたかどうか立証していない。それなのに地裁が無理に闇献金を認定した理由は、この4億円を「原資を明確に説明することが困難」(判決文)としないと、なぜ収支報告書に記載しなければならないか、という動機が説明できなくなるからだ。
 それにしても、不記載とされたのは「4億円」を借り直したり、返済したりした1部のやり取りだけで、現に報告書には「小澤一郎借入金 4億円」と記載されている。検察や裁判所の見解によれば、小沢氏の事務所では、表に出せないカネを報告書に堂々と記載するのだという。どう繕っても無理筋の解釈なのだ。
 本誌は検察もマスコミも明らかにできなかった4億円の原資について、10年2月12日号で明らかにした。小沢氏の父・佐重喜氏の代から取引していた旧安田信託銀行(現・みずほ信託銀行)神田支店の当時の担当者への直接取材に成功し、小沢氏が父から相続した個人資金を「ビッグ」という貸付信託で運用し、解約時には元利合わせて少なくとも3億6000万円の払い戻しを受けていたという証言を得た。しかも、当時の貸付信託では利息分の記録が残らず、検察が「4億円の原資が足りない」と考えたのは、利息を見落としていたからだろう、というプロならではの指摘もあった。
*小沢の罪状は国家反逆罪か
 今回の事件が小沢事務所ぐるみの贈収賄であるなら、ただちに小沢氏本人を含めて容疑者を逮捕すべきだ。それこそが政治浄化につながる。が、第1章でも触れたように、新聞・テレビもこれが本当に贈収賄だとは思っていない。「ゼネコン裏金 認定」(朝日)などと報じながら、なぜか政治資金規正法違反より重大な公共事業をめぐる贈収賄事件を独自に検証しようとしないのがその証拠だ。
 わかりやすいのがTBSである。同局は検察が小沢氏への事情聴取に乗り出した昨年1月、「ウラ金献金疑惑、居合わせた人物が核心証言」と銘打って、水谷建設元社長が石川被告に5000万円を手渡した場に同席したという人物の証言を“スクープ”した。ところがその後、この証言は2度と放映されていない。以前、本誌が「放映しないのか」と問い質した際も、「何ともいえない」と尻込みした。つまり、ガセネタだという自覚があるのだろう。
 今回、思いがけず裁判所がそれを追認してくれたのだから、今こそTBSは封印した“スクープ”をまた出せばいい。今度はお墨付きがあるのだから、「これが真相だ」と押し切れるかもしれない。が、そうはしようとしない。
 ここに、この事件の最もどす黒い裏がある。
 つまり、マスコミ、政界、そしていまやそれらを完全に掌握してコントロールする霞が関の巨大権力の目的は、政治浄化でもなければ犯罪の立件でもない。「小沢の政界退場」さえ実現できれば、あとはどうでもいいのである。
 新聞や野党の言葉をよく見ればわかる。「小沢は議員辞職せよ」とはいっても、「贈収賄で逮捕せよ」とは決して言わない。小沢氏が、それら既存権力に20年にわたって嫌われ続けてきた経緯と理由は、ここで述べる紙数はない。が、小沢氏を支持する国民も、そうでない国民も、同氏がマスコミ、既存政党、官僚から恐れられ、嫌われていることは否定しないだろう。
 かのロッキード事件での「コーチャン証言」をご記憶だろうか。検察は、田中角栄元首相に賄賂を渡したとされたロッキード社元会長のコーチャン氏に、免責と引き替えに調書を取る「嘱託尋問調書」という超法規的手段を用い、田中氏を有罪に導いた。さすがに最高裁は同調書には証拠能力がないとしたが、田中氏は公判の長期化で復権の機会がないまま死去し、公訴棄却された。
 一方、後に発覚したグラマン事件では、米国証券取引委員会が岸信介元首相、福田赳夫元首相らに賄賂が渡されたことを告発したが、日本の検察は政界捜査を断念した。
 官僚出身で親米派だった岸、福田氏らは当時の「国家権力」にとって重要な人物であり、一方で「叩き上げ」「列島改造」の田中氏は時のエスタブリッシュメントにとっては目障りで、アメリカからも脅威とみられて警戒されていた。
 裁判は「法と証拠」に基づくものだとすでに述べたが、その根拠にあるべき最も重要なものは「正義」である。国家権力が法を曲げて個人に牙をむくことは、あってはならないが起こりうることだ。しかし、先進国家では誰かが「正義」を奉じてそれを暴き、止めようとするものである。
 この国が恐ろしいのは、すべての権力が同じ方向を向いて走り、正義より自分たちの足元ばかり気にしている点だ。これは一政治家に対する好悪、一事件の真偽を超えた問題である。
 恐らく、このような裁判がまかり通り、誰も「おかしい」と口を開かなくなれば、小沢氏自身も「有罪確定」とみて間違いない。その罪状は何だろう。「国家反逆罪」だといわれればわかりやすいが、そんな気の利いた言葉は、荒涼とした今の権力からは出てこない。
 その法廷で裁かれるのは、この国の「正義」なのかもしれない。
※週刊ポスト2011年10月14日号
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小沢一郎氏 初公判 全発言/『誰が小沢一郎を殺すのか?』2011-10-06 | 政治/検察/メディア/小沢一郎
『誰が小沢一郎を殺すのか?』の著者カレル・ヴァン・ウォルフレン氏と小沢一郎氏が対談〈全文書き起こし〉2011-07-30

小沢一郎氏裁判 第11回公判 「虚偽記入にはあたらない」弥永真生筑波大教授(商事法)の証人尋問

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会計学の専門家、小沢氏側の主張支持…証人尋問
読売新聞 12月21日(水)0時15分配信
 資金管理団体「陸山会」の土地取引を巡り、政治資金規正法違反(虚偽記入)に問われた小沢一郎民主党元代表(69)の第11回公判が20日、東京地裁で開かれ、会計学の専門家として弥永真生筑波大教授(商事法)の証人尋問が行われた。
 弥永教授は、問題の土地購入を巡る政治資金収支報告書への記載などについて、「会計学上は、陸山会による記載方法は許容される」と述べ、小沢被告側の主張に沿う見解を示した。
 小沢被告は元秘書らと共謀し、陸山会が2004年10月に購入した土地の登記を05年1月に延期した上で、土地代金約3億5200万円を04年分ではなく05年分の収支報告書に記載したなどとして起訴された。
 弥永教授は、土地代金を04、05年分のどちらの収支報告書に記載すべきかについて、「実務上は(05年1月の)登記に合わせるのが原則だ」と述べ、虚偽記入にはあたらないとする小沢被告側の主張を支持した。
最終更新:12月21日(水)0時15分 小沢一郎氏裁判 第11回公判 会計専門家「収支報告書は家計簿と同じレベル」
産経ニュース2011.12.20 22:13
 《証人は、筑波大学の会計学の教授。陸山会は問題となっている土地について、平成16年10月に購入代金の支払いを終えたが、所有権移転の本登記を行ったのは翌17年1月。土地代金の支出は16年分ではなく、17年分の政治資金収支報告書に記載している。検察官役の指定弁護士は、これが「虚偽記載にあたる」と主張しているが、これに対して弁護側は本登記を基準にした記載に違法性はないとしている》
 《午後1時10分、大善文男裁判長が開廷を告げる》
 《続いて、証人の教授が入廷。弁護側は商事法、制度会計を専門とする教授の略歴などについて確認した後、企業における会計処理の方法について質問を始めた。教授は、企業については情報提供先として想定されるのが投資家や債権者らで、財政見通しなどを含めた広範な財務状況の開示が求められるのに対し、政治団体は「より『固い』確実な情報を提供する目的がある」と指摘。「経済実態」を示す企業会計と対比させ、政治団体が開示すべき情報を「法的形式」という言葉で表現する》
 弁護人「『法的形式』がより重視される理由はありますか」
 証人「形式であれば外部から見ても分かる状態で会計処理され、主観の見積もりが入りづらいです」
 弁護人「他にメリットはありますか」
 証人「(会計書類の)作成者も予想の見積もりを立てる必要がなく、簡単です」
 弁護人「専門知識がなくても『法的形式』であれば会計処理できると?」
 証人「おっしゃる通りです」
 《教授はすでに提出した意見書の中で、「法的形式」の観点に基づけば、本登記の時点で土地代金の支出を収支報告書に記載した陸山会側の対応に問題はなかった、としている》
 証人「不動産の引き渡し時を特定するのは難しい場合もある。客観的に確定される登記時が、中小企業であれば基準になります。むしろ、本登記していないものを収支報告書に計上することに問題が生じる可能性もあります」
 弁護人「資産取得と支出の計上時期は、同一年度であったほうがよいと考えますか」
 証人「支出だけ記載され、資産の記載がなければ、誤解を生む恐れがあります。例えば前年に5万円の手付金を払い、翌年に95万円で資産を取得したとしても、資産取得代金が『95万円』と記載されるべきではないと考えます」
 《教授は会計学の視点で、資金管理団体の帳簿について、一般企業と同様の厳格な基準で論じるべきではないと繰り返し強調する》
 弁護人「政治資金規正法は、資金管理団体にどの程度のレベルの会計処理を求めていますか」
 証人「現金の収支がきちんとしているかどうかを求めているが、公認会計士も監査法人も通さない仕組み。非常に乱暴な言い方になるが、主婦が家計簿をつけるレベルにかなり近い。せっかくつけたから、配偶者に報告する、そういうイメージだ」
 弁護人「会計学の専門家でなくても作れるのが収支報告書ということですね」
 証人「会計だけでなく、法的な知識がなくても作成できるもの。(一連の土地売買が)終わっていないから記録しなくてもいい、という素朴な感覚を否定するルールを(政治資金規正法が)定めているとは考えられません」
 《弁護側の尋問が終わり、30分の休廷を挟んだ後、指定弁護士側の反対尋問が始まった。質問に立った指定弁護士は、教授の意見書は前提事実に問題がある、と指摘した。不動産会社と陸山会は16年10月に、同月内に売買が完了するとの契約を結んだが、登記は翌17年1月に行われた。弁護士側はその過程で「売買契約が売買予約契約に変更された」と主張、指定弁護士側は「売買契約は10月中に完了した」としているが、この争点が欠落している、という内容だ》
 指定弁護士「売買予約契約に変更されたと理解したんですか」
 証人「変更と推測しました。若い頃には法学を勉強した身ですから。暗黙の理解で当然、契約内容の変更があると思ったが、意見書では会計学の専門家として、そのことに直接ふれていません」
 《指定弁護士は本登記を17年1月にする、という内容の司法書士あての委任状を廷内モニターに表示した。委任状は本登記日の「1月7日」部分が手書きされている。実質的には、16年中に売買に関するすべての業務が終わっていたとして、指定弁護士は教授に質問。これは、教授が意見書を提出した段階で持ち合わせていなかった情報で、指定弁護士側は判断の変更を迫っていく》
 証人「白紙で委任状が出されていたなら、(16年に)所有権の移転がなかったというのは無理がある、ということはありえます。しかし、(「1月7日」が)事後に埋められたのでなければ、やはり最終的に手続きが終わったのは1月7日となる。会計学的な評価は難しいです」
 《指定弁護士は16年分の収支報告書で、登記を終えていない別の不動産が、売買契約段階で記載されている点を指摘。教授は「16年分の収支報告書に土地購入を記載したくなかった、という動機1つでは、翌年の記載が合理性を欠くとはいえない」「矛盾の可能性はあると思うが、はっきりいう根拠がない」》
 裁判官「16年に取得した土地を17年分の収支報告書に記載してかまわないということですね」
 証人「そうです」
 裁判官「どの条文を解釈しているんですか」
 証人「取得年月日を書けという(政治資金規正法の)要求は、報告書を作成する人が、本登記した日を書くと理解されます。16年に土地取得を書けないのに、支出だけ書くのはアンバランスです」
 裁判官「でも、司法上は誤りなんですよね」
 証人「土地取得が(年内に完了していると)特定できていれば、誤りです」
 裁判官「後で誤りが分かっても、直さなくていいのですか?」
 証人「難しい質問です。企業が過年の誤りを一つ一つ訂正しているかどうか…」
 裁判官「誤りは直した方がいいですか」
 証人「直した方がいいか、そこまで要求されているかどうかは言い切れません」
 《次回期日は年明けの1月10、11日。被告人質問》小沢一郎氏裁判 第11回公判 会計専門家「収支報告書は家計簿と同じレベル」
産経ニュース2011.12.20 22:13
 《証人は、筑波大学の会計学の教授。陸山会は問題となっている土地について、平成16年10月に購入代金の支払いを終えたが、所有権移転の本登記を行ったのは翌17年1月。土地代金の支出は16年分ではなく、17年分の政治資金収支報告書に記載している。検察官役の指定弁護士は、これが「虚偽記載にあたる」と主張しているが、これに対して弁護側は本登記を基準にした記載に違法性はないとしている》
 《午後1時10分、大善文男裁判長が開廷を告げる》
 《続いて、証人の教授が入廷。弁護側は商事法、制度会計を専門とする教授の略歴などについて確認した後、企業における会計処理の方法について質問を始めた。教授は、企業については情報提供先として想定されるのが投資家や債権者らで、財政見通しなどを含めた広範な財務状況の開示が求められるのに対し、政治団体は「より『固い』確実な情報を提供する目的がある」と指摘。「経済実態」を示す企業会計と対比させ、政治団体が開示すべき情報を「法的形式」という言葉で表現する》
 弁護人「『法的形式』がより重視される理由はありますか」
 証人「形式であれば外部から見ても分かる状態で会計処理され、主観の見積もりが入りづらいです」
 弁護人「他にメリットはありますか」
 証人「(会計書類の)作成者も予想の見積もりを立てる必要がなく、簡単です」
 弁護人「専門知識がなくても『法的形式』であれば会計処理できると?」
 証人「おっしゃる通りです」
 《教授はすでに提出した意見書の中で、「法的形式」の観点に基づけば、本登記の時点で土地代金の支出を収支報告書に記載した陸山会側の対応に問題はなかった、としている》
 証人「不動産の引き渡し時を特定するのは難しい場合もある。客観的に確定される登記時が、中小企業であれば基準になります。むしろ、本登記していないものを収支報告書に計上することに問題が生じる可能性もあります」
 弁護人「資産取得と支出の計上時期は、同一年度であったほうがよいと考えますか」
 証人「支出だけ記載され、資産の記載がなければ、誤解を生む恐れがあります。例えば前年に5万円の手付金を払い、翌年に95万円で資産を取得したとしても、資産取得代金が『95万円』と記載されるべきではないと考えます」
 《教授は会計学の視点で、資金管理団体の帳簿について、一般企業と同様の厳格な基準で論じるべきではないと繰り返し強調する》
 弁護人「政治資金規正法は、資金管理団体にどの程度のレベルの会計処理を求めていますか」
 証人「現金の収支がきちんとしているかどうかを求めているが、公認会計士も監査法人も通さない仕組み。非常に乱暴な言い方になるが、主婦が家計簿をつけるレベルにかなり近い。せっかくつけたから、配偶者に報告する、そういうイメージだ」
 弁護人「会計学の専門家でなくても作れるのが収支報告書ということですね」
 証人「会計だけでなく、法的な知識がなくても作成できるもの。(一連の土地売買が)終わっていないから記録しなくてもいい、という素朴な感覚を否定するルールを(政治資金規正法が)定めているとは考えられません」
 《弁護側の尋問が終わり、30分の休廷を挟んだ後、指定弁護士側の反対尋問が始まった。質問に立った指定弁護士は、教授の意見書は前提事実に問題がある、と指摘した。不動産会社と陸山会は16年10月に、同月内に売買が完了するとの契約を結んだが、登記は翌17年1月に行われた。弁護士側はその過程で「売買契約が売買予約契約に変更された」と主張、指定弁護士側は「売買契約は10月中に完了した」としているが、この争点が欠落している、という内容だ》
 指定弁護士「売買予約契約に変更されたと理解したんですか」
 証人「変更と推測しました。若い頃には法学を勉強した身ですから。暗黙の理解で当然、契約内容の変更があると思ったが、意見書では会計学の専門家として、そのことに直接ふれていません」
 《指定弁護士は本登記を17年1月にする、という内容の司法書士あての委任状を廷内モニターに表示した。委任状は本登記日の「1月7日」部分が手書きされている。実質的には、16年中に売買に関するすべての業務が終わっていたとして、指定弁護士は教授に質問。これは、教授が意見書を提出した段階で持ち合わせていなかった情報で、指定弁護士側は判断の変更を迫っていく》
 証人「白紙で委任状が出されていたなら、(16年に)所有権の移転がなかったというのは無理がある、ということはありえます。しかし、(「1月7日」が)事後に埋められたのでなければ、やはり最終的に手続きが終わったのは1月7日となる。会計学的な評価は難しいです」
 《指定弁護士は16年分の収支報告書で、登記を終えていない別の不動産が、売買契約段階で記載されている点を指摘。教授は「16年分の収支報告書に土地購入を記載したくなかった、という動機1つでは、翌年の記載が合理性を欠くとはいえない」「矛盾の可能性はあると思うが、はっきりいう根拠がない」》
 裁判官「16年に取得した土地を17年分の収支報告書に記載してかまわないということですね」
 証人「そうです」
 裁判官「どの条文を解釈しているんですか」
 証人「取得年月日を書けという(政治資金規正法の)要求は、報告書を作成する人が、本登記した日を書くと理解されます。16年に土地取得を書けないのに、支出だけ書くのはアンバランスです」
 裁判官「でも、司法上は誤りなんですよね」
 証人「土地取得が(年内に完了していると)特定できていれば、誤りです」
 裁判官「後で誤りが分かっても、直さなくていいのですか?」
 証人「難しい質問です。企業が過年の誤りを一つ一つ訂正しているかどうか…」
 裁判官「誤りは直した方がいいですか」
 証人「直した方がいいか、そこまで要求されているかどうかは言い切れません」
 《次回期日は年明けの1月10、11日。被告人質問》 小沢元代表、法廷:証人尋問終了 検察の資料、不完全 強制起訴、浮かんだ課題
 小沢一郎民主党元代表の公判は20日、証人尋問が終了し、来月10、11日には元代表の被告人質問という山場を迎える。これまでの公判では、市民で構成する検察審査会による「強制起訴制度」の課題も浮かんだ。
 元代表を起訴すべきだとした東京第5検察審査会の2度目の議決は、最初の議決後、元秘書で衆院議員の石川知裕被告(38)=1審有罪、控訴中=が検事の任意聴取で「元代表の関与を認めた理由を合理的に説明した」ことから、石川議員の供述調書の信用性を認めた。「理由」の部分は田代政弘検事が作成した捜査報告書に記載があったが、今月15日の田代検事への証人尋問で、記載と同じ理由の説明はなかったことが判明した。
 また、元公設第1秘書の大久保隆規被告(50)=同=を取り調べた前田恒彦元検事(44)=証拠隠滅罪で実刑確定=への16日の尋問では、石川議員の取り調べに対して弁護人が出していた抗議書面が、検察から検察審に提供されていなかったことが明らかになった。
 元代表側は「強制起訴は、検察から不完全な情報を与えられ審査員が誤解したため」とし、議決の有効性を疑問視。証人尋問をその裏付けの一つとする。
 これに対し、あるベテラン判事は「通常、捜査報告書は上司への意見にすぎず、裁判官は事実認定の際に重視するものではない」と指摘する。
 村岡啓一・一橋大教授(法曹倫理)は「検察審は証拠の真偽を判断する機関ではなく、手続きに沿って職責を果たしている以上、議決は有効」とみる。その上で「強制起訴制度の趣旨には賛成だが、今回の裁判終了後、検察審への検察の資料提供のあり方などの検証が必要になる」と話した。【和田武士】
 ◇会計処理「問題なし」−−専門家
 資金管理団体「陸山会」の土地購入を巡り、政治資金規正法違反(虚偽記載)で強制起訴された民主党元代表、小沢一郎被告(69)の第11回公判が20日、東京地裁(大善文男裁判長)であった。
 弁護側と検察官役の指定弁護士の双方が証人申請した弥永真生(まさお)・筑波大教授(商事法、制度会計)が出廷。会計学の観点から、陸山会の会計処理に問題はないとの見解を示した。
 収支報告書への土地取得の資産計上について「確定性、客観性から考えると、登記時が基準になる」と証言。陸山会が04年10月の土地購入を、05年1月の本登記に併せて05年分収支報告書に記載したことは虚偽記載には当たらないとした。【和田武士】毎日新聞 2011年12月21日 東京朝刊
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小沢一郎氏裁判 会計専門家「収支報告書の記載、会計上、問題はなく適切な処理」証人尋問すべて終了2011-12-20 | 政治/検察/裁判/小沢一郎/メディア
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小沢一郎氏裁判 第9回公判〈前〉/証人 田代政弘検事「特捜部は恐ろしいところだ」=報告書に虚偽の記事2011-12-15 | 政治/検察/裁判/小沢一郎/メディア
 弁護人「平成22年5月17日の取り調べで、あなたは捜査報告書を書いていますね」
 証人「書きました」
 弁護人「何日に書きましたか」
 証人「5月17日に書き始めまして、何日かかけて完成させたと思います」
 弁護人「何ページの報告書ですか」
 証人「5、6ページだったでしょうか」
 弁護人「あなたが書いたものでしょう」
 証人「5、6ページか、もう少し多い10ページだったか。いずれにしましてもそれくらいだったと思います」
 弁護人「それを何日もかけたのですか」
 証人「別の仕事もしながら、合間、合間に作成しましたので…」
 弁護人「中身は覚えていますか」
 証人「だいたいは把握しています」
 弁護人「1ページ目にあなたの署名と押印があるが、間違いありませんか」
 証人「はい」
 弁護人「東京地検特捜部長あてになっているが」
 証人「そうです」
 《続いて、男性弁護士は捜査報告書の中身を示す。石川議員は11万人の有権者の投票を受けて当選したが、大半は「小沢一郎の秘書」というのではなく、個人を信頼して投票したはずだと、○○検事に言われたことを契機に、調書のサインに応じた−とする内容が具体的なやり取りとともに記載されている。だが、実際の録音にはこうしたやり取りは残っていない》
 弁護人「やり取りがないのに、どうして(捜査報告書には)記されているのですか」
 証人「やり取りがあったと認識して書いた」
 弁護人「実際のやり取りと異なるのが、記載されたことですか」
 証人「この日の取り調べを一言一句記載したのではなく、思いだし、思いだし記載した。拘留中に話したことや、保釈後に話したことの記憶が混同していたと思う」
 弁護人「もう一度聞きますが、5月17日から数日で書いたのですね」
 証人「はい」
 弁護人「5月17日には、どこまで書いたのですか」
 証人「それは記憶にはありません」
 弁護人「虚偽の捜査報告書を書いたのではありませんか」
 証人「そうではありません」
 《続いて、弁護人は○○検事が石川議員に「(虚偽記載を認める供述を覆し)逆の供述をすれば、火に油を注ぐことになる」などと話したことを追及していく》
 弁護人「(任意聴取の際には)こう伝えたことがありましたね」
 証人「はい」
 弁護人「繰り返し述べましたね」
 証人「それは、石川さんが従前通りの主張だといいながら、実際に調書のサインの段階になると、『4億円を隠すつもりはなかった』などと覆す。その中で何度かやり取りがあった」
 弁護人「何のために捜査報告書を作っていたのですか」
 証人「調べが終われば、作るように、と指示されていました」
 弁護人「指示はだれからか」
 証人「主任検事です」
 弁護人「あなたは、何日かかけて作るうちに、記憶が混同して、やり取りのない内容を記したということでしたね」
 証人「かいつまんで言えばそうです」
 弁護人「これが検察審査会の小沢さんの起訴議決にも影響を与えた可能性があったと分かっていましたか」
 証人「協議の内容については、分かりません」
 弁護人「可能性の話ですよ」
 証人「可能性の話ならば…」
 《男性弁護士は、検察審査会の議決の理由に、捜査報告書の内容を挙げている点を紹介し、追及していく》
 弁護人「理由に捜査報告書の内容が挙がっていることは認識していましたか」
 証人「議決自体は見ていないが、報道レベルでは知っていました」
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小沢一郎氏裁判 第10回公判〈後〉前田恒彦元検事「私が裁判官なら小沢さん無罪」「検察、証拠隠しあった」2011-12-17 | 政治/検察/裁判/小沢一郎/メディア
 弁護人「証拠隠しって何ですか」
 証人「要は、私が裁判官なら、『無罪』と判決を書く。証拠がすべて出されたとしても…」
 弁護人「いや、『隠された証拠』ってなんなんですか」
 証人「私が思っているだけですけどね。判決では検察審査会の起訴議決が妥当だったかどうかも審理されるわけですよね。そこで検察が不起訴と判断した資料として検審に提出されるもので、証拠になっていないものがあるわけですよ。例えば、(自分が取り調べを担当した)大久保さんの調書には全くクレームがないけど、石川さんの調書にはあるんです。弁護士からのクレーム申入書が。でも(指定弁護士との)打ち合わせのときに、指定弁護士は知らなかった。検審に提出された不起訴記録に入っていないから」「私はクレームが来ていないから胸を張って任意性がある、と言えるんですけど。石川さんの調書に問題があったんじゃないですかね。(石川議員の取り調べに対する)クレームはバンバンあったくらいの印象がある。指定弁護士も調査したら1、2通見つかったと言っていたが、私の印象ではもっとあると思いました。それが証拠に含まれていれば、審査会が見て、調書の信用性は減殺されるわけですよね」「それに、この事件では捜査態勢が、途中でものすごく拡充されたんですよ。(元秘書ら逮捕者の取り調べを行う『身柄班』に対して)『業者班』。ゼネコンや下請けの捜査員を増やした。でも、(作成された)調書が、まー、ないでしょ? 大久保さん、小沢さんに裏金を渡しているという検察の想定と違う取り調べ内容は、証拠化しないんです。どうするかといえば、メモにしている。手書きのその場のメモということでなく、ワープロで供述要旨を整理していた」「水谷(建設)で言えば、4億円の原資として5千万円は水谷かもね、となっても、残りの3億5千万円については分からない。何十人の検察官が調べて、出てこない。検審にそれが示されれば、水谷建設の裏献金の信用性も、減殺されていたはず。想定に合わなければ証拠にならないというのがこれまでの検察で、私も感覚がずれていて、厚労省の(証拠改竄)事件を起こすことにもなった」
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小沢一郎氏裁判/“はぐれ検事”前田恒彦・元検事の爆弾証言でハッキリした「検察審は解散が必要」

