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東京電力と監督当局の馴れ合い体制/天下り/原子力政策は政治家が触れることのできない分野

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東京電力と監督当局の馴れ合いを生んだ体制
JB PRESS 2011.04.21(Thu)
Financial Times(2011年4月20日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
 ある米国人が2000年に、日本の原子力監督当局に内部告発を行った。東京電力が原子力発電所での安全基準違反を隠蔽しているという内容だ。当局はこれを受け、これらの発電所のことを最もよく知る団体にその調査を命じた。そう、東電自身に調査させたのだ。
 2年後、東電は正式に、同社の原子力施設は安全だという報告を行った。ところが、同社が検査データを改竄していたことを示す証拠が明るみに出て、数週間後にこの報告を撤回する羽目になった。
 不祥事の責任を取って数人の上級幹部が辞任し、東電は保有する原子炉17基すべてを停止して総合的な安全検査を行わざるを得なくなった。
 今年3月11日の大津波の後に東電の福島第一原発から放射線が漏れ始めて以来、10年前のこの事件がたびたび引き合いに出されている。
 やり玉に挙げられるのは大抵、東電だ。同社は福島原発の事故について手厳しい批判を浴びており、10年前の不祥事は同社が安全基準を長年軽視してきた証拠だという指摘が数多くなされている。
内部告発者の身元を東電に明かした保安院
 だが、日本の原発反対論者は、この2000〜02年のエピソードで監督当局が担った役割が最も腹立たしいと考えている。経済産業省の一部門で、日本にある原子炉54基の安全性を監督するのが仕事の原子力安全・保安院は、内部告発者が誰であるか(ゼネラル・エレクトリック=GE=から業務を請け負っていた人物だった)を東電に明かしていたのだ。
 またこの一件を批判する人々によれば、保安院はこの内部告発が真剣に検討されるような手配をほとんど行わなかったという。
 「原子力安全・保安院と原子力安全委員会(もう1つの監督機関)があるから原子力発電は大丈夫だと、政府はずっと言ってきた。だが、そんなのはウソだ」。原子力業界で20年間働いたウラン濃縮の専門家で、現在は中部大学の教授を務める武田邦彦氏はこう言い切る。「東電は悪い。だが、それがまかり通っているのは、あのシステムのせいだ」
 日本の原子力行政を批判する人々は、2つの原子力監督機関のうち、より強い権限を持つ原子力安全・保安院を経済産業省から完全に独立させることを望んでいる。保安院では現在、経産省出身の官僚が在籍して原発の日々の監督に当たっている。
姿の見えない原子力安全委員会
 もう1つの監督機関である原子力安全委員会は外部の専門家からなる諮問機関で、プロジェクトの申請のチェックや総合的な安全基準の策定などを行うことになっている。権限を持たない組織だという見方が一般的で、今回の福島原発の危機に際しても表舞台にはほとんど出てきていない。
 独立行政法人日本原子力研究開発機構の研究所長をかつて務めた笠井篤氏は、原子力安全委員会を歌舞伎の控えめな裏方になぞらえる*1。〈*1=日本原子力研究開発機構は、日本原子力研究所(原研) と核燃料サイクル開発機構を統合再編して設立した組織で、笠井氏は原研の研究室長を務めた〉
 「彼らは日本の原子力の安全に責任を負うことになっているんだ。なぜ前に出てこないのか?」
 日本政府は18日、原発の監督体制の改善に向けた一歩を踏み出した。電力業界の規制に関与している上級公務員が退官後に電力会社に就職すること――長く続く慣例、いわゆる「天下り」――を禁じたのだ。
 原子力エネルギーの利用に反対している日本共産党の塩川鉄也議員がまとめたデータによれば、電力会社10社はこれまでに45人の経産省OBを取締役クラスの役職に受け入れてきた。現在でも6人が常務などの役職に就いているという。
根深い馴れ合い関係
 東電では、これまでに4人の官僚OBが副社長を務めている。今年1月に東電に顧問として入社した石田徹・資源エネルギー庁前長官も同じ道を歩んで5人目になると見られていたが、19日に辞任することを明らかにした。
 別の電力会社のある幹部は、東電の原子力のスペシャリストたちと彼らのかつての監督官たちとの関係は、キャリアの初めから決められると指摘する。「東大で原子物理学を専攻した人のうち、トップクラスの成績を収めた人が東電に就職し、それより成績の低い人が保安院に入る」
 また、この幹部によれば、官僚は原子力関連の予算をほぼフリーハンドで決めることができ(基礎研究や廃棄物処理、原子力関連施設を受け入れている自治体への補助金などには年間4000億円を超える公金が投じられている)、電力会社が規制緩和を免れるための手助けもこっそり行ってきたという。
 官僚と電力会社は1970年代の石油危機の際に原子力発電を推進すべく手を組んだ。両者のつながりはいろいろな面で、日本の産業政策全盛期に見られたものによく似ている。2年前に政権を取った左派寄りの民主党でさえ、この現状を変える手だてはほとんど講じていない。
 「原子力政策は、政治家が触れることのできない分野だ」。原子力業界を批判してきた前福島県知事の佐藤栄佐久氏はそう語る。技術的な複雑さゆえに、政治家は専門家に質問することに消極的になってしまうのだという。
天下り禁止は小さな一歩
 電力業界が監督当局に影響力を及ぼしているといっても、それによって電力会社の幹部が私腹を肥やしたわけではないようだ。東電の取締役21人が2010年3月期に受け取った報酬は1人平均3430万円。年間の売上高が5兆円を超える企業の経営者であることを考えれば、莫大な金額だとはとても言えない。
 佐藤氏らによれば、官僚と原子力業界の幹部たちはむしろ、原子力発電をこれに批判的な勢力から守るという「大義」の元に自分たちは一致団結していると考えているという。
 天下りの禁止は、この四半世紀で最悪の原発事故が生じた後にシステムを変えるに当たってのほんの小さな一歩にすぎないということになりそうだ。 By Jonathan Soble and Michiyo Nakamoto
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佐藤栄佐久氏、ずっと前から指摘「国と東電が安全神話を拡散、事故発生しても先ず隠蔽」2011-04-14 | 地震/原発
そこは?死の灰?が降る戦場だった/もたれ合い原発ムラの科学者たちはテレビに出るのではなく、現場へ行け2011-04-16 | 地震/原発 
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原発事故 元凶は天下りにあり 
現代ビジネス2011年04月08日(金)ドクターZは知っている
 東日本大震災による福島第一原発の事故で、政府と東京電力が各方面から非難を浴びている。情報開示の不十分さが不安を拡大させているからだ。
 背景にあるのが、政府(経産省、原子力安全・保安院)と東電の特殊な関係だ。はっきり言えば、ズブズブで密接すぎるのである。
 原子力安全・保安院は原子力等のエネルギーに係る安全及び産業保安の確保を図るための機関。原発などの安全確保のために厳正な監督を行うことになっている。経産省の外局で、有り体に言えば植民地だ。
 一方、東電は独占企業だから、ライバル企業との競争はない。監督するのは政府=原子力安全・保安院だけで、政府さえ丸め込めば、恐いモノなしだ。実際、東電は歴代経産幹部の天下りを受け入れており、今年1月には原子力安全・保安院の上部組織である経産省資源エネルギー庁の前長官だった石田徹氏が、退官後わずか4ヵ月で顧問に天下っている。そうした天下りの見返りとして政府は厳しい監督をせず、また適切な情報開示も行わせることができなかった。安全基準も、いまとなっては甘かったことが明らかになった。
 また、原子力安全・保安院の現院長である寺坂信昭氏は、エネ庁勤務の経験もあるが、前職が経産省商務流通審議官であり、三越や伊勢丹などの百貨店担当をしていた人物だ。経産省が原子力の安全・監視・指導を軽視してきたことを物語る人事と言えよう。
 過去にも福島第一、第二原発や柏崎刈羽原発などでデータ改竄が繰り返されてきたこと、東海村で臨界事故が発生したことなどを見ても、政府と東電のもたれ合いの弊害は明らかだ。はっきり言えば、政府は東電に取り込まれたのである。
 このように、規制する側が規制される側に取り込まれて、規制が被規制側に都合よく歪曲されるメカニズムを「虜理論」(ノーベル経済学賞を受賞したG・スティグラー教授の理論)という。東電の虜になった政府は、国民に対して「由らしむべし、知らしむべからず」の姿勢で原子力行政を行い、今回そのツケが最悪の形で回ってきたのだ。
 それにしても、原発事故に関する政府の情報開示はまったくお粗末で話にならない。テレビでは専門家がいろいろと解説しているが、国民が最も欲しているのは外部への放射線量の情報だろう。例えば、放射線測定データを花粉情報のように地域別に示して提供するべきなのだ。
 実は、そうした情報を提供できるシステムがすでに存在している。(財)原子力安全技術センターが開発した「SPEEDI(スピーディ)」だ。これは「万一、原子力発電所等から大量の放射性物質が放出される事態が発生したとき、線量等を地形や気象を考慮し迅速に予測する」(同センターHPより一部抜粋)もので、'10年度予算には7億8800万円が計上されている。いまこそこのシステムを活用すべきなのに、政府がこれを使った情報発信を決めたのはようやく23日になってから。「スピーディ」とは、ブラックジョークにしか聞こえない。
 賢明な読者はもうお気づきだろうが、この財団法人も天下り機関だ。役職員16名中4名が官僚OBで、元科学技術事務次官だった石田寛人氏が会長(非常勤)として天下っている。
 政府と東電のように天下りを介して規制を歪める関係は、この国の至る所にある。被規制側が規制の主導権を握るのだから、分野によっては危険極まりない。
 日本の総点検が必要だ。


そもそも、遺体の捜索は警察や消防の仕事/遺体処理で自衛隊員が壊れている

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遺体処理で自衛隊員が壊れている
日刊ゲンダイ2011年4月21日
「被災地に行きたくなかった」
 海上自衛隊の自衛官が、20日レンタルビデオ店で下半身を露出し、公然ワイセツの疑いで神奈川県警に逮捕された。捕まったのは3等海曹の神山仁容疑者(31)。
 神山は犯行の理由を、「被災地に派遣されたくなかった。逮捕されれば行かずに済むと思った」と話している。神山はすでに一度、被災地に派遣され遺体捜索をしている。「約2週間、宮城県沖の遺体の収容作業にあたった。厳しい勤務で緊張の連続だった」と吐露しているという。
 どんな理由があれ、下半身を露出するのは問題だが、被災地に派遣された自衛隊員の多くが、「ホンネでは被災地に行きたくない」と思っているという。弱音を吐くことはないが、肉体はもちろん、精神的にヘトヘトになってしまうらしい。
「現在、10万人以上の自衛官が被災地で働いている。震災から1カ月が経ち、疲労もピークに達しています。災害現場で寝泊まりし、風呂にも入れず、食事も被災者には温かいモノを配るが、隊員は缶詰を食べている。なかでもキツいのが遺体の捜索です。自衛隊は約8000の遺体を収容しているが、津波にのまれた遺体は、男女の区別がつかないくらいに傷み、手足が取れてしまうこともある。海面に体の一部だけが浮いていることもあるそうです。しかも、担架が足りないため遺体を背負って運ぶこともある。その時、隊員の背中は遺体から流れる体液でビッショリ濡れてしまうそうです。そうなると、においが取れない。遺体捜索に携わった隊員は精神的にかなりマイってしまうといいます」(防衛省関係者)
 そもそも、遺体の捜索は警察や消防の仕事で、米軍も「軍隊の仕事は生きている人を守ることだろう」と驚いていた。自衛隊員のケアも考えないと、この手の事件が続出しそうだ。

災害派遣、現場自衛官から上がる悲痛な声/戦争ではないが、この国は間違いなく長期戦の最中にある2011-04-14 | 地震/原発 
福島第一原発:報道をはるかに超える放射能 死を覚悟する自衛官2011-03-18 | 地震/原発
福島第一原発「被曝覚悟で闘う現場作業員たち」2011-04-08 | 地震/原発

原発の安全性は週1回48分の会議で決まった/人間の安全を議論しない原子力安全委員会

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原発の安全性は、週1回48分の会議で決まった 何も発言せずに年間1600万円報酬のやれやれ・・・
JB PRESS2011.04.22(Fri)伊東 乾
 手元に4月18日夕刻に行われた原子力安全委員会の議事録があります。この種の報告書を網羅的に見たわけではないですが、率直に言ってやや呆れました。
 原子力安全委員会、と名はついていますが、主として担当官僚の報告があり、それに質問があれば時折口を挟む。とは言っても大半は式次第通りに進み、この場で実質的な討議などはまるでない。
 「会議」は48分で終了、週1回の勤務で「常勤扱い」月給90万何がし、年収1600万ということは、やや下品な計算ですが1回の会議が20万円以上に相当するわけで、席に座っていれば1分当たり5000円のおひねりがつくことになります。
 全く発言のない委員さんは、ただ役人の話を聞くだけで25万円?
 まあ、まさか毎回、この種の報告を聞くだけではないでしょうけれど、ちょっと呆れないわけにはいかない「委員会」だと思いました。
人間の安全を議論しない委員会
 と同時にそういうものかという気もしたのは、大学の教授会の類と同じなんですね。事務方と委員長など首脳が内容は綿密に詰めておく。大半の人は当日座ってるだけで、多数決に1票を投じればそれで結構という図式。
 「原子力安全委員会が独自の調査団を現地に送っていないことが判明」というような報道を目にした気がするのですが、これが独自の云々という空気かどうか、議事録と各々の発言を見れば、問うのも野暮と分かる気がします。
 まあ、しょせんは長老会ということで、その他のすべてを捨て置いたとして、先ほどの「第23回委員会」議事録を見て、ほとほと「ひどいなぁ・・・」と思ったのは「人間の安全」という観点が1度も出てこずに、1回の会議が終わったことになっている、縦割り官僚制の最末期症状ですね。
 「炉の状態」が報告される。その確認をする。正規の仕事で、大変重要なことだと思いますが、そこでの健康への影響、つまり「人間の安全」がほとんど顧慮されない会議もある「安全委員会」。
 これでは、アリバイと言われても仕方ないでしょう。一応国の中では大切な位置づけになっているはずのものが、これくらい形骸化した状況で、いったいどうしようというのか?
 米国のエネルギー長官、スティーブン・チューは精力的な男で、自分で率先して手を動かして仕事に目鼻をつけていきます。昔一緒に仕事をしたことがありますが、よくできる人物で、1997年のノーベル物理学賞受賞者の、本物のプロでもあります。
 右の写真(省略=来栖)、腕まくりをして青年のように見えますが、これで60歳。いまは63歳と思いますが、我が国の名誉教授諸兄が完璧に茹で上がった風情のが多いのと、仮に好対照と言わなくてもおのずと知れるものがあると思います。
 ちなみに今見てみたら、以前大学でよくお見かけした斑目春樹さん*1とスティーヴンは1948年生まれで同い年でした。〈*1:斑目春樹氏=原子力安全委員会委員長〉
 スティーブンは物理の道具をゲノムなど生命科学に転用する端緒を開きました。そういう幅広の視点から、現在の福島の事態にも縦横に試算を発表しています。
 日本国内とずいぶん空気が違うのは、まあ後々の補償など心配して、などもあるでしょうが、基本的に文系官僚がシナリオを書いて、専門家先生にOKを取ったことにするという日本のテクノクラシーのベースが、緊急事態に即応していない表れと思います。
 企業であればこのまま放置すれば左前一直線確定という気がします。
放射能と健康被害:確定的影響と確率的影響
 さて、以下では「人間の安全」に関わる基礎を確認しましょう。私たち人間が放射能を浴びると、どのような影響が出るかを、整理しておきます。
 放射能とは、目に見えない妖怪などではなく、ヘリウム原子核(アルファ線)や電子線(ベータ線)、威力の強い光線(ガンマ線)など、私たち人間の体を形作っているのと同じ小さなちいさな材料が、強い勢いでぶつかって来るものでした。
 こうした小さな部品によるアタックは、私たち人間の「器官」や「細胞」にダメージを与えます。例えば、高濃度の放射性物質が確認された水に足をつけて作業していた人は「ベータ線熱傷」という火傷のような症状になりました。
 私たちは、熱いやかんに誤って触ってしまったり、高温の水蒸気が当たったりすると火傷を負います。また、夏に日焼けしすぎると、皮膚が水ぶくれになったりもしますね。
 日焼けの方は、太陽の光の中に含まれる紫外線が、私たちの細胞をアタックすることで起きる、やはり火傷に似た症状です。
 高温の水蒸気を吹きつけられる火傷というのは、強い勢いで飛んでくる水分子で皮膚や身体をアタックされる症状です。
 私たちの身体は、壊れてしまった細胞を修復するように、新たに遺伝子を読み出して、一生懸命修繕の作業に努めます。途中ばい菌が入ってきたりしたら、白血球などの免疫系も頑張って働くことでしょう。
 放射線被曝による症状が、こうした通常の怪我や病気と大きく異なるのは、極めて小さな部品である放射線が単に器官や細胞を破壊するだけでなく、私たちの細胞の中に収められている遺伝子までも、ずたずたに切ってしまうことがあるため、非常に危険なのです。
放射線は人間の自然治癒力をも破壊する
 普通の怪我なら、遺伝子に書き込まれた指示の通りに修復することで、怪我は癒え、傷口はふさがり、たとえ時間がかかっても回復することが期待できます。
 しかし、その回復のための筋書きが書かれた遺伝子まで傷つけられてしまうと、私たち人間が持っている自己保存の力、自然な治癒力そのものが働かなくなってしまう可能性がある。ここに注意しなければなりません。
 被曝線量の問題を考える時、覚えておくべきことは、短期間に集中して多くの線量を浴びてしまうと、単に器官や細胞が破壊されるだけでなく、それを修復する遺伝子までも数多く傷つけられてしまい、治癒の能力を失ってしまうこと。これが恐ろしいのです。
 こうした被曝量の目安として、シーベルト/毎時とか、シーベルト/毎年といった被曝の許容量が考えられるわけです。
 いまお話しした部分は、放射線を浴びると、短期的にまず間違いなく起きる「確定的影響」と呼ばれるものです。
 これとは別に健康への「確率的影響」が懸念されます。
 これは主として遺伝子へのアタックで起こるもので、元は自分自身の細胞の遺伝子だったものが、放射線によって遺伝情報の内容が傷つけられ、制御不能な細胞を作り出してしまうようになること、つまりガンなどが後になってから発症することが心配されるわけです。
 放射線被曝による私たちの健康への「確定的影響」と「確率的影響」は、どちらも放射線、つまり電子や光線などが極めて小さく、私たち人間の生命をコントロールする最も細かなメカニズムが異常になるため、細菌やウイルス、化学物質などによる他の病気と大きく違う危険をはらんでいるのです。
シーベルトとグレイ:疫学量と物理量
 原発の事故や核兵器の被害による被曝・被爆では、多種多様な放射性物質から様々な放射線を浴びている可能性があります。このため、1つの原因だけで病気を正しく理解することは容易ではありません。
 また、お医者さんの立場に立つなら、診療の目的は人を治すことであって、原因や症状を分類・整理することが医の本来の目的ではありません(医学が先にたち患者がサンプルと化すような事態は、医の倫理に照らしてあってはならないことと思います)。
 1945年の広島・長崎への原爆投下以降、核の悲惨な影響によって、多くの人が健康を蝕まれ、尊い命を奪われていきました。
 そうした診療情報の積み重ねから、どれくらいの放射能を浴びると、身体にどんな影響が表れ、どのような病気が懸念されるか、といった健康と病気に関する統計情報、つまり疫学情報が積み重ねられていきました。
 よく目にする単位「シーベルト」の裏には、こうした膨大な数の被爆者の悲惨な経験に基づく莫大な疫学的データが存在しています。そのことを、まず認識してください。
 先ほどお話しした通り、各地の線量計は物理的な方法で放射線の量を測ることしかできません。実際には半導体検出器やシンチレーションカウンター、そのほかの器具を使って電子や光を計測するだけです。
 そのようにして得られる、物理的に測定することができる「吸収線量」という数値があります。この単位がグレイ(Gy)です。
 いま、原子力発電所を設計する技術者の立場で考えてみてください。タービン建屋など原子力プラントを建設・維持するためには、コンクリートや鉄など、建築材料が放射能によってどれくらい脆くなるか(脆性破壊試験)、といったデータが必要になります。
 そこで、素性の分かった放射線を鉄やコンクリートに照射して、強さの変化を調べます。
 この時、鉄やコンクリートなど物質1キログラムに対して放射線が1ジュール[J]の「仕事」をした時の「吸収線量」を1グレイ[Gy = J/kg]と言います。
 この「仕事」という言葉は高等学校の物理で教えるエネルギーの単位で、分かりにくければ熱量、カロリー[Cal=J=m×kg m/s2]と同じものと思っていただいてかまいません。
 「1グレイの吸収放射線量」というのは、鉄が浴びても、コンクリートが浴びても、はたまた人間が浴びても、物理的な量ですから変わりはありません。
同じ放射線を浴びても受ける側によって被害が異なる
 しかし、それによって照射された側が受ける影響は大きく違ってきます。コンクリートと鉄が各々1グレイの放射能を浴びて、どれほど強度が変わるのか、細かなことは知りませんが、人間が1グレイの放射能を浴びると、かなり健康に影響が出てしまいます。
 ここで放射能にもいろいろな種類があることを思い出してください。同じ1グレイつまり体重1キロ当たり1ジュール分の「熱量」を放射線から受けるとしても、アルファ線(ヘリウム原子核)によるのと、ベータ線(電子線)によるのと、X線やガンマ線(高エネルギーの光線)によるのとでは、影響の度合いが違います。
 これが陽子線や中性子線でも、各々また違ってきます。
 そこで、原爆病の治療などの過程で、いろいろな種類の放射線1グレイを浴びた時、それがどの程度健康に影響を及ぼすかを見積もるための、疫学的な値が工夫されました。それがシーベルトという単位なのです。
 基本になるのはX線、ガンマ線などの光線で、
1グレイ[Gy](光)=1 シーベルト[Sv]
 で換算します。またベータ崩壊で放出される電子についても、
1グレイ[Gy](電子)=1 シーベルト[Sv]
 と見積もることにしました。これに比べると、原子炉内で放射される中性子は、私たちの健康をより強く害する性質を持っており、
1グレイ[Gy](低速中性子)=5シーベルト[Sv](10KeV以下)
1グレイ[Gy](中速中性子)=10シーベルト[Sv](10−100KeV)
1グレイ[Gy](中超高速中性子)=20シーベルト[Sv](100−2000KeV)
1グレイ[Gy](高速中性子)=10シーベルト[Sv](2000−20000KeV)
1グレイ[Gy](超高速中性子)=5シーベルト[Sv](20000KeV以上)
 と中性子の持っているエネルギーによって健康に与えるダメージが異なっています。しばらく前に「ベクレル」は打率だけれど「シーベルト」は打点だと言ったのは、このことなのです。
 同じ1個の中性子でも、健康に与える被害の「打点」はエネルギー次第で様々に異なり、それを統計平均的に加算したものが「シーベルト」という単位なのです。
 アルファ(α)粒子は重く、また電荷を帯びているので、
1グレイ[Gy](アルファ粒子)=20シーベルト[Sv]
 となり、また重い原子核線を直接被曝したときのインパクトも、
1グレイ[Gy](重粒子)=20シーベルト[Sv]
 と計算します。
疫学量と物理量
 グレイが物理量であるのに対して、シーベルトが疫学量である、というのは、人間の感覚とちょっと似たところがあるかもしれません。
 例えば塩水を作るとします。いま塩水の濃度を2倍にしても、私たちはその「塩辛さ」を2倍とは感じません。人間に対する影響が物理的な変化と違う一例です。
 あるいは、ステレオのボリュームを上げて、出力のパワーを2倍にしたとしても、人間は決してそれを2倍にうるさいとは感じません。人の耳は精妙にできており、きちんと聴くことができる音のパワーは最小の音から最大まで10万倍もの幅があります。
 このため10倍、100倍になってようやく2倍くらいに感じる、ということも少なくありません(現実には音の高さや種類によってさまざまですが)。
 報道やテレビで1ミリシーベルトの線量が測定された、などと耳にしたら、それが「毎時」かどうか、また物質「1cc当たり」などなのか、それとも空間線量なのか、などに注意すべきだ、とお話ししましたが、さらに「シーベルト」という量そのものが、疫学的な情報によって見積もられた、便利のための数値である、ということを思い出してください。
 目的は、あくまで、私たちの健康を守ることで、数値は目安に過ぎません。より安全を見て判断、行動することが、何より大切です。
 私が冒頭の「原子力安全委員会」を問題以前と断じたのは、雰囲気でものを言うわけではなく、物理量ベースの議論だけでの「安全」で、臨床や疫学の量、つまり人にとっての安全という観点が(少なくとも上の回に関しては)ほぼ完璧に抜け落ちていること、そしてそれに特段、異論をさしはさむ空気もなく、議事がつつがなく進む様子を見て、この中に人間の安全という配慮は、全くないのだなと呆れ果てたというものでありました。(つづく)
〈筆者プロフィール〉
伊東 乾 Ken ITO
作曲家=指揮者 ベルリン・ラオムムジーク・コレギウム芸術監督
1965年東京生まれ。東京大学理学部物理学科卒業、同総合文化研究科博士課程修了。2000年より東京大学大学院情報学環助教授、07年より同准教授、慶應義塾大学、東京藝術大学などでも後進の指導に当たる。若くして音楽家として高い評価を受けるが、並行して演奏中の脳血流測定などを駆使する音楽の科学的基礎研究を創始、それらに基づくオリジナルな演奏・創作活動を国際的に推進している。06年『さよなら、サイレント・ネイビー 地下鉄に乗った同級生』(集英社)で第4回開高健ノンフィクション賞受賞後は音楽以外の著書も発表。アフリカの高校生への科学・音楽教育プロジェクトなどが、大きな反響を呼んでいる。他の著書に『表象のディスクール』(東大出版会)、『知識・構造化ミッション』(日経BP)、『反骨のコツ』(団藤重光との共著、朝日新聞出版)、『日本にノーベル賞が来る理由』(朝日新聞出版)など。