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小沢裁判でハッキリした やっぱり検察審は「解散」が必要
日刊ゲンダイ2011/12/19
 「検察の証拠隠しがあった。検察審はすべての証拠を見ていない。証拠が全部出れば、小沢氏は無罪だ」――“はぐれ検事”の爆弾証言でハッキリしたのは検察審査会制度の致命的な欠陥だ。「市民目線」と称する検察審を悪用すれば検察の意のままに誰もが犯罪者に仕立て上げられる恐怖のシステム。検察審は即刻解散が必要だ。
 ◆検察の追認機関にすぎない正体不明の組織
 「ゼネコン献金は夢物語。検察幹部の妄想だ」
 16日の小沢裁判に証人として出廷した前田恒彦・元検事(44)は冗舌だった。赤裸々な捜査批判や暴露話の連続に、法廷の小沢一郎も思わず身を乗り出したほどだ。
 前田が証拠隠しの例に挙げたのは、検察幹部の「夢物語」に関する現場検事の「捜査メモ」だ。
 例の土地購入費4億円について、「妄想」を抱いていたのは当時の佐久間達哉特捜部長と大鶴基成次席検事、木村匡良主任検事のみ。佐久間部長が現場の陣中見舞いに訪れ、「4億のうち、水谷建設から5000万、○○社から1億、××社から2億」と持論を展開するのを聞き、前田は「何だそれ、夢を語っているのか」と思ったという。
 なぜなら、当時は地方から20人近くの検事が東京地検へ応援に駆り出され、小沢の地元・岩手の胆沢ダムム工事を受注したスーパーゼネコンや下請け業者を総がかりで聴取した。ところが、水谷建設以外から全く供述は得られず、「小沢側に現金を渡していない」と語る業者ばかりだった。
 「特捜部は想定と違う話は調書にせず、(証拠にならない)取り調べメモとしてワープロでまとめ、捜査班内で配って共有する。当時は『金を渡していない』という建設業者の供述メモが大量に出回っていた」(前田)
 5000万円を受け取ったとされる元秘書の石川議員もかたくなに否定。石川を調べた吉田正喜副部長(当時)でさえ、「アイツ、受け取っていないんじゃないか」と前田に漏らし、前田は「妄想ばかりで、現場は厭戦(えんせん)ムードが漂っていた」と証言した。
 小沢の裏金捜査は、現場レベルでは「シロ」という判断だったのだ。
 ◆はぐれ検事 前田の告発がなければ闇から闇の世の中…
 しかし、一般人11人が集まった検察審査会の議決書には「小沢氏の4億円の出どころの説明は著しく不合理だ」とある。検察幹部の妄想に引きずられた結果だ。実は取り調べメモは保管義務の対象外で捜査後に廃棄されてしまう。建設業者の「裏金を渡していない」という大量のメモは、従って検察審の目に触れられない。
 前田は「審査員がメモを見ていれば、水谷の話の信用性は低くなって違った判断が出ていたはず」と、力説した。
 強制起訴の最大の根拠となった石川調書も同じだ。検察は検察審査会に石川議員の取り調べを巡る弁護人からの抗議文を提供していない。審査員が抗議文を見れば、「小沢氏に虚偽記載を報告し、了承を得た」という調書の信用性は低下していた。
 しかも、再捜査時に石川議員を取り調べた田代政弘検事はウソの捜査報告書を上司に提出。調書なら、調べられた当人の石川議員の署名が必要だが、報告書は検事が署名するだけ。検察審はウソの報告書を踏まえ、「再捜査で、石川自身が有権者から選ばれた議員であることなどを理由に合理的に説明している」と判断、石川調書を信用したのだ。
 前田は自分の公判でフロッピーディスク改ざん事件の動機について、「失敗が許されない捜査で強いプレッシャーを感じた」と語った。この日は田代検事について、「相当プレッシャーがあったと思う」と証言し、故意の捏造をにじませたが、さらに問題なのは検察審の隠蔽体質だ。
 小沢弁護団が再三、検察審に渡った検察証拠の情報開示を求めても、一切応じないという。100%密室の中、検察のさじ加減ひとつで、いとも簡単に検察審の判断がコントロールできるなんて、恐ろしい。ジャーナリストの魚住昭氏は「致命的な欠陥が明るみに出た以上、検察審査会制度は即刻やめるべきだ」とこう言う。
 「検察側が、素人である検察審にどんな証拠を出し、どんな証拠を隠すのか。極めて恣意的な判断で、証拠が足りなくて起訴できなかった人物でも、検察審を経由することで、裁判にかけられてしまう。しかも、捜査現場で『見立てが、どうも違うぞ』と判断した事件ですら、一部の検察幹部が“妄想”に執着すれば検察審で起訴できてしまうのです。本当に恐ろしい制度です」
 検察組織を追われた、はぐれ検事の“告発”がなければ、闇から闇の世が続いていた。小沢を強制起訴した平均年齢34・55歳の審査員も「検察にだまされた」と不明を恥じるなら、「私たちが間違っていました」と、名乗り出て小沢に土下座すべきだ。
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小沢一郎氏裁判 第10回公判〈前〉/前田恒彦元検事「上司から『特捜部と小沢の全面戦争だ』と言われた」2011-12-16 | 政治/検察/裁判/小沢一郎/メディア
 証人「話すと5、6時間かかりますが、端的に言うと、検察の体面を保つことと、自身の保身のためです」
 指定弁護士「主任検事として大きなプレッシャーを感じていたのですか」
 証人「はい」
 指定弁護士「本件でもそうですか」
 証人「それは全然違います」「厚生労働省の事件では、大阪高検検事長が積極的で、単独犯ではあり得ないという雰囲気があった。一方で、本件では(ゼネコンからの)裏献金で小沢先生を立件しようと積極的なのは、東京地検特捜部特捜部長や■■主任検事(法廷では実名)など一部で、現場は厭戦(えんせん)ムードでした。東京高検検事長も立件に消極的と聞いていましたし、厚労省の事件とは比較になりませんでした」「大久保さんを取り調べましたが、『とても無理ですよね』と感じました。小沢先生を土曜日に取り調べて、当時の特捜部長だった佐久間(達哉)さんらが東京拘置所に陣中見舞いに来ました。そのとき、私と○○検事(法廷では実名)、△△検事(同)が向かい合って座っていました。佐久間さんは『雰囲気を教えてくれ』ということを言われました」「(前田元検事の上司だった)大阪地検の特捜部長であれば、怒鳴られて言えないけど、佐久間さんはそんなことはなかった。『大久保はどう?』と聞かれたので、『頑張ってみますけど難しいです』と暗に立件は無理と伝えました。他の検事も同じようなことを言っていたと思います。一部積極的な人もいたが、小沢先生まで行くことはないと思いました」
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小沢一郎氏裁判 第10回公判〈後〉前田恒彦元検事「私が裁判官なら小沢さん無罪」「検察、証拠隠しあった」2011-12-17 | 政治/検察/裁判/小沢一郎/メディア
 弁護人「証拠隠しって何ですか」
 証人「要は、私が裁判官なら、『無罪』と判決を書く。証拠がすべて出されたとしても…」
 弁護人「いや、『隠された証拠』ってなんなんですか」
 証人「私が思っているだけですけどね。判決では検察審査会の起訴議決が妥当だったかどうかも審理されるわけですよね。そこで検察が不起訴と判断した資料として検審に提出されるもので、証拠になっていないものがあるわけですよ。例えば、(自分が取り調べを担当した)大久保さんの調書には全くクレームがないけど、石川さんの調書にはあるんです。弁護士からのクレーム申入書が。でも(指定弁護士との)打ち合わせのときに、指定弁護士は知らなかった。検審に提出された不起訴記録に入っていないから」「私はクレームが来ていないから胸を張って任意性がある、と言えるんですけど。石川さんの調書に問題があったんじゃないですかね。(石川議員の取り調べに対する)クレームはバンバンあったくらいの印象がある。指定弁護士も調査したら1、2通見つかったと言っていたが、私の印象ではもっとあると思いました。それが証拠に含まれていれば、審査会が見て、調書の信用性は減殺されるわけですよね」「それに、この事件では捜査態勢が、途中でものすごく拡充されたんですよ。(元秘書ら逮捕者の取り調べを行う『身柄班』に対して)『業者班』。ゼネコンや下請けの捜査員を増やした。でも、(作成された)調書が、まー、ないでしょ? 大久保さん、小沢さんに裏金を渡しているという検察の想定と違う取り調べ内容は、証拠化しないんです。どうするかといえば、メモにしている。手書きのその場のメモということでなく、ワープロで供述要旨を整理していた」「水谷(建設)で言えば、4億円の原資として5千万円は水谷かもね、となっても、残りの3億5千万円については分からない。何十人の検察官が調べて、出てこない。検審にそれが示されれば、水谷建設の裏献金の信用性も、減殺されていたはず。想定に合わなければ証拠にならないというのがこれまでの検察で、私も感覚がずれていて、厚労省の(証拠改竄)事件を起こすことにもなった」
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「小沢一郎氏 裁判」=検察官による「虚偽捜査報告書作成事件」 郷原信郎氏

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「激変する環境、思考停止する組織〜郷原信郎が斬る」<Vol.16> 2011.12.19
陸山会事件を「平成の盧溝橋事件」にしてはならない
〜虚偽捜査報告書作成事件の捜査・調査に速やかに着手すべき〜

 このところ、九州電力の問題、オリンパスの問題など企業をめぐる問題ばかり取り上げてきたこのコーナーだが、今回は、久しぶりに検察の問題を取り上げる。
 検察審査会起訴議決によって起訴されている小沢一郎氏の公判で、昨年の秋に表面化し、検察の信頼を失墜させた大阪地検をめぐる不祥事をも上回る重大な問題が、先週、明らかになったからだ。
 12月15日に東京地裁で開かれた公判において、元東京地検特捜部所属の田代政弘検事の証人尋問が行われ、昨年5月、同会元事務担当者の石川知裕衆院議員を保釈後に再聴取した際の状況について、石川被告が供述していない内容を捜査報告書に記載していたことが明らかになった。
 その報告書は小沢被告に対する起訴議決を出した東京第5検察審査会にも提出され、審査の資料とされ、議決書にも一部が引用されている。
 石川被告は昨年1月の逮捕後、田代検事の取り調べを受け、「小沢被告の了承を得て政治資金収支報告書に虚偽記入をした」との供述調書に署名した。そして、同年5月17日の任意の再聴取でも同様の内容の調書が作成され、同日付けの取調べ状況に関する捜査報告書とともに、検察審査会に捜査資料として提出された。この問題を、一面トップ、社会面トップで報じた16日付読売新聞朝刊によると、同報告書には、田代検事が小沢氏に対する報告とその了承について調査を録取した状況を質問したことに対する石川氏の供述として、以下のように記載されている。
 「私が『小沢先生は一切関係ありません』と言い張ったら、検事から、『あなたは11万人以上の選挙民に支持されて国会議員になったんでしょ。小沢一郎の秘書という理由ではなく、石川知裕に期待して国政に送り出したはずです。それなのに、ヤクザの手下が親分を守るためにウソをつくのと同じようなことをしたら、選挙民を裏切ることになりますよ。』と言われたんですよね。これは結構効いたんですよ。堪えきれなくなって、小沢先生に報告し、了承も得ましたって話したんですよね。」
 ところが、そのようなやり取りは、石川被告が再聴取を隠し取りした録音記録にはない。
 同日の証人尋問で、その点について、小沢被告の弁護人から追及された田代検事は、「数日をかけて、思い出しながら報告書をまとめる際、勾留中のやり取りなどと記憶が混同した。虚偽ではない」と釈明した。
 田代検事の行為は、検察官の作成名義の捜査報告書という公文書に虚偽の記載をしていたということであり、虚偽性についての認識があれば、虚偽公文書作成罪という犯罪に該当する。
 虚偽公文書作成という犯罪は、形式上犯罪に該当する行為であっても、可罰性の幅は非常に広い。公文書の内容に事実に反する点があったとしても、それが官公庁内部に止まるものであれば、実質的な処罰価値はない場合も多い。しかし、本件のようにその報告書が司法作用に重大な影響を及ぼすというのは、最も悪質・重大な虚偽公文書作成の事実と言えよう。
 検察官の取調べをめぐる問題は、郵便不正事件でも、小沢氏の元秘書3人が起訴された政治資金規正法違反事件でも問題になった。被疑者が実際の供述しているのとは異なる内容の供述調書が作成され、威迫、利益誘導、切り違えなどの不当な方法によって被疑者に署名をさせるという方法が問題にされ、供述調書の請求が却下されるという事例が相次いでいる。
 被疑者の供述を内容とする捜査報告書をめぐる今回の問題は、検察官の供述調書をめぐる問題とは性格を異にする。供述者の署名があって初めて書面として成立する供述調書とは異なり、捜査報告書は、検察官側が一方的に作成できる書面だ。あくまで捜査の状況を報告するための文書であり、その分、被疑者の供述内容を立証する証拠としての価値は低い。一般の刑事事件においては、捜査報告書によって被疑者の供述が立証され事実認定が行われることはほとんどない。
 しかし、検察審査会の審査員という素人の判断との関係では、捜査報告書の取扱いも全く異なってくる。証拠の種別、価値等について前提となる知識が乏しい審査員は、捜査報告書であっても、被疑者の供述として書面に記載されていれば、それなりに信用できるもののように判断することとなる。
 今回虚偽であることが明らかになった捜査報告書は、検察審査会に資料として提出され、審査会の判断の根拠とされたものであり、それを意図して行われた疑い、つまり、虚偽の捜査報告書が検察審査会をだます目的で使われた疑いがある。そこに、これまで供述調書に関して問題とされてきたこととは異なる重大な問題があるのである。
 そこで、まず問題となるのは、報告書に虚偽の記載が行われたことが意図的なものであるかどうかである。
 田代検事は、勾留中の取調べのやり取りと混同したという「過失」を主張しているが、起訴後、保釈で身柄非拘束の状況での取調べでのやり取りを、その直後に捜査報告書に記載する際に、3ヶ月前も前の勾留中のやり取りと混同するなどということ自体が考えられない。
 また、通常、被疑者の供述が変遷したのであれば、変遷の時点で理由を聞いているはずであり、3ヶ月以上も経った、釈放後に、勾留中の供述の理由を尋ねるということも、検察官の取調べの経過として考えられない。そのような常識では考えられないような質問を自分が行い、石川氏がそれに答えているという状況を、田代検事が「自らの記憶」として報告書に書いたとは考えられない。
 しかも、石川氏の勾留中の取調べの大半が、水谷建設からの裏献金の受領の問題に費やされたこと、特に、勾留延長後の10日間は、田代検事から担当副部長に取調べ検察官が交代し、もっぱら水谷建設からの裏献金の問題について聞かれていたことは、同氏自身が語っているところである。政治資金収支報告書の虚偽記入について小沢氏に報告をした旨の石川氏の供述調書に関して、田代検事がそのような供述をした理由を尋ね、石川氏が説明する、というような「勾留中のやり取り」は、いったいどの時点で行われたのであろうか。そもそもその「やり取り」自体が存在していなかった疑いが強い。だとすると、石川氏が、「ヤクザの手下が親分を守るためにウソをつくのと同じようなことをしたら、選挙民を裏切ることになる」と考えて小沢氏への虚偽記載の報告を認めた、という捜査報告書の記述自体が「創作」であり、石川氏の供述を捏造した疑いが濃厚と言うべきであろう。
 田代検事の「過失」の弁解は明らかに不合理であり、意図的で、しかも実害を伴う虚偽公文書作成罪の嫌疑が相当程度認められるのであるから、検察として、捜査或いは内部調査に乗り出すのは当然であろう(「うその報告書―検察は経緯を検証せよ」と題する12月18日の朝日新聞社説でも、「なぜうその報告書が作られ、チェックもできなかったのか、経過を解明・検証して国民に説明する作業が欠かせない」と説明を求めている)。
 検察には、今回の虚偽公文書作成の問題について、今のところ何の動きもない。この件について何の調査も捜査も行わないとすると、前田検事の故意の証拠改ざんを行った事実を知りながら、同検事の刑事事件について捜査し、検挙するなどの措置をとらなかったとして上司の大坪・佐賀両氏を犯人隠避罪に問おうとしている検察の主張は、根底から崩れる。調査を行ったとしても、田代検事の「過失」の弁解を、そのまま受け入れるようであれば同様である。それによって、先日、検察官の論告・求刑が行われた大坪・佐賀両氏の公判にも重大な影響を与えることとなる。大坪・佐賀両氏の弁護側から、公訴取消を求められた場合、検察はどう反論するのであろうか。
 本件の虚偽公文書作成の問題に関して重要なことは、それが、検察審査会の議決に大きな影響を与えたこと、つまり、刑事司法作用を害する結果になったことだ。
 前田元検事の事件では、フロッピーディスクのデータの改ざんが行われたが、データが改ざんされる前の正しいデータを記載した捜査報告書が弁護側に開示され証拠請求されたことから、公判の審理には結果的に影響を与えなかったのに対して、今回虚偽が明らかになった捜査報告書は、検察審査会に提出され、小沢氏を起訴すべきとする議決書にも引用されており、まさに、検察審査会が小沢氏の犯罪事実を認定する議決に大きな影響を与えている。
 しかも、その取調べの際、たまたま、石川被告が、隠し録音をしていたことから、虚偽報告が発覚したが、もし、録音が存在していなかったら、田代検事は、今回のような小沢氏の公判での証人尋問で、捜査報告書の通りに取調べ時のやり取りを証言していたであろう。それは田代検事が録取した石川氏の供述調書の信用性を肯定する根拠にされた可能性が高い。
 さらに重大な問題は、この虚偽捜査報告書の作成が意図的なものであったとすれば、それが田代検事個人の判断で行われたものとは考えにくいということだ。
 先に述べたように、勾留中の被疑者が検察官の取調べに対して新たに行った供述について、その理由を、起訴後3ヶ月も経った後の取調べでわざわざ質問し、それについて捜査報告書を作成するなどということは、通常の検察官の取調べではあり得ない。何らかの上司の指示がなければ、このような捜査報告書が作成されることはないと考えるのが合理的であろう。
 そもそも、この政治資金規正法違反事件について、小沢氏は、検察の処分としては、嫌疑不十分で不起訴となっており、検察の組織としては、犯罪事実の認定について消極の判断をしている。通常であれば、検察審査会で起訴相当議決や起訴議決が出されて検察の処分が覆されることは、検察にとって極めて不名誉なことであり、検察審査会の議決を受けて行われる再捜査において、わざわざ、検察の不処分が検察審査会の議決で覆される方向で捜査を行うこと自体、担当検察官個人の行動としてはあり得ない。石川氏の供述調書の信用性を補強する虚偽の捜査報告書を作成してまで、検察審査会に小沢氏の犯罪事実を認めさせようとする行動は、田代検事個人の意思によって行われたとは考えられない。
 検察組織全体の方針に反して、検察審査会の議決を検察の処分を覆す方向に向け、それによって小沢氏を政治的に葬ろうと考える一部の集団が検察組織内部に存在していて、田代検事はその意向に従って動いたとしか考えられない。
 検察審査会の審査員が小沢氏との共謀を認める石川氏の供述調書を信用し、小沢氏に対する起訴議決を行うようにするため、田代検事に虚偽の捜査報告書を作成させる、という行為が、東京地検特捜部内で組織的な背景を持って行われた疑いが濃厚である。そうなると、検察批判を繰り返してきた私にすら信じられないことではあるが、陸山会事件では、特捜部という検察組織の中の一部が、小沢氏不起訴という検察の組織としての決定に従わず、検察審査会という外部の組織を活用して検察の処分を覆させようとする「暴発」したと見ざるを得ないのである。
 田代検事の証人尋問の翌日の12月16日の公判で、証人として出廷した前田元検事が、「主任検事から『この件は特捜部と小沢の全面戦争だ。小沢をあげられなければ特捜の負けだ』といわれた」「検察が不起訴と判断した資料として検審に提出されるもので、証拠になっていないものがある」などと証言し、東京地検特捜部の陸山会事件捜査を厳しく批判した。証拠隠滅事件で実刑判決を受けて受刑中の前田元検事は、特捜部の問題とは利害関係がなくなっており、その供述の信用性を疑う理由に乏しい。そのような前田検事による、陸山会事件の捜査の内幕の暴露も、その捜査に一層疑念を生じさせるものとなった。
 昨年秋に表面化した問題は、大阪地検が中心だったが、今回の問題は特捜検察の本尊とも言える東京地検特捜部の問題だ。それだけに、特捜検察は、まさに、存亡の危機と言うべき状況にある。
 陸山会事件について小沢氏を起訴すべきとする検察審査会の議決は、政権交代によって成立した鳩山政権を退陣に追い込む大きな要因となり、その後の二度にわたる民主党代表選での争点を小沢氏の「政治とカネ」問題に集中させた。それ以降、反小沢の民主党主流派と小沢派との間の泥沼の党内対立によって、民主党は国民の支持を失っただけでなく、深刻な政治不信を招き、日本の政党政治は、もはや崩壊に近い状態とも言える一方で、東京地検特捜部の小沢氏に対する一連の捜査への対抗意識も動機の一つとなって、大阪地検特捜部が無理に無理を重ねた郵便不正事件は、村木氏の冤罪、証拠改ざんの発覚という最悪の結末となり、特捜部長、副部長の逮捕という異常な事態まで引き起こして検察の信頼は失墜した。他方、その発端となった小沢氏に対する東京地検特捜部の捜査も、不当な取調べによる供述調書の請求却下、そして、今回の虚偽報告書の作成問題と次々と問題を露呈し、検察への信頼は地に堕ちた。国家の最も枢要な作用と言うべき刑事司法の中核を担う検察は、今や危機的状況にある。
 このように、社会全体が、そして、検察という一つの権力組織が泥沼の状況に追い込まれていく契機となったという意味で、陸山会事件は、日本軍という権力組織、そして、日本という国が「日中戦争」の泥沼へと引きずり込まれていく契機となった「盧溝橋事件」と似ているとの見方もできよう。
 日本軍側、中国側のいずれが仕掛けたものであるのかについて、様々な見方の違いがあるが、いずれにしても、盧溝橋事件が、何者かの意図によって、予期せぬ軍事衝突が引き起こされ、それが日中戦争の引き金になっていったことには、ほぼ疑いがない。
 それと同様に、陸山会事件の検察審査会の起訴相当議決、起訴議決が、刑事司法関係者の予期せぬものであり、それが、その後の日本の政治、社会、そして検察組織に重大な影響を生じさせていったことは明らかである。
 歴史のベールに包まれた盧溝橋事件の真相を解明することは、今となっては極めて困難であろう。しかし、その後の日本の政治、社会に重大な影響を与えた検察審査会での起訴議決という「民意」の作出に大きく影響したと思われる虚偽の捜査報告書作成事件が、意図的なものであったのか、組織的背景があったのかを、捜査又は調査によって解明することは決して困難なことではない。捜査又は調査にただちに着手し、陸山会事件の検察捜査の真相を明らかにすることが、日本の社会を、そして、検察を救う唯一の道である。
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小沢一郎氏裁判 第9回公判〈前〉/証人 田代政弘検事「特捜部は恐ろしいところだ」=報告書に虚偽の記事2011-12-15 | 政治/検察/裁判/小沢一郎/メディア
 弁護人「平成22年5月17日の取り調べで、あなたは捜査報告書を書いていますね」
 証人「書きました」
 弁護人「何日に書きましたか」
 証人「5月17日に書き始めまして、何日かかけて完成させたと思います」
 弁護人「何ページの報告書ですか」
 証人「5、6ページだったでしょうか」
 弁護人「あなたが書いたものでしょう」
 証人「5、6ページか、もう少し多い10ページだったか。いずれにしましてもそれくらいだったと思います」
 弁護人「それを何日もかけたのですか」
 証人「別の仕事もしながら、合間、合間に作成しましたので…」
 弁護人「中身は覚えていますか」
 証人「だいたいは把握しています」
 弁護人「1ページ目にあなたの署名と押印があるが、間違いありませんか」
 証人「はい」
 弁護人「東京地検特捜部長あてになっているが」
 証人「そうです」
 《続いて、男性弁護士は捜査報告書の中身を示す。石川議員は11万人の有権者の投票を受けて当選したが、大半は「小沢一郎の秘書」というのではなく、個人を信頼して投票したはずだと、○○検事に言われたことを契機に、調書のサインに応じた−とする内容が具体的なやり取りとともに記載されている。だが、実際の録音にはこうしたやり取りは残っていない》
 弁護人「やり取りがないのに、どうして(捜査報告書には)記されているのですか」
 証人「やり取りがあったと認識して書いた」
 弁護人「実際のやり取りと異なるのが、記載されたことですか」
 証人「この日の取り調べを一言一句記載したのではなく、思いだし、思いだし記載した。拘留中に話したことや、保釈後に話したことの記憶が混同していたと思う」
 弁護人「もう一度聞きますが、5月17日から数日で書いたのですね」
 証人「はい」
 弁護人「5月17日には、どこまで書いたのですか」
 証人「それは記憶にはありません」
 弁護人「虚偽の捜査報告書を書いたのではありませんか」
 証人「そうではありません」
 《続いて、弁護人は○○検事が石川議員に「(虚偽記載を認める供述を覆し)逆の供述をすれば、火に油を注ぐことになる」などと話したことを追及していく》
 弁護人「(任意聴取の際には)こう伝えたことがありましたね」
 証人「はい」
 弁護人「繰り返し述べましたね」
 証人「それは、石川さんが従前通りの主張だといいながら、実際に調書のサインの段階になると、『4億円を隠すつもりはなかった』などと覆す。その中で何度かやり取りがあった」
 弁護人「何のために捜査報告書を作っていたのですか」
 証人「調べが終われば、作るように、と指示されていました」
 弁護人「指示はだれからか」
 証人「主任検事です」
 弁護人「あなたは、何日かかけて作るうちに、記憶が混同して、やり取りのない内容を記したということでしたね」
 証人「かいつまんで言えばそうです」
 弁護人「これが検察審査会の小沢さんの起訴議決にも影響を与えた可能性があったと分かっていましたか」
 証人「協議の内容については、分かりません」
 弁護人「可能性の話ですよ」
 証人「可能性の話ならば…」
 《男性弁護士は、検察審査会の議決の理由に、捜査報告書の内容を挙げている点を紹介し、追及していく》
 弁護人「理由に捜査報告書の内容が挙がっていることは認識していましたか」
 証人「議決自体は見ていないが、報道レベルでは知っていました」