原発20?圏に家畜65万匹超、置き去りか 餓死か/牛に「ごめん」牛を解き放とうと悩んだが、近所迷惑と考え

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原発20キロ圏に家畜65万匹超置き去りか
< 2011年4月19日 20:41日テレ>福島第一原子力発電所の事故で避難指示区域に指定されている半径20キロの圏内に、家畜のウシ3300頭やブタ、ニワトリなど計65万匹以上が取り残されているとみられることが、福島県の調べでわかった。大半は死んでいるとみられる。
 県は、行方不明者の捜索も難航していることから対応は難しいとしている。
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牛3千頭・豚3万匹、原発20キロ圏に…餓死か
読売新聞 4月19日(火)14時33分配信
 東京電力福島第一原子力発電所の事故で、避難指示区域(原発の20キロ圏内)に牛約3000頭、豚約3万匹、鶏約60万羽が取り残されたことが19日、福島県の調べでわかった。
 避難指示から1か月以上が過ぎ、すでに多数が死んだとみられる。生き残っている家畜について、畜産農家らは「餓死を待つなんてむごい。せめて殺処分を」と訴えるが、行政側は「原発問題が収束しないと対応しようがない」と頭を抱えている。
 県によると、20キロ圏内は、ブランド牛「福島牛」の生産地や大手食品メーカーの養豚場などがあり、畜産や酪農が盛んな地帯。しかし、東日本大震災発生翌日の3月12日、同原発1号機が爆発し、避難指示が出たため、畜産農家や酪農家は即日、家畜を置いて避難を余儀なくされた。 .最終更新:4月19日(火)14時33分
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<福島第1原発>牛に「ごめん」 警戒区域化で最後の世話
(毎日新聞-04月21日 21:23)
 「一時帰宅はどこまで認められるのか」「放射線量が高いのに大丈夫なのか」。福島第1原発の20キロ圏内を22日午前0時から立ち入り禁止にするとの21日の政府発表を受け、福島県内外で避難生活を送る約7万8000人の住民に大きな波紋が広がった。一時帰宅への期待が高まる一方、やり残したことを「最後の1日」で済ませようと圏内を行き来する人の動きも目立った。原発事故の影響は圏内で暮らしていた約7万8000人の営みを翻弄(ほんろう)し続けている。
 ◇楢葉町牧場主
 同県楢葉町の蛭田(ひるた)牧場。20キロ圏外のいわき市に避難している経営者の蛭田博章さん(42)は21日、約130頭の牛たちに最後の餌を与えた。強制力のない「避難指示」の段階では、3日に1回のペースで餌やりのため牧場に入っていたが、22日午前0時以降は不可能になる。蛭田さんは「何もしてやれず、ごめん」と牛たちにわびた。
 この日、蛭田さんが干し草を積んだトラックで到着すると、エンジン音を聞いた牛舎からは一斉に鳴き声が起きた。まず飲み水を与え、次に干し草を一列に並べると牛たちは我先にと食べ始めた。与えたのは1日分。牛が飲まず食わずで生きられるのは約1カ月が限度という。
 子牛の牛舎を見ると生後3カ月の雌牛が栄養不足で死んでおり、別の1頭が絶えそうな息で横たわっていた。蛭田さんは重機で掘った穴に死んだ子牛を埋め、瀕死(ひんし)の子牛の背中をずっと、なでた。「ごめんな、ごめんな」。涙が止まらなかった。
 立ち入りが禁止される今回の事態を前に、牛舎から牛を解き放とうと何度も悩んだが、近所迷惑になると考え、思いとどまった。最後の世話を終えた蛭田さんは「一頭でも生かしてやりたかったけど、もう無理みたいです。次に来るときは野垂れ死にしている牛たちを見るのでしょう。つらいです」。それ以上、言葉が続かなかった。【袴田貴行】
 ◇検問で列
 政府による「警戒区域」の設定が発表された21日、福島第1原発の半径20キロ圏に取材で入った。主要道路は、警戒区域に切り替わる22日午前0時より前に圏内の自宅から荷物を持ち出そうとする住民の車で混雑した。
 国道6号の原発20キロ地点に設置された楢葉町の検問所も列ができていた。警察官は「今日までは立ち入りを認めているが、明日からは完全に入れなくなる」と説明し「短時間で出てください。出た後は(被ばくの有無を調べる)スクリーニング検査を受けてください」と念押ししていた。
 夕方、圏内からUターンを始めた車には、多くの家財が積まれていた。マスク姿の運転者が目立ち、防護服代わりのような雨がっぱで頭を覆った女性もいた。荷台に犬を乗せた軽トラックも通り過ぎていった。
 この日、出会った楢葉町の森田孝広さん(35)は家財道具を持ち出すためトラックを借りて「家にある7割くらいは持ち出した」という。仕事があるため妻と小1の長男、1歳の長女を東京の実家に預け、いわき市内で単身の避難生活を送る。自宅が警戒区域になることに「何も考えられない。目の前で起きることを一つ一つこなしていくだけ」とうつむいた。
 町内には今回の問題を生み出した原発の復旧に当たる前線基地「Jヴィレッジ」がある。施設内では、この日も多くの作業員が防護服に身を包み、原発に向かうワゴン車やバスに乗り込んでいた。
 スクリーニング検査を実施しているいわき市保健所によると、この日は圏内の楢葉町や富岡町にいったん戻った人を含めた検査が平常より3割増えた。持ち出した家財道具の検査ができるかの問い合わせもあり、職員らは遅い時間帯まで対応に当たっていた。【町田徳丈、石川淳一】
 ◇郡山避難女性
 福島県内外の避難所などに身を寄せる住民の関心は、今後実施されるとみられる一時帰宅に集中した。
 最も多い避難住民を受け入れている「ビッグパレットふくしま」(郡山市)には21日、菅直人首相が訪れた。
 津波で集落全体を流された富岡町のパート、佐藤恵美子さん(50)は首相に「よろしくお願いします」と声を掛けたが、本音では「早く帰らせて」と怒鳴りたかった。震災から一度も帰宅できておらず、アルバムや思い出の品も捜したい。ただ佐藤さんは「放射線で汚れたものをそのまま避難所に持ってくるわけにもいかないだろう」と、複雑な思いをのぞかせた。
 家族4人と寝泊まりする同町の会社員、遠藤和也さん(43)は今まで2回、帰宅して通帳などを持ってきたが、両親の保険証を回収できていない。一時帰宅に期待しているが「本当はみんなで戻りたいが、放射能が怖いので子供2人は連れて行けない」と話した。
 山形県米沢市の避難所に身を寄せる浪江町の会社員、金沢良行さん(48)は警戒区域設定のニュースを知り、車を飛ばして自宅に家財道具を取りに行った。国の一時帰宅の方針については「一時帰宅は乗り合いバスで移動するというが、多くの荷物が載せられない。もう少し自由にできないのか」と訴えた。
 一方、第1原発の3キロ圏内は一時帰宅の対象外に。双葉町長塚から米沢市に避難している東電協力会社員、渡部恵丞(けいすけ)さん(32)は「一時帰宅できたら衣類や日用品、3人の子供のアルバムを持ってきたかったが……。こんなことなら自己責任で戻って回収しておけばよかった」と肩を落とした。【前谷宏、荻野公一、金寿英】
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福島からの牛豚避難に壁 風評被害、東海の受け入れ先断念
中日新聞2011年4月22日 10時38分
 福島県や農林水産省は、福島第1原発事故で「計画的避難」や「屋内退避」の対象になっている地域の牛や豚を、圏外に避難させる方針だ。ただ、受け入れを表明した東海地区の酪農家が、インターネット上で中傷され、断念するケースも出始めるなど、難航も予想される。
 1カ月をめどに避難対象となる「計画的避難」区域の福島県飯舘村。黒毛和牛を育てる庄司武実さん(57)は「牛を飼っている者は不安で仕方がない。こんな状態では当たり前でしょ」と憤りをあらわにする。
 父親の後を継いで30年。「草原の草を食べて育つ。うちの牛は赤身が多くて、うまいんだ」。競りに出した子牛が、三重県や山形県で育てられ、全国でも屈指のブランド牛になる。それを誇りにしてきた。
 福島県の調査によると、今月上旬、村内の土壌からは1キログラムあたり最大2万ベクレル以上(規制値5000ベクレル)のセシウムが検出された。県は「計画的避難」区域の牛や豚の飼育数は把握していないが、原発から半径20〜30キロ圏内の「屋内退避」区域だけでも、牛1万頭、豚1万3千頭が飼育されている。
 家畜の世話をするために自宅にとどまったり、餌をやるために避難先から通う農家もいる。
 農水省は今月上旬、農協などを通じて、全国の酪農家や畜産農家に、家畜の受け入れ希望を調査した。数十の農家が「可能」と回答したという。
 東海地方のある酪農家も「被災地の助けになりたい」と、牛数十頭の受け入れを申し出た。しかし、直後にインターネット上で「放射能で汚染された牛が××県に来る」などと中傷されたことから、風評被害を恐れ、受け入れを断念した。
 庄司さんは、母牛や子牛に餌をやりながら考える。「来月予定される競りに、飯舘の牛は出せないだろう。国や東電はどう補償してくれるのか」。丹念に育ててきた雄の子牛は今、9カ月。ちょうど出荷の時期を迎えている。
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〈来栖の独白〉
 人類が地球を我がもの顔に使い放題やってきた。この地球は、断じて、人類だけのものではない。地球の主人ではない。
 昨年の口蹄疫の時も、また鳥インフルエンザのときも、私たちは私たちに具合が悪いからと数え切れない数の動物を殺した。殺戮した。
 私は、牛の目を見たことがある。静かで穏やかでやさしい、無辜の目だった。そういう彼らを人類は「工場」で「生産」し、「出荷」し、或いは「処分」する。
 私は、どうしたらいいのだろう。いま、私のこころ、私の世界(心)は、哀しみでいっぱいだ。無辜の動物や野菜たちへの哀れさと申し訳なさで、いっぱいだ。
 地球のためには、地球のすべての無辜の生きものの為には、人類が滅びることだ。滅びるしかない。放射能でも何でも抱いて、死ねばよい。絶滅すればよい。
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宮崎牛、口蹄疫 「人間は、地上における最も兇暴な食欲をもつ生物だ」2010-05-17 | 社会
・五木寛之著『人間の運命』(東京書籍)より
 私たち人間は、地上における最も兇暴な食欲をもつ生物だ。1年間に地上で食用として殺される動物の数は、天文学的な数字だろう。
 狂牛病や鳥インフルエンザ、豚インフルエンザなどがさわがれるたびに、「天罰」という古い言葉を思いださないわけにはいかない。
 私たち人間は、おそろしく強力な文明をつくりあげた。その力でもって地上のあらゆる生命を消費しながら生きている。
 人間は他の生命あるものを殺し、食う以外に生きるすべをもたない。
 私はこれを人間の大きな「宿業」のひとつと考える。人間が過去のつみ重ねてきた行為によってせおわされる運命のことだ。
 私たちは、この数十年間に、繰り返し異様な病気の出現におどろかされてきた。
 狂牛病しかり。鳥インフルエンザしかり。そして最近は豚インフルエンザで大騒ぎしている。
 これをこそ「宿業」と言わずして何と言うべきだろうか。そのうち蟹インフルエンザが登場しても少しもおかしくないのだ。
 大豆も、トウモロコシも、野菜も、すべてそのように大量に加工処理されて人間の命を支えているのである。
 生きているものは、すべてなんらかの形で他の生命を犠牲にして生きる。そのことを生命の循環と言ってしまえば、なんとなく口当たりがいい。
 それが自然の摂理なのだ、となんとなく納得できるような気がするからだ。
 しかし、生命の循環、などという表現を現実にあてはめてみると、実際には言葉につくせないほどの凄惨なドラマがある。
 砂漠やジャングルでの、動物の殺しあいにはじまって、ことごとくが目をおおわずにはいられない厳しいドラマにみちている。
 しかし私たちは、ふだんその生命の消費を、ほとんど苦痛には感じてはいない。
 以前は料理屋などで、さかんに「活け作り」「生け作り」などというメニューがもてはやされていた。
 コイやタイなどの魚を、生きてピクピク動いたままで刺身にして出す料理である。いまでも私たちは、鉄板焼きの店などで、生きたエビや、動くアワビなどの料理を楽しむ。
 よくよく考えてみると、生命というものの実感が、自分たち人間だけの世界で尊重され、他の生命などまったく無視されていることがわかる。
 しかし、生きるということは、そういうことなのだ、と居直るならば、われわれ人類は、すべて悪のなかに生きている、と言ってもいいだろう。
 命の尊重というのは、すべての生命が平等に重く感じられてこそなのだ。人間の命だけが、特別に尊いわけではあるまい。
・五木寛之著『天命』幻冬舎文庫より
p64〜
 ある東北の大きな農場でのことです。
 かつてある少女の父親から聞いた話です。そこに行くまで、その牧場については牧歌的でロマンティックなイメージを持っていました。
 ところが実際に見てみると、牛たちは電流の通った柵で囲まれ、排泄場所も狭い区域に限られていました。水を流すためにそうしているのでしょう。決まった時刻になると、牛たちは狭い中庭にある運動場へ連れて行かれ、遊動円木のような、唐傘の骨を巨大にしたような機械の下につながれる。機械から延びた枝のようなものの先に鉄の金輪があり、それを牛の鼻に結びつける。機械のスウィッチをいれると、その唐傘が回転を始めます。牛はそれに引っ張られてぐるぐると歩き回る。機械が動いている間じゅう歩くわけです。牛の運動のためでしょうね。周りには広大な草原があるのですから自由に歩かせればいいと思うのですが、おそらく経済効率のためにそうしているのでしょう。牛は死ぬまでそれをくり返させられます。
 その父親が言うには、それを見て以来、少女はいっさい牛肉を口にしなくなってしまったそうです。牛をそうして人間が無残に扱っているという罪悪感からでしょうか。少女は、人間が生きていくために、こんなふうに生き物を虐待し、その肉を食べておいしいなどと喜んでいる。自分の抱えている罪深さにおびえたのではないかと私は思います。
 そうしたことはどこにいても体験できることでしょう。養鶏にしても、工場のように無理やり飼料を食べさせ卵をとり、使い捨てのように扱っていることはよく知られたことです。牛に骨肉粉を食べさせるのは、共食いをさせているようなものです。大量生産、経済効率のためにそこまでやるということを知ったとき、人間の欲の深さを思わずにはいられません。
 これは動物を虐げた場合だけではありません。どんなに家畜を慈しんで育てたとしても、結局はそれを人間は食べてしまう。生産者の問題ではなく、人間は誰でも本来そうして他の生きものの生命を摂取することでしか生きられないという自明の理です。
 ただ自分の罪の深さを感じるのは個性のひとつであり、それをまったく感じない人ももちろん多いのです。(中略)
 生きるために、われわれは「悪人」であらざるをえない。しかし親鸞は、たとえそうであっても、救われ、浄土へ往けると言ったのです。
 親鸞のいう「悪人」とはなんでしょうか。悪人とは、誠実な人間を踏み台にして生きてきた人間そのもです。「悪」というより、その自分の姿を恥じ、内心で「悲しんでいる人」と私はとらえています。(中略)
 我々は、いずれにしろ、どんなかたちであれ、生き延びるということは、他人を犠牲にし、その上で生きていることに変わりはありません。先ほども書いたように、単純な話、他の生命を食べることでしか、生きられないのですから。考えてみれば恐ろしいことです。
 そうした悲しさという感情がない人にとっては意味はないかもしれません。「善人」というのは「悲しい」と思ってない人です。お布施をし、立派なおこないをしていると言って胸を張っている人たちです。自信に満ちた人。自分の生きている価値になんの疑いも持たない人。自分はこれだけいいことをしているのだから、死後はかならず浄土へ往けると確信し、安心している人。
 親鸞が言っている悪人というのは、悪人であることの悲しみをこころのなかにたたえた人のことなのです。悪人として威張っている人ではありません。
 私も弟と妹を抱えて生き残っていくためには、悪人にならざるをえなかった。その人間の抱えている悲しみをわかってくれるのは、この「悪人正機」の思想しかないんじゃないかという気がしました。(中略)
 攻撃するでもなく、怒るでもなく、歎くということ。現実に対しての、深いため息が、行間にはあります。『歎異抄』を読むということは、親鸞の大きな悲しみにふれることではないでしょうか。
・五木寛之著『いまを生きるちから』(角川文庫〉より
 いま、牛や鳥や魚や、色んな形で食品に問題が起っています。それは私たち人間が、あまりにも他の生物に対して傲慢でありすぎたからだ、という意見もようやく出てきました。
 私たちは決して地球のただひとりの主人公ではない。他のすべての生物と共にこの地上に生きる存在である。その「共生」という感覚をこそ「アニミズム」という言葉で呼びなおしてみたらどうでしょうか。
...............
「牛は処分を察してか悲しい顔をする。涙を流した牛もいた」担当者ら、悲痛〜心のケアを2010-05-26 | 社会
わが子を死なせる思い。これまで豚に食わせてもらってきた。処分前に せめて最高の餌を
電気を流した。「豚は一瞬、金縛りのように硬直して、聞いたことのない悲鳴のような鳴き声を上げた」
ハイチの“マザーテレサ”須藤昭子医師(クリストロア宣教修道女会)に聞いてみたい、牛や豚のこと。
「子牛もいた。何のために生まれてきたんだろう」処分用薬剤を140頭もの牛に注射し続けた獣医師