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田代政弘検事 ウソの捜査報告書作成=検察審査会「起訴相当」議決に影響/小沢一郎氏裁判 第9回公判2011-12-16 | 政治/検察/裁判/小沢一郎/メディア
小沢一郎氏裁判 第10回公判〈前〉/前田恒彦元検事「上司から『特捜部と小沢の全面戦争だ』と言われた」2011-12-16 | 政治/検察/裁判/小沢一郎/メディア
小沢一郎氏裁判 第10回公判〈後〉前田恒彦元検事「私が裁判官なら小沢さん無罪」「検察、証拠隠しあった」2011-12-17 | 政治/検察/裁判/小沢一郎/メディア
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郷原信郎氏×魚住昭氏「特捜神話の崩壊」?証拠の扱いに慣れてない特捜部2010-10-14 | 政治/検察/裁判/小沢一郎/メディア
 編集部 検察の闇ということでは、今回、前田(恒彦)検事の証拠改竄問題が浮上しました。魚住さんは『冤罪法廷』で、村木さんの裁判をずっと取材してこられたんですが、前田検事のデータの改竄問題をどう思われましたか。
魚住 各社が騒いだようには、僕は別に驚きませんでした。供述調書のでっちあげとか、都合のいい証拠だけ摘み食いして事件を作るとか、いろんなことをやってることは既に明らかになってますから、その延長線上に物証をいじることくらい、やっぱりあるかなあ、と。まあ、やってたんだとねえっていう感じですね(笑)。
郷原 これまで特捜がやってきた事件なら、決定的な物証ってなかったわけですよね。贈収賄にしても、ヤミ献金の事件にしても、密室で金を遣った取ったの話だから、お話を作ってしまえばお終いなんですよ。客観的に矛盾するブツっていうものが、もともとないんですよ。ところが今回は、まあ、やり損ないでこんなになっちゃたんだと思うんですけども、虚偽公文書作成っていう文書犯罪だけになっちゃったんですね、最後、村木さんの事件が。そうであれば、その文書に関する客観的な証拠っていうのは、ものすごく重要なんです。決定的な証拠なんです。ところが特捜っていうところは、もともとそういう客観的な証拠で立証するという流儀があまりないんですよ。扱い慣れてないんですよ。
魚住 うん。
郷原 だいたいほとんど軟球で野球してるんですよ。硬球で野球をしたことがあまりないんですよ(笑)。今回は、もろ硬球だったものだから、その扱い方がまるっきり硬球の野球にならなかったんです。
魚住 つまり、本来の刑事事件の捜査の仕方を知らないっていうことですね。
郷原 知らないんですよ。
魚住 前田検事の経歴を見ていて、今日、気付いたんだけど、彼は任官3年後からずっと特捜なんですね。大阪の特捜から入って、それで東京特捜に行って、また大阪に帰って。途中で、ほんのちょっとだけ別のところに行った時期がありますけどね。つまり彼はずっと特捜だっていうことは・・・。
郷原 職人ですね(笑)。
魚住 職人というか(笑)・・・。
郷原 一般事件をやってない。ちゃんとした事件を。
魚住 やってない。で、たぶん公判も知らないんです、あんまり知らないんです。
郷原 多分、そうですね。
魚住 要するに、基本的な行儀作法というのが分かってないんだと思うんですよ。
郷原 そういうことでしょうね。文書の犯罪っていうのが、どうやって裏付けを取って、どうやって事実を確定していくかっていうことが分かってない。
魚住 特捜の流儀でやっちゃったんですね。
郷原 そうです。お話を作ったんです、多分。うどんを捏ねたんです(笑)。
魚住 それがおかしいって言っては失礼だけど、いかにもありそうな話だけど、すごく滑稽にしか思えないっていう感じがありますね。
公安部検事と特捜部検事の違い
郷原 そうですね。彼の経験の中では、こんなこと初めてだったんでしょう。みんな、供述のレベルでは、なんとかかんとか、関係者の供述を総合するとということでなんとかなってきたんですよ。事実だってそんなに厳密に詰めなくたって、6月上旬「頃」(注・強調)に金の遣り取りがあったと、厳密に特定しなくたってすんだんですよ。そこがまったく違っていたということでしょうね。
魚住 今日、元検事の落合洋司さんていう弁護士さんと話していて、その落合さんが言うんですね。「虚偽公文書作成罪にとっては、フロッピーデータというのは最も大切な証拠なんだ」って。
郷原 そうです。
魚住 落合さんは特捜経験があんまりなくて、公安・・・。
郷原 彼、公安なんですよ。私も公安のほうがむしろ長かったんですね。
魚住 公安検事が言うんだったら分かるけども・・・。
郷原 公安部の事件と特捜部の事件と、報告書の作り方も違うんですよ。公安部の着手報告って、必ず右側に裏付けの証拠っていうのがある。だって、ほとんど自白ないですから、公安部の事件て。むしろ証拠が中心なんですよ、裏付けの証拠が。
魚住 なるほど。
郷原 特捜部の着手報告は、そんなのないですから。関係者の供述を総合して、ストーリーを書いてるだけなんですよ(笑)。
魚住 (笑)。
郷原 もともとそういうふうにして、裏付け証拠で確認していくっていう作業は、特捜にはあまりないんですよ。主任のところで供述の擦り合わせをするだけなんです。
魚住 じゃ、われわれの知ってる検察庁の検事さんの組織文化・風土と、特捜の風土っていうのは非常に異なるということですね。
郷原 そうですね。おそらく個人レベルできちんとした捜査をする、きちんとした人間は、自分の調書を取るときに自分で一応ウラを確認していくんだと思うんですよ。昔はそうやってウラを取って、自分の調書のストーリーが客観的な事実に反しないように確かめてはいたわけですよ、個人レベルで。
魚住 ええ。
郷原 ところが、それが最近いい加減になってしまって、お話だけになって。それでももってきたんですよ。多分、前田検事のこれまでやってきた調べの中では、ほとんどそれですんでいるんですよ。
「最高検も汚染されている」
魚住 裁判所も証拠決定の理由の中でこんなこと言ってます。
 上村(勉)元係長を逮捕したのが去年の5月26日だった。その直後から国井(弘樹)検事は上村元係長に、元係長の自宅から押収されたフロッピーディスクの更新日時、6月1日未明になっているやつを示しながら、6月1日未明更新という日時と公的証明書の発行日付5月28日にズレがあるから、君はバックデートしたんだろうという追求したんだと。で、上村元係長はその追求を受けて、自分の記憶にはなかったけれども客観的に違うからバックデートは認めたと。それから数日して、村木元局長の指示を認める自白調書にも署名をしたと。
郷原 5月31日ですね。
魚住 その後、6月7日、それからさらにずっと10何通も自白調書は作られているんだけれども、その中で肝心のフロッピーディスクの更新日時については、一言も触れられていなかった。だから横田(信之)裁判長は、検察側は自分たちの描いたストーリーと矛盾するような事実を、要するに、隠そうとしたんだろうと思われるという判断をしていますよね。
郷原 そうですね。
魚住 国井検事や前田主任検事たちの発想、つまり、もうすでに上村元係長を逮捕した時点でストーリーができているんですね。
郷原 その前に関係者からは、6月8日くらいのところで村木さんから上村氏に指示があったというストーリーが出来上がっちゃってるんです。でも、まだ文書のフロッピーが見つかっていないんだから、それを確定させちゃだめなんです。
魚住 そうなんですね。
郷原 ところが先にもう作っちゃてるから・・・。
魚住 作っちゃってるからフロッピーのデータが出てきても・・・。本来ならその客観的証拠のほうを優先させなきゃいけないのに、その客観的証拠を・・・。
郷原 ストーリーに合わなくなっちゃったんです。
魚住 お話に合わせるために、弾いちゃったんですよね。
郷原 しかも弾くなら弾くで、最初から全部無視すればいいものを、さっき魚住さんが言われるように、国井検事が調べで使っているわけですよ。それも追求に使っているわけですよ。バックデートしたことを、最初、上村氏が喋っていなかったから、ちゃんとバックデートしてるじゃないかと。人間記憶なんて曖昧なものだね、だから多数決で決めようや、私に任せなさい、という話になっているわけですよ。
魚住 そうそう。
郷原 そこまで追求に使っているのに、その追求に使ったフローピーが、全然その後出てこないっていうのは何故なのか。これは多分、取り調べをやった国井検事と前田検事の間で、話をしているはずですよ。これ、どうするのかと。これじゃ調書取れないと。そのフロッピーを示したら、一発でアウトですよ。
魚住 うん。
郷原 で、彼らはどういうストーリーにするのか、ストーリーの組み立てようがなかったんじゃないですかね、曖昧な形にしてぼかすしか。そこで私は不思議なんですけども、そんな曖昧なストーリーで、よく村木さん逮捕のゴーサインが出たなっていうことなんです。
魚住 そうですね。それこそ特捜の事件の作り方が、大阪地検、大阪高検、あるいは最終的にゴーサインを出した最高検、全部がそういう作り方に汚染されてたっていうことですね。
郷原 そうなるんですよ。しかし少なくとも文書犯罪で立件するのに、その文書がいつできたのか分からない。その文書に関する客観的なブツがどうなっているのか、これもよく分からない。それじゃ、ゴーサインは出ないでしょう。
魚住 出ないですね。それに起訴するときだって、全部、最高検までいっているはずですから。
郷原 ええ。
魚住 捜査報告書は出ているわけです。フロッピーの更新日時は6月1日未明であるっていうことは、少なくとも地検の上層部、それから高検、最高検は、認識し得たはずなんですね。
郷原 それをちゃんと着手報告書で書いていたかどうかです、そのフロッピーのことを。書いてなかったんじゃないかと思うんですね。
魚住 いやいや、起訴するとき。
郷原 あ、起訴するときはそうですよね、それは当然・・・。
魚住 普通の頭を持った上司だったら、このストーリーとこの日時は合わないということが判断できるはずですね。
郷原 いや、起訴の段階でも、そのフロッピーのことは表に出していなかったんじゃないですかね。
魚住 じゃ、その捜査報告書は上にいってない?
郷原 その捜査報告者は、起訴の段階では認識してないんですよ、前田検事は。その後にできているんですよ、捜査報告書は。
魚住 いやいや、起訴の段階は7月4日です。で、捜査報告書の作成日付は6月29日です。
郷原 そうか、時間的には起訴のほうが後なんですね。でも、できていることを認識してなかったんじゃないですか。
魚住 認識してなかった可能性もあるし、忘れていた可能性もあるし・・・。
郷原 いずれにしても、そこの点をまず彼らがどう考えたのか、前田検事と国井検事が。ストーリーをぼかすといっても、常識的に考えたら村木氏の指示はなかったんじゃないか、最終的には立証が不可能になるんじゃないかと、考えるべきですよね。
魚住 そうですね。
不可解な事件の背景
郷原 そこで、新聞に出てましたけども、村木さんを逮捕するときのやり方が、いかにも自信のないやり方をしているんです。
魚住 というのは?
郷原 新聞の休刊日の前の日に、休みの日にいきなり村木さんを呼んで・・・。
魚住 大阪地検ね。
郷原 それで、絶対に分からないようにしろと。で、調べてみて、村木氏が認めるようならこれでいけるけども、否認されたらそのまま帰すぐらいのつもりでいたのかも知れない。それをどこかのテレビ局に調べをやっているところを撮られたらしいんですね。
魚住 ああ。
郷原 最初から、これは筋がメチャメチャ悪いから慎重にやらないといけないという認識を持ってた可能性がありますよね。
魚住 そうでしょうか。でも、上村元係長の拘留満期がもう6月14日に来てますよね。だから、すでに再逮捕・・・。
郷原 してますね。
魚住 スケジュール的には、すごくスムーズに流れてるじゃないですか。
郷原 でも曖昧ですよね、文書作成した日時も。しかもまだ全然調べてないし、村木さんが認めるかどうかも分からない。取り敢えず、ここまで来たら一応調べるだけ調べてみてもいいけれども、認めさせられなかったらもう帰すしかない。それを伏せておけばいいわけですから。そういう条件で、取り調べを許可したっていう可能性もあるんじゃないですか。
魚住 ああ。
郷原 ところが、どっかのテレビ局にやられちゃったんで、もう後に引けなくなって逮捕という可能性も・・・。
魚住 でも、大阪地検に呼んでるんですよ。記者にバレないわけ、ないじゃないですか(笑)。
郷原 確かにそうですね(笑)。それだったらどこか大阪府内の某所でやりますねえ。
魚住 ホテルで調べてもいいんだし、いくらでもやり様がありますよね。
郷原 確かにちょっと不可解ですね、そこが。
魚住 だからこの事件は、今ある情報だけで判断しちゃいけないんじゃないかなっていう気もしているんですよ。もっともっと僕らが知らないことがあって、もしかしたらそれに蓋をするためにとにかく早めに、前田さんがマスコミに出てペラペラ喋っちゃうと困るから、とにかく早くあいつパクっておけと、あいつの口に蓋をしろと。
 それで後は最高検が他に累が及ばないように、うまく事件をこじんまりと纏めるからという、そういうことを狙ってるんじゃないかなという気がする。
データが改善されているのにゴーサインを出した不自然さ
郷原 当時の特捜部長と副部長の調べはどうなったんですかね。昨日は夜中までやっていて、今日もやってるという話でしょう。(前部長の大坪弘道、前副部長の佐賀元明の両容疑者は、この後、犯人隠避容疑で逮捕)
魚住 そうですね。
郷原 ベラベラ喋ってますよね。
魚住 俺は監督責任しかないとか。
郷原 それとか、最高検はやり過ぎだとか喋ってますよね、佐賀(元明)前副部長が。あれやられると、最高検はカンカンになって怒ってるんじゃないですかね。
魚住 そうでしょうね。新聞は完全に被疑者扱いじゃないですか、写真の撮り方とか、テレビの撮り方を見てると。世論はもうそういうふうな目で見てますからね。
郷原 しかも、問題なのは、逮捕・起訴のところもそうですけども、少なくとも彼らが認めている話の範囲内でも、今年の1月でしたか2月でしたか・・・。
魚住 2月だといわれています。
郷原 公判が始まる前に、過失か故意かはともかくとして、フロッピーのデータが改竄されてることを知ってるわけですよね。そこを知って、尚かつ問題がないという判断をした。しかも村木さん有罪という前提で、その後もずっと突っ走っていますね。
魚住 そうですね。
郷原 それはちょっと考えられないんですよね。
魚住 ええ。
郷原 改竄がどうのこうのは別として、6月1日が最終更新なのに6月8日が村木さんから上村氏への指示だとすると、ものすごくおかしなストーリーになるんですね。
魚住 そうですね。
郷原 最終的に検察が論告でやっているストーリーっていうのは、こうです。6月1日にフロッピーの文書データを作成し終えていたと。ところが印刷をしてなかったというんですね、まだ本当に作っていいかどうか分からなくて。
魚住 どうしようか決めかねていた、と。
郷原 最後、不正の指示があって、背中を押されるようにしてそれで印刷したっていうんですけども、それはどう考えてもおかしいですよね。普通は文書を作ったら、そこで印刷しますよ。
魚住 ええ。
郷原 だから、そういう無理なストーリーを前提にして起訴したのか、そして公判もそういうストーリーで立証することを前提にして始めたのか。なんかこう、ほとんど有罪の見込みがないのを無理して突っ張ったとしか考えられないですね。
魚住 ああ。
郷原 しかも、5月に裁判所は上村氏などの証拠請求を却下して、その後、今日の朝日新聞の夕刊に出てましたけども、最高検に報告しているみたいですね、その今の日付の関係を。
 そこで、フロッピーの改竄のことは報告してないっていうことを問題にしてるけども、フロッピーの改竄のことを報告するしないは別として、そのストーリーがものすごく不自然じゃないですか。そこをどう考えたんですかね。そんな不自然なストーリーのまま有罪の論告ができたっていうのが、私はちょっと不思議なんです。
最大のポイントは国井検事の証言
魚住 そもそも冒頭陳述は特捜部が作ったんでしょ、当然?
郷原 そりゃそうです。おそらく最高検までいってるはずですよ。
魚住 いってますよね。それでも、そのストーリーの矛盾が問題にならなかった。
郷原 冒頭陳述の段階ではぼかしてるんですよ。6月上旬と・・・。
魚住 そうです、そうです。
郷原 それを論告で具体化しているストーリーがそういう・・・。
魚住 そうです、そうです。
郷原 ぼかしたストーリーになってます。
魚住 で、弁護側の冒頭陳述でその矛盾を突かれちゃってアワ食っちゃったと。その後の対応がよく分からないんです。公判部の女性検事が登場しますね。要するに、彼女がまず不審に思ったっていうことなんですかね。
郷原 そうみたいですね。それで、これはおかしいと言って・・・。
魚住 で、国井検事に聞いたっていう話になってますね。国井検事って仲間じゃないですか、前田検事と一心同体のはずじゃないですか。
郷原 それで国井検事が驚いて前田検事に聞いたって、電話で・・・。
魚住 聞いたっていうんでしょ。どうもそれがちょっと僕はよく分からない。
郷原 ええ。だって国井検事は分かっているはずですよ。だって自分で調べてるんだから。
魚住 そう。だって上村元係長を調べてるわけだから。そこもまずおかしいし、次に、国井検事が前田検事に電話で聞いたら、前田検事が「時限爆弾を仕掛けた」って言うんでしょ。
郷原 そうそうそう(笑)。
魚住 そんな大事なこと、電話で言うかって(笑)。それもおかしいよね。
郷原 やっぱり、国井・前田ラインでいったいどういう話をしたのか、ここなんですよ。
魚住 そう。
郷原 この二人の間の話は・・・、まず調べをしているときの話ですね、上村氏の取り調べのときに彼はどう報告してたのか、この矛盾について。これ当然報告しているはずなんです。で、二人の間でどうしようっていう話になったのか。
 それからその後、半年あまりたって公判が始まるときに女性検事が騒いだ。その時に、また国井・前田っていうところで話が行われたはずですよ。この話の内容はどういうことだったのか。これが今の事件の捜査の最大のポイントだと思うんですよ。
魚住 そうですよね。
郷原 前の特捜部長、副部長を夜遅くまで調べているっていうんですけど、国井検事のほうはどうなっているですかね。
魚住 そうですね。国井検事の供述内容が、すごく重大なポイントになるんだろうけれども、最高検は、まあ、外には本当のとこは出さないでしょうね。
捜査に第三者を入れるべきだ
郷原 そうなると、やっぱり最高検のチームでちゃんとした捜査なんかできるのっていう話ですよ。
魚住 できないですよね。泥棒の親分に手下の泥棒を調べさせてどうするのって(笑)。
郷原 そうですよ。ちょっと冗談みたいな話ですね。しかも決済の話があるわけじゃないですか。ストーリーの話があるわけじゃないですか。「おまえは最高検にどういう報告をしたのか」って最高検のチームが調べるなんて、こんな冗談みたいな話がありますか。もう考えられないですよ。
魚住 ヘンな話ですよね。本来は、最高検の捜査は捜査で別として、それとは別の形で第三者委員会みたいなものを作らなきゃダメですね。
郷原 私は捜査自体、検察の内部者だけでやったらダメだと思いますよ。外部から捜査経験のある弁護士を、それも検察とベタベタのヤメ検じゃなくて、一線を画しているヤメ検だっているわけですから、そういう人間をチームに入れて、そういう人間主体の捜査チームで調べないとダメですよ。
魚住 それは法的にできますか。
郷原 できますよ。任期付きで任官させればいいわけじゃないですか。法務大臣が辞令を出せばできますよ。だから法務大臣がしっかりしないといけないんですよ。法務大臣は鼎の軽重を問われますよ、こんなバカなことをやっていたら。
「最高検が適切に捜査されると思う」、まだそんなこと言ってるみたいですね、今日。ちょっと勘弁してくれよっていう話ですよね。あんたの仕事だろうと(笑)。
魚住 そうか、じゃヤメ検でなくてもいいじゃないですか。法曹資格がありさえすればいいわけでしょ。
郷原 いいんだけども、ただやっぱり調べの経験がないと、相手は海千山千ですから。だって前田、国井、この連中ですよ。弁護士で民事とかばっかりやってる人が調べられますか?
魚住 そりゃそうだけど、それこそ村木さんの主任弁護人だった弘中(惇一郎)さんとか、そういう人たちにやってもらったらどうですか。
郷原 私がやらしてもらってもいいです(笑)。
魚住 ハハハハ。でも、そうしないと本当のことは出ないですね。
郷原 ええ、第三者が入らないと絶対ダメです。 (了)

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ますますアホらしい小沢一郎氏裁判 「期ズレ」はまったく問題なし

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ますますアホらしい小沢裁判 会計、法律のカリスマ教授が決定的証言
日刊ゲンダイ2011年12月21日
「期ズレ」はまったく問題なし
 「資産取得と支出の記載時期は同一年分であるべき。問題となった収支報告書に記載を移したのは、当然の帰結だ」
  小沢裁判で、またもや決定的証言だ。20日の第11回公判に証人出廷したのは、筑波大の弥永真生教授(50)。明大在学中に司法試験、公認会計士試験、不動産鑑定士試験を次々と突破。その後、東大法学部に学士入学し、首席で卒業した経歴の持ち主だ。
 「弥永氏は商事法と制度会計のエキスパート。商法や会社法に関する数々の著書は司法試験志願者のバイブルとなっています」(司法関係者)
  そんなカリスマ教授が、「会計学上は陸山会の土地購入に関する会計処理は許容範囲」と、お墨付きを与えたのだ。
  陸山会は04年10月に約4億円で土地を購入し、05年1月に所有権移転の本登記を行った。本登記に合わせて土地の取得や支出を05年分の収支報告書に記載。この「期ズレ」の問題で、小沢は元秘書3人との「虚偽記載」の共謀罪に問われ、裁判に縛られてしまった。
  しかし、弥永教授は「企業財務と収支報告書の会計基準には違いがある」と主張。上場企業なら、経営実態に即した迅速な会計処理が求められるが、政治団体には株主や投資家もいないし、収支報告書の会計基準は「主婦の家計簿レベルに近い」と証言した。
  不動産取得の計上時期も「土地の引き渡し時期を外部から確認できる登記時を基準とすべき」と語り、本登記前に代金を支払っても「『前払い』にあたる。記載義務はない」と明言した。
  さらに政治資金収支報告書が国民への情報公開を目的にしていることを強調し、「支出だけを記録してもそれに見合う資産計上がなければ、国民の誤解を招く。数年分をまとめて見て、初めてひとつの取引が判明するような作りでなく、資産取得と支出の記載時期が同一年分であることが望ましい」と指摘したのだ。
  検察官役の指定弁護士は「もっぱら報告書の記載を1年遅らせるために所有権移転の登記を翌年にずらした場合も、(こうした手法が)認められるのか」と問い詰めていたが、弥永教授は「動機は関係ない」と断言した。
  ますます、裁判は無意味となり、マンガの様相を呈してきた。
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小沢一郎氏裁判 第11回公判 「虚偽記入にはあたらない」弥永真生筑波大教授(商事法)の証人尋問2011-12-21 | 政治/検察/裁判/小沢一郎/メディア
小沢一郎氏裁判 第11回公判 会計専門家「収支報告書は家計簿と同じレベル」
 産経ニュース2011.12.20 22:13
 