「闇サイト殺人事件」名古屋高検、堀慶末被告に対する量刑(無期懲役)不服で上告する方針

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〈来栖の独白〉
 報道によれば、名古屋市で起きたいわゆる闇サイト殺人事件で、名古屋高検は堀慶末被告(35)を無期懲役とした高裁判決(12日)を不服として、上告するようだ。1、2審とも無期懲役とされた川岸健治被告(44)については上告を見送る方針。
 被害者の母親の富美子さんは19日、上告を求める陳情書を検事総長や名古屋高検検事長に出し、「被害者が1人の事件は量刑相場で刑の重さが決まり、極刑回避の理由は後付け。検察にはどうしても上告してほしい」と話していた。
 検察上告について2点、考えてみたい。が、そのまえに些細なことながら、よく言われる「量刑相場」という言葉について。「相場」という言葉が「いのち」に関係するところで用いられることに、私はちぐはぐな感を否めない。如何にもぞんざいな感じを受け、永山判決が暗に示した死刑に対する慎重なガイドラインとも相容れない、そんな気がする私である。
1、量刑が決まっているなら裁判の必要はないか
 東海テレビの番組だったか、遺族(磯谷富美子さん)がおっしゃっていた「永山基準によって、下される量刑が決まっているのなら、裁判の必要も意味も無い」。また、2審判決後、おっしゃっていた「誰のための裁判か」。
 これは、どうだろうか。
 刑事司法は、量刑を決めるため(だけ)にあるのではない。刑事裁判は、被害者自身による報復や、被害者個人の損害回復のための制度ではなく、犯罪を抑止することと同時に犯罪を犯した人の改善更生を実現することを目的としており、被告人席に立たされた市民に対し、冤罪の危険を3度にわたってチェックする、つまり合理的疑いを入れない程度に有罪と証明されたか否かを確認し、また有罪と認定された場合には法に定める範囲内で個別事情に応じた相当な刑罰を科するのが目的である。
2、上告とは
 上告は、本来の最高裁の役割である憲法、法律の問題があったり判例違反があったりするケースが原則である。例外的に量刑などについて「著しい不正義」となる場合があるだけだ。検察官の死刑求刑が容れられず無期懲役となったことを不服として、事実上量刑を争うために最高裁に検察官が上告することはまずない。本件闇サイト殺人事件で検察が上告するなら、些か上告の趣旨に反するように思う。以下のような対談があった。
「凶悪犯罪」とは何か 光市裁判、木曽川・長良川裁判とメルトダウンする司法  
司会 97年のときに『年報・死刑廃止』で「暴走する検察庁5件連続上告を考える」(98年版、平川宗信・村岡啓一・安田好弘)という座談会をやりました。あのなかで97,98年の検察上告の5人とも無期に戻さなければということを言っていますが、1人だけ死刑が確定してしまったわけです。このことはその後、どう影響していますか。
村上 1人だけ破棄差し戻しされたんですよ。今までは、高裁で無期だったのを最高裁で破棄差し戻しするというのは、著しく正義に反しない限りは絶対にしないんです。最高裁はこの高裁の判決が無期判決で、まぁ死刑でもいいなと思っても、これは破棄しなければ正義に反すると言えない限りはそのまま上告を棄却しなくちゃいけない。正義に反するから破棄差し戻しするというのは今まで永山最高裁判決と上告5事件の広島の事件しかないんですよ。広島での事件は、強盗殺人で人を殺害し無期懲役になり、仮出獄中にまた同じ強盗殺人をやったということで、今までの裁判例の中でもやっぱり死刑なんですね。その死刑の是非は別にして、今までの裁判例の中でも上告、破棄差し戻しするときは裁判所は非常に悩みながら、それなりに理由を書いて破棄差し戻ししてきたんですよ。(略)
安田 先ほどから僕は社会全体がこういう状況になってきているんだという話もしたんですけれども、先ほどの、検察官が一斉に判例違反・量刑不当を理由に上告したのは、検察官が死刑判決がどんどん減っていくことに危機感を抱いたからだと聞いています。裁判官が死刑判決を避けようとしている、これに歯止めをかけなきゃならない、むしろ積極的に死刑判決を出すように促さなきゃならないと、そのために異例中の異例なんですけども無期懲役となった5事件を連続的に上告したわけですね。検察官がこのようなことをすればどうなるかというとですね、今までは量刑というのは高裁止りだったわけですね。高裁の判断で終わりとされていたものが、逆に最高裁まで審査されるとなってくると、量刑について検察に迎合的にならざるを得なくなるんですね。
 僕は、死刑事件に関しては、量刑というのは常に強い、つまり死刑の方向にバイアスがかかると考えてきました。実際、実感としてもそうでした。つまり、1審では死刑だと言っておいたほうが、仮に重すぎるとして高裁で破棄されるとしても、その破棄のされ方というのは、「1審の死刑判決は容認できる。しかしその後の情状あるいは状況の変化を考慮すれば、現在では、死刑にしなくてもいいではないかと思料する」という形で、原審肯定の上での原判決破棄なんですね。ところが1審が無期だった場合は、高裁で「軽きに失する」と量刑誤判だと非難されるんですよね。ですからどうしても1審の裁判所というのは、死刑と無期で迷ったときは、死刑のほうに流れやすかったわけですね。そういう流れがあった中で、検察官が連続的に5件について上告までしたということで、地裁だけでなく高裁までが、検察の意見に従わなければ最高裁まで上げられるという危機感を抱き、死刑へのバイアスがかけられる現象が作り出されたんですね。検察は、死刑を回避しようとする裁判所にタガをはめ直した。そうすることによって、検察は、死刑を治安の根幹に据えて、治安政策を組み直そうとしていると思うんです。
 それとちょうど時期を同じくするわけですけれども、光市の事件というのは1999年に起こるんですが、これは、「作られた凶悪事件」なんですね。殺害の態様とか、あるいは故意の問題にしても、被疑者が少年だったものですから、検察官によって思うがままに事件が作り上げられたんですね。(略)
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死刑か無期懲役か/刑事裁判は、遺族のためにあるのではない2011-04-18 | 死刑/重刑/生命犯 問題
「闇サイト事件」死刑回避の理由とは/卑見 下山裁判長の考えのなかに「死刑」は確かに含まれていた2011-04-16 | 死刑/重刑/生命犯 問題 

「BRICS」を政治利用する中国

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米国への挑戦状:世界の盟主になりたい中国 BRICS首脳会議を主催して〜中国株式会社の研究(107)
JB PRESS〔中国〕2011.04.22(Fri)宮家 邦彦 
 日本中が放射線量の増減に一喜一憂していた4月13〜14日、胡錦濤総書記は海南島で第3回BRICS首脳会議を主催していた。インド、ロシア、ブラジルに加え、今回から南アフリカも参加した。「BRICs」が「BRICS」に変わったことに気づいた日本人がどれだけいただろうか。
投資銀行が考えた「BRICs」
 共同会見に臨む(左から)インドのマンモハン・シン首相、ロシアのドミトリー・メドベージェフ大統領、中国の胡錦濤国家主席、ブラジルのジルマ・ルセフ大統領、南アフリカのジェイコブ・ズマ大統領〔AFPBB News〕
 「BRICs」という言葉が使われたのは2001年、米投資銀行大手ゴールドマン・サックスが投資家用に作成したニュースレターが最初だったと言われる。
 当時から、広大な領土と巨大な人口を持ち、急成長を続ける新興国家群の存在は関係者の間で注目されていた。
 あれから10年、今年から南アフリカが参加し、イラン高官もBRICs諸国との関係拡大を公言するようになった。
 当初は理念的に考えられ、半ば語呂合わせ的に命名されたBRICsだったが、今や国家グループとして自律的な進化を始めたかのようだ。
 ロシアとブラジルで開かれた過去2回のBRICs首脳会議のテーマは、基本的に経済問題だった。BRICs諸国が、G20と国連の役割を重視しつつ、より平等、多極的で民主的な国際社会・経済システムを目指して協力し合うという一般的な主張だったと記憶する。
 ところが、4月14日に発表された今年の首脳宣言には、微妙ながら重要な変化が見られた。昨年の共同コミュニケと読み比べれば、国連改革、リビア情勢、国際金融システム改革など、前回よりも政治的に踏み込んだ内容が随所に盛り込まれていることが分かる。
2011年BRICS首脳宣言
 今年の首脳宣言中、特に注目すべきは以下の諸点だ(括弧内の注は筆者のコメント)。
●安全保障理事会を含む国際連合の全面的改革が必要であり、中国とロシアは、インド、ブラジル、南アフリカの国際的地位・役割向上の重要性を再確認する
(注:欧米主導でつくられた現在の国連は不平等・不公平なシステムだと批判するが、インド、ブラジル、南アフリカの地位向上の重要性を唱える一方で、日本やドイツに言及しないことも同様に不平等、不公平ではないのか)
●中東・北アフリカ地域における混乱を深く憂慮し、武力行使は回避すべきである
(注:リビアなどで欧米諸国が安易に軍事介入を行っていることを批判しているようだが、BRICSとして軍事的手段に代わる解決策を提示しているわけではない)
●国際通貨基金(IMF)改革目標を早急に達成し、商品デリバティブ市場の規制を強化すべきである
(注:欧米主導の国際金融システムにおけるBRICS諸国の発言力・影響力を高めようとする主張であるが、ここでも具体的改善策は示されていない)
●安定性と確実性を伴う広範な国際準備通貨制度に基づく国際金融システムの改革・改善を支持する
(注:名指しは避けたものの、明らかに米ドル中心の現行国際通貨制度を強く批判するものだ、他方、中国の人民元の取り扱いなどの具体的解決策は提示していない)
●原子力エネルギーはBRICSにとって重要な要素であり、安全な原子力エネルギーの平和利用に関する国際協力を推進すべきである
(注:BRICSが経済成長を続けるため必要なエネルギーを確保しなければならないことは分かるが、このタイミングで敢えて原子力の重要性に言及することは実に興味深い)
「BRICS」を政治利用する中国
 以上のようなBRICS首脳会議の「政治化」を主導したのは、やはり中国であろう。中国は今回の首脳会議を大々的に宣伝しており、開催地である海南省三亜市のウェブサイトに今次首脳会議の公式サイトまで作っている。
 これに対し、欧米メディアの反応は総じて鈍いようだ。少なくとも、BRICS諸国が国際金融システムに対し挑戦し始めたといった警戒心は見られない。
 それどころか、BRICS経済が元気になることは米国にとっても有益であるといった楽観的な論調すら見られる。
 確かに中国などがこの種の主張をするのは初めてではない。その内容にも具体性がない。
 さらに、BRICS諸国と言っても一枚岩ではない。中印だけでも国境問題、貿易摩擦問題を抱えるなど、各国間の利益対立は決して小さくないからである。
 リーマン・ショック後の新たなパラダイムの中で、米国が相対的に弱体化することは避けられない。他方、BRICSを中心とする新興国側にも、米国に代わって新しい国際秩序をつくるだけの余力はなかろう。
 今のところ欧米諸国は、BRICSは「弱者同盟」に過ぎず、米国を中心とする欧米型システムを打ち破る力にはなり得ないと高を括っているのだろう。BRICS諸国側も当面は米国を中心とするグローバル経済の枠内で独自の主張を強めていくことになりそうだ。
BRICS=金磚国家
 ちなみに、第3回BRICS首脳会議は中国語で「金砖国家领导人第三次会晤」という。「金砖」とは「金磚(きんせん)」で金の延べ棒をも意味するようだ。「磚」とは煉瓦のこと、煉瓦は英語でBRICKだから、BRICS=金磚国家ということになるらしい。
 友人の中国語専門家に言わせると、これは一種の芸術なのだそうだ。未知の外来語に対し、漢字と英語の類推から、ぴったりの漢字新語を作る中国人の能力とセンスは誰も真似できないという。それはそうだろう。そんなことをするのは中国人だけなのだから。
 BRICSはBRICSなのだから、そのまま使えばいいではないか。中国語でDavidは大偉(ターウェイ)という。なぜわざわざ漢字化するのだろうか。
 趣味の問題かもしれないが、筆者には「金磚国家」など「洗練させたセンス」どころか、下手な「こじつけ」としか思えない。
 「金磚」は元々古代中国の珍しい武器の一種らしい。伝説によれば、金色をした円形敷石か瓦のようなもので、空に投げ上げると金光を発したという。
 つまり、BRICSとは、煉瓦は煉瓦でも、光り輝く煉瓦の国家群ということなのか。是非そうあってほしいものである。
〈筆者プロフィール〉
宮家 邦彦 Kunihiko Miyake
 1953年、神奈川県生まれ。東大法卒。在学中に中国語を学び、77年台湾師範大学語学留学。78年外務省入省。日米安全保障条約課長、中東アフリカ局参事官などを経て2005年退官。在北京大使館公使時代に広報文化を約3年半担当。現在、立命館大学客員教授、AOI外交政策研究所代表。キヤノングローバル戦略研究所研究主幹。
 中国 経済の爆発的な急成長と引き換えに、中国には様々な歪みも表れてきている。減速する世界経済を中国は支え、牽引することができるのか。豊富なデータや現地情報をもとに、世界経済を左右する中国経済の行方を読み解く。

水爆「ブラボー」

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マイミクminiさんの日記より
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水爆「ブラボー」 全体に公開 2011年04月23日00:51
◆社長謝罪に避難住民怒りあらわ
http://news.mixi.jp/view_news.pl?id=1579821&media_id=4
「ブラボー」
 アメリカがビキニ諸島沖で行った水素爆弾実験の名前です。 素晴らしいネーミングのセンスですね。
 いかに心から戦争を欲している国であるか、よく理解できます。
 日本人がアメリカに三回目の被爆をさせられた、第五福竜丸事件の時の水爆実験と言えば分かる人も多いと思います。
 なぜ水爆の話から始めたかというと、原発の話に関係があると共に、諸悪の根源が何であるのかを知るきっかけになる事例であると思うからです。
 震災直後から、原発に限らず日本が抱える全ての矛盾と問題が、闇の中から一気に噴き出して来ていますが、今に始まった事ではありません。
 ニュースになっている個別の問題も、状況に応じて責任追及していく事は必要ですが、そればかりに固執すると本質を見誤り、改善すべき根本的な問題点を間違えます。
 我々国民は、被災地の早い復興と発展の為に日本社会の構造的な問題点と、その背景にある闇の力を見抜く知識を持つ必要があります。
 戦前、マスコミにより洗脳された国民世論の影響を受けて政治は混迷を極め、軍部の暴走を許し日本は開戦、敗戦、米国による占領統治の道を歩みました。
 同じような過ちを繰り返してはなりません。
◆核兵器アレルギーのある被爆国日本に、なぜ原発があるのか。
 原発導入のシナリオ 〜冷戦下の対日原子力戦略〜NHK_1
http://www.youtube.com/watch?v=k0uVnFpGEms
 原発導入のシナリオ 〜冷戦下の対日原子力戦略〜NHK_2
http://www.youtube.com/watch?v=C5gA18Q5UZ0&feature=related
 原発導入のシナリオ 〜冷戦下の対日原子力戦略〜NHK_3
http://www.youtube.com/watch?v=rQuvSIvu6gk&feature=related
◆信じ難い内容ですが、これが本当の日本戦後史の一部です。
原発・正力・CIA―機密文書で読む昭和裏面史
有馬哲夫/著 新潮新書
http://www.shinchosha.co.jp/book/610249/
引用はじめ
指令:讀賣新聞社主ノ正力ト協力シ、親米世論ヲ形成セヨ。
CIA文書が語る「対日情報戦」の全貌!一九五四年の第五福竜丸事件以降、日本では「反米」「反原子力」気運が高まっていく。そんな中、衆院議員に当選した正力松太郎・讀賣新聞社主とCIAは、原子力に好意的な親米世論を形成するための「工作」を開始する。原潜、讀賣新聞、日本テレビ、保守大合同、そしてディズニー。正力とCIAの協力関係から始まった、巨大メディア、政界、産業界を巡る連鎖とは――。機密文書が明らかにした衝撃の事実。
引用おわり
 テレビと新聞、博覧会で国民を洗脳し、反核運動から親米、原子力賛成へ世論を誘導した正力の部下の一人は、最近他界されました。
◆唖蝉坊の日記 氏家斎一郎氏逝去に思う
http://d.hatena.ne.jp/k1491n/20110329/1301376820
引用はじめ
このブログで氏家氏が「旭日大綬章」の折りにも触れましたが、彼はNHKの番組に出て、大衆とテレビ制作現場を愚弄する発言をしていました。「テレビなんてものは、小難しいことを言ってはだめ。夜仕事から帰って缶ビール一本のんで野球を楽しむ、或いはお笑い芸人がばかなことをやって笑わせる。そして、ああよかった!世の中には俺より馬鹿が居る。といって安心し、また翌朝早く起きて仕事に行く。テレビとはそういうものです」また「番組を作っているスタッフ?あれはみんな消耗品ですよ、代わりは幾らでも居ます」と言い放っていました。
引用おわり
 セリーグ開幕の「こんちくしょう」発言で最近話題になったお方は、正力の権力を継承し、現役として影響力を行使されています。
 ここから下の資料は、出来れば全て見て欲しい内容です。
 津波による全電源停電の危険性は国会議員によって、以前から警告されていました。
吉井議員も読売の原子力平和利用展がきっかけで京大の原子核工学に進んだそうです。
4分40秒くらいから原子力施設の安全性について驚き発言の連続です。
 INsideOUT4/6(水)「原発事故『想定外』政府の言い訳は通用しない!!」2/3
http://www.youtube.com/watch?v=AFHOL0Xpb1w&NR=1
 これでは安全性の監視は無理です。
年収は推定2000万円〜5000万円+退職金。無責任な官僚の豊かな老後と引き替えに、国民がモルモットにされている。
My News Japan
経産官僚10人が電力会社天下り 官業癒着で機能しない監視体制
http://www.mynewsjapan.com/reports/1416
 低レベル廃棄物管理に300年。高レベルは100万年。
死の灰を無力化する技術はなく、広島原爆120万発分の廃棄物が国内に溜め込まれたまま。
◆原発Nチャンネル13 放射能廃棄物の問題(2ー1)小出裕章.
http://www.youtube.com/watch?v=jPNQq0K4O_A&NR=1
◆原発Nチャンネル13 放射能廃棄物の問題(2ー2)小出裕章
http://www.youtube.com/watch?v=rYuGGyXU_5g&NR=1
◆原発Nチャンネル14 原発なしでも電力足りてる 小出裕章
http://www.youtube.com/watch?v=PLJVLul6Wz0&NR=1
◆NHKで放送予定だったのが、企業と官僚の圧力で放映中止になり、海外で放送されたものだそうです。
 ・隠された被爆労働〜日本の原発労働者1
http://www.youtube.com/watch?v=92fP58sMYus
 ・隠された被爆労働〜日本の原発労働者2
http://www.youtube.com/watch?v=pJeiwVtRaQ8&feature=related
 ・隠された被爆労働〜日本の原発労働者3
http://www.youtube.com/watch?v=mgLUTKxItt4&feature=related
 外国の事故は正しく報道する不思議なNHK。
◆核保有国の都合で発表を行うIAEAの実態を垣間見ることが出来ます。
 ・汚された大地で 〜チェルノブイリ 20年後の真実〜1_5.avi
http://www.youtube.com/watch?v=PHeq8TfSRBM&feature=related
 ・汚された大地で 〜チェルノブイリ 20年後の真実〜2_5.avi
http://www.youtube.com/watch?v=8hXmoNuJHKs&NR=1
 ・汚された大地で 〜チェルノブイリ 20年後の真実〜3_5.avi
http://www.youtube.com/watch?v=Fgx1mcUgHnA&feature=related
 ・汚された大地で 〜チェルノブイリ 20年後の真実〜4_5.avi
http://www.youtube.com/watch?v=BiFTMaApEpw&NR=1
 ・汚された大地で 〜チェルノブイリ 20年後の真実〜5_5.avi
http://www.youtube.com/watch?v=ZK7T6BDiB1c&NR=1
◆総括原価方式により、架空の電力ニーズと施設が作られるそうです。
 ・「エネルギー問題」編 未来バンク事業組合理事長 田中 優 氏
http://www.youtube.com/watch?v=Myl5Cf4bm3Q&feature=player_embedded
 総括原価方式とは原価が大きければ大きいほど利潤が大きくなる仕組みです。
ヤードスティック方式も解説されています。
よくわかる原子力 原子力教育を考える会
http://www.nuketext.org/mondaiten_cost.htm
 「原子力+揚水」でみれば、最も高い電源であり、 電力料金を通じて支払われている電源開発促進税を主財源とする財政費用は、原子力が最も高いそうです。
◆原子力政策大綱見直しの必要性について─費用論からの問題提起─
2010年9月7日 立命館大学国際関係学部 大島堅一
http://www.aec.go.jp/jicst/NC/iinkai/teirei/siryo2010/siryo48/siryo1-1.pdf
 原子力政策大綱見直しの必要性について語っていますが、ちょっと長いです。
上の資料説明は13分ごろから始まります。原子力開発に関する嘘、偽り、利権の実態がてんこ盛りです。
 1時間7分過ぎから、計画停電の本当の理由と発送電分離、電力の自由化の必要性が語られます。
東西の周波数の問題のみならず、9つの電力会社は電力を融通しあう送電システムがほとんどない。全体で見れば原発はすべて止めても問題ない発電能力はあるけれど、各電力会社がそれぞれの利益の為に融通送電線をほとんど作っていないそうです。
原発がなくなって困るのは国民ではなくて、総括原価方式によって利益を独占している電力会社ということです。
 全ては既得利権が原因です。
◆大島堅一インタビュー
iwj7 04/11/11 12:20AM
http://www.ustream.tv/recorded/13923515#utm_campaigne=synclickback&source=http://sun.ap.teacup.com/souun/4392.html&medium=13923515
◆結局、みんな既得権益層に洗脳されて搾取されているんですね。
 日本の歴史では幕末から、それら勢力の背後に必ず欧米諸国の影があり、戦後は特にアメリカがいます。

「原発に近い地域の子供たちをいかにして放射性物質から守るか」小出裕章京都大学原子炉実験所助教

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4月20日MBSラジオ「子供達を被曝からどのようにして守るか」
メインキャスター(以下「MC」):水野晶子
コメンテーター:近藤勝重・毎日新聞専門編集委員
MC:小出先生、こんばんは。
小出氏:こんばんは。
MC:今日もよろしくお願い致します。
小出氏:こちらこそ、よろしくお願いします。
MC:そして近藤さんもいらっしゃいます。
近藤氏:近藤です。
小出氏:はい、こんばんは。
MC:まずは、福島県の原発に近い地域の子供たちを如何にして放射性物質から守るかという話なんですが、文部科学省がある通知を出しました。これは、福島県内の幼稚園や保育園や小中学校の校舎などを普通に利用する時の放射線の量の限界を決めたのです。1時間当たり3.8μSvという値なのですが、これについてどんなふうに小出先生は思われますか。
小出氏:驚きました。
MC:どういう意味でも驚きでしょう。
小出氏:私達が通常生活している場所の空間での放射線量というのは、1時間当たり0.05μSvです。
MC:それが普通なんですね。
小出氏:それが普通なのですが、3.8μSvという事はほぼ100倍まで我慢させるという基準です。
MC:そんな高い値なのですか、普通に比べれば。
小出氏:はい。まあ、80倍という位かもしれませんが。
MC:この算出のもとになっているのは、通常通りの学校の活動をした時に、1年間だったら放射線量が20mSvを超えないように、と。そこから時間当たりで計算したという話なのですね。もともとになっている年間の20mSvという値についてはどう思われます?
小出氏:それがとてつもなく高すぎます、とまずは思います。
MC:まずは大前提の20mSvが高い。これはどういう数字なのでしょうか。
小出氏:一般の日本人というのは1年間に1mSv以上浴びてはいけないというのが日本の法律なのです。それは、被曝というものが危険だからという事を前提にして、その基準を決めている訳で、これまでずっと、そういう基準があるから日本人は原子力から守られて来たと日本の政府は言って来た値です。それが、いきなり20倍まで我慢をさせる、と言い出した訳で、一体そういう権限が誰にあるのだろうか、と私は不思議に思います。特に子供というのは、もともと放射線に対して物凄く敏感ですので、その子供達に対して、これまで彼らが言って来た基準値の20倍まで我慢させる、押しつけるというやり方が一体何故許されるのか、私には解りません。
MC:この基準値を超える13の学校や園に対しては、屋外活動を1時間程度に制限するような通知なのですが、こういうやり方で子供達を防げるのかどうか、ですよね。
小出氏:被曝というのは、あらゆる意味で危険ですから、沢山被曝すれば危険が多くなる、少しであってもそれなりの危険がある、という事なのですね。でも、子供というのはやはり外で遊ぶべきものだと思いますし、砂場で泥まみれになって遊ぶというのが、子供というものだと思うのです。放射線量が高いから子供を外に出してはいけない、などという、その事自身が異常だと思うのですけれども、でももう既に、どちらかを選ばせなければいけないという程、福島市という所でも汚染が生じてしまったという事なのです。
MC:また、この通知の中で、土や砂が口に入った場合はよくうがいをして下さい、あるいは砂埃が立った場合は教室の窓を閉めて下さい、という話もあるのですが、こうした事はどれくらい子供たちを防ぐことに役立つのでしょうか。
小出氏:今1時間当たり3.8mSvとか言っている値は、いわゆる外部から被曝をする時の値なのです。放射性物質自身は体の外にあるという、そういう状態を想定しての被曝量なのですが、放射性物質を体の中に取り込むという事はもっと大きな被曝になってしまう訳です。ですから、口から取り込む、あるいは、吸いこむという事はもちろん避けなければいけませんので、子供達に対しても、口をよく洗わせるとか、手を洗わせるとか、体に一杯泥が付いた時にはすぐに着替えさせるとか、あるいは今言ったように、窓を閉めて放射性物質が中に入って来なければいけないという事はやるべきだと思います。やるべきだとは思いますけれども、そんな事をやらなければいけないような状態にしたのは一体どこの誰だったのか、と。私は、国だと、まあ政府だと思っている訳ですが、その政府が自分たちの責任を一切表明しないまま、子供たちに被曝を強制させるというやり方に、私は納得がいきません。
MC:心理的にも、子供達はもちろん、親御さんたちも非常に不安な毎日を送らなければいけないのじゃないかと思うのですが。
小出氏:そうなりますね。
MC:この前提になっているのは、やはり先日発表された工程表なのでしょうね。6カ月から9カ月で事故を収束させるという目標があって、これが発表されているかと思うのですが、工程表の見通しが甘い、と小出先生はおっしゃっておりましたが、この工程表に基づいて、今回子供達を守るという策であれば、期間の問題も出てくるかと思うのです。いかがでしょう。
小出氏:事故がこれからどうなるか、という事にもちろん寄っている訳で、私自身は、未だに事故が収束させれるという事に確信を持てないままでいますので、もっと事故が拡大していく、そして汚染範囲も拡大していくという事も起こり得るだろうと思っています。そうした場合に、今は政府は、子供達も含めて20mSvまで我慢をさせると言っている訳ですが、ひょっとするとそれすらが反故にされて、多くの被曝を我慢しろと言い出すのかな、と思います。
MC:子供達をいかにして守るのか、例えばの案ですけれども、疎開のような格好で親御さんと共に全然違う場所に避難してもらうというような、こういう事まで考えた方がいいのではないかと思うのですけれども、専門家のお立場からどう思われますか。
小出氏:私は、被曝というのは微量であっても危険だと思っている人間です。特に子供達は放射能に対して敏感ですので、何とか子供に限っては、被曝を少しでも少なくするような方策を取りたいと思います。ただし、子供たちだけ避難させる、昔で言えば疎開させるという事なのかもしれませんが、そうすると家庭が崩壊してしまう訳ですから、そちらで負わなければいけない重荷もあるであろうと思います。そのような重さというものを、一体どのような尺度で計ればいいのか、私は今は良く分かりません。でも被曝は何とか避けるような方向で、行政も含めて考えるべきだと思います。
近藤氏:先生ね、今日、警戒区域ですか、要するに強制的に立ち退けという事を臭わせ始めたですよね。そうすると、先生のお考えだと、警戒区域が出て強制的に立ち退かなければならない、その時に、例えば、私は家にどうしたっていたいんだ、とそういう人が現われるという事になると、どう考えたらいいのでしょうね。
小出氏:私は、そういう方は必ずいると思います。
近藤氏:いるでしょうね。
小出氏:はい。自分が長い間住んで来た土地、家、故郷というものがある訳ですから、被曝があったとしても、その土地に残りたいと言う人は必ず出るだろうと思います。実際、チェルノブイリの原子力発電所の周辺でもそういう方々は居て、物凄い汚染地域に、お年寄りが中心ですけれども、帰って来ているという現実があります。たぶん福島でもそうなるだろうと思いますし、もしそういう方々がいるのであれば、そういう方々の生活を支えるという事が行政の責任だと思います。
近藤氏:手立てというのは、どういう事になるのですかね。
小出氏:要するに、そういう所の人々はきっと孤立して生活をする事になると思いますので、食料の供給をどうするのか、あるいは電気・水・ガスというようなものをどうするのか、あるいは医療をどうするのか、という事を何か考えてそういう人達の生活を保障しなければいけない、と私は思います。でも、希望として言うなら、物凄い汚染地帯は捨てて、逃げて欲しいと思います。
近藤氏:先ほどから出ている子供達の3.8μSvの大本になっている20mSv、これは、政府が計画的避難区域に規定している基準ですよね。
小出氏:そうですね。
近藤氏:そうるすと、この計画的避難区域だの何だの、考え方も、先生の話を導入すれば、全ておかしくなって来ますよね。
小出氏:そうです。
近藤氏:そうすると今の区域の設定自体にいろいろな疑問がありそうですね。
小出氏:そうです。でも、これだけ酷い事故が起きてしまった訳ですから、もうどうにもならなくて、政府自身が追い詰められているという状況なのですね。ですから、原子力というものを許してしまった日本の大人として、やはり自分たちの責任を含めて、それに向き合わなければいけないと思います。ただ、子供たちだけは何とか守らなければいけない、というのが私の考え方です。
MC:でもそうなりますと、この区域から出て下さいというふうにお願いする時にいかに生活を保障するかという事とセットにして、政策を打っていかないといけないという事ですかね。
小出氏:おっしゃる通りです。
近藤氏;どれだけの方が警戒区域にいらっしゃるのか、私は数字は掴んでいませんけれどもたった一人の人間でも、それって何なんだ、という疑問があったら、とことん説明して納得していくだけの努力は最低限しなければいけないですよね。
小出氏:そうですね、それが政治の責任ですね。
近藤氏:だけど、そういう文脈の中で説明している風がないのですよね。
小出氏:はい、そうですね。
MC:さいたま市から頂いたおたよりがございまして(ラジオネーム略)、「私の夫や友人は建設業で仕事をしていますが、日給3万円で福島原発へ行ってくれないか、という話が来ました。夫も友人も全くの専門外なのですが、そんな話が来ています」という話なのですが、それで、「小出先生に伺いたいのですが」とおっしゃっているのです。「再び水素爆発をする恐れがありませんか」と。これは作業に行くかどうかという事をお考えになる、悩まれる所の大きなひとつのポイントかと思うのですが、この水素爆発の恐れというものについて、どうお考えですか。
小出氏:東京電力自身は、水素爆発の恐れはあると言っているのですね。恐れがあるからそれを防ぐために、格納容器という容器の中に窒素を入れなければいけないと言って作業をして来たのです。でも、入れても格納容器の内圧が上がらないという事は、既に格納容器が損傷しているという事なのです。ですから、そこから放射能が今現在漏れて来ているという状態にある訳です。少なくとも、東京電力が水素爆発の可能性があると言って作業をしている訳ですし、2号機、3号機に関しては、未だに何の作業も行われないままである訳です。私としては、1号機に水素爆発の恐れがあるというのであれば、2号機、3号機もあるだろうと思いますし、可能性が・・・私はあまり無いと思って来たのですが、やはりあると思っておかなければいけないのだろうと思います。
MC:そうですか。子供達をいかにして守るかという具体策というのも、小出先生がいろいろ言って下さったと思うのですけれども、政府が、本当にそこの補償をどういうふうに出せるかと言う事になって来た訳ですね。
小出氏:私は、策を出せないでもがいているのが現状ですけれども、本当にどうしていいのかよく分かりません。ですから、日本人の大人は今こそ知恵を絞って、子供たちを守るための策を出さなければいけないと思います。
MC:どうもありがとうございました。京都大学原子炉実験所助教の小出裕章先生に伺いました。 

【原発事故】安全宣言のカラクリ そして子供になにが起きたか追跡  
 〈来栖の独白〉大人にしか発症しないという甲状腺がんが、チェルノブイリで汚染された子どもたちにみられるという。病気について何も知らされず手術台に乗せられる子ども。
 IAEAの調査委員長、重松逸造氏は現地に水と食料を持参し、現地の食料を食べず、危険地域に立ち入ることも苦しむ子供たちに会うこともせずに、安全宣言を出した。
 数年後、福島で同じ事が起きるのではないか。被害の矮小化。子どもたちが犠牲となり、真実が闇に葬られる。
汚された大地で 〜チェルノブイリ 20年後の真実〜5_5.avi
水爆『ブラボー』/「死の灰を無力化する技術はなく〜子ども達に被曝を強いる政府」小出裕章2011-04-23 


ニッポンを買い漁っていた成金たちの大混乱

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ニッポンを買い漁っていた成金たちの大混乱 
現代ビジネス FRIDAY連載『中国的インパクト』より
〔取材・文:高山祐介(フリーライター)〕
「原発事故以来、中国人商人たちの客足がパタッと止まりました。今年の初めまでは、一人で1億円以上も買い込むお客様がいるなど大盛況だったのですが・・・」
 そう嘆くのは都内で美術品の売買を行う本郷美術骨董館の館長・染谷尚人氏だ。同館は中国人富裕層向けの美術品オークションを主催しており、一時は北京市内から100人以上もの中国人が毎月のようにツアーを組んでやって来るほど賑わっていたが、東日本大震災以降はピタリと客足が途絶えてしまったという。中国国内において「日本製品離れ」が進んでいることは前回述べたが、福島第一原発の事故による放射能汚染の影響は、日本製の高級品市場にもじわじわと広がりつつある。
 不動産業界も危機に直面している。山東省の大手経済紙『山東商報(シヤンドンシヤンバオ)』が3月23日付の記事で「原発事故の影響を受ける地域の不動産は下落する」「中国人の?日本買い?はストップせざるを得ない」と報じているように、日本の土地を投機対象から外す動きが顕在化しつつあるのだ。
 都内を拠点に中国人富裕層向けの物件を多数扱う(株)ユーエスマネジメンツ代表の上島透氏が、日本市場の現況を語ってくれた。
「震災前は、中国人旅行客への需要を当て込んだ中国人富豪が、富士山近辺のホテルを買収する案件が複数ありました。どれも億単位の案件です。けれど、原発事故によりすべて見送られました。現在やって来る中国人のお客様は、『日本での資産を手放したい』と売却の相談をされる方がほとんどです」
 震災が起こるまでは、中国人富裕層による不動産投機は過熱の一途を辿っていた。'10年2月には中国の主要70都市の住宅価格が前年同期比で10.7%も上昇するなど、土地の賃借権(建て前上、中国では土地はすべて国家のものであり、人民は土地を借りる権利のみを売買している)価格が異常に高騰していた。投機バブルは海を越えた日本にまで及び、都内の高級マンションや郊外のリゾート物件、高級美術品などを買い漁る中国人富裕層が急増していたが、その動きも原発事故を契機に止まってしまった
 強引な投機を行った中国人の中には、こんな珍トラブルに見舞われた人もいる。都内の不動産会社に勤務するA氏が匿名を条件に最近の実例を教えてくれた。
「北海道の別荘地を購入しようとした中国人がいたのですが、原発事故後は『キャンセルさせてくれ!』と大騒ぎ。キャッシュで受け取っていた手付け金の数千万円を返金することになりましたが、今度は送金方法で大モメです。もともと際どい方法で現金を持ち込んできていたことが判り、ややこしい問題が生じたのです」
 その中国人客は、母国からの通貨持ち出しによる課税を回避するため、中国国内の闇両替で日本円を調達。その後、北京の自宅から空港の手荷物検査が緩いマカオを経由して、日本まで?現ナマ?をリュックに入れて運搬してきたのだという。そこまで苦労して北海道の土地に唾を付けたまではよかったが、契約解消となり、返金を求める段になってトラブルが発生した。
「銀行経由での合法的な送金はアシがつくのでやめてほしい。だが、放射能に汚染された日本に自分が取りに行くのも嫌だと言うんです。東京は安全だと何度も話したのですが、『カネも惜しいが命も惜しい!』の一点張りで、聞く耳を持ってくれないんです」
 また、前出の上島氏の不動産会社は違う問題に直面している。
「在日華僑が多い池袋を中心に、当社では彼らの飲食店や事務所向けの賃貸物件も扱っています。ところが原発事故の直後から、慌てて逃げ出す店子(たなこ)が続出しました。『ちょっと鍵を預かっておいて』と言い残したまま、1ヵ月も音沙汰がない人までいます」
 俗に「要銭不怕命(ヤオチエンブウパーミン)(カネのためなら命も要らぬ)」と揶や揄ゆされる中国人だが、実際はピンチになれば自分の財産を放棄してでも退避行動をとるようである。彼らの慌てふためきぶりが、昔せき日じつの笑い話として語られる日が来ることを願ってやまない。
〈筆者プロフィール〉
たかやま・ゆうすけ
中国のネット社会を中心に現代中国社会への多彩な斬り込みを見せる。別名義での著書も多数。連絡先は yuh.takayama@gmail.com
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次に狙うのは「日本の森」? 中国マネーが日本の不動産に向かうワケ2010-12-30  
日本の土地をそう簡単に売り渡していいのか 名古屋城近くに1万? 中国巨大領事館建設か2011-01-24