 弁護人「『法的形式』がより重視される理由はありますか」
 証人「形式であれば外部から見ても分かる状態で会計処理され、主観の見積もりが入りづらいです」
 弁護人「他にメリットはありますか」
 証人「(会計書類の)作成者も予想の見積もりを立てる必要がなく、簡単です」
 弁護人「専門知識がなくても『法的形式』であれば会計処理できると?」
 証人「おっしゃる通りです」
 《教授はすでに提出した意見書の中で、「法的形式」の観点に基づけば、本登記の時点で土地代金の支出を収支報告書に記載した陸山会側の対応に問題はなかった、としている》
 証人「不動産の引き渡し時を特定するのは難しい場合もある。客観的に確定される登記時が、中小企業であれば基準になります。むしろ、本登記していないものを収支報告書に計上することに問題が生じる可能性もあります」
 弁護人「資産取得と支出の計上時期は、同一年度であったほうがよいと考えますか」
 証人「支出だけ記載され、資産の記載がなければ、誤解を生む恐れがあります。例えば前年に5万円の手付金を払い、翌年に95万円で資産を取得したとしても、資産取得代金が『95万円』と記載されるべきではないと考えます」
 《教授は会計学の視点で、資金管理団体の帳簿について、一般企業と同様の厳格な基準で論じるべきではないと繰り返し強調する》
 弁護人「政治資金規正法は、資金管理団体にどの程度のレベルの会計処理を求めていますか」
 証人「現金の収支がきちんとしているかどうかを求めているが、公認会計士も監査法人も通さない仕組み。非常に乱暴な言い方になるが、主婦が家計簿をつけるレベルにかなり近い。せっかくつけたから、配偶者に報告する、そういうイメージだ」
 弁護人「会計学の専門家でなくても作れるのが収支報告書ということですね」
 証人「会計だけでなく、法的な知識がなくても作成できるもの。(一連の土地売買が)終わっていないから記録しなくてもいい、という素朴な感覚を否定するルールを(政治資金規正法が)定めているとは考えられません」
 《弁護側の尋問が終わり、30分の休廷を挟んだ後、指定弁護士側の反対尋問が始まった。質問に立った指定弁護士は、教授の意見書は前提事実に問題がある、と指摘した。不動産会社と陸山会は16年10月に、同月内に売買が完了するとの契約を結んだが、登記は翌17年1月に行われた。弁護士側はその過程で「売買契約が売買予約契約に変更された」と主張、指定弁護士側は「売買契約は10月中に完了した」としているが、この争点が欠落している、という内容だ》
 指定弁護士「売買予約契約に変更されたと理解したんですか」
 証人「変更と推測しました。若い頃には法学を勉強した身ですから。暗黙の理解で当然、契約内容の変更があると思ったが、意見書では会計学の専門家として、そのことに直接ふれていません」
 《指定弁護士は本登記を17年1月にする、という内容の司法書士あての委任状を廷内モニターに表示した。委任状は本登記日の「1月7日」部分が手書きされている。実質的には、16年中に売買に関するすべての業務が終わっていたとして、指定弁護士は教授に質問。これは、教授が意見書を提出した段階で持ち合わせていなかった情報で、指定弁護士側は判断の変更を迫っていく》
 証人「白紙で委任状が出されていたなら、(16年に)所有権の移転がなかったというのは無理がある、ということはありえます。しかし、(「1月7日」が)事後に埋められたのでなければ、やはり最終的に手続きが終わったのは1月7日となる。会計学的な評価は難しいです」
 《指定弁護士は16年分の収支報告書で、登記を終えていない別の不動産が、売買契約段階で記載されている点を指摘。教授は「16年分の収支報告書に土地購入を記載したくなかった、という動機1つでは、翌年の記載が合理性を欠くとはいえない」「矛盾の可能性はあると思うが、はっきりいう根拠がない」》
 裁判官「16年に取得した土地を17年分の収支報告書に記載してかまわないということですね」
 証人「そうです」
 裁判官「どの条文を解釈しているんですか」
 証人「取得年月日を書けという(政治資金規正法の)要求は、報告書を作成する人が、本登記した日を書くと理解されます。16年に土地取得を書けないのに、支出だけ書くのはアンバランスです」
 裁判官「でも、司法上は誤りなんですよね」
 証人「土地取得が(年内に完了していると)特定できていれば、誤りです」
 裁判官「後で誤りが分かっても、直さなくていいのですか?」
 証人「難しい質問です。企業が過年の誤りを一つ一つ訂正しているかどうか…」
 裁判官「誤りは直した方がいいですか」
 証人「直した方がいいか、そこまで要求されているかどうかは言い切れません」
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「検察の失墜」田原総一郎×郷原信郎2010-10-09 | 政治/検察/裁判/小沢一郎/メディア
田原:ぼくが違和感を覚えることがあるんです。新聞が民主党の代表選挙の前にやった世論調査では菅さんがだいたい7割で、小沢さんが2割に達しなかった。ところが、告示以後の演説は、小沢さんのほうが面白いんですよ、率直に言って。中身もあるし夢もある。だから小沢さんの支持率は上がるんじゃないかと思ったら、結局、小沢さんの支持率は上がらなかった。何だろうと。国民の多くには、小沢は汚い、あいつは悪いヤツだという認識が相当浸透しているんじゃないかと。
郷原:それは間違いないでしょうね。昨年の西松建設事件が何だったのか、大久保秘書が捕まった事実が何だったのか、小沢さんにどういう疑いがあったのか、そして世田谷の不動産の事件っていうのがいったいどういう事件で、石川さんはなんで捕まったのか、そして小沢さんはどういう疑いで調べを受けたのか、こんなこと正確に言える人は世論調査を受けている人の100人のうち1人もいないですよ。
田原:いないですよ。分かんないでしょう。
郷原:要するに、何か金の問題がある、政治と金の問題だ、そして世田谷の不動産に関しては4億円。これだけでイメージが出来上がってしまっているんです。
田原:検察がリークしたかどうか分かりませんが、とにかくマスコミで、新聞やテレビで、小沢汚い、悪いと相当そういう情報を氾濫させましたね。
郷原:ツイッターでこういうことを書いている人がいました。一連の小沢さんに対する捜査の中で多くの市井の「おばちゃんたち」は、小沢さんは西松建設から4億円貰って、その4億円で世田谷の不動産を買ったと、そう思ってますよって言ってる人がいたんです。そうか、確かにそう言われてみると、みんな、そういうふうに思ってるのかなと思いましたね。
田原:そこでひとつお伺いしたい。大新聞の世論調査は、もちろんテレビもそうですが、みんな小沢さんの支持率は非常に低い。ところがネットの世界・・・。
郷原:全然、違いますね。
田原:逆転なんですよ。代表選中にニコニコ動画でやった調査だと、小沢さん支持が78、菅さん支持が20あるかないか。なんでこんなネットは小沢さんが高くて、大マスコミは小沢さんが低いんでしょうね。
郷原:ニコニコ動画もそうですけども、ネットというのは、まさにその素材を直接見て誰が何を言っているのかということを、まず分かってますよね。その意味じゃ、ちゃんと考えて見ているわけですよ。何となく訳分かんないけど、イメージだけで良い悪いを判断してるんじゃない。しかもネットには一般のテレビと新聞とは違う情報が流れているんですよ。ツイッターの世界もそうですし、ブログの世界もそうです。そこを見ればいろんな意見があって、こういう見方がある、どの見方が正しいのかっていうことだって自分で判断できるんですよ。
田原:なるほど。これを流しているのはネットの世界だね、今?
編集部:はい、そうです(この対談はUstで生中継しました)。
田原:これを聞いている人、見ている人の中では、小沢さんの支持率が高いのかな?
郷原:その可能性、高いですね。
編集部:今、ツイッターへの書き込みをみても、相当、検察批判をされている方がおられるので。
田原:ツイッターに何か質問は来てない?
編集部:たとえば村木さんの郵政不正問題で民主党の政治家を狙ったというのは、政治家の力で検察がそう動いているのか、それとも検察独自の「検察の正義」というのがあって勝手に動いているのか、どちらでしょうか。つまり政権与党が野党の民主党政治家をやろうと思ってやらしているのか、それとも検察が独自の判断でやっているのか、という質問です。
田原:郵政不正のときは、民主党は野党だったんだよね。
郷原:私の経験からすると、政治家の側に、これをやれと圧力をかけられて検察が動くという可能性はあまりないと思います。そうじゃなくて、検察の側がそれなりにこういうふうにやった方がいいんじゃないかという判断をして動く場合が大部分だと思うんですよ。ただ、私の特捜検察での直接的経験というのはかなり前です。2000年以降の検察でどういうことが起きているのか、ちょっと分からない面はあるんですよ。例えば、三井環さんのように、例の裏金問題で、検察は小泉政権に、自民党サイドにずいぶん世話になってしまって、それから自民党とベッタリになったという見方をしている人がいますよね。
田原:三井環さん、もちろん知ってる方が多いと思います。すこし解説を加えると、三井さんは検察の幹部のときに、逮捕されたんですね?
郷原:大阪高検の公安部長です。
田原:その公安部長が、検察の告発をしたんですね。
郷原:裏金問題を告発しようとした。
田原:その日は、夕方、テレビ朝日の番組に出ることになっていた。そしたらその直前に逮捕された。
郷原:三井さんのお話によると、人事問題などを巡って時の政権に検察がお世話になって、そして最終的には裏金問題も目を瞑ってもらって、そこで自民党政権にお世話になったんだと言うのです。そこでいってみれば毒饅頭を食うような形になって、それから自民党政権には頭が上がらなくなった、と。それ以来、政治と検察の関係が変わったんだという見方をする人がいます。そこは私は検察にいなかったので分からないですよ。しかし私の経験から言うと、検察の中にはやはり検察の内部でのモチベーションの維持とか、組織としてみんながある程度一体として纏まっていくために、あまり無茶な政治との結託をやると却っておかしなことになるということは、ずっとみんな考えてきたと思うんですよ。ですから・・・。
田原:現に、小沢さんの世田谷の深沢の土地の問題を検察がドンと言い出したのは、民主党が政権をとって以後ですよね。
郷原:そうです。これはどう考えたって、政治と結託するなんていう話じゃないんですよ。むしろ、小沢さんを何とかして叩き潰したいという、いってみれば遺恨試合ですね。
田原:そこを聞きたい。なんで検察が、小沢一郎を叩き潰したいと、こう思い込んでるんですかね。
郷原:まず一つは、西松建設事件で失敗してしまった。いってみれば一旦拳を振り上げてやっつけようとした人間を潰せなかった。その潰せなかった人間が大きな力を持つようになったら、それは報復されるんじゃないかっていう思いがありますね。
田原:あ、報復か。
郷原:そういう思いがあったり、そもそもやはりもともと田中派の重鎮だった小沢さんとの昔からの確執みたいなものがあるかも知れないです。何とかして小沢氏を政治的に力を弱めようという意図が働いていた可能性もありますね。
田原:なるほど。田中派のいわば中枢にいて、田中派のやり方を今もやってると、検察はこう思い込んでいるんですね。
郷原:まあ、少なくとも検察との関係は良くない人間で、もし彼が政治的に権力を握ると検察にとって大変なことになるという危惧感はあったかも知れないですね。
田原:ちょっと聞きたいんですが、検察は少なくとも小沢さんの問題で、深沢の土地の問題では結局起訴できなかった。そういう意味じゃ、検察にしちゃ失敗です。ところが、その後の小沢さんの支持率の低さ、代表選挙の結果を見ると世論操作では成功してるんじゃないですか?
郷原:検察が成功したというよりも、検察が小沢氏の事件に関しては力尽きたわけですね、不起訴で。その後今度は二段ロケットとして、検察審査会というロケットがボンと噴射したわけですよ。それを使ったメディアの反小沢キャンペーンが成功してるっていうことじゃないですかね。
田原:検察審査会のことは郷原さん、どう見ます?
郷原:これはきちんと整理して考えないといけないんですよ。まず、検察はあれだけ執念深く小沢氏の刑事責任を追及しようとして、石川氏まで逮捕して、小沢氏を聴取して、それにも関わらず起訴できなかった。不起訴だったわけですよ。これが検察が組織として本来起訴できるものを、何か弱気になって、あるいは小沢氏の側に特別の計らいをして不起訴にしてやったということは通常は考えられない。ぎりぎりまで起訴できるものだったら起訴しようと思って捜査をした結果が不起訴に終わったわけです。あれは検察の敗北だったわけです。その検察の不起訴という処分を受けて検察審査会が、11人のいってみれば素人の人達の市民の集まりですね、この人たちが、起訴すべきだ、起訴相当だという判断を出した。前にも言ったように、犯罪とされるものの中身も単なる期ずれですよ。2カ月ちょっと不動産の取得時期がずれてるっていうだけですよ。そういう事実で起訴相当っていう判断を出した。その時に検察審査会の議決書のなかでは、市民の考え方からしてそうなんだ、こういう観点から起訴すべきなんだという、検察審査会の議決を受けて、検察は再捜査したわけです。それでも検察は、それを受けて再捜査しても、また不起訴ですよ。
田原:そうでしたね。
郷原:これだって、できるものだったらやりたいんだけども、やっぱり不起訴です。ということで、まさに国家機関である、訴追権を行使する国家機関である検察の判断は、不起訴っていうことで固まってるわけです。この不起訴は嫌疑不十分ではない。嫌疑なしじゃなくて嫌疑不十分だから嫌疑があるんだというふうなことを、訳の分かんないことを言う人がいるんですけども、そうじゃないですよ。裁判だって無罪判決っていうのが、疑いがあったって証拠で証明できなければ無罪です。それと同じですよ。嫌疑なしっていう裁定はあるけれども、それは人違いだったとか、別の犯人が見つかったとかそういう場合が嫌疑なしであって、とにかく犯罪事実が立証できないときには嫌疑不十分、不起訴なんです。そういう形で国家機関である検察の判断は、これでもう確定しているんですよ。これから先は、検察審査会法上は、その場合でも検察審査会にもう一回戻されて起訴相当の議決が出た場合には、もう一回審議をしなさい、その結果市民の審査員の中の11人中8人以上が起訴相当っていう議決をしたら起訴の手続きを指定の弁護士が取りなさい、そういうことなんです。しかしそこの部分は、もう国家機関たる検察の判断が出た後に、でも念のために裁判所で全部証拠をもう一回検証してみて、本当に不起訴でいいのかどうかをチェックしてみよう、確かめてみようと、こういう手続きなんですよ。それは何故かって言ったら、市民が、検察の処分だけでは終わらせるべきではない、まだちょっと納得できないところがあるから、念のために裁判所に判断してもらってくれと言ってるだけなんですよ。これはこういう例えで考えたら分かりやすいと思うんです。検察の不起訴までは、正式なコンサートの曲目です。プログラムに載ってる、一曲目はこれ、二曲目はこれっていう正式な曲目です。これは終わってるんですよ、検察の不起訴で。その後にアンコールといって、もう一曲、二曲演奏する場合があるじゃないですか。これなんですよ。拍手が鳴り止まないから指揮者がもう一回出てきて曲を演奏する。それなんですよ。
田原:ただね、郷原さん仰るけど、逆にいうと、例えば明石の橋で大勢が亡くなったあの事件、それからJR西日本のあの問題。あれは検察審査会が起訴相当とやって起訴された、ということがありますね。
郷原:ですから、あれも議決書の中に書いてありますよ。起訴しても、有罪になるかどうか分からないっていうか、有罪の可能性は低いかも知れないけれども、裁判所で最終的に明らかにすべきだという理由で起訴相当の議決をしてるんですよ。明石だってそうだし、尼崎の事件だってそう。この二つも有罪になる可能性はきわめて低いっていうことは、刑事法関係者の中では常識なんですよ。
田原:そうか。あれは検察審査会で起訴されたわけで、有罪かどうかじゃないんですね。
郷原:全然違いますよ。有罪になると考える人はきわめて極々少数ですよ。ただそれでも、ああいう事件を検察だけでは終わらせるべきでないという判断なんです。特に明石の歩道橋の事件っていうのは、警察幹部の事件なんですよ。警察幹部の事件っていうのは検察と警察の関係を考えたら・・・。
田原:一種の馴れ合いがあるんじゃないかと。
郷原:ええ、そういう疑いがあるから検察限りで終わらせるべきではない、という議決なんです。ところがこの小沢さんの事件はまったく違うんですよ。検察はもう力の限りやって、2回力尽きてるんですよ。後、それでもアンコールって言ってるだけなんですよ。このアンコールを中心に考える人はいるのか、コンサートは正式曲目を前提にチケットを買うんじゃないのか、ということなんです、問題は。
田原:一つお聞きしたい。もともと郷原さんは検事さんだった。その郷原さんが、今、懸命に検察批判をしている。何故なんですか。
郷原:私は、特捜部のあり方っていうのは非常に問題があるっていうことは、検事をやってる頃からずっと思ってきましたし、ですから特捜検察とは平成5年のゼネコン汚職事件のときで決別したつもりです。まあ、関わらないといけなかった特別な事件もありましたけど。
田原:特捜はどこが問題なんですか。
郷原:それは私の『検察が危ない』(ベスト新書)っていう本の中に書きましたが・・・。
田原:ええ、読みました。要するに、いまや特捜検察っていうものの権力を維持すること、特捜の看板を維持すること、それが自己目的化してるっていうことですね。
郷原:ええ。そしてそのために特捜検察に対する世の中の評判とか、権威っていうものを維持するために、ちょっと普通じゃ考えられないようなことが行われる世界、それがまさに今回の村木さんの事件で裁判所から断罪された取り調べのやり方です、ストーリーの組み方です。
田原:それはとんでもないと思う。ただね、もう一つ、宗像さんも言ってるけど、つまり、特に難しい事件のときに特捜部が出て来る。難しい事件だからもちろんいろんな問題があるけど、じゃ、難しい事件は扱わなくてもいいのかっていったら、そうじゃないと。宗像さんが言ってる、難しい事件の場合に特捜部が出るんだと、この点はどうなんですか。
郷原:特捜部が想定している敵というのは、ちょうど日露戦争の日本海海戦におけるバルチック艦隊みたいなものなんですよ。要するに、大国ロシアの無敵艦隊、それに小国日本の連合艦隊が立ち向かう。これはもう普通じゃ勝てない、そこで日本の連合艦隊の幹部以下が心を一つにして、しかも大砲の性能をいかんなく発揮して、そしてT字ターンという本当に会心の戦法をとって、それで勝った日本海海戦、バルチック艦隊を撃破した。こういう戦争の勝ち方っていうのが特捜部の原体験であり、それがロッキード事件なんです。それを想定しているんですよ。本当に大変な巨悪っていう敵を叩き潰すために、こんな重装備でこれだけの大砲を持って、これだけの人間が集まって、これだけのことをやらないといけないということの想定で特捜部ってできているんです。でも、ひょっとすると今狙ってる相手は民間の商船かも知れない、漁船かも知れないんですよ。村木さんなんて、まさにそうじゃないですか。それに対しても同じようなやり方をして、同じように叩き潰す。
田原:非常によく分かる。問題はいっぱいあるんだけど、ただね、田中角栄さんがロッキード事件でやられたときに、割にマスコミの中で流行った言葉がある。「検察民主主義」だと。日本の政治は民主主義じゃない、やっぱり金と力で政治が進む。こういう政治の中で、検察が民主主義を維持していると、こういう言い方もありましたね。
郷原:うーん、異常な世界ですよね、異常な国ですよ。検察っていう捜査機関、検察っていう国家権力の一つ、しかも民主的な基盤って何一つ持たない、その検察っていう組織、これがすべて正義ですべて正しいことやって、悪い政治家はこいつがいい、こいつが悪いっていうことを全部・・・。
田原:検察が決めていくと。
郷原:そういうことが許されている。先進国って言えるんですかね。
田原:なるほど。
編集部:ツイッターでは、検察批判が大マスコミには出てこないのは、検察と新聞、テレビが癒着構造にあって、このチェック機能が働いていないのが問題ではないか、という意見がかなりあります。
田原:いつもぼくはこの話をするんですが、例えば小沢さんの問題で、サンデープロジェクトという番組に郷原さんに出ていただいたのは、テレビ局はたくさんあるんだけどもサンデープロジェクトだけなんですよ。で、サンデープロジェクトに郷原さんに出てもらおうと思ったら、局が「反対、出すな」と言ってきた。
 なぜかっていったらね、サンデープロジェクトに郷原さんに出ていただくと、テレビ朝日の司法記者担当の記者が取材ができないと、検察が意地悪して。こういう問題があるんですね。
 さらに言うと、新聞が、明らかに検察の関係者がリークする、そういう記事を書くときに、「関係者によれば」とか「検察関係者」と必ず書かない。何故だってある新聞記者に聞いたら、検察関係者と書いたらその新聞の司法記者は出入り差し止めだと。
郷原:今のメディアの構造、新聞とかテレビを巡る構造を考えると、そうなってしまうのもやむを得ないと思うんですね。要するに、メディアの構造自体が完全に単一化、単純化されているわけですよ。検察の問題を扱うんだったら、司法クラブと司法クラブ出身者の遊軍で検察幹部と親しい記者たち。この人たちが完全に新聞の紙面もテレビの画面も抑えてしまう、支配してしまうんです。ですから、その人たちっていうのは考えてることが検察と変わらないです。特捜検察と同じ方向を向いているんです。ですから・・・。
田原:僕もマスコミは一員です。そうじゃない人間もたくさんいると思うけども・・・。
郷原:ですから、ごく例外的なんですよ、田原さんのような考え方の人は。一般的にそうです。司法クラブにいると、そういうようなスタンスでないと確かに・・・。
田原:取材できない。
郷原:しかも、司法クラブだけじゃなくて出身者だってそうですよ。ただ問題なのは、そういう人はそういう人で、そういう仕事をすればいいじゃないですか。でも、そうじゃない人がいて、そういう人の情報もある程度選べて、批判的な見地からいろんな取材をしていく、いろんな批判もしていくということができれば、一つのメディアの中でバランスが取れると思うんですよ。
田原:村木さんの問題に戻ると、村木さんもいろいろ新聞に訴えてらしたけど、やっぱり扱いは小さいですね。いや、この判決前ね。
郷原:今日はどうだったんですかね(対談は村木さんの無罪判決当日の夜)。私、ニュースとかあんまり見てないんですけど。
田原:今日の夕刊でしょう。
編集部:特に面白いのは、今週になって急に言い訳のように、村木さんのインタビューなどの記事が出始めました。それまではそういう報道は全然なかったんですけど、急にこの辺で、要するに書いてもいいのかなっていう雰囲気が出てきて・・・。
田原:勝ち馬に乗るってやつ?
編集部:そういう感じでしたね。
田原:今日は有り難うございました。
郷原:有り難うございました。  (了)
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小沢氏起訴議決検察審査会=11人の愚か者が下衆(げす)の感覚によって国民生活の足を引っ張る判断をした2010-10-07 | 政治/検察/裁判/小沢一郎/メディア
「痴呆国家」田中良紹 Infoseek 内憂外患 2010年10月07日 09時00分
 11人の愚か者が1億3千万人の国民生活の足を引っ張る判断をした。政治を裁く事の重みを知らない下衆(げす)の感覚によって、この国の政治は混乱させられ、世界に類例のない「痴呆国家」になろうとしている。
 検察審査会の議決を「市民目線」と評価したり、「小沢氏は議員辞職すべきか」と質問したり、小沢氏を国会に証人喚問すべきだなどと主張する馬鹿がこの国にはいる。今回の容疑事実を知り、検察審査会の仕組みを知ったら、恐らく世界はその馬鹿馬鹿しさに驚くに違いない。しかしその愚かさに気付こうとしないのだから「痴呆」と言うしかない。
 やはりこの国は驚くべき未熟政治国家である。何故そうなるのか。私は国民が全く「政治教育」を施されていないからではないかと考える。子供の頃から教えられるのは、日本は民主主義で、三権分立であり、国会が国権の最高機関であるという建前の話だけである。現実の政治がどのように動いていて、建前と現実との間にどのような乖離があるかなど絶対に教えてもらえない。
 建前しか教えられていないから、日本人は民主主義を「素晴らしい制度」だと思い込み、その上で「反権力であることが民主主義」だとか、「庶民感覚を大事にする事が民主主義」だとか、とんでもない嘘を吹き込まれている。国民が投票で選び出した政治権力は国民と一体の筈であり、諸外国の謀略に打ち勝たなければならない政治家に庶民感覚を求めても意味がない事を知ろうとはしない。
 その庶民は、政治にとって最も大事な権力闘争を「汚れた行為」と捉え、物事を実現するために権力を集中させれば「反民主主義」と叫び、民主主義のかけらもない官主主義の国を民主主義国だと信じ込む。政治家を口を極めてののしるかと思えば、まるで芸能人を見るかのようにあがめ奉る。民主主義は衆愚政治と紙一重だが、この国では官主主義が国民を愚かにしている。
 英国のチャーチル元首相に言わせれば民主主義は「最悪の政治制度」であり、政治は人間の欲望がむき出しになる世界である。そういう事をこの国では決して教えない。学校は政治教育を忌避し、教える教師もいない。国民に主権を発揮されては困る官僚にとって、政治教育がない事は何よりである。国民が目覚めて本当の民主主義をうち立てられては困るからだ。
 かつて私が提携したアメリカの議会中継専門放送局C−SPANは、国民に対する政治教育を目的に設立された。議会の審議を放送する一方で、選挙権のない若者に対する政治教育に力を入れていた。議会審議のビデオテープを学校教育に使うように全米の大学と高校に働きかけている。
 私は実際に議会審議のテープを授業に使用しているイリノイ州の大学を取材したことがある。教授が選んだ審議の映像を学生達に見せ、それを巡って学生が討論を行うという形の授業だった。現実の政治家の議論が教材になっていた。そしてC−SPANは中継車で全米の大学と高校を回り、学生達の政治討論番組を生中継している。
 ある時、テレビを見ていたレーガン大統領が高校生の討論に電話で飛び入り参加した。それが全米で話題となり、私は素直に「素敵な話だ」と思った。日本にもC−SPANのようなテレビ局を作りたいと思った。勤務していたテレビ局を辞め、開局の準備を進めながら、まずは文部省に協力を求めに行った。
 アメリカの例を説明しながら、日本で「国会テレビ」を開局したら、高校と大学だけでなく義務教育の中学校にも普及させたいと言った。すると役人から「社会党と共産党の発言しか見せない先生がいるから」とすげなく協力を断られた。
 アメリカの大学の卒業式では決まって政治家が卒業生へのはなむけのスピーチをする。その時に党派が問題になることなどない。しかし日本では大学が政治家にスピーチを頼む事は滅多にない。そもそも政治家は国民の投票で選ばれた国民の代表である。にもかかわらず政治家は反教育的存在と見なされる。こうした事に私は長い官僚主導国家の岩盤の存在を感ずる。
 そういう国の国民だから、検察審査会の議決で政治を裁く事の重みなど感じない。愚かな11人は極めて非論理的で情緒的な判断を下した。公開の場の裁判で白黒をはっきりさせて欲しいなどという「願望」で政治を混乱させている。裁判で白になっても時間は戻らない。政治を混乱させた罪はどうなるのか、国家的損失をどう償う事が出来るのか。これは日本の司法の一大汚点となるのではないか。
 検察審査会制度はGHQの占領政策の一環である。特捜部と相前後して生まれた。独立したにもかかわらず、日本はいつまでアメリカの占領政策を引きずるのか。いつになったら自前の国造りが出来るのか。とても不思議で仕方がない。
 しかもその検察審査会が強制起訴まで出来るようになったのは、政権交代の総選挙を前に、それを阻止しようと思ったのか、東京地検特捜部が西松建設事件を、大阪地検特捜部が郵便不正事件の捜査に着手して民主党の代表と副代表をターゲットにした「でっち上げ」捜査を行っていた矢先である。「でっち上げ」が上手くいかなくなっても、素人の国民をちょっと洗脳すれば強制起訴に持ち込めると考えたとしても不思議でない。
 目的は以前から何度も書いてきたように小沢氏を有罪にする事ではない。民主党を分断することである。だから鳩山由紀夫氏は白で小沢氏は黒の流れになる。私の知る法曹関係者はみな「鳩山が白なら小沢はもっと白だ」と言う。一連の捜査は刑事目的ではなく政治目的なのである。小沢氏が無罪になっても十分に目的は達せられる。しかしこんな馬鹿をやっている暇は今の日本政治にはない筈だ。まさに「痴呆」と言うしかない。
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三井環事件、鈴木宗男事件でハードルが下がり、郵便不正事件へ。裏金問題の総括なくして検察改革なし

小沢系勉強会[新しい政策研究会]の出席者一覧/小沢一郎氏 冷温停止宣言に「永久に水かけ続けるのか」 

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小沢G統合勉強会、106人で消費増税けん制
 民主党の小沢一郎元代表を支持する三つのグループが統合勉強会「新しい政策研究会」を21日に発足させ、同党議員を中心に106人が出席した。
 元代表は、消費税増税を目指す野田政権への批判を強めており、勉強会を基盤に政権を揺さぶる構えだ。グループ内では、来年9月の党代表選での小沢元代表の「返り咲き」を望む声が強まっている。
 「(民主党に対し)国民の不信感が増幅されているのではないか。私たちが総選挙で国民に訴え、約束した政策は、自民党政権とは発想と内容を異にする政策だったはずだ」
 国会内で開かれた勉強会の初会合で、元代表が民主党の衆院選政権公約(マニフェスト)の順守を求めてこうあいさつすると、会場は拍手でわいた。
 初会合では、会長に元代表、顧問に山田正彦前農相、原口一博元総務相が就任。勉強会には出席者のほか30人が入会したとされ、グループ外からも鳩山元首相グループの松野頼久元官房副長官らが参加した。「小沢一郎の政治理念の自立と共生を座標軸に、国民に開かれた活動を旨とし(中略)政策提言を行っていく」と明記した規約も決めたほか、国会開会中は週1回程度集まることも確認した。
 勉強会の結成は、今年8月の党代表選でグループが支援した海江田万里元経済産業相の敗北をきっかけに動き始めた。元代表は、〈1〉衆院当選2回以上の議員でつくる「一新会」〈2〉当選1回の「北辰会」〈3〉参院――の3派の統合を指示。「党内に軋轢あつれきを生む」との慎重論もあるため、3グループの枠組みを残したまま勉強会をつくった。
 元代表は、自らの資金管理団体「陸山会」をめぐる政治資金規正法違反事件の裁判を抱えるが、グループ幹部は、来年4月に予定される1審判決で無罪を勝ち取り、9月の党代表選で主導権を握る――とのシナリオを描く。元代表周辺は「勉強会は代表選の布石。増税で野田政権と決定的に対立した場合は、新党もあり得る」と解説する。
(2011年12月22日10時18分  読売新聞)
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小沢系勉強会の出席者
 民主党の小沢一郎元代表を会長とする新勉強会設立総会の出席議員は次の通り。(敬称略、丸数字は当選回数)
 ◇民主
 〔衆院〕小沢一郎(14)、小沢鋭仁(6)、東祥三、川内博史、小林興起、原口一博、山田正彦=以上(5)、黄川田徹、伴野豊、松野頼久、三井辨雄、吉田治=以上(4)、内山晃、奥村展三(参(1))、神風英男、鈴木克昌、中塚一宏、仲野博子、樋高剛、松宮勲、和田隆志=以上(3)、太田和美、岡島一正、古賀敬章、階猛、辻恵、豊田潤多郎、中川治、橋本清仁、福田昭夫、松崎哲久、横山北斗、若井康彦、渡辺浩一郎=以上(2)、石井章、石田三示、石原洋三郎、石森久嗣、石山敬貴、今井雅人、大谷啓、大西孝典、大山昌宏、岡本英子、奥野総一郎、笠原多見子、金子健一、川口浩、川島智太郎、木内孝胤、菊池長右エ門、木村剛司、京野公子、熊谷貞俊、熊田篤嗣、黒田雄、小林正枝、坂口岳洋、菅川洋、瑞慶覧長敏、空本誠喜、高橋英行、高松和夫、田中美絵子、玉城デニー、中後淳、中野渡詔子、萩原仁、橋本勉、畑浩治、福嶋健一郎、水野智彦、皆吉稲生、三宅雪子、村上史好、柳田和己、山岡達丸、渡辺義彦=以上(1)
 〔参院〕尾立源幸、主浜了、広野允士(衆(1))、森裕子=以上(2)、梅村聡、大久保潔重、行田邦子、小見山幸治、佐藤公治(衆(2))、武内則男、田城郁、谷亮子、徳永エリ、友近聡朗、外山斎、中村哲治(衆(2))、西村正美、はたともこ、姫井由美子、平山幸司、藤原良信、室井邦彦(衆(1))、安井美沙子、米長晴信=以上(1)
 ◇新党大地
 〔衆院〕浅野貴博(1)
 ◇無所属
 〔衆院〕松木謙公(3)、石川知裕(2)、佐藤夕子(1)
   (時事通信2011/12/21-19:39)
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@miyake_yukiko35三宅雪子
小沢一郎元代表を会長とした勉強会「新しい政策研究会」設立総会。入会者は現在のところ、137名(会で終了後1名増えた)、休会中に関わらず、本人出席は最終的に107名。略称は、新、政、研(しんせいけん)。小沢会長の話が素晴らしかった。
12月21日Keitai Webから
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小沢一郎 冷温停止宣言に「永久に水かけ続けるのか」と疑問
NEWSポストセブン2011.12.22 07:00
2011年、東日本大震災と原発事故を前に日本の政治は立ちすくんできた。なぜ日本の政治はこうも無力になってしまったのか。政治ジャーナリスト・渡辺乾介氏(『小沢一郎 嫌われる伝説』著者)が小沢一郎・元民主党代表に聞いた。
* * *
 今の政治的には原発という大問題があります。
 日本の再建だ、東北の再建だといっていますけれども、放射能封じ込めに成功しないと日本経済の再建も日本の将来もない。福島第一原発の事故はマスコミでは喉元過ぎればで、何だか風化したみたいになっていますけれども、日本人的な現象で非常に危険だと思います。
 この放射能については、何としても完全に封じ込めないといけない。そのためには、どれだけお金を使ってもやむを得ないし、封じ込めの体制の先頭に立つのは国だ、ということを僕は言い続けてきたんです。事故の現状は、東京電力が第一義的に責任者だからといって、東電にやらせていいという状況を超えている。国が自ら先頭に立って、主体的にやらなくちゃいけない。
 原発による被災者の皆さんの生活の問題と同時に、放射能をいかにして封じ込めるか。水をかけて「冷温停止状態を達成した」なんていったって、永久に水をかけ続けるのか? 今になって、核燃料が圧力容器からメルトスルーして、もうすぐ格納容器の底のコンクリートを抜けるかもしれないなんて、呑気なことをいっているわけですね。
 震災の2、3日後には、熱工学の学者をはじめ客観的に事実を見ている人たちは、必ず炉心は壊れているといっていた。燃料も必ずメルトダウンしているとわかっていたわけですよ。それにもかかわらず、政府は2か月後にようやくメルトダウンを発表して、そして最近になって落ちたウラン燃料がコンクリートを侵食して、底を突き破るまであと30何センチだなんていっているわけです。あれ、突き抜けて土の中に入っちゃったら、汚染の拡大を止められなくなりますからね。
 それをまず徹底的に封じ込めないといけない。それは国家、政府が先頭に立ってやるべきことです。
 ※週刊ポスト2012年1月1・6日号
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冷温停止「安全担保あるのか」=小沢元代表
 民主党の小沢一郎元代表は16日夜、都内の日本料理店で、自身に近い若手衆院議員数人と懇談した。出席者によると、小沢氏は野田佳彦首相が東京電力福島第1原発の原子炉の冷温停止状態を宣言したことについて「安全が担保されたわけではないのではないか。本当に大丈夫か」と懸念を示した。
 小沢氏はまた、野党の賛成がなければ成立しない2012年度予算関連法案に触れ「野田君は持つのかな」と指摘。衆院解散・総選挙について「来年選挙の可能性が高い。今のままだと(民主党議員は)みんな討ち死にだ」と強調した。(時事通信2011/12/16-21:08)
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『小沢一郎 語り尽くす』TPP/消費税/裁判/マスコミ/原発/普天間/尖閣/官僚/後を託すような政治家は 2011-11-20 | 政治/検察/裁判/小沢一郎/メディア
小沢一郎 すべてを語る TPP、消費税、政治とカネ、原発… 聞き手;鳥越俊太郎(サンデー毎日2011/11/27号)
 「僕なら米国と率直に話し合いをし、普天間問題にケリをつけられる」。意ならずも法廷に立たされた小沢一郎元代表(69)は健在だ。TPPから消費税、原発、あの「4億円」――。?剛腕?とジャーナリスト・鳥越俊太郎氏(71)が縦横無尽に語り尽くす。
 「尿管結石が見つかって、その後、何にもないから変だなと思ったら、医者は『(結石が)砕けて(体外に)出たんですかね』と言うんですよ」自身の資金管理団体・陸山会の土地購入をめゞる政治資金規正法違反(虚偽記載)の罪で、政治家として初めて検察審査会によって強制起訴された小沢氏。初公判があった10月6日の夜、尿管結石のため腰の痛みを訴え、日本医科大病院(東京都文京区)に一時入院した。その音、小沢氏は甲状腺がんを、鳥越氏は肺がんを患った経験がある。対談は、小沢氏の冗談めいた語り口で始まった。

              
鳥越:心境はどうですか?
小沢:体は元気です。ただ、何でもないと思っていても、やはりストレスがたまるんでしょう。肩が凝ったりね。
鳥越:政治情勢にストレスを感じませんか。
小沢:それはもう、ちょっとしんどいですね。
鳥越:民主党の政権運営については、期待通りにいっていないように国民に映っています。自民党はダメだが民主党もダメだな、という雰囲気を感じます。
小沢:事実その通りでしょうね。ですから、非常に危険な状態だと思います。政党不信、政治不信というか、政党はどっちもダメとなると、左であれ右であれ、極端な議論が出てくるんですね。日本人は情緒的ですからバーッと走る可能性がある。今、その境目に来ている。これ以上おかしくなると、本当に悲劇になっちゃうんじゃないか。
鳥越:米国でも、共和党もダメで民主党もダメ。何となく世界中、既存の政党がダメになっている。
小沢:欧州もそうです。極右、極左の政党が票を伸ばす。米国も2大政党ですが、共和党の中のティーパーティー、民主党サイドといわれる若い人のデモも現象のひとつじゃないでしょうか。既成の政党、既成の体制、既成の秩序に対する不信感。
鳥越:今、TPPが一番の問題になっています。国民はあまり知らされていないというか、知らないんですよね。
小沢:直接的に、すぐ実害が国民の懐に及ぶ問題と捉えにくいですからね。
鳥越:どういうふうにご覧になっています?
小沢:ひとつは自由貿易という基本的な経済原則の要素。もうひとつは米国特有の思惑があります。自由競争、自由貿易の原則は誰も否定できない。できる限り世界中で自由な経済取引が行われることは良いことですが、今、米国が主張しているTPPをそのまますぐ受け入れることとは別問題。日本の国民生活をちゃんと守るシステムをつくったうえで、吟味してやらなければならない。(現時点で交渉に参加すれば、米国の)意のままにやられてしまいます。(参加国の間で)経済の深化の程度、レベルの差があったり、国情・民族の差があったりしますから、お互いうまく障害を取り除きながら、合意できるところからやっていくことしかない。米国の場合はちょっと金融で走りすぎて失敗しました。何とか挽回しなきゃいけないと、またもや米国のシステムでみんなを統一しちゃおうという思惑があるものですから、米国にビシッと言わないといけないと思いますね。
鳥越:まったくその通り。関税を100%撤廃するやり方は米国の戦略ですね。農業も医療も日本には固有の事情、歴史や伝統がある。急に100%関税を撤廃してやっていけるのか、ちょっと難しいな。
小沢:米国は農業でも自分の都合の良いことを言っているんですよ。自分の大事なものは保護しておいて、他国には「全部撤廃しろ」と。なんぼでも議論できるんですよ。農業だけじゃない。
 次に分かりやすいのは医療です。米国は国民皆保険ではありませんが、日本は皆保険。その制度を自由診療などで崩そう――という意図があるわけです。制度そのものが崩壊に導かれる可能性もあるし、米国の健康保険、医療制度でよいとは思えません。
鳥越:民主党政権になれば米国に対し、もう少し対等に、言うべきことは言う姿勢で臨んでくれることを国民は期待したと思います。でも鳩山由紀夫元首相は別にして、菅直人前首相や野田佳彦首相は、ほとんど米国の言いなりですね。
小沢:米国の注文を聞いてくる窓口は官僚ですが、彼らの言う通りでは、おっしゃるように、何のための政権交代かという議論が出てくるのは当然です。僕が民主党の一員として見れば、やはり政治的な経験が非常に浅く、まだ実践を踏んでいませんからどうしても役人に頼るところがあるんです。もう少し勉強し、勇気を持たないといけません。
鳥越:民主党にとっては試練、訓練の期間だったということでしょうか。このままだと次の衆院選はどうなるか分からない。
小沢:それが怖い。自民党が政権を取って代われるくらいピシッとしているのかというと、自民党もダメですね。このままだと、どこも過半数を取れない。悲劇ですね。カオス(混沌)の状態になっちゃう。               
*基礎訓練なしに偉くなっても
鳥越:そういう中で、政権の組み替え、政党の再編成は考えられますか。
小沢:民主党が2年前に国民が期待したことをやろうと一生懸命頑張っている姿を見せさえすれば、支持は戻ると思う。悪戦苦闘しているけれども進もうとしている姿に、国民は良い感情を持つのではないか。みんな自覚を持って頑張らないと。それぞれの部署の人が責任を持ち、決断してやっていくということじゃないでしょうか。責任を持たないと、結局、役人の言う通りになっちゃいます。
鳥越:次期衆院選や民主党次期代表選について考えることはありますか。
小沢:野田総理も(安住淳)財務大臣も、消費税(増税)をやるって言っているでしょ?来年1月の通常国会に(関連法案を)出すとなると、来月にはおおよその成案を作っておかなければならない。消費税は直接、個々の国民全部に響きますからね。まして今は世界的大不況が来るかもしれないという時、国内では東日本大震災の影響がある時に、消費税増税というのは、僕は納得できない。もうひとつ、2年前に「(衆院議員任期の)4年間は(消費税増税を)やりません」と約束して政権がスタートしたわけですから、それを反故にすることにもなる。両方の面で、ちょっとどうかなと思います。
鳥越:小沢さんは消費税を上げることには反対?
小沢:今、現時点で上げることには賛成できないですね。ただ、総理と財務大臣が(消費税増税を)言っちゃってますからね。12月には成案、来年1月の通常国会には法案を出すと、よその国まで行って話しているわけですから、ちょっとこれはしんどい。このまま衆院選をすれば問題にならない。ベタ負けですね。
鳥越:あまり明るい材料がありませんね。
小沢:初心に帰ることだと思います。人間ですから約束したことが100%できないのは仕方ない。しかし、約束を守ろうと努力する姿が尊い。最初からやれないとというのでは「一体、何のための政権交代だったんだ」ということになる。真摯な努力の姿を原点に返って取り戻すというのが、いいのではないでしょうか。
鳥越:しかし、小沢さんがそう言っても松下政経塾出身の政治家たちは全然違う動きをしています。
小沢:彼らもそういう公約の下で当選してきた。
鳥越:でも公約がほとんど実行されていません。
小沢:それがちょっと問題でしょうね。困ったことですけど……。
鳥越:困ったとおっしゃいますが、国民も困っているんです。
小沢:そう。そのツケが国民に行くから、国にとっても国民にとっても困ったことになっちゃうということ。非常に心配です。
鳥越:小沢さんがもう一度、政権運営に携わる道はないのでしょうか。
小沢:僕自身は別にどうでもいい。問題は、民主党の場合はみんな基礎的な訓練をしないままポッと偉くなっていること。ベースがないので、何か問題に突き当たった時に「これはこうしよう、ああしよう」という判断ができなくなっているのではないか。仕方ない面もありますが、世界、世の中は待ってくれない。
鳥越:ギリシャに端を発した金融。経済危機ですが、良いのは中国くらいで、ほとんどダメですね。
小沢:欧米がダメになれば中国にも影響するでしょう。中国のバブル経済が弾けそうになっていますが、本当に弾けたら動乱です。中国は政治的動乱を伴うので大変ですよ。
鳥越:経済や金融がグローバル化した結果、一国の問題が世界に波及する事態になった。ギリシャがデフォルトでダメになれば欧州の銀行や米国の銀行がダメになり日本も影響を受ける。そういう時に国民にしっかり支持されている政権がないと困ります。打つ手はありますか?
小沢:妙薬というのはないですね。国民との約束を守る姿勢で政権を運営することからですね。
鳥越:強制起訴による裁判が続いています¨行動の自由を奪われているということはありますか。
小沢:「そんな立場なのに何だ」と、また批判されますからね。あまり過激な言動をするわけにはいかないし、多少は制約されますね。元私設秘書の石川知裕衆院議員ら3人に対する東京地裁の有罪判決は、びっくりしました。
鳥越:驚きました。全部「推認」でした。「多分そうだろう」と(笑)。
小沢:ハッ、ハッ。
鳥越:三重県の中堅ゼネコン・水谷建設の社長(当時)が5000万円ずつ2回、運んできたということが認定されています。
小沢:推認ね(笑)。ただびっくり。前代未間の法廷じゃないでしょうか。(通常の裁判は)裁判官が捜査機関の証拠資料を見て判断しますが、「多分そうなんだろう」ということで判決を出されちゃうとねえ……。