佐藤栄佐久氏記者会見「すべては、原発推進というお国のため/必要だから必要なんだという理屈」

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佐藤栄佐久公式サイト 
外国特派員協会記者会見:冒頭発言全文
4月18日に行われた外国特派員協会記者会見
 以前、福島県知事をしておりました、佐藤栄佐久と申します。
 福島第一原発は、できてから今年でちょうど、40年になるところでした。そのうち18年、約半分の期間、私は知事として、原発が次々巻き起こした問題に取り組みました。
 わたくしは、今度の事件は、起こるべくして起きたものである、決して「想定外」ではなかったと、そう思っております。
 なぜ、防げなかったのかについて、本日は述べようと思います。この先、日本は原子力発電についてどんな政策をもつべきか、それについてもお話します。
 簡潔に述べまして、なるべく多くの質問を頂戴します。
 それから、今日は原発のことしか話しません。もっと色々、私には話すことがあるのですが、それには、ざっと3時間半かかります。興味がある方は、ここにわたしの本を持ってきていますから、ぜひ買って帰ってお読みください。
 本題に入ります。なぜ、今度の事故は防げたと思うのか。理由の1つは、去年、2010年の6月に起きたある事故です。実は、今度とそっくりの事故が福島第一で起きました。6月17日のことです。
 福島第一原発の2号機で、なぜか電源が止まり、原子炉へ水を入れるポンプが止まりました。冷却水が入らなくなって、原子炉の中の水が蒸発し始めました。今度と同じです。放置すると燃料棒が熱で崩れ、最悪の事態につながる恐れが生じたのです。東京電力の説明によると、このときは非常用ディーゼル発電機が動いたそうです。それで、ポンプを手動でスタートさせ、水を戻すことができたということです。しかし、電源を失うと何が起きるのか、東電はこのとき、意図しないかたちで予行演習をしたようなものです。これでもし、非常用ディーゼル発電機までやられたらどうなるかということは、当然心配しておかなくてはいけない事故でした。電源について、もっと安全を図っておくことは、この事件ひとつを教訓としただけでも、可能でした。それが、理由の第一です。
 理由の2は、日本の原発政策は、地震をずっと軽視してきたということです。
 詳しくは触れませんが、神戸大学名誉教授の石橋克彦さんなどが、地震研究の進歩を踏まえ、原発の耐震基準が甘すぎると、たびたび警告しておりました。
 今度の地震で、原子炉は自動停止し、当初は建屋もびくともしなかったから、むしろ耐久力が実証されたという人がいます。しかし、石橋教授が口を酸っぱくして言っていたのは、大きな地震が起きると、同時に色々な損害が起き、それが重なり合うと手に負えなくなる、ということでした。
 現に、今回も全電源喪失という事態となり、水素爆発が起きてからは、作業にも支障をきたすということになったのですから、地震に耐えたことなど、慰めにならないわけです。
 石橋教授は、今から5年前、国が原発の耐震基準を見直そうとしたとき、専門委員としてその作業に関わっていました。しかし、耐震基準を厳しくするといっても、いまある原発がひっかからない程度にするだけだということがわかったとき、抗議の意味を込めて、委員を辞めています。
 地震の怖さ、とくに大きな地震がいろんな損害を生むリスクを軽く見ていたこと。そして、電源がなくなったときの恐怖は、去年の6月、事故を起こしてよくわかっていたこと。と、これだけみても、福島第一の事故は防げたのだと、こう言えると思います。非常用電源を、津波でも大丈夫な場所に移し替えておきさえすれば、あんな事故にはならなかったわけです。
 さて、それではどうして、国や、電力会社は、原発のリスクに十分備えようとしてこなかったのか。
 それは、「安全でないかもしれない」という発想に立った政策には、まるでなっていないからです。あれだけ危険なものと共存していきたいなら、リスクに最大限備えようとするのが当たり前です。しかし、リスクがあるとにおわせることすら、タブー視する傾向がありました。
 つまり、日本の原子力政策は、次のようなロジックで成り立っているのです。
 原子力発電は、絶対に必要である。だから、原子力発電は、絶対に安全だということにしないといけない。
 よく、東電という会社には、隠蔽体質があると、みなさん言われます。それじゃあ東電の経営者を全部入れ替えたら、直るのかということです。
 それから、保安院が経産省に入っているのはいけないから、これを出せ、という意見も聞きます。それをやるだけで直るのか、ということです。
 わたしに言わせると、そんなことでは直りません。
 福島第一原発、そして第二原発では故障やひび割れがたくさん見つかっていました。ところが、その点検記録を書き換えて、なかったことにしていたのです。それがわかったのが、2002年8月でした。このとき東電では、当時の社長と会長、担当副社長、それから元社長の相談役2人、合計5人がいっぺんに辞職しています。
 辞めた相談役の1人は、経団連の会長まで務めた財界の超大物でした。経営者を入れ替えろ、というのでしたら、一度それにちかいことを東電はしております。それでも、今度のことが起きたのです。
 日本経済に必要な電力を供給するには、絶対に原発が必要である。燃やしてできるプルトニウムは、貯めすぎると外国から疑われるから、再利用しないといけない。
 つまり、必要だから必要なんだという理屈が、延々と続いていくのです。
 危ないから注意しろ、というと、私のように、国家にとっての危険人物と見なされてしまうわけです。これは、怖い理屈です。国会議員だろうが、だれであろうが、この理屈には立ち向かえません。
 そしてこれだけ有無を言わさないロジックが出来上がると、リスクをまともに計量しようとする姿勢すら、踏みつぶされてしまうのです。
 しかも、事実を隠したり、見て見ぬふりをすることが、まるで正義であるかのような、そんな倒錯した価値観までできるのです。すべては、原発推進というお国のためなのですから。
 こんな状態ですと、どれだけデータを見せられて安全だといわれても、安心できません。なぜなら、安心とは、サイエンスではないからです。安心とは、信頼です。違いますか?原発を動かしている人を、国民が信頼できないと、安心はないからです。
 私は、いまある原発を全部止めてしまえという意見では、ありません。
 しかし、国民が原発に寄せる信頼がずたずたに壊れてしまった以上、いまのままの形で原発を続けていくことはできないと思います。
 そこで最後に、この先の原発政策をどうすべきか、私の意見を申し上げて、終わりにします。
 原子力安全委員会という、原発の安全政策の基本を決める組織があります。権限は、紙に書かれたものを見る限り、充実しています。
 しかし、実際には、ろくな審議もせず、有名無実です。
 まずは、安全委員会を完全な独立組織とし、委員を国民から選ぶ制度にする必要があります。その際には、わたしは喜んで手を挙げ、委員になろうと思います。
 ドイツやフランスは、原発政策を変えるときなど、何年も何年も、議論を尽くします。あらゆる過程に、市民の声が入る工夫をしています。
 そんな悠長なことをしていると、日本経済がダメになる、と、政府や電力会社は言うでしょう。
 これが、きょう私が申し上げた「絶対に必要だ、だから原発は安全だ」という原発絶対主義につながるのです。
 いまは、ありとあらゆる方法を尽くして、長い長い手間と暇をかけて、データや紙切れのうえの安全性でなく、信頼に裏打ちされた安心をつくらないといけないときなのです。
 日本の民主主義が、試されています。立派な仕組みをつくり、これなら安心だと、世界中の人に思ってもらう必要があります。
 そうしないと、ここははっきり申し上げておきますが、外国の人もお金も、日本には入ってこなくなります。原発を生かして、日本経済をつぶすことになります。
 それが、津波で命を落とした何千、何万の人たち、家を追われた何十万という人たちの、犠牲に報いる道でしょうか。原発に関わるすべての人たちは、この問いを、しっかり考えてほしいと思います。
 以上で私の発言を終わります。
........................
原発の安全性は週1回48分の会議で決まった/人間の安全を議論しない原子力安全委員会2011-04-22 | 地震/原発
原発20?圏に家畜65万匹超、置き去りか 餓死か/牛に「ごめん」牛を解き放とうと悩んだが、近所迷惑と考え2011-04-22 
東京電力と監督当局の馴れ合い体制/天下り/原子力政策は政治家が触れることのできない分野2011-04-21 
佐藤栄佐久氏、ずっと前から指摘「国と東電が安全神話を拡散、事故発生しても先ず隠蔽」2011-04-14 
東海地震予想震源地の真上に建つ「最も危険」とされる浜岡原発 中部電力は地盤は硬いと言うが2011-04-0
<福島原発>知事在職中に、国の原子力政策に疑問を投げかけていた佐藤栄佐久氏2011-04-08 
一番心配なのは巨大海底断層の上に立つ浜岡原発 / 直下型東海地震、その時期が近づいている2011-04-0
原発を私は「許容していた」。 原発を許容したのは、自分であり国民それ自体なのだという洞察2011-03-26 
福島原発の事故を受けて〜菜の花革命 「まんがイラストぼうごなつこのページ」より転載2011-03-31 
佐藤栄佐久著『知事抹殺』(平凡社) 品切れ/ 日本の何が揺らいでいるのか2011-03-28
福島第一原発:報道をはるかに超える放射能 死を覚悟する自衛官2011-03-18 
「10基もの原発を有する原発銀座 福島県〜佐藤栄佐久氏〜水谷建設〜検察」(〜小沢一郎氏)2011-03-16 

大震災被害対策「小沢一郎さんの計らい・小沢力」が有効に働いている/仙台空港=小沢側近・弟子が奔走

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東日本大震災津波・岩手からの報告
日本一新の会 達増拓也(岩手県知事)
 「日本一新メルマガ」への投稿は、大震災津波後、初めてになります。岩手県や県内被災地に対し、全国から、世界から、多くの支援、お見舞い、激励をいただいています。この場を借りて、感謝申し上げます。
 また、大震災で犠牲になられた方々、その関係者の方々に、心からの哀悼の意を捧げます。
 発災翌日の3月12日、岩手県選出参議院議員である平野達男内閣府副大臣が、23人の事務方と共に岩手入りし、岩手県庁内に政府の現地連絡対策室を立ち上げました。事務方は、内閣府の防災担当参事官の下に各省庁の若手で構成。県庁内には、11日のうちに自衛隊の連絡窓口もでき、その後、北東北3県を管轄する第9師団の司令部が青森市から岩手県庁に移されました。
 これにより、発災当初から、被災地が直面する課題について国と地方自治体の職員が共同で解決する体制ができました。同じころ、県は、停電と通信途絶の中で、12の沿岸市町村全てに本庁職員を派遣して、状況を把握し、初動を支援しました。市町村と、県と、国の各省庁がつながって、人命救助、避難、応急復旧、被災者支援を展開しました。避難所のケアは、自衛隊に負うところ大です。
 工場で研修をしていた中国人が多数被災したので、外務省の中国語ができる職員にすぐ来てもらいました。被災市町村の行政機能が大きく損なわれており、県や他市町村からの大規模な支援が必要だということで、市町村行政に詳しい総務省職員に来てもらい、支援体制作りを手伝ってもらいました。その他にも、いろいろと、現場の要請で各省庁に動いてもらいました。後に政府が決めた被災地支援策のかなりの部分は、市町村、県、各省庁の事務方の「現場力」で作り上げたといえます。
 ガソリンなどの燃料不足が長く続いた件は「現場力」では対応しきれず政府による全国的な調整力と指導力の不足がたたりました。なお、宮城県の政府現地連絡対策室担当の東祥三内閣府副大臣が岩手の被災地入りした時に、仮設ガソリンスタンドの設置を現地で決めてくれ、すぐ実行されたのは助かりました。
 「政治主導」を感じたのは、がれきの処理です。樋高剛環境政務官が政府のがれき処理プロジェクトチームの座長となり、関係省庁の事務方を糾合し、平時であれば1年かかるような省庁間調整を2、3日で終わらせました。阪神淡路大震災時を上回る財政措置も決まりました。がれき問題は被災市町村長が抱える最大の悩みの一つであり、大いに助かりました。樋高政務官は、中選挙区時代に小沢一郎秘書として陸前高田市などの今回の被災地を担当しており、かつて一軒一軒歩いた家ががれきとなってしまった、そのがれきの問題は何としても解決しなければならない、と言っていました。
 発災直後、私が被災地の市町村長さん達にお願いしたのは、住宅地図で一軒一軒確認するように被害状況を把握すること、名簿をしっかり作って住民の安否状況を把握すること、でした。住宅地図と名簿は、小沢一郎さんに習った選挙手法でもあり、災害対策本部長の仕事は選挙対策本部長の仕事と共通点がある、と思いました。
 また、私は津波の被害を受けなかった内陸の市町村長さん達に集まってもらって沿岸支援への協力をお願いし、さらに、県内の諸団体に被災地支援をお願いする文書を作って協力を依頼しました。目的を達成するために、より多くの団体、企業、個人の支援を取り付けていく、というのも選挙の手法に似ています。選挙において有権者の力を結集して為すべきことを実現する手法は、災害においてあらゆる力を結集して被災者を救う手法と共通するのです。
 ちなみに、団体対策に強い自民党本部は今回の災害でも動きがよく、経団連と被災県を直接結ぶホットラインは、経団連の機関紙で喧伝されていますが、自民党災害対策本部が仲介してくれたものです。
 がれき処理で財務省が前例のない財政措置を認めたのには、小沢一郎さんのはからいがあったと思います。小沢一郎さんが岩手入りした時、私との会談では「県は補正予算でいくら確保したか」とか「国の本予算には○兆円の予備費があるから、まずそれを使えばよい」とか、財政的な話が中心になりました。財務省筋から、かなり情報を得ており、また財務省に対してかなり影響を及ぼしているな、という印象を受けました。がれき処理以外でも、財務省が前例のない財政措置を認めた分野がいくつかあります。
 私は、平安時代の中央政府による東北平定の歴史を踏まえ「東祥三さんは宮城駐在の征夷大将軍、平野達男さんは岩手駐在の鎮守府将軍。今回は地方勢力と力を合わせて東北の平安のために働いていますが、小沢先生こそ2人の将軍の上にいる大将軍だと思っていますからね」と言いました。小沢一郎さんは、「はっはっは」と笑うだけでしたが、本人も大将軍的な立場を自覚していろいろ手を打っているのだな、と私は感じました。
 それから、仙台空港を在沖縄米軍が片付けたのは、新進党から自由党のころに小沢側近と呼ばれていた元衆議院議員の米津等史さんの働きかけによるものだったようです。米津さんは普天間問題の関係で在沖縄米軍と一緒に仕事をしており、大震災津波後、仙台空港が放置されているのをテレビで見て、在沖縄米軍に片付けられないかと持ちかけたところ、じゃあやろう、ということになった由。ここでも小沢一郎の弟子が奔走していました。
 大震災津波そのものによる被害への対策については、「小沢力」がかなり有効に働いていると思います。しかし、今のままでは、「小沢力」が全く生かされないのが、原発対策です。本人も、そこが一番もどかしいと感じているのではないでしょうか。 *太字(強調)は、来栖
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投稿者: 《THE JOURNAL》編集部 日時: 2011年4月22日 23:28 

◆「希望郷いわて」にようこそ インターネット知事室

チェルノブイリの8倍酷い福島 こんなに長期間に亘って放射性物質が外に出続けるのは人類史上例がない

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「レベル7」現実は想像を超える 放射能汚染は終わらない
現代ビジネス
2011年04月25日(月)「週刊現代」
まだ何か隠している
 チェルノブイリ事故の処理にかかわったロシアの物理学者、ナタリア・ミロノーヴァ氏は、発表されているデータの内容に不満を感じていると語る。
「私の考えでは、福島の事故はチェルノブイリの8倍酷いと思う。なぜなら、1ヵ月以上にわたって放射性物質の漏出が続いているからです。少なくとも3つの原子炉がやられて、プルトニウム、ストロンチウムが放出された。これは、燃料がすでに溶融していることを意味します。原子炉内でたくさんの放射性物質が生成され、外部に放出されているのです。
 チェルノブイリのときは、大気に放出された放射性物質は30種類くらいでした。福島では、その内訳と分量がはっきり公表されていません。日本政府、東京電力は公表したくないのではないでしょうか。
 海に流された大量の汚染水によって、韓国、中国、ウラジオストックなどロシアの海も汚染される。ロシアではいま、毎日海の汚染度をモニターし、チェックしています。チェルノブイリと同じような悲劇がいま、起こっていることに、私は非常に憤りを感じています」
 フクシマの現実は、我々の想像を軽く超えている。
 4月12日に原子力安全・保安院が発表した「レベル7」には、「判断が遅きに失した」「過大な判定」など様々な意見があるが、国際原子力機関(IAEA)が指定した最悪レベルの放射性物質が放出されたことは、間違いのない事実だ。
 しかも、危機はこれで終わりではない。放射性物質は今日も数テラベクレルずつ放出され、水素爆発の可能性はずっと付きまとっている。沈静化には、10年以上かかるという見立てが、主流になってきた。むしろ危機はまだ始まったばかりなのである。
 福島第一原発から放出された放射性物質の総量は、すでに現時点で、広島に投下された原子爆弾をはるかに凌ぐという衝撃的な事実も明らかになった。
「広島の原爆で放出されたセシウムなどの放射性物質は、チェルノブイリ原発事故の約400分の1だとする調査があります。
 今回の福島第一原発事故では放出された放射性物質の内訳が発表されていないので正確な比較は難しいのですが、ヨウ素に換算するとチェルノブイリの約10分の1です」(広島大学原爆放射線医科学研究所・星正治教授)
 広島に投下された原爆は搭載した50kgのウランのうち1kgが核分裂反応して大爆発、熱風を起こし、放射性物質を撒き散らした。爆発、爆風だけでなく、その後の放射能による健康被害で累計12万人にも及ぶ人が亡くなったと見られている。今回は、単純計算でその40倍にも及ぶ放射性物質が、放出されたことになる。
 唯一の被爆国として、世界に核兵器の廃絶を訴えていた日本は、自らの手で自らに「原爆」を落とした。
 今回の福島第一原発の場合、広島のような核爆発は起こしていないが、広島の1万倍に当たる合計500tもの核燃料が放置され、いまこの瞬間も放射線を出し続けている。
 原子力安全・保安院が事故の評価を最悪の「レベル7」に引き上げたのも、残念だが当然のことだろう。
 東京電力の松本純一・原子力・立地本部長代理は会見で思わず「放射性物質の放出量がチェルノブイリに匹敵するか、超える可能性がある」と口を滑らせた。今後原発の処理に年単位の時間がかかれば、いまの放出量の10倍、つまりチェルノブイリ並みになる可能性があるということだろう。
 星教授が指摘するように、核分裂反応によって放出される放射性物質にはセシウム、ヨウ素、ストロンチウム、プルトニウムなどがあり、広島型原爆、チェルノブイリ事故、そして今回の福島第一原発ではその内容がかなり異なっている。
 福島の場合は、揮発性の高いヨウ素などを中心に1ヵ月以上にわたって延々と放射性物質を垂れ流す状態が続いている。
 広島とも、チェルノブイリとも違う人類のまったく経験したことのない「未知の事態」なのである。それによる今後数十年の健康被害、環境汚染はまったく想像もつかない領域になる。各国の識者も、放出された放射性物質の量と、内訳に注目している。
「オーストリアの気象庁が発表したデータによると、福島第一では事故から最初の3日間で、チェルノブイリの20%に当たる量のヨウ素を放出しています。日本の原子力安全・保安院の公表したデータより、私はこちらのほうを重視しています。福島第一の事故の特徴は、揮発性の高いヨウ素の放出量が、きわめて多いことです。
 揮発性の物質の場合、汚染される範囲が非常に広くなる。福島の場合は、チェルノブイリと比べはるかに漏出の期間が長い。さらに福島では大量の汚染水を海に垂れ流している。
 私はレベル7という判定は妥当だと思っています」(アメリカのシンクタンク「エネルギー環境研究所」のアージュン・マキジャーニ博士)
 アメリカ・ジョージア大学のチャム・ダラス教授も、夕刊紙のインタビューに答え、「米軍やIAEAの独自情報を入手した。原子炉や原子炉周辺のデータはかなり悪い。一言でいうと悲惨だ」と口にしている。日本政府、東京電力の公表データと、各国が独自に調査した数値には、乖離があるのである。
子どもだけは救おう
 前述のように福島と単純に比較できる事態は歴史上存在しないが、漏れ出た放射性物質の量で言えば、チェルノブイリだけが唯一、参考になる前例である。
 福島第一原発周辺のモニタリング・ポストで得られた放射線量の数値が公表されているが、いずれも3月17日を頂点に減少し、3月末以降はほぼ一定の数値を示している。これは、それぞれの地域に降った放射性物質のうち、半減期(放射線量が半分になるまでにかかる時間)の短いヨウ素がどんどん少くなっていくのに対し、半減期の長いセシウムなどが一定量の放射線を出し続けていることを意味する。低線量でも、毎日放射線を浴び続ければその「累積放射線量」が確実に身体を蝕む。
 浪江町の一部では、累積の放射線量が事故後1ヵ月で34ミリシーベルトを示した。これは、ICRP(国際放射線防護委員会)が示した人が一生涯に浴びる許容量の3分の1にあたる。
 チェルノブイリに近いベラルーシで、小児甲状腺がんの治療にあたった経験を持つ医師で松本市長の菅谷昭氏は、こう話す。
「ベラルーシでの小児甲状腺がんの発生数は、異常な率でした。国際的には、15歳未満の子どもの甲状腺がんは100万人に1人か2人。ところが汚染地では、それが100倍、多い地域では130倍に跳ね上がったんです。発生が増え始めたのは事故から5年後で、10年後にはピークを迎えました。私が診療していた当時も、毎日毎日子どもたちが診察に来た」
 病院を訪れ、手術を受けた思春期の女の子は、手術痕を見て、
「どうしてこんなことになったの! 何も悪いことはしてないのに」
 と悲嘆にくれていたという。菅谷氏によると、800人の患者のうち20人弱が死に至り、ミンスクの甲状腺がんセンターでは、6人に1人が肺への転移がみつかった。
「甲状腺がんにかかった子どもには、自覚症状がないんです。だから気付きにくい。定期的に触診や、超音波検査などを行って、早期に見つけださないといけない。甲状腺がんにかかると甲状腺を摘出しますので、一生、薬で甲状腺ホルモンを補充し続けなければいけないんです。薬の服用は毎日で、それを一生続けなければならない。
 今回の福島の事故では、絶対に子どもたちにこんな思いをさせてはいけないんです」
 チェルノブイリ事故から25年目の研究で、甲状腺がんは小児が中心で、成人の発症率はきわめて低いという報告もあったが、成人には、別のリスクがある。
 チェルノブイリのあるウクライナで、土壌改良事業に携わった河田昌東・NPOチェルノブイリ救援・中部理事も危険性を指摘する。
「我々が入っているジトーミル州の面積は2万haあり、かつては麦畑と畜産を主産業とする地域でした。ところが、州の95%の地域で、栽培ができなくなったんです。
 住民は、自宅の庭先で作ったものや、放射能汚染が比較的低い地域で作ったものを食べていますが、それでも体内被曝の影響が大きいんです。
 がんはそれほどでもないんですが、多いのは心臓病、脳血管疾患です。放射線被害の例としてがんや白血病がよく指摘されていますが、現実には、内部被曝を原因とする心臓や脳血管疾患が問題なんです」
低線量領域の内部被曝が怖い
 河田氏によると、放射性物質のうちのセシウムは、細胞にとりつき、エネルギー器官であるミトコンドリアの機能を破壊する。ミトコンドリアの機能が放射性物質で破壊されると、脳や心臓の毛細血管に悪影響があるという。
「心筋梗塞、脳梗塞、脳溢血、クモ膜下出血などの血管系の病気です。
 これまでは、広島・長崎で放射線を浴びた外部被曝系の患者のデータしかなかった。よく専門家がテレビで、『100ミリシーベルトまでは大丈夫』なんて言っているのは、広島・長崎のデータをもとにしているんです。しかし、実際にウクライナ政府の発表したデータによると、全被曝者の7~8割が低線量領域にいた、内部被曝なんです。ICRPやIAEAが設定している基準は、低線量領域の内部被曝には本来、当てはまらない。
 もちろんがん患者もいますが、実際には心臓や、脳の疾病が問題なんですよ」
 河田理事らのグループは、放射性物質で汚染された土壌を改良するため、菜種を栽培している。
「実際にやってみると、なかなか難しいとわかりました。放射性のセシウムは、土壌に割と強く吸着するんです。それも時間が経てば経つほど吸着力が強くなる。植物が吸収するのは、水に溶けた部分だけですから、土壌のなかにガッシリと吸着しているセシウムはとれないんです」(河田理事)
 福島第一近隣の土地も、ウクライナ同様に汚染されている可能性が高い。除染には、長い時間と膨大な費用、手間隙が必要だ。大阪市立大学の畑明郎特任教授は、重金属などに汚染された土壌の浄化を専門とする。
「放射性物質は土の表面5cmくらいの深さに蓄積しますので、浄化の方法としては、(重金属の)カドミウムなどの浄化と同じです。土を30cmほどとり、捨て場がないので深い土中に汚染された土を埋めて、上30cmにきれいな土を入れるんです。その場合、1haあたり、2000万円くらいかかります。放射性物質の場合、掘り返すのはもう少し浅く、数cmでいいかもしれません。その場合、費用は数百万のオーダーになると予想します。
 土が汚染されていると、草も汚染されてくる。畑、田んぼすべてですから、大変です。養鶏など、畜産もすべてやり直さなければならなくなる。家の柱など木製の建材は、それ自体が放射能を帯びることはそれほどないと予想されます。これだけの放出量だと、(浄化が必要なのは)茨城や千葉も含みます。やったほうがいいですね」
 つまり、事前に放射線量を調査して、汚染度が高いところは土を掘り返して埋めたり、畑をいったんつぶす必要が出てくる。
 麦畑や畜産の放射能汚染についてはチェルノブイリの先例があるが、稲作の汚染についてはデータがなく、これからひとつひとつ調査していくほかない。それは福島第一原発周辺にとどまらず、茨城、千葉といった広域に及ぶ可能性が高い。
人類史上、例がない
 1954年ビキニ環礁に降り注いだ「死の灰」の研究に当たった吉原賢二・東北大学名誉教授(放射化学)は福島第一から46km離れた福島・いわき市内に住んでいるが、避難する気はないという。
「私が住んでいる町は、放射線量が毎時だいたい0・3マイクロシーベルトで、平常より少し高い程度ですから、大したことはありません。放出された放射性物質の量にしても、保安院の言っている37万テラベクレルと、原子力安全委員会の言う63万テラベクレルという、こんな大きな食い違いができる理由はちょっと分からない。根拠がはっきりしないので、そこは非常に不満です。
 福島県内でも、浪江や飯舘村などの線量が高いですが、これは気象・地形的な条件によるものでしょう。チェルノブイリの放射線分布とはかなり違う。
 原発近くの人は明らかに危険ですから、そういう地域の人は避難すべきですが、私のいる町は何の問題もないと思う。そういう実情はよく調べて、考えてもらわないといけないと思います」
 吉原氏自身、かつて実験の際に被曝を経験している。その時、通常6000だった白血球が、一時4000まで下がったが、実験を休んで牛乳を飲むなどしていたら自然に回復したという。もちろんこれは外部被曝だから、いま福島で懸念されている内部被曝とは事情が違うが、放射線被曝による健康被害にはまだまだ未解明の部分が多いのも事実だ。
 立命館大学名誉教授の安斎育郎氏は、福島第一原発周辺地域の今後について、こう語る。
「飯舘村や、半径20km圏内の住民の方たちは、簡単には戻れないでしょう。政府が土壌を入れ替えるなどの作業をして、よほど線量を減らす努力をしないと難しい。まずは線量の調査に時間がかかるし、浄化には数週間とか、数ヵ月のオーダーではなく、年単位の時間がかかると思う。現実にチェルノブイリ周辺の線量の高い地域は、永久に居住禁止になっています。あの周辺には、まだ何百年も入れない。白血病やがんなど、人体への影響についても試算によってバラつきが大きい。数字が定まっていないんです。実態はいまだにわからない。
 福島も、危機は相変わらず続いている。仮に今後、水素爆発などが起これば大量の放射性物質が撒き散らされるし、そうならなくてもヨウ素やセシウムなど気化しやすい放射性物質が燃料プールや水蒸気から放出され続けるのだから、危機は続く。いまでも、毎日数テラベクレルもの放射性物質が出ているんです。
 こんなに長期間にわたって放射性物質が外に出続けるのは、人類史上、例がないことを忘れてはいけない」
 福島原発事故直後の3月17日、政府は突如、野菜類に許容される放射性セシウムの基準値を緩和した。
 それまでは輸入野菜についてすべての放射性物質をあわせて370ベクレル以上(1kgあたり)を暫定限度としてきたものを、放射性セシウムだけで500ベクレルまで許容するという。この決定を、厚生労働省の通達1本で行ったのである。
 多くの研究者が指摘するように、もっとも重要なのは被害状況の正確な把握と、除染。ところが政府がやったことは、現状を追認し、基準のほうを変更することだった。
 チェルノブイリの例を見るまでもなく、放射線被害はいつも想像を超え、広がっていく。泥縄式の対応に終始する政府の対応の可否が明らかになるのは、数十年後になる可能性が高い。*強調〈太字〉は、来栖 
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<チェルノブイリ>30キロ圏今も居住禁止 事故から25年
(毎日新聞 04月24日 21:53)
 【モスクワ田中洋之】1986年に旧ソ連・ウクライナのチェルノブイリ原子力発電所で起きた原発史上最悪の事故から26日で25年となる。原発から半径30キロ圏内は高濃度の放射性物質による汚染のため居住が禁止されたままで、立ち入り規制解除のめどは立っていない。完全な廃炉に「あと100年はかかる」(ウクライナ政府の担当機関幹部)とされ、最終的な原子炉解体方法の見通しはついていない。国際評価で同じ「レベル7」となった福島第1原発事故にも重い課題と教訓を突きつけている。
 ◇「完全廃炉まで100年」
 チェルノブイリ原発事故は、原子炉4号機の爆発と火災で大量の放射性物質を大気中に放出した。福島原発では原子炉を覆う格納容器から放射性物質が漏れたが、原子炉は破壊されていない。大気中の汚染レベルも10分の1以下とされる。だが現在も事故は収束せず、今後の事故処理も長期化は確実だ。
 チェルノブイリ原発ではコンクリート製の「石棺」で4号機を覆った。事故から半年間の突貫工事だった。耐用年数は30年といわれ崩壊の危険性がある。このため石棺全体を金属製の新たなシェルターで覆う構想が浮上。キエフで19日に開かれたウクライナ支援国会合では欧米を中心に総額約5億5000万ユーロ(約660億円)の資金拠出が表明され、ヤヌコビッチ大統領は「目標とする15年には完成できる」との見通しを示した。
 ただ新シェルターが完成しても、石棺内には放射能を持つ約200トンの核燃料が残る。放射性物質を含んだがれきも約30トンあり、チェルノブイリ原発のグラモトキン所長は「今も緊迫した状況が続いている」と指摘する。
 石棺は新シェルター完成後に解体される予定だが、内部の放射線量が高いため人間が長時間作業するのは極めて困難だ。専門家の間では遠隔操作のロボットを使う案が出ているが、技術的に可能か見通しは立っていない。解体後のがれきなど大量の放射性廃棄物の処理方法も未定だ。
 事故後、原発周辺30キロ圏内から約13万5000人の住民が強制移住させられたが、その後、高齢者ら約260人が自主的に戻った。また環境保護団体グリーンピースによると、30キロ圏外のウクライナ北西部では今も牛乳やジャガイモから高濃度の放射性セシウム137が検出され、住民の健康被害が懸念されている。
    ◇
 原子力政策や科学史に詳しい吉岡斉・九州大副学長は「チェルノブイリの最大の教訓は、放射性物質の大量放出事故が起こり得るということだった。だが当時の日米欧の原子力関係者は事故を過小評価し、先進国ではありえない特殊事例と片付けた。福島の事故も時がたつと『特殊な事例』と過小評価されるかもしれない」と警告している。【阿部周一】
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「原発に近い地域の子供たちをいかにして放射性物質から守るか」小出裕章京都大学原子炉実験所助教2011-04-23 
【原発事故】安全宣言のカラクリ そして子供になにが起きたか追跡  
 〈来栖の独白〉大人にしか発症しないという甲状腺がんが、チェルノブイリで汚染された子どもたちにみられるという。病気について何も知らされず手術台に乗せられる子ども。
 IAEAの調査委員長、重松逸造氏は現地に水と食料を持参し、現地の食料を食べず、危険地域に立ち入ることも苦しむ子供たちに会うこともせずに、安全宣言を出した。
 数年後、福島で同じ事が起きるのではないか。被害の矮小化。子どもたちが犠牲となり、真実が闇に葬られる。
汚された大地で 〜チェルノブイリ 20年後の真実〜5_5.avi
水爆『ブラボー』/「死の灰を無力化する技術はなく〜子ども達に被曝を強いる政府」小出裕章2011-04-23 