            

*マスコミ報道は日本の悲劇だ
鳥越:マスコミからも批判が出ました。ただ、その中でどうしても引っかかるのは(陸山会による土地購入の原資になった)4億円のカネの出所の説明が二転三転していると思えることです。胆沢ダム(岩手県奥州市)建設をめぐり、建設業者からの裏金が渡って原資の一部になった、それがはっきり言えないので説明が二転三転した―― マスコミを含めて、いろいろな人が指摘しています。僕らには真相が分からないのでお聞きしたい。あの4億円の出所、原資は何ですか。
小沢:僕のお金です。今のお話も全部、多分そうじゃないかという類いの話。マスコミも国会も忘れているのは、僕も後援会も秘書たちも、2年近くにわたって国家権力によって強制捜査されているということ。僕の知らないことや忘れたことまで(東京地検特捜部は)全部分かっています。捜査機関が強制捜査したにもかかわらず、不当・違法な金銭の授受はないことが明らかになったんですから、個人が勝手に説明する以上に確かな説明じゃないだろうか。あとはまったくのプライベートな話。何も悪いことがないのにプライベートを全部、説明しなきゃならないという理屈はおかしい。
鳥越:すると4億円の出所についても検察の事情聴取はあったと?
小沢:ぜ〜んぶ(笑)検察は知っています。預金通帳から何から、銀行の原簿まで持っています。強制捜査ですよ、鳥越さん。
鳥越:一部説明をしていましたが、お父さんからの遺産も……。
小沢:もちろんそれもあります。親からの相続は(4億円の中では)大きかった。僕自身だって稼いでいます。印税だけでも1億何千万円もありますし。
鳥越:あの本(『日本改造計画』)は売れましたから。
小沢:本はそれだけじゃないですから(笑)。
鳥越:そこに建設業者からの裏献金が紛れ込んでいることは?
小沢:絶対ありません。第一義的には、後援会のお金と私有財産は絶対混同しないようにずっと心がけてきていますし、もし違法献金があるなら、これだけ調べたら必ず出てくるでしょう。検察は噂の類いから全部、全員を呼んで調べているんですから。それでも出ないんですから。ないものは出るはずがありません。カネがなくなっちゃうということだから、用立てしたということ。
鳥越:そのお金の流れが、何となく不審を感じたところかもしれない。
小沢:「(土地を)買うと、事務所の運転資金、運営費がなくなっちゃう」と。それでは、僕の手持ちのカネを当面、用立てようと。
鳥越:それを抵当にして、また銀行からお金を借りている。
小沢:事務的な話です。(事務所に)まったく任せていますから。強制捜査した結果として何もないにもかかわらず、どうして「違法なカネに違いない」ということが、マスコミをはじめ無関係の人に分かるのでしょう。
鳥越:では、小沢さんは新聞・テレビの報道をどのようにご覧になっていますか。
小沢:日本社会の悲劇ですね。これが戦前、「一億玉砕」を唱えたこともあり、一度は国を滅ぼした。これから戦争が起きるということではありませんが、このままだと民主主義の否定になります。政治不信は民主主義の否定ですから。一体どういう社会をメディアは望んでいるのか、僕にはまったく分からない。ただ悲劇だと思う以外にないですけれど。
鳥越:明るい材料はないですかねえ……。今日は小沢さんに明るい材料をいただかないと(笑)。
小沢:日本人が豊かな情緒と精神文化を持っているのはいいのですが、国際社会の中で生きているのですから、民主主義をきちんと理解することが大切でしょう。それから、もう少し理性的。論理的な発想で自立しなければダメですね。政治でも、みんなで何となく決めるでしょ?誰が決めたのか分からないうちに決まってくる。
 日本の合議制というのは、誰も責任を取らなくていいシステムなんです。うまくいっている時はそれでもいいが、問題が起きた時には「誰も決めない」ということになっちゃう。だから、さらに激変が予測されるような時は、論議を尽くしたうえで、その立場にある人が最終的に自分の責任で決める――「自立と共生」を僕はずっと主張しています。自分で考え、自分で決断し、自分の責任でやる。その要素をもう少し身に着けないといけません。
鳥越:時間がかかりますね。小沢さんと僕とはそんなに年齢が変わらないけれど、われわれが生きている間は無理かも(笑)。
小沢:無理ですね。日本人の中身まで変わるのは無理ですが、頭の中だけでも……。ただ、こう言うと笑う人がいるけど、僕も本質は情に樟さして流されるタイプの典型的日本人なんですよ。でも、政治家はそれではいけない、理性で考えて結論を出さないといけない、と常に言い聞かせています。「冷たい人間だな」とは言われますが(笑)。                              
*原発は過渡的…反省してます
鳥越:ところで、今回の震災については?
小沢:原発事故は深刻ですね。1970年代、僕が科学技術政務次官だった頃に原発が始まりましたが、過渡的なエネルギーとしては仕方がないと最初から主張していた。新エネルギーを見いださないといけないという思いは、ずっと持っていました。今も原子力の結論は出ていないんですよ。高レベル廃棄物の処理はどこの国もできていない。一局レベルは、どこも受け入れないでしょ?
鳥越:将来的には原発をなくしていく方向でしょうか。
小沢:最終処理が見いだせない限り(原発は)ダメ。新エネルギーを見いだしていくほうがいい。ドイツには石炭などの資源がありますが、日本はない。ですからドイツのように10年で原発を止めるわけにはいかないかもしれないが、新エネルギー開発に日本人の知恵とカネをつぎ込めば十分可能性はあります。思えば、過渡的エネルギーだと分かっていながら原発に頼りすぎました。「もう少し強く主張しておけば良かった」という反省はあります。
鳥越:日本人のモノ作りの伝統からいうと、新エネルギーをつくり出すことについて僕は悲観的ではありません。太陽光発電や風力発電、水素エネルギーなどいろいろあります。それにしても(福島第1原発を)廃炉にするだけでも、時間もカネもかかりますね。
小沢:残り滓をどうするかが一番の問題です。使用済み核燃料棒をどうやって取り出すのか、取り出したものをどこに置くのか。できないことを言っても仕方がない。何十兆円かかろうが、何とか封じ込める策を講じないと日本の将来はありません。「冷温停止」と言いますが、爆発しないようにするだけで汚染はどんどん進むし、未来永劫、水をかけっ放しになっちやいます。これを解決しないと日本はダメでしょうね。
鳥越:東京電力だけでなく、国、政治の責任でもある。
小沢:東電を矢面に立て、国が後ろから支援する今のシステムはダメだど思います。国が前面に立ち、その下に東電や原子炉メーカーなどを付け、全力でやるようにしないと。原発の封じ込めは東竺電だけではできません。
鳥越:今、どうしても言いたいことは何でしょう。
小沢:やはり原発問題。これを抱えていたのでは日本の未来はない。どんなにカネがかかっても衆知を集めて封じ込めないといけない。これが第一。それから役所中心の日本の仕組みを改める。そのためには、みんなが民主主義を正確に理解しないとね。個人の自立と民主主義。これがないと、いくらテクニカルな話をしてもダメ。日本に民主主義が定着するかどうか、今が胸突き八丁、境目だ。
鳥越:「官から民へ」と言いますが、官僚は同じ場所で勉強して政策に通じ、優秀です。民主党の若手議員は負けていますね。
小沢:官僚と闘うレベルを間違えているんです。もっと高い次元の理念・見識で闘わないといけない。細かいことは、専門家である官僚のほうが知っているに決まっています。「この理念に基づいて社会をつくりたい。だから協力しろ」と筋道の通った議論がなされれば官僚は抵抗できません。

          
*中国にもズケズケ言ってるよ
鳥越:では、具体的に聞きます。沖縄県の普天間(飛行場移設)問題です。
小沢:僕は、いつでも米国とケリをつけられると思っています。あの沖縄のサンゴの海を埋め立てるなんてバカげたことをする必要はない。普天間(に駐留する米軍)の必要はないですよ。前線から実戦部隊を引くのが米国の軍事戦略の基本。欧州からも兵力を引いている。米軍が引くと中国の軍事力にやられるというのは一面の事実ですが、日本が「こういう役割を果たすから、この部分はいなくていい」と言えない。これこそが問題ですね。沖縄は日本の国上ですから日本が守るのは当たり前。3K(きつい、汚い、危険)はやらずにカネさえ出していればという感覚だから、米国人にバカにされちゃう。
鳥越:鳩山由紀夫元首相が突き当たった「抑止力」ですね。これについてはどう考えますか。
小沢:僕も必要だと思います。米国のプレゼンス(存在)が極東アジアからまったくなくなるのは良くないっよく「日米同盟」と言いますが、だったら、それなりの役割を日本も果たさないといけない。「日本の領土はちゃんと日本が守る、トータルな抑止力の一部は担う、緊急の時には米軍が来てください」と。
鳥越:米軍はグアムなリハワイなりで・・・・・・。
小沢:十分。情報を探ったり警戒・監視したりすることは日本でできる。尖閣諸島も日本の領土で、一度も中国の領土になったことはない。中国にも面と向かって言ってますよ。「どの王朝の時に、お前らの領土になった?」「ここは琉球王国の領土で琉球は日本と合併した」と。「その問題は?小平(元最高指導者)先生が『後世に任せようと言った』」と言うが、あれから20年も30年もたっているじゃないか(笑)。
鳥越:それは誰に?
小沢:唐家璇(とうかせん)が国務院国務委員の時かな。中央対外連絡部(中連部)なんかともズケズケやってますよ。
鳥越:日本人は、米国にも中国にもモノが言える政治家がほしいんです。
小沢:僕は日中も日米も、政治家としても個人としても、友好促進のための草の根交流などを何十年も一生懸命やっています。彼らはそれを知っていますから、僕がズケズケ言ったって怒らない。
鳥越:モノを言わないことは国益を害しますね。
小沢:言うと責任が生じるから言わない。官僚はともかく、政治家は言わなくちゃいけないんです。
鳥越:民主党内で、小沢さんが後を託すような政治家は出てきていますか。
小沢:基礎的な勉強をさせなければダメですね。トップリーダーも、若ければ良いというものでもない。実務的な実践を段階的に積んでいかないと、イザという時の判断ができない。30代、40代で良い人たちはいると思いますよ。ただ、基礎的勉強をしなきゃね。すぐに偉くなることばかり考えていてはダメです。 *強調(着色)、リンクは来栖
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民主党大会 小沢氏演説=この理念に沿った政治をこの国が渇望しないはずがない2010-09-15

北朝鮮/民は、飢え死にするか、脱出を試みて死ぬか、買い占めに走るか・・・/季節的に脱北は困難

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〈来栖の独白2011/12/22 Thu.〉
 どのような状況にあっても、まず一番に困窮するのは、いつも、民草である。これは、どの国にあっても同じだ。その日の食糧にすら事欠く民に、金正日・総書記の死に皆で打ち揃って号泣する余裕はないだろう。・・・胸が痛くなる。
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北朝鮮はすぐに崩壊はしない 中国政府の動向がカギを握る
Diamond online 2011年12月20日 ――宮塚利雄・山梨学院大学教授に聞く
 金正日・北朝鮮総書記が12月17日午前8:30、心筋梗塞により移動中の電車内で亡くなった。核問題や拉致問題、脱北者など多くの問題を孕む北朝鮮の今後の体制はどうなるのか。朝鮮近代経済史を専門とする宮塚利雄・山梨学院大学教授に展望を伺った。(聞き手/ダイヤモンド・オンライン 片田江康男)
■中国のお墨付きを得ている金正恩を体制の中心に据える
―― 金正日(キム・ジョンイル)総書記の死去により、北朝鮮の国や指導体制はどうなると見るか。
 まず、北朝鮮がすぐに崩壊することはないだろう。理由としては、中国と韓国は国のトップが変わるからだ。自分の国の指導者が変わるタイミングで、隣の国で大きな変化があっては困る。だから、なるべく混乱を抑えるように行動するはずだ。
 特に北朝鮮の最大の支援国である中国は、なるべく北朝鮮で混乱が起こらないように行動している。国境警備を強化しており、脱北者をなるべく出さないようにしている。悶着を起こすな、というのが今の中国の姿勢だ。
 とりあえず、金正恩(キム・ジョンウン)を中心に置いて、軍と党が支えていく体制をとるだろう。中国も金正恩を認めているし、トップになることを望んでいる。
 ただし、それがいつまで続くか分からない。軍と党がいつまでも仲良くしているとは思えないからだ。一時的な体制だと考えるべきだ。
―― 一時的な体制とはどういうことか。その後はどうなると見ているのか。
 金正恩はまだ28歳で国を統治する能力はない。「父親あっての正恩」だった。国内では「青年大将」なんて言われているが、実際にはそんなこと誰も思っていない。
■避けられない軍と党の権力闘争
 では、だれが統治することになるのか。それは分からない。金正恩が軍と党の利害調整などできるわけもなく、権力闘争が活発化するだろう。党のトップは金正日の妹の夫である張成沢(チャン・ソンテク)、軍部のトップは李英浩(イ・ヨンホ)だ。ひとまず、彼らは金正日の死去という緊急事態を乗り切るために協力するだろうが、すぐに権力闘争を始めるだろう。
 加えて軍の内部でも権力闘争がある。長老達が権力を握っているが、中堅の冷や飯を食わされている者も多く、不満がたまっていると言われている。
 私は、結局、軍が権力を握ると見ている。クーデターは起こらないだろう。
――混乱は周辺諸国にどのような影響を与えるか
 日本には直接的な影響はない。軍が暴発するということもないだろう。中国が監視しているし、何しろガソリンがない。
 人民が一斉に逃げ出して、日本海を渡って日本に逃げてくることも考えにくい。これから冬にかけて海は大荒れだからだ。
 もっとも気にしなくてはならないのが、中国の動きだ。もし、北朝鮮内部の権力闘争がエスカレートし、収拾がつかないと判断して介入すれば、それを見た韓国も介入することになるだろう。当然、米国も動き出すだろう。そうなれば、混乱は北朝鮮という一国の問題だけでは片付かなくなる。
 中国軍や韓国軍は、北朝鮮の状況によって、どのような軍事行動をとるか決まっている。中国と韓国のどちらが先に動くかに注目したい。
――核の問題や拉致の問題はどうなるのか。
 もはや、核問題や拉致問題の話をしている場合ではない。六ヵ国協議や拉致問題がすぐに進展を見せることはないだろう。もっとも、北朝鮮にとっては、六ヵ国協議が開かれないことは好都合だ。
 拉致問題がもし進展を見せるとしたら、北朝鮮の体制が固まり、しかもその体制が中国の言うことをよく聞く体制になってからだろう。そうなれば、日本は中国に拉致問題解決の協力を取り付けることができるかもしれない。そのような条件が揃い、粘り強く交渉すれば、もしかしたら解決への道が開けるかもしれない。
■食料不足にインフラ寸断 なす術がない北朝鮮人民
――北朝鮮人民はどうなるのか。大量の難民が周辺諸国に押し寄せることはないのか。
 先にも述べたように、季節的に脱北することは困難になっている。中国との国境は警備が強化されている。韓国との国境である38度線は地雷原だ。
 人民は、飢え死にするか、脱出を試みて死ぬか、買い占めに走るか、それくらいしかない。ますます厳しい状況に追い込まれる。
 11月末に私も北朝鮮に行ったが、雪が降っていてものすごく寒かった。零下20度くらいまで気温は下がっていた。零下20度では、普通二重ガラスにしないと家の中でも寒くて仕方がないはずだ。しかし、人民はガラスどころかビニールを張った家に住んでいる。
 冬でインフラもダメ。道路が雪で塞がれており、バスは動かなくなる。鉄道も動かなくなるだろう。さらに慢性的な電力不足だ。平壌中心部は電力はあるが、ちょっと離れればしょっちゅう停電が起こる状態だ。
 その上、食べ物も不足している。買い占めるにしても、一部の人民しかできない。今は米の値段も高騰している。1キログラム4000ウォン(ヤミレートでは1米ドル5000ウォン)と言われている。平均的な労働者の月給は3000ウォン程度。普通の人は買えない。社会の混乱には拍車がかかるのは確実だ。
 人道的な観点から、例えば中国が北朝鮮情勢の収拾のために動けば、繰り返しになるが、韓国も介入し、もっと事態は悪化する。
――人民が蜂起することはないのか。
 それはない。移動手段と伝達手段、食料不足では人民はなす術がない。恐怖政治をますます強め、人民への監視の目も厳しくなる。軍や党、人民を含めてますます疑心暗鬼になっていく。
――金正日はどのような指導者だったのか。功績は何か。
 彼に功績などない。強制収容所を存続させ、人民を飢えさせ、「強盛大国の大門を開く」という出来もしないスローガンを打ち立て、結局できなかった。肯定的に評価できる点は一つもない。かれは優秀な指導者でもなんでもない。ただ、酒池肉林を楽しんでいただけだ。
 厳しい寒さと農作物が取れない、一年でもっとも大変な時期に亡くなった。人民が窮地に追い込まれる。

*みやつか・としお
 山梨学院大学経営情報学部経営情報学科教授。朝鮮近代経済史が専門。檀国大学校大学院博士課程修了。著書に『北朝鮮の暮らし』(小学館,2003年)『がんばるぞ北朝鮮』(小学館,2004年)『北朝鮮驚愕の教科書』(文藝春秋,2007年。宮塚寿美子との共著)など。

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