首相ポストへの執着においては微動だにしない菅直人氏を辞めさせられるか

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「絶対に辞めない菅首相」を辞めさせる方法 統一地方選後の政局は「政権VS野党」から「菅VS与野党」へ
現代ビジネス「ニュースの深層」2011年04月25日(月) 田崎史郎
 菅直人を首相の座から引きずり降ろす「菅降ろし」は成就するのだろうか?菅降ろし勢力の中核、民主党元代表・小沢一郎は「民主党政権うんぬんのレベルではない。傍観しているのは歴史の批判に堪えられない」と従来にない、意を決した言葉で菅打倒を誓う。
 しかし、首相を辞めさせるには大義名分と強いパワーが必要である。最終的には野党が提出する内閣不信任案に民主党が同調し可決できるかどうかが焦点となろう。
統一地方選が4月24日に終了したのを受けて、今週から菅降ろしが再開される。東日本大震災の復旧対策費を盛り込んだ今年度第1次補正予算案が5月2日に成立すれば、この動きはさらに激しくなるだろう。
 菅が己の限界を悟り自ら身を引くことが、有権者からの強い非難の前線に立っている民主党議員にとってベストシナリオだ。しかし、退陣の可能性を取材して回っても「あの人は辞めない」という声ばかりである。
 18日の参院予算委員会でも、たちあがれ日本の元総務相・片山虎之助が「あなたには心がない。身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ、というが、身を捨てるところがない」と痛烈な言葉で退陣を迫ったのに対し、菅はこう答えた。
「私も60数年生きてきましたから、わたしなりに私の心は持っているつもりだ。私としてはやはりここはまずは復旧、復興、できればその前から議論をしていた財政の再建を含めて与野党で共通の青写真をつくって、そして最終的には(衆院議員の)任期が2年半後には来ますから、そこまで、このねじれ国会の形の中から、与野党共同での形が取れれば、私は歴史的な使命を果たした、そこまで来れば本望だと思っております」
 不思議なことに、菅の発言には民主党代表としての任期が来年9月で切れ、代表選が行われるという政治日程が入っていない。代表選で再選される可能性は極めて低いのだが、菅の発想はいきなり、2013年8月の衆院議員の任期に飛ぶ。再選は当たり前と思っているかのようだ。
 菅は21日、避難所となっている福島県田村市総合体育館を訪れた際、避難民から「もう帰るんですか!」と呼び止められた時、とっさにこう反応した。
「すいません、あの、知らなかったものですから…」「いや本当にごめんなさい。そんなつもりであのー、通りすぎるつもりじゃなかったんです。すいません…」
 この時の姿に官僚をしかり飛ばしたり、野党議員に反ばくしたりする「強い菅」の面影はなく、おどおどする惨めな菅が立ちあがった。
 しかし、首相ポストへの執着においては微動だにしない。市民運動家から衆参合わせ計3度の落選を経てようやく衆院選に当選、最高権力者の地位に上り詰めた菅の権力への執着は、2世議員、いや自民党のどの首相よりも強いのかもしれない。
 こうした首相を辞めさせるのは、日本の政治制度上、実に難しい。参院での問責決議案は法的根拠がなく、唯一、憲法69条でこう規定されているだけだ。
「内閣は、衆議院で不信任の決議案を可決し、又は信任の決議案を否決したときは、十日以内に衆議院が解散されない限り、総辞職をしなければならない」
 つまり、内閣不信任案が可決された場合、首相は衆院解散か総辞職かの選択を迫られる。被災地の現状や、09年総選挙に関する最高裁大法廷の違憲判決(3月24日)を考えれば解散は事実上できず、総辞職となるだろう。
 民主党と国民新党、民主党系無所属の合計議席は313議席。これから過半数の240(欠員1なので総議席は479)を引くと、73人だ。73人以上が造反すれば、不信任案が可決されることになる。
 はたして、こんなに造反者が出るかどうか。野党・自民党の見方は2つに分かれる。
「『加藤の乱』(00年11月)で、野党が提出した森喜朗内閣不信任案に対して加藤紘一元幹事長らが欠席にとどまったように、与党で不信任案に賛成するのはなかなか難しい」
「いや、今回は菅が解散できないことが歴然としているから、不信任案に賛成する同調者が相当出るだろう」
 どちらの見立てが当たるか… それは「菅降ろし」が世論の支持を得られるかどうかにかかっている。
 震災から約1カ月間は「危機だから首相を代えられない」という空気が支配的だった。しかし、震災発生後の政権の対応が不十分だったことが次第に明らかになる一方、統一地方選で民主党が惨敗し、有権者が民主党政権を見放していることが浮き彫りになった。
 このため、「危機だから首相を代えなくてはならない」と考える与野党の議員が増えてきた。
 政界は「政権vs野党」ではなく、「菅vs与野党」の構図になってきているのだが、不信任案を可決するほどの数に達するのかどうか… それはまだ読めない。(敬称略)

原子力=どうして「地球に優しいクリーンエネルギーの主役」に化けたのだろう

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福島原発震災 チェルノブイリの教訓(5)「クリーンエネルギー原子力推進」をだれが言い出したのか  
DIAMOND online(2011.04.26)
「原子力はクリーンエネルギー」と、いつだれが言い出したのだろうか。最初に聞いたのはいつだったか、どうしても思い出せないのだが、チェルノブイリ原発事故(1986年4月26日)の3、4年後だったと思う。
 はじめは悪い冗談だと聞き流していたが、1990年代に入ると地球温暖化の危機が国際的な大問題となり、発電時に炭酸ガスを排出しない「原発はクリーンエネルギー」として再登場したのである。チェルノブイリの教訓で脱原発を図ったのは、イタリア、スウェーデン、ドイツ、スイスなど、欧州の限られた国だった。
 原発はたしかに炭酸ガスを排出しないが、放射性物質を出し、核廃棄物の最終処分をどうするか、まったく見通しが立っていない。大事故が起こればチェルノブイリ事故のように国境を越えて被害を与える。常識をもって考察すれば、クリーンだとはとうてい思えないのだが、いつのまにかクリーンエネルギーになっていた。
 史上最悪の環境破壊はチェルノブイリ原発事故である。25年後の現在も半径30キロ圏内は立ち入り禁止だ。どうして「地球に優しいクリーンエネルギーの主役」に化けたのだろう。これは原子力産業と推進国政府によるPR作戦の勝利だった。
 この3月29日の衆院予算委員会で、菅直人首相は「太陽エネルギー、バイオなどのクリーンエネルギーを世界の先頭に立って開発し、大きな柱とする」と答弁している。筆者が聞いた首相の発言の中で、もっとも明確なビジョンである。
 この首相発言は、原発推進からの大転換と聞こえたが、はっきり言っていないので、あとで再転換するかもしれないが、少なくとも「クリーンエネルギー」の中に原子力は入っていない。
 一方、米国のオバマ大統領は3月30日の講演で、「2035年までに電力の80%をクリーンエネルギーでつくる。原子力は風力や太陽光発電と同様、クリーンエネルギーである」と語っている。オバマ大統領は「クリーンエネルギー」に原子力を入れている。
 「クリーンエネルギー」の言説をさかのぼっていくと、「炭酸ガスを排出しないからクリーンだ」という根拠に行き着く。地球温暖化防止の国際会議のたびに「クリーンエネルギー原子力」のPRが増えた。
 このPRの中では、核廃棄物問題はまったく出てこない。「原子力は安全ならばクリーンだ」というわけだ。当たり前である。「問題を考えなければ問題はない」と言っているだけだった。
 クリーンエネルギーという言葉は、エイモリー・ロビンズ(注?)の名著『ソフト・エネルギー・パス』(1977)で初めて登場する。スリーマイル原発事故(1979年)の直前、チェルノブイリ事故の10年前である。
 ロビンズは再生可能な自然エネルギーをソフトエネルギーとして、原子力や石油、石炭火力に対してクリーンエネルギーだとした。ロビンズによるクリーンエネルギーの定義は、生態系に適応する自然エネルギーのことである。もちろん原子力は入っていない。
 チェルノブイリ事故は世界に衝撃を与えたが、わずか3年後の1989年、原発先進国のフランスが、炭酸ガスを排出しない原子力というコンセプトを打ち出す。前年の1988年、米国NASAのジェームズ・ハンセンが上院公聴会で「地球は温暖化しており、原因は炭酸ガスにある」として世界的な反響を呼ぶ。地球温暖化=炭酸ガス=炭酸ガスを出さない原子力=クリーンエネルギーという図式が登場したのである。
 当時フランスではミッテラン大統領自ら原子力は炭酸ガスを出さないクリーンエネルギーだと主張し始めている。日本でも1988年版「原子力白書」(原子力委員会)で、原発は温暖化への抑止になる、と初めて記述している。
 この時点から原子力村(産官学の利益集団)は積極的に「炭酸ガスを出さないエネルギーは原子力」をPRするようになった。つまり、国民の頭に「クリーンエネルギー」を刷り込みはじめたのである。
 この議論は世界で急速に普及し、地球温暖化防止の重要な役割が原発にある、と多くの人々が思うようになった。喉もと過ぎればなんとやらである。チェルノブイリのわずか2年後のことだ。
 原子力推進の総本山IAEA(国際原子力機関)のハンス・ブリックス事務局長(注?)の面白い発言が当時の新聞に掲載されているので紹介しよう。
 「『大気汚染問題がこんなにホットになって、驚いている』――国際原子力機関(IAEA)のH・ブリックス事務局長は、複雑な思いを味わっている。つい最近までソ連のチェルノブイリ原発事故の後遺症で世論の冷たい風にさらされていたのが、一躍大気を汚さないクリーンエネルギーとして原子力に関心が集まったからだ。」(「日本経済新聞」1989年7月21日付)
 原子力の平和利用推進と監査機関であるIAEAのトップも驚くほど、急速に原子力はクリーンだという言説が広がっていた。ハンス・ブリックス自身は眉にツバをつけて聞いていたわけである。あまりにも面白く、20年以上経っても忘れられない記事となった。
 1990年2月、通産省(現在の経産省)は1990年から2000年までの10年間を「省エネルギー推進期間」、2000年から2010年までの10年間を「クリーンエネルギー推進期間」とする「地球再生計画」を発表した。クリーンエネルギー推進のための方策が原子力推進である。
 1990年5月、環境庁(現在の環境省)は「環境白書」を発表し、この中で「環境への負荷の少ないエネルギー源としては、適切な範囲内での天然ガスの導入、また安全性の確保を前提として国際的にも原子力の重要性が認識されている」としている。
 大事故から4年、1990年に日本では完全に「チェルノブイリの教訓」は消滅したのである。
 米国では1979年のスリーマイル島原発事故以来、原発の新設はストップしていた。「スリーマイルの教訓」である。しかし、湾岸戦争(1989年)によって原油の中東依存が問題視されると、ブッシュ(シニア)大統領は1991年2月、原発の新設を含む新エネルギー計画を発表する。現在も新設は進んでいないが、計画だけは出ている。
 米国ではクリントン政権をはさんでブッシュ(ジュニア)大統領、現在のオバマ大統領とも、「クリーンエネルギー原子力推進」政策を打ち出している。とくにブッシュ(ジュニア)政権時代には強く推進し、これをもって「原子力ルネサンス」と呼ばれ、日米欧の原子力産業は新興国への原発輸出競争を開始し、現在にいたっている。
 この20年間、東海村の臨界事故を除いて決定的な重大事故がなかったため、「クリーンエネルギー原子力」は人々の脳裏に焼きつくことになった。途中1997年の京都議定書をめぐる地球温暖化防止国際会議をはさみ、温暖化対策としての「クリーンエネルギー原子力」は定着していった。
 事故から25年経過し、40歳代以下の世代はチェルノブイリ原発などまったく知らない。福島原発事故の直後、20歳代の知人5人に感想を聞いたところ、「それでも原発はクリーンですからねえ」というので仰天した。炭酸ガス排出と放射性物質の飛散は別物らしい。炭酸ガスを出さなければクリーンだというわけだ。
 「いま、福島の環境は強く汚染されているんだよ」というと、「あ、そうか」とすぐに気づくのだが。
 この20年を振り返ると、日本社会党の路線転換の影響も大きい。チェルノブイリ以後、脱原発を政策として掲げていた大政党は社会党だけだったのだが、1993年2月、原発容認へ180度転換した。その後、紆余曲折を経て社会党の大多数は民主党に合流し、民主党は政権奪還後、自民党以上に新興国への原子炉輸出促進に動いている。
 はたして福島原発事故で「クリーンエネルギー原子力」の呪縛は解けるのだろうか。菅首相の「本来のクリーンエネルギー推進」のビジョンは徹底されるのだろうか。
 少なくとも、わずか4年で消滅した「チェルノブイリの教訓」とは異なり、「福島の教訓」は4年では消えそうもない。4年後、溶融した燃料棒の一部でも搬出できているかどうか、まったくわからないのである。
・注?エイモリー・ロビンズ(1947−)は米国ロッキーマウンテン研究所所長、物理学者。ハーバード大学を経てオックスフォード大学へ。のちに米国で物理学者、エネルギー学者として「ソフトエネルギー」の推進を訴えている。
・注?ハンス・ブリックス(1928−)はスウェーデンの政治家。同国外務大臣を経て、1981年から1997年まで国際原子力機関事務局長をつとめた。
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チェルノブイリの8倍酷い福島 こんなに長期間に亘って放射性物質が外に出続けるのは人類史上例がない2011-04-25 | 地震/原発
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「陸山会事件」 水谷建設川村尚元社長「小沢氏側へ1億円」証言の背後にある事情

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「小沢氏側が1億円要求」=2回に分け提供と証言−水谷建設元社長・陸山会公判
 小沢一郎民主党元代表(68)の資金管理団体「陸山会」の土地購入をめぐり、政治資金規正法違反罪に問われた衆院議員石川知裕被告(37)ら元秘書3人の公判が27日、東京地裁(登石郁朗裁判長)であり、中堅ゼネコン「水谷建設」の川村尚・元社長(53)の証人尋問が行われた。元社長は「工事受注の見返りに元秘書から1億円の資金提供を要求され、2回に分けて支払った」と証言した。
 検察側の質問に対する川村元社長の証言によると、元社長は2003年11月、協力会社社長の紹介で、議員会館の小沢事務所で元公設第1秘書大久保隆規被告(49)と会い、胆沢ダム(岩手県奥州市)建設工事の下請け受注を依頼。大久保被告から「同業者より遅い」と言われた。
 同年の大みそかには、大久保被告の自宅を訪れ、現金100万円を渡し、その後料亭で4〜5回接待したという。
 04年9月に、議員会館で大久保元秘書から2回に分けて計1億円を提供するよう要求され、「分かりました」と応じた。同年10月15日に5000万円、05年4月中旬に5000万円を小沢氏側に提供したという。(時事通信2011/04/27-11:28)
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「小沢事件」キーマン水谷功氏の揺らぎ、変質2011-03-10
  小沢一郎公判"ねじれ"の原因となった「水谷兄弟」の骨肉の争い 「渡せと指示したが渡したかはわからない」と証言が揺れ始めた
現代ビジネス 伊藤博敏「ニュースの深層」2011年03月10日(木)
 特捜部は、大久保隆規秘書を09年3月に逮捕、さらに「小沢逮捕」に駆け上がろうと、当時、脱税事件で三重県の津刑務所に服役していた水谷氏のもとに日参、「小沢事務所に裏ガネ1億円を渡すように指示した」という証言を引き出した。
 09年10月以降、捜査を再開、10年1月の石川逮捕に至ったのは、功氏の「裏ガネ証言」があったからである
「四面楚歌」で孤立する水谷功氏
 ところが、今年に入って「秘書公判」が始まると、「水谷証言」が揺らぎだした。
「5000万円を2回、持って行くように指示したのは事実だが、それが確実に相手のところに渡ったかどうかは、わからんわなぁ」と、あいまいな発言を繰り返すようになった。しかも、検察側ではなく弁護側(小沢秘書サイド)証人となったのである。
 もともと、ぶれる人ではあった。佐藤栄佐久・前福島県知事の汚職事件では、「裏ガネを渡した」と証言、佐藤逮捕の決め手を検察に提供しながら、公判になると否認に転じた。 それにしても、大物政治家を権力の座から引きずり下ろすような証言をしながら、なぜ豹変するのか。
 水谷氏の知人によれば、「四面楚歌で孤立している功氏は、水谷建設社長を務める兄・紀夫氏とも、裏ガネを運んだ川村(尚)元社長とも対立、独自の道を歩かざるを得ない状況だ」という。
「脱税事件で服役の間に、川村氏は距離を置くようになったし、水谷建設は復帰を許さなかった。『会社の為にやってきたことなのに』と、怒り心頭。現在、愛西市の日起建設というところで再起を図っているが、会社も川村も許すつもりはない」
 渡せとはいったが、渡したかどうかは本人じゃないからわからない---。
 石川元秘書に5000万円、大久保秘書に5000万円を手渡ししたのは、当時、社長の川村氏である。「本人じゃないからわからない」のは事実だが、あえてそれを口にするあたりに、両者の深い溝がうかがえる。
 兄・紀夫氏との関係もそうだ。
 昨年9月、水谷氏の知人の女性経営者が、債権譲渡した男性と二人で、水谷建設を相手に「貸金返還請求訴訟」を起こしている。
 訴状では、8年前の03年8月、女性経営者は当時、会長だった水谷氏から頼まれて6000万円を融資したものの、現在に至るまで支払いがないので、元金に利息をつけて返還しろ、と訴えている。
 すでに、裁判は始まっており、水谷建設の借金だという女性経営者の訴えが正しいのか、当時、代表権のない副社長だった功氏の個人的借金だったと反論する会社側の主張が正しいかを論評する気はない。
 興味深いのは、提訴前に水谷氏が「陳述書」を提出、そのなかに「借入に際しては会社経理担当者と協議のうえで行い」、「借用目的は裏ガネ」で、「管理本部長に頼まれたから借り入れた」と、述べていることだ。
 「三行半」を叩きつけてきた会社=紀夫社長に対し、過去の精算を、裁判所を通じて迫っていると見ることもできる。
 水谷建設元会長と、今も表記されているため、一体と見られがちだが、実は、孤立無援、四面楚歌の状態にある。川村氏とも水谷建設ともケンカ状態。そこに小沢氏サイドが巧みに接近しているのだという。
「日起は小さなサブコンだが、功氏はここで食っていかなくてはならない。でも、事件続きで、みんな怖がって、なかなか完全復帰はできない。そこに小沢氏周辺が、『証言などで協力してくれれば悪いようにはしない』と、メッセージを送っているという話もある。弁護側証人を了解したのは、そんな"秋波"に応えているのでないか」(前述の知人)
 日本有数のサブコンのトップとして、ゼネコンの前捌き役として、政界を含む各方面との調整作業を行っていた頃の面影はそこにはない。あるのは、必死の生き残り策に追われ、利用できるものは何でも使おうとする孤独なひとりの経営者の姿である。
 だから弱く、でもしたたかに遊泳、それが傍目には"ゆらぎ"と映る。それは事実だがその背景まで考慮しなければ、「小沢事件」のキーマンの変質は理解できない

小沢氏強制起訴 水谷元会長告白「1億円裏ガネ=ワケ分かりません。石川、大久保なんて会ったこともない」2011-02-02 | 政治/検察/メディア/小沢一郎
東京地裁、石川知裕被告弁護団の申請に基づき水谷建設元会長を証人採用2011-02-03 
マスコミは、なぜ小沢が怖いのか/日本の殆どのマスコミが、手段を選ばず「小沢抹殺」で狂奔している光景2011-02-02 
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国民は騙されている 小沢強制起訴の虚構 ?どこを探しても出てこない虚偽記載の事実2011-01-20 
国民は騙されている 小沢「強制起訴」の虚構 ?1億円ウラ献金を証言した水谷建設元会長のいかがわしさ2011-01-28 
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ニコニコニュース 小沢一郎記者会見 一問一答2011-01-2


福島第一原発 出口のない闘い 心身ともに疲労困憊 現場は危険な状況にある

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福島第一原発出口のない闘い 心身ともに疲労困憊、現場は危険な状況にある
現代ビジネス 2011年04月27日(水)週刊現代
総理からの電話
 福島第一原発の現場でいまもっとも懸念されているのは、新たな水素爆発である。
 12日の記者会見で、代谷誠治・原子力安全委員会委員は本誌記者の質問にこう答えている。
「大規模な水素爆発が起こったとすると、(炉の)なかのもの(放射性物質)が全部出るわけですから、これは大変なことになります。いまでも、そういう本当に最悪のシナリオといいますか、いま考えられる最悪のシナリオを考えますと、やはり原発から20~30km圏内(の住民に)は『どうぞお帰りください』と言える状況にはない。
 ただし、私たちとしては、水素爆発の危険はかなり少なくなってきていると思っているところです」
 2号機では、タービン建屋に溜まった高濃度汚染水の排水が進み、炉心冷却装置の復旧に取り掛かることを目指しているが、放射線量の測定など作業は山積みだ。
 小康状態と思われていた4号機では、使用済み燃料プールの温度が90度まで上がり、慌てて注水が行われた。本誌先週号でアメリカのエンジニア、アーノルド・ガンダーセン氏が語っていた「4号機の燃料が一部露出している」という危惧が、的中する形になった。
 3つの原子炉、4つの使用済み燃料プールの「7頭の怪物」のうち、ひとつを抑えると別のひとつが頭をもたげる、いたちごっこのような状態に陥っている。今後の手順について、東京電力幹部は、
「なんとか今月中に炉心冷却装置の復旧をやりたい。遅くともGW明けを目指したい。同時に、冷却装置の復旧ができなかったときのために、外付けの冷却装置を準備している。必要な部品は、すでに揃えた」
 と話すが、いまだ楽観ムードはない。
 実はこの「外付け冷却装置」のアイデアを出したのは、佐賀大学元学長で福島第一原発の復水器の設計者でもある上原春男氏である。上原氏自身が語る。
「外付けの熱交換器による冷却システムを提案したのは3月19日で、話した相手は玄葉光一郎国家戦略担当相です。
 海水を利用したもので、いま炉から出ている崩壊熱を取り除けるだけの能力はある。私は原子炉の図面を見ていないので、どこに取り付けるかは東京電力の判断。4月4日に、枝野幸男官房長官から『上原先生の考え方(システム)を採用いたします』という連絡がありました。細野豪志首相補佐官からも、同様の連絡がありました。ところが、いまだに計画が動き出している気配がない。もし部品が揃っているなら、組み立ては1~2日あれば完了するはずです」
上原氏が考案したのは、パイプを通じて圧力容器のなかに水を流し込み、排出口から出して循環させるという冷却システム。配管が一部壊れていても、いくつもの配管系統のうちどれかを使えば冷却は可能だという。
「3月20日ごろには、菅直人総理からも連絡がありました。『ご提案いただきありがとうございます』というお礼の電話でした。それなのに、なぜいまだに実現しないのか。私としては、残念というのを通り越してイライラしています」(上原氏)
 この外付け冷却装置のアイデアについて、北海道大学大学院医学研究科の石川正純教授の見解はこうだ。
「外付けの循環型冷却装置は、事態収束に向けて必須です。しかし、核燃料が1000度を超えて炉の中が空焚きになっている状態で水を入れると、水蒸気爆発を起こす可能性がある。圧力容器がどこまで耐えられるか心配です。その場合にはベント(弁を開く)をする必要がある。ただ、多量の放射性物質を放出するわけですから、どこまで近づけるかという問題がある」
安全かスピードか
 石川教授が指摘するように、1号機の炉内の温度は不安定で、一気に高温になることもある。外付け冷却装置の取り付け、ベントなどまたも「決死隊」が必要な局面がつづく。
 菅首相や、枝野官房長官ら官邸側は、「出口」を求めて安易に指示を出すが、身体を張ってそれを実行するのは現場である。
 つい先日まで、福島第一原発の第一線で働いていた40代の作業員・A氏は、こう話す。
「免震重要棟のなかはかなりピリピリした雰囲気です。事故発生直後には吉田昌郎所長が、東京電力の社員に向かって檄を飛ばしているのを見ました。人の動かし方が悪く、思うように作業が進まないことに苛立っていた。そのあと、所長のいる部屋のドアが閉じられるようになりました。
 東京電力の社員も、われわれ下請け、孫請け会社の作業員も、免震重要棟で寝泊まりしていますが、すぐ横で会議をしている人たちもいて、とてもではないがゆっくり休めない。真夜中に出動を命じられることもあるし、作業方針もクルクル変わる。翌日に予定していた作業を、急遽その日の夜にやるように言われたこともあった」
 いま現場にいるのは、東京電力の社員が300~400名、A氏のような協力会社の社員が500~600名の1000名弱。率いるのは、吉田所長のほか、1~4号機担当の福良昌敏氏、5・6号機担当の吉澤厚文氏というふたりの「ユニット所長」である。
 3月16日には放射線量が非常に高くなり、あまりに危険だということで71名の作業員を残して一時撤退したが、現在は1000名規模を維持し、食事も一日3回、交代で休暇も取れるようになった。
「幹部は12勤2休ですが、移動日も勤務日に含めているので場合によっては3~4日現場を離れることもある。東京の自宅に一時帰宅した幹部もいます。社員は作業の内容によって6勤2休、8勤4休など。休暇のときは、福島第二原発に近いJヴィレッジや小名浜へ行き、近所の旅館で休んだり、シャワーを浴びている。体力的には多くが限界を超えているが、士気は高い」(東京電力社員)
 4月6日からは、炉内の温度が上昇した1号機に窒素ガスの注入が始まったが、その手順をめぐって、吉田所長と東京の本店でやり取りがあったという。
「東京では、1号機が再び水素爆発するのを避けるため、窒素ガスを注入するよう指示しました。吉田所長も、基本的にはこの指示に賛成していたんですが、実際の作業には危険が伴う。『早くやれ!』という本店の指示に対して、吉田所長は『とにかく作業員の安全が第一。それが確保されるような手順を、きちんと組んでから作業に取り掛かりたい』と押し返した」(別の東京電力社員)
人が足りない
 現場では、すでに何度もの「決死隊」が組織され、原子炉周辺に出動した。ようやく放射線量が安定してきたとはいえ、窒素ガス注入作業中に、水素爆発が起こる可能性もある。
 吉田所長は、できる限り作業員の安全を図ったうえで、本店の指示を実行したいと考えている。マスクや、防護服によって熱中症になる作業員が出たときは、
「皆さん、頑張りすぎないでください」
 と伝えた。他の幹部も、
「基本に戻って報・連・相をしっかりしよう」
 と呼びかけている。
 実は4月12日、ネット上の求人サイトに以下のような広告が載った。
〈復興用求人 福島原子力発電所復興業務 とび鍛冶工 福島での寮費、食事代不要 必要な経験:原発作業経験者(原発手帳所持者)〉
 基本給は42万円に設定されていた。
 この求人をしていた建設会社社長に聞いた。
「ウチは震災前から全国の原発と取引があるんだけど、福島第一からは『本当に人が足りない』と言われている。『10人、20人でも足りない。至急頼みたい』と言われて、12日に募集をかけたんです。日給いくらもらえるか、とか、死んだらどうするのか、とか問い合わせの電話はあるけど、まだ決まった人はいないね。
 今回は原発手帳を持っている人を急募しているんだ。持っていない初心者はダメ。基本的に手帳は、一度でも原発で働いたことがあればもらえるよ。仕事内容? ウチは土木だから、基本的には散らかったものの復旧作業ですよ」
 この社長が言う「原発手帳」とは、実際には「放射線管理手帳」といい、原発から半径20km圏内にある事業者が申請し、発給され、これまでの被曝歴などが書き込まれる。福島第一の場合、20km圏内の事業者がすでに退避してしまっているので、新たな申請が困難ということのようだ。
 ともかく誰でもいいから人が欲しい---そのくらい、現場は人員不足に悩んでいる。終わりの見えない闘いが続く。
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最前線に迫る被曝上限

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最前線に迫る被曝上限…原発作業員確保が課題
(読売新聞 - 04月28日 03:03)
 東京電力福島第一原子力発電所の事故は27日、東電が収束に向けた「工程表」を公表してから10日たった。
 原発敷地内の放射線量は高い状態が続き、通常時に浴びてもよいとされる年間50ミリ・シーベルトの2倍を超えた作業員はすでに30人に達する。被曝(ひばく)線量が累積する中、今後は交代要員の確保が課題となりそうで、東電では、OBも含めた人員の確保に乗り出した。
 東電によると、福島第一原発では連日1000〜1200人が放射能で汚染されたがれき撤去や高濃度汚染水の移送、ロボットの操作などに当たっている。累積線量が100ミリ・シーベルトを超えた東電と協力企業の作業員は25日現在で30人、50〜100未満が119人、50未満が5628人。東電では、累積100ミリ・シーベルトを超えた社員について、敷地内でも比較的線量の低い免震重要棟内での事務作業などに配置換えしているという。
 ◆OBにも声かけ◆
 東電では、今後の作業員確保について「できるだけ被曝線量を少なくし、長時間作業できるよう考えたい」とするが、政府と東電でつくる事故対策統合本部事務局長の細野豪志首相補佐官は、26日の記者会見で「今、現地で働いておられる人数は十分ではない。(東電の)OBら色々な方に協力していただくべきだ」と危機感をあらわにした。東電の松本純一・原子力立地本部長代理も、27日の記者会見で「現在、当社OBにも(作業の応援を)声かけしているところ」と明かした。
 国は3月15日、緊急時の被曝線量の上限を福島第一原発事故での作業に限り、100ミリ・シーベルトから250ミリ・シーベルトに引き上げた。しかし、関係企業の多くは、作業員の健康への配慮から、より厳しい制限を設けている。このため、各企業からは、東電が6〜9か月で収束を目指すとした工程表の完了前に、作業員の累積線量が社内規定を超える事態を懸念する声が聞かれる。
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〈来栖の独白〉
 動物たちを餓死させ、「作業員」という名の人間に対しても・・・。恐ろしい。安全や命を二の次にするこんな国を、世界はもはや相手にしないだろう。
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浜岡原発3号機、7月再開を計画

原発の「ごみ」行き場なく/「核半島」六ヶ所村再処理工場/東通原発/大間原発/核燃料 中間貯蔵施設

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中日新聞【特報】2011/4/27Wed.
原発の「ごみ」行き場なく 使用済み核燃料の行方は 中間処理施設 建設中も
 福島第1原発の事故では、発電を終えた核燃料が敷地内に置かれている危険性を知った。使用済み核燃料は青森県六ヶ所村の再処理工場の貯蔵施設で受け入れているが満杯に近く、各原発内の貯蔵プールなども余裕がなくなりつつある。一方、この燃料を再びエネルギー源として使う核燃料リサイクルは実現していない。同じ下北半島に建設中の中間貯蔵施設の現場を歩き、原子力政策の限度を考えた。(篠ケ瀬祐司、小国智裕)
 まだ肌寒く、フキノトウが顔を出し始めた青森県むつ市関根。使用済み核燃料をいったん貯蔵する中間施設の建設現場付近からは、津軽海峡を挟んで、うっすらと北海道函館市が見える。
 昨年8月に着工され、貯蔵建屋は基礎を終え床部分を造る段階だ。大震災で資材は被災地に優先されて本体工事は中断するが、来年7月の稼動開始目標は変わらない。
 貯蔵能力は三千?。最終的に建屋はもう1棟造られ、最大で計五千?を貯蔵する予定だ。同施設を造るのは「リサイクル燃料貯蔵株式会社」で、東京電力と日本原子力発電が出資している。
・最長50年保管
 使用済み核燃料は、まず発電所内のプールで冷やされる。それから六ヶ所村の再処理工場に送るまでの間、キャスクと呼ばれる金属製容器に入れて、空冷式のこの貯蔵建屋内に保管される。
「中間」とはいえ期間は最長50年間。再処理が滞り、使用済み核燃料がたまり続けたり永久貯蔵化したりしないか。
 リサイクル燃料貯蔵社の江村公夫広報渉外部長は「年限や容量などは地元との約束だ」と、予定量や期間以上の貯蔵はないと断言する。
 同施設から海まで5百?と近いが、周囲に防潮堤は見当たらない。江村氏は「東電の自社評価では、6、3?の津波発生可能性を想定。施設は海抜20?の場所にあり、防潮堤は必要ない。キャスクは(固定の台から)転落したり、水没したりしても耐えられる」と安全性を強調する。
・背景に交付金
 施設はむつ市が誘致した。2000年6月の法改正で、原発敷地外でも使用済み核燃料を貯蔵できるようになった。5ヵ月後、当時の杉山粛(まさし)市長(故人)が東電に対し、市内に立地可能かの調査を依頼。OKが出ると杉山氏は03年の市議会で誘致を正式に表明した。
 誘致の背景は、見込まれる巨額の交付金や固定資産税だ。市は破綻寸前で02年度の財政規模が約90億円に達し、累積赤字は約14億円。杉山氏は「財政確保を模索する中で、誘致する考えに至った」と議会で述べた。
 財政的な効果はすぐ表れた。03年度に市に入った初期対策交付金は約9億7千万円。10年度決算では、原発関連で約22億3千万円の交付金を受けている。
 市は09年にショッピングセンターを改修して現市庁舎に移った。費用総額約27億円のうち13億円以上が東電と日本原電の寄付だった。
 下北半島は今、隣の東通村で東通原発、大間町で大間原発が1基ずつ建設中で「核半島」とも呼ばれている。誘致する背景はいずれも同じだ。 

再処理工場各原発内プール 容量はほぼ満杯
・「福島の事故後 不安に」青森・むつ市民
 中間貯蔵施設をむつ市民はどうみているか。
 会社員男性(56)は「地元には特別な産業がない。誘致でカネを引っ張ってくるのは苦渋の選択では」と、誘致に理解を示す。年配の男性も「息子が東北電力の東通原発で働いている。ここらでは自衛隊か原発関連の仕事しか働き口がない」と、施設の建設はやむを得ないとの立場だ。
 福島の事故後に考えが変わったという住民もいる。ある商店主は「実は中間貯蔵とはどんなものかよく知らなかった。福島の事故をみて不安になった」と漏らす。
 誘致・建設に反対してきた「核の中間貯蔵施設はいらない! 下北の会」の野坂庸子代表は「施設の核燃料を50年後にどうするかについて、事業者は『40年目までに協議する』と言っている。それは子どもたちにツケを回すことではないか」と不信感を募らせている。
 原発の使用済み核燃料の行方はどうなっているのか。ウラン燃料は3〜4年燃やした後に、使用済み核燃料が残る。その燃え残りのウランや新たに生成されたプルトニウムを再処理し、燃料として原発で再利用するのが「核燃料サイクル」。輸入に頼るウランを有効利用できる上に、核の「ごみ」を大幅に減らせるというメリットがある。
 その拠点が日本原燃の再処理工場だ。使用済み核燃料は3年かけて百度以下に冷まして、剪断や溶解、精製してプルトニウムを取り出す。それをウランと混ぜて「MOX燃料」に加工し、既存の原発で燃やすのがプルサーマル発電だ。現在は海外で製造されたMOX燃料が使われている。
 ところが、この再処理工場はいまだに稼動していない。1997年の運転開始予定だったが、相次ぐトラブルから延期され、現在は12年10月の運転開始を目指す。
 原発54基から出る使用済み核燃料は、使用前のウランの重さで年間約1千?。再処理工場の貯蔵施設受け入れ容量は3千?なのに対し、既に約2827トンが運び込まれて満杯に近い。
 日本原燃は「試験工程の組み直しなども考えながら進めていく必要があるかもしれないが、現時点では、予定通り竣工へ向けて取り組んでいきたい」と説明する。
 再処理工場が稼動しても処理能力は8百?で、2百?程度が毎年残ってしまう。一方、各原発の総貯蔵量は昨年9月現在で約1万3千5百20トンに及ぶ。福島第1原発の場合、共用プールや各原子炉建屋の容量2千百トンに対し、千8百20トンが入れられていた。
 貯蔵能力使用率を見ると、東電の原発を上位に、その他もあと数年で容量を超えてしまう。貯蔵場所がなければ、ウラン燃料を取り換える事ができず原発は稼動できなくなる恐れもある。
 問題はこれだけではない。再処理した後に残る核分裂生成物など高レベル放射能廃棄物の最終処分についてはめどさえ立っていない。液体は特殊なガラスで固め、ステンレス容器に封じ込めて30〜50年かけて冷やした後、地下約3百?の深さに埋める。だが、最終処分場の建設場所はまったく決まっていない。
 フランスや英国に再処理を依頼してきたが、今や自国内処理が原則。最終処分場が必要なことは原発の稼動当初から分かりながらも見切り発車した。原発が「トイレのないマンション」といわれるゆえんだ。原発の是非については、安全性はもちろんだが、最終処分問題も国民的議論を行うときが来ている。
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原子力村・産官学の利益集団/原発=どうして「地球に優しいクリーンエネルギー」の主役に化けたのだろう2011-04-27
佐藤栄佐久氏記者会見「すべては、原発推進というお国のため/必要だから必要なんだという理屈」2011-04-23  
チェルノブイリの8倍酷い福島 こんなに長期間に亘って放射性物質が外に出続けるのは人類史上例がない2011-04-25 
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ロッキード事件に酷似 陸山会事件公判 (川村尚)証人が具体的に述べれば述べるほど低下するリアリティ

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〈来栖の独白〉
 陸山会事件の公判。水谷建設前社長・川村尚氏の供述に耳を傾けるほどに、ロッキード事件が重なってしまう。
 現金受け渡しの場面などは、まったく酷似している。陸山会事件のそれは全日空ホテル(現ANAインターコンチネンタルホテル)であり、ロッキード事件はホテルオークラであった。「陸山会」は水谷建設前社長川村氏が渡し、「ロッキード」は丸紅の伊藤宏専務が渡した(という)。どちらも証人がことさら具体的に述べれば述べるほど、意図に反してリアリティは低下し、胡散臭さが漂ってしまう。これで、弁護側証人水谷建設元会長水谷功氏なんかが出てきた日には、この法廷はどうなるんだろう♪
 ロッキード事件で成功した検察。裁判所まで同じでは困る。
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5000万円を渡しました---「陸山会事件」のキーマンが法廷で証言!
現代ビジネス「ニュースの深層」2011年04月28日(木)伊藤博敏
 5000万円は宅急便の袋に入れて折りたたみ、それをひと回り大きい紙袋に入れ、全日空ホテル(現ANAインターコンチネンタルホテル)で会った石川(知裕現代議士)秘書に、床をスライドさせるような形で渡しました。フロント前ロビーの椅子に2人でハス向かいに座り、渡す際、『これを大久保(隆規秘書)さまにお渡しください』と、申し添えました。それから2〜3分、世間話をして石川秘書が先に出て行きました---。
 4月27日午前10時開廷の陸山会事件公判で、水谷建設前社長・川村尚氏は、検事の質問を受け、よどみなく「裏ガネの提供」について語るのだった。
 法廷には、石川、大久保の両被告に池田光智元秘書を加えた3被告が検事席と対峙する形で座り、営業で鍛えた少し野太い川村氏の証言を静かに聞いていた。
 小沢氏が代表を辞任、民主党の権力構図から弾かれるきっかけとなった陸山会の政治資金規正法違反事件は、3秘書が逮捕起訴され、今年2月7日から公判が開始された。
 起訴事実は、1.04年10月、小沢氏の自宅(都内世田谷区)に近い土地を約3億5000万円で購入しながら、04年ではなく05年の報告書に記載したこと、2.土地代金の原資となった小沢氏からの借入金4億円を、04年の報告書に記載しなかった、というものだ。
 一見、「うっかりミス」や「期ズレ」で、地検特捜部が乗り出すような事件ではないように思われる。だが、特捜部は「水谷マネー」にこだわった。「平成の政商」と呼ばれる水谷功元会長が率いる水谷建設が、小沢氏の地元・岩手県で行われた胆沢ダム建設工事に絡み、裏ガネを提供したという「水谷証言」を引き出した特捜部は、贈収賄事件や政治資金規正法違反事件に結び付けようとしたが頓挫、最後の手段として「献金の怪しさ」を法廷で暴こうとした。
 そのキーマンが、実際に現金を渡した川村氏だった。この日まで、川村氏はマスコミに一切、登場しなかったし、法廷に証人として出るのも初めて。微に入り細を穿つ「川村証言」は、「東北のゼネコン談合を仕切る」といわれた小沢事務所の実力を十分に知らしめるとともに、小沢氏がカネを背景にのし上がった政治家であることを思い起こさせた。
 政治資金規正法違反事件で、裏ガネの有無は問われない。だが、こうした法廷証言は、検察審査会で強制起訴された小沢氏の公判にも微妙な影響を与えよう。また、刑事被告人となって党員資格を停止されている小沢氏の復権にも関わってくる。それだけに、「川村証言」に具体性があればあるだけ、小沢氏は追い詰められていく。
 03年11月、水谷建設の社長に就任した川村氏は、大久保秘書の長年の友人である日本発破技研の山本潤社長に伴われ、同月内に衆院議員会館の小沢事務所を訪問したのだという。狙いは胆沢ダムの工事に、ゼネコンの下請けとして入ること。
「具体的には、本堤盛立工事と原石山採取工事に参加したいというお話を大久保さんにしました」
---大久保秘書の反応は?
「『他の同業者より遅い!』とご注文を受けました」
---遅いとはなにか。
「小沢事務所への挨拶が、遅かったという意味です」
 出遅れを指摘された川村氏は、必死の巻き返し工作に入る。03年12月31日の大みそかには、わざわざ大久保氏の自宅を訪ねて、松阪牛肉と現金100万円を届けたのだという。翌年からは接待攻勢をかけ、04年8月の「料亭接待」を皮切りに、これまでに5〜6回は接待、場所は向島だったという。
 そのように人間関係を構築したうえで、04年9月、鹿島JVが胆沢ダムの本堤盛立工事を受注する直前、山本社長とともに議員会館を訪れた川村氏は、大久保秘書からこんな具体的な指示を受けた。
「胆沢ダムの本堤盛立工事のゼネコンが決まったら5000万円、原石山採取工事の入札の後に5000万円、合計1億円の要求を(大久保秘書から)受けました」
---要求された時期は?
「胆沢ダム工事の開札の前でございます」
---指示に従ったのか。
「お支払いをしました」
---日時は?
「平成16年(04年)10月15日のことでございます。それが1回目の5000万円。2回目は平成17年(05年)4月中旬ぐらいと記憶しております」
 受注金額は二つの工事で約100億円が想定され、予定通りに本堤盛立工事の鹿島JVと、原石山採取工事の大成建設JVから受注できれば、荒利が10%は見込まれるので、裏ガネ1億円は、無理なく支出できる金額だったという。
 鹿島JVが工事を落札したのは04年10月7日。その前日、大久保秘書と5000万円の現金の受け渡しについて議員会館で話し合った川村氏は、10月13日まで北京出張であることを伝え、受け渡し日を15日にしてもらったという。
 そのカネの作り方、三重県津市から東京支社まで現金を運んだ方法、川村氏の13日から15日までの詳細な行動について質疑がなされた後、受け渡しは、所要ができた大久保秘書に代わって石川秘書が全日空ホテルに現れることになり、約束の時間にフロント前ロビーで待っていたら、何度か面識のある石川秘書が現れ、冒頭の現金授受の場になるのだった。
 さらに検事の尋問は続いて05年4月中旬の次の5000万円へと移る。ここでも細かな描写が続くがそれは省略する。また、法廷でも1回目の5000万円に比べれば、簡略に切りあげられていた。
 それは、2回目の授受には山本氏と言う「同席者」がいて、次回、5月10日の公判では山本氏が検察側証人として出廷するためだろう。1回目の授受は1対1。石川氏は現金授受を頑強に否定、検察側としては、川村氏から詳細な供述を引き出す必要があった。
 現在、検察に突き付けられている国策捜査の是非や、シナリオに沿った供述を引き出す捜査手法の問題については、ここでは問わない。ともあれ、5000万円を2回にわたって「工事受注に対する謝礼」として小沢事務所に渡したという証言が、偽証を問われる法廷の場で飛び出した意味は大きい。
 「菅降ろし政局」の主役として登場するなど、小沢氏の政治家としての力量に衰えがないだけに、「水谷献金」は、これからも小沢氏の行方を阻むことになりそうだ。
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『検察を支配する「悪魔」』田原総一朗+田中森一(元特捜検事・弁護士)  
 第三章 絶対有罪が作られる場所
p80〜 ロッキード事件の金銭授受は不自然---田原
 ここからは、ロッキード事件の話をしたい。
 ロッキード事件で田中角栄は、トライスター機を日本が購入するにあたって、ロッキード社から4回にわたって、丸紅を通じて計5億円の賄賂を受けと取ったとして、1983年10月に受託収賄罪で懲役四年、追徴金5億円の判決を受けましたね。
 この4回あったとされる現金の受け渡し場所からしても、常識から考えておかしい。1回目は1973年8月10日午後2時20分頃で、丸紅の伊藤宏専務が松岡克浩の運転する車に乗り、英国大使館裏の道路で、田中の秘書、榎本敏夫に1億円入りの段ボール箱を渡した。2回目は同年10月12日午後2時30分頃、自宅に近い公衆電話ボックス前で、榎本に1億5000万円入りの段ボール箱を。3回目は翌年の1月21日午後4時30分頃、1億2500万円入りの段ボール箱がホテルオークラの駐車場で、伊藤から榎本に渡された。そして、同年3月1日午前8時頃、伊藤の自宅を訪れた榎本が、1億2500万円が入った段ボール箱を受け取ったとされている。
 最後の伊藤の自宅での受け渡しはともかく、他の3回は、誰が見ても大金の受け渡し場所としては不自然です。とくに3回目のホテルオークラは、検察のでっちあげ虚構としか思えない。
 伊藤の運転手だった松岡にインタビューしたところ、検察によって3回も受け渡し場所を変更させられたと言う。もともと松岡は、受け渡しに対して記憶はまったくなかったのですが、検事から伊藤の調書を見せられ、そんなこともあったかもしれないと、曖昧なまま検察の指示に従った。
 検事が、最初、3回目の授受の場所として指定してきたのは、ホテルオークラの正面玄関です。松岡は検事の命令に添って、正面玄関前に止まっている2台の車の図を描いた。
 でも考えてみれば、こんなところで1億2500万円入りの段ボール箱の積み下ろしなどするわけがない。正面玄関には、制服を着たボーイもいれば、客の出入りも激しい。おまけに、車寄せに2台車を止めて段ボール箱を運び込んだら、嫌でも人の目につく。
 検察も実際にホテルオークラに行ってみて、それに気が付いたんでしょう。体調を崩して大蔵病院に入院していた松岡の元に検察事務官が訪ねてきて、「ホテルオークラの玄関前には、右側と左側に駐車場がある。あなたが言っていた場所は左側だ」と訂正を求めた。
 それでも、まだ不自然だと考えたのでしょう。しばらくしたら、また検察事務官がやってきて、今度は5階の正面玄関ではなく、1階の入り口の駐車場に変えさせられたと言います。
 それだけならまだしも、おかしなことに、伊藤が描いた受け渡し場所も変更されていた。最初の検事調書では、伊藤も松岡とほぼ同じ絵を描いている。松岡の調書が5階の正面玄関から1階の宴会場前の駐車場に変更後、伊藤の検事調書も同様に変わっていた。
 打ち合わせもまったくなく、両者が授受の場所を間違え、後で揃って同じ場所に訂正するなんてことが、あり得るわけがない。検事が強引に変えさせたと判断するしかありません。百歩譲って、そのような偶然が起りえたとしても、この日の受け渡し場所の状況を考えると、検事のでっち上げとしか考えられない。
 この日、ホテルオークラの宴会場では、法務大臣や衆議院議長などを歴任した前尾繁三郎を激励する会が開かれていて、調書の授受の時刻には、数多くの政財界人、マスコミの人間がいたと思われる。顔見知りに会いかねない場所に、伊藤や田中の秘書、榎本が出かけていってカネをやり取りするのは、あまりにも不自然です。
 しかも、この日の東京は記録的な大雪。調書が事実だとすれば、伊藤と田中の秘書が雪の降りしきる屋外駐車場で、30分以上立ち話をしていたことになる。しかし、誰の口からも、雪という言葉が一切出ていません。
 万事がこんな調子で、榎本にインタビューしても、4回目の授受は検察がつくりあげたストーリーだと明言していました。
 もっとも、丸紅から5億円受け取ったことに関して彼は否定しなかった。伊藤の自宅で、5億円を受け取ったと。それは、あくまでも丸紅からの政治献金、田中角栄が総理に就任した祝い金だと。だから、伊藤は、せいぜい罪に問われても、政治資金規正法だと踏んだ。そして、検察から責め立てられ、受けとったのは事実だから、場所はどこでも五十歩百歩と考えるようになり、検察のでたらめにも応じたのだと答えた。
 つまり、検察は政治資金規正法ではなく、何があっても罪の重い受託収賄罪で田中角栄を起訴したかった。そのためにも、無理やりにでも授受の場所を仕立てる必要があったというわけでしょう。
p83〜 法務省に事前に送られる筋書き---田中
 ロッキード事件のカネの受け渡し場所は、普通に考えておかしい。またそれを認めた裁判所も裁判所ですよ。ロッキード事件以来、ある意味、検察の正義はいびつになってしまった。
 政界をバックにした大きな事件に発展しそうな場合、最初に、検察によってストーリーがつくられる。被疑者を調べずに周りだけ調べて、後は推測で筋を立てる。この時点では、ほとんど真実は把握できていないので、単なる推測に過ぎない。
 でも、初めに組み立てた推測による筋書きが、検察の正義になってしまうのです。なぜ、そんなおかしなことになるかと言えば、政界や官界に波及する可能性がある事件の捜査については、法務省の刑事課長から刑事局長に、場合によっては、内閣の法務大臣にまであげて了解をもらわなければ着手できない決まりになっているからです。とくに特捜で扱う事件は、そのほとんどが国会の質問事項になるため、事前に法務省にその筋書きを送る。
 いったん上にあげて、了承してもらったストーリー展開が狂ったら、どうなりますか?検察の組織自体が否定されますよ。事件を内偵していた特捜の検事がクビになるだけでなく、検察に対する国民の信頼もなくなる。
 本当は長い目で見たら、途中で間違っていましたと認めるほうが国民の信頼につながる。それは理屈として特捜もわかっているけれど、検察という組織の保身のためには、ごり押しせざるを得ないのが現実です。
 特捜の部長や上層部がなんぼ偉いといっても、一番事件の真相を知っているのは被疑者ですよ。その言い分をぜんぜん聞かず、ストーリーをどんどん組み立てる。確かに外部に秘密がまれたり、いろいろあるから、その方法が一番いいのかもしれないが、だったら途中で修正しなければいけない。
 ところが、大きい事件はまず軌道修正しない。いや大きい事件になるほど修正できない。だから、特捜に捕まった人はみんな、後で検察のストーリー通りになり、冤罪をきせられたと不服を洩らす。僕を筆頭として、リクルート事件の江副浩正、KSD事件の村上正邦、鈴木宗男議員と連座した
外務省の佐藤優、村上ファンドの村上世彰(よしあき)、ライブドア事件の堀江貴文・・・全員、不満たらたらで検察のやり方を非難している。
 これを特捜が謙虚に反省すればいいのですが、特捜はそんなことはまったく頭にない。「あのバカども、何を言っていやがるんだ」という驕りがあり、最初にストーリーありきの捜査法は一向に改善されません。
p85〜 尋問せずに事実関係に勝手に手を入れる---田中
 とくに東京の特捜では、まずストーリーありきの捜査しかしない。被害者を加害者に仕立て上げてしまった平和相銀事件がいい例ですよ。
 東京に来て驚いたのは、調書ひとつをとっても、上が介入する。調書作成段階で、副部長や主任の手が入ることも多く、筋書きと大幅に異なったり、筋書きを否定するような供述があると、ボツにされる。だから、検事たちも、尋問をするときから、検察の上層部が描いた筋書きに添う供述を、テクニックを弄して取っていく。
 僕も手練手管を弄して自分の描いた筋書きに被疑者を誘導することはありましたよ。しかし、それは、あくまでも現場で捜査に携わっている人間だから許されることだと思う。捜査をしている現場の検事は、こりゃあ違うなと感じれば、軌道修正する。被疑者のナマの声を聞いて判断するので、自分の想定したストーリーが明らかに事実と違えば、それ以上はごり押しできない。人間、誰しも良心がありますから。
 しかし東京では、尋問もしていない上役が事実関係に手を入れる。彼らは被疑者と接していないので容赦ない。被疑者が、これは検事の作文だよとよく非難しますが、故のないことではないと思った。恐ろしいと思いましたよ。冤罪をでっち上げることにもなりかねないので。
 だから、僕は東京のやり方には従わなかった。大阪流で押し通した。上がなんぼ「俺の言う通りに直せ」といっても、「実際に尋問もしていない人の言うことなんか聞けるか」で、はねのけた。
p86〜 大物検事も認めた稚拙なつくりごと---田原
 4回目の授受の場所を特定したのは誰か---ロッキード事件に関わった東京地検特捜部のある検事にこの質問をしたところ、彼は匿名を条件に「誰にも話したことはないが」と前置きして、次のように当時の心境を語っていた。
「ストーリーは検事が作ったのではなく、精神的にも肉体的にも追いつめられた被告の誰かが・・・カネを受け取ったことは自供するけれども・・・あとでお前はなぜ喋ったんだといわれたときのエクスキューズとして、日時と場所は嘘を言ったのじゃないか。
 そして、それに検事が乗ってしまったのじゃないか、と思ったことはある。田中、榎本弁護団が、それで攻めてきたら危ないと、ものすごく怖かった」
 この元検事の証言を、事件が発覚したときに渡米し、資料の入手やロッキード社のコーチャン、クラッターの嘱託尋問実現に奔走した堀田力元検事にぶつけると、「受け渡しはもともと不自然で子どもっぽいというか、素人っぽいというか。恐らく大金の授受などしたことがない人たちが考えたとしか思えない」と語っていました。
 堀田さんは取り調べには直接タッチしていない。だからこそ言える、正直な感想なんでしょうけれど、どう考えても、あの受け渡し場所は稚拙なつくりごとだと認めていましたよ。
p88〜 検事は良心を捨てぬと出世せず---田中
 検事なら誰だって田原さんが指摘したことは、わかっている。その通りですよ。田原さんがお書きになったロッキード事件やリクルート事件の不自然さは、担当検事だって捜査の段階から認識している。
 ところが引くに引けない。引いたら検察庁を辞めなければいけなくなるから。だから、たとえ明白なでっち上げだと思われる“事実”についてマスコミが検察に質しても、それは違うと言う。検事ひとりひとりは事実とは異なるかもしれないと思っていても、検察という組織の一員としては、そう言わざるを得ないんですよね。上になればなるほど、本当のことは言えない。そういう意味では、法務省大臣官房長まで務めた堀田さんの発言は非常に重い。
 特捜に来るまでは、検察の正義と検察官の正義の間にある矛盾に遭遇することは、ほとんどありません。地検の場合、扱うのは警察がつくっている事件だからです。警察の事件は、国の威信をかけてやる事件なんてまずない。いわゆる国策捜査は、みんな東京の特捜か大阪の特捜の担当です。
 特捜に入って初めて検察の正義と検察官の正義は違うとひしひしと感じる。僕も東京地検特捜部に配属されて、特捜の怖さをつくづく知りました。
 検察の正義はつくられた正義で、本当の正義ではない。リクルート事件然り、他の事件然り。検察は大義名分を立て、組織として押し通すだけです。
 それは、ややもすれば、検察官の正義と相入れません。現場の検事は、最初は良心があるので事実を曲げてまで検察の筋書きに忠実であろうとする自分に良心の呵責を覚える。
 しかし、波風を立てて検察の批判をする検事はほとんどいない。というのも、特捜に配属される検事はエリート。将来を嘱望されている。しかも、特捜にいるのは、2年、3年という短期間。その間辛抱すれば、次のポストに移って偉くなれる。
 そこの切り替えですよ。良心を捨てて、我慢して出世するか。人としての正義に従い、人生を棒に振るか。たいていの検事は前者を選ぶ。2年、3年のことだから我慢できないことはないので。ただそれができないと僕のように嫌気がさして、辞めていくはめになるのです。
